説明

車両のセンターピラー補強構造

【課題】天井強度の性能が改良されるだけでなく、重量及び製造コストが節減できる車両のセンターピラー補強構造を提供する。
【解決手段】本発明は、車体上部に位置するルーフレールサイド部と車体下部に位置するサイドシールで構成されるサイド補強パネルの走行方向中央部を補強するセンターピラー補強構造であって、インナーセンターピラーパネルとアウターセンターピラーパネルからなり、一端がサイドシールと連結されるセンターピラーパネルと、一端部が前記センターピラーパネルの他端部と所定の長さだけ重ねられて結合され、他端部がルーフレールサイド部と連結されるセンターピラー補強部材と、を含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のセンターピラー補強構造に係り、より詳しくは、天井強度の性能が改良されるだけでなく、重量及び製造コストが節減できる車両のセンターピラー補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両のセンターピラー補強構造は、図1及び図2に示すように、互いに対向して結合されるインナーセンターピラーパネル110及びアウターセンターピラーパネル120と、アウターセンターピラーパネル120に結合され強度を補強するセンターピラー補強部材130とで構成されている。
センターピラー補強部材130は、互いに積層され溶接される第1補強部材131及び第2補強部材132で構成される。
【0003】
ここで、第2補強部材132はコの字型断面に形成され、第1補強部材131の内側に溶接されてセンターピラーを補強する役割を果たす。
ところで、従来の車両のセンターピラー補強構造においては、第2補強部材132とインナーセンターピラーパネル110との間にギャップ(G部分)があって、天井強度(ROOF CRUSH)試験時に第2補強部材132がインナーセンターピラーパネル110に力をまともに伝達できないため、A−A線付近で折り曲げられるとの問題点があった。
これを解決するため、第2補強部材132がインナーセンターピラーパネル110と最大限接触するように第2補強部材132の形状を変更することもできるはずであるが、これは重量及び製造コストが上昇するとの問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−262614号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、天井強度が補強されるだけでなく、重量及び製造コストが節減できる車両のセンターピラー補強構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車体上部に位置するルーフレールサイド部と車体下部に位置するサイドシールで構成されるサイド補強パネルの走行方向中央部を補強するセンターピラー補強構造であって、インナーセンターピラーパネルとアウターセンターピラーパネルからなり、一端がサイドシールと連結されるセンターピラーパネルと、一端部が前記センターピラーパネルの他端部と所定の長さだけ重ねられて結合され、他端部がルーフレールサイド部と連結されるセンターピラー補強部材と、を含むことを特徴とする。
【0007】
前記センターピラーパネルは、前記インナーセンターピラーパネルの一面と前記アウターセンターピラーパネルの一面を対向させ、前記インナーセンターピラーパネルおよび前記アウターセンターピラーパネルの両端部を結合して構成され、前記アウターセンターピラーパネルの一端部は、センターピラー補強部材を介して前記サイド補強パネルを構成するルーフレールサイド部と連結されることを特徴とする。
【0008】
前記センターピラー補強部材は、前記インナーセンターピラーパネルの一面と結合されるインナー結合面と、前記アウターセンターピラーパネルの一面と結合されるアウター結合面とを有する補強本体と、前記補強本体から伸ばされて一端が前記ルーフレールサイド部に結合される結合片と、で構成されたことを特徴とする。
【0009】
前記補強本体は「W」字型断面形状を有し、幅方向の両端部にはフランジが形成され、前記フランジは前記インナーセンターピラーパネル及び前記アウターセンターピラーパネルの幅方向の両端部のフランジに上下を挟まれて結合されることを特徴とする。
【0010】
前記結合片は「T」字状であることを特徴とする。
【0011】
前記アウターセンターピラーパネルは、引張強度が980MPA以上の高張力鋼板製であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、重量及び製造コストが節減され、天井強度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】従来の車両のセンターピラー補強構造を示した斜視図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明に係る車両のセンターピラー補強構造を示した分離斜視図である。
【図4】図3の結合斜視図である。
【図5】図4のX−X線断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図を参照し、本発明について詳しく説明する。
図3は本発明に係る車両のセンターピラー補強構造を示した分離斜視図、図4 は図3の結合斜視図、図5は図4のX−X線断面図である。
本発明に係る車両のセンターピラー補強構造は、センターピラー補強部材30とセンターピラーパネル70から構成され、センターピラー補強部材30は、「W」字断面形状を有する補強本体40と、補強本体40から上部に伸びる「T」字型の結合片50からなり、結合片50の上端がサイド補強パネル80を構成するルーフレールサイド部60に結合される。
センターピラーパネル70は、インナーセンターピラーパネル10及びアウターセンターピラーパネル20の各面が対向し、各々の幅方向両端部を結合して構成され、センターピラーパネル70の下端はサイド補強パネル80を構成するサイドシール65に連結され、上部は、所定の長さだけ補強本体40と重ねて結合される。
【0015】
図5に示す通り、インナーセンターピラーパネル10及びアウターセンターピラーパネル20の間に、強度を補強するセンターピラー補強部材30の「W」字断面形状を有する補強本体40を挟み込んで溶接結合される。
アウターセンターピラーパネル20は重量を減らすため引張強度980MPA以上の高張力鋼板で製作されるのが好ましい。
サイド補強パネル80は、ルーフレールサイド部60と、ルーフレールサイド部60と連結されて車体の下側に位置するサイドシール(side seal)65とからなる。
アウターセンターピラーパネル20の上端は、センターピラー補強部材30を介してルーフレールサイド部60と結合されている。アウターセンターピラーパネル20を直接ルーフレールサイド部60と結合させないでセンターピラー補強部材30を介してセンターピラー補強部材30をルーフレールサイド部60と結合させる理由は、引張強度が980MPA以上の高張力鋼板製のアウターセンターピラーパネル20をルーフレールサイド部60まで延長してルーフレールサイド部60と溶接するとルーフレールサイド部60と結合するコーナー部に亀裂が発生する恐れがありこれを防止するためである。さらに、ルーフレールサイド部60まで連結されていた従来のアウターセンターピラーパネル120に比べ重量及び製造コストが節減できる効果がある。
【0016】
センターピラー補強部材30は、「W」字型断面形状を有する補強本体40と、補強本体40の上段から伸ばされてルーフレールサイド部60に結合される結合片50とで構成される。このとき、センターピラー補強部材30は引張強度590MPA級の鋼板を用いて製作することにより、引張強度980MPA以上の高張力鋼板に比べて結合片50とルーフレールサイド部60との間の溶接性を良好にさせるのがよい。
図5に示す通り、補強本体40は、「W」字型断面形状を有し、幅方向の両側にはフランジ43が形成され、インナーセンターピラーパネル10及びアウターセンターピラーパネル20の各々の幅方向端部のフランジに上下両面を挟まれている。補強本体40には両端部から幅方向の内側に入ったところにインナーセンターピラーパネル10の上面に結合される二箇所のインナー結合面41があり、両インナー結合面41から各々上向きに伸びて(図5の断面基準)アウターセンターピラーパネル20の下面に結合されるアウター結合面42とから構成される。
【0017】
図1,2に示す通り、従来のセンターピラー補強部材130は、別々に制作された第1補強部材131及び第2補強部材132が溶接されて一体化されるが、本発明のセンターピラー補強部材30は従来の2つの補強部材131、132のいずれか1つを省略し、インナーセンターピラーパネル10との接触面を最大限増やして従来のG部分のようなギャップをなくすことにより、天井強度の性能を向上させたことに特徴がある。
さらに、センターピラーパネル70は、下端がサイド補強パネル80を構成するサイドシール65に連結され、上部は、所定の長さだけ補強本体40と重ねて結合され、補強本体40の上端がルーフレールサイド部60と連結される構造であるため、従来のようにアウターセンターピラーパネル120に、下部のサイドシール65から上部のルーフレールサイド部60迄センターピラー補強部材30が適用された場合に比べ、重量及び製造コストが著しく節減できる。
【0018】
アウターセンターピラーパネル20を引張強度980MPA以上の高張力鋼板製としたことも、重量が著しく減少させる効果をもたらした。
前述の実施例は、補強本体40をセンターピラーパネル70の上部に配置した例であるが、補強本体40を下部のサイドシール65と結合し、補強本体40の上部にセンターピラーパネル70を配置する方式でもよい。
また、前述の実施例では、センターピラーパネル70がインナーセンターピラーパネル10とアウターセンターピラーパネル20とから構成されているが、車両の仕様に応じてインナーセンターピラーパネル10を省略することもできる。この場合には、センターピラー補強部材30はアウターセンターピラーパネル20及びセンターピラートリムの間に組み込まれる。
【0019】
以上、本発明に関する好ましい実施例を説明したが、本発明は前記実施例に限定されず、本発明の属する技術範囲を逸脱しない範囲での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0020】
10 インナーセンターピラーパネル
20 アウターセンターピラーパネル
30 センターピラー補強部材
40 補強本体
41 インナー結合面
42 アウター結合面
43 フランジ
50 結合片
60 ルーフレールサイド部
65 サイドシール
70 センターピラーパネル
80 サイド補強パネル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体上部に位置するルーフレールサイド部と車体下部に位置するサイドシールで構成されるサイド補強パネルの走行方向中央部を補強するセンターピラー補強構造であって、
インナーセンターピラーパネルとアウターセンターピラーパネルからなり、一端がサイドシールと連結されるセンターピラーパネルと、
一端部が前記センターピラーパネルの他端部と所定の長さだけ重ねられて結合され、他端部がルーフレールサイド部と連結されるセンターピラー補強部材と、
を含むことを特徴とする車両のセンターピラー補強構造。
【請求項2】
前記センターピラーパネルは、前記インナーセンターピラーパネルの一面と前記アウターセンターピラーパネルの一面を対向させ、前記インナーセンターピラーパネルおよび前記アウターセンターピラーパネルの両端部を結合して構成され、
前記アウターセンターピラーパネルの一端部は、センターピラー補強部材を介して前記サイド補強パネルを構成するルーフレールサイド部と連結されることを特徴とする請求項1に記載の車両のセンターピラー補強構造。
【請求項3】
前記センターピラー補強部材は、前記インナーセンターピラーパネルの一面と結合されるインナー結合面と、前記アウターセンターピラーパネルの一面と結合されるアウター結合面とを有する補強本体と、
前記補強本体から伸ばされて一端が前記ルーフレールサイド部に結合される結合片と、
で構成されたことを特徴とする請求項2に記載の車両のセンターピラー補強構造。
【請求項4】
前記補強本体は「W」字型断面形状を有し、幅方向の両端部にはフランジが形成され、前記フランジは前記インナーセンターピラーパネル及び前記アウターセンターピラーパネルの幅方向の両端部のフランジに上下を挟まれて結合されることを特徴とする請求項4に記載の車両のセンターピラー補強構造。
【請求項5】
前記結合片は「T」字状であることを特徴とする請求項3に記載の車両のセンターピラー補強構造。
【請求項6】
前記アウターセンターピラーパネルは、引張強度が980MPA以上の高張力鋼板製であることを特徴とする請求項2に記載の車両のセンターピラー補強構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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