説明

車両のカウル部構造

【課題】カウル空間における衝撃緩和機能を確保しつつ、ステアリングメンバの補強効果と、雨水の進入防止効果とが同時に得られるようにする。
【解決手段】ダッシュアッパパネル3と、カウルアッパパネル5とを備えた車両のカウル部構造であって、上記カウルアッパパネル5の縦面部25がダッシュアッパパネル3の後面部10側に接合されるとともに、上記カウルアッパパネル5の面剛性がダッシュアッパパネル3よりも低く設定され、かつ該ダッシュアッパパネル3の後面部10であってその車幅方向中間部位には、車室内側のステアリングメンバ8を支持するステー14が締結ボルト15で締結され、上記ダッシュアッパパネル3の上方に形成されたカウル空間12内には、ステー締結部16の車幅方向の内側方部を通って前方に延びる側辺部19と、上記ステー締結部16の前方部を通って車幅方向の外方側に延びる前辺部20とを有する雨水バッフル板21が設置された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダッシュロアパネルの上端部に接合されて車室内側に延びる底面部およびその後端から上方へ延びる縦面部を有するダッシュロアパネルと、フロントウインドガラスの下端を支持する前端側のガラス支持面部から車両後方側に延びる上面部およびその後端から下方へ延びる縦面部とを有するカウルアッパパネルとを備えた車両のカウル部構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、車両の構造部材と該車両のフロントウインドガラス(フロントウインドシールドガラス)の間に配置されるとともに、該車両のフロントウインドガラスの下側を車両後方側から支持するカウル部材を備えた車両のカウルトップ構造において、上記カウル部材に、車両のフロントウインドガラスの下側を車幅方向に沿って支持するガラス支持部が設けられるカウルアッパパネル(カウルトップアウタ)と、該カウルアッパパネルに上記ガラス支持部よりも後方で連結されるとともに、該カウルアッパパネルとの連結部よりも下方で上記構造部材に結合されて、車両前後方向にて前方に開口する開断面を上記カウルアッパパネルとで形成するダッシュアッパパネル(カウルトップインナ)とを設け、該ダッシュアッパパネルに、車幅方向に亘って上記構造部材との結合部から上方に延びるとともに上端が上記カウルアッパパネルとの連結部より下方に位置するビードを複数形成することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−023536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示されたカウルトップ構造では、フロントウインドガラス上に歩行者が倒れ込む等によりカウルアッパパネルのガラス支持部に上方から外部荷重が作用した際に、ダッシュアッパパネルに設けられたビードを上記荷重に対する剛性部材として機能させるとともに、該ビードよりも上方に荷重を作用させることにより、当該個所でダッシュアッパパネルを容易に塑性変形させて上記歩行者が受ける衝撃を緩和することが可能である。
【0005】
また、上記ダッシュアッパパネルの後方側に配設されたステアリングシャフトの支持剛性を向上させるために、ステアリングメンバから前方に延びるステーを上記ダッシュアッパパネルの後面部に締結ボルト締結することも考えられるが、この場合には、カウル空間内内に侵入した雨水が上記ステーのステー締結部から車室内に進入するのを防ぐために、上記カウル空間内にバッフルプレートを設置して上記ステー締結部を囲繞する等の手段を講じる必要がある。
【0006】
しかし、上記のようにステー締結部の周囲を囲繞するバッフルプレートをカウル空間内に配設した場合には、上記カウルアッパパネルに設けられたガラス支持部の変形抵抗が増大するため、上記フロントウインドガラス上に歩行者が倒れ込む等によりカウルアッパパネルのガラス支持部に上方から外部荷重が作用した際に、上記歩行者が受ける衝撃を緩和することができない可能性がある。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、カウル空間における衝撃緩和機能を確保しつつ、ステアリングメンバの補強効果と、雨水の進入防止効果とが同時に得られる車両のカウル部構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、ダッシュロアパネルの上端部に接合されて車室内側に延び底面部およびその後端から上方へ延びる後面部を有するダッシュアッパパネルと、フロントウインドガラスの下端を支持する前端側のガラス支持面部から車両後方側に延びる上面部およびその後端から下方へ延びる縦面部を有するカウルアッパパネルとを備えた車両のカウル部構造であって、上記カウルアッパパネルの縦面部がダッシュアッパパネルの後面部側に接合されるとともに、上記カウルアッパパネルの面剛性がダッシュアッパパネルよりも低く設定されることにより、上記フロントウインドガラス側から外部荷重を受けたときにガラス支持面部を下方に変形させてエネルギーを吸収するように構成され、かつ上記ダッシュアッパパネルの後面部であってその車幅方向中間部位には、車室内側のステアリングメンバを支持するステーが締結ボルトで締結されるステー締結部が設けられ、上記ダッシュアッパパネルの上方に形成されたカウル空間内には、上記ステー締結部の車幅方向の内方側部を通って前方に延びる側辺部と、該側辺部の前端部から上記ステー締結部の前方部を通って車幅方向の外方側に延びる前辺部とを有する雨水バッフル板が設置されたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両のカウル部構造において、上記雨水バッフル板の面剛性が、ダッシュアッパパネルよりも低く設定されたものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両のカウル部構造において、ダッシュアッパパネルには、空調用開口部が上記ステー締結部の車幅方向の外側に横長状に形成され、上記雨水バッフル板の前辺部が空調用開口部の前方部を通って横長状に延びるように設置されたものである。
【0011】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のカウル部構造において、ダッシュアッパパネルの底面部と後面部との接続部に後上がりの傾斜面部が設けられるとともに、上記ステー締結部に締結ボルトの頭部が当接する座面が上記カウル空間の奥まった位置に形成されたものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、比較的大きな面剛性を有するダッシュアッパパネルの後面部に車室内側のステアリングメンバを支持するステーを締結ボルトで締結したため、該ステーによりステアリングメンバを効果的に補強することができるとともに、上記ステー締結部の車幅方向の内方側部を通って前方に延びる側辺部と、該側辺部の前端部から上記ステー締結部の前方部を通って車幅方向の外方側に延びる前辺部とを有する雨水バッフル板を設置したため、車両を後下がりの傾斜状態で駐車した場合等に、上記カウルグリルの外気取入口等からカウル空間内に進入した雨水が上記ステー締結部に形成されたボルト挿通孔から車室内側に浸入すること等を効果的に防止できるという利点がある。しかも、上記雨水バッフル板を設けた場合においても、ガラス支持面部の下方への変形が阻害されることがなく、衝突エネルギーを適正に吸収できるという利点がある。
【0013】
請求項2に係る発明では、上記雨水バッフル板の面剛性を、ダッシュアッパパネルよりも低く設定したため、上記ガラス支持面部を下方に変形させる外部荷重の入力時に上記雨水バッフル板を、より容易に変形させることができ、該雨水バッフル板を上記カウル空間内に設置したにも拘わらず、上記フロントウインドガラス上に倒れ込んだ障害物が受ける衝突エネルギーを効果的に緩和できるという利点がある。
【0014】
請求項3に係る発明では、ダッシュアッパパネルに空調用開口部を上記ステー締結部の車幅方向の外側に横長状に形成し、上記雨水バッフル板の前辺部を空調用開口部の前方部を通って横長状に延びるように設置したため、上記雨水バッフル板によりステー締結部および空調用開口部の両方を同時に覆うことができ、簡単な構成で効果的に雨水対策を施すことができるという利点がある。
【0015】
請求項4に係る発明では、ダッシュアッパパネルの底面部と後面部との接続部に後上がりの傾斜面部を設けるとともに、上記ステー締結部に締結ボルトの頭部が当接する座面を上記カウル空間の奥まった位置に形成したため、該カウル空間内に挿入した工具の操作性を確保して上記締結ボルトの頭部を適正に回動操作できるとともに、雨水が溜まり易い傾向がある上記座面の設置部への雨水の浸入防止効果が顕著に得られるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る車両のカウル部構造の実施形態を示す側面断面図である。
【図2】上記カウル部構造の具体的構成を示す斜視図である。
【図3】上記カウル部構造の具体的構成を示す斜視図である。
【図4】上記カウル部構造の具体的構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図4は、本発明に係る車両のカウル部構造の実施形態を示している。この車両のカウル部構造は、前方のエンジンルームとその後方の車室とを区画するダッシュロアパネル1と、その上端部から車両前方側に延びるカウルクロスメンバ2と、上記ダッシュロアパネル1の上端部から車両後方側に延びるダッシュアッパパネル3と、その上方においてフロントウインドガラス4の下端部を支持するカウルアッパパネル5と、該カウルアッパパネル5の上方に配設された合成樹脂製のカウルグリル6とを有し、該カウルグリル6には、外気の取入口が所定位置に形成されている。
【0018】
上記ダッシュロアパネル1の背面側上部には、車幅方向に延びる断面ハット型のダッシュロアレイン7がスポット溶接等の手段で固定されている。また、上記ダッシュアッパパネル3の後方の車室内側には、図外のステアリングシャフトを支持するパイプ材等からなるステアリングメンバ8が車幅方向に延びるように設置され、該ステアリングメンバ8の左右両端部がフロントピラーの内側面等に固定されている。
【0019】
上記ダッシュアッパパネル3は、ダッシュロアパネル1の上端部から車両後方側に延びる底面部9と、その後端から上方へ延びる後面部10と、その上端から車両後方側に突設されたフランジ部11とを有し、上記底面部9と後面部10との接続部には後上がりの傾斜面部9aが設けられている。そして、上記ダッシュアッパパネル3の上方には、カウル空間12が形成されている。また、上記底面部9の車幅方向の一側方部(助手席の前方側部)には、所定の面積を有する空調用開口部13が横長状に形成されている。
【0020】
上記ダッシュアッパパネル3の後面部10には、その車幅方向中間部位で、かつ上記空調用開口部13の車幅方向内方側部位に、ステアリングメンバ8から前方に延びるステー14が締結ボルト15で締結されるステー締結部16が設けられている。該ステー締結部16には、締結ボルト15の挿通孔が形成されるとともに、上記ダッシュアッパパネル3の底面部9と後面部10との接続部に後上がりの傾斜面部9aを設けることなく、該後面部10の下端部を下方に延ばすことにより、締結ボルト15の頭部が当接する座面がカウル空間12の奥まった位置に形成されている。
【0021】
そして、上記締結ボルト15のねじ軸をダッシュアッパパネル3の後面部10の前方側から上記ステー締結部16の挿通孔に挿入した後、上記カウル空間12内に挿入した工具で締結ボルト15の頭部を回動操作することにより、上記ステー14の前端部に設けられたナット18に上記締結ボルト15のねじ軸を螺着する。このようにしてステー締結部16に設けられた座面に上記ステー14の前端部が締結され、該ステー14によりステアリングメンバ8が支持されるようになっている。
【0022】
また、上記ダッシュアッパパネル3の上方に形成されたカウル空間12内には、上記ステー締結部16の車幅方向一側方部を通ってその前方、つまり上記ダッシュアッパパネル3の後面部10からステー締結部16の車幅方向の内方側部(運転席側部)を通って車両の前方側に延びる側辺部19と、該側辺部19の前端部から上記ステー締結部16および空調用開口部13の前方部を通って車幅方向の外方側へ横長状に延びる前辺部20とを有する雨水バッフル板21が配設されている。
【0023】
上記雨水バッフル板21は、その下端部に設けられたフランジ部22が上記ダッシュアッパパネル3の底面部9にスポット溶接されることにより、上記カウル空間12内に進入した雨水がステー締結部16および空調用開口部13に流入するのを防止するように設置されている。また、上記雨水バッフル板21の板厚がダッシュアッパパネル3よりも薄く形成される等により、上記雨水バッフル板21の面剛性がダッシュアッパパネルよりも低く設定されている。なお、雨水バッフル板21のフランジ部22とアッシュアッパパネル3の底面部との間に、その溶接前にシール剤を介在させ、あるいは溶接後にフランジ部22に沿ってシール剤を塗布することにより、上記雨水バッフル板21の設置部をシールすることが望ましい。
【0024】
上記カウルアッパパネル5は、フロントウインドガラス4の下端部が接着剤により接着されたガラス支持面部23と、その後端から車両後方側に延びる上面部24と、その後端から下方に延びる縦面部25と、その下端から車両後方に延びるフランジ部26とを有している。該フランジ部26が上記ダッシュアッパパネル3の後端部に設けられたフランジ部11にスポット溶接されることにより固着されている。
【0025】
そして、上記ダッシュアッパパネル3の底面部9と後面部10との接続部には、該接続部の断面二次モーメントを増大させて面剛性を高めるための後上がりの傾斜面部9aが設けられている。これに対して上記カウルアッパパネル5は、ガラス支持面部23の後端から車両後方側に延びる上面部24と、その後端部から前傾姿勢で下方に延びる所定長さの直線状部からなる縦面部25とが所定角度で接続されることにより、その面剛性がダッシュアッパパネル3よりも低く設定されている。これにより上記フロントウインドガラス側からの外部荷重Kがカウルアッパパネル5に作用したときに上記ガラス支持面部23が下方に変形して衝撃エネルギーが吸収されるようになっている。なお、上記カウルアッパパネル5の面剛性をダッシュアッパパネル3よりもさらに低く設定するために、上記カウルアッパパネル5の板厚をダッシュアッパパネル3よりも薄く形成してもよい。
【0026】
上記のようにダッシュロアパネル1の上端部に接合されて車室内側に延びる底面部9およびその後端から上方へ延びる後面部10を有するダッシュアッパパネル3と、フロントウインドガラス4の下端を支持する前端側のガラス支持面部23から車両後方側に延びる上面部およびその後端から下方へ延びる縦面部25を有するカウルアッパパネル5とを備えた車両のカウル部構造において、上記カウルアッパパネル5の縦面部25をダッシュアッパパネル3の後面部10側に接合するとともに、上記カウルアッパパネル5の面剛性をダッシュアッパパネル3よりも低く設定し、上記フロントウインドガラス4側から外部荷重Kを受けたときにガラス支持面部23を下方に変形させてエネルギーを吸収するように構成し、かつ上記ダッシュアッパパネル3の後面部10であってその車幅方向中間部位に、車室内側のステアリングメンバ8を支持するステー14を締結ボルト15で締結するステー締結部16を設けるとともに、上記ダッシュアッパパネル3の上方に形成されたカウル空間12内に、上記ステー締結部16の車幅方向の内方側部を通って前方に延びる側辺部19と、該側辺部19の前端部から上記ステー締結部16の前方部を通って車幅方向の外方側に延びる前辺部20とを有する雨水バッフル板21を設置したため、カウル空間12における衝撃緩和機能を確保しつつ、ステアリングメンバ8の補強効果と、勾配地面の駐車時等における雨水Uの進入防止効果とが同時に得られるという利点がある。
【0027】
すなわち、上記のように比較的大きな面剛性を有するダッシュアッパパネル3の後面部10に車室内側のステアリングメンバ8を支持するステー14を締結ボルト15で締結することにより、該ステー14によりステアリングメンバ8を効果的に補強することができる。したがって、上記ステアリングメンバ8によりステアリングシャフトを効果的に支持することができ、該ステアリングシャフトが振動するのを効率よく抑制できる等の利点がある。そして、上記ステー締結部16の車幅方向の内方側部を通って前方に延びる側辺部19と、該側辺部19の前端部から上記ステー締結部16の前方部を通って車幅方向の外方側に延びる前辺部20とを有する雨水バッフル板21を設置することにより、上記カウルグリル6の外気取入口等からカウル空間12内に進入した雨水Uが上記ステー締結部16に形成されたボルト挿通孔から車室内側に浸入すること等を効果的に防止できるという利点がある。
【0028】
なお、上記雨水バッフル板に代えて、ステー締結部16の前方部および左右両側辺部を覆うように設置される平面視でコ字状に形成されたバッフルプレートを設けることも考えられるが、この場合には、フロントウインドガラス4の下方に障害物が衝突する等により外部荷重Kが作用したときにガラス支持面部23の下方への変形が上記バッフルプレートにより阻害される可能性がある。すなわち、ガラス支持面部23の下方への変形は窪み状であり、バッフルプレートがコ字状であると、パップリプレーとの上縁部全体に荷重を受けてその側辺部が倒れ変形しにくくなるからである。
【0029】
これに対して上記ステー締結部16の車幅方向の内方側部を通って前方に延びる側辺部19と、該側辺部19の前端部から上記ステー締結部16の前方部を通って車幅方向の外方側に延びる前辺部20とを有する雨水バッフル板21を設けた場合には、一つの側辺部19、または該側辺部19と上記前辺部20とのつながり形状であって倒れ変形し易いため、上記外部荷重Kに応じてガラス支持面部23の下方への変形が阻害されることがなく、衝突エネルギーを適正に吸収して上記障害物が受ける衝撃を効果的に緩和できるという利点がある。
【0030】
特に、上記実施形態に示すように、雨水バッフル板21の面剛性を、ダッシュアッパパネル3よりも低く設定した場合には、上記ガラス支持面部23を下方に変形させる外部荷重Kの入力時に上記雨水バッフル板21を、より容易に変形させることができる。したがって、該雨水バッフル板21を上記カウル空間12内に設置したにも拘わらず、上記フロントウインドガラス4上に倒れ込んだ障害物が受ける衝突エネルギーを効果的に緩和できるという利点がある。
【0031】
また、上記実施形態では、ダッシュアッパパネル3のステー締結部16の車幅方向の外側には空調用開口部13が横長状に形成された車両のカウル部構造において、該空調用開口部13の前側部を横長状に延びるように雨水バッフル板21の前辺部を設置したため、該雨水バッフル板21により上記ステー締結部16および空調用開口部13の両方を同時に覆うことができ、簡単な構成で効果的に雨水対策を施すことができるという利点がある。
【0032】
さらに、上記実施形態では、ダッシュアッパパネル3の底面部9と後面部10との接続部に後上がりの傾斜面部9aを設けたため、上記底面部9と後面部10とのの断面二次モーメントを増大させて面剛性を高めることができる。しかも、上記ステー締結部16の設置部には、上記傾斜面部9aを設けることなく、締結ボルト15の頭部が当接する座面をカウル空間12の奥まった位置に形成したため、上記カウル空間12内に挿入した工具の操作性を確保して上記締結ボルト15の頭部を適正に回動操作することができる。そして、上記ステー締結部16の設置部に締結ボルト15の頭部が当接する座面をカウル空間12の奥まった位置に形成した場合には、該座面の設置部に雨水Uが溜まり易くなる懸念があるが、上記雨水バッフル板21を設けることによる雨水の浸入防止効果が顕著に得られるという利点がある。
【符号の説明】
【0033】
1 ダッシュロアパパネル
3 ダッシュアッパパネル
4 フロントウインドガラス
8 ステアリングメンバ
9 底面部
9a 傾斜面部
10 後面部
12 カウル空間
13 空調用開口部
15 締結ボルト
16 ステー締結部
19 側辺部
20 前辺部
21 雨水バッフル板
23 ガラス支持面部
24 上面部
25 縦面部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュロアパネルの上端部に接合されて車室内側に延び底面部およびその後端から上方へ延びる後面部を有するダッシュアッパパネルと、フロントウインドガラスの下端を支持する前端側のガラス支持面部から車両後方側に延びる上面部およびその後端から下方へ延びる縦面部を有するカウルアッパパネルとを備えた車両のカウル部構造であって、上記カウルアッパパネルの縦面部がダッシュアッパパネルの後面部側に接合されるとともに、上記カウルアッパパネルの面剛性がダッシュアッパパネルよりも低く設定されることにより、上記フロントウインドガラス側から外部荷重を受けたときにガラス支持面部を下方に変形させてエネルギーを吸収するように構成され、かつ上記ダッシュアッパパネルの後面部であってその車幅方向中間部位には、車室内側のステアリングメンバを支持するステーが締結ボルトで締結されるステー締結部が設けられ、上記ダッシュアッパパネルの上方に形成されたカウル空間内には、上記ステー締結部の車幅方向の内方側部を通って前方に延びる側辺部と、該側辺部の前端部から上記ステー締結部の前方部を通って車幅方向の外方に延びる前辺部とを有する雨水バッフル板が設置されたことを特徴とする車両のカウル部構造。
【請求項2】
上記雨水バッフル板の面剛性が、ダッシュアッパパネルよりも低く設定されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のカウル部構造。
【請求項3】
ダッシュアッパパネルには、空調用開口部が上記ステー締結部の車幅方向の外側に横長状に形成され、上記雨水バッフル板の前辺部が空調用開口部の前方部を通って横長状に延びるように設置されたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のカウル部構造。
【請求項4】
ダッシュアッパパネルの底面部と後面部との接続部に後上がりの傾斜面部が設けられるとともに、上記ステー締結部に締結ボルトの頭部が当接する座面が上記カウル空間の奥まった位置に形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のカウル部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−91556(P2012−91556A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238249(P2010−238249)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】