説明

車両のシフト操作装置

【課題】シフトパターン表示の見栄えを向上できると共に、シフトレバーの操作性を確保することができる車両のシフト操作装置を提供することを目的とする。
【解決手段】シフトレバー5のシフトパターンを形成するゲート溝84を備え、該ゲート溝84の周囲を発光させる発光ユニット8と、シフトレバー5が貫通した状態で装着されると共に、車室のカバー部材2の開口部4に臨むように配置されて、発光ユニット8を上方から覆う光透過性を有する表示パネル6と、該表示パネル6を、シフトレバー5の動きと同期して移動可能に案内するガイド機構7とを設け、発光ユニット8は、ゲート溝84の周囲を発光させて表示パネル6にシフトパターンを表示させるLED82a、82bを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の変速機を操作するシフトレバーを備えた車両のシフト操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両のシフト操作装置としては、シフトレバーのシフトパターンを形成するゲート溝を備えたものが知られている。さらに、下記特許文献1には、シフトレバーの操作性向上を図るべく、シフトレバーの位置を、ゲート溝の周囲を発光させることによって容易に視認できるようにしたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−217796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のようにシフト操作装置にゲート溝を備えたる場合、シフトレバーを取付ける車体の製造ばらつきや、ゲート溝を備える車室のカバー部材の形状ばらつき、さらには、ゲート溝成形時のばらつき等を考慮して、シフトレバーとゲート溝との間には、大きな隙間を設定する必要がある。
【0005】
このため、上記特許文献1では、上述したようにシフトレバーの操作性を向上させることができるものの、シフトレバーとゲート溝との間の上記隙間によって、シフトパターン表示の見栄え低下を招くという問題があった。
【0006】
この発明は、シフトパターン表示の見栄えを向上できると共に、シフトレバーの操作性を確保することができる車両のシフト操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の車両のシフト操作装置は、車両の変速機を操作するシフトレバーを備えた車両のシフト操作装置であって、上記シフトレバーのシフトパターンを形成するゲート溝を備え、該ゲート溝の周囲を発光させる発光ユニットと、上記シフトレバーが貫通した状態で装着されると共に、車室のカバー部材の開口部に臨むように配置されて、上記発光ユニットを上方から覆う光透過性を有する表示パネルと、該表示パネルを、上記シフトレバーの動きと同期して移動可能に案内するガイド手段とを設け、上記発光ユニットは、上記ゲート溝の周囲を発光させて上記表示パネルにシフトパターンを表示させる発光手段を備えたものである。
【0008】
この構成によれば、ゲート溝の周囲を発光させてシフトパターンを表示させる発光手段を備えた発光ユニットを、光透過性を有する表示パネルで覆うことにより、ゲート溝とシフトレバーとの間の隙間が車室側に露見することなく、乗員にシフトパターンを視認させることができる。このため、シフトパターン表示の見栄えを向上させることができる。
【0009】
さらに、ゲート溝の周囲を発光させてシフトパターンを表示させると共に、表示パネルを、シフトレバーの揺動と同期して移動可能に案内することで、シフトレバーをシフトパターンに沿って容易にシフト操作することが可能になる。これにより、シフトレバーの操作性を確保することができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記表示パネルが、上記カバー部材に装着された上記ガイド手段に移動可能に案内されるものである。
【0011】
この構成によれば、表示パネルとカバー部材との間の隙間管理が容易となる。この場合、表示パネルとカバー部材との間の隙間にばらつきが生じ難いことから、見栄えのさらなる向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記発光手段が、上記表示パネルにおいて、上記シフトパターンの周囲にシフトポジション記号を発光表示させるものである。
【0013】
この構成によれば、シフトポジションの識別性を向上させることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、車両の走行モードに基づいて上記発光手段の発光を制御する制御手段を備えたものである。
【0015】
上記走行モードは、エコノミー走行モード、スポーツ走行モード等のように、乗員の意図や走行状態に応じて変速マップが切り替わる走行モードの他、ドライブ、マニュアル、リバース等のように、シフトレバーのシフト操作で変速機が操作されることにより切り替わる走行モードであることを含む。
【0016】
この構成によれば、現在の車両の走行モードを、表示パネルの発光の状態によって容易に識別することができる。
【発明の効果】
【0017】
この発明によれば、ゲート溝の周囲を発光させてシフトパターンを表示させる発光手段を備えた発光ユニットを、光透過性を有する表示パネルで覆うことにより、ゲート溝とシフトレバーとの間の隙間が車室側に露見することなく、乗員にシフトパターンを視認させることができる。このため、シフトパターン表示の見栄えを向上させることができる。
【0018】
さらに、ゲート溝の周囲を発光させてシフトパターンを表示させると共に、表示パネルを、シフトレバーの揺動と同期して移動可能に案内することで、シフトレバーをシフトパターンに沿って容易にシフト操作することが可能になる。これにより、シフトレバーの操作性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る車両のシフト操作装置及びその周辺を示す平面図であり、シフトポジション及びシフトポジション記号等が表示されていない状態を示す図。
【図2】シフト操作装置の全体構成を示す図。
【図3】シフト操作装置の分解斜視図。
【図4】シフトレバーがPポジションに位置している状態を示す平面図であり、シフトポジション及びシフトポジション記号等が表示されている状態を示す図。
【図5】(a)図4のA−A線矢視断面図、(b)図4のB−B線矢視断面図。
【図6】シフトレバーをPセレクトポジションに移動させた状態を示す平面図。
【図7】(a)図6のC−C線矢視断面図、(b)図6のD−D線矢視断面図。
【図8】シフトレバーをDポジションに移動させた状態を示す平面図。
【図9】(a)図8のE−E線矢視断面図、(b)図6のF−F線矢視断面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
図1は、本発明の実施形態に係る車両のシフト操作装置及びその周辺を示す平面図であり、シフトポジション及びシフトポジション記号等が表示されていない状態を示す図である。また、図2は、シフト操作装置の全体構成を示す図であり、図3は、シフト操作装置の分解斜視図である。
【0021】
図1〜図3に示すシフト操作装置1は、自動変速機を搭載したAT車用のシフト操作装置であり、例えば、車室前部にて車幅(左右)方向に延設されたインストルメントパネルや、車室前部の車幅方向両側に位置する運転席と助手席(いずれも図示せず)との間に配設されたセンターコンソール等により構成されるカバー部材2に配設されている。ここで、図1、図2中符号3で示す部材は、カバー部材2に形成された開口部4の縁部を形成する枠部材であり、カバー部材2に装着されている。
【0022】
シフト操作装置1は、図1〜図3に示すように、車両前後方向及び車幅方向に揺動可能に支持されたシフトレバー5と、該シフトレバー5が貫通するように装着され、かつカバー部材2の開口部4に臨むように配置された半球状の表示パネル6と、ガイド機構7と、発光ユニット8と、ベース部材9と、ECU10とを備えている。
【0023】
シフトレバー5は、AT車に搭載した自動変速機を操作するレバーであり、その上部が表示パネル6の貫通孔61を貫通して車室空間に突出する一方、下端部がベース部材9に配設された支軸91に支持されている。シフトレバー5は、この支軸91により、車両前後方向及び車幅方向に揺動可能に支持されている。
【0024】
表示パネル6は、光透過性を有する半透明の部材であり、開口部4にて発光ユニット8、ベース部材9等を上方から覆っている。また、表示パネル6は、その車幅方向両端部が、ガイド機構7によって車両前後方向に移動可能に支持されている。
【0025】
ガイド機構7は、カバー部材2側の枠部材3の形状に合わせて枠形状に形成され、その上下には、表示パネル6の形状に合わせて略円弧状に延びる断面略コ字状のガイド溝71、72を有している。
【0026】
ガイド溝71は、図2、図3に示すように、ガイド機構7の車両前後方向両端部において車幅方向に延びるように形成されており、枠部材3の下面部の車両前後方向両端部に設けられた断面略L字状のガイドレール31に嵌合している。ガイド機構7は、このガイド溝71とガイドレール31との嵌合により、枠部材3を介してカバー部材2に装着されると共に、ガイドレール31によって車幅方向に移動可能に案内されるようになっている。
【0027】
一方、ガイド溝72は、ガイド機構7の車幅方向両端部において車両前後方向に延びるように形成されており、このガイド溝72には、表示パネル6の車幅方向両端部が嵌合している。表示パネル6は、このガイド溝72との嵌合により、車両前後方向に移動可能に案内されるようになっている。
【0028】
本実施形態では、乗員がシフトレバー5を車幅方向に揺動させると、これに同期して、ガイド機構7がガイドレール31に沿って車幅方向に移動するようになっている。そして、このガイド機構7の移動により、表示パネル6及びガイド機構7が一体的に車幅方向に移動できるようになっている。
【0029】
さらに、乗員がシフトレバー5を車両前後方向に揺動させると、これに同期して、表示パネル6がガイド溝72に沿って車両前後方向に移動できるようになっている。
【0030】
このように、ガイド溝71、72を有するガイド機構7は、シフトレバー5の揺動と同期して、表示パネル6を車幅方向及び車両前後方向に移動可能に案内するようになっている。
【0031】
発光ユニット8は、ベース部材9に装着されており、遮光性を有するケーシング81と、発光手段としての複数のLED82a、82bと、該LED82a、82bから照射される光の方向を変化させる導光板83と、ゲート溝84とを備えている。
【0032】
ケーシング81には、階段状のシフトパターンを形成するゲート溝84が形成されると共に、ゲート溝表示用透光孔85及び記号表示用透光孔86が形成されている。
【0033】
ケーシング81の上面部では、ゲート溝84の周縁部に沿ってスリット状の透光孔を形成することで、ゲート溝表示用透光孔85が形成されている。そして、パーキング(P)ポジション84a、リバース(R)ポジション84b、ニュートラル(N)ポジション84c、ドライブ(D)ポジション84d、マニュアル(M)ポジション84eといったゲート溝84上のシフトポジションを示すシフトポジション記号等(P、R、N、D、M等)を象ったスリット状の透光孔を、ゲート溝84の車幅方向側方に形成することで、記号表示用透光孔86が形成されている。
【0034】
ところで、本実施形態では、シフトレバー5をMポジション84eにシフトさせた時には、乗員がシフトレバー5を車両前後のシフトアップ方向、シフトダウン方向に適宜シフトさせることにより、変速段を手動で一段ずつ切り替えることが可能となっている。このため、記号表示用透光孔86では、上述したシフトポジション記号(P、R、N、D、M)と共に、シフトアップ方向、シフトダウン方向を表す記号(+、−)を象ったスリット状の透光孔が形成されている。
【0035】
LED82a、82bは、発光色が互いに異なっており、いずれもケーシング81の車幅方向両端部の底面に配設された基板87上に実装されている。
【0036】
導光板83は、LED82a、82bの車幅方向内側にてこれと略同じ高さ位置に配設されると共に、ゲート溝表示用透光孔85及び記号表示用透光孔86と対応する位置には、斜めに切削加工された反射面83aが形成されている。
【0037】
ここで、LED82a、82bの発光は、基板87に接続されたECU10によって制御されるようになっている。ECU10は、図2に示すように、シフトレバー5のシフトポジション84a〜84eを検出するシフトポジション検出センサ11と、図示しない車両のドアの開閉状態を検出するドア開閉センサ12と、車室内の乗員を検出する乗員検出センサ13と、車両の走行モードを切り替える走行モード切り替えスイッチ14とに接続されている。
【0038】
本実施形態では、乗員が走行モード切り替えスイッチ14を切り替え操作することにより、例えば、特開2009−292319号公報に開示されているエコノミー走行モード、スポーツ走行モードのいずれかを設定することが可能であり、ECU10には、設定された走行モードに関連する設定信号が出力されるようになっている。
【0039】
そして、ECU10は、これらシフトポジション検出センサ11、ドア開閉センサ12、及び乗員検出センサ13から出力される検出信号と、走行モード切り替えスイッチ14から出力される上記設定信号とに基づいて、LED82a、82bの発光(発光色、発光強度、発光させる位置等)を制御するようになっている。このうち、本実施形態では、ECU10の制御によってLED82a、82bのいずれかを発光させることにより、発行色を制御するようになっている。なお、図2において、符号15で示す部材は、LED82a、82b用の電源である。
【0040】
また、ECU10の制御によりLED82a、82bが発光した時には、LED82a、82bの光が導光板83の反射面83aで反射されることにより、その照射方向が図3中矢印で示すように上方に向けられ、ゲート溝表示用透光孔85及び記号表示用透光孔86に導かれるようになっている。そして、LED82a、82bの光がゲート溝表示用透光孔85及び記号表示用透光孔86を通過することにより、ゲート溝84の周囲が発光して、表示パネル6上にシフトパターンが表示されると共に、シフトポジション記号等も同時に表示されるようになっている。
【0041】
次に、図4〜図9をさらに参照して、シフト操作装置1の動作をより詳細に説明する。なお、以降の説明では、シフトレバー5をPポジション84aからDポジション84dまでシフトさせた場合を一例として説明する。
【0042】
図4は、シフトレバーがPポジションに位置している状態を示す平面図であり、シフトポジション及びシフトポジション記号等が表示されている状態を示す図である。また、図5(a)は、図4のA−A線矢視断面図、図5(b)は、図4のB−B線矢視断面図である。図6は、シフトレバーをPセレクトポジションに移動させた状態を示す平面図であり、図7(a)は、図6のC−C線矢視断面図、図7(b)は、図6のD−D線矢視断面図である。図8は、シフトレバーをDポジションに移動させた状態を示す平面図であり、図9(a)は、図8のE−E線矢視断面図、図8(b)は、図6のF−F線矢視断面図である。
【0043】
本実施形態では、乗員が乗車のためにドアを開けるまでは、いずれのLED82a、82bも発光しないようになっており、具体的には、ドア開閉センサ12によりドアの開状態が検出されず、かつ乗員検出センサ13により乗員が検出されない時、ECU10は、いずれのLED82a、82bも発光させないようになっている。この時、表示パネル6上には、図1に示すように、シフトパターン及びシフトポジション記号等が表示されない状態となる。
【0044】
換言すると、ドア開閉センサ12によりドアの開状態が検出されるか、または、乗員検出センサ13により乗員が検出された時、ECU10は、いずれかのLED82a、82bを発光させるようになっている。
【0045】
このため、乗員がドアを開けると、LED82a、82bのいずれかが発光する。そして、LED82a、82bの光がゲート溝表示用透光孔85及び記号表示用透光孔86を透過することにより、これに対応する表示パネル6の位置には、図4に示すように、シフトパターン表示部D1、及びシフトポジション記号表示部D2が映写される。これにより、表示パネル6上には、シフトパターン及びシフトポジション記号等が表示される。
【0046】
また、乗員が乗車すると、ドアを閉めたとしても、乗員検出センサ13が車室内の乗員を検出することによって、LED82a、82bの発光が継続され、表示パネル6上におけるシフトパターン及びシフトポジション記号等の表示が継続されるようになっている。
【0047】
ここで、LED82a、82bは、それぞれ上述したエコノミー走行モード用、スポーツ走行モード用のLEDであり、ECU10は、走行モード切り替えスイッチ14から出力される設定信号に基づいて、いずれの走行モードが設定されているかを判定し、この判定に基づいて、対応するいずれかのLED82a、82bを発光させるようになっている。これにより、表示パネル6上に表示されるシフトパターン及びシフトポジション記号等の色が、走行モードの設定に応じて変化するようになっている。
【0048】
さらに、ECU10は、シフトポジション検出センサ11の検出信号に基づいて、現在のシフトポジション84a〜84eを判定し、現在のシフトポジション84a〜84eに対応する記号(記号表示用透光孔86)の直下に位置するLED82a、82bの発光強度を他よりも高めるようになっている。
【0049】
例えば、シフトレバー5が、図4、図5に示すように、開口部4の車幅方向略中央前部のPポジション84aに位置している時、ECU10は、Pポジション84aに対応する記号「P」(記号表示用透光孔86)の直下に位置するLED82a、82bの発光強度を他よりも高めるようになっている。これにより、表示パネル6上では、図4に示すように、表示部D2において、Pポジション84aを示すシフトポジション記号「P」が他よりも明るく表示され、その結果、現在のシフトポジション84aが強調して表示される。なお、図4、図6、図8では、シフトポジション記号が他よりも明るく表示されている状態を、便宜上ハッチングで示している。
【0050】
ところで、図4、図5に示す状態からシフトレバー5を車両左方に揺動させると、図7に示すように、シフトレバー5に同期して、ガイド機構7は、ガイドレール31に沿って車両左方に移動する。この時、表示パネル6及びガイド機構7が一体的に車両左方に移動することになるため、シフトレバー5は、図6に示すようにPセレクトポジションに移動することができる。なお、シフトレバー5をPセレクトポジションに移動させた状態では、図6に示すように、表示部D2において、Pポジション84aを示すシフトポジション記号「P」が引き続き他よりも明るく表示される。
【0051】
次に、図6、図7に示す状態から、さらにシフトレバー5をゲート溝84に沿って車両後方かつ車両右方に揺動させると、図9に示すように、シフトレバー5に同期して、ガイド機構7がガイドレール31に沿って車両右方に移動すると共に、表示パネル6がガイド溝72に沿って車両後方に移動する。この時、表示パネル6及びガイド機構7が一体的に車両右方に移動しつつ、表示パネル6がガイド機構7に対して相対的に車両後方に移動することになるため、シフトレバー5は、図8に示すようにDポジション84dに移動することができる。
【0052】
このようにして、シフトレバー5がDポジション84dに移動すると、ECU10は、シフトポジション検出センサ11の検出信号に基づいて、Dポジション84dに対応する記号「D」(記号表示用透光孔86)の直下に位置するLED82a、82bの発光強度を他よりも高める。これにより、表示パネル6上では、図8に示すように、表示部D2において、Dポジション84dを示すシフトポジション記号「D」が他よりも明るく表示される。
【0053】
このように、本実施形態では、ゲート溝84の周囲を発光させてシフトパターンを表示させるLED82a、82bを備えた発光ユニット8を、光透過性を有する表示パネル6で覆うことにより、ゲート溝84とシフトレバー5との間の隙間が車室側に露見することなく、乗員にシフトパターンを視認させることができる。このため、シフトパターン表示の見栄えを向上させることができる。
【0054】
さらに、ゲート溝84の周囲を発光させてシフトパターンを表示させると共に、表示パネル6を、シフトレバー5の揺動と同期して移動可能に案内することで、シフトレバー5をシフトパターンに沿って容易にシフト操作することが可能になる。これにより、シフトレバー5の操作性を確保することができる。
【0055】
また、表示パネル6が、枠部材3を介してカバー部材2に装着されていることにより、表示パネル6とカバー部材2(枠部材3)との間の隙間管理が容易となる。この場合、表示パネル6とカバー部材2との間の隙間にばらつきが生じ難いことから、見栄えのさらなる向上を図ることができる。
【0056】
また、シフトパターンの周囲にシフトポジション記号等を発光表示させることで、シフトポジション84a〜84eの識別性を向上させることができる。
【0057】
また、エコノミー走行モード、スポーツ走行モード、及びシフトレバー5のシフト操作で自動変速機が操作されることにより切り替わる走行モード(パーキング、リバース、ニュートラル、ドライブ、マニュアル)に基づいて、LED82a、82bの発光(発光色、発光強度、発光させる位置等)を制御するECU10を備えたことにより、現在の車両の走行モードを、表示パネル6の発光の状態によって容易に識別することができる。
【0058】
また、ドアの開状態を検出した時に、LED82a、82bを発光させるようにしたことで、例えば、乗員が乗車しようとしてドアを開けた時、車両始動前のシフトレバー5のシフトポジション84a〜84eを、表示パネル6の表示に基づいて容易に視認することができる。これにより、車両始動時に乗員の意図しない走行(急発進、リバース等)を行うことを確実に防止できる。
【0059】
なお、本発明は、ドアの開状態の検出に基づいてLED82a、82bを発光させることに必ずしも限定されず、例えば、イグニッションスイッチON状態の検出に基づいてLED82a、82bを発光させるようにしもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、ゲート溝84により形成されるシフトパターンを略階段状に形成しているが、本発明は、必ずしもこれに限定されない。例えば、上記特許文献1に開示されているように、シフトパターンを直線状に形成したものに本発明を適用してもよい。
【0061】
また、上述した実施形態では、エコノミー走行モード、スポーツ走行モードの切り替えを走行モード切り替えスイッチ14によって切り替えることとしているが、本発明は、必ずしもこれに限定されない。例えば、アクセルペダルの操作量に基づいてECU10が自動的に走行モードを切り替えるようにしてもよい。この場合、ECU10は、走行モードの切り替え制御に応じて、LED82a、82bの発光を切り替える制御を実行する。
【0062】
また、エコノミー走行モード、スポーツ走行モードの切り替えのみならず、シフトレバー5のシフト操作で切り替わる車両の走行モード(ドライブ、マニュアル、リバース等)に応じて発光色を制御するようにしてもよい。これにより、現在のシフトレバー5のシフトポジション84a〜84eを容易に識別することができる。
また、この場合、上記シフトポジション記号の発光色に合わせてゲート溝84の発光色を変化させるようにしてもよい。
【0063】
また、現在のシフトレバー5のシフトポジション84a〜84eを強調して表示する方法としては、上述した実施形態のように、LED82a、82bの発光強度を制御する方法に必ずしも限定されない。例えば、表示パネルとして、特開2010−6302号公報に開示されているような液晶パネルや、エレクトロクロミック等の調光ガラス(パネル)を用いる方法を採用してもよい。この場合、現在のシフトポジション84a〜84eに対応するシフトポジション記号と対応する位置にある表示パネルの部位のみを、電圧印加によって透明の状態(高い透過率)に変化させればよい。
【0064】
また、14セグメントまたは16セグメントのLEDをゲート溝84の周囲に配設し、現在のシフトポジション84a〜84eに応じて、シフトポジション記号を切り替え表示するようにしてもよい。
【0065】
また、LED82a、82bを常時発光させるようにしてもよい。例えば、乗員が乗車していない車両を車外から手押しで移動させようとする時には、シフトレバー5のシフトポジションがニュートラル(N)ポジション84cに位置している必要があるが、上述したようにLED82a、82bを常時発光させることで、その車両が手押しで移動できる状態であるか否かを、車外の第三者が表示パネル6の表示に基づいて容易に判断できるという利点がある。
【0066】
また、発光手段をLEDで構成することに必ずしも限定されず、例えば、白熱電球や有機EL等で構成してもよい。
【0067】
また、上述した実施形態では、自動変速機を操作するシフト操作装置1に本発明を適用しているが、手動変速機を搭載したMT車のシフト操作装置に本発明を適用してもよい。
【0068】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の、ガイド手段は、ガイド機構7に対応し、
以下同様に、
発光手段は、LED82a、82bに対応し、
制御手段は、ECU10に対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0069】
1…シフト操作装置
2…カバー部材
4…開口部
5…シフトレバー
6…表示パネル
7…ガイド機構
8…発光ユニット
10…ECU
84…ゲート溝
82a、82b…LED

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の変速機を操作するシフトレバーを備えた車両のシフト操作装置であって、
上記シフトレバーのシフトパターンを形成するゲート溝を備え、該ゲート溝の周囲を発光させる発光ユニットと、
上記シフトレバーが貫通した状態で装着されると共に、車室のカバー部材の開口部に臨むように配置されて、上記発光ユニットを上方から覆う光透過性を有する表示パネルと、
該表示パネルを、上記シフトレバーの動きと同期して移動可能に案内するガイド手段とを設け、
上記発光ユニットは、上記ゲート溝の周囲を発光させて上記表示パネルにシフトパターンを表示させる発光手段を備えた
車両のシフト操作装置。
【請求項2】
上記表示パネルは、上記カバー部材に装着された上記ガイド手段に移動可能に案内される
請求項1記載の車両のシフト操作装置。
【請求項3】
上記発光手段は、上記表示パネルにおいて、上記シフトパターンの周囲にシフトポジション記号を発光表示させる
請求項1または2記載の車両のシフト操作装置。
【請求項4】
車両の走行モードに基づいて上記発光手段の発光を制御する制御手段を備えた
請求項1〜3のいずれか一項に記載の車両のシフト操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−95394(P2013−95394A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−243117(P2011−243117)
【出願日】平成23年11月7日(2011.11.7)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】