説明

車両のショックアブソーバー装着部の構造

【課題】ショックアブソーバー上端が結合された部位の剛性を充分に確保することができるようにして、ロードノイズを効果的に遮断、絶縁して車両の騷音振動特性を改善する車両のショックアブソーバー装着部の構造を提供する。
【解決手段】クォーターパネルと、上端部がクォーターパネルに結合されて、フィルハウスを形成するフィルハウスインナーパネルと、フィルハウスインナーパネルの上側面とクォーターパネルに結合されて、フィルハウスインナーパネル及びクォーターパネルと共に閉空間を形成するインナーサポートメンバーと、クォーターパネルを中心にインナーサポートメンバーと対応するようにクォーターパネルと共に閉空間を形成するようにクォーターパネルに結合するアウトサポートメンバーと、上端部がフィルハウスインナーパネルに水平方向接合面をなして結合されてショックアブソーバーの上端を支持するマウンティングブラケットと、を有して構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のショックアブソーバー装着部の構造に関するものであり、より詳細には、車両のリアショックアブソーバーと燃料フィラーネックが設置された部位の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両走行中に道路の条件によって発生するロードノイズ(ROAD NOISE)は、タイヤと懸架装置を通じて車体に伝わり、搭乗者に不快感を与えるようになる。このようなロードノイズの伝達は、懸架装置をなすショックアブソーバーが車体に装着された部位を通じて車体パネルを加振させることによるものであり、ショックアブソーバー装着部の剛性がロードノイズの絶縁及び遮断に非常に重要な役割をする。
【0003】
図1は、従来の車両のリア懸架装置をなすショックアブソーバー500が車体に装着された構造を示したものであり、図2は、フィルハウスインナーパネル502とクォーターパネル504を斜視図で示したものである。この図は、ショックアブソーバー500の上端が、燃料を注油する燃料フィラーネック506が設置された部位と接してマウンティングされなければならない車両の構造を示しているが、ショックアブソーバー500の上端は、マウンティングブラケット508を通じてフィルハウスインナーパネル502にマウンティングされて、フィルハウスインナーパネル502は、上端部がクォーターパネル504に接合され、燃料フィラーネック506は、ショックアブソーバー500に隣接した状態で前記クォーターパネル504を貫通して設置されている。
【0004】
マウンティングブラケット508は、燃料フィラーネック506と、これに連結される燃料ラインとの干渉がありうるなどの理由で、上端がフィルハウスインナーパネル502に垂直した接合面に結合される。このような結合構造は、ショックアブソーバー500に伝わるロードノイズに対する剛性において、マウンティングブラケット508がフィルハウスインナーパネル502に水平方向の接合面を有して結合されることに比べて、相対的に不利で十分な剛性を確保できないことがある。
【0005】
ショックアブソーバーの装着構造としては、ショックアブソーバーとスタビライザーバーを、別のマウンティングブラケットを使用せずにローワーアーム上に直接一体に装着させて全体的な剛性の向上及び重量の減少が計れる懸架装置用ローワーアームアセンブリー〔特許文献1〕、ショックアブソーバーブラケットの締結部付近の応力集中を緩和し、車体への負担を軽減するショックアブソーバー取付け部構造〔特許文献2〕などの報告がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−042798号公報
【特許文献2】特開2010−241289号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記問題点に鑑みて本発明の目的は、ショックアブソーバー上端が結合された部位の剛性を充分に確保することができるようにして、ロードノイズを効果的に遮断、絶縁して車両の騷音振動特性を改善する車両のショックアブソーバー装着部の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するためになされた本発明に係る車両のショックアブソーバー装着部の構造は、クォーターパネルと、上端部がクォーターパネルに結合されて、フィルハウスを形成するフィルハウスインナーパネルと、フィルハウスインナーパネルの上側面とクォーターパネルに結合されて、フィルハウスインナーパネル及びクォーターパネルと共に閉空間を形成するインナーサポートメンバーと、クォーターパネルを中心にインナーサポートメンバーと対応するようにクォーターパネルと共に閉空間を形成するようにクォーターパネルに結合するアウトサポートメンバーと、上端部がフィルハウスインナーパネルに水平方向接合面をなして結合されてショックアブソーバーの上端を支持するマウンティングブラケットと、を有して構成されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る車両のショックアブソーバー装着部の構造は、ショックアブソーバーの上端が車体にマウンティングされる部位が燃料フィラーネック及び燃料ラインと接するように位置する場合にも、ショックアブソーバー上端が結合される部位の剛性を充分に確保することができ、ロードノイズを効果的に遮断及び絶縁でき、車両の騷音振動を少なくすることができ、車両の商品価値を高めることができる。
また、本発明による車両のショックアブソーバー装着部の構造は、結果的にフィルハウス空間を二重隔膜構造で遮断するようになって、フィルハウス空間からの異物が車両内部に流入するのを遮断する役割もするようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】従来技術による車両のショックアブソーバー装着部の構造を示した図面である。
【図2】図1のフィルハウスインナーパネルとクォーターパネルの斜視図である。
【図3】本発明による車両のショックアブソーバー装着部の構造を示した図面である。
【図4】図3の構造の斜視図である。
【図5】図4の構造を図3とは異なる位置で切断した断面図である。
【図6】図4の構造をなす主要部品の分解斜視図である。
【図7】図4の構造をフィルハウス内部から上側を見た図面である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図3〜7に本発明に係る車両のショックアブソーバー装着部の構造を図示している。本発明車両のショックアブソーバー装着部の構造は、クォーターパネル1と、上端部がクォーターパネル1に結合されてフィルハウスを形成するフィルハウスインナーパネル3と、フィルハウスインナーパネル3の上側面とクォーターパネル1に結合されて、フィルハウスインナーパネル3及びクォーターパネル1と共に閉空間を形成するインナーサポートメンバー5と、クォーターパネル1を中心にインナーサポートメンバー5と対応するようにクォーターパネル1と共に閉空間を形成してクォーターパネル1に結合したアウトサポートメンバー7と、上端部がフィルハウスインナーパネル3に水平方向接合面をなして結合され、ショックアブソーバーの上端を支持するマウンティングブラケット9を有して構成される。
【0012】
燃料フィラーネック11とこれに連結した燃料ラインは、フィルハウスインナーパネル3の上側面を通過して、インナーサポートメンバー5とアウトサポートメンバー7によって形成された閉空間を通じてアウトサポートメンバー7を貫通するように設置される。
【0013】
すなわち、従来技術では、図1に示したようにフィルハウス上側空間をそのまま活用して燃料フィラーネックと燃料ラインが設置されるようにしていた。本発明では、フィルハウスインナーパネル3とクォーターパネル1によって形成されたフィルハウス空間を別に具備して、このフィルハウス空間上側にインナーサポートメンバー5とアウトサポートメンバー7を具備して、これらが形成する閉空間を活用して燃料フィラーネック11とこれに連結された燃料ラインの設置が可能であるようにしている。そして、マウンティングブラケット9の上端部を、フィルハウス空間を形成するフィルハウスインナーパネル3の下側面と水平な接合面で結合することで、ショックアブソーバーからマウンティングブラケット9に伝わったロードノイズに対してより強い剛性を与えるようにしたものである。
【0014】
クォーターパネル1は、垂直面の下側にフィルハウスを形成するように外側に折曲された断面形状を有して、フィルハウスインナーパネル3は、上端部がクォーターパネル1の切曲部位に互いに垂直な接合面を形成して結合される。
【0015】
すなわち、フィルハウスインナーパネル3は、従来とは異なり純粋にフィルハウス空間を形成するだけの構造で、クォーターパネル1の下側折曲部がフィルハウスインナーパネル3と共にフィルハウスを形成するようにしたものである。
【0016】
インナーサポートメンバー5は、下端部がフィルハウスインナーパネル3の上側面に水平方向の接合面で結合され、上端部はクォーターパネル1の垂直面に垂直方向の接合面で結合され、アウトサポートメンバー7は、下端部がクォーターパネル1の折曲されてフィルハウスを形成する部位の上側面に水平方向の接合面で結合されて、上端部はクォーターパネル1の垂直面に垂直方向の接合面で結合する構造である。
【0017】
マウンティングブラケット9の上端部は、フィルハウスインナーパネル3を中心にインナーサポートメンバー5の下端部がフィルハウスインナーパネル3に接合された部位に対応するように結合されて、フィルハウスインナーパネル3を中心に上下に重畳されて結合することで、マウンティングブラケット9から上下方向に作用する荷重及び振動に対してより強い剛性となるようにしている。
【0018】
一方、図7を参照すると、フィルハウスインナーパネル3とクォーターパネル1が形成するフィルハウス内でフィルハウスインナーパネル3の下側面からクォーターパネル1の下側面に延長された形状で結合された複数個のフィルハウス補強材13をさらに具備して、マウンティングブラケット9は、フィルハウス補強材13の間に結合されて、両側部分がフィルハウス補強材13に重畳されて結合する構造を取って、より強い剛性が確保できるようにしている。
【0019】
図7のフィルハウスインナーパネルに形成された穴15は、燃料フィラーネックまたはこれに連結される燃料ラインが通過するようにする穴である。
【0020】
このように、ショックアブソーバーの上端を支持するマウンティングブラケット9の上端部が、フィルハウスインナーパネル3に水平方向の接合面で結合され、その両側がフィルハウス補強材13に重畳されて結合され、下側はフィルハウスインナーパネル3に垂直方向の接合面で結合され、フィルハウスインナーパネル3と共にまた他の閉空間を形成して結合するので、ショックアブソーバーから伝達する荷重や振動及びロードノイズに対して十分な支持剛性を確保することができる。これにより、ロードノイズに対して効果的に絶縁、遮断することができ、車両の騷音性能を改善することができ、さらに車両の商品価値を高めることができる。
【0021】
また、燃料フィラーネック11の設置のために、フィルハウスインナーパネル3とクォーターパネル1には穴が形成されるとフィルハウス空間から異物が車体内部まで浸透することがあるが、本発明による構造では、フィルハウスインナーパネル3とインナーサポートメンバー5、及びクォーターパネル1とアウトサポートメンバー7がそれぞれ二重構造を形成するようになり、これにより外部からの異物が車体内部まで浸透することがなくなる。
【0022】
本発明は、特定の実施形態で図示して説明したが、以下の特許請求範囲によって提供される本発明の技術的思想を脱しない限度内で多様に改良、変形できることは当業者には自明であろう。
【符号の説明】
【0023】
1;クォーターパネル
3;フィルハウスインナーパネル
5;インナーサポートメンバー
7;アウトサポートメンバー
9;マウンティングブラケット
11;燃料フィラーネック
13;フィルハウス補強材
15;(フィルハウスインナーパネルに形成された)穴
500;ショックアブソーバー
502;フィルハウスインナーパネル
504;クォーターパネル
506;燃料フィラーネック
508;マウンティングブラケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クォーターパネル(1)と、
上端部が前記クォーターパネル(1)に結合されて、フィルハウスを形成するフィルハウスインナーパネル(3)と、
前記フィルハウスインナーパネル(3)の上側面と前記クォーターパネル(1)に結合されて、前記フィルハウスインナーパネル(3)及び前記クォーターパネル(1)と共に閉空間を形成するインナーサポートメンバー(5)と、
前記クォーターパネル(1)を中心に前記インナーサポートメンバー(5)と対応するように前記クォーターパネル(1)と共に閉空間を形成するように前記クォーターパネル(1)に結合するアウトサポートメンバー(7)と、
上端部が前記フィルハウスインナーパネル(3)に水平方向接合面をなして結合されてショックアブソーバーの上端を支持するマウンティングブラケット(9)と、
を有して構成されたことを特徴とする車両のショックアブソーバー装着部の構造。
【請求項2】
燃料フィラーネック(11)とこれに連結される燃料ラインは、前記フィルハウスインナーパネル(3)の上側面を通過して、前記インナーサポートメンバー(5)と前記アウトサポートメンバー(7)によって形成する閉空間を通じて前記アウトサポートメンバー(7)を貫通して設置されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のショックアブソーバー装着部の構造。
【請求項3】
前記クォーターパネル(1)は、垂直面の下側にフィルハウスを形成するように外側に折曲された断面形状を有し、前記フィルハウスインナーパネル(3)は、上端部が前記クォーターパネル(1)の切曲部位に互いに垂直した接合面を形成して結合されたことを特徴とする請求項2に記載の車両のショックアブソーバー装着部の構造。
【請求項4】
前記インナーサポートメンバー(5)は、下端部が前記フィルハウスインナーパネル(3)の上側面に水平方向の接合面で結合され、上端部が前記クォーターパネル(1)の垂直面に垂直方向の接合面で結合され、
前記アウトサポートメンバー(7)は、下端部が前記クォーターパネル(1)の折曲されてフィルハウスを形成する部位の上側面に水平方向の接合面で結合され、上端部が前記クォーターパネル(1)の垂直面に垂直方向の接合面で結合されたことを特徴とする請求項3に記載の車両のショックアブソーバー装着部の構造。
【請求項5】
前記マウンティングブラケット(9)の上端部は、前記フィルハウスインナーパネル(3)を中心に前記インナーサポートメンバー(5)の下端部が前記フィルハウスインナーパネル(3)に接合された部位に対応して結合されたことを特徴とする請求項4に記載の車両のショックアブソーバー装着部の構造。
【請求項6】
前記フィルハウスインナーパネル(3)と前記クォーターパネル(1)が形成するフィルハウス内で、前記フィルハウスインナーパネル(3)の下側面から前記クォーターパネル(1)の下側面に延長する形状で結合された複数個のフィルハウス補強材(13)をさらに具備して、
前記マウンティングブラケット(9)は、前記フィルハウス補強材(13)の間に結合されて、その両側部分は前記フィルハウス補強材(13)に重畳されて結合されたことを特徴とする請求項3に記載の車両のショックアブソーバー装着部の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−79047(P2013−79047A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−253523(P2011−253523)
【出願日】平成23年11月21日(2011.11.21)
【出願人】(591251636)現代自動車株式会社 (1,064)
【Fターム(参考)】