説明

車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム及び評価用信号制御装置並びに車両の評価用エアバッグコントロールユニットとその評価方法、評価用信号生成方法及び信号処理方法

【課題】エアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成する技術を提供する。
【解決手段】車両のエアバッグコントロールユニットの評価システムは、第1信号を生成し、生成した前記第1信号に対するスタート同期情報を生成する加振装置制御機、前記第1信号の周波数に伴いエアバッグコントロールユニットを加振(shaking)する加振装置、第2信号を前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化し、前記エアバッグコントロールユニットへ伝達する信号制御装置、及び前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成し、前記信号制御装置へ伝達するエアバッグコントロールユニットを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム及び評価用信号制御装置並びに車両の評価用エアバッグコントロールユニットとその評価方法、評価用信号生成方法及び信号処理方法に係り、より詳しくは、エアバッグコントロールユニットが加振装置により加振された第1信号と、信号制御装置から印加された第2信号を合算して合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成する車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム及び評価用信号制御装置並びに車両の評価用エアバッグコントロールユニットとその評価方法、評価用信号生成方法及び信号処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図1(a)は、衝突変形感知センサーの車両変形感知原理を示す構成図である。
一般に、エアバッグコントロールユニットは、車両の前後左右に装着されて車両の衝突、又は車体の変形時に発生する周波数信号、すなわち、最大20khzの周波数信号を感知する衝突変形感知センサーと、前記衝突変形感知センサーから感知信号の伝達を受け周波数信号を分析して車両の事故の可否を確認し、エアバッグの動作又は非動作の可否を決定するマイコン(図示省略)を含む。
【0003】
このようなエアバッグシステムは、前記衝突変形感知センサーの周波数信号感知性能が非常に重要である。優れた衝突変形感知センサーの製作のためには、周波数変化に伴う前記衝突変形感知センサーの感知性能を実験及び評価し、評価内容を前記衝突変形感知センサーの製作に反映しなければならない。
従来は、前記衝突変形感知センサーの性能を実験及び評価するため加振装置(shaker)を利用して車両の衝突、又は車体変形時に発生する周波数信号と類似の約1Khz以下の周波数を任意に発生させ、車両の衝突状況を再現した。すると、前記衝突変形感知センサーが前記任意に発生した周波数を感知して出力信号を生成し、マイコンが生成された前記出力信号を利用してエアバッグ動作の可否を決める決定信号を出力し、評価装置が出力された前記決定信号を評価した。
【0004】
図1(b)は、従来の衝突変形感知センサー実験用加振装置の構成を示す側面図である。
ここで、従来の加振装置1の構成をさらに具体的に説明する。従来の加振装置1は往復移送ロード2の先端に設けられるテストプレート3上に、衝突変形感知センサーなどのテスト物品を動かないように固定して載置した状態で、前記テストプレート3を往復移送させながら前記衝突変形感知センサーの出力信号をテストする。
このような従来の加振装置は、衝突変形感知センサーを車両の衝突状況と類似な状況に再現し、前記衝突変形感知センサーの動作特性を容易に評価することができる長所があるが、次のような問題点がある。
【0005】
先に言及したように実際に車両の衝突、又は車体の変形時に発生する周波数信号は最高 20khzまでの帯域幅を有するが、前記加振装置で再現する周波数は約1Khz以下の帯域である。すなわち、前記加振装置を利用すれば、1Khz帯域までの車両の衝突状況を再現することはできるが、1Khz 超過から20Khzまでの周波数帯域に対しては衝突状況を再現することができない問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07−237521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、エアバッグコントロールユニットが加振装置により加振された第1信号と、信号制御装置から印加された第2信号を合算して合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成する車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号制御装置とその評価方法、車両の評価用エアバッグコントロールユニットとその信号処理方法、及び車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム及びその評価方法を提供することにその目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の車両のエアバッグコントロールユニットの評価システムは、第1信号を生成し、生成した前記第1信号に対するスタート同期情報を生成する加振装置制御機、 前記第1信号の周波数に従いエアバッグコントロールユニットを加振(shaking)する加振装置、 第2信号を前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化して前記エアバッグコントロールユニットへ伝達する信号制御装置、 及び前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成し、前記信号制御装置へ伝達するエアバッグコントロールユニットを含むことを特徴とする。
【0009】
本発明は前記第1信号、第2信号及び前記評価用決定信号を利用し、前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価する評価装置をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
前記スタート同期情報は、前記第1信号の開始時刻情報を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号制御装置は、加振装置制御機からエアバッグコントロールユニットの加振(shaking)用第1信号に対するスタート同期情報の伝達を受ける通信モジュール、 第2信号を前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化する同期化モジュール、 及び加振装置で加振された第1信号を感知する前記エアバッグコントロールユニットへ前記第2信号を伝達し、前記エアバッグコントロールユニットが前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力するようにする制御モジュールを含むことを特徴とする。
【0012】
前記制御モジュールは、前記エアバッグコントロールユニットから前記評価用決定信号の伝達を受けて評価装置へ伝達し、前記評価装置が前記評価用決定信号、前記第1信号及び前記第2信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価することを特徴とする。
【0013】
前記第1信号は、1Khz 以下の周波数帯域からなり、前記第2信号は 1Khz 超過 20Khz 以下の周波数帯域でなることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の車両の評価用エアバッグコントロールユニットは、加振装置により発生した第1信号の周波数に対応する加振(shaking)信号を感知するセンサーモジュール、 及び信号制御装置から前記第1信号と時刻同期化された第2信号の入力を受け、入力された前記第2信号及び前記第1信号を利用して合算感知信号を発生させ、発生させた前記合算感知信号を既設定されたエアバッグ動作基準値と比べてエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力するマイコンを含むことを特徴とする。
【0015】
前記マイコンは、前記評価用決定信号を信号制御装置を介して評価装置へ伝達し、前記評価装置が前記第1信号、前記第2信号及び前記評価用決定信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価することを特徴とする。
【0016】
また、、本発明の車両のエアバッグコントロールユニットの評価方法は、(a) 加振装置制御機が第1信号と前記第1信号に対するスタート同期情報を生成する段階、 (b) 加振装置が前記第1信号の周波数に従いエアバッグコントロールユニットを加振(shaking)する段階、 (c) 信号制御装置が第2信号を前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化し、前記エアバッグコントロールユニットへ伝達する段階、 及び (d) エアバッグコントロールユニットが前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成し、前記信号制御装置へ伝達する段階を含むことを特徴とする。
【0017】
本発明は、 (e) 評価装置が前記第1信号、第2信号及び前記評価用決定信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価する段階をさらに含むことを特徴とする。
【0018】
、さらに、本発明の車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号生成方法は、 (a) 加振装置制御機からエアバッグコントロールユニットの加振(shaking)用第1信号に対するスタート同期情報の伝達を受ける段階、 (b) 第2信号を前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化する段階、 及び (c) 加振装置で加振された第1信号を感知する前記エアバッグコントロールユニットへ前記第2信号を伝達し、前記エアバッグコントロールユニットが前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力するようにする段階を含むことを特徴とする。
【0019】
また、本発明は、 (d) 前記エアバッグコントロールユニットから前記評価用決定信号の伝達を受けて評価装置へ伝達し、前記評価装置が前記第1信号、前記第2信号及び前記評価用決定信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価することにする段階をさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の評価用エアバッグコントロールユニットの信号処理方法は、 (a) 加振装置により発生した第1信号の周波数に対応する加振(shaking)信号を感知する段階、 (b) 信号制御装置から前記第1信号と時刻同期化された第2信号の入力を受ける段階、 (c) 前記第1信号及び第2信号を利用して合算感知信号を発生させる段階、 (d) 前記合算感知信号を既設定されたエアバッグ動作基準値と比べてエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力する段階を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明は (e) 前記評価用決定信号を信号制御装置を介し評価装置へ伝達して前記評価装置が前記第1信号、前記第2信号及び前記評価用決定信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価する段階を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、車両のエアバッグコントロールユニットの評価システムのエアバッグコントロールユニットが、加振装置により加振された第1信号と、信号制御装置から印加された第2信号を合算して合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成することができる。また、エアバッグコントロールユニットが加振装置で生成した1Khz以下の低周波帯域の衝突再現信号(第1信号)だけでなく、1Khz 超過 20Khz以下の高周波帯域の衝突再現信号を利用してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成することができるので、エアバッグコントロールユニットに含まれたセンサーの動作特性をさらに精密に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】(a)は、衝突変形感知センサーの車両変形感知原理を示す構成図で、(b)は、従来の衝突変形感知センサー実験用加振装置の構成を示す側面図である。
【図2】本発明に係る車両のエアバッグコントロールユニットの評価システムの構成を示す構成図である。
【図3】本発明の評価用エアバッグコントロールユニットの構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の信号制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の信号制御装置が第2信号を第1信号に対するスタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化する態様を示す構成図である。
【図6】本発明の車両のエアバッグコントロールユニットの評価方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳しく説明する。
図2は、本発明に係る車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム100の構成を示す構成図である。
本発明に係る車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム100は、加振装置制御機10、 加振装置20、 評価用エアバッグコントロールユニット30、 ロードボックス40、信号生成装置50、信号制御装置60、評価装置70 を含む。
加振装置制御機10は、車両の衝突状況を1Khz 以下の周波数帯域で再現した第1信号を生成して加振装置20へ伝達し、第1信号に対するスタート同期情報を生成して信号制御装置60へ伝達する。
【0025】
加振装置(shaker)20は、加振装置制御機10から伝達された第1信号の周波数に従いエアバッグコントロールユニット30を加振(shaking)する。
エアバッグコントロールユニット30は、加振装置20で加振された第1信号を感知し、後述する信号制御装置60から高周波帯域の第2信号(crash sound sensing pulse)の伝達を受ける。なお、エアバッグコントロールユニット30は、第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を生成する。そして、エアバッグコントロールユニット30は生成した合算感知信号を介し、エアバッグの動作の可否に対するアナログ成分の評価用決定信号を生成してロードボックス40へ伝達する。
【0026】
ロードボックス40は、エアバッグコントロールユニット30から伝達された前記アナログ成分の評価用決定信号を、デジタル成分の評価用決定信号(デジタルエアバッグ電流)に変換して信号制御装置60へ伝達する。
信号生成装置50は、車両の衝突状況を1Khz 超過20Khz以下の周波数帯域に再現した第2信号を生成して信号制御装置60へ伝達する。
信号制御装置60は、加振装置制御機10から第1信号に対するスタート同期情報の伝達を受け、信号生成装置50から第2信号の伝達を受ける。
なお、信号制御装置60は、スタート同期情報を利用して第2信号を第1信号と時刻同期化して加振装置20へ伝達(injection)する。一方、信号制御装置60は、ロードボックス40から伝達されたデジタル成分の評価用決定信号を評価装置70へ伝達する。
【0027】
評価装置70は、加振装置制御機10 及び信号制御装置60に連係されて第1信号、第1信号と時刻同期化された第2信号及びデジタル成分の評価用決定信号を獲得する。なお、評価装置70は、獲得した第1信号、時刻同期化された第2信号及びデジタル成分の評価用決定信号の動作特性 (例えば、第1信号及び第2信号別の評価用決定信号の生成時間、周波数の特性に伴う評価用決定信号の生成の可否など) を利用し、エアバッグコントロールユニット30の動作特性を評価する。
【0028】
以下、本発明に係る車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム100を構成要素別にさらに具体的に説明する。

― 加振装置制御機10の構成 ―
加振装置制御機10は、車両の衝突状況を1Khz以下の周波数に再現した第1信号(shaker pulse)を生成し、生成した前記第1信号に対するスタート同期情報を生成する。ここで、スタート同期情報 (時刻同期情報)は、第1信号の開始時刻情報を含む。すなわち、スタート同期情報は、第1信号で衝突状況に対する周波数が始まる相対的な開始時刻情報を波形の変化 (例えば、矩形波が 0から1に変わる時点)で表現する。例えば、第1信号で 40ms 地点から周波数が生成され始めたのであれば、 40ms 地点を開始時刻に表示する。ここに、スタート同期情報を獲得すれば、第1信号が始まる相対的な開始時刻情報を把握することができる。このような加振装置制御機10は、後述する評価装置70と連動され、評価装置70が第1信号を獲得できるようにする。
【0029】
― 加振装置20の構成 ―
加振装置20は、往復移送ロードの先端に設けられるテストプレート上にエアバッグコントロールユニット30を動かないように固定し、載置した状態で加振装置制御機10から伝達された第1信号の周波数に対応するようにテストプレートを往復移送させて加振(shaking)信号を発生させる。
【0030】
― 評価用エアバッグコントロールユニット30の構成 ―
通常のエアバッグコントロールユニットは、普通車両の前方又は後方に設けられエアバッグの動作の可否を判断し、判断結果に応じてエアバッグの動作又は非動作の可否を決める役割を果たす。本発明の評価用エアバッグコントロールユニット30は、車両に設けられるエアバッグコントロールユニット30を評価するため構成したものである。
【0031】
図3は、本発明の評価用エアバッグコントロールユニット30の構成を示すブロック図である。
このようなエアバッグコントロールユニット30は、センサーモジュール32、 マイコン34 などを含む。
センサーモジュール32は、好ましくは衝突変形感知センサーに設けられ、加振装置20により発生した第1信号の周波数に対応する加振(shaking)信号を感知する。なお、センサーモジュール32は、感知した加振信号を再び第1信号に変換してマイコン34に伝達する役割を果たす。
【0032】
マイコン34は、後述する信号制御装置60から第1信号と時刻同期化された第2信号の入力を受ける。なお、マイコン34は、センサーモジュール32から伝達された第1信号と、第2信号を一つに合算して合算感知信号を生成する。ここで、マイコン34は、第1信号と第2信号が互いに時刻的に同期化された状態なので、低周波帯域が第1信号と高周波帯域の第2信号を容易に合算感知信号として合算することができる。このように合算した合算感知信号は、1Khz 以下の帯域の低周波帯域及び 1Khz 超過 20Khz 以下の高周波帯域が共存することになる。
【0033】
また、マイコン34は生成した合算感知信号を既設定されたエアバッグ動作基準値と比べ、エアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力する。例えば、マイコン34は、合算感知信号を利用して一定時間当たり周波数信号をエネルギー量(衝撃量)に換算する。そして、マイコン34は、換算したエネルギー量が既設定されたエアバッグ動作基準値の以上であれば、エアバッグを動作させることを命令するアナログ成分の評価用決定信号を出力し、後述するロードボックス40へ伝達する。その反面、マイコン34は、換算したエネルギー量が既設定されたエアバッグ動作基準値より小さければ、何等の信号も出力しない。
【0034】
― ロードボックス40の構成 ―
ロードボックス40は、車両の環境エアバッグ環境を仮想で再現しておいたものである。このようなロードボックス40は、評価用エアバッグコントロールユニット30から伝達されたアナログ成分の評価用決定信号を、デジタル評価用決定信号 (デジタルエアバッグ電流)に変換する。すなわち、通常の車両であれば、通常のエアバッグコントロールユニットからアナログ評価用決定信号の伝達を受ければエアバッグを動作させることになる。ここで、ロードボックス40は、通常の車両の役割を果たす。
【0035】
すなわち、ロードボックス40は、通常の車両のようにエアバッグを動作させることではなく、アナログ評価用決定信号をデジタル評価用決定信号へ変換し、後述する信号制御装置60へ伝達して車両の役割の代わりをする。ここに、信号制御装置60が、デジタル評価用決定信号の伝達を受け、伝達されたデジタル評価用決定信号の発生(生成) 時刻が分析される。

― 信号生成装置50の構成 ―
信号生成装置50は、車両の衝突状況を1Khz超過20Khz以下の周波数帯域で再現(sampling)した第2信号を生成し、信号制御装置60へ伝達する。
【0036】
― 信号制御装置60の構成 ―
図4は、本発明の信号制御装置60の構成を示すブロック図である。
信号制御装置60は通信モジュール62、同期化モジュール64、制御モジュール66 などを含む。
通信モジュール62は、信号生成装置50から第2信号を伝達され、加振装置制御機10からエアバッグコントロールユニット30の加振(shaking)用第1信号に対するスタート同期情報の伝達を受ける。
図 5は、本発明の信号制御装置60が第2信号を第1信号に対するスタート同期情報を利用し、第1信号と時刻同期化する態様を示す構成図である。
同期化モジュール64は、スタート同期情報を利用して第2信号の周波数開始時刻を第1信号の周波数開始時刻と互いに同期化する。
【0037】
すなわち、スタート同期情報には、第1信号の周波数に対する開始時刻情報 (例えば40ms地点)が含まれている。ここに、同期化モジュール64は、第2信号の周波数に対する開始時刻をタイムシフト(time−shift) などの方法を介し、第2信号の周波数に対する開始時刻と互いに一致 (時間軸一致)させることができる。すなわち、第2信号の周波数に対する開始時刻が実際に20msであれば、第2信号の周波数の開始時刻が40msとなるよう、第2信号の周波数を20msほどタイムシフトする。ここに、第1信号及び第2信号の周波数に対する開始時刻が全て40msと同一になる。
【0038】
制御モジュール66は、第1信号と時刻同期化された第2信号を通信モジュール62を利用してエアバッグコントロールユニット30へ伝達する。 なお、制御モジュール66は、ロードボックス40から伝達されたデジタル評価用決定信号を、通信モジュール62を介し評価装置70へ伝達する役割を果たす。さらに、制御モジュール66は、第1信号と時刻同期化された第2信号を評価装置70へ伝達する。
【0039】
― 評価装置70の構成 ―
評価装置70は、加振装置制御機10と連係して第1信号を獲得し、信号生成装置50と連係して第1信号と時刻同期化された第2信号を獲得する。 このような第1信号及び第2信号は、デジタル評価用決定信号に対する発生時刻を把握する基準となる。すなわち、評価装置70は、第1信号と第2信号の周波数に対する開始時刻が分かれば、開始時刻を基準時間として評価用決定信号が発生した時刻(伝達された時刻を介して把握)を代入し、評価用決定信号が発生する時点前の第1信号及び第2信号の周波数信号の特性を把握することができる。
【0040】
例えば、60ms地点及び80ms地点でのエネルギー量が既設定されたエアバッグ動作基準値を超過し、エアバッグコントロールユニット30が評価用決定信号を 90ms 地点で出力した場合、評価装置70はエアバッグコントロールユニット30の反応時間 (評価用決定信号生成時間)を10msで把握することができる。一方、評価装置70は、実際に加振装置制御機10と信号生成装置50を介して伝達された第1信号及び第2信号の周波数特性と、決定信号の生成との関係を利用してエアバッグコントロールユニット30が実際に第1信号及び第2信号の如何なる周波数特性時に決定信号を発生させるかの可否、すなわち周波数に伴う反応特性を評価することができる。
【0041】
以下、本発明に係る車両のエアバッグコントロールユニット30の評価方法を説明する。
図6は、本発明に係る車両のエアバッグコントロールユニット30の評価方法を示すフローチャートである。
先ず、加振装置制御機10が車両の衝突状況を1Khz以下の周波数に再現した第1信号を生成して加振装置20へ伝達し、第1信号に対するスタート同期情報を生成して信号制御装置60へ伝達する(S100)。
次いで、加振装置20は、加振装置制御機10から伝達された第1信号の周波数に伴いエアバッグコントロールユニット30を加振(shaking)する(S102)。
【0042】
次いで、信号生成装置50は、車両の衝突状況を1Khz 超過 20Khz 以下の周波数帯域に再現した第2信号を生成して信号制御装置60へ伝達する(S104)。
信号制御装置60は、第2信号をスタート同期情報を利用して第1信号と時刻同期化し、時刻同期化された第2信号をエアバッグコントロールユニット30へ伝達する(S106)。
エアバッグコントロールユニット30は、信号制御装置60から第2信号の伝達を受け、加振装置20で発生する加振信号を感知して第1信号に再度変換し、変換した第1信号及び第2信号を合算して合算感知信号を生成する(S108)。
【0043】
エアバッグコントロールユニット30は、合算感知信号を既設定されたエアバッグ動作基準値と比べてエアバッグの動作の可否に対するアナログ評価用決定信号を出力し、出力したアナログ評価用決定信号をロードボックス40へ伝達する(S110)。
ロードボックス40は、アナログ評価用決定信号をデジタル評価用決定信号に変換し、信号制御装置60を介して評価装置70へ伝達すれば、 評価装置70は加振装置制御機10 及び信号生成装置50と連係して第1信号、第2信号を獲得し、獲得した第1信号、第2信号の周波数特性に応じたデジタル評価用決定信号の発生時刻を分析し、エアバッグコントロールユニット30の反応時間、周波数に伴う反応特性を評価する(S112)。
【0044】
以上、本発明に関する好ましい実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0045】
10: 加振装置制御機
20: 加振装置
30: 評価用エアバッグコントロールユニット
40: ロードボックス
50: 信号生成装置
60: 信号制御装置
70: 評価装置
100: 車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のエアバッグコントロールユニットの評価システムであって、
第1信号を生成し、生成した前記第1信号に対するスタート同期情報を生成する加振装置制御機、
前記第1信号の周波数に伴いエアバッグコントロールユニットを加振する加振装置、
第2信号の前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化し、前記エアバッグコントロールユニットへ伝達する信号制御装置、 及び
前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成し、前記信号制御装置へ伝達するエアバッグコントロールユニット、
を含むことを特徴とする車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム。
【請求項2】
前記第1信号、第2信号及び前記評価用決定信号を利用し、前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価する評価装置をさらに含むことを特徴とする請求項1記載の車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム。
【請求項3】
前記スタート同期情報は、前記第1信号の開始時刻情報を含むことを特徴とする請求項1記載の車両のエアバッグコントロールユニットの評価システム。
【請求項4】
車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号制御装置であって、
加振装置制御機からエアバッグコントロールユニットの加振用第1信号に対するスタート同期情報の伝達を受ける通信モジュール、
第2信号を前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化する同期化モジュール、 及び
加振装置で加振された第1信号を感知する前記エアバッグコントロールユニットに前記第2信号を伝達し、前記エアバッグコントロールユニットが前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力するようにする制御モジュール、
を含むことを特徴とする車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号制御装置。
【請求項5】
前記制御モジュールは
前記エアバッグコントロールユニットから前記評価用決定信号を伝達され評価装置へ伝達し、前記評価装置が前記評価用決定信号、前記第1信号及び前記第2信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価するようにすることを特徴とする請求項4記載の車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号制御装置。
【請求項6】
前記スタート同期情報は、前記第1信号の開始時刻情報を含むことを特徴とする請求項4記載の車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号制御装置。
【請求項7】
前記第1信号は1Khz以下の周波数帯域からなり、前記第2信号は1Khz超過 20Khz以下の周波数帯域からなることを特徴とする請求項4記載の車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号制御装置。
【請求項8】
車両の評価用エアバッグコントロールユニットであって、
加振装置により発生した第1信号の周波数に対応する加振信号を感知するセンサーモジュール、 及び
信号制御装置から前記第1信号と時刻同期化された第2信号の入力を受け、入力された前記第2信号及び前記第1信号を利用して合算感知信号を発生させ、発生させた前記合算感知信号を既設定されたエアバッグ動作基準値と比べてエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力するマイコン、
を含むことを特徴とする車両の評価用エアバッグコントロールユニット。
【請求項9】
前記マイコンは、前記評価用決定信号を信号制御装置を介して評価装置へ伝達し、前記評価装置が前記第1信号、前記第2信号及び前記評価用決定信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価するようにすることを特徴とする請求項8記載の車両の評価用エアバッグコントロールユニット。
【請求項10】
前記スタート同期情報は、前記第1信号の開始時刻情報を含むことを特徴とする請求項9記載の車両の評価用エアバッグコントロールユニット。
【請求項11】
前記第1信号は1Khz以下の周波数帯域からなり、前記第2信号は1Khz超過 20Khz以下の周波数帯域からなることを特徴とする請求項9記載の車両の評価用エアバッグコントロールユニット。
【請求項12】
車両のエアバッグコントロールユニットの評価方法であって、
(a) 加振装置制御機が、第1信号と前記第1信号に対するスタート同期情報を生成する段階、
(b) 加振装置が、前記第1信号の周波数に伴いエアバッグコントロールユニットを加振する段階、
(c) 信号制御装置が、第2信号を前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化し、前記エアバッグコントロールユニットへ伝達する段階、 及び
(d) エアバッグコントロールユニットが、前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を生成し、生成した合算感知信号を介してエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を生成し、前記信号制御装置へ伝達する段階、
を含むことを特徴とする車両のエアバッグコントロールユニットの評価方法。
【請求項13】
(e) 評価装置が前記第1信号、第2信号及び前記評価用決定信号を利用し、前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価する段階をさらに含むことを特徴とする請求項12記載の車両のエアバッグコントロールユニットの評価方法。
【請求項14】
車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号生成方法であって、
(a) 加振装置制御機からエアバッグコントロールユニットの加振用第1信号に対するスタート同期情報の伝達を受ける段階、
(b) 第2信号を、前記スタート同期情報を利用して前記第1信号と時刻同期化する段階、 及び
(c) 加振装置で加振された第1信号を感知する前記エアバッグコントロールユニットに前記第2信号を伝達し、前記エアバッグコントロールユニットが前記第1信号及び第2信号に対する合算感知信号を介し、エアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力するようにする段階、
を含むことを特徴とする車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号生成方法。
【請求項15】
(d) 前記エアバッグコントロールユニットから前記評価用決定信号を伝達され評価装置へ伝達し、前記評価装置が前記第1信号、前記第2信号及び前記評価用決定信号を利用し、前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価するようにする段階をさらに含むことを特徴とする請求項14記載の車両のエアバッグコントロールユニット評価用信号生成方法。
【請求項16】
評価用エアバッグコントロールユニットの信号処理方法であって、
(a) 加振装置により発生した第1信号の周波数に対応する加振信号を感知する段階、
(b) 信号制御装置から前記第1信号と時刻同期化された第2信号の入力を受ける段階、
(c) 前記第1信号及び第2信号を利用して合算感知信号を発生させる段階、
(d) 前記合算感知信号を、既設定されたエアバッグ動作基準値と比べてエアバッグの動作の可否に対する評価用決定信号を出力する段階、
を含むことを特徴とする車両の評価用エアバッグコントロールユニットの信号処理方法。
【請求項17】
(e) 前記評価用決定信号を、信号制御装置を介して評価装置へ伝達し、前記評価装置が前記第1信号、前記第2信号及び前記評価用決定信号を利用して前記エアバッグコントロールユニットの動作特性を評価するようにする段階を含むことを特徴とする請求項16記載の車両の評価用エアバッグコントロールユニットの信号処理方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−73217(P2012−73217A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269472(P2010−269472)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【出願人】(500518050)起亞自動車株式会社 (449)
【出願人】(510318734)コンチネンタルオートモーティブシステムズコーポレーション (1)
【Fターム(参考)】