説明

車両における外観カバーの連結構造

【課題】簡易な構成で複数の外観カバー同士を容易に連結することができる車両における外観カバーの連結構造を提供すること。
【解決手段】第1カバー61と、第2カバー65と、第1凹部62aが形成された第1係合部62と、第2凹部66aが形成された第2係合部66と、第1凹部62aに係合可能に湾曲された第1端末部91と、第2凹部66aに係合可能に湾曲された第2端末部92と、第1端末部91と第2端末部92とを連結する連結部93と、を有し、第1凹部62aに第1端末部91を係合させ、第2凹部66aに第2端末部92を係合させることで第1カバー61と第2カバー65とを結合するクリップ部材90と、少なくとも第1カバー61又は第2カバー65の一方に設けられ、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90が一端側に移動することを規制するカバー側抜け止め部63,67と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗型車両等の車体を覆う外観カバーの連結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動二輪車等の鞍乗型車両においては、その車体フレームが、樹脂により形成された複数の外観カバーによって覆われているものが多い。
これらの外観カバーは、ねじ止め用のボス部を備え、これらのボス部を、車体フレーム側に設けられたステー部材等にねじ止めすることによって、車体フレームに固定されている(例えば、特許文献1参照)。また、色彩等が異なる複数の外観カバー同士を隣接させて車体フレームに取り付ける場合、これらの外観カバー同士を、予め、ねじ止めや溶着等によって結合(小組み)してから車体フレームに取り付ける手段が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−329871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の製造工程においては、複数の外観カバーを容易且つ迅速に車体フレームに取り付けることが要請されている。
しかし、上記従来技術においては、複数の外観カバーをねじ止めやグロメットへの差し込みによって車体フレームに固定していた。また、複数の外観カバー同士を、予め、ねじ止めや溶着によって連結(結合)し、これを車体フレームに固定していた。そのため、外観カバーの数が多いと、外観カバー同士の連結作業に手間がかかると共に、車体への取り付け性も悪化していた。
従って、簡易な構成で複数の外観カバー同士を容易に連結することができる手段の提供が望まれていた。
【0005】
本発明は、簡易な構成で複数の外観カバー同士を容易に連結することができる車両における外観カバーの連結構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、車体と、前記車体を覆い、複数枚が結合された状態で該車体に固定される外観カバーと、を備える車両における外観カバーの連結構造において、前記外観カバーを構成する第1カバーと、前記外観カバーを構成し、前記第1カバーに隣り合って配置される第2カバーと、前記第1カバーの裏面における前記第2カバーに隣り合う第1端縁部に沿って延び且つ前記車体側に向かって突出する板状の第1係合部であって、該第1係合部における前記第1端縁部と反対側に位置する面に、該第1端縁部に沿って延びるように第1凹部が形成された第1係合部と、前記第2カバーの裏面における前記第1カバーに隣り合う第2端縁部に沿って延び且つ前記車体側に向かって突出する板状の第2係合部であって、該第2係合部における前記第2端縁部と反対側に位置する面に、該第2端縁部に沿って延びるように第2凹部が形成された第2係合部と、前記第1凹部に係合可能に湾曲された第1端末部と、前記第2凹部に係合可能に湾曲された第2端末部と、該第1端末部と該第2端末部とを連結する連結部と、を有し、前記第1凹部に前記第1端末部を係合させ、前記第2凹部に前記第2端末部を係合させることで前記第1カバーと前記第2カバーとを結合するクリップ部材と、少なくとも前記第1カバー又は前記第2カバーの一方に設けられ、前記第1係合部及び前記第2係合部に係合した前記クリップ部材が一端側に移動することを規制するカバー側抜け止め部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の構成に加えて、前記車体に設けられ、前記第1係合部及び前記第2係合部に係合した前記クリップ部材の他端側に当接することで、該クリップ部材が該他端側へ移動することを規制する車体側抜け止め部を更に備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明においては、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記外観カバーは、後輪を有する鞍乗型車両の前記車体を覆う車体カバーであり、前記第1カバー及び前記第2カバーは、前記後輪の前上方に配置され、前記クリップ部材は、前記後輪の上部側に指向する位置に配置され、前記カバー側抜け止め部は、前記第1係合部及び前記第2係合部における前記後輪の側の端部に配置され、該第1係合部及び該第2係合部と前記クリップ部材との係合部分を覆うように板状に形成されることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明においては、請求項1から3のいずれか一つに記載の構成に加えて、前記第1カバーにおける前記第1係合部の他端側又は前記第2カバーにおける前記第2係合部の他端側のうちの少なくとも一方に設けられ、前記第1係合部及び前記第2係合部に係合した前記クリップ部材が前記他端側へ移動することを規制するカバー側爪部を更に備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明においては、請求項4に記載の構成に加えて、前記クリップ部材は、上下方向に指向するように配置され、前記カバー側抜け止め部は、前記クリップ部材の下側の端部側に配置され、前記カバー側爪部は、前記クリップ部材の上側の端部側に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の発明によれば、第1カバーにおける第1係合部の第1凹部にクリップ部材の第1端末部を係合させる共に、第2カバーにおける第2係合部の第2凹部にクリップ部材の第2端末部を係合させることで、第1カバーと第2カバーとを容易に結合(連結)することができる。また、カバー側抜け止め部を設けたことによって、第1係合部及び第2係合部に係合したクリップ部材が、第1係合部及び第2係合部の一端側から抜けることを抑制することができる。従って、簡易な構成で複数の外観カバー同士を容易に連結することができる。
【0012】
請求項2に記載の発明によれば、第1カバーと第2カバーとを車体に組み付ける際には、第1カバーと第2カバーとをクリップ部材によって結合して小組体を形成した後に、この小組体を車体に組み付ければよい。そして、第1係合部及び第2係合部に係合したクリップ部材の他端側に車体側抜け止め部を当接させることで、クリップ部材が、第1係合部及び第2係合部の他端側から抜けることを抑制することができる。
また、第1カバーと第2カバーの小組体を車体から取り外すだけで、クリップ部材の他端側と車体側抜け止め部との当接が解除されるため、第1係合部及び第2係合部の他端側からクリップ部材を容易に抜くことができ、第1カバーと第2カバーとの結合を容易に解除することができる。
従って、外観カバーの車体への組み付け性や車体の整備性を向上することができる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、第1係合部及び第2係合部とクリップ部材との係合部分をカバー側抜け止め部によって覆うことができる。そのため、鞍乗型車両の走行中に後輪によって飛ばされる泥等が、この係合部分に付着(固着)することを抑制することができる。従って、車体の整備性を向上することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、第1カバーにおける第1係合部の他端側又は第2カバーにおける第2係合部の他端側のうちの少なくとも一方にカバー側爪部を設けたことによって、第1係合部及び第2係合部に係合したクリップ部材が、第1係合部及び第2係合部の他端側から抜けることを抑制することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、上下方向に指向するように配置されたクリップ部材は、下側への移動をカバー側抜け止め部によって規制され、上側への移動をカバー側爪部によって規制される。従って、第1係合部及び第2係合部に係合したクリップ部材が、それらの上側及び下側から抜けることを抑制することができる。特に、カバー側抜け止め部をクリップ部材の下側の端部側に配置したことにより、クリップ部材の抜け止め効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の第1実施形態の自動二輪車1を示す左側面図である。
【図2】外観カバーを取り外した自動二輪車1を示す左側面図である。
【図3】外観カバーの連結構造100における上側連結部110を示す部分斜視図である。
【図4】図1に示すA−A線において上側連結部110及び下側連結部120を後方から視た図である。
【図5】図1に示すB−B線で切断した上側連結部110を示す図である。
【図6】図4に示すC−C線において下側連結部120を上方から視た図である。
【図7】本発明の第2実施形態の外観カバーの連結構造100Aを示す部分正面図である。
【図8】図7に示すD−D線で切断した連結構造100Aを示す図である。
【図9】本発明の第3実施形態の外観カバーの連結構造100Bを示す斜視図である。
【図10】図9に示すE方向から視た第1カバー側抜け止め部263及び第2カバー側抜け止め部267を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔第1実施形態〕
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。本実施形態においては、鞍乗型車両としての自動二輪車について説明する。なお、この自動二輪車は、オフロード用の競技専用車両である。図1は、本発明の第1実施形態の自動二輪車1を示す左側面図である。図2は、外観カバーを取り外した自動二輪車1を示す左側面図である。なお、以下の説明における前後、左右及び上下の方向の記載は、特に明記がない限り、自動二輪車に乗車する乗員(運転者)から見た方向に従う。また、図中、矢印FRは車両の前方を示し、矢印LHは車両の左方を示し、矢印UPは車両の上方を示す。
【0018】
先ず、図1及び図2を参照しながら、自動二輪車1の全体構成について説明する。図1及び図2に示すように、本実施形態の自動二輪車1は、車体フレーム5と、前輪2と、前輪2を軸支するフロントフォーク3と、フロントフォーク3に連結されたハンドル4と、車体フレーム5に懸架されたエンジン20と、駆動輪である後輪17と、車体フレーム5にリヤクッション31を介して上下に揺動自在に取り付けられ且つ後輪17を軸支するスイングアーム32と、ラジエータ40と、燃料タンク51と、乗員乗車用のシート85と、フロントフェンダ97及びリヤフェンダ98と、フロントゼッケンプレート80と、外観カバーとしてのラジエータシュラウド60、サイドカバー70及びサイドゼッケンプレート82と、を主体として構成される。
【0019】
車体フレーム5は、複数種のアルミ材が溶接やボルト締結等により一体的に結合されて構成される。図1及び図2に示すように、車体フレーム5は、ヘッドパイプ6と、メインフレーム7と、センターフレーム8と、ダウンフレーム9と、ロアフレーム10と、上側シートフレーム11と、下側シートフレーム12と、を備える。
【0020】
ヘッドパイプ6は、車体フレーム5の前端部に配置され、トップブリッジ6a及びアンダーブラケット6bを介して一対のフロントフォーク3を支持する。
メインフレーム7は、左右に一対設けられている。一対のメインフレーム7は、側面視で、ヘッドパイプ6から斜め下後方に延びている。一対のメインフレーム7の下端部は、センターフレーム8の上端部に連結されている。
【0021】
センターフレーム8は、エンジン20の後方において上下方向に延び、かつ、後方に膨らむように湾曲している。センターフレーム8の上端部における後側には、ステー部8aが延びている(図2参照)。ステー部8aには、後述のシートフレーム連結部材13が連結される。
【0022】
一対のダウンフレーム9は、側面視で、エンジン20の前方に配置され、ヘッドパイプ6から斜め下後方に延びている。ダウンフレーム9の下端部には、ロアフレーム10が連結されている。
ロアフレーム10は、エンジン20の下部の前方から下方にかけて配置され、後方へほぼ直線状に延びている。ロアフレーム10の後端部は、センターフレーム8の下端部に連結されている。
【0023】
上側シートフレーム11は、左右に一対設けられている。一対の上側シートフレーム11は、側面視で、その前端側がシートフレーム連結部材13を介して、センターフレーム8の上端部のステー部8aに連結されている。上側シートフレーム11の後端側は、後方に向かってほぼ水平に延びている。シートフレーム連結部材13は、上側シートフレーム11の前端部とセンターフレーム8の上端部とを連結する部材である。シートフレーム連結部材13の詳細については、後述する。
【0024】
また、上側シートフレーム11の後端部には、クロスフレーム部材14が連結されている。このクロスフレーム部材14は、上側シートフレーム11の後端部と下側シートフレーム12の後端部とを連結する部材である。また、クロスフレーム部材14は、リヤフェンダ98の前端部を連結すると共に、シート85の後部を支持する。クロスフレーム部材14は、アルミニウム合金の鋳造品である。
【0025】
下側シートフレーム12は、左右に一対設けられている。一対の下側シートフレーム12は、側面視で、その前端側が下側シートフレーム連結部材15を介して、センターフレーム8のほぼ中間部に連結されている。下側シートフレーム12は、後方に向かって急傾斜で上がるように延びている。下側シートフレーム12の後端部は、クロスフレーム部材14を介して上側シートフレーム11の後端部に連結されている。
下側シートフレーム連結部材15は、下側シートフレーム12の前端部とセンターフレーム8とを連結する部材である。下側シートフレーム連結部材15の詳細については、後述する。
【0026】
フロントフォーク3は、左右に一対設けられている。一対のフロントフォーク3の上部は、トップブリッジ6a及びアンダーブラケット6bを介してヘッドパイプ6によって支持されている。一対のフロントフォーク3の下端部は、前輪2を回転自在に軸支する。
【0027】
フロントゼッケンプレート80は、ヘッドパイプ6の前方かつフロントフェンダ97の上方に設けられている。
【0028】
エンジン20は、内燃機関(例えば、4サイクル単気筒型水冷エンジン)であり、車体フレーム5における前後方向のほぼ中央部に搭載される。エンジン20は、クランクシャフト(図示せず)を車体における左右方向に沿わせるように配置されている。エンジン20には、排気ガスを排気する排気管28が接続されている。排気管28の後端部には、排気音を消音するマフラ30(図1参照)が接続されている。
【0029】
ラジエータ40は、ダウンフレーム9の左右側方に設けられ、エンジン20を冷却するための冷却水を冷却する。ラジエータ40とエンジン20とは、冷却水を循環させる配管(図示せず)によって接続される。
また、ラジエータ40の車幅方向における側面には、後述するラジエータシュラウド60を固定するステー部41,45及びラジエータ側抜け止め部43が設けられている。ステー部41,45及びラジエータ側抜け止め部43の詳細については、後述する。
【0030】
燃料タンク51は、エンジン20に供給する燃料を貯留する樹脂製の容器である。燃料タンク51は、側面視で、ヘッドパイプ6の後方かつ上側シートフレーム11の前方に配置され、車体フレーム5の上部に固定されている。燃料タンク51の側面には、後述のラジエータシュラウド60を締結する締結部52,53を有する。締結部52,53は、例えば、インサートナットから構成される。
乗員着座用のシート85は、一対の上側シートフレーム11の上部に支持されている。シート85の前部は、燃料タンク51の後部の上面を覆うように配置されている。
【0031】
フロントフェンダ97は、アンダーブラケット6bに固定され、前輪2の上方を覆う。リヤフェンダ98は、上側シートフレーム11の後部にクロスフレーム部材14を介して固定され、後輪17の上方を覆う。
【0032】
ラジエータシュラウド60は、車体の外観カバーを構成し、左右に一対設けられている。ラジエータシュラウド60は、側面視で、ラジエータ40、メインフレーム7の一部及び燃料タンク51の一部を覆う。ラジエータシュラウド60は、走行時に、ラジエータ40の周囲における通風性を向上させる機能をも有する。ラジエータシュラウド60の詳細については、後述する。
【0033】
サイドカバー70は、左右に一対設けられている。サイドカバー70は、側面視で、ラジエータシュラウド60(後述の第2ラジエータシュラウド65)の後部に隣り合うようにシート85の下方に配置される。サイドカバー70は、側面視で、後方に向かって上がるように延びている。また、サイドカバー70は、側面視で、後方に向かって上下方向の幅が次第に狭くなっており、センターフレーム8に連結される上側シートフレーム11及び下側シートフレーム12と、エンジン20の吸気装置(図示せず)とを覆う。このサイドカバー70と上記ラジエータシュラウド60との連結構造の詳細については、後述する。
【0034】
サイドゼッケンプレート82は、左右に一対設けられている。サイドゼッケンプレート82は、側面視で、サイドカバー70の下縁部に隣り合うように、後輪17の前上方に配置される。サイドゼッケンプレート82は、側面視で、マフラ30の一部を覆う。サイドゼッケンプレート82の詳細については、後述する。
【0035】
次に、本実施形態の外観カバーとしてのラジエータシュラウド60の連結構造100について図1〜図6を参照しながら説明する。図3は、外観カバーの連結構造100における上側連結部110を示す部分斜視図である。図4は、図1に示すA−A線において上側連結部110及び下側連結部120を後方から視た図である。図5は、図1に示すB−B線で切断した上側連結部110を示す図である。図6は、図4に示すC−C線において下側連結部120を上方から視た図である。
【0036】
本実施形態の外観カバーとしてのラジエータシュラウド60の連結構造100は、第1カバーとしての第1ラジエータシュラウド61と、第1ラジエータシュラウド61に隣り合って配置される第2カバーとしての第2ラジエータシュラウド65と、第1ラジエータシュラウド61及び第2ラジエータシュラウド65の裏面において第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65とを連結する上側連結部110及び下側連結部120と、を備える。
【0037】
先ず、ラジエータシュラウド60について説明する。図1に示すように、ラジエータシュラウド60は、側面視で、ラジエータ40、メインフレーム7の一部及び燃料タンク51の一部を覆う部材である。ラジエータシュラウド60は、樹脂により板状に形成される。ラジエータシュラウド60は、第1カバーとしての第1ラジエータシュラウド61と、第1ラジエータシュラウド61に隣り合って配置される第2カバーとしての第2ラジエータシュラウド65と、を備える。
【0038】
図1に示すように、第1ラジエータシュラウド61は、側面視で前方から後方に向けて幅広となるほぼ三角形状に形成され、ラジエータ40を覆う。第1ラジエータシュラウド61の上縁は、側面視で、アンダーブラケット6bの下方からメインフレーム7に向かって斜め上方に延びている。第1ラジエータシュラウド61の下縁は、側面視で、アンダーブラケット6bの下方から斜め下方に延びている。また、第1ラジエータシュラウド61の後縁は、側面視で、ラジエータ40の上下方向に沿って延びている。
【0039】
また、図3に示すように、第1ラジエータシュラウド61は、その裏面における端縁部(図1に示す第1ラジエータシュラウド61の後縁)であって、第2ラジエータシュラウド65に隣り合う第1端縁部61aを有する。
また、図5に示すように、第1ラジエータシュラウド61は、その裏面における上部に、締結用のボス部161を有する。このボス部161は、ラジエータ40の側面上部のステー部41に設けられた溶接ナット42からなる締結部130において、ボルト(図示せず)により締結される。
【0040】
第2ラジエータシュラウド65は、図1に示すように、側面視で第1ラジエータシュラウド61の後縁に隣り合って配置される。第2ラジエータシュラウド65の全体形状は、側面視で、後方に向かって末広がりに延びている。第2ラジエータシュラウド65は、第1切り欠き部69aと、第2切り欠き部69bと、第2端縁部65aと、を有する。
【0041】
具体的には、第2ラジエータシュラウド65の上縁は、側面視で、第1ラジエータシュラウド61の上縁の後端と連続するように斜め上方に延びている。第2ラジエータシュラウド65の前縁(後述の第2端縁部65a)は、側面視で、第1ラジエータシュラウド61の後縁(後述の第1端縁部61a)に接するように、ラジエータ40の上下方向に沿って延びている。第2ラジエータシュラウド65の後縁は、側面視で、第1ラジエータシュラウド61の後縁と連続するように下方に延びてから上方に延び、更にエンジン20の上方において後方に向かって斜め上方に延びている。また、第2ラジエータシュラウド65の後縁は、側面視で、シート85の前側の下縁に沿って、後方に向かって斜め下方に延びている。
【0042】
第1切り欠き部69aは、第2ラジエータシュラウド65の上部における後縁からその前縁に向かって斜め下方に延びている。第2切り欠き部69bは、第2ラジエータシュラウド65の下縁中央部からその前縁に向かって斜め上方に延びている。
第2端縁部65aは、第2ラジエータシュラウド65の裏面における端縁部であって、第1ラジエータシュラウド61に隣り合う部分である。
【0043】
次に、ラジエータシュラウド60の連結構造100における上側連結部110について説明する。上側連結部110は、図1及び図4に示すように、第1ラジエータシュラウド61及び第2ラジエータシュラウド65の裏面において上側に配置され、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65とを連結する。
【0044】
図3に示すように、上側連結部110は、第1ラジエータシュラウド61の裏面に設けられる第1係合部62、第1カバー側抜け止め部63及び第1カバー側爪部64と、第2ラジエータシュラウド65の裏面に設けられる第2係合部66、第2カバー側抜け止め部67及び第2カバー側爪部68と、クリップ部材90と、を備える。
【0045】
第1係合部62は、第1ラジエータシュラウド61の裏面における第2ラジエータシュラウド65に隣り合う第1端縁部61aに沿って延び、第1凹部62aを有する。第1係合部62は、車体側に向かって突出する板状部材であり、その断面がほぼL字状となっている。第1凹部62aは、第1係合部62における第1端縁部61aと反対側に位置する面に、第1端縁部61aに沿って延びるように凹状に形成される。
【0046】
第1カバー側抜け止め部63は、第1ラジエータシュラウド61の裏面における第1係合部62の一端側(図3において下側)において、車体側に向かって突出する板状部材である。第1カバー側抜け止め部63は、第1係合部62の長手方向と交差する方向に配置され、かつ、第1係合部62と一体に設けられる。第1カバー側抜け止め部63の突出高さは、第1係合部62の突出高さよりも高い。このように構成される第1カバー側抜け止め部63は、第1係合部62及び第2係合部66(後述)に係合したクリップ部材90(後述)の下側の端部側に配置され、クリップ部材90が下側に移動することを規制する。
【0047】
第1カバー側爪部64は、第1ラジエータシュラウド61の裏面において、車体側に向かって突出する。第1カバー側爪部64は、第1係合部62と所定距離、離間して、第1係合部62の上方に配置される。第1カバー側爪部64の突出高さは、第1係合部62の突出高さよりも低い。また、第1カバー側爪部64の突出高さは、第1係合部62に近づくにつれて次第に高くなっている。このように構成される第1カバー側爪部64は、第1係合部62及び第2係合部66(後述)に係合したクリップ部材90(後述)の上側の端部側に配置される。これにより、第1カバー側爪部64は、クリップ部材90が他端側(図3において上側)に移動することを規制する。
【0048】
第2係合部66は、第2ラジエータシュラウド65の裏面における第1ラジエータシュラウド61に隣り合う第2端縁部65aに沿って延び、第2凹部66aを有する。第2係合部66は、車体側に向かって突出する板状部材であり、その断面がほぼL字状となっている。第2係合部66は、第1係合部62とほぼ同一の大きさに設けられる。第2凹部66aは、第2係合部66における第2端縁部65aと反対側に位置する面に、第2端縁部65aに沿って延びるように凹状に形成される。
【0049】
第2カバー側抜け止め部67は、第2ラジエータシュラウド65の裏面における第2係合部66の一端側(図3において下側)において、車体側に向かって突出する板状部材である。第2カバー側抜け止め部67は、第2係合部66の長手方向と交差する方向に配置され、かつ、第2係合部66と一体に設けられる。第2カバー側抜け止め部67の突出高さは、第2係合部66の突出高さよりも高い。このように構成される第2カバー側抜け止め部67は、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90(後述)の下側の端部側に配置され、クリップ部材90が下側に移動することを規制する。
【0050】
第2カバー側爪部68は、第2ラジエータシュラウド65の裏面において、車体側に向かって突出する。第2カバー側爪部68は、第2係合部66と所定距離、離間して、第2係合部66の上方に配置される。第2カバー側爪部68の突出高さは、第2係合部66の突出高さよりも低い。また、第2カバー側爪部68の突出高さは、第2係合部66に近づくにつれて次第に高くなっている。このように構成される第2カバー側爪部68は、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90(後述)の上側の端部側に配置される。これにより、第2カバー側爪部68は、クリップ部材90が上側に移動することを規制する。
【0051】
クリップ部材90は、樹脂を成形してなり、図3に示すように、長手方向の断面がほぼC字状となっている。クリップ部材90は、図3に示すように、第1端末部91と、第2端末部92と、連結部93とを有する。第1端末部91は、第1係合部62の第1凹部62aに係合可能に湾曲若しくは屈曲されて形成される。第2端末部92は、第2係合部66の第2凹部66aに係合可能に湾曲若しくは屈曲されて形成される。連結部93は、第1端末部91と第2端末部92とを連結する。このように構成されるクリップ部材90は、図3〜図5に示すように、上下方向に指向するように配置される。
【0052】
次に、ラジエータシュラウド60の連結構造100における下側連結部120について説明する。下側連結部120は、図1及び図4に示すように、上側連結部110の下方に配置される。下側連結部120は、図4に示すように、第1ラジエータシュラウド61及び第2ラジエータシュラウド65の裏面において下側に配置され、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65とを連結する。
【0053】
下側連結部120は、上側連結部110とほぼ同様の構成を備える。そのため、以下、図3を参照して、上側連結部110と異なる点を中心に説明する。上側連結部110は、第1カバー側爪部64及び第2カバー側爪部68を備えている。これに対して、下側連結部120は、上側連結部110が備える上記第1カバー側爪部64及び第2カバー側爪部68を備えていない。また、下側連結部120は、上側連結部110が備えていない車体側抜け止め部としてのラジエータ側抜け止め部43(図2、図4及び図6参照)を備えている。
【0054】
このラジエータ側抜け止め部43は、図2及び図4に示すように、ラジエータ40の車幅方向における側面から車体外側に向けて突出する矩形の板片である。ラジエータ側抜け止め部43は、図4及び図6に示すように、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90の上端側に当接可能な位置に配置される。ラジエータ側抜け止め部43をこのように配置することで、クリップ部材90が上側へ移動することを規制することができる。
【0055】
次に、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65との小組み方法について説明する。
先ず、上側連結部110及び下側連結部120において、図3に示すように、第1ラジエータシュラウド61の第1端縁部61aと第2ラジエータシュラウド65の第2端縁部65aとを当接させ、第1係合部62及び第1カバー側抜け止め部63と、第2係合部66及び第2カバー側抜け止め部67とを当接させる。
【0056】
次に、下側連結部120においては、図3及び図4に示すように、クリップ部材90を、第1係合部62及び第2係合部66の上端側から下端側に向かってスライドさせて、第1係合部62及び第2係合部66に係合させる。具体的には、クリップ部材90の第1端末部91を、第1ラジエータシュラウド61における第1係合部62の第1凹部62aにスライドさせながら係合させ、クリップ部材90の第2端末部92を、第2ラジエータシュラウド65における第2係合部66の第2凹部66aにスライドさせながら係合させる。これにより、第1ラジエータシュラウド61の第1係合部62と、第2ラジエータシュラウド65の第2係合部66とが、クリップ部材90によって上端側から結合される。
【0057】
また、上側連結部110においては、クリップ部材90を、第1ラジエータシュラウド61の第1係合部62及び第2ラジエータシュラウド65の第2係合部66に係合させる際に、図4中に想像線で示すように、第1ラジエータシュラウド61及び第2ラジエータシュラウド65を矢印方向に反らして、第1係合部62及び第2係合部66に対する、第1カバー側爪部64及び第2カバー側爪部68の相対的な高さを低くする。これにより、クリップ部材90を第1係合部62及び第2係合部66にスライド係合させる際の、クリップ部材90の進路が確保される。
そして、上側連結部110の場合と同様に、第1ラジエータシュラウド61の第1係合部62と、第2ラジエータシュラウド65の第2係合部66とを、クリップ部材90によって結合する。
【0058】
以上のようにして、上側連結部110及び下側連結部120において、第1ラジエータシュラウド61の第1係合部62と、第2ラジエータシュラウド65の第2係合部66とがそれぞれ結合される。この場合、図4に示すように、上側連結部110及び下側連結部120において、クリップ部材90は、下側への移動を第1カバー側抜け止め部63及び第2カバー側抜け止め部67によって規制される。これにより、クリップ部材90が第1係合部62及び第2係合部66の下側へ脱落することを抑制することができる。
【0059】
また、図4に示すように、上側連結部110において、クリップ部材90は、上側への移動を第1カバー側爪部64及び第2カバー側爪部68によって規制される。これにより、クリップ部材90が第1係合部62及び第2係合部66の上側へ脱落することを抑制することができる。
従って、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65とが、クリップ部材90によって容易かつ確実に小組みされて、小組体としてのラジエータシュラウド60が形成される。
【0060】
以上のように小組みされたラジエータシュラウド60の第1ラジエータシュラウド61は、図5に示すように、上側連結部110において、ボス部161が、ラジエータ40のステー部41に設けられた溶接ナット42(締結部130)に、ボルト(図示せず)によって締結される。そして、図4及び図6に示すように、下側連結部120において、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90の上端側(図4において上側)は、ラジエータ40に設けられたラジエータ側抜け止め部43に当接することで、上側へ移動することを規制される。
【0061】
また、小組みされたラジエータシュラウド60の第2ラジエータシュラウド65は、図1に示すように、上記締結部52,53及び締結部132において締結される。
具体的には、この締結部132は、ラジエータ40の側面下部に配置され、溶接ナット(図示せず)を有するステー部45(図2参照)により構成される。図1に示すように、第2ラジエータシュラウド65の前側の下部は、締結部132において、ボルト(図示せず)により締結される。上記下側連結部120は、この締結部132の近傍に配置される。
【0062】
以上に説明した第1実施形態の自動二輪車1におけるラジエータシュラウド60の連結構造100によれば、以下に示す各効果が奏される。
第1実施形態の自動二輪車1におけるラジエータシュラウド60の連結構造100は、第1凹部62aが形成された第1係合部62と第1カバー側抜け止め部63とを有する第1ラジエータシュラウド61と、第2凹部66aが形成された第2係合部66と第2カバー側抜け止め部67とを有する第2ラジエータシュラウド65と、第1端末部91と第2端末部92と連結部93とを有するクリップ部材90と、を備える。また、クリップ部材90は、上下方向に指向するように配置され、第1カバー側抜け止め部63及び第2カバー側抜け止め部67は、クリップ部材90の下側の端部側に配置される。
【0063】
そのため、第1ラジエータシュラウド61における第1係合部62の第1凹部62aにクリップ部材90の第1端末部91を係合させる共に、第2ラジエータシュラウド65における第2係合部66の第2凹部66aにクリップ部材90の第2端末部92を係合させることで、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65とを容易に結合(連結)することができる。また、カバー側抜け止め部63,67をクリップ部材90の下側の端部側に配置したことによって、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90が、第1係合部62及び第2係合部66の下端側から抜けることを効果的に抑制することができる。従って、簡易な構成で、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65とを容易に連結することができ、クリップ部材90の抜け止め効果を高めることができる。
【0064】
また、第1実施形態の自動二輪車1におけるラジエータシュラウド60の連結構造100においては、ラジエータ側抜け止め部43を更に備える。そのため、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90の上端側に、ラジエータ側抜け止め部43が当接することで、クリップ部材90が、第1係合部62及び第2係合部66の上端側から抜けることを抑制することができる。
【0065】
また、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65の小組体を車体から取り外すだけで、クリップ部材90の上端側とラジエータ側抜け止め部43との当接が解除されるため、第1係合部62及び第2係合部66の上端側からクリップ部材90を容易に抜くことができ、第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65との結合を容易に解除することができる。従って、ラジエータシュラウド60の車体への組み付け性や車体の整備性を向上することができる。
【0066】
また、ラジエータシュラウド60の連結構造100における上側連結部110においては、第1ラジエータシュラウド61における第1係合部62の上端側及び第2ラジエータシュラウド65における第2係合部66の上端側に、第1カバー側爪部64及び第2カバー側爪部68を備える。そのため、第1カバー側爪部64及び第2カバー側爪部68によって、第1係合部62及び第2係合部66に係合したクリップ部材90が、第1係合部62及び第2係合部66の上端側から抜けることを抑制することができる。
【0067】
また、ラジエータシュラウド60の連結構造100においては、上側連結部110は、締結部130の近傍に配置され、下側連結部120は、締結部132の近傍に配置される。これらの締結部130,132の近傍においては、上側連結部110及び下側連結部120の位置決め精度をよくすることができる。そのため、第1カバー側爪部64、第2カバー側爪部68及びラジエータ側抜け止め部43に対するクリップ部材90の位置決め精度をよくすることができ、クリップ部材90の抜け止めを確実に行うことができる。
【0068】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態とは異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用又は援用される。
【0069】
〔第2実施形態〕
図7及び図8を参照して、本発明の第2実施形態について説明する。図7は、本発明の第2実施形態の外観カバーの連結構造100Aを示す部分正面図である。図8は、図7に示すD−D線で切断した連結構造100Aを示す図である。
【0070】
図7及び図8に示すように、本実施形態の自動二輪車1における外観カバーの連結構造100Aは、第1カバーとしての第2ラジエータシュラウド65と、第2カバーとしてのサイドカバー70と、第2ラジエータシュラウド65の裏面に設けられる第1係合部162、第1カバー側抜け止め部163及び第1カバー側爪部164と、サイドカバー70の裏面に設けられる第2係合部166、第2カバー側抜け止め部167及び第2カバー側爪部168と、クリップ部材190と、車体側抜け止め部としての連結部材側抜け止め部13aと、を備える。
【0071】
図7及び図8に示すように、本実施形態の第2ラジエータシュラウド65における第1係合部162、第1カバー側抜け止め部163及び第1カバー側爪部164は、第1実施形態の第1ラジエータシュラウド61における第1係合部62、第1カバー側抜け止め部63及び第1カバー側爪部64(図3参照)に対応するため、第1係合部162、第1カバー側抜け止め部163及び第1カバー側爪部164の詳細な説明を省略する。
【0072】
また、図7及び図8に示すように、本実施形態のサイドカバー70における第2係合部166、第2カバー側抜け止め部167及び第2カバー側爪部168は、第1実施形態の第2ラジエータシュラウド65における第2係合部66、第2カバー側抜け止め部67及び第2カバー側爪部68(図3参照)に対応するため、第2係合部166、第2カバー側抜け止め部167及び第2カバー側爪部168の詳細な説明を省略する。
【0073】
また、図7及び図8に示すように、本実施形態のクリップ部材190は、第1実施形態のクリップ部材90(図3参照)に対応するため、クリップ部材190の詳細な説明を省略する。
【0074】
また、図7に示すように、本実施形態の第2ラジエータシュラウド65の第1端縁部161aは、第1実施形態の第1ラジエータシュラウド61の第1端縁部61a(図3参照)に対応する。また、図7に示すように、本実施形態のサイドカバー70の第2端縁部165aは、第1実施形態の第2ラジエータシュラウド65の第2端縁部65a(図3参照)に対応する。そのため、第1端縁部161a及び第2端縁部165aの詳細な説明を省略する。
【0075】
図7及び図8に示すように、連結部材側抜け止め部13aは、上記シートフレーム連結部材13に設けられる。シートフレーム連結部材13は、上側シートフレーム11の前端部とセンターフレーム8のステー部8a(図2参照)とを連結する部材である。シートフレーム連結部材13は、例えば、アルミニウム合金製の鋳物部材であり、車体の前後方向に延びる部材(図1参照)である。シートフレーム連結部材13は、ボルト挿通穴(図示せず)を有している。このボルト挿通穴は、上記ステー部8aとの締結に使用するボルトを車幅方向に挿通する。
【0076】
連結部材側抜け止め部13aは、このシートフレーム連結部材13の車幅方向における側面から車体外側に向けて突出している。この連結部材側抜け止め部13aの突出方向ならびにボルト挿通穴の中心が延びる方向とは、型抜き方向とほぼ等しくなっている。そのため、この連結部材側抜け止め部13aによれば、シートフレーム連結部材13の型抜きを容易に行うことができる。
【0077】
また、図8に示すように、連結部材側抜け止め部13aの断面形状は、ほぼ三角形である。連結部材側抜け止め部13aの先端部は、第2カバー側爪部168よりも第2係合部166側に近い位置に配置される。
【0078】
このように構成される連結部材側抜け止め部13aは、図7及び図8に示すように、第1係合部162及び第2係合部166に係合したクリップ部材190の他端側(図8において左側)に当接することで、クリップ部材190が他端側へ移動することを規制する。
【0079】
図7及び図8に示すように、本実施形態の連結構造100Aにおける第2ラジエータシュラウド65とサイドカバー70との小組み方法は、第1実施形態の上側連結部110(図3〜図5参照)における第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65との小組み方法とほぼ同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0080】
また、サイドカバー70の後端部は、図1に示すように、締結部170において締結される。具体的には、図2に示すように、この締結部170は、側面視で、クロスフレーム部材14の後部に配置され、溶接ナット(図示せず)を有する。サイドカバー70の後端部は、この締結部132において、ボルト(図示せず)により締結される。
【0081】
以上に説明した第2実施形態の自動二輪車1における外観カバーの連結構造100Aによれば、前記第1実施形態の車両における外観カバーの連結構造100と同様の効果が奏されると共に、以下に示す効果が奏される。
第2実施形態の自動二輪車1における外観カバーの連結構造100Aにおいては、第1カバーとしての第2ラジエータシュラウド65と、第2カバーとしてのサイドカバー70と、第2ラジエータシュラウド65の裏面に設けられる第1係合部162、第1カバー側抜け止め部163及び第1カバー側爪部164と、サイドカバー70の裏面に設けられる第2係合部166、第2カバー側抜け止め部167及び第2カバー側爪部168と、クリップ部材190と、連結部材側抜け止め部13aと、を備える。
【0082】
そのため、第1係合部162及び第2係合部166に係合したクリップ部材190の前端側に、連結部材側抜け止め部13aが当接することで、クリップ部材190が、第1係合部162及び第2係合部166の前端側から抜けることを抑制することができる。
【0083】
また、第2ラジエータシュラウド65とサイドカバー70の小組体を車体から取り外すだけで、クリップ部材190の前端側と連結部材側抜け止め部13aとの当接が解除されるため、第1係合部162及び第2係合部166の前端側からクリップ部材190を容易に抜くことができ、第2ラジエータシュラウド65とサイドカバー70との結合を容易に解除することができる。
従って、上記小組体の車体への組み付け性や車体の整備性を向上することができる。
【0084】
〔第3実施形態〕
図9及び図10を参照して、本発明の第3実施形態について説明する。図9は、本発明の第3実施形態の外観カバーの連結構造100Bを示す斜視図である。図10は、図9に示すE方向から視た第1カバー側抜け止め部263及び第2カバー側抜け止め部267を示す図である。
【0085】
図9に示すように、本実施形態の自動二輪車1における外観カバーの連結構造100Bは、第1カバーとしてのサイドカバー70と、第2カバーとしてのサイドゼッケンプレート82と、第2ラジエータシュラウド65の裏面下部の前側に設けられる第1係合部262、第1カバー側抜け止め部263及び第1カバー側爪部264と、サイドゼッケンプレート82の裏面上部の前側に設けられる第2係合部266、第2カバー側抜け止め部267及び第2カバー側爪部268と、クリップ部材290と、車体側抜け止め部としての下側シートフレーム側抜け止め部12aと、を備える。
【0086】
図9及び図10に示すように、本実施形態のサイドカバー70における第1係合部262、第1カバー側抜け止め部263及び第1カバー側爪部264は、第1実施形態の第1ラジエータシュラウド61における第1係合部62、第1カバー側抜け止め部63及び第1カバー側爪部64(図3参照)に対応するため、第1係合部262、第1カバー側抜け止め部263及び第1カバー側爪部264の詳細な説明を省略する。
【0087】
また、図9及び図10に示すように、本実施形態のサイドゼッケンプレート82における第2係合部266、第2カバー側抜け止め部267及び第2カバー側爪部268は、第1実施形態の第2ラジエータシュラウド65における第2係合部66、第2カバー側抜け止め部67及び第2カバー側爪部68(図3参照)に対応するため、第2係合部266、第2カバー側抜け止め部267及び第2カバー側爪部268の詳細な説明を省略する。
【0088】
また、図9及び図10に示すように、本実施形態のクリップ部材290は、第1実施形態のクリップ部材90(図3参照)に対応するため、クリップ部材290の詳細な説明を省略する。
また、図9に示すように、本実施形態のサイドカバー70の第1端縁部261aは、第1実施形態の第1ラジエータシュラウド61の第1端縁部61a(図3参照)に対応する。また、図9に示すように、本実施形態のサイドゼッケンプレート82の第2端縁部265aは、第1実施形態の第2ラジエータシュラウド65の第2端縁部65a(図3参照)に対応する。そのため、第1端縁部261a及び第2端縁部265aの詳細な説明を省略する。
【0089】
図2及び図9に示すように、本実施形態の連結構造100Bにおける第1カバー側抜け止め部263及び第2カバー側抜け止め部267は、第1係合部262及び第2係合部266における後輪17の側の端部に配置される。また、図10に示すように、第1カバー側抜け止め部263及び第2カバー側抜け止め部267は、第1係合部262及び第2係合部266とクリップ部材290との係合部分269を覆うように板状に形成される。
【0090】
また、図9に示すように、下側シートフレーム側抜け止め部12aは、上記下側シートフレーム12に設けられる。図1に示すように、下側シートフレーム12の前端側は、下側シートフレーム連結部材15を介して、センターフレーム8のほぼ中間部に連結されている。また、下側シートフレーム12の後端部は、クロスフレーム部材14を介して上側シートフレーム11の後端部に連結されている。図9に示すように、下側シートフレーム12は、パイプ部材であり、例えば、アルミニウム合金製である。
【0091】
下側シートフレーム側抜け止め部12aは、この下側シートフレーム12の車幅方向における側面から車体外側に向けて突出している板片である。下側シートフレーム側抜け止め部12aは、図2に示すように、側面視で、下側シートフレーム12の長手方向における前側に配置される。
【0092】
このように構成される下側シートフレーム側抜け止め部12aは、図9に示すように、第1係合部262及び第2係合部266に係合したクリップ部材290の前端側(図9において右端側)に当接することで、クリップ部材290が前端側へ移動することを規制する。
【0093】
図9に示すように、本実施形態の連結構造100Bにおけるサイドカバー70とサイドゼッケンプレート82との小組み方法は、第1実施形態の上側連結部110(図3〜図5参照)における第1ラジエータシュラウド61と第2ラジエータシュラウド65との小組み方法とほぼ同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0094】
また、サイドゼッケンプレート82の前端部は、図1に示すように、締結部172において締結される。具体的には、図2及び図9に示すように、この締結部172は、側面視で、下側シートフレーム連結部材15のボス部15aに配置される。サイドゼッケンプレート82の前端部は、この締結部172において、ボルト(図示せず)により締結される。
【0095】
また、本実施形態の連結構造100Bは、上記締結部172の近傍に配置される。この締結部172の近傍においては、第1係合部262及び第2係合部266等の位置決め精度をよくすることができる。そのため、第1カバー側爪部264、第2カバー側爪部268及び下側シートフレーム側抜け止め部12aに対するクリップ部材290の位置決め精度をよくすることができ、クリップ部材290の抜け止めを確実に行うことができる。
【0096】
以上に説明した第3実施形態の自動二輪車1における外観カバーの連結構造100Bによれば、前記第1実施形態の自動二輪車1における外観カバーの連結構造100と同様の効果が奏されると共に、以下に示す効果が奏される。
第3実施形態の自動二輪車1における外観カバーの連結構造100Bにおいては、第1カバーとしてのサイドカバー70と、第2カバーとしてのサイドゼッケンプレート82と、第2ラジエータシュラウド65の裏面下部の前側に設けられる第1係合部262、第1カバー側抜け止め部263及び第1カバー側爪部264と、サイドゼッケンプレート82の裏面上部の前側に設けられる第2係合部266、第2カバー側抜け止め部267及び第2カバー側爪部268と、クリップ部材290と、車体側抜け止め部としての下側シートフレーム側抜け止め部12aと、を備える。
【0097】
そのため、第1係合部262及び第2係合部266とクリップ部材290との係合部分269を、第1カバー側抜け止め部263及び第2カバー側抜け止め部267によって覆うことができる。そのため、自動二輪車1の走行中に後輪17によって飛ばされる泥等が、この係合部分269に付着(固着)することを抑制することができる。従って、車体の整備性を向上することができる。
【0098】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、前述した実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
例えば、前記各実施形態においては、外観カバーを構成する第1ラジエータシュラウド61、第2ラジエータシュラウド65、サイドカバー70及びサイドゼッケンプレート82を図1等に示す形状を有するものとして説明したが、これに制限されない。これら外観カバーの形状は、車体の形状等を勘案して、任意に変更することができる。
【0099】
また、前記各実施形態においては、カバー側抜け止め部としての第1カバー側抜け止め部63及び第2カバー側抜け止め部67は、第1カバーとしての第1ラジエータシュラウド61及び第2カバーとしての第2ラジエータシュラウド65の両方に設けるものとして説明したが、これに制限されない。例えば、これらのカバー側抜け止め部は、第1ラジエータシュラウド61又は第2ラジエータシュラウド65の少なくとも一方に設けられてもよい。
【0100】
また、前記各実施形態においては、カバー側爪部としての第1カバー側爪部64及び第2カバー側爪部68、第1カバーとしての第1ラジエータシュラウド61及び第2カバーとしての第2ラジエータシュラウド65の両方に設けるものとして説明したが、これに制限されない。例えば、このカバー側爪部は、第1ラジエータシュラウド61又は第2ラジエータシュラウド65の少なくとも一方に設けられてもよい。
【0101】
また、前記各実施形態においては、本発明を、鞍乗型車両としてのオフロード用の自動二輪車1に適用したが、これに制限されない。例えば、本発明を三輪又は四輪の鞍乗型車両に適用してもよく、オンロード用であるかオフロード用であるかの用途を問わない。つまり、鞍乗型車両とは、車体にまたがって乗車する車両全般を含む。
【符号の説明】
【0102】
1 自動二輪車(車両)
5 車体フレーム(車体)
12 下側シートフレーム(車体)
12a 下側シートフレーム側抜け止め部(車体側抜け止め部)
13 シートフレーム連結部材(車体)
13a 連結部材側抜け止め部(車体側抜け止め部)
17 後輪
40 ラジエータ(車体)
43 ラジエータ側抜け止め部(車体側抜け止め部)
60 ラジエータシュラウド(外観カバー)
61 第1ラジエータシュラウド(第1カバー)
61a 第1端縁部
62 第1係合部
62a 第1凹部
63 第1カバー側抜け止め部(カバー側抜け止め部)
64 第1カバー側爪部(カバー側爪部)
65 第2ラジエータシュラウド(第2カバー)
65a 第2端縁部
66 第2係合部
66a 第2凹部
67 第2カバー側抜け止め部(カバー側抜け止め部)
68 第2カバー側爪部(カバー側爪部)
70 サイドカバー(外観カバー)
82 サイドゼッケンプレート(外観カバー)
90 クリップ部材
91 第1端末部
92 第2端末部
93 連結部
100,100A,100B 連結構造
161a 第1端縁部
162 第1係合部
162a 第1凹部
163 第1カバー側抜け止め部(カバー側抜け止め部)
164 第1カバー側爪部(カバー側爪部)
165a 第2端縁部
166 第2係合部
166a 第2凹部
167 第2カバー側抜け止め部(カバー側抜け止め部)
168 第2カバー側爪部(カバー側爪部)
190 クリップ部材
261a 第1端縁部
262 第1係合部
262a 第1凹部
263 第1カバー側抜け止め部(カバー側抜け止め部)
264 第1カバー側爪部(カバー側爪部)
265a 第2端縁部
266 第2係合部
266a 第2凹部
267 第2カバー側抜け止め部(カバー側抜け止め部)
268 第2カバー側爪部(カバー側爪部)
269 係合部分
290 クリップ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体(5,12,13,40)と、前記車体(5,12,13,40)を覆い、複数枚が結合された状態で該車体(5,12,13,40)に固定される外観カバー(60,61,65,70,82)と、を備える車両(1)における外観カバーの連結構造(100,100A,100B)において、
前記外観カバーを構成する第1カバー(61,65,70)と、
前記外観カバーを構成し、前記第1カバー(61,65,70)に隣り合って配置される第2カバー(65,70,82)と、
前記第1カバー(61,65,70)の裏面における前記第2カバー(65,70,82)に隣り合う第1端縁部(61a,161a,261a)に沿って延び且つ前記車体(5,12,13,40)側に向かって突出する板状の第1係合部(62,162,262)であって、該第1係合部(62,162,262)における前記第1端縁部(61a,161a,261a)と反対側に位置する面に、該第1端縁部(61a,161a,261a)に沿って延びるように第1凹部(62a,162a,262a)が形成された第1係合部(62,162,262)と、
前記第2カバー(65,70,82)の裏面における前記第1カバー(61,65,70)に隣り合う第2端縁部(65a,165a,265a)に沿って延び且つ前記車体(5,12,13,40)側に向かって突出する板状の第2係合部(66,166,266)であって、該第2係合部(66,166,266)における前記第2端縁部(65a,165a,265a)と反対側に位置する面に、該第2端縁部(65a,165a,265a)に沿って延びるように第2凹部(66a,166a,266a)が形成された第2係合部(66,166,266)と、
前記第1凹部(62a,162a,262a)に係合可能に湾曲された第1端末部(91)と、前記第2凹部(66a,166a,266a)に係合可能に湾曲された第2端末部(92)と、該第1端末部(91)と該第2端末部(92)とを連結する連結部(93)と、を有し、前記第1凹部(62a,162a,262a)に前記第1端末部(91)を係合させ、前記第2凹部(66a,166a,266a)に前記第2端末部(92)を係合させることで前記第1カバー(61,65,70)と前記第2カバー(65,70,82)とを結合するクリップ部材(90,190,290)と、
少なくとも前記第1カバー(61,65,70)又は前記第2カバー(65,70,82)の一方に設けられ、前記第1係合部(62,162,262)及び前記第2係合部(66,166,266)に係合した前記クリップ部材(90,190,290)が一端側に移動することを規制するカバー側抜け止め部(63,67,163,167,263,267)と、
を備える車両における外観カバーの連結構造(100,100A,100B)。
【請求項2】
前記車体(5,12,13,40)に設けられ、前記第1係合部(62,162,262)及び前記第2係合部(66,166,266)に係合した前記クリップ部材(90,190,290)の他端側に当接することで、該クリップ部材(90,190,290)が該他端側へ移動することを規制する車体側抜け止め部(43,13a,12a)を更に備える請求項1に記載の車両における外観カバーの連結構造(100,100A,100B)。
【請求項3】
前記外観カバー(70,82)は、後輪(17)を有する鞍乗型車両(1)の前記車体(12,13)を覆う車体カバーであり、
前記第1カバー(70)及び前記第2カバー(82)は、前記後輪(17)の前上方に配置され、
前記クリップ部材(290)は、前記後輪(17)の上部側に指向する位置に配置され、
前記カバー側抜け止め部(263,267)は、前記第1係合部(262)及び前記第2係合部(266)における前記後輪(17)の側の端部に配置され、該第1係合部(262)及び該第2係合部(266)と前記クリップ部材(290)との係合部分(269)を覆うように板状に形成される請求項1又は2に記載の車両における外観カバーの連結構造(100B)。
【請求項4】
前記第1カバー(61,65,70)における前記第1係合部(62,162,262)の他端側又は前記第2カバー(65,70,82)における前記第2係合部(66,166,266)の他端側のうちの少なくとも一方に設けられ、前記第1係合部(62,162,262)及び前記第2係合部(66,166,266)に係合した前記クリップ部材(90,190,290)が前記他端側へ移動することを規制するカバー側爪部(64,68,164,168,264,268)を更に備える請求項1から3のいずれか一つに記載の車両における外観カバーの連結構造(100,100A,100B)。
【請求項5】
前記クリップ部材(90)は、上下方向に指向するように配置され、
前記カバー側抜け止め部(63,67)は、前記クリップ部材(90)の下側の端部側に配置され、
前記カバー側爪部(64,68)は、前記クリップ部材(90)の上側の端部側に配置される請求項4に記載の車両における外観カバーの連結構造(100)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−207716(P2012−207716A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−73525(P2011−73525)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】