説明

車両のアクティブ懸架システムを制御するための診断ユニットを備える制御装置

本発明は、複数の制御可能なばね又はダンパユニットを備える車両のアクティブシャシシステムを制御するための制御装置に関する。道路センサは、車両の走行方向前方の道路からセンサデータを生成し、前記道路センサは道路プロファイル(h)を決定するために使用される。パイロット制御ユニット(24)は、決定された道路プロファイル(h)に従ってパイロット制御変数を決定し、前記パイロット制御変数を使用して、ばね又はダンパユニットの調整を、決定された道路プロファイル(h)に適合させる。道路プロファイルを表す変数(h,hk)と、車両の現在状態を表す変数(r,r’,z,z’)とに基づき、車両の予想される状態(r,r’,z,z’)と車両の実際の現在状態(r,r’,z,z’)との間の偏差(A)を決定する診断ユニット(50)が設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の車両のアクティブ懸架システムを制御するための制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、道路の状態を前もって決定するための、また前もって決定される道路の状態に応じて車両のばね又はダンパユニットを制御するための方法及び一般的な装置を開示している。センサ、例えばレーザセンサ又は画像検出センサが、車両の前方の道路の表面を感知して、車両の走行方向前方に位置する道路のプロファイルを前もって決定する制御ユニットに、センサデータを伝送する。複数のばね又はダンパユニットを備えるアクティブ懸架システムが、この道路プロファイルに応じて制御ユニットによって作動され、ばね定数、減衰速度、圧力、レベル等に対し開ループ又は閉ループ制御を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6 233 510 B1号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、先行技術を基礎として、公知の装置の機能信頼性を高めることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する制御装置によって達成される。
【0006】
制御装置は、車両の走行方向前方に位置する道路に関係するセンサデータを生成する道路センサを有し、このデータから、パイロット制御ユニットに伝送される道路プロファイルを決定することができる。パイロット制御ユニットは、道路プロファイルに応じて、パイロット制御変数を決定し、該変数を使用して、ばね又はダンパユニットの設定を、取得された道路プロファイルに適合させる。道路プロファイルを表す変数と車両の現在状態を表す変数とに基づき、車両の予期される状態と車両の実際の現在状態との間の偏差を取得する診断ユニットが設けられる。車両の走行方向前方の道路プロファイルを前もって決定する結果、特定の時間における車輪に作用する道路による加振も認識される。したがって、車両の挙動を常に予測して、車両の実際の挙動と比較することができる。このようにして、制御エラー及びシステム欠陥も検出することができる。
【0007】
本発明による制御装置の有利な発展形態は、従属請求項から理解される。
【0008】
有利に、診断ユニットは、例えば予め規定された車両モデルを使用して、取得された道路プロファイルに基づき、車両の予期される状態を取得する。
【0009】
同様に、診断ユニットは、偏差に基づき、パイロット制御変数及び/又は修正されたパイロット制御変数を適合させるために使用される補正値を取得することができる。この構成の結果、少なくとも部分的に、制御装置を外部状態に適合させ、例えば、能動シャシシステムの摩耗状態又は温度変動による車体制御システムのダイナミクスの変化を補償することができる。
【0010】
同様に、パイロット制御変数に基づき、車体の位置を制御するために使用される車体制御システム用の入力変数が計算される場合、有利である。例えば、車体の制御用のパイロット制御変数に基づき検出される入力変数は、車体制御システムで予め規定することができる設定値を修正することができ、この結果、事前に決定された道路プロファイルに能動シャシシステム又は車両を設定することができる。道路プロファイルに応じたばねユニット又はダンパユニットの作動は、したがって、車体の位置を制御するための車体制御システムに一体化される。パイロット制御器の有効範囲の外側で、あるいはパイロット制御器に欠陥がある場合、十分な走行快適性が常に存在することが確実にされ、またこのような場合、車体の位置又は運動が車体制御システムによってなお制御される。したがって、パイロット制御器に重ね合わせられる車体制御により、パイロット制御器に故障があるときでも、非常に優れた走行快適性が確実にされる。
【0011】
パイロット制御ユニットは、複数の別個のパイロット制御変数、特に、それぞれのばね又はダンパユニットの設定レベルを取得するために使用される各々のばね又はダンパユニット用のパイロット制御レベルと、車体制御システムの車体位置制御器を制御するために使用されるパイロット制御車体位置とを決定することもできる。この措置の結果、車体制御システムの修正のために、複数の自由度が利用でき、その結果、車体制御システムを、取得された道路プロファイルによって知られかつ車両に作用する、例えば道路からの加振周波数のような予め規定可能な状態又はパラメータに非常に容易に適合させることができる。ここで、パイロット制御レベルは、各々の車輪について別個に決定することができる。
【0012】
この関連で、少なくともパイロット制御レベルは、修正段階で、車体制御システムの予め規定された特性を考慮しつつ、修正されたパイロット制御レベルに変換され、ばね又はダンパユニット用の設定レベルを決定するために使用することができる。このようにして、車体制御システムのシステム限界又は動的特性に、パイロット制御レベルを適合させることができる。特に、修正段階は、システムダイナミクス段階として具体化され、この修正段階により、パイロット制御レベルからダイナミクス最適化パイロット制御レベルが決定され、ダイナミクス最適化パイロット制御レベルにより、車両のアクティブ懸架システムの動的挙動が考慮される。
【0013】
同様に、ばね又ダンパユニット用の設定レベルが、パイロット制御レベル及び/又はパイロット制御レベルから形成される修正されたパイロット制御レベル、ならびに車体位置制御器の出力変数に基づき決定される場合、有利である。この結果、車両の前方に位置する取得された道路プロファイルに対する設定レベルの簡単な適合が、可能である。
【0014】
パイロット制御車体位置は、車体位置制御器にフィードバックされる車両の実際の状態値を補正するために使用されるので、車体制御システムとパイロット制御器との間の改良された相互作用を達成することができる。特に、この関連で、実際の車体位置の代わりに、パイロット制御車体位置によって補正される車体位置を車体位置制御器に送ることができ、及び/又は実際の車体垂直速度の代わりに、パイロット制御車体位置の時間による導関数によって補正される車体垂直速度を車体位置制御器に送ることができる。したがって、車体位置制御器が、パイロット制御器によっておそらくはもたらされる車体の位置の変化を補償しようと試みないことが確実にされる。
【0015】
車体制御システムは、シャシ制御器を有することができ、この制御器は、調整可能なばね又はダンパユニットを有する能動シャシシステムを有し、このシステムの各々は、調整可能なばね及び/又は調整可能なダンパを収容することができる。調整可能なばねがばね又はダンパユニットに設けられる場合、調整可能なばねの実レベルを制御するために使用されるパイロット制御レベルが決定される。調整可能なダンパがばね又はダンパユニットに設けられる場合、調整可能なダンパの減衰作用を制御するために使用される減衰変数が決定される。したがって、パイロット制御器を、調整可能なばね又は調整可能なダンパ又はその両方さえも有するアクティブシャシを備える車体制御システムに一体化することができる。
【0016】
同様に、入力変数としてパイロット制御ユニットに伝送される計算された車輪位置が、車輪運動取得段階で取得された道路プロファイルから取得される場合、有利である。この関連で、特に車輪の動的特性を考慮することができる。パイロット制御は、計算された車輪位置が考慮される結果、より精密であり、その結果、快適さのさらなる増加が達成される。パイロット制御変数の少なくとも1つは、計算された車輪位置に応じて取得することができる。
【0017】
同様に、道路プロファイルに沿った車両の走行に関する複数の車体位置からの位置経路を表す輪郭プロファイルが、道路プロファイルを表す変数に基づき取得され、輪郭プロファイルの曲率が、ばね又はダンパユニットで利用可能な最大ばね行程値が順守されるという周囲条件の下で最小にされる場合、有利である。これにより、道路プロファイルに応じて、車体の位置に対する影響なしにアクティブ懸架システムによって道路のすべての隆起又は凹みを相殺することは必ずしも常に可能ではないという事実を考慮しつつ、最大可能な快適度が確実にされる。
【0018】
道路からの加振が低域遮断周波数未満の低域周波数範囲にあるときの車体の位置が道路プロファイルに本質的に従うように、パイロット制御変数又は修正されたパイロット制御変数によって車体制御システムを制御することが可能である。この低域周波数範囲では、道路プロファイルの変化は、対応する車体の位置変化に変換され、これにより、システム限界を可能にしつつ、快適さを最適化する簡単な実施可能性が許容される。
【0019】
低域遮断周波数はこの関連で可変であることが可能であり、かつ道路プロファイルを表す変数に、特に取得され、調整された道路プロファイルに関係し得る。さらに、低域遮断周波数は、ばね又はダンパユニットでそれぞれ利用可能な最大ばね行程値に関係することがある。車両の前方に位置する道路プロファイルに沿って走行するときにばね又はダンパユニットで利用可能な最大ばね行程値が維持されるという周囲条件の下で、低域遮断周波数が最小にされるので、システム限界、特にばね行程限界を可能にしつつ、最大可能な快適性レベルを容易に達成することができる。ばね又はダンパユニットで利用可能な最大ばね行程値に従いつつ、輪郭プロファイルの曲率を非常に容易に最小にすることができる。
【0020】
この関連で、車体制御システムは、車体の位置を本質的に変化しないように維持する目的で、低域遮断周波数を超える周波数を有する道路加振があるときの車体の位置を制御することができ、この結果、高レベルの快適さが低域周波数範囲を超える周波数範囲で提供される。この周波数範囲で、道路加振は車体の位置に作用しない。このことは、アクティブ懸架システムの動的限界に対応する約8〜10ヘルツの上方遮断周波数まで当てはまる。
【0021】
本発明について、添付図面を参照して以下により詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】車輪、ばね又はダンパユニット及び車体を備える部分的な車両モデルの概略図である。
【図2】制御装置の第1の実施形態の概略ブロック回路図である。
【図3】制御装置の第2の実施形態の概略ブロック回路図である。
【図4】制御装置の第3の実施形態の概略ブロック回路図である。
【図5】制御装置の診断ユニットの概略ブロック回路図である。
【図6a】ばね又はダンパユニットを有する第1の能動シャシシステムの部分概略図である。
【図6b】ばね又はダンパユニットを有する第2の能動シャシシステムの部分概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、車輪10と、この車輪10に付設される制御可能なばね又はダンパユニット11と、質量として示されかつ車両の重心13を有する車体12とを備える部分的な車両モデルの概略図である。部分車両モデルは、車輪10の一つに関係する車両全体の部分のみを示しており、部分車両モデルは、例えば2つの車軸を有する乗用車の場合、4つの車輪10の各々及び4つのばね又はダンパユニット11に当てはまる。
【0024】
この部分車両モデルは、固定座標系14に関連付けられる。道路の実際の道路プロファイルは、h(s)によって特徴づけられ、行程sは座標系14の横座標を表し、道路プロファイルh(s)は車両の垂直軸の方向で測定される。車両の垂直軸の方向の車輪10の位置はrとして示され、車両の重心13の車体位置に、車両の垂直軸の方向で観測して、参照符号zが与えられる。車体12の位置zと車輪10の位置rとの間の距離は、参照符号xによって示され、ここで以下のように規定される。
x=z−r (式1)
【0025】
最後に、図1では、参照符号yは、ばね又はダンパユニット11のアクチュエータ11’を作動することによって設定されるか又は変更されることができるばね又はダンパユニット11の現在の実レベルを示している。
【0026】
道路プロファイルhは、車両の両側で、適切ならば各々の車輪10で異なることがある。車輪10の位置r及び実レベルyは、すべてのばね又はダンパユニット11又は車輪10で異なることがある。したがって、これらの変数は、ばね又はダンパユニット11の各々について取得され、別個にそれぞれ設定される。
【0027】
車体12の車体位置z及び/又は運動は、3次元で影響が及ぼされ及び/又は制御されることができる。したがって、ピッチング運動及び/又は往復運動、ならびに道路表面に対する車輪の車輪接地荷重を制御するか、あるいは開ループ又は閉ループ制御を施すことができる。この結果、例えば車両の前車軸と後車軸との間で、シャシを修正操作することもでき、特に、互いに対角線上に向かい合って位置する2つの車輪の車輪接地荷重を、互いに対角線上に向かい合って位置する他方の2つの車輪の車輪接地荷重と比較して増加又は減少させることができる。このようにして、車両の横方向のダイナミクス挙動を制御することができる。
【0028】
図6aと図6bは、部分図の車輪10に基づきアクティブシャシシステムの2つの実施例を概略的に示している。上記の図では、能動ばね又はダンパユニット11aと11bには、ばね又はダンパユニット11として調整可能なばねがそれぞれ設けられる。この代わりに又は追加して、調整可能なダンパを有する能動ばね又はダンパユニット11を使用することもできるであろう。
【0029】
図6aは、電気的に制御可能なばね弁62に各々が流体接続される圧力源60及びリザーバ容器61を有する能動的な油圧空気圧式ばね又はダンパユニット11aを示している。その弁位置に応じて、ばね弁62は、油圧空気圧式ばね又はダンパユニット11aのアクチュエータ11’を構成するピストン/シリンダユニット64の圧力空間63に、圧力源60又はリザーバ容器61を流体接続することができるか、あるいはすべての流体接続を遮断することができ、その結果、油圧空気圧式ばね又はダンパユニット11aの実レベルyを増加させ、減少させるか又は一定に維持することができる。加圧ガス容器67の動作空間66は、スロットル65を介して圧力空間63に接続される。動作空間66は、可撓性ダイアフラムによって加圧ガス空間68から分離される。加圧ガス空間68内の圧縮可能な加圧ガスにより、油圧空気圧式のばねユニット11aでばね作用が生じることが確実にされる。スロットル65は減衰を行う。ピストン/シリンダユニット64及び加圧ガス容器67は、調整可能なばね64、67を構成する。
【0030】
アクティブシャシシステムの能動ばね又はダンパユニット11の別の形態が、図6bに示されており、このユニットはABCばねユニット11bと称されることができ、ABCはアクティブボディコントロール(active body control)を意味する。油圧空気圧式ばねユニット11aと比較して同一の構成要素には、同一の参照符号が付与される。油圧空気圧式ばねユニット11aと対照的に、ABCばねユニット11bは加圧ガス容器67を有しない。ABCばねユニット11bは、ピストン/シリンダユニット64を有する螺旋ばね70の一連の装置を有し、この場合、この直列回路は、ばね又はダンパユニット11bの調整可能なばね64、70を形成する。別個のダンパ71が、この調整可能なばね64、70に対し平行に設けられる。油圧空気圧式ばねユニット11aの場合のように、ABCばねユニット11bの実レベルyを設定レベルysetpに設定するために、ピストン/シリンダユニット64の圧力空間63は、ばね弁によって充填し、空にし又は遮断することができる。
【0031】
制御装置20の第1の典型的な実施形態が、ブロック回路図の形態で図2に示されている。制御装置20は、車両の走行方向の車両前方の道路の状態に応じて、能動ばね又はダンパユニット11を制御する。このようにして、ばね又はダンパユニット11は、車両が道路加振を有する走行距離sの位置に到達する前にも、深いくぼみ、敷居、横溝等のような車両の前方の道路加振に対し容易に設定できる。道路加振を表す道路プロファイルを検出するために、制御装置20は、走行方向に見て、車両の前方の道路表面を観測する道路センサ21を有し、道路プロファイルを表すセンサデータdをデータ調整ユニット22に伝送する。
【0032】
調整された道路プロファイルhは、道路センサデータdからデータ調整ユニット22で決定される。調整された道路プロファイルhを取得するために、現在の車両縦速度v及び例えば、現在の車体位置zあるいはばね又はダンパユニット11の実レベルyのような別の状態データが、同様にデータ調整ユニット22に送られる。したがって、道路センサ21の位置及び配向が知られ、その結果、道路プロファイルの精密な決定が可能になる。さらに、予め規定可能な広域遮断周波数を超える、例えば8〜10ヘルツの周波数を有するセンサデータdによって表される道路加振の部分は、データ調整ユニット22でフィルタ処理される。調整された道路プロファイルhは、データ調整ユニット22によって出力信号として提供される。
【0033】
結果として得られる車輪10の垂直運動は、車輪運動取得段階23で調整された道路プロファイルhから取得され、したがって、次式に基づき、低周波の計算された車輪位置rが各々の車輪について決定される。
【数1】

ここで、mはそれぞれの車輪10の質量であり、cは車輪の垂直ばね定数であり、kは車輪の垂直減衰定数であり、rL’は計算された車輪垂直速度(経時的に計算された車輪位置rの導関数)であり、rL”は計算された車輪の垂直加速度(経時的に計算された車輪垂直速度rL’の導関数)であり、h’は道路プロファイルの調整された変化(経時的に調整された道路プロファイルhの導関数)である。なお、本出願中で、符号の上付きポチとダブルポチとダッシュとダブルダッシュは同じ意味で使われ、導関数とさらなる導関数を示す。
【0034】
代わりの単純な実施形態の変形では、計算された車輪位置rはまた、調整された道路プロファイルhと、車輪10の半径を与える定数との和から計算でき、この場合、車輪10の垂直のばね又は減衰特性は無視されるであろう。
【0035】
制御装置20はまた、それぞれの計算された車輪位置rに基づきパイロット制御信号を取得するパイロット制御ユニット24を有し、次に、パイロット制御信号は、車両の重心13の位置及び/又は運動を制御するために、及び/又は車両のばね又はダンパユニット11の実レベルyを制御するために使用される。
【0036】
制御装置20の第1の典型的な実施形態では、各々の場合に、パイロット制御レベルyは、各々のばねユニット11用のパイロット制御信号として取得される。例えば、それぞれの車輪10のパイロット制御レベルyについて、使用するアクティブシャシシステムに応じて、次の関係が取得される。
【数2】

ここで、cはばね又はダンパユニット11のばね定数であり、kはばね又はダンパユニット11のダンパ定数であり、計算された車輪垂直速度rL’は、経時的に計算された車輪位置rの導関数である。このことは、例えば、0.5ヘルツの低域遮断周波数未満の低周波の加振があるときにも、車体12が静止したままであるという条件で当てはまる。
【0037】
次に、フィルタ処理されたパイロット制御レベルyPLは、パイロット制御ダイナミクスフィルタ25のパイロット制御レベルyから形成される。
【数3】

【0038】
パイロット制御ダイナミクスフィルタ25のフィルタ係数aとbを決定するための手順は、フィルタ設計方法からそれ自体公知であり、簡単に以下に説明する。
【0039】
フィルタ処理されたパイロット制御レベルyPLは、最後に、予め規定された車体位置設定値zsetp、特にこの関連でzsetp=定数に基づき車体位置zを制御する車体制御システム26に伝送される。好ましい典型的な実施形態では、この車体制御システム26は、スカイフック制御器27及びシャシ制御器28を有する。車輪10の各々の現在の車輪位置r及び現在の車輪垂直速度r’及び現在の車体位置z及びその時間導関数、現在の車体垂直速度z’は、スカイフック制御器27への入力変数として予め規定される。
【0040】
スカイフック制御器27は、車体12をその予め規定可能な所望の位置に移動させるために、前記入力変数から各々のばね又はダンパユニット11用のスカイフックレベルyskを取得し、この場合、次式が当てはまる。
【数4】

ここで、cはスカイフックばね定数であり、kはスカイフックダンパ定数である。
【0041】
ここで、Feは、次の関係によるスカイフック復元力である。
【数5】

ここで、xは合成ストッパを表し、ここで、
【数6】

【0042】
Δxmaxはスカイフックばね行程限界であり、cは復元ばね定数であり、またkは、所望のスカイフック制御器挙動に応じて予め規定される復元ダンパ定数である。
【0043】
設定レベルysetpは、それぞれのスカイフックレベルysk及びそれぞれのフィルタ処理されたパイロット制御レベルyPLからばね又はダンパユニット11の各々について決定され、設定のためシャシ制御器28に伝送される。
setp=ysk+yPL (式8)
【0044】
パイロット制御ダイナミクスフィルタ25のフィルタ係数aとbは、次のように取得することができ、すなわち、シャシ制御器28の伝送挙動は、測定によって決定することができる。このようにして、パイロット制御ダイナミクスフィルタ25なしに、パイロット制御レベルyにより、どの伝送ダイナミクスが経験されるかが知られる。振幅に関して可能な限り正確であり、かつ可能な限り最高の周波数まで位相遅延を引き起こさないフィルタが、今や、公知のフィルタ設計方法に基づき設計される。例えば、最も単純な例では、PD要素を比例ゲインファクタKP=1に使用することができる。
【0045】
能動ばねユニット11のパイロット制御を車体制御システム26に一体化する結果、パイロット制御器の有効範囲の外側で、あるいはパイロット制御器に欠陥がある場合、十分な走行快適性が常に保証されることが確実にされ、このような場合、車体12の車体位置及び/又は運動は、スカイフック制御器27によってなお常に制御される。
【0046】
以下の説明において、上述の第1の典型的な実施形態と比較して拡張される制御装置20の第2の典型的な実施形態について説明する。この第2の実施形態の変形は、第1の典型的な実施形態に加えて、図3に示したように、輪郭取得ユニット40及び車体運動取得段階41を有する。
【0047】
制御装置20のこの第2の実施形態では、ばね又はダンパユニット11のばね行程限界を考慮しつつ、快適性が最適化される。制御装置20は、車両の前方の最大センサ範囲Smaxの位置まで、調整された道路プロファイルhを認識している。ばね又はダンパユニット11の実際レベルyは、それぞれの最大利用可能なばね行程Δzmaxが順守され、かつ事前に決定された調整道路プロファイルに沿った車両の走行中に、車体位置zが可能な限り小さな程度の曲率を有する位置経路を移動するように、調整された道路プロファイルhが知られている行程sの部分で設定される。このようにして、快適性の可能性が最適な程度に利用される。輪郭取得ユニット40は、このため、所定の調整された道路プロファイルhに沿った車両の走行に関する複数の車体位置からの位置経路を表す輪郭プロファイルhを取得し、この場合、輪郭プロファイルhの曲率は、ばね又はダンパユニット11で利用可能な最大ばね行程値Δzmaxがそれぞれ順守されるという周囲条件の下で最小にされる。
【0048】
したがって、この位置経路を特徴づける輪郭プロファイルhは、調整された道路プロファイルhに応じて輪郭取得ユニット40で決定される。例えば、輪郭プロファイルhの決定は、特に、調整された道路プロファイルhの位相なしのローパスフィルタ処理によって、輪郭取得ユニット40で実施される。この場合、このローパスフィルタ処理の遮断周波数は、この関連で、各々のばね又はダンパユニット11における最大利用可能なばね行程Δzmaxが順守されるという条件下で、可能な限り小さいように選択される。この点で、最大利用可能なばね行程Δzmaxは、ばね圧縮の方向で、またそれぞれのばね又はダンパユニット11のばね伸長の方向で異なる大きさであり、値も、個々のばね又はダンパユニット11の実レベルに応じて変化することを指摘したい。この理由で、明瞭さのためΔzmaxとして組み合わせられる最大ばね圧縮行程値Δzmax,comp及び最大ばね伸長行程値Δzmax,extは、各々のばね又はダンパユニット11で考慮されなければならない。計算方法は、両方の値について原則として同じである。
【0049】
好ましい典型的な実施形態では、ローパスフィルタ処理操作用の可能な限り小さな遮断周波数は、輪郭取得ユニット40で繰り返し決定される。例えば0ヘルツであり得る開始周波数から開始して、ローパスフィルタ処理結果TPが計算され、次に、最大利用可能なばね行程値の周囲条件を順守できるかどうかが点検される。
|TP−h|<Δzmax (式9)
【0050】
式(式9)による条件に合う場合、輪郭プロファイルhは、ローパスフィルタ処理結果TPに対応する。この条件に合わない場合、あるいは最大利用可能なばね行程値Δzmaxに達するか又は越える場合、開始周波数が増大され、新しいローパスフィルタ処理TPが計算される。この反復ループは、式(式9)で与えられる周囲条件に合うローパスフィルタ処理結果TPが取得されるまで実行される。次に、このように取得される輪郭プロファイルhは、車体運動取得段階41に伝送される。
【0051】
車体運動取得段階41は、次のように、輪郭プロファイルhから輪郭車体位置z及び輪郭力Fを計算する。
=h (式10)
【数7】

【0052】
輪郭力Fは、車輪運動取得段階23に送られ、この段階で、計算された車輪位置rがこの第2の典型的な実施形態で次式に基づき決定される。
【数8】

この式が適用され、mは車体12の質量であり、hL”は調整された道路プロファイルの変化hL’の時間導関数である。
【0053】
計算された車輪位置r及び輪郭車体位置は、パイロット制御ユニット24に送られる。制御装置20のこの第2の実施形態では、パイロット制御ユニット24は、個々のばね又はダンパユニット11用のパイロット制御レベルyに加えて、別のパイロット制御変数としてパイロット制御車体位置zを取得し、これが車体制御システム26に伝えられる。パイロット制御変数は次のように取得される。
【数9】

=z (式14)
【0054】
パイロット制御ユニット24及び車体制御システム26によってパイロット制御の両立性を高めるために、スカイフックレベルyskを計算するため、補正された状態値Δz,Δz’が使用される。これにより、車体制御システム26、及び例えば、スカイフック制御器27が、スカイフックレベルyskに加えられるパイロット制御レベルyを干渉変数であると考えず、少なくとも部分的にそれらを再び補償することが確実にされる。補正された状態値は次のように取得される。
Δz=z−z (式15)
Δz’=z’− z
(式16)
【0055】
補正された状態値Δz,Δz’の計算は、差分段階42で実施される。
【0056】
スカイフック制御器27で取得されるパイロット制御車体位置zは、したがって、次式のように取得される。
【数10】

【0057】
この関連で、(式6)と(式7)の式が、第1の典型的な実施形態のように、スカイフック復元力Feに適用される。
【0058】
最後に、制御装置20の第1の典型的な実施形態のように、個々のばねユニット11の設定レベルysetpは、式(式8)に基づき計算される。
setp=ysk+yPL (式8)
【0059】
スカイフックレベルyskに、またフィルタ処理されたパイロット制御レベルyPLに加えられるスカイフック補正項yskkがスカイフック制御器27により決定される場合、一体化されたパイロット制御及び車体制御をさらに改良することができる。
【数11】

【0060】
次に、式(式8)の代わりに次式が取得される。
setp=ysk+yPL+yskk (式8’)
【0061】
図4は、制御装置20の別の第3の実施形態を示している。パイロット制御ダイナミクスフィルタ25の代わりに、(車体制御システム26に伝えられる)ダイナミクス最適化パイロット制御レベルyPiを決定しつつ、パイロット制御レベルyに基づき、パイロット制御変数の設定中にアクティブシャシシステムのシステム挙動、特にそのタイミング挙動又は動的挙動を考慮するシステムダイナミクス段階45が設けられる。その他の点では、この第3の実施形態は、制御装置20の第2の実施形態に対応する。第2の実施形態のフィルタ処理されたパイロット制御レベルyPLの代わりに、今や、ダイナミクス最適化パイロット制御レベルyPiは、パイロット制御ユニット24のパイロット制御レベルyから決定される。
【数12】

【0062】
係数uとwは、車両で使用されるアクティブシャシシステムの伝送挙動によって決定することができ、したがって、異なる種類の車両で異なることがある。この伝送挙動は測定によって取得することができる。
【0063】
例えば、ABCばね又はダンパユニット11bを有するアクティブシャシシステム(図6b参照)のばね又はダンパユニット11の設定レベルysetpと実レベルyとの間の伝送挙動は、次のように規定することができる。
【数13】

ここで、
:ばねユニット11の制御弁の弁減衰
ω:弁遮断周波数
:位置制御減衰
ω:位置制御遮断周波数
:圧力の影響を表すばねユニット11の定数
【0064】
次に、アクティブシャシシステムの伝達関数Gは、次式によるこの微分方程式から取得することができる。
y=G・ysetp (式21)
【0065】
逆の伝達関数Ginvが、これから計算される場合、パイロット制御レベルyと、ダイナミクス最適化パイロット制御レベルyPiとの間の関係が取得される。
Pi=Ginv・y (式22)
【0066】
これにより、式(式19)による方法で係数uとwが提供され、次に、逆の伝達関数Ginvの計算実施として使用することができる。この手順は、制御装置20の第1の2つの実施形態のパイロット制御ダイナミクスフィルタ25のフィルタ係数の決定と同様である。
【0067】
パイロット制御ユニット24を使用して達成されるパイロット制御は、車体制御を実施することができるすべてのアクティブシャシについて使用することができる。
【0068】
上記のことは、特に、調整可能なばね64、67及び64、70をそれぞれ有するアクティブシャシに関する適用の説明である。しかし、同様に、減衰作用の増加又は減少による望ましくない車体運動が防止されるように、車体位置を制御するために、アクティブシャシシステムの1つ以上の設定可能なダンパの制動特性を変更することができる。このため、制御装置20の記載した典型的な実施形態を修正することができる。ばねユニット11について取得されたレベル変数を使用することによって、可変の減衰作用を取得することができ、この減衰作用は、車両の前方の道路プロファイルの知識によりパイロット制御ユニット24によって変更される。このことは、次のように行うことができる。
【0069】
設定可能なダンパを有するばね又はダンパユニット11に関する次式が、出発点として使用される。
【数14】

ここで、
CD:ばね力
x:車輪位置と車体位置との間の差
:ばねのばね定数
:ダンパの減衰定数
Δk:設定可能な減衰変数
【0070】
次式が、ばねの可変レベルを有するばね又はダンパユニット11に適用される。
【数15】

【0071】
(式23)、(式24)及び(式1)の式は、設定可能な減衰変数を提供する。
【数16】

【0072】
式(式25)に基づき、実レベルy、設定レベルysetp、パイロット制御レベルy、フィルタ処理されたパイロット制御レベルyPL、及びダイナミクス最適化パイロット制御レベルyPiは、減衰変数用のそれぞれ対応する値に変換することができる。例えば、パイロット制御ユニット24は、パイロット制御減衰値Δkを決定することができ、スカイフック制御器27は、スカイフック減衰値Δkskを決定することができ、次に、これらから、減衰設定値Δksetpも取得することができる。制御装置20の第3の実施形態では、例えば、次式が適用される。
【数17】

【数18】

【0073】
ダイナミクス最適化パイロット制御減衰ΔkPiは、パイロット制御レベルのフィルタ処理と同様の方法で、上述のようなパイロット制御減衰Δkから得られる。最後に、設定減衰は、次式から取得することができる。
Δk=Δkpi+Δksk (式28)
【0074】
このようにして、パイロット制御器は、設定可能なダンパを有するばね又はダンパユニット11が使用される場合、車体制御システムに一体化することができる。このことはまた、制御装置20の説明した他のすべての典型的な実施形態に相応して当てはまる。
【0075】
車両の走行方向前方の道路プロファイルhを前もって決定する結果、特定の時間における車輪10に作用する道路からの加振も認識される。この理由で、モデルに基づき車両挙動を常に予測することができ、前記挙動を実際の車両挙動と比較することができる。このようにして、偏差及び/又は故障を検出することができる。偏差が検出されたとき、パイロット制御を補正することができ、例えば、パイロット制御ユニット24のパイロット制御変数y、zを車両の現在温度又は摩耗状態に適合させることができる。
【0076】
このため、制御装置20は診断ユニット50を有する。一方で、車両の挙動又は状態を表す測定された車両変数が診断ユニット50に送られ、他方で、道路プロファイルh(s)を表す1つ以上の変数、例えば調整された道路プロファイルh及び/又は輪郭プロファイルhが、診断ユニット50に送られる。
【0077】
第1の診断段階51で、モデル値M、特に次のモデル値、すなわち、予期される車輪位置r及び/又は予期された車輪垂直速度r’及び/又は予期された車体位置z及び/又は予期された車体垂直速度z’が、道路プロファイルh(s)を表す変数h、hから車両モデルによって取得される。
【0078】
これらのモデルパラメータMは、第2の診断段階52に送信される。測定された現在のシャシ変数、すなわち、例えば車輪位置r及び/又は車輪垂直速度r’及び/又は車体位置z及び/又は車体垂直速度z’が、同様に、この第2の診断段階52に送られる。
【0079】
第2の診断段階52は、モデルパラメータと測定されたシャシ変数とを比較して、第3の診断段階53に伝えられる偏差Aを検出する。
【0080】
第3の診断段階53は、検出された偏差Aに基づき、パイロット制御ユニット24のパイロット制御変数y、zを補正するために使用される1つ以上の補正信号を生成する。ここに説明した診断ユニット50の実施形態では、少なくとも1つ、例えば、第1の補正ファクタPy及び第2の補正ファクタPzが決定され、それらは、絶対値及び偏差Aの標識に応じて、パイロット制御変数y、zを増加させ又は減少させるために使用される。本例では、次式が適用される。
P,corrected=P・y (式29)
P,corrected=P・z (式30)
【0081】
診断ユニット50は、図2〜図4による制御装置20の3つのすべての実施形態に使用することができる。この場合、パイロット制御変数y、zの代わりに、補正されたパイロット制御変数yP,corrected及びzP,correctedが制御操作のためにそれぞれ使用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の制御可能なばね又はダンパユニット(11)を備え、車両の走行方向前方に位置する道路に関するセンサデータ(d)を生成する道路センサ(21)を備える車両のアクティブシャシを制御するための制御装置であって、前記センサデータ(d)が道路プロファイル(h)を取得するために使用され、パイロット制御ユニット(24)が、取得された道路プロファイル(h)に応じて、パイロット制御変数(y、z)を決定し、該変数を使用して、前記ばね又はダンパユニット(11)の設定を取得された道路プロファイル(h)に適合させる、制御装置において、
前記道路プロファイル(h)を表す変数(h、h)と、前記車両の現在状態を表す変数(r,r’,z,z’)とに基づき、前記車両の予期される状態(r,r’,z,z’)と前記車両の実際の現在状態(r,r’,z,z’)との間の偏差(A)を取得する診断ユニット(50)が設けられることを特徴とする、制御装置。
【請求項2】
前記診断ユニット(50)が、前記道路プロファイル(h)を表す前記変数(h、h)に基づき前記車両の予期される状態(r,r’,z,z’)を取得することを特徴とする、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記診断ユニットが、前記偏差(A)に基づき、前記パイロット制御変数及び/又は前記修正されたパイロット制御変数(ypL、ypi)を適合させるために使用される補正値(P、P)を取得することを特徴とする、請求項1又は2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記車体の位置(z)を制御するために使用される車体制御システム(26)用の入力信号が、前記パイロット制御変数(y、z)に基づき計算されることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項5】
前記パイロット制御ユニット(24)が、複数の別個のパイロット制御変数(y、z)である、それぞれのばね又はダンパユニット(11)の設定レベル(ysetp)を取得するために使用される各々のばね又はダンパユニット(11)に関するパイロット制御レベル(y)と、前記車体制御システム(26)の車体位置制御器(27)を制御するために使用されるパイロット制御車体位置(z)とを決定することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
少なくとも前記パイロット制御レベル(y)が、修正段階(25、45)で、前記車体制御システム(26)の予め規定された特性を考慮しつつ、修正されたパイロット制御レベル(yPL、yPi)に変換され、前記ばね又はダンパユニット(11)の設定レベル(ysetp)を決定するために使用されることを特徴とする、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記修正段階がシステムダイナミクス段階(45)として具体化され、前記修正段階により、前記パイロット制御レベル(y)からダイナミクス最適化パイロット制御レベル(yPi)が決定され、前記ダイナミクス最適化パイロット制御レベル(yPi)により、前記車両のアクティブ懸架システムの動的挙動が考慮されることを特徴とする、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
ばね又はダンパユニットの前記設定レベル(ysetp)が、前記パイロット制御レベル(y)及び/又は前記パイロット制御レベルから形成される修正されたパイロット制御レベル(yPL、yPi)、ならびに前記車体位置制御器(27)の出力変数(ysk)に基づき決定されることを特徴とする、請求項5〜7のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項9】
前記パイロット制御車体位置(z)が、前記車両位置制御器(27)にフィードバックされる車両の実際の状態値(z,z’)を補正するために使用されることを特徴とする、請求項5〜8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記実際の車体位置(z)の代わりに、前記パイロット制御車体位置(z)によって補正される車体位置(Δz)が前記車体位置制御器(27)に送られ、及び/又は実際の車体垂直速度(z’)の代わりに、前記パイロット制御車体位置(z)の時間による導関数(z’)によって補正される車体垂直速度(Δz’)が、前記車体位置制御器(27)に送られることを特徴とする、請求項9に記載の制御装置。
【請求項11】
前記車体制御システム(26)が、調整可能な前記ばね又はダンパユニット(11)を有する前記アクティブシャシシステムを有するシャシ制御器(28)を備え、前記調整可能なばね又はダンパユニット(11)の各々が、調整可能なばね及び/又は調整可能なダンパを有することができることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項12】
調整可能なばねが前記ばね又はダンパユニット(11)に設けられる場合、前記調整可能なばねの実レベル(y)を制御するために使用されるパイロット制御レベル(y)が決定され、調整可能なダンパが前記ばね又はダンパユニット(11)に設けられる場合、前記調整可能なダンパの前記減衰作用を制御するために使用される減衰変数が決定されることを特徴とする、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
入力変数として前記パイロット制御ユニット(24)に伝送される計算された車輪位置(r)が、車輪運動取得段階(23)において、取得された前記道路プロファイル(h)から取得されることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記車輪(10)の動的特性が、計算された車輪位置(r)の取得の際に考慮されることを特徴とする、請求項13に記載の制御装置。
【請求項15】
前記パイロット制御変数(y)の少なくとも1つが、計算された車輪位置(r)に応じて取得されることを特徴とする、請求項13又は14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記道路プロファイル(h)に沿った車両の走行に関する複数の車体位置からの位置経路を表す輪郭プロファイル(h)が、前記道路プロファイル(h)を表す変数(h)に基づき取得され、前記輪郭プロファイル(h)の曲率が、前記ばね又はダンパユニットで利用可能な最大ばね行程値が順守されるという周囲条件の下で最小にされることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項17】
前記道路の加振が低域遮断周波数未満の低域周波数範囲にあるときの前記車体(12)の車体位置(z)が、前記道路プロファイルに本質的に従うように、前記車体制御システム(26)が、パイロット制御変数(y、z)又は修正されたパイロット制御変数(yPL、yPi)によって影響を受けることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
前記低域遮断周波数が可変であり、かつ前記道路プロファイル(h)を表す変数に、特に前記取得された調整された道路プロファイル(h)に関係することを特徴とする、請求項17に記載の制御装置。
【請求項19】
前記低域遮断周波数が可変であり、かつ前記ばね又はダンパユニット(11)でそれぞれ利用可能な最大ばね行程値(Δzmax)に関係することを特徴とする、請求項17又は18に記載の制御装置。
【請求項20】
前記低域遮断周波数を超える周波数を有する道路からの加振があるときの前記車体(12)の車体位置(z)が、本質的に変化しないままであるように、前記車体制御システム(26)が、パイロット制御変数(y、z)又は修正されたパイロット制御変数(yPL、yPi)によって影響を受けることを特徴とする、請求項17〜19のいずれか一項に記載の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2010−501389(P2010−501389A)
【公表日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−524922(P2009−524922)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/006845
【国際公開番号】WO2008/022698
【国際公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】