説明

車両のサスペンシヨン装置

【構成】 ばね上とばね下との間に、ショックアブソーバ1、2、3、4を備え、車体の上下振動に応じて、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を変更制御する車両のサスペンション装置において、ショックアブソーバの減衰力を変更するステップモータ27と、ステップモータに制御信号を出力するコントロールユニット8を備え、ショックアブソーバの減衰力がハードからソフトに切換えられるとき、コントロールユニット8が、乗り心地をとくに重視すべき状態では、ステップモータを同時に多段に切換え、その他の場合には、ステップモータを1段づつ切換える。
【効果】 乗り心地をとくに重視すべき状態では、ステップモータを同時に多段に切換えることにより、乗り心地の向上を図り、その他の場合には、ステップモータを1段づつ切換えることにより、ステップモータの切換えに伴う音及び振動の発生を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のサスペンション装置に関するものであり、さらに詳細には、ばね上とばね下との間に、減衰力特性が可変なショックアブソーバを備えた車両のサスペンション装置に関するものである。
【0002】
【先行技術】従来の車両のサスペンション装置においては、車体側、すなわち、ばね上と、車輪側、すなわち、ばね下との間に、車輪の上下振動を減衰させるためのショックアブソーバが設けられているのが一般である。このショックアブソーバとして、減衰力特性を変化させることのできるものが知られており、減衰力特性可変式のショックアブソーバとしては、減衰力特性が高低2段もしくは多段に変更可能なもの、あるいは、無段連続的に変更可能なものが提案されている。
【0003】かかる減衰力可変式のショックアブソーバにおいては、ショックアブソーバが発生する減衰力が、車体の上下振動に対して、加振方向に働くときに、ショックアブソーバの減衰力を低減衰側、すなわち、ソフト側に変更し、他方、減衰力が制振方向に働くときは、ショックアブソーバの減衰力を高減衰側、すなわち、ハード側に変更して、ばね上に伝達される加振エネルギーに対して、制振エネルギーを大きくし、車両の乗り心地および走行安定性を同時に向上させるように制御されるのが通常であり、特開昭60−248419号公報は、ばね上とばね下との相対変位の向きと、ばね上とばね下との相対速度の向きとが一致するか否かに基づき、一致したときには、減衰力が加振方向に働いていると判定し、他方、一致していないときは、減衰力が制振方向に働いていると判定し、制御するようにした方法を開示している。
【0004】
【発明の解決しようとする課題】このように、ばね上とばね下との相対変位の向きと、ばね上とばね下との相対速度の向きとが一致するか否かに基づき、減衰力の変更制御する減衰力可変式のショックアブソーバにおいて、ショックアブソーバの減衰力を大きく変化させる必要がある場合に、ショックアブソーバの減衰力を多段に切換えると、切換えにともなうショックアブソーバの圧力変動に起因して、大きな切換え音や振動が生じて、これらが、車体に伝達されるという現象が生じ、かかる切換え音や振動を防止しようとすると、走行安定性および乗り心地を、所望のように、向上させることができないという問題があった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、ばね上とばね下との間に、ショックアブソーバを備え、車体の上下振動に応じて、前記ショックアブソーバの減衰力特性を変更制御する制御手段を備えた車両のサスペンション装置において、ショックアブソーバの減衰力の切換えにともなうショックアブソーバの圧力変動に起因するおおきな切換え音や振動の発生を防止しつつ、走行安定性および乗り心地を向上させることのできる車両のサスペンション装置を提供することを目的とするものである。
【0006】
【発明の構成】本発明のかかる目的は、ショックアブソーバの減衰力を変更するアクチュエータと、アクチュエータに制御信号を出力する制御手段とを備え、ショックアブソーバの減衰力特性がハードからソフトに切り換えられる際に、制御手段が、走行状態に応じて、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されることによって達成される。
【0007】本発明の第一の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、車速が所定値未満のときに、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されている。本発明の第二の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、横方向加速度が所定値未満のときに、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されている。
【0008】本発明の第三の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、ばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正であるときに、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されている。本発明の第四の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前輪のばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正であるときに、後輪の前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されている。
【0009】本発明の第五の好ましい実施態様においては、前輪のばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正で、後輪の前記ショックアブソーバの減衰力を多段に切換えた後、少なくともホィールベースに等しい距離を走行するまでは、前記制御手段が、前記後輪の前記ショックアブソーバの減衰力の切換えを禁止するように構成されている。
【0010】本発明の第六の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、前記ショックアブソーバの減衰力特性の変更制御感度を変更するしきい値を設定するしきい値設定手段を備えている。本発明の第七の好ましい実施態様においては、前輪のばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正となった後に、前記しきい値設定手段が、減衰力特性の変更制御感度がソフトになりにくく、かつ、ハードになりやすいように、前記しきい値を、設定するように構成されている。
【0011】本発明の第八の好ましい実施態様においては、悪路を走行しているときに、前記しきい値設定手段が、減衰力特性の変更制御感度がソフトになりにくく、かつ、ハードになりやすいように、前記しきい値を、設定するように構成されている。本発明の第九の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、急制動状態のときは、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容しないように構成されている。
【0012】本発明の第十の好ましい実施態様においては、前記制御手段が、悪路を走行しているときは、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容しないように構成されている。本発明の第十一の好ましい実施態様においては、前記アクチュエータが、ステップモータにより構成されている。
【0013】
【発明の作用】本発明によれば、ショックアブソーバの減衰力特性がハードからソフトに切り換えられる際、制御手段が、走行状態に応じて、ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されているから、切換えによるショックアブソーバの圧力変動に起因する切換え音や振動の発生を防止するより、乗り心地をより重視すべき走行状態においては、ショックアブソーバの減衰力を乗り心地が向上するように変化させることができ、他方、走行安定性を重視すべき走行状態においては、ショックアブソーバの減衰力は、一段づつ切換えられるように制御されるから、切換えによるショックアブソーバの圧力変動に起因する切換え音や振動の発生を防止しつつ、走行安定性を向上させることが可能になる。
【0014】本発明の第一ないし第十の好ましい実施態様によれば、走行安定性を優先すべき走行状態においては、ステップモータを一段づつ切換えて、切換えによるショックアブソーバの圧力変動に起因する切換え音や振動の発生を防止して、走行安定性を向上させるとともに、切換えによるショックアブソーバの圧力変動に起因する切換え音や振動の発生を防止するより、乗り心地の向上をより重視すべき走行状態においては、ステップモータの多段切換えを許容して、乗り心地の向上を図っているから、走行安定性の向上と乗り心地の向上との両立を図ることが可能になる。
【0015】本発明の第十一の好ましい実施態様によれば、アクチュエータとして、ステップモータが用いられており、オープン制御により、ショックアブソーバの減衰力が制御されるため、さらに、小型でかつ安価なコンピュータによって、ショックアブソーバの減衰力特性を、所望のように、変更制御することができ、したがって、走行安定性および乗り心地を向上させることが可能になる。
【0016】
【実施例】以下、添付図面に基づき、本発明の好ましい実施例につき、詳細に説明を加える。図1は、本発明の好ましい実施例に係る車両のサスペンション装置を含む車両の略斜視図である。
【0017】図1において、本発明の好ましい実施例に係る車両のサスペンション装置は、各車輪に対応して設けられ、各車輪の上下振動を減衰させるたショックアブソーバ1、2、3、4を備えている。各ショックアブソーバ1、2、3、4は、それぞれ、図示しないアクチュエータにより、減衰係数が異なった10の減衰力特性に切り換え可能に構成されており、また、図示しない圧力センサを備えている。図1において、5は左前輪、6は左後輪であり、右前輪および右後輪は図示されていない。また、7は、各ショックアブソーバ1、2、3、4の上部外周に配設されたコイルスプリングであり、8は、各ショックアブソーバ1、2、3、4のアクチュエータに対して、制御信号を出力して、各ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を変更制御するコントロールユニットである。
【0018】また、車両9のばね上には、各車輪のばね上の上下方向の加速度を検出する第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ14が、インストルパネルのメータ内には、車速を検出する車速センサ15が、また、車両9の重心には、横加速度センサ16が、それぞれ、設けられている。図1において、17は、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性の制御を、ドライバーが、ハードモード、ソフトモードまたはコントロールモードのいずれかに切り換えるモード選択スィッチを示し、ハードモードが選択されたときは、減衰力特性がハードになるような範囲の減衰係数のみが選択され、その範囲内でのみ、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性の変更制御がなされ、ソフトモードが選択されたときは、減衰力特性がソフトになるような範囲の減衰係数のみが選択され、その範囲内でのみ、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性の変更制御がなされるが、コントロールモードが選択されたときは、あらかじめ、コントロールユニット8内に記憶されたマップあるいはテーブルにしたがって、所定のように、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性の変更制御がなされるようになっている。
【0019】図2は、左前輪に対して設けられたショックアブソーバ1の要部略断面図である。ただし、圧力センサは、便宜上、省略されている。図2において、ショックアブソーバ1は、シリンダ21を備え、シリンダ21内には、ピストンとピストンロッドが一体的に結合されたピストンユニット22が摺動可能に嵌装されている。シリンダ21およびピストンユニット22は、それぞれ、ばね下およびばね上に結合されている。
【0020】ピストンユニット22には、2つのオリフィス23、24が形成されている。一方のオリフィス23は常に開いており、他方のオリフィス24は、それぞれ、第1アクチュエータ41により、その通路面積が、10段階に変更可能に形成されている。図3は、ショックアブソーバ1に設けられた第1アクチュエータ41の分解略斜視図であり、図2および図3に示されるように、第1アクチュエータ41は、ピストンユニット22に固定されたスリーブ25内に、回転自在に設けられたシャフト26と、シャフト26を回転させるステップモータ27と、シャフト26の下端部に一体に取付けられ、その円周に沿って、9つの円形孔28を有する第1オリフィスプレート29と、スリーブ25の下端部に一体的に設けられ、その円周に沿って、円弧状の長孔30が形成された第2オリフィスプレート31を備えている。ここに、第1オリフィスプレート29に形成された9つの円形孔28と、第2オリフィスプレート31に形成された長孔30は、ステップモータ27の回転によるシャフト26および第1オリフィスプレート29の回転にしたがって、9つの円形孔28が、0ないし9個の範囲で、長孔30と連通可能なように形成されている。
【0021】シリンダ21内の上室32および下室33内は、所定の粘度を有する流体で満たされており、オリフィス23、24を通って、上室32および下室33間を移動可能になっている。図2および図3においては、ショックアブソーバ1の構造のみを示したが、他の車輪に対して設けられたショックアブソーバ2、3、4もまた、図2に示されたショックアブソーバ1と同様の構造を有しており、それぞれ、図3に示されたのと同様な第2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ44を備えている。
【0022】図4は、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を示すグラフであり、D1 ないしD10は、それぞれ、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰係数を示している。図4において、縦軸は、ショックアブソーバ1、2、3、4が発生する減衰力を、横軸は、ばね上の変位速度Xs とばね下の変位速度Xu との差、すなわち、ばね上とばね下の相対変位速度(Xs −Xu )を示している。図4に示されるように、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性は、減衰係数D1 ないしD10のいずれかを選択することによって、10段階に変更することが可能なように構成されている。図4R>4において、D1 は、最もソフトな減衰力を発生させる減衰係数を、D10は、最もハードな減衰力を発生させる減衰係数を、それぞれ、示している。ここに、減衰係数Dk (kは正の整数で、1〜10)は、第1オリフィスプレート29に形成された9つの円形孔28のうち、(10−i)個の円形孔28が、第2オリフィスプレート31に形成された長孔30と連通している場合に選択されるようになっている。したがって、減衰係数D1 は、第1オリフィスプレート29に形成された9つの円形孔28のすべてが、第2オリフィスプレート31に形成された長孔30と連通している場合に選択され、減衰係数D10は、第1オリフィスプレート29に形成された9つの円形孔28のすべてが、第2オリフィスプレート31に形成された長孔30と連通している第1オリフィスプレート29に形成された9つの円形孔28のいずれもが、第2オリフィスプレート31に形成された長孔30と連通しないときに選択されることになる。
【0023】図5は、本発明の実施例に係る車両のサスペンション装置の振動モデル図であり、msはばね上質量、muはばね下質量、xsはばね上変位、xuはばね下変位、ksはコイルスプリング7のばね定数、ktはタイヤのばね定数、Dk はショックアブソーバ1、2、3、4の減衰係数である。図6は、ステップモータ27の略斜視図であり、ステップモータ27は、筒状体50、筒状体50内に収容されたロータ51、ステータ52および蓋53から構成されている。図7は、ロータ51およびステータ52の略平面図であり、通常のステップモータと同様に、ロータ51の外周部には、複数の矩形形状の歯が形成され、ステータ52の内周部には、これと対応して、複数の矩形形状の歯が形成されており、ステータ52には、ソレノイド54が巻回されている。ロータ51には、2本のストッパピン55、56が形成されており、図8に示されるように、蓋53には、ストッパピン55、56に対応する位置に、円周方向に2つの溝57、58が形成されている。溝57は、ロータ51に形成されたストッパピン55と係合して、ステップモータ27の可動範囲を規制するものであり、他方、溝58は、ストッパピン56と係合するものであって、ストッパピン55、56を、溝57、58と係合させることによって、蓋53を被せたときに、ロータ51の重心が回転中心と一致するように位置合わせを可能とするものである。したがって、蓋53の中心から、溝57、58の両端部を見た円周角は、溝58の方が、溝57より大きくなっており、専ら、溝57によって、ステップモータ28の可動範囲が決定されるように、溝57、58が形成されている。図8において、ロータ51が、時計方向に回転すると、減衰係数Dk が、より大きくなって、減衰力特性は、よりハードになり、他方、反時計方向に回転すると、減衰係数Dk が、より小さくなって、減衰力特性は、よりソフトになるようになっており、また、ロータ51の矩形形状の歯が、ステータ52の隣接する矩形形状の歯に対向する位置に移動させられたとき、すなわち、ステップモータ27が、一段回転されると、減衰係数Dk が1つだけ変化するようになっている。従って、ストッパピン55が、溝57の右端部である第1基準位置に位置しているとき、減衰係数Dk は、D10となり、ショックアブソーバ1が、最もハードな減衰力を発生し、他方、ストッパピン55が、溝57の左端部である第2基準位置に位置しているとき、減衰係数Dk は、D1 となり、ショックアブソーバ1が、最もソフトな減衰力を発生するようになっている。
【0024】図9は、本発明の実施例に係る車両のサスペンション装置の制御系のブロックダイアグラムである。図9において、本発明の実施例に係る車両のサスペンション装置の制御系を構成するコントロールユニット8には、ショックアブソーバ1、2、3、4に、それぞれ設けられた第1圧力センサ61、第2圧力センサ62、第3圧力センサ63、第4圧力センサ64の検出した各ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力Fsi(ここに、iは、各車輪を示し、i=1、2、3、4である。)の検出信号、第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ14の検出したばね上の上下方向の加速度ai の検出信号、車速センサ15の検出した車速Vの検出信号、横加速度センサ16の検出した横方向加速度GL、ブレーキスィッチ65の検出したブレーキ信号BR、アンチ・ブレーキング・システム(ABS)66からの路面摩擦係数μの推定信号、各車輪の第1車高変位センサ71、第2車高変位センサ72、第3車高変位センサ73および第4車高変位センサ74の検出した車高変位xsiの検出信号およびモード選択スィッチ17からのモード信号が、それぞれ、入力されている。コントロールユニット8は、これらの入力信号に基づいて、あらかじめ記憶しているマップあるいはテーブルにしたがって、制御信号を生成し、第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ44に出力して、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を制御する。
【0025】ここに、減衰力Fsiは、連続値をとり、ばね上に対して、上向きに作用するとき、すなわち、ばね上とばね下間が縮んでいるときに正の値に、下向きに作用するとき、すなわち、ばね上とばね下間が伸びているときに負の値になるように設定され、ばね上の上下方向の加速度ai は、上向きのときに正の値に、下向きのときに負の値になるように設定されている。
【0026】図10は、モード選択スィッチ17により、コントロールモードが選択された場合において、走行状態に応じた減衰係数選択制御のルーチンを示すフローチャートであり、図10の減衰係数選択制御のルーチンは、減衰係数Dkiの変更が、あまりに頻繁におこなわれ、その結果、変更時に、大きな音や振動が生じたり、応答遅れが生ずることを防止するために、走行状態に応じて、変更制御し得る減衰係数Dkiの範囲を制限するものである。
【0027】図10において、まず、コントロールユニット8に、車速センサ15により検出された車速Vおよび第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ14の検出したばね上の上下方向の加速度aiが、それぞれ、入力される。ついで、コントロールユニット8は、車速Vが、低速値である第1の所定車速V1 、たとえば、3km/h以下か否かを判定する。
【0028】その結果、車速Vが、第1の所定車速V1 以下のときは、きわめて低速であるから、スコットや制動ダイブ防止するため、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性がハードになるように、コントロールユニット8は、減衰係数DkiをD8iに固定する。他方、車速Vが、第1の所定車速V1 を越えているときには、さらに、コントロールユニット8は、ばね上の上下方向の加速度の所定時間内の変動量に基づいて、悪路走行中か否かを判定する。
【0029】その結果、YESのとき、すなわち、悪路を走行中と判定したときは、コントロールユニット8は、さらに、車速Vが、第3の所定車速V3 、たとえば、50km/h以上か否かを判定する。その判定結果がYESのとき、すなわち、車速Vが、第3の所定車速V3 以上であると判定したときは、走行安定性の向上を重視して、コントロールユニット8は、減衰力特性を比較的ハードな範囲内で変更制御するために、減衰係数Dkiを、D5iないしD7iの範囲に設定する。
【0030】これに対して、判定結果がNOのとき、すなわち、車速Vが、所定車速V3 未満であると判定したときは、走行安定性と乗り心地の向上の両立を図ることが可能であるから、コントロールユニット8は、減衰力特性を比較的ソフトな状態からハードな状態の範囲内で変更制御することを可能とするために、減衰係数Dkiを、D3iないしD7iの範囲に設定する。
【0031】他方、悪路ではなく、通常の道路を走行中であると判定したときは、コントロールユニット8は、さらに、車速Vが第2の所定車速V2 、たとえば、30km/h以下か否かを判定する。その結果、YESのとき、すなわち、車速Vが、第2の所定車速V2 以下の低速走行状態にあると判定したときは、乗り心地の向上を重視するため、コントロールユニット8は、減衰力特性が、比較的ソフトな範囲内で変更制御されるように、減衰係数Dkiを、D1iないしD3iの範囲に設定する。
【0032】これに対して、NOのとき、すなわち、車速Vが、第2の所定車速V2 を越えていると判定したときは、コントロールユニット8は、さらに、車速Vが、第4の所定車速V4 、たとえば、60km/h以下か否かを判定する。その結果、車速Vが、第4の所定車速V4 以下の比較的中速走行状態にあると判定したときは、走行安定性と乗り心地の向上させるという2つ要請の両立を図ることが可能であるから、コントロールユニット8は、減衰力特性を比較的ソフトな状態からハードな状態の範囲内で変更制御することを可能とするために、減衰係数Dkiを、D2iないしD6iの範囲に設定する。
【0033】他方、車速Vが、第4の所定車速V4 を越えていると判定したときは、コントロールユニット8は、さらに、車速Vが、第5の所定車速V5 、たとえば、80km/h以下か否かを判定する。その結果、YESのとき、すなわち、車速Vが、第5の所定車速V5 以下の中速走行状態にあると判定したときは、走行安定性と乗り心地の向上という2つの要請の両立を図りつつ、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を、ややハードに変更制御するために、コントロールユニット8は、減衰係数Dkiを、D4iないしD8iの範囲に設定する。
【0034】これに対して、NOのとき、すなわち、車速Vが、第5の所定車速V5 を越えた高速走行状態にあると判定したときは、走行安定性の向上を重視して、コントロールユニット8は、減衰力特性がハードな範囲内で変更制御されるように、減衰係数Dkiを、D7iないしD10i の範囲に設定する。図11および図12は、モード選択スィッチ17により、コントロールモードが選択された場合に実行される各ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性変更制御の基本ルーチンを示すフローチャートであり、図10の減衰係数選択制御のルーチンによって選択された減衰係数Dkiの範囲内においてのみ、減衰係数Dkiを変更制御し得るにとどまるようになっている。
【0035】図11および図12において、まず、コントロールユニット8には、第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ14の検出したばね上の上下方向の加速度ai 、第1圧力センサ61、第2圧力センサ62、第3圧力センサ63、第4圧力センサ64の検出した減衰力Fsiの検出信号、車速センサ15の検出した車速Vの検出信号、横加速度センサ16の検出した横方向加速度GL、ブレーキスィッチ65の検出したブレーキ信号BR、アンチ・ブレーキング・システム(ABS)66からの路面摩擦係数の推定値μの推定信号、各車輪の第1車高変位センサ71、第2車高変位センサ72、第3車高変位センサ73及び第4車高変位センサ74の検出した車高変位xsiの検出信号が入力される。ついで、コントロールユニット8は、入力された上下方向の加速度ai を積分して、ばね上の変位速度Xsiを算出する。
【0036】コントロールユニット8は、さらに、算出されたばね上の変位速度Xsiに所定の定数K(K<0)を乗じて、理想の減衰力であるスカイフック減衰力Faiを算出し、式■にしたがって、hαを算出し、hαが正か否かを判定する。
hα=Fsi(Fai−αFsi)・・・・・・・・・・・・・■その結果、hαが正であるときは、コントロールユニット8は、制御信号を、正と判定されたショックアブソーバ1、2、3、4の第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ44に出力して、ステップモータ27を、図8において、時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ大きいD(k+1)iになるように、すなわち、よりハードになるように変更し、他方、hαが正でないと判定したときは、コントロールユニット8は、さらに、式■にしたがって、hβを算出し、hβが負か否かを判定する。
【0037】
hβ=Fsi(Fai−βFsi)・・・・・・・・・・・・・■その結果、hβが負でないときは、コントロールユニット8は、制御信号を出力することなく、すなわち、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiのまま、保持して、次のサイクルに移行し、他方、hβが負であるときは、コントロールユニット8は、さらに、次の式■にしたがって、hλを算出し、hλが正か否かを判定する。
【0038】
hλ=Fsi(Fai−λFsi)・・・・・・・・・・・・・■その結果、hλが正であるときは、コントロールユニット8は、制御信号を、正であると判定されたショックアブソーバ1、2、3、4の第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ44に出力して、ステップモータ27を、図8において、反時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iになるように、すなわち、よりソフトになるように変更する。
【0039】これに対して、hλが正でないときには、スカイフック減衰力Faiと実際の減衰力Fsiとの差が大きく、ステップモータ27を、二段以上回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ以上小さく、すなわち、2つ以上ソフトに変更すべき走行状態にあると認められるが、ステップモータ27を、二段以上回転させると、切換えによるショックアブソーバの圧力変動に起因して、切換え音や振動が発生するおそれがあるので、本実施例においては、切換え音や振動の発生を防止するよりも、乗り心地をより重視すべき走行状態においてのみ、ステップモータ27を、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに、変更するように制御し、乗り心地の向上と走行安定性の向上の両立を図っている。
【0040】ここに、しきい値α、β、λは、減衰係数Dkiの変更が、あまりに頻繁におこなわれ、その結果、減衰係数Dkiの変更時に、大きな切換え音や振動が発生したり、応答遅れが生ずることを防止するためのしきい値であって、通常、α>1、0<λ<β<1に設定される。すなわち、FsiとFaiが同符号のときは、式■の(Fai−αFsi)は、α>1であるので、Fsiにαが乗ぜられていない場合に比して、Fsiと異符号になりやすく、その結果、hαは負になりやすいから、減衰係数Dkiの変更がおこなわれにくく、さらに、式■の(Fai−βFsi)は、0<β<1であるので、Fsiにβが乗ぜられていない場合に比して、Fsiと同符号になりやすく、その結果、hβは正になりやすいから、減衰係数Dkiの変更がおこなわれにくくなり、また、λはβより小さい値に設定されているので、式■の(Fai−λFsi)は、式■の(Fai−βFsi)より、Fsiと同符号になりやすく、その結果、hλは、hβより、正になりやすいから、hβが負である場合にも、減衰係数Dkiは、前回の減衰係数Dkiより1つしか小さくないD(k-1)iに変更されやすくなり、D(k-2)iには変更されにくくなっている。
【0041】これに対して、FsiとFaiが異符号の場合には、実際の減衰力Fsiを、理想的な減衰力であるスカイフック減衰力Faiと一致させることは不可能であり、減衰係数Dkiをゼロに近い値にすること、すなわち、よりソフトになるように変更することが、FsiをFaiにより近づける上で望ましいことになる。本実施例においては、FsiとFaiが異符号のときは、hα、hβおよびhλは、いずれも、負の値となり、その結果、コントロールユニット8によって、減衰係数Dkiは、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに、すなわち、よりソフトになるように変更されるから、かかる要請を満足することが可能になる。
【0042】上述のように、乗り心地の向上と走行安定性の向上との両立を図るため、コントロールユニット8は、さらに、車速Vが、所定の第2の車速V2、たとえば、30km/hより小さいか否かを判定する。その結果、NOのときは、乗り心地をとくに重視すべき走行状態ではないと認められるから、切換えによる音および振動の発生を防止するため、コントロールユニット8は、ステップモータ27を、一段しか回転させず、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更するにとどめる。
【0043】他方、YESのとき、すなわち、車速Vが、第2の車速V2 未満のときは、乗り心地を重視した制御を実行する必要があり得るから、コントロールユニット8は、さらに、ブレーキスィッチ65から入力されたブレーキ信号BRがオンか否かを判定する。その結果、ブレーキ信号BRがオンのとき、すなわち、ブレーキが操作されているときは、コントロールユニット8は、車速センサ15から入力された車速Vを微分して、加速度dVを算出し、その絶対値|dV|が所定値dVO 以上か否かを判定し、YESのときは、急制動状態にあり、制動ダイブを生ずるおそれがあるから、コントロールユニット8は、ステップモータ27を、一段だけ回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更するにとどめ、他方、NOのときは、ブレーキは操作されているが、急制動状態ではなく、制動ダイブが生ずるおそれはないので、コントロールユニット8は、さらに、アンチ・ブレーキング・システム(ABS)67から入力された路面摩擦係数の推定値μが、所定値μo より小さいか否かを判定する。
【0044】また、ブレーキスィッチ65から入力されたブレーキ信号BRがオンでないときは、コントロールユニット8は、路面摩擦係数の推定値μが、所定値μo より小さいか否かを判定する。その結果、YESのときは、車両9は、路面摩擦係数の小さい路面を走行中であり、車両9をロールさせて、荷重移動を小さくし、タイヤのグリップ力を大きくすることが望ましく、したがって、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更して、減衰力特性をよりソフトにする必要があり得るから、、コントロールユニット8は、さらに、横加速度センサ16から入力された横方向加速度GLの絶対値が、所定値GLo 以下か否かを判定し、他方、NOのときは、減衰力特性をよりソフトにする必要はなく、かえって、切換えによる音および振動の発生を防止することが望ましいから、コントロールユニット8は、ステップモータ27を、一段しか回転させず、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更するにとどめる。
【0045】横方向加速度GLの絶対値が、所定値GLo 以下か否かを判定した結果、YESのときは、乗り心地を重視してよい走行状態にあると認められるから、コントロールユニット8は、ステップモータ27を、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更し、他方、NOのときは、コントロールユニット8は、さらに、上下方向の加速度aiの所定時間内の変動量に基づいて、悪路を走行しているか否かを判定する。
【0046】その結果、YESのときは、走行安定性の向上を重視するべきであるから、コントロールユニット8は、ステップモータ27を、一段しか、回転させず、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更するにとどめ、他方、NOのときは、悪路を走行してはおらず、減衰係数Dkiをよりソフトになるように変更すべきことがあり得るから、コントロールユニット8は、第1車高変位センサ71、第2車高変位センサ72、第3車高変位センサ73および第4車高変位センサ74の検出した車高変位xsiに基づき、ばね上とばね下との相対変位速度(Xsi−Xui)を算出し、これがゼロか否かを判定する。
【0047】その結果、NOのときは、ばね上とばね下とは相対的に変位しており、ただちに、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更して、よりソフトにすると、走行安定性を損なうおそれがあり、また、切換えによる音および振動が発生するおそれがあるから、コントロールユニット8は、ステップモータ27を、一段しか回転させず、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更するにとどめる。
【0048】これに対して、YESのときは、コントロールユニット8は、さらに、ばね上の変位速度Xsiが正か否かを判定する。ここに、ばね上の変位速度Xsiは、図5において、ばね上変位が、上向きのときに、正となるように設定され、また、前述のように、ばね上の上下方向加速度aiも、上向きのときに、正の値に設定されているので、ばね上が、上方に変位しているとき、正となるように設定されている。したがって、YESのとき、すなわち、ばね上の変位速度Xsiが正のときは、突起を乗り越えた直後の状態にあると判定されるから、減衰係数Dkiをよりソフトにすることが望ましく、コントロールユニット8は、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更し、他方、NOのとき、すなわち、ばね上の変位速度Xsiが正でないときは、切換えによる音および振動の発生を防止するため、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更するにとどめる。
【0049】なお、図11および図12のフローチャートにおいて変更される減衰係数Dkiの範囲は、図10の走行状態に応じた減衰係数選択制御のルーチンによって制限され、ステップモータ27を、図8において、時計方向に、一段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ大きいD(k+1)iに変更すべき場合でも、前回の減衰係数Dkiが、減衰係数選択制御のルーチンに選択された減衰係数Dkiの上限値に等しい場合には、コントロールユニット8は、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiのまま、保持し、また、ステップモータ27を、反時計方向に、一段または二段、回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つまたは2つ小さいD(k-1)iまたはD(k-2)iになるように変更すべき場合でも、前回の減衰係数Dkiが、減衰係数選択制御のルーチンに選択された減衰係数Dkiの下限値に等しい場合には、コントロールユニット8は、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiのまま、保持する。
【0050】以上、本実施例によれば、乗り心地を、格別、重視すべきでない走行状態においては、ステップモータ27を一段しか回転させず、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更するにとどめているから、ステップモータの切換えに伴うショックアブソーバの圧力変動に起因して、大きな切換え音や振動が発生することを防止することができ、他方、切換えによる音および振動の発生の防止を図るよりも、乗り心地より重視すべき走行状態においては、ステップモータ27を、二段、回転させ、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さくして、よりソフトにしているから、乗り心地を優先すべき走行状態において、乗り心地を十分に向上させることができ、切換えによる音および振動の発生の防止しつつ、走行安定性と乗り心地の両立を図ることが可能になる。
【0051】図13は、本発明の他の実施例に係る車両のサスペンション装置の制御系のブロックダイアグラムである。図13において、コントロールユニット8は、演算判定手段80としきい値設定手段81を備えており、演算判定手段80には、ショックアブソーバ1、2、3、4に、それぞれ設けられた第1圧力センサ61、第2圧力センサ62、第3圧力センサ63、第4圧力センサ64の検出した各ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力Fsiの検出信号、第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ14の検出したばね上の上下方向の加速度ai の検出信号、車速センサ15の検出した車速Vの検出信号、および、モード選択スィッチ17からのモード信号が、それぞれ、入力されている。
【0052】演算判定手段80は、第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13および第4加速度センサ14の検出したばね上の上下方向の加速度ai の検出信号に基づき、悪路走行中か否かを判定して、悪路と判定したときは、しきい値変更信号を、しきい値設定手段81に出力するとともに、ばね上とばね下との相対変位速度(Xsi−Xui)およびばね上の変位速度Xsiを算出し、これに基づき、突起を乗り越えたか否かを判定し、突起を乗り越えたと判定したときは、しきい値変更信号を、しきい値設定手段81に出力し、さらに、第1圧力センサ61、第2圧力センサ62、第3圧力センサ63、第4圧力センサ64の検出した各ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力Fsiの検出信号、ばね上の変位速度Xsiおよびしきい値設定手段81から入力されたしきい値信号に基づいて、あらかじめ記憶しているマップあるいはテーブルなどにしたがって、制御信号を生成して、第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ44に出力し、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性を制御する。
【0053】図14および図15は、モード選択スィッチ17により、コントロールモードが選択された場合に、このように構成された本発明の実施例に係る車両のサスペンション装置の制御系により実行される各ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性変更制御の基本ルーチンの例を示すフローチャートであり、図11および図12の場合と同様に、図10の減衰係数選択制御のルーチンによって選択された減衰係数Dkiの範囲内においてのみ、減衰係数Dkiを変更制御し得るにとどまるようになっている。
【0054】図14および図15において、まず、コントロールユニット8の演算判定手段80には、第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ14の検出したばね上の上下方向の加速度ai 、第1圧力センサ61、第2圧力センサ62、第3圧力センサ63、第4圧力センサ64の検出した減衰力Fsiおよび車速センサ15の検出した車速Vが入力される。ついで、コントロールユニット8の演算判定手段80は、入力された上下方向の加速度ai を積分して、ばね上の変位速度Xsiを算出する。
【0055】ついで、演算判定手段80は、第1加速度センサ11、第2加速度センサ12、第3加速度センサ13、第4加速度センサ14から入力されたばね上の上下方向の加速度ai の検出信号に基づき、所定時間内におけるばね上の上下方向加速度ai の変動量を算出して、これに基づき、悪路を走行中か否かを判定する。その結果、悪路を走行中と判定したときは、演算判定手段80は、しきい値設定手段81に、しきい値変更信号を出力する。
【0056】しきい値設定手段81は、演算判定手段80から、しきい値変更信号が入力されたときは、記憶しているマップにしたがって、しきい値αおよびβの値を変更する。図16(a) 、(b) は、減衰力、ばね上とばね下の相対変位速度(Xsi−Xui)としきい値α、βの関係を示すグラフであり、しきい値設定手段81には、このグラフがマップの形で記憶されている。
【0057】図16(a) 、(b) において、Rhは、減衰力特性がハード側に変更される特性領域、すなわち、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ大きいD(k+1)iに変更される特性領域を、Rsは、減衰力特性がソフト側に変更される特性領域、すなわち、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iに変更される特性領域を、それぞれ、示しており、しきい値αh 、βh の間の領域およびしきい値αs 、βs の間の領域は、減衰力特性の変更がなされない領域、すなわち、不感帯領域を示している。
【0058】図16(a) 、(b) から明らかなように、図1616(b) に示されたしきい値αh 、βh は、図16(b) に示されたしきい値αs 、βs に比して、その傾きが小さくなるように設定されており、その結果、減衰力特性がソフト側に変更される特性領域Rsは、しきい値α、βとして、αh 、βh が選択された場合には、しきい値α、βとして、αs 、βs が選択された場合に比して、小さく、他方、減衰力特性がハード側に変更される特性領域Rhは、しきい値α、βとして、αh 、βh が選択された場合には、しきい値α、βとして、αs 、βs が選択された場合に比して、大きく、したがって、しきい値α、βとして、αh 、βh が選択された場合には、減衰力特性が、ソフト側には変更されにくく、かつ、ハード側に変更されやすくなるように、しきい値αh 、βh 、αs 、βs が設定されている。
【0059】しきい値設定手段81は、通常は、α=αs 、β=βs とするしきい値信号を、演算判定手段80に出力しているが、演算判定手段80から、しきい値変更信号が入力されたときは、しきい値αおよびβの値を、それぞれ、α=αh 、β=βh に変更して、しきい値信号を、演算判定手段80に出力する。したがって、悪路走行中には、しきい値α、βは、α=αh 、β=βh に設定される。
【0060】これに対して、悪路走行中ではないと判定したときは、演算判定手段80は、さらに、ばね上とばね下の相対変位速度(Xsi−Xui)がゼロであるか否かを判定する。その結果、NOのときは、演算判定手段80は、しきい値変更信号をしきい値設定手段81に出力せず、したがって、しきい値α、βは、α=αs 、β=βsのまま、保持される。
【0061】これに対して、YESのときは、演算判定手段80は、さらに、ばね上の変位速度Xsiが正か否かを判定する。その結果、YESのとき、すなわち、ばね上とばね下の相対変位速度(Xsi−Xui)がゼロで、かつ、ばね上の変位速度Xsiが正であるときは、突起を乗り越えた直後の状態と認められるから、演算判定手段80は、しきい値変更信号を、しきい値設定手段81に出力する。
【0062】しきい値設定手段81は、演算判定手段80から、しきい値変更信号が入力されたときは、しきい値αおよびβの値を、それぞれ、α=αh 、β=βh に変更して、しきい値信号を、演算判定手段80に出力するので、突起を乗り越えた直後は、しきい値α、βは、α=αh 、β=βhに設定される。こうして、しきい値α、βが設定された後、演算判定手段80は、算出されたばね上の変位速度Xsiに所定の定数K(K<0)を乗じて、理想の減衰力であるスカイフック減衰力Faiを算出し、式■にしたがって、hαを算出し、hαが正か否かを判定する。
【0063】
hα=Fsi(Fai−αFsi)・・・・・・・・・・・・・■その結果、hαが正であるときは、演算判定手段80は、制御信号を、正と判定されたショックアブソーバ1、2、3、4の第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ44に出力して、ステップモータ27を、図8において、時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ大きいD(k+1)iになるように、すなわち、よりハードになるように変更し、他方、hαが正でないと判定したときは、演算判定手段80は、さらに、式■にしたがって、hβを算出し、hβが負か否かを判定する。
【0064】
hβ=Fsi(Fai−βFsi)・・・・・・・・・・・・・■その結果、hβが負でないときは、演算判定手段80は、制御信号を出力することなく、すなわち、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiのまま、保持して、次のサイクルに移行し、他方、hβが負であるときは、演算判定手段80は、さらに、次の式■にしたがって、hλを算出し、hλが正か否かを判定する。
【0065】
hλ=Fsi(Fai−λFsi)・・・・・・・・・・・・・■その結果、hλが正であるときは、演算判定手段80は、制御信号を、正であると判定されたショックアブソーバ1、2、3、4の第1アクチュエータ41、第2アクチュエータ42、第3アクチュエータ43、第4アクチュエータ44に出力して、ステップモータ27を、図8R>8において、反時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iになるように、すなわち、よりソフトになるように変更する。
【0066】これに対して、hλが正でないときには、スカイフック減衰力Faiと実際の減衰力Fsiとの差が大きく、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより大きくソフト側に変更すべき走行状態にあると認められるが、ステップモータ27を、二段以上回転させると、切換えによるショックアブソーバの圧力変動に起因して、切換え音や振動が発生するおそれがあるので、本実施例においては、前輪が突起を乗り越えたときにのみ、後輪のショックアブソーバ3、4の減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iになるように変更し、その他の場合には、ステップモータ27を、図8において、反時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iになるように変更するにとどめている。
【0067】すなわち、演算判定手段80は、まず、左前輪が突起を乗り越えたか否かを、左前輪のばね上とばね下との相対変位速度Xu1−Xs1がゼロか否かおよびばね上の変位速度Xu1が正か否かを判定することによって判定する。その結果、左前輪のばね上とばね下との相対変位速度Xu1−Xs1がゼロで、かつ、左前輪のばね上の変位速度Xu1が正であるときは、演算判定手段80は、左後輪のショックアブソーバ3のステップモータ27を、二段、回転させて、左後輪の減衰係数Dk3を、前回の減衰係数Dk3より2つ小さいD(k-2)3になるように変更し、車両9が、ホィールベースに等しい距離Lを走行するまで、すなわち、時間L/Vだけ、左後輪の減衰力特性制御を停止し、その減衰係数D(k-2)3に保持して、左後輪が、突起を乗り越えるまでに、路面状況により、左後輪のショックアブソーバ3の減衰係数が、ハード側に変更されて、左後輪が、突起を乗り越える際に、乗り心地が悪化するのを防止する。
【0068】さらに、演算判定手段80は、右前輪が突起を乗り越えたか否かを、右前輪のばね上とばね下との相対変位速度Xu2−Xs2がゼロか否かおよびばね上の変位速度Xu2が正か否かを判定することによって判定する。その結果、右前輪のばね上とばね下との相対変位速度Xu2−Xs2がゼロで、かつ、右前輪のばね上の変位速度Xu2が正であるときは、演算判定手段80は、右後輪のショックアブソーバ4のステップモータ27を、二段、回転させて、右後輪の減衰係数Dk4を、前回の減衰係数Dk4より2つ小さいD(k-2)4になるように変更し、車両9が、ホィールベースに等しい距離Lを走行するまで、すなわち、時間L/Vだけ、右後輪の減衰力特性制御を停止し、その減衰係数D(k-2)4に保持して、右後輪が、突起を乗り越えるまでに、路面状況により、右後輪のショックアブソーバ4の減衰係数が、ハード側に変更されて、右後輪が、突起を乗り越える際に、乗り心地が悪化するのを防止する。
【0069】これに対して、左前輪のばね上とばね下との相対変位速度Xu1−Xs1がゼロ、左前輪のばね上の変位速度Xu1が正、右前輪のばね上とばね下との相対変位速度Xu2−Xs2がゼロおよび右前輪のばね上の変位速度Xu2が正であるという条件の少なくとも1つが満足されないときは、ステップモータ27の切換えに伴うショックアブソーバ1、2、3、4の圧力変動に起因する音や振動の発生を防止するため、演算判定手段80は、すべての車輪のショックアブソーバ1、2、3、4のステップモータ27を、図8において、反時計方向に、一段だけ回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つ小さいD(k-1)iになるように変更する。
【0070】なお、図14および図15のフローチャートにおいて変更される減衰係数Dkiの範囲は、図10の走行状態に応じた減衰係数選択制御のルーチンによって制限され、ステップモータ27を、図8において、時計方向に、一段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより1つ大きいD(k+1)iに変更すべき場合でも、前回の減衰係数Dkiが、減衰係数選択制御のルーチンに選択された減衰係数Dkiの上限値に等しい場合には、コントロールユニット8は、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiのまま、保持し、また、ステップモータ27を、反時計方向に、一段または二段、回転させ、減衰係数Dkiが、前回の減衰係数Dkiより1つまたは2つ小さいD(k-1)iまたはD(k-2)iになるように変更すべき場合でも、前回の減衰係数Dkiが、減衰係数選択制御のルーチンに選択された減衰係数Dkiの下限値に等しい場合には、コントロールユニット8は、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiのまま、保持する。
【0071】以上、本実施例によれば、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰係数Dkiをソフト側に変更すべき場合において、とくに乗り心地を確保すべき車両9の前輪が突起を乗り越えた場合にのみ、その前輪側の後輪のショックアブソーバ3、4のステップモータ27を、二段、回転させて、減衰係数Dk3またはDk4を、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)3またはD(k-2)4に変更し、その他の場合には、すべての車輪のショックアブソーバ1、2、3、4の減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiよりより1つ小さいD(k-1)iに変更するように変更するにとどめているから、ステップモータ27の切換えに伴うショックアブソーバ1、2、3、4の圧力変動に起因する音や振動の発生を防止しつつ、乗り心地を重視すべき場合に、十分に乗り心地を確保することが可能になり、また、後輪のショックアブソーバ3、4のステップモータ27を、二段、回転させて、減衰係数Dk3またはDk4を、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)3またはD(k-2)4に変更した場合には、車両9が、ホィールベースに等しい距離Lを走行するまで、すなわち、時間L/Vだけ、その減衰係数に保持するようにしているので、路面状況により、後輪が突起を乗り越えるまでに、後輪のショックアブソーバ3、4の減衰係数がハード側に変更されてしまい、後輪が突起を乗り越えるときに、乗り心地が悪化することを確実に防止することが可能になる。さらには、悪路を走行中や突起を乗り越えた直後には、しきい値α、βとして、αh 、βh を選択しているので、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力特性は、ソフトになりにくく、かつ、ハードになりやすくなり、走行安定性を向上させることが可能になる。
【0072】本発明は、以上の実施例に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも、本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。たとえば、前記実施例においては、いずれも、各しきい値α、βおよびλを、α>1、0<λ<β<1に設定しているが、α>β、β>λであればよく、α>1、0<λ<β<1に設定することは必ずしも必要でない。ただし、走行安定性を重視するという観点からは、α>1、α>β>0かつ0<λ<βとなるように、しきい値α、βおよびλを設定することが望ましい。
【0073】また、図11および図12のフローチャートにおいては、hλが正でない場合において、車速Vが所定車速V2より小さく、ブレーキ信号BRがオンでなく、路面摩擦係数μが所定値μo より小さく、かつ、横方向加速度GLの絶対値が、所定値GLo 以下のとき、車速Vが所定車速V2より小さく、ブレーキ信号BRがオンで、加速度dVの絶対値|dV|が所定値dVO 未満で、路面摩擦係数μが所定値μo より小さく、かつ、横方向加速度GLの絶対値が、所定値GLo 以下のとき、車速Vが所定車速V2より小さく、ブレーキ信号BRがオンでなく、路面摩擦係数μが所定値μo より小さく、横方向加速度GLの絶対値が、所定値GLo より大きく、悪路走行中ではなく、ばね上きばね下の相対変位速度(Xsi−Xui)がゼロで、かつ、ばね上の変位速度Xsiが正のとき、および、車速Vが所定車速V2より小さく、ブレーキ信号BRがオンで、加速度dVの絶対値|dV|が所定値dVO 未満で、路面摩擦係数μが所定値μo より小さく、横方向加速度GLの絶対値が、所定値GLo より大きく、悪路走行中ではなく、ばね上きばね下の相対変位速度(Xsi−Xui)がゼロで、かつ、ばね上の変位速度Xsiが正のときに、コントロールユニット8は、ステップモータ27を、図8において、反時計まわりに、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更するように制御しているが、これらの条件の1つが満足されたとき、これらの条件の一部が満足されたとき、あるいは、これらの条件の組み合わせを変えて、そのすべてまたは一部が満足されたときに、コントロールユニット8が、ステップモータ27を、図8において、反時計まわりに、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更するようにしてもよく、同様に、図14および図1515の実施例においては、前輪が突起を乗り越えたときに、その側の後輪のショックアブソーバ3、4のステップモータ27を、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更するようにしているが、上記の条件とこの条件とを組み合わせ、そのすべてまたは一部が満足されたときに、ステップモータ27を、図8において、反時計まわりに、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更するようにしてもよい。さらには、図14および図15の実施例においては、前輪が突起を乗り越えたときに、その側の後輪のショックアブソーバ3、4のステップモータ27を、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更するとともに、車両9が、ホィールベースの距離だけ走行するまで、後輪の減衰力特性制御を停止するようにしているが、路面状況を検出して、後輪の減衰力特性制御を継続するようにしてもよい。
【0074】さらに、前記実施例においては、路面摩擦係数μを、アンチ・ブレーキング・システム(ABS)66の検出信号に基づいて、推定しているが、ワイパーの信号に基づき、路面摩擦係数μを推定するようにしてもよい。また、前記実施例においては、乗り心地を重視すべきと判定された走行状態において、ステップモータ27を、二段、回転させて、減衰係数Dkiを、前回の減衰係数Dkiより2つ小さいD(k-2)iに変更するようにしているが、ステップモータ27を3段以上回転させるようにすることもできる。
【0075】また、前記実施例においては、2つのストッパピン55、56を、ステップモータ27のロータ51に形成し、これと係合する溝57、58を、ステップモータ27の蓋53に形成しているが、ストッパピン55、56を、ステップモータ27の蓋53に形成し、これと係合する溝57、58を、ステップモータ27のロータ51に形成してもよく、さらには、ストッパピン55、56の一方を、ステップモータ27のロータ51に、他方を、ステップモータ27の蓋53に形成し、ロータ51に形成されたストッパピン55、56の一方と係合する溝57、58を、ステップモータ27の蓋53に、ステップモータ27の蓋53に形成された他方のストッパピン55、56と係合する溝57、58を、ステップモータ27のロータ51に形成するようにしてもよい。
【0076】さらに、前記実施例においては、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力を変化させるアクチュエータとして、ステップモータ27を用い、オープン制御により、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力を制御しているが、ステップモータ27の代わりに、DCモータを用い、フィードバック制御により、ショックアブソーバ1、2、3、4の減衰力を制御するようにしてもよい。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば、ばね上とばね下との間に、ショックアブソーバを備え、車体の上下振動に応じて、前記ショックアブソーバの減衰力特性を変更制御する制御手段を備えた車両のサスペンション装置において、ショックアブソーバの減衰力の切換えにともなうショックアブソーバの圧力変動に起因するおおきな切換え音や振動の発生を防止しつつ、走行安定性および乗り心地を向上させることのできる車両のサスペンション装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の好ましい実施例に係る車両のサスペンション装置を含む車両の略斜視図である。
【図2】図2は、各ショックアブソーバの要部略断面図である。
【図3】図3は、アクチュエータの分解略斜視図である。
【図4】図4は、ショックアブソーバの減衰係数を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の実施例に係る車両のサスペンション装置の振動モデル図である。
【図6】図6は、ステップモータの略斜視図である。
【図7】図7は、ロータおよびステータの略平面図である。
【図8】図8は、蓋の略底面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例に係る車両のサスペンション装置の制御系のブロックダイアグラムである。
【図10】図10は、走行状態に応じた減衰係数選択制御のルーチンを示すフローチャートである。
【図11】図11は、コントロールユニットによって実行される各ショックアブソーバの減衰力特性変更制御の基本ルーチンの前半部を示すフローチャートである。
【図12】図12は、コントロールユニットによって実行される各ショックアブソーバの減衰力特性変更制御の基本ルーチンの後半部を示すフローチャートである。
【図13】図13は、本発明の他の実施例に係る車両のサスペンション装置の制御系のブロックダイアグラムである。
【図14】図14は、コントロールユニットによって実行される各ショックアブソーバの減衰力特性変更制御の基本ルーチンの他の例の前半部を示すフローチャートである。
【図15】図15は、コントロールユニットによって実行される各ショックアブソーバの減衰力特性変更制御の基本ルーチンの他の例の後半部を示すフローチャートである。
【図16】図16は、減衰力、ばね上とばね下の相対変位速度(Xsi−Xui)としきい値α、βの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1、2、3、4 ショックアブソーバ
5 左前輪
6 左後輪
7 コイルスプリング
8 コントロールユニット
9 車両
11 第1加速度センサ
12 第2加速度センサ
13 第2加速度センサ
14 第4加速度センサ
15 車速センサ
16 横加速度センサ
17 モード選択スィッチ
21 シリンダ
22 ピストンユニット
23、24 オリフィス
25 スリーブ
26 シャフト
27 ステップモータ
28 円形孔
29 第1オリフィスプレート
30 長孔
31 第2オリフィスプレート
32 上室
33 下室
41 第1アクチュエータ
42 第2アクチュエータ
43 第3アクチュエータ
44 第4アクチュエータ
50 筒状体
51 ロータ
52 ステータ
53 蓋
54 ソレノイド
55、56 ストッパピン
57、58 溝
61 第1圧力センサ
62 第2圧力センサ
63 第3圧力センサ
64 第3圧力センサ
65 ブレーキスィッチ
66 アンチ・ブレーキング・システム
71 第1車高変位センサ
72 第2車高変位センサ
73 第3車高変位センサ
74 第4車高変位センサ
80 演算判定手段
81 しきい値設定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】 ばね上とばね下との間に、ショックアブソーバを備え、車体の上下振動に応じて、前記ショックアブソーバの減衰力特性を変更制御する車両のサスペンション装置において、前記ショックアブソーバの減衰力を変更するアクチュエータと、該アクチュエータに制御信号を出力する制御手段とを備え、前記ショックアブソーバの減衰力特性がハードからソフトに切り換えられる際、前記制御手段が、走行状態に応じて、前記アクチュエータによる前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されたことを特徴とする車両のサスペンション装置。
【請求項2】 前記制御手段が、車速が所定値未満のときに、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項3】 前記制御手段が、横方向加速度が所定値未満のときに、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項4】 前記制御手段が、ばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正であるときに、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項5】 前記制御手段が、前輪のばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正であるときに、後輪の前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項6】 前輪のばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正で、後輪の前記ショックアブソーバの減衰力を多段に切換えた後、少なくともホィールベースに等しい距離を走行するまでは、前記制御手段が、前記後輪の前記ショックアブソーバの減衰力の切換えを禁止するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項7】 前記制御手段が、前記ショックアブソーバの減衰力特性の変更制御感度を変更するしきい値を設定するしきい値設定手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項8】 前輪のばね上とばね下との相対変位速度がゼロで、かつ、ばね上の変位速度が正となった後に、前記しきい値設定手段が、減衰力特性の変更制御感度がソフトになりにくく、かつ、ハードになりやすいように、前記しきい値を、設定するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項9】 悪路を走行しているときに、前記しきい値設定手段が、減衰力特性の変更制御感度がソフトになりにくく、かつ、ハードになりやすいように、前記しきい値を、設定するように構成されたことを特徴とする請求項7に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項10】 前記制御手段が、急制動状態のときは、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容しないように構成されたことを特徴とする請求項1ないし9のいずれか1項に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項11】 前記制御手段が、悪路を走行しているときは、前記ショックアブソーバの減衰力の多段切換えを許容しないように構成されたことを特徴とする請求項1ないし10のいずれか1項に記載の車両のサスペンション装置。
【請求項12】 前記アクチュエータが、ステップモータであることを特徴とする請求項1ないし11のいずれか1項に記載の車両のサスペンション装置。

【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図11】
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【図13】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図15】
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【図14】
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【図16】
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【公開番号】特開平5−615
【公開日】平成5年(1993)1月8日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平3−223096
【出願日】平成3年(1991)9月3日
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)