説明

車両に対してナビゲーション情報を表示する方法及び装置

本発明は実質的に、直観的に容易に理解できるように車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示し、表示される仮想パイロット車両の表示様式、及び/又は位置、及び/又は向き、及び/又は大きさを、ルートもしくは動作の推奨、及び/又は車両速度、及び/又は推奨ルートの基準点、及び/又は車両の位置と向き、及び/又は車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び/又は運転者の目の位置と視線に依存して決定することから成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示する方法及び装置に関する。この方法及び装置では、ナビゲーション表示のこの画像的表示は透視変換を用いて変換される。
【0002】
このような方法及びこのような装置はヨーロッパ特許出願EP 0 406 946 A1から公知である。
【0003】
さらに、今日のナビゲーションシステムでは、交差点にいる運転者に対して絵文字によって推奨ルートを指示し、例えば「2番目の道路を右折してください」又は「ロータリーをまっすぐ進んでください」などの聴覚的指示を発するナビゲーションシステムが存在する。多くのシステムはさらに地図内で推奨ルートを指示する。
【0004】
以下では、車両とは陸上車両だけでなく、船舶及び航空機をも意味する。
【0005】
本発明の課題は、車両操縦者に対して直観的に容易に理解できるような形で所定の目的地への道路交通によるルートを示すような、車両に対してナビゲーション情報を表示する方法及び装置を提供することである。
【0006】
この課題は、車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示し、表示される仮想パイロット車両の表示様式、及び/又は位置、及び/又は向き、及び/又は大きさを、ルートもしくは動作の推奨、及び/又は車両速度、及び/又は推奨ルートの基準点、及び/又は車両の位置と向き、及び/又は車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び/又は運転者の目の位置と視線方向に依存して決定することを特徴とする、車両に対してナビゲーション情報を表示する方法により解決される。同様に、上記課題は、車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示するための装置が設けられており、表示される仮想パイロット車両の表示様式、及び/又は位置、及び/又は向き、及び/又は大きさを、ルートもしくは動作の推奨、及び/又は車両速度、及び/又は推奨ルートの基準点、及び/又は車両の位置と向き、及び/又は車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び/又は運転者の目の位置と視線に依存して決定することを特徴とする、車両に対してナビゲーション情報を表示する装置により解決される。
【0007】
従属請求項は本発明の有利な実施形態に関する。
【0008】
以下では、図に示された実施例に基づいて本発明を声明する。
【0009】
図1、2、3a、3b及び4は、仮想パイロット車両を用いたナビゲーション情報の表示様式を示しており、
図5a及び5bは、仮想パイロット車両の位置決定を説明するための図を示している。
【0010】
本発明は実質的に、直観的に容易に理解できるように車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示し、表示される仮想パイロット車両の表示様式、及び/又は位置、及び/又は向き、及び/又は大きさを、ルートもしくは動作の推奨、及び/又は車両速度、及び/又は推奨ルートの基準点、及び/又は車両の位置と向き、及び/又は車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び/又は運転者の目の位置と視線に依存して決定することから成る。
【0011】
本発明の1つの有利な実施形態では、ナビゲーション情報は、運転者の前方で推奨ルートを走行しているように見える様式的な車両の形式をとった仮想パイロットを用いて表示される。仮想パイロット車両はその仮想的な操縦によって目前に迫った実際の操縦に運転者の注意を向けさせる。
【0012】
仮想パイロット車両はその動作によって運転者にルートの推奨又は他の動作の推奨を直観的に容易に理解できる形で指示することができる。こうして例えば、
1.推奨「右折してください」又は「左折してください」は、図1に示されているように、仮想パイロット車両の相応する方向指示器を点滅させることにより表示される;
2.推奨「道路内で左に寄ってください」又は「道路内で右に寄ってください」は、図2に示されているように、仮想パイロット車両を相応して寄せることにより表示される;
3.例えば渋滞、道路工事、逆走ドライバなどのような運転者に近づいてくる危険源に関する推奨「危険源に注意して運転してください」は、図3に示されているように、仮想パイロット車両の警報点滅装置をオンにすることにより表示される。さらに選択的には、図3bに示されているように、文章又は絵文字を介して仮想パイロット車両上のパネルにさらなる情報が表示される;
4.推奨「速度を落としてください」は、図4に示されているように、運転者が現行の速度規制に照らして又はカーブを目前にしているのに過度に高速で運転している場合に、仮想パイロット車両の停止灯を点滅させることにより表示される;
5.推奨「現在の走行速度に応じて前方車両との間に最低限の距離を保ってください」は、仮想パイロット車両が運転者の前方を正確にそのとき必要な最低限の距離で走行しているように見えるように仮想パイロット車両を道路ディスプレイ上に配置することにより表示される。運転者と仮想パイロット車両との間に実際の車両がある場合には、運転者は前を走る車両との間の車間距離を詰めすぎている。
【0013】
仮想パイロット車両は実際の場面のビデオ画像内において運転者の車両の前方に埋め込まれて、ディスプレイ上に表示される、又は運転者の前にある車両フロントガラスに投影される。
【0014】
仮想パイロット車両は基本的に運転者をガイドする実際の車両のように振る舞うので、仮想パイロットを視覚化した推奨及び指示は運転者にとって直観的に理解できるものである。
【0015】
パイロット車両は所定の距離、すなわちパイロット距離dで、本来の車両の前方を走行しているように見える。この距離は有利にはその時点の車両の速度と、場合によっては現在位置において許容又は推奨される最高速度とに依存する。
【0016】
このパイロット距離は例えば以下のようにして求められる:
車両速度vと、場合によって最高速度vとが与えられているものとする。
仮想パイロット距離dを求めたい。
最高速度が与えられていないか又はv<vであれば、
【0017】
【数1】

である。
v>vであれば、運転者に対して速度を落とすよう勧告する。これは距離を短くする、すなわち、
【0018】
【数2】

とすることにより通知される。
量cはここでは固定的に例えばc=2としてよい、又は道路タイプの関数として把握してもよい。例えば、市街交通ではc=2、街道ではc=5,高速道路ではc=6。
【0019】
【数3】

【0020】
【数4】

【0021】
【数5】

【0022】
パイロットの向きは
【0023】
【数6】

によって与えられる。パイロットの位置とパイロットの向きとから、透視変換によって、ビデオ画像に重ねられる又はフロントガラスに投影される2次元パイロット表現が求められる。
【0024】
【数7】

【0025】
システムはここでは車両前方での出来事を記録するカメラを備えている。個々のビデオ画像には、計算された走行ルートに応じて仮想パイロット車両が埋め込まれる。このようにして得られた増補現実(Augmented Reality)像は運転者の視界内でディスプレイ上に表示される(付録、写真6b)。
【0026】
【数8】

【0027】
この際、例えば、まずトラッキングシステムを介して運転者の目の位置が求められる。投影装置を介して、計算された走行ルートに応じて仮想車両がフロントガラスの相応する場所に投影される(付録、写真6c)。
【0028】
さらに、例えば、推奨される走行ルートがフロントガラスに投影される(付録、写真6d)。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】仮想パイロット車両を用いたナビゲーション情報の表示様式を示す。
【図2】仮想パイロット車両を用いたナビゲーション情報の表示様式を示す。
【図3A】仮想パイロット車両を用いたナビゲーション情報の表示様式を示す。
【図3B】仮想パイロット車両を用いたナビゲーション情報の表示様式を示す。
【図4】仮想パイロット車両を用いたナビゲーション情報の表示様式を示す。
【図5A】仮想パイロット車両の位置決定を説明するための図を示す。
【図5B】仮想パイロット車両の位置決定を説明するための図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対してナビゲーション情報を表示する方法において、
車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示し、
表示される仮想パイロット車両の表示様式、及び/又は位置、及び/又は向き、及び/又は大きさを、ルートもしくは動作の推奨、及び/又は車両速度、及び/又は推奨ルートの基準点、及び/又は車両の位置と向き、及び/又は車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び/又は運転者の目の位置と視線方向に依存して決定する、ことを特徴とする車両に対してナビゲーション情報を表示する方法。
【請求項2】
ルート又は動作の推奨「右折してください」又は「左折してください」は、仮想パイロット車両の相応する方向指示器を点滅させることにより表示する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
ルート又は動作の推奨「道路内で左に寄ってください」又は「道路内で右に寄ってください」は仮想パイロット車両を相応して寄せることにより表示する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
ルート又は動作の推奨「危険源に注意して運転してください」は仮想パイロット車両の警報点滅装置をオンにすることにより表示する、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
付加的に文章又は絵文字を介して仮想パイロット車両上のパネルにさらなる情報を表示する、請求項4記載の方法。
【請求項6】
ルート又は動作の推奨「速度を落としてください」は、運転者が場所又は状況に応じて規定された最高速度を超えて運転している場合に、仮想パイロット車両の停止灯を点滅させることにより表示する、請求項1から5のいずれか1項記載の方法。
【請求項7】
ルート又は動作の推奨「現在の走行速度に応じて前方車両との間に最低限の距離を保ってください」は、仮想パイロット車両が運転者の前方を正確にそのとき必要な最低限の距離で走行しているように見えるように仮想パイロット車両を道路ディスプレイ上に配置することにより表示し、その際、車間距離の詰めすぎは画像内において運転者と仮想パイロット車両との間に実際の車両があるようにすることで表示する、請求項1から6のいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
パイロットの位置(L)及びパイロットの向き(O)を推奨ルートの基準点(R)に応じて及び車両の現在位置(P)と走行速度とに応じて求める、請求項1から7のいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
パイロットの位置とパイロットの向きとに応じて、パイロット車両のモデルを3次元空間内に形成し、このモデルから、運転者によって知覚される車両周囲の画像を重ねた2次元表現を計算する、請求項1から8のいずれか1項記載の方法。
【請求項10】
車両に対してナビゲーション情報を表示する装置において、
車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示するための装置が設けられており、該装置は、表示される仮想パイロット車両の表示様式、及び/又は位置、及び/又は向き、及び/又は大きさを、ルートもしくは動作の推奨、及び/又は車両速度、及び/又は推奨ルートの基準点、及び/又は車両の位置と向き、及び/又は車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び/又は運転者の目の位置と視線方向に依存して決定する、ことを特徴とする車両に対してナビゲーション情報を表示する装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に対してナビゲーション情報を表示する方法において、
車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示し、
表示される仮想パイロット車両の位置、向き、及び、大きさを車両のそのときの走行速度、推奨ルートの基準点、車両の位置と向き、車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び、運転者の目の位置と視線方向に依存して決定し、ルート又は動作の推奨「現在の走行速度に応じて前方車両との間に最低限の距離を保ってください」は、仮想パイロット車両が運転者の前方を正確にそのとき必要な最低限の距離で走行しているように見えるように仮想パイロット車両を道路ディスプレイ上に配置することにより表示し、その際、車間距離の詰めすぎは画像内において運転者と仮想パイロット車両との間に実際の車両があるようにすることで表示する、ことを特徴とする車両に対してナビゲーション情報を表示する方法。
【請求項2】
パイロットの位置(L)及びパイロットの向き(O)を推奨ルートの基準点(R)に応じて及び車両の現在位置(P)と走行速度とに応じて求める、請求項1記載の方法。
【請求項3】
パイロットの位置とパイロットの向きとに応じて、パイロット車両のモデルを3次元空間内に形成し、このモデルから、運転者によって知覚される車両周囲の画像を重ねた2次元表現を計算する、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
付加的に文章又は絵文字を介して仮想パイロット車両上のパネルにさらなる情報を表示する、請求項1から3のいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
車両に対してナビゲーション情報を表示する装置において、
車両に対するナビゲーション情報を仮想的なパイロット車両に車両周囲の画像を重ねた形で表示するための装置が設けられており、該装置は、表示される仮想パイロット車両の位置、向き、及び、大きさを車両のそのときの走行速度、推奨ルートの基準点、車両の位置と向き、車両周囲を検出するカメラの位置と向き、及び、運転者の目の位置と視線方向に依存して決定し、ルート又は動作の推奨「現在の走行速度に応じて前方車両との間に最低限の距離を保ってください」は、仮想パイロット車両が運転者の前方を正確にそのとき必要な最低限の距離で走行しているように見えるように仮想パイロット車両を道路ディスプレイ上に配置することにより表示し、その際、車間距離の詰めすぎは画像内において運転者と仮想パイロット車両との間に実際の車両があるようにすることで表示する、ことを特徴とする車両に対してナビゲーション情報を表示する装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【公表番号】特表2006−501443(P2006−501443A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−529705(P2004−529705)
【出願日】平成15年7月7日(2003.7.7)
【国際出願番号】PCT/DE2003/002271
【国際公開番号】WO2004/018970
【国際公開日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【Fターム(参考)】