説明

車両のためのアンチロック及びアンチスキッドブレーキシステム並びにその方法

【解決手段】本発明は、車両の車輪の回転を減速するか又は終わらせるための機械式ブレーキシステムを開示し、本システムは、前記車輪のロックが防止され、車両の滑りが無くなるように、ブレーキ力が前記車輪のトルク力よりも小さくなるように機械式に提供される態様で減速された前記車輪とのブレーキの摩擦を無くすように構成されている。更には、前記ブレーキシステムを適用する工程を備える、車両が滑ることを防止し及び/又は該車両の車輪のロックが防止される方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して車両のためのアンチロック及びアンチスキッドブレーキシステム並びにその方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特に自転車及びオートバイに適合した多くのブレーキシステムが文献で紹介された。それらのうちの幾つかは、減速された車輪のロックを回避し、よって、急激な停止時において自転車の滑りを無くすように構成された様々な機構及び技術へのアプローチを実行している。
【0003】
市販されている製品の単なる改善であるブレーキシステムは、絶えず、提案されている。よって、スギモトに付与された米国特許番号6,155,383号及びカツユキらに付与された米国特許番号5,913,388号は、両方ともシマノ社のものであるが、自転車のための機械的に容易にされたブレーキシステムを開示している。他方、アブドラティフに付与された米国特許番号5,730,256号は、減速された車輪へのブレーキシューにより印加された圧力を間欠的に解放するための複雑な機械式アンチロックブレーキシステムを教えている。該システムは、壊れやすく、重量が重く、複雑なシステムであり、車両の速度にのみ基づいている。これは、大量生産には適さず、マウンテン自転車又はスポーツ自転車で利用されるためには適していない。軽量で、毎日の使用に適したコスト効果のある自転車のためのアンチロック及びアンチスキッド機械式ブレーキシステムが長い間求められてきた必要性に合致している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上により、本発明の目的は、車両(例えば、自転車、オートバイ又は車)のためのアンチロック及びアンチスキッドのブレーキシステムを提供することである。これに限定されたない例としての自転車の場合には、前記システムは、任意の自転車の種類、サイズ又は呼称(例えば、マウンテン、スポーツ又は道路自転車)のための調整可能な、簡単で信頼性の高い永続的なシステムを備えている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の範囲内において、車両の車輪の回転を減速するか又は終わらせるための機械式ブレーキシステムが提供される。本システムは、前記車輪のロックが防止され、車両の滑りが無くなるように、ブレーキ力が前記車輪のトルク力よりも小さくなるように機械式に提供される態様で減速された前記車輪とのブレーキの摩擦を無くすように構成されている。
【0006】
本発明の更なる範囲では、係止アッセンブリ及び拘束機構を備えたブレーキシステムが提供される。係止アッセンブリは、垂直動作により前記車輪リムを固定するように構成されたブレーキパッド端部を有する複数の副グリップブレーキアームと、主要引き込み車軸により捕捉されるように構成された各アームの中心部に設けられた共通ヒンジと、鋼鉄ブレーキケーブルと各々連通するアームネック部及びアームクリップ端部と、を備える。引き込み機構は、スプリングアッセンブリであって、該スプリングアッセンブリは、前記車輪に平行である、基端部及び末端部を有する前記細長い車軸を備え、該基端部は前記自転車の運転フォーク部に固定され、前記副グリップブレーキアームの共通ヒンジは、スプリング部材を使って前記基端部に向かって連続的に押しており、前記スプリング部材は、前記主要引き込み車軸に沿って捕捉されており、前記スプリングアッセンブリは、更に、前記引き込み車軸の末端部にねじ込まれた固定クリップを備え、該クリップを前記車軸の基端部に向かって内側に回転させることにより、前記スプリング部材がねじられる、前記スプリングアッセンブリと、シリンダーを備えるハウジングアッセンブリであって、該シリンダーは、前記スプリングアッセンブリを収容するように構成された剛性ハウジングと、前記副グリップブレーキアームと物理的に連通する拘束翼状部材と、を備える、前記ハウジングアッセンブリと、を備える。前記副グリップブレーキアームは、2つの連続した動作を有し、該2つの動作は、前記鋼鉄ブレーキケーブルを引っ張ることにより、前記車輪の回転が減速されるか又は終わりにされる態様で前記アームが所定の度合いにまで前記車輪リムを締め付けるように動作されるような横方向(前記車輪に垂直な方向)の締め付け運動と、前記減速した車輪の所定の増大したトルクモーメントにおいてのみ提供される長さ方向(前記車輪に平行な方向)の運動とからなり、前記長さ方向の運動は、前記車輪へと締め付けられた前記ブレーキアームの前記ネック部が前記拘束翼状部材に向かって前方に前記スプリング部材の抵抗に抗して摺動することを強いられ、これと同時に、前記副グリップブレーキがそれらのアームを所定の度合いにまで開かせ、それによりブレーキの係止が回避され、更には前記自転車の滑り及び/又は車輪のロックが防止される態様で提供される。この態様では、前記拘束翼状部材の翼部が垂直及び/又は水平であることが認められる。
【0007】
本発明の第2の目的は、車両が滑ることを防止し及び/又は前記車両の車輪がロックされることを防止するため、上記態様の任意のもので定義されたブレーキシステムを適用する、コスト効果の高い方法を提供することである。
【0008】
最後に、本発明の範囲において、車両の負荷車輪の回転を減速するか又は終わらせるための方法が有用な態様で提供される。本方法は、前記車輪のロックが防止され、前記車両の滑りが無くされるように前記車輪のトルク力よりも低いブレーキ力を印加する少なくとも1つの工程を備え、前記ブレーキ力は、F=HD/Rの式に従って道路状態に依存している。
【実施例】
【0009】
本発明を理解し、該発明が実際如何に実施されるかを把握するため、添付図面を参照して、これに限定されない例である本発明の複数の好ましい実施例を説明する。
次の説明は、当業者が該発明を使用することを可能にするように、本発明の全ての主要事項に沿って提供されており、本発明を実施する発明により考えられるベストモードを記載している。しかし、様々な変更が、当業者に明らかとなっている。本発明の包括的な原理は、自転車及びオートバイのためのアンチロック及びアンチスキッド機械式ブレーキシステムを提供するため詳しく定義されているからである。
【0010】
「車両」という用語は、本発明では、任意の自転車(特にスポーツ自転車やマウンテン自転車)、タンデム、ワゴン、車、オートバイ、小型オートバイ等々を指しており、更には、制御可能な態様で時折停止、減速される少なくとも1つの回転負荷車輪により特徴付けられる任意の車両又は車も包含されている。
【0011】
「スプリング部材」という用語は、本発明では、任意のスプリング、螺旋コイル又は他のスプリング状部材を指し、更には、スプリングアッセンブリ(例えば、より狭い反時計回りのコイル状スプリングを囲んでいる時計回りのコイルスプリング、複数の平行スプリング等々)、液圧ブレーキシステム、圧縮液体システム内のピストン等も包含するものである。
【0012】
本発明の一実施例によれば、アンチロック及びアンチスキッド機械式ブレーキシステムが有用な態様で提供される。本システムは、自転車及び上記に定義された他の車両の車輪の回転を減速し又は終わりにするのに特に有用である。ブレーキシステムは、主要には、係止アッセンブリ及び引き込み式アッセンブリ、トルク機構、液圧ブレーキ機構又はそれらの任意の組み合わせから構成されている。
【0013】
ここで、図1を参照する。図1は、典型的な自転車の前輪運転フォーク部(1)に適合された前記した新規なアンチロック及びアンチスキッド機械式ブレーキシステムの概略的且つ一般化された開示を与えている。前輪(2)は、係止アッセンブリを使って制御された態様で減速される。該係止アッセンブリは、2つの曲げられ湾曲された副グリップブレーキアーム(3)を備え、該アームは、引き込み式機構(5)が垂直の拘束翼状部材によりアームの上側ネック部を拘束する態様で2つの対向する直立ブレーキパッド(6)を有する。
【0014】
ここで図2を参照する。係止アッセンブリは、主要には、複数の副グリップブレーキアームから構成されている。複数のアームは通常2つのアームであり、通常、金属サンダル(7a)に組み込まれたゴム製ブレーキパッド端部(6、6a)を持っている。これらのパッドは、垂直動作により車輪(2)の金属リムを固定、把持するように構成される。これらのアームは、更に、各アームの略中央部に配置された共通のヒンジ(図2では図示せず)から構成される。当該ヒンジは、主要引き込み車軸(1a)により捕捉されるように構成される。市販されているアームは、開口ボアを備えるヒンジにより特徴付けられ、該ボアはサイズ及び形状の点で前記引き込み車軸に適合するように構成される。副グリップブレーキアーム(3,3a)の各々は、アームネック部により構成され、クリップ端部(3b)により終わっている。該クリップ端部は、自転車の運転者により作動されるエンドレスの鋼鉄ブレーキケーブル(図示せず)と連通している。
【0015】
ここで図3を参照する。引き込み機構は、主要には、スプリングアッセンブリとハウジングアッセンブリとから構成される。引き込み機構は、前記細長い車軸(1a)を備え、該車輪(2)に平行に配置されている。基端部は、自転車の運転フォーク部(1)又は車両の任意の適切な部分(例えば、自転車又は車両ボディの前部又は後部フォーク)に固定されている。前記副グリップブレーキアームの共通ヒンジ(3d)は、車軸により捕捉され、スプリング部材(5b)を使って車軸の前記基端部に向かって連続的に押されている。固定クリップ(5a)は、前記クリップを内側に回転させる(即ち、車軸の基端部に向かわせる)ことにより、スプリング部材がねじられ、その結果、任意の適切な抵抗が得られるように、引き込み車軸の末端部にねじ込まれている。
【0016】
ハウジングアッセンブリは、シリンダー(5)から構成される。該シリンダーは、前記スプリングアッセンブリと適合するように構成された剛性ハウジング及び拘束翼状部材(5c、ここでは垂直翼部)の両方により特徴付けられる。この翼状部材(5c)は、副グリップブレーキアーム(3)の前記したネック部(3e)と物理的に連通するか又は隣接するかのいずれかの態様で配置されている。
【0017】
従って、本発明の一実施例によれば、アンチロック及びアンチスキッド機械式ブレーキシステムの本明細書で定義された副グリップブレーキアーム(特に、それらのネック部)は、引き続く2つの動作、即ち、横方向の把持動作とこれに続く長さ方向の動作を持っている。
【0018】
横方向の把持運動は、減速されるべき車輪に垂直であり、それにより、鋼鉄ブレーキケーブルを引っ張ることにより、アームは、車輪リムを所定の度合いにまで、しっかりと締め付けるように作動される。この作動は、車輪を完全な停止状態へと持って行くための摩擦を形成することが目的であり、時折、車輪は、自転車が停止する前に停止し、自転車及び運転者は車輪を操舵する能力が無い状態で自転車の運動の直前の方向に従い強制的に前方に移動される。
【0019】
次に、調整された長さ方向の運動は、ブレーキアーム(3)及び(3a)により提供される。この動作は、車輪(2)に平行に向けられ、所定の増大したトルクモーメントにおいてのみ存続される。減速された車輪は、把持されたブレーキアームを、車輪の係止位置まで強力にトルク駆動する。アームは、前記したスプリング部材の抵抗に抗して、垂直拘束翼状部材に向かって前方に(勾配平面上で)摺動するように強いられる。これと同時に、副グリップブレーキアームは、翼部の前記勾配平面上で移動するように垂直翼状部材により強制される。かくして、それらのアームは所定の度合いにまで開き(即ち広がる)、それにより、なおも回転する車輪上へのアームによる係止が回避され、その結果、前記した自転車の危険な滑りが防止される。
【0020】
ここで図4を参照すると、本発明の更に別の実施例が与えられている。この実施例では、前記拘束翼状部材の翼部が水平に置かれている。本実施例によれば、新規なアンチロック及びアンチスキッド機械式ブレーキシステムは、典型的な自転車の前部運転フォーク部(1)に適合されている。前輪(2)は、係止アッセンブリを使って制御された態様で減速される。該係止アッセンブリは、2つの細長い直線的で直立した副グリップブレーキアーム(4)を備え、該アームは、引き込み機構(5)が水平拘束翼状部材(5d)によりアーム(41)の上側ネック部を拘束する態様で、矩形部材(4、4a)により捕捉された2つの対向する直立ブレーキパッド(6a)を有する。ブレーキアーム(3)の下側端部は、水平ピン(例えば、1b)を使って運転フォーク部(1)に回転可能に留められている。
【0021】
ここで図6を参照すると、前記した水平翼部アッセンブリが示されている。該アッセンブリでは、少なくとも3つの水平ピン(1a、1b及び1c−図示せず)が運転フォーク部(1)から出ている。主要拘束車軸(1a)は、スプリング部材(5b)、シリンダー(5b)、水平翼状部材(5d)、クリップ(5c)等から構成される拘束機構を強制している。副グリップブレーキアーム(4)は、エンドレスの鋼鉄ブレーキケーブル(図示せず)と連通するように構成された上側クリップ先端部(4b)で終わっている直立部(4a)を備えている。該直列部の下側端部は、垂直ピン(1a、1b)を使って運転フォーク部(1)に嵌合された回転可能ヒンジとなっている。前記したブレーキケーブルを引っ張ることにより、アーム(4a、4b)は、車輪(2)に垂直に回転し、よって、その回転を減速させる。次に、調整された長さ方向の運動が提供される。この動作は、車輪(2)に平行に向けられ、所定の増大したトルク運動においてのみ存続される。該増大したトルク運動では、減速された車輪は、把持されたブレーキパッド及びサンダル(6,7)を強力にトルク駆動する。アームは、スプリング部材(5b)の抵抗に抗して、拘束翼状部材(5d)に向かって前方に摺動することを強いられる。これと同時に、副グリップブレーキは、それらのアームを所定の度合いにまで開放するため水平翼状部材(5d)により強いられ、それにより、なおも回転する車輪上へのアームによる係止が回避され、その結果、前記した自転車の危険な滑りが防止される。
【0022】
ここで図6及び図7を参照すると、本発明の第3の実施例が与えられている。第3の実施例は、2つの上記した実施例を組み合わせたものであり、従って、副垂直翼状部材(4)と連通する垂直翼状部材と直立部及び湾曲部(3)とを備え、更には、駆動するフォークのアームの各々に動かないように固定された2つの下側ヒンジの組を有する。図7は、この構成の分解図を与えている。
【0023】
図8は、液圧機構を備えるブレーキシステムを与えている。該ブレーキシステムは、主要車軸(1a)と、主要ブレーキ流体パイプ(5b)と、係止解放シリンダー(8)と、1つの分岐モジュールを介して主要ブレーキ流体パイプ(5b)と連通する第2のブレーキ流体パイプ(5f)と、係止解放ピストル(9)と、を備える。図9は、この構成の断面図を与えている。
【0024】
ここで図10を参照すると、減速されるべき車輪の概略図が与えられている。車輪は、位置Cに中心を定められ、点Gで地面と接触している。CとGとの間の距離が、車輪Rの半径である。ブレーキは点Bで適用され、点Bは中心Cからほぼ距離Rのところにある。ここでは、説明を容易にするため、BとCとの間の距離は、厳密にRであると仮定する。
【0025】
車輪が角速度Wで時計回りに回転し、速度VでX軸に沿って移動される。重力はY軸の方向とは反対にX軸に垂直に作用する。
車輪は、その中心Cで自転車に接続されている。自転車の重心は、X軸方向に沿って位置Cから距離Dのところに位置している。自転車の重量は、運転者、搭載物等を含めてHとする。
【0026】
以下、ブレーキ作用位置で作用する、ある重要な瞬間での力Fを計算する。この瞬間では、車輪は、ブレーキの作用に起因して回転停止してW=0となるが、自転車は、V>0の速度でなおも動いており、それにより、地面がその運動を停止しようとする力Tで自転車を引きずっている。
【0027】
自転車は、力Tが非常に高いトルクを生じさせるとき、転倒する可能性がある。点Cで計算すると、そのトルクは、RのT倍のトルク、即ちTRまで増大する。このトルクは、重量Hにより生じたトルク、即ちHDによりバランスされる。よって、自転車が転覆しない条件は、TR<HDであり、その限界点ではTR=HDとなる。
【0028】
車輪、即ち自転車の正味の残り部分に着目すると、車輪が回転することを停止されるとき、位置Cにおけるトルクのバランス要請により、FR=TR即ちF=Tと規定される。
従って、HD=TR=FRが得られる。即ち、
F=HD/R
が得られる。
【0029】
結論として、自転車の転倒のおそれ無しに、ブレーキが発揮しなければならない最大の力は、搭乗者、搭載物等を含めた自転車の重量に比例している。更に、その力は、重心からの長さに比例し、車輪の半径に逆比例している。
【0030】
車輪が回転してW>0となり、ブレーキが印加され、車輪が軽量で慣性モーメントを持っていないと仮定するとき、牽引力Tが短期間内で消滅したならば、滑りやすい地面の一部に亘って生じるように、ブレーキ力は、その大きさに関わらず、車輪を瞬間的にロックする。従って、車輪ロックを防止するための臨界力は、道路の条件に依存している。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1は、垂直翼状部材と、上側ヒンジを有する副グリップブレーキアームとにより特徴付けられる、本発明の一実施例に係るブレーキシステムの概略斜視図を概略的に与える。
【図2】図2は、図1と同じシステムの詳細な記載を与える。
【図3】図3は、図1と同じシステムの分解図を概略的に与える。
【図4】図4は、水平翼状部材と、複数の下側ヒンジを有する直立した副グリップブレーキアームとにより特徴付けられる、本発明の更に別の実施例に係るブレーキシステムの概略的な斜視図を与える。
【図5】図5は、図4のシステムの詳細な記載を与える。
【図6】図6は、垂直翼状部材と、複数の下側ヒンジを有する副グリップブレーキアームとにより特徴付けられる、本発明の更に別の実施例に係るブレーキシステムの概略斜視図を概略的に与える。
【図7】図7は、翼部が形成されたマスターシリンダーが、副グリップブレーキアームに接続された一対のピストンを作動させることにより特徴付けられる、本発明の更に別の実施例に係るブレーキシステムの概略斜視図を概略的に与える。
【図8】図8は、液圧ブレーキシステムの概略斜視図を与える。
【図9】図9は、図8のシステムの断面を与える。
【図10】図10は、減速された車輪と、該車輪に作用する力とを概略的に示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車輪の回転を減速するか又は終わらせるための機械式ブレーキシステムであって、
前記ブレーキシステムは、前記車輪のロックが防止され、車両の滑りが無くなるように、ブレーキ力が前記車輪のトルク力よりも小さくなるように機械式に提供される態様で減速された前記車輪とのブレーキの摩擦を無くすように構成されている、機械式ブレーキシステム。
【請求項2】
(a)係止アッセンブリであって、該係止アッセンブリは、垂直動作により前記車輪リムを固定するように構成されたブレーキパッド端部を有する複数の副グリップブレーキアームと、主要引き込み車軸により捕捉されるように構成された各アームの中心部に設けられた共通ヒンジと、鋼鉄ブレーキケーブルと各々連通するアームネック部及びアームクリップ端部と、を備える、前記係止アッセンブリと、
(b) 引き込み機構であって、該引き込み機構は、
(i)スプリングアッセンブリであって、該スプリングアッセンブリは、前記車輪に平行である、基端部及び末端部を有する前記細長い車軸を備え、該基端部は前記自転車の運転フォーク部に固定され、前記副グリップブレーキアームの共通ヒンジは、スプリング部材を使って前記基端部に向かって連続的に押しており、前記スプリング部材は、前記主要引き込み車軸に沿って捕捉されており、前記スプリングアッセンブリは、更に、前記引き込み車軸の末端部にねじ込まれた固定クリップを備え、該クリップを前記車軸の基端部に向かって内側に回転させることにより、前記スプリング部材がねじられる、前記スプリングアッセンブリと、
(ii) シリンダーを備えるハウジングアッセンブリであって、該シリンダーは、前記スプリングアッセンブリを収容するように構成された剛性ハウジングと、前記副グリップブレーキアームと物理的に連通する拘束翼状部材と、を備える、前記ハウジングアッセンブリと、
を備える、前記引き込み機構と、
を有し、
前記副グリップブレーキアームは、2つの連続した動作を有し、該2つの動作は、前記鋼鉄ブレーキケーブルを引っ張ることにより、前記車輪の回転が減速されるか又は終わりにされる態様で前記アームが所定の度合いにまで前記車輪リムを締め付けるように動作されるような横方向(前記車輪に垂直な方向)の締め付け運動と、前記減速した車輪の所定の増大したトルクモーメントにおいてのみ提供される長さ方向(前記車輪に平行な方向)の運動とからなり、前記長さ方向の運動は、前記車輪へと締め付けられた前記ブレーキアームの前記ネック部が前記拘束翼状部材に向かって前方に前記スプリング部材の抵抗に抗して摺動することを強いられ、これと同時に、前記副グリップブレーキがそれらのアームを所定の度合いにまで開かせ、それによりブレーキの係止が回避され、更には前記自転車の滑り及び/又は車輪のロックが防止される態様で提供される、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項3】
前記拘束翼状部材の翼部は垂直に延びている、請求項2に記載のブレーキシステム。
【請求項4】
前記拘束翼状部材の翼部は水平に延びている、請求項2に記載のブレーキシステム。
【請求項5】
前記車両は、自転車、タンデム自転車、ワゴン、荷車、オートバイ、小型オートバイ等、車、トラック、又は、車両の滑り及び/又は車輪のロックが防止される等の制御された態様で停止又は減速される少なくとも1つの回転負荷車輪を備える任意の他の車両からなる群から選択される、請求項1に記載のブレーキシステム。
【請求項6】
車両が滑ることを防止し、及び/又は、前記車両の車輪がロックされることを回避するため、請求項1に記載されたブレーキシステムを適用する工程を備える、方法。
【請求項7】
車両が滑ることを防止し、及び/又は、前記車両の車輪がロックされることを回避するため、請求項2に記載されたブレーキシステムを適用する工程を備える、方法。
【請求項8】
車両の負荷車輪の回転を減速するか又は終わらせるための方法であって、
前記車輪のロックが防止され、前記車両の滑りが無くされるように前記車輪のトルク力よりも低いブレーキ力を印加する工程を備え、
前記ブレーキ力は、F=HD/Rの式に従って道路状態に依存している、方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公表番号】特表2007−529362(P2007−529362A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503497(P2007−503497)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【国際出願番号】PCT/IL2005/000311
【国際公開番号】WO2005/086589
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(506315790)ピー・アンド・ピー・セーフティ・ブレイキング(2004)リミテッド (1)
【Fターム(参考)】