説明

車両のスタビライザ制御装置

【課題】簡単且つ安価な構成で、悪路走破性の向上と走行安定性の確保を両立させ得るスタビライザ制御装置を提供する。
【解決手段】スタビライザバー1の左右一方側にシリンダ2及びピストン3が配設され、弁装置5を介してアキュムレータ4に接続される。この弁装置は、バルブハウジング内で車両の左右方向に移動可能に配置されるスプール53と、これを中立位置に保持するように付勢する中立復帰付勢部材を備えたもので、スプールが中立位置にあるときにはシリンダの一方の圧力室がアキュムレータに連通され、スプールが車両の左右方向に移動したときには両者間の連通が遮断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のスタビライザ制御装置に関し、特に、車両前後の左右の車輪間に支持されるスタビライザバーによって車両のローリング運動を抑制し得るスタビライザ制御装置に係る。
【背景技術】
【0002】
車両のローリング運動を抑制する装置として、一般的に、車両の左右車輪間にトーションバーが配設されたスタビライザ装置が知られており、トーションバーはスタビライザバーと呼ばれている。これによれば左右車輪間のサスペンションストロークに相対的な変位差が発生したときに捩りばねとして作用し、車両のローリング運動を抑制することができる。例えば、下記の特許文献1には、「左右の車輪が同相に動かないときにトーションバーの反力により車体に衝撃が加えられるのを防ぐこと」を目的とし、「トーションバーの両端と左右の懸架装置との連結部に油圧シリンダを介装し、この油圧シリンダにおける縮んだときに圧縮側となる方のオイル室を、高圧ガスによって付勢されたフリーピストンによりオイル室が圧縮されるリザーブタンクに逆止弁およびリリーフ弁を介して連通させてなり、前記逆止弁を油圧シリンダ側へのみオイルが流れるように接続し、前記リリーフ弁を、主オイル通路が形成されたバルブボディに弁体をその軸線方向に沿って移動自在に嵌挿させかつばねによって閉側へ付勢させて形成し、この弁体の開方向側端面を絞り付きオイル通路を介して前記油圧シリンダのオイル室に連通させた」車両用スタビライザー装置が提案されている(特許文献1の段落〔0004〕及び〔0005〕に記載)。
【0003】
また、下記の特許文献2には、「車体に回動自在に支持され、その一端が左右いずれかの車軸側に連結され、他端がロックシリンダを介して他方の車軸側に連結されるスタビライザ装置において、ロックシリンダが、車軸側もしくはスタビライザの一方に連結されるシリンダと、端部に車軸側もしくはスタビライザの他方に連結されシリンダ内に隔壁部材を介して移動自在に挿通されたロッドと、シリンダ内に隔壁部材で隔成した第1室と第2室と、第1室と第2室とを連通する通路と、通路を遮断することでシリンダロック状態としてスタビライザ機能を発揮し、通路を開放することでシリンダフリー状態としてスタビライザ機能を減殺する開閉弁と、第1室と第2室とを連通するバイパス路と、バイパス路の途中に所定の周波数の振動入力時にのみ当該バイパス路を開放する常閉型のショック低減機構とを備えてなる」スタビライザ装置が開示されている(特許文献2の段落〔0028〕に記載)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−186683号公報
【特許文献2】特開2004−338622号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
然し乍ら、上記の特許文献1においては、その図1及び図2に示されているように、油圧シリンダやリザーブタンク等がトーションバー(スタビライザバー)の両側に配設されることが必須とされており、複雑で高価な装置となっている。また、特許文献2における上記開閉弁の具体的な構成は、その段落〔0042〕に「通路50,51,53,55を開放もしくは遮断する開閉弁60」と記載され、図1に符号60で示されているように、電磁弁が用いられており、従って、これを制御する電子制御装置等も必要とされる。即ち、特許文献2に記載のスタビライザ装置においては、電磁弁や電子制御装置等が必須とされ、高価な装置となっている。
【0006】
そこで、本発明は、電磁弁や電子制御装置等を必要とすることなく、簡単且つ安価な構成で、悪路走破性の向上と走行安定性の確保を両立させ得る車両のスタビライザ制御装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を達成するため、本発明は、車両の左右の車輪に両端を支持すると共に車体に支持するスタビライザバーと、該スタビライザバーの左右一方側に一端を支持し連通路を有するピストン、及び該ピストンを介して車両上方側の圧力室及び車両下方側の圧力室を形成し前記車体に支持するハウジングを有するシリンダと、該シリンダの一方の圧力室に連通接続し当該シリンダに収容される流体を所定圧に維持するアキュムレータと、該アキュムレータと前記シリンダとの間に介装し連通を断続する弁装置とを備えた車両のスタビライザ制御装置において、前記弁装置が、バルブハウジングと、該バルブハウジング内で前記車両の左右方向に移動可能に配置するスプールと、該スプールを中立位置に保持するように付勢する中立復帰付勢部材を具備し、該中立復帰付勢部材の付勢力によって前記スプールが中立位置にあるときには前記スプールを介して前記シリンダの一方の圧力室を前記アキュムレータに連通し、前記スプールが前記中立復帰付勢部材の付勢力に抗して中立位置から前記車両の左右方向に移動したときには前記スプールによって前記シリンダの一方の圧力室と前記アキュムレータとの間の連通を遮断するように構成したものである。
【0008】
上記のスタビライザ制御装置において、前記バルブハウジング内に前記スプールを介して第1の圧力室及び第2の圧力室を形成し、前記スプールを、前記第1の圧力室と前記第2の圧力室とを連通する連通流路と、前記シリンダの一方の圧力室及び前記アキュムレータに連通する環状流路を有するものとし、前記スプールが中立位置にあるときには、前記環状流路を介して前記シリンダの一方の圧力室が前記アキュムレータに連通し、前記スプールが前記車両の左右方向に移動したときには前記環状流路を遮断するように構成するとよい。
【0009】
更に、上記のスタビライザ制御装置において、前記アキュムレータと前記シリンダとの間で前記弁装置に対して直列に配置し、前記弁装置による前記シリンダの一方の圧力室と前記アキュムレータとの間の連通を断続する作動に対して遅延して作動する補助弁装置を備えものとするとよい。
【0010】
前記補助弁装置は、前記弁装置と実質的に同様の構造を有し、前記弁装置を構成する前記連通流路に対応する連通流路に絞り部を設けたものとするとよい。あるいは、前記補助弁装置は、前記弁装置と実質的に同様の構造を有し、前記弁装置を構成する前記中立復帰付勢部材に対応する中立復帰付勢部材の付勢力を前記中立復帰付勢部材の付勢力より大に設定することとしてもよい。尚、前記中立復帰付勢部材は、前記スプールに対し前記第2の圧力室方向に付勢する第1の付勢部材と、前記スプールに対し前記第1の圧力室方向に付勢する第2の付勢部材によって構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述のように構成されているので以下の効果を奏する。即ち、本発明のスタビライザ制御装置においては、スタビライザバーの左右一方側にシリンダ及びピストンを配設し、このシリンダとアキュムレータとの間に介装して連通を断続する弁装置を、バルブハウジングと、このバルブハウジング内で車両の左右方向に移動可能に配置するスプールと、このスプールを中立位置に保持するように付勢する中立復帰付勢部材を具備したものとし、この中立復帰付勢部材の付勢力によってスプールが中立位置にあるときにはスプールを介してシリンダの一方の圧力室をアキュムレータに連通し、スプールが中立復帰付勢部材の付勢力に抗して中立位置から車両の左右方向に移動したときにはスプールによってシリンダの一方の圧力室とアキュムレータとの間の連通を遮断するように構成したものであるので、電磁弁や電子制御装置等を必要とすることなく、簡単且つ安価な構成で、悪路走破性の向上と走行安定性の確保を容易に両立させることができる。例えば、車両の直進時は、弁装置内のスプールは中立位置にあって、シリンダの一方の圧力室がアキュムレータに連通している。従って、ピストンはシリンダ内を自由に移動することができ、スタビライザバーは自由状態にあるので、荒れた路面等でも乗心地が損なわれることなく走破することができる。車両旋回時には、車両の左右方向に加速度が生じ、スプールが中立復帰付勢部材の付勢力に抗して中立位置から車両の左右方向に移動するので、シリンダの一方の圧力室とアキュムレータとの間の連通が遮断される。この結果、ピストンがロック状態となるので、スタビライザバーの捩り力によって車両のロール運動が抑制され、走行安定性が確保される。
【0012】
前記スプールは、前記連通流路と前記環状流路を有するものとし、前記スプールが車両の左右方向に移動したときには環状流路を遮断するように構成すれば、車両左右方向に加速度が生ずる車両旋回時には、スプールが左右方向に移動して環状流路が遮断されるので、シリンダの一方の圧力室とアキュムレータとの間の連通を確実に遮断することができ、機械的な簡単な構成の弁装置によって所期の目的を達成することができる。
【0013】
更に、前記弁装置に加え、前述の補助弁装置を備えたものとすれば、旋回走行が左右連続で行われ、所謂切り返し操作が行われる場合にも、乗り心地が阻害されることはない。しかも、補助弁装置は、前記弁装置と同様の簡単な構成とすることができるので、簡単且つ安価な装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態に供するシリンダ及び弁装置の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態に供する弁装置の作動状態を示す断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に供するシリンダ及び弁装置の断面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に供する弁装置の作動状態を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に供する弁装置の作動状態を示す断面図である。
【図7】本発明の更に他の実施形態に供するシリンダ及び弁装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の望ましい実施形態を図面を参照して説明する。先ず、図1は本発明の一実施形態に係るスタビライザ制御装置を示すもので、車両の左右前方の車輪FL及びFRにスタビライザバー1の両端が支持され、その中間部が左右2箇所の支持部(M1、M2)で車体(図示せず)に支持されている。本実施形態においては、車両前方の車軸に設けられたスタビライザバー1に適用したものであるが、車両後方の車軸に設けられたスタビライザバーにも適用することができ、両者共に適用することとしてもよい。
【0016】
本実施形態においては、スタビライザバー1の左側にシリンダ2が配設され、連通路3pを有するピストン3の一端がスタビライザバー1に支持されている。このシリンダ2は、ハウジング20内にピストン3を介して車両上方側の圧力室21及び車両下方側の圧力室22が形成され、ハウジング20が車体に支持されている。そして、一方の圧力室(本実施形態では車両上方側の圧力室21)が、連通管25を介して弁装置5に連通接続され、この弁装置5は連通管45を介してアキュムレータ4に連通接続されており、弁装置5が連通位置にあるときに、シリンダ2に収容される流体がアキュムレータ4によって所定圧に維持されるように構成されている。例えば、当該流体が熱膨張するものであっても、それによる圧力変動はアキュムレータ4によって適切に吸収される。
【0017】
弁装置5は、図2に示すように、バルブハウジング50内で車両の左右方向に移動可能に配置され、第1の圧力室たる圧力室51及び第2の圧力室たる圧力室52を形成するスプール53と、中立復帰付勢部材として機能する中立復帰ばね54及び55を具備したスプールバルブで構成されている。そして、中立復帰ばね54及び55の付勢力によってスプール53が中立位置にあるときにはスプール53を介して圧力室21をアキュムレータ4に連通し、スプール53が中立復帰ばね54又は55の付勢力に抗して中立位置から車両の左右方向に移動したときにはスプール53によって圧力室21とアキュムレータ4との間の連通を遮断するように構成されている。尚、本実施形態の中立復帰付勢部材は、スプール53に対し圧力室52方向に付勢する第1の付勢部材の中立復帰ばね54と、スプール53に対し圧力室51方向に付勢する第2の付勢部材の中立復帰ばね55によって構成されており、ばね定数及び取付荷重が等しくなるように設定されているが、単一のばね部材等によって中立復帰付勢部材を構成することとしてもよい。
【0018】
スプール53は、圧力室51と圧力室52とを連通する連通流路53pと、(連通管25及び45を介して)シリンダ2の圧力室21及びアキュムレータ4に連通する環状流路53rと、環状流路53rを連通流路53pに連通する連通流路53sを有し、スプール53が中立位置にあるときには、環状流路53rを介して圧力室21がアキュムレータ4に連通し、スプール53が車両の左右方向に移動したときには環状流路53rを遮断して圧力室21とアキュムレータ4との間の連通を遮断するように構成されている。尚、連通流路53sは、圧力室51及び52内の流体と圧力室21及びアキュムレータ4内の流体との間の熱膨張差等による圧力差を吸収するために、環状流路53rと連通流路53pとの間の流体の移動を許容するものである。
【0019】
上記の構成になるスタビライザ制御装置の作動を説明すると、先ず車両の直進時においては、路面からの荷重の入力方向は、殆ど上下方向のみなので、車両の左右方向に移動可能に配置されたスプール53が移動することはなく、図2に示す中立位置にある。例えば荒れた路面を直進しているときに突起入力があるような場合、スタビライザバー1を介してシリンダ2内のピストン3に上下方向の力が伝達されるが、圧力室21がスプール53(環状流路53r)を介してアキュムレータ4に連通接続されているためシリンダ2内のピストン3が移動可能であり、スタビライザバー1は(拘束されず)自由状態にあるので、乗心地が損なわれることなく悪路を走破することができる。
【0020】
次に、直進走行ではない車両旋回時には、車両に対し横方向の加速度(以下、横Gという)が発生するため、車両の左右方向に移動可能に配置されたスプール53は、横Gによる力を受けてシリンダ2内を横方向(図2の左右方向)に移動し、例えば図3に示す状態となり、弁装置5内の環状流路53rを遮断することになる。この結果、シリンダ2の圧力室21とアキュムレータ4との連通が遮断されるため、ピストン3が所謂ロック状態となり、スタビライザバー1の捩り力によって車両のロール運動が抑制され、走行安定性が確保される。
【0021】
そして、旋回走行から直進走行になると、車体への横Gが消失し、従ってスプール53は中立復帰ばね54及び55の付勢力により図2に示す中立位置に戻され、シリンダ2の圧力室21がスプール53を介してアキュムレータ4と連通し、スタビライザバー1は自由状態となる。
【0022】
更に、旋回走行が左右連続で行われ、所謂切り返し操作が行われる場合には、直進状態ではないにもかかわらず、スタビライザバー1が自由状態になってしまうことがある。即ち、切り返し操作途中ではスプール53が連続して左右に移動するため、スプール53がバルブハウジング50の中央近傍(中立位置)を移動する瞬間に、スタビライザバー1が自由状態となって、(横Gがゼロになる瞬間においても、左右輪の荷重移動が過渡的に起こっているため)車体が急に傾くといった状態が生じ得る。これに対しては、以下のように構成すれば、適切に対処することができる。
【0023】
図4乃至図6は、本発明の他の実施形態を示すもので、切り返し操作に伴う上記の状態を回避するため、シリンダ2とアキュムレータ4との間で弁装置5に対して直列に配置し、弁装置5によるシリンダ2の圧力室21とアキュムレータ4との間の連通を断続する作動に対して遅延して作動する補助弁装置105を設けることとしたものである。即ち、図4に示すように、弁装置5と実質的に同様の構造を有し、弁装置5を構成する連通流路53pに対応する連通流路153pに絞り部(オリフィス)ORを設けた補助弁装置105を配置することとしたものである。尚、補助弁装置105及びこれに関連する部分には、対応する弁装置5及びこれに関連する部分に対し100位の数字1を付加した符号を付している。
【0024】
上記の構成によって、左右一方側への旋回中は、スプール53及びスプール153は共に同じ方向に横Gを受けているため、図5に示すように、左右方向の同じ側に移動しているが、切り返し操作により旋回方向が変わるときには、図6に示すように、弁装置5のスプール53が先に移動し、これより遅れて(若干の遅延時間後に)補助弁装置105のスプール153が移動することになるため、切り返し操作中にスタビライザバー1が自由状態となることはない。即ち、旋回走行が左右連続で行われる(切り返し操作が行われる)場合でも、車体が急に傾くといった状態となることを回避することができ、乗り心地が阻害されることはない。旋回走行から直進走行になるときには、中立復帰ばね54及び55によりスプール53が先行して中立位置に戻され、これより遅れて、中立復帰ばね154及び155によりスプール153も中立位置に戻されるので、シリンダ2の圧力室21がスプール53(環状流路53r)及びスプール153(環状流路153r)を介してアキュムレータ4と連通し、スタビライザバー1は自由状態となる。
【0025】
図7は、本発明の更に他の実施形態を示すもので、弁装置5と実質的に同様の構造を有し、弁装置5を構成する中立復帰ばね54及び55に対応する中立復帰ばね254及び255の付勢力を中立復帰ばね54及び55の付勢力より大に設定した弁装置205を配置することとしたものである。尚、弁装置205及びこれに関連する部分には、対応する弁装置5及びこれに関連する部分に対し100位の数字2を付加した符号を付している。
を付加している。
【0026】
図7に示す実施形態においても、左右一方側への旋回中は、スプール53及びスプール253は共に同じ方向に横Gを受けているため、左右方向の同じ側に移動しているが、切り返し操作により旋回方向が変わるときには、弁装置5のスプール53が先に移動し、これより遅れて(若干の遅延時間後に)補助弁装置205のスプール253が移動することになるため、切り返し操作中にスタビライザバー1が自由状態となることはない。即ち、切り返し操作が行われる場合でも、車体が急に傾くといった状態となることを回避することができ、乗り心地が阻害されることはない。
【符号の説明】
【0027】
1 スタビライザバー
2 シリンダ
3 ピストン
3p 連通路
4 アキュムレータ
5 弁装置
21,22 圧力室
51,52,151,152,251,252 圧力室
53,153,253 スプール
53p,153p,253p 連通流路
53r,153r,253r 環状流路
54,55,154,155,254,255 中立復帰ばね(中立復帰付勢部材)
105,205 補助弁装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右の車輪に両端を支持すると共に車体に支持するスタビライザバーと、該スタビライザバーの左右一方側に一端を支持し連通路を有するピストン、及び該ピストンを介して車両上方側の圧力室及び車両下方側の圧力室を形成し前記車体に支持するハウジングを有するシリンダと、該シリンダの一方の圧力室に連通接続し当該シリンダに収容される流体を所定圧に維持するアキュムレータと、該アキュムレータと前記シリンダとの間に介装し連通を断続する弁装置とを備えた車両のスタビライザ制御装置において、前記弁装置が、バルブハウジングと、該バルブハウジング内で前記車両の左右方向に移動可能に配置するスプールと、該スプールを中立位置に保持するように付勢する中立復帰付勢部材を具備し、該中立復帰付勢部材の付勢力によって前記スプールが中立位置にあるときには前記スプールを介して前記シリンダの一方の圧力室を前記アキュムレータに連通し、前記スプールが前記中立復帰付勢部材の付勢力に抗して中立位置から前記車両の左右方向に移動したときには前記スプールによって前記シリンダの一方の圧力室と前記アキュムレータとの間の連通を遮断するように構成したことを特徴とする車両のスタビライザ制御装置。
【請求項2】
前記バルブハウジング内に前記スプールを介して第1の圧力室及び第2の圧力室を形成し、前記スプールが、前記第1の圧力室と前記第2の圧力室とを連通する連通流路と、前記シリンダの一方の圧力室及び前記アキュムレータに連通する環状流路を有し、前記スプールが中立位置にあるときには、前記環状流路を介して前記シリンダの一方の圧力室が前記アキュムレータに連通し、前記スプールが前記車両の左右方向に移動したときには前記環状流路を遮断するように構成したことを特徴とする請求項1記載の車両のスタビライザ制御装置。
【請求項3】
前記アキュムレータと前記シリンダとの間で前記弁装置に対して直列に配置し、前記弁装置による前記シリンダの一方の圧力室と前記アキュムレータとの間の連通を断続する作動に対して遅延して作動する補助弁装置を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の車両のスタビライザ制御装置。
【請求項4】
前記補助弁装置が、前記弁装置と実質的に同様の構造を有し、前記弁装置を構成する前記連通流路に対応する連通流路に絞り部を設けたことを特徴とする請求項3記載の車両のスタビライザ制御装置。
【請求項5】
前記補助弁装置が、前記弁装置と実質的に同様の構造を有し、前記弁装置を構成する前記中立復帰付勢部材に対応する中立復帰付勢部材の付勢力を前記中立復帰付勢部材の付勢力より大に設定したことを特徴とする請求項3記載の車両のスタビライザ制御装置。
【請求項6】
前記中立復帰付勢部材が、前記スプールに対し前記第2の圧力室方向に付勢する第1の付勢部材と、前記スプールに対し前記第1の圧力室方向に付勢する第2の付勢部材から成ることを特徴とする請求項2乃至5の何れか一項に記載の車両のスタビライザ制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−112328(P2013−112328A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−263496(P2011−263496)
【出願日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】