車両のタンク配設構造
【課題】フレーム部にて車室の前後方向の剛性を高め、タンクの溝部でフレーム部を挟み込む構成により、側突時にタンクが車幅方向、特に、排気管側に移動することを防止し、二次災害を抑制する車両のタンク配設構造を提供する。
【解決手段】フロアパネル1の下方、かつフロアパネル1の側端とトンネル部2との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部21が延設され、タンク54は、その上面にフレーム部21を挟む溝部54aが形成され、フレーム部21を溝部54aに挟んでフロアパネル1下部に取付けられたことを特徴とする。
【解決手段】フロアパネル1の下方、かつフロアパネル1の側端とトンネル部2との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部21が延設され、タンク54は、その上面にフレーム部21を挟む溝部54aが形成され、フレーム部21を溝部54aに挟んでフロアパネル1下部に取付けられたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられたような車両のタンク配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大きい容量を必要とするタンク(例えば、排気浄化用還元剤としての尿素水を貯蔵したタンク、その他のタンクなどを車両に配設する場合、特許文献1に開示されたように、運転席と対向する側のフロントカウル内、エンジンルーム内、リヤカウル内、フロントバンパ内の空間部、リヤバンパ内の空間部、フロントシート下部の空間部、リヤシート下部の空間部、または、断面が中空状の車体フレーム内の空間部に配設すべく構成したものがある。
【0003】
上述のタンクの配設部位が車両中心から前後方向に離れたフロントカウル内、エンジンルーム内、リヤカウル内、フロントバンパ内の空間部、リヤバンパ内の空間部の場合には、ヨー慣性モーメントが大きくなるので好ましくない。
また、上述のタンクを閉断面構造の中空状の車体フレーム内の空間部を利用して配設する場合には、タンクに対する貯蔵物の補給やタンクからの貯蔵物の供給が複雑化する。
【0004】
上述の各タンク配設部位のうちでは、フロントシート下部の空間部、リヤシート下部の空間部が最も望ましいが、シートの前後スライドや足元スペースを確保することを考えると、タンク容量が小さくなる。
【0005】
そこで、上述の比較的容積が大きいタンクをフロアパネルの下部に設けることが考えられるが、フロアパネル下部には一般に前後方向に延びるフロアフレームが下方に突出するように設けられており、フロアフレームと干渉しないようにタンクを配設すると、タンク容量が小さくなる一方、タンク容積を重視して、フロアフレームを取外すと、車体剛性が低下するという問題点があった。また、この特許文献1に開示されたものでは、側突時において上述のタンクが車幅方向内方、特に、高温となる排気管側へ移動することを防止するという構成については開示されていない。
【特許文献1】特開2006−242092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端とトンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部を延設し、所定の貯蔵物を貯蔵したタンクには、該タンク上面に上記フレーム部を挟む溝部を形成し、この溝部でフレーム部を挟んで該タンクをフロアパネル下部に取付けることで、上記フレーム部にて車室の前後方向の剛性を高め、かつ、所定のタンク容量も確保することができ、しかも、タンクの溝部で該フレーム部を挟み込む構成により、側突時にタンクが車幅方向、特に、排気管側に移動することを防止し、二次災害を抑制することができる車両のタンク配設構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施態様においては、フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられた車両において、上記フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端と上記トンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部が延設されており、上記タンクは、その上面に上記フレーム部を挟む溝部が形成され、上記フレーム部を該溝部に挟んで上記フロアパネル下部に取付けられたものである。
上述のフレーム部はフロアフレームに設定してもよく、また、上述のタンクは液体の還元剤(尿素水)を貯蔵した尿素タンクに設定してもよい。
【0008】
上記構成によれば、フロアパネルの下方で該フロアパネル側端とトンネル部との間に設けた上述のフレームにより、車室の前後方向の剛性を高めることができる。
しかも、タンクの溝部にて上記フレーム部を挟むように構成したので、所定のタンク容量を確保しつつ、車両の側突時に該タンクが車幅方向内方、特に、排気管側に移動するのを防止して、二次災害を抑制することができる。
つまり、上記タンクの横移動を防止することにより、安全性の向上を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記フレーム部は、車両前方および後方に延びる前後の各サイドフレーム部に連結されると共に、該フレーム部下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状とされ、上記タンクは、上記溝部左右の左右タンク部を繋ぐ通路が後方ほど上下に拡大され、上記タンクの後部に注入口が設けられたものである。
上述の車両前方に延びるサイドフレーム部は、閉断面構造のフロントサイドフレームに設定してもよく、上述の車両後方に延びるサイドフレーム部は、閉断面構造のリヤサイドフレームに設定してもよい。
【0010】
上記構成によれば、最低地上高の確保や、タンク内の貯蔵物の流動性向上による補給の迅速化を図りつつ、上記フレーム部がフロアパネルに連結支持される他に、その前後が前後の各サイドフレーム部に連結支持されるので、前突時および後突時の車室剛性を確保することができる。
しかも、左右タンク部を繋ぐ通路が後方ほど上下に拡大されているので、タンクの車幅方向に対する支持剛性の向上を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記タンクは、その前部が後部よりも上記フレーム部との上下重複量または重複比率が大きく、上記排気管は、上記トンネル部内の前部に、排気管後部よりも高温になる排気浄化部が設けられたものである。
【0012】
上記構成によれば、高温の反応温度を要する酸化触媒や燃焼を伴うDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)など、比較的高温となる排気浄化部を、トンネル部内の前部に配設し、かつ上述の上下重複量または重複比率にてタンク前部の横移動を重点的に抑制することで、タンク内の貯蔵物の流動性と、安全性とを両立することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記トンネル部の下縁に沿ってトンネルサイドメンバが前後方向に延設され、上記タンクは、上記フレーム部と上記トンネルサイドメンバとに挟まれる部位で、該トンネルサイドメンバと少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状であることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、側突時にタンクの溝部とフレーム部との当接、タンクとトンネルサイドメンバとの当接により、該タンクの横移動を2重に防止することができて、側突時にタンクが排気管、特に、高温の前部の排気浄化部に近付くことを、より一層抑制することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記トンネル部近傍の上記フロアパネル下面に沿って配管が前後方向に延設され、上記タンクの車幅方向における上記フレーム部よりも上記トンネル部側の高さが、反対側よりも低く形成されたものである。
上述の配管は、燃料パイプまたは/およびリヤブレーキパイプに設定してもよい。
【0016】
上記構成によれば、タンクと車体との間に隙間があると、フロアパネルに対してタンクが引っかかりにくく、タンク固定バンドのみではタンクの側突時の移動を阻止しにくいが、この一実施態様においては、タンクのトンネル部側の高さにより、上述の配管を通す上方スペースを確保しつつ、該タンクの反対側の高さにより、側突時のタンクの横移動を抑制することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記タンク側方の上記トンネル部内に位置する上記排気管に、貯蔵時に液体の還元剤を用いる排気浄化部が設けられ、上記タンクに上記液体の還元剤が貯蔵されると共に、該タンクと上記排気浄化部とが配管で連結されたものである。
【0018】
上記構成によれば、排気浄化部とタンク(いわゆる還元剤タンク)とが近いので、配管長の短縮や、タンク内に設けられるポンプのポンピングロスを低減することができる。
特に、タンクとポンプとをユニット化して設け、かつ、トラックのような圧縮空気を利用した排気管への還元剤供給ができない乗用車においては、省エネルギ効果が大きい。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記還元剤は尿素水であることを特徴とする。
上記構成によれば、極寒時に尿素水が凍結した場合においても、配管が短いので素早く省エネルギにて解凍することができる。
また、側突時等に上記タンクの排気管側への移動が抑制されるので、尿素水が排気管の熱(具体的には150℃以上)によって、その成分中の水と尿素とが反応し、劇物としてのアンモニアが発生することを防止できる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネル上部には前後方向に離間して複数のクロスメンバが設けられ、上記タンクは複数のクロスメンバと対応するフロアパネル下部に配設されたものである。
【0021】
上記構成によれば、上述のクロスメンバは車幅方向に延びる車体剛性部材であり、前後のクロスメンバにより、側突耐力の向上を図ることができるので、タンクの溝部の挟み込み構造と相俟って、車両側突時のタンクの横移動をより一層確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端とトンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部を延設し、所定の貯蔵物を貯蔵したタンクには、該タンク上面に上記フレーム部を挟む溝部形成し、この溝部でフレーム部を挟んで該タンクをフロアパネル下部に取付けたので、上記フレーム部にて車室の前後方向の剛性を高め、かつ、所定のタンク容量も確保することができ、しかも、タンクの溝部で該フレーム部を挟み込む構成により、側突時にタンクが車幅方向、特に、排気管側に移動することを防止し、二次災害を抑制することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
車室の前後方向の剛性を高めつつ、側突時にタンクが車幅方向に移動することを防止して、二次災害を抑制するという目的を、フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられた車両において、上記フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端と上記トンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部が延設されており、上記タンクは、その上面に上記フレーム部を挟む溝部が形成され、上記フレーム部を該溝部に挟んで上記フロアパネル下部に取付けるという構成にて実現した。
【実施例】
【0024】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のタンク配設構造を示すが、まず、図1〜図3を参照して車両の車体構造について説明する。ここで、図1は本発明の車両のタンク配設構造を備えた車両の要部平面図、図2は図1の斜視図、図3は車両の底部構造を示す底面図である。
【0025】
図1、図2において車体フロアを構成するフロアパネル1には、車幅方向略中央部にて上方(車室内方)に膨出し、かつ車両前後方向に延設されたフロアトンネルとしてのトンネル部2を、一体または一体的に形成している。このトンネル部2は車体剛性の中心となるもので、該トンネル部2は、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル(ダッシュパネル)と、後述するキックアップ部3との間にわたって前後方向に形成されたものである。
【0026】
フロアパネル1の後部には、キックアップ部3を介して後方に延びるリヤフロア4を一体または一体的に連設形成している。このリヤフロア4の後部中央には、スペアタイヤパン5を段下げ形成している。
【0027】
図4は図3のA−A線に沿う右側部の正面図、図5は図3のA−A線に沿う左側部の正面図、図6は図3のB−B線に沿う部分正面図であって、図3〜図6に示すように、上述のフロアパネル1の左右両サイドには、車体前後方向に延びるサイドシル6,6を接続している。このサイドシル6は、サイドシルインナ7とサイドシルアウタ8とを接合して、車体前後方向に延びるサイドシル閉断面9を有する車体剛性部材である。なお、この実施例では、サイドシルインナ7とサイドシルアウタ8との間にはサイドシルレインフォースメント10が設けられる。
また、図1、図2に示すように、上述のフロアパネル1の上部には、前後方向に所定の間隔を隔て、かつ、トンネル部2とサイドシルインナ7との間を車幅方向に連結する左右分割構造のクロスメンバ11,12を設けて、下部車体剛性の向上、および側突耐力の向上を図るように構成している。
【0028】
上述のクロスメンバ11,12のうち、前側の左右のクロスメンバ11,11は、図1、図2に示すように、トンネル部2を隔てて車幅方向に一直線状に並設されており、該クロスメンバ11とフロアパネル1との間には、図2に示すように、車幅方向に延びる閉断面13が形成されている。
【0029】
上述のクロスメンバ11,12のうち、後側の左右のクロスメンバ12,12も、図1、図2に示すように、トンネル部2を隔てて車幅方向に一直線状に並設されており、該クロスメンバ12とフロアパネル1との間にも、図2に示すように、車幅方向に延びる閉断面14が形成されている。
【0030】
さらに、リヤフロア4におけるスペアタイヤパン5の直前部には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ15を接合し、このリヤクロスメンバ15とリヤフロア4との間には、同方向に延びる閉断面を形成して、後部車体剛性の向上を図るように構成している。
【0031】
図3は図1の底面図であって、キックアップ部3の下部には、リヤクロスメンバ16を接合固定し、図2に示すように、このリヤクロスメンバ16とキックアップ部3との間には、車幅方向に延びる閉断面17を形成している。
【0032】
また、図3に示すように、リヤフロア4の下面左右両サイドには、車体前後方向に延びる閉断面構造のリヤフレームとしてのリヤサイドフレーム18,18を接合固定し、このリヤサイドフレーム18とリヤフロア4との間には、前後方向に延びる閉断面を形成している。
【0033】
図3に示すように、トンネル部2の左右の両下縁に沿ってフロアパネル1下方に車体前後方向に延びる左右のトンネルレインフォースメントとしてのトンネルサイドメンバ(詳しくは、下部トンネルサイドメンバ)19,19をそれぞれ設けている。
上述のトンネルサイドメンバ19とフロアパネル1との間には、図4、図5に示すように、車体前後方向に延びる閉断面20がそれぞれ形成されている。
【0034】
また、図3に示すように、フロアパネル1の下方で、該フロアパネル1の側端とトンネル部2との間、詳しくは、サイドシルインナ7とトンネルサイドメンバ19との間には、下方に突出して車体前後方向に延びる左右のフレーム部としてのフロアフレーム21,21を設け、図4、図5に示すように、該フロアフレーム21とフロアパネル1との間には、車体前後方向に延びる閉断面22を形成している。
ここで、上述の左右のフロアフレーム21,21は、エンジンルームの左右両サイドを車体前後方向に延びる左右の閉断面構造のフロントサイドフレーム23,23と前後方向に連続する車体剛性部材である。
【0035】
つまり、フレーム部としての左右のフロアフレーム21,21は、そのリヤ側においてはキックアップ部3の閉断面17を介してリヤサイドフレーム18,18に連結されており、そのフロント側においてはフロントサイドフレーム23,23に連結されている。また、これらの各フレーム21,18,23は車両の前後方向に延びる閉断面構造体(車体剛性部材)である。
【0036】
ところで、図3、図4、図5に示すように、エンジンルームにはパワートレインを構成するエンジン24を搭載し、トンネル部2の下方車外側には、エンジン24に連結されたトランスミッション25の出力を、リヤディファレンシャル26を介して、後輪に伝達するプロペラシャフト27が車体前後方向に向けて配置されている。
【0037】
また、上述のトンネル部2には、図1、図2、図4に示すように右側かつ上方に膨出する膨出部2aを一体形成し、この膨出部2aを含むトンネル部2の下方車外側には、排気経路28を配設している。
この排気経路28は、エンジン24の排気マニホルド近傍に配置されるキャタリスト(いわゆる直キャタ)29と、酸化触媒およびDPF(但し、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略)を備えた上流触媒ユニット30と、液体の還元剤としての尿素水を用いる排気浄化部としてのSCRユニット31(但し、SCRはSelective Catalytic Reductionの略)と、サイレンサ32と、テールパイプ33と、上記各要素29,30間、30,31間、31,32間に接続された排気通路としての排気管34,35,36とを備えている。
【0038】
これらの各要素からなる排気経路28はトンネル部2下方において略前後方向に配設されている。また、上述の上流触媒ユニット30は、高温の反応温度を要する酸化触媒や燃焼を伴うDPFなど、比較的高温になる触媒ユニットであって、この上流触媒ユニット30はトンネル部2内の前部に設けられている。
【0039】
また、上述のSCRユニット31は、インジェクタ37と反応部38とから構成されている。
このSCRユニット31は、反応部38内のNOX還元触媒における浄化効率を高めるために、尿素[(NH2)2CO]の水溶液を37から反応部38に添加するもので、添加された尿素水溶液はエンジン24の排気により加熱されて加水分解され、アンモニアを発生させる。このアンモニア(アルカリ性)が還元剤となって、排気ガス中のNOX(酸性)を無害化(中和)するものである。
【0040】
このため、排気浄化システムとして上述のSCRユニット31を用いる車両においては、液体の排気浄化用還元剤としての尿素水を貯蔵したタンク、つまり後述する尿素タンク54を備える必要がある。
【0041】
図3において、上述の上流触媒ユニット30の下流部と対応して、左右のトンネルサイドメンバ19,19間を車幅方向に連結するトンネルクロスメンバ40を設けると共に、SCRユニット31の配設部位と対応して、左右のトンネルサイドメンバ19,19間を車幅方向に連結し、さらに、その左右両端部をリヤクロスメンバ16に連結してなる後側のトンネルクロスメンバ41を設けている。
【0042】
なお、図3において、42はリヤフロア4の下部に配設した燃料タンク、43はフロントサイドフレーム23とサイドシルインナ7とを車幅方向に連結するトルクボックス、44は後輪用のブレーキディスク、45はブレーキキャリパ、46はエンジンルーム内に設けられたブレーキシリンダである。
【0043】
図3に仮想線で示すように、トンネル部2近傍にはフロアパネル1下面に沿って配管としてのリヤブレーキパイプ47と、燃料パイプ48とが前後方向に延設されている。
これらの各パイプ47,48は、図6に示すように、フロアパネル1下面に前後方向に離間して複数設けられた弾性支持部材49の支持アーム50によって支持されている。
【0044】
また、上述のリヤブレーキパイプ47は、図3に示すように、ブレーキシリンダ46と左右後輪用のブレーキキャリパ45,45とを接続する配管であり、上述の燃料パイプ48は燃料タンク42とエンジン24の所定部とを接続する配管である。
【0045】
さらに、この実施例では、図5、図6に示すように、上述のリヤブレーキパイプ47および燃料パイプ48は、その前後方向中間部がトンネルサイドメンバ19とフロアフレーム21との間を通って前後方向に延びるように配設されている。
【0046】
一方、図4、図5に示すように、トンネル部2の車外側、つまり下方側には、該トンネル部2と離間するようにインシュレータ51を配設し、このインシュレータ51の左右両端部を、ボルト、ナット等の取付け部材52を用いて、左右のトンネルサイドメンバ19,19に取付け固定すると共に、図4に示すように、プロペラシャフト27とSCRユニット31の反応部38との間には、別のインシュレータ53を配設して、熱害を防止すべく構成している。
【0047】
次に、図3〜図7を参照して、車両のタンク配設構造について説明する。ここで、図7は図3の矢印C−C線に沿う要部の拡大側面図である。
【0048】
図3、図7に示すように、複数のクロスメンバ11,12と上下方向に対応するフロアパネル1の下部には、液体の還元剤としての尿素水が貯蔵される尿素タンク54を配設している。
【0049】
図3、図5〜図7に示すように、上述の尿素タンク54は前後一対のタンク固定バンド55,55を用いて車体に取付けられるが、図5、図6に示すように、これらタンク固定バンド55の車幅方向内方側の端部は、ボルト、ナット等の取付け部材52を用いてトンネルサイドメンバ19下部に取付けられ、タンク固定バンド55の車幅方向外方側の端部は、ボルト、ナット等の取付け部材56を用いてサイドシルインナ7の下部に取付けられている。
【0050】
しかも、この尿素タンク54は、その上面に上述のフロアフレーム21を挟む凹状の溝部54aが形成されており、上記フロアフレーム21を該溝部54aに挟んで上記フロアパネル1下部に取付けられたものである。
上述の尿素タンク54は溝部54aの形成により、該溝部54a左右の左タンク部54Aと右タンク部54Bとを有している。
【0051】
図7に示すように、上述のフロアフレーム21の下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状に構成されており、同図に示すように、尿素タンク54は、上記溝部54aの左右タンク部54A,54Bを繋ぐ通路54Cが後方ほど上下に拡大されている。
【0052】
また、図3、図6に示すように、この尿素タンク54の後部には、その上端にタンクキャップ57を備えた注入口58が設けられている。ここで、上述のタンクキャップ57および注入口58の上部はフロアパネル1上に臨設されている。
【0053】
さらに、図3、図4、図5に、尿素タンク54の左タンク部54Aの前部で、かつ、タンク内部には、送液ポンプと、ヒータと、サーバとを備えたポット59を設け、このポット59における送液ポンプと、上述のインジェクタ37との間が配管60で連通連結されている。上述のインジェクタ37を備えたSCRユニット31は、尿素タンク54側方のトンネル部2内に位置するものである。図5に示すように、上述の配管60の中途部はクリップ61を用いて車体、例えば、フロアフレーム21に支持されている。
【0054】
上述の尿素タンク54は、図7に示すように、その前部が後部よりもフロアフレーム21との上下重複量または重複比率が大きくなるように形成されており、側突時における該尿素タンク54前部の横移動を重点的に抑制すべく構成している。
【0055】
また、図5に示すように、上述の尿素タンク54は、フロアフレーム21とトンネルサイドメンバ19とに挟まれる部位において、該タンク54がトンネルサイドメンバ19と少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状に構成されている。
【0056】
さらに、図5、図6に示すように、尿素タンク54の車幅方向におけるフロアフレーム21よりもトンネル2側の高さ、つまり右タンク部54Bの高さが、反対側(左タンク部54A参照)よりも低く形成されており、この右タンク部54Bのトップデッキ面と、フロアパネル1下面との間に、配管を通す上方スペースを確保して、この上方スペースを有効利用して、リヤブレーキパイプ47および燃料パイプ48を配設している。
【0057】
また、図6に示すように、フロアフレーム21の車外側の面と、左タンク部54Aの車内側の面との間にはラバー62を介設し、同様に、フロアフレーム21の車内側の面と、右タンク部54Bの車外側の面との間にはラバー63を介設している。つまり、フロアフレーム21の外面と尿素タンク54の溝部54aとの間に、上記ラバー62,63を介設している。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0058】
このように、上記実施例の車両のタンク配設構造は、フロアパネル1の車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部2が車両前後方向に延設され、該トンネル部2下方に排気管(排気経路28参照)が略前後方向に配設され、上記フロアパネル1下方に所定の貯蔵物(尿素水参照)を貯蔵するタンク(尿素タンク54参照)が取付けられた車両において、上記フロアパネル1の下方、かつ該フロアパネル1の側端と上記トンネル部2との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部(フロアフレーム21参照)が延設されており、上記タンク(尿素タンク54参照)は、その上面に上記フレーム部(フロアフレーム21参照)を挟む溝部54aが形成され、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)を該溝部54aに挟んで上記フロアパネル1下部に取付けられたものである(図3、図6参照)。
【0059】
この構成によれば、フロアパネル1の下方で該フロアパネル1側端とトンネル部2との間に設けた上述のフレーム部(フロアフレーム21)により、車室の前後方向の剛性を高めることができる。
しかも、タンク(尿素タンク54参照)の溝部54aにて上記フレーム部(フロアフレーム21)を挟むように構成したので、所定のタンク容量を確保しつつ、車両の側突時に該タンク(尿素タンク54参照)が車幅方向内方、特に、排気管(排気経路28参照)側に移動するのを防止して、二次災害を抑制することができる。
つまり、上記タンク(尿素タンク54参照)の横移動を防止することにより、安全性の向上を図ることができる。
【0060】
また、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)は、車両前方および後方に延びる前後の各サイドフレーム部(何れも閉断面構造のフロントサイドフレーム23、リヤサイドフレーム18参照)に連結されると共に、該フレーム部(フロアフレーム21参照)下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状とされ、上記タンク(尿素タンク54参照)は、上記溝部54a左右の左右タンク部54A,54Bを繋ぐ通路54Cが後方ほど上下に拡大され、上記タンク(尿素タンク54参照)の後部に注入口58が設けられたものである(図3、図6、図7参照)。
【0061】
この構成によれば、最低地上高の確保や、タンク(尿素タンク54参照)内の貯蔵物(尿素水参照)の流動性向上による補給の迅速化を図りつつ、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)がフロアパネル1に連結支持される他に、その前後が前後の各サイドフレーム部(フロントサイドフレーム23、リヤサイドフレーム18参照)に連結支持されるので、前突時および後突時の車室剛性(車体剛性)を確保することができる。
しかも、左右タンク部54A,54Bを繋ぐ通路54Cが後方ほど上下に拡大されているので、タンク(尿素タンク54参照)の車幅方向に対する支持剛性の向上を図ることができる。
【0062】
さらに、上記タンク(尿素タンク54参照)は、その前部が後部よりも上記フレーム部(フロアフレーム21参照)との上下重複量または重複比率が大きく、上記排気管(排気経路28参照)は、上記トンネル部2内の前部に、排気管後部よりも高温になる排気浄化部(上流触媒ユニット30参照)が設けられたものである(図3、図7参照)。
【0063】
この構成によれば、高温の反応温度を要する酸化触媒や燃焼を伴うDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)など、比較的高温となる排気浄化部(上流触媒ユニット30)を、トンネル部2内の前部に配設し、かつ上述の上下重複量または重複比率にてタンク54前部の横移動を重点的に抑制することで、タンク(尿素タンク54参照)内の貯蔵物(尿素水参照)の流動性と、安全性とを両立することができる。
【0064】
加えて、上記トンネル部2の下縁に沿ってトンネルサイドメンバ19が前後方向に延設され、上記タンク(尿素タンク54参照)は、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)と上記トンネルサイドメンバ19とに挟まれる部位で、該トンネルサイドメンバ19と少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状であることを特徴とする(図3、図5参照)。
【0065】
この構成によれば、側突時にタンク(尿素タンク54参照)の溝部54aとフレーム部(フロアフレーム21)との当接、タンク(尿素タンク54)とトンネルサイドメンバ19との当接により、該タンク(尿素タンク54参照)の横移動を2重に防止することができて、側突時にタンク(尿素タンク54)が排気管(排気経路28参照)、特に、高温の前部の排気浄化部(上流触媒ユニット30参照)に近付くことを、より一層抑制することができる。
【0066】
また、上記トンネル部2近傍の上記フロアパネル1下面に沿って配管(リヤブレーキパイプ47,燃料パイプ48参照)が前後方向に延設され、上記タンク(尿素タンク54参照)の車幅方向における上記フレーム部(フロアフレーム21参照)よりも上記トンネル部2側の高さが、反対側よりも低く形成されたものである(図5、図6参照)。
【0067】
この構成によれば、タンク(尿素タンク54参照)と車体との間に隙間があると、フロアパネル1に対してタンク(尿素タンク54)が引っかかりにくく、タンク固定バンド55のみではタンク(尿素タンク54)の側突時の移動を阻止しにくいが、該一実施態様においては、タンク(尿素タンク54)のトンネル部2側の高さにより、上述の配管(各パイプ47,48参照)を通す上方スペースを確保しつつ、該タンク(尿素タンク54参照)の反対側の高さにより、側突時のタンク(尿素タンク54)の横移動を抑制することができる。
【0068】
さらに、上記タンク(尿素タンク54参照)側方の上記トンネル部2内に位置する上記排気管(排気経路28参照)に、貯蔵時に液体の還元剤(尿素水参照)を用いる排気浄化部(SCRユニット31参照)が設けられ、上記タンク(尿素タンク54参照)に上記液体の還元剤が貯蔵されると共に、該タンク(尿素タンク54参照)と上記排気浄化部(SCRユニット31、特に、そのインジェクタ37参照)とが配管60で連結されたものである(図3参照)。
【0069】
この構成によれば、排気浄化部(SCRユニット31参照)とタンク(いわゆる還元剤タンク54)とが近いので、配管長の短縮や、タンク54内に設けられるポンプのポンピングロスを低減することができる。
特に、タンク54とポンプとをユニット化して設け、かつ、トラックのような圧縮空気を利用した排気管への還元剤供給ができない乗用車においては、省エネルギ効果が大きい。
【0070】
また、上記還元剤は尿素水であることを特徴とする(図5参照)。
この構成によれば、極寒時に尿素水が凍結した場合においても、配管60が短いので素早く省エネルギにて解凍することができる。
【0071】
また、側突時等に上記タンク(尿素タンク54参照)の排気管(排気経路28参照)側への移動が抑制されるので、尿素水が排気管の熱(具体的には150℃以上)によって、その成分中の水と尿素とが反応し、劇物としてのアンモニアが発生することを防止できる。
【0072】
さらに、上記フロアパネル1上部には前後方向に離間して複数のクロスメンバ11,12が設けられ、上記タンク(尿素タンク54参照)は複数のクロスメンバ11,12と対応するフロアパネル1下部に配設されたものである(図7参照)。
【0073】
この構成によれば、上述のクロスメンバ11,12は車幅方向に延びる車体剛性部材であり、前後のクロスメンバ11,12により、側突耐力の向上を図ることができるので、タンク(尿素タンク54参照)の溝部54aの挟み込み構造と相俟って、車両側突時のタンク(尿素タンク54参照)の横移動をより一層確実に防止することができる。
【0074】
図8は、車両のタンク配設構造の他の実施例を示し、尿素タンク54の前部において左タンク部54A(前図参照)の底部と、右タンク部54Bの底部とを車幅方向に連結する連結片54Dを、尿素タンク本体と一体形成して、尿素タンク54それ自体の剛性向上を図ったものである。
このように構成しても、その他の構成、作用、効果については、図1〜図7で示した先の実施例と同一であるから、図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0075】
図9は車両のタンク配設構造のさらに他の実施例を示し、尿素タンク54の一部としての右タンク部54Bの車幅方向内側の上側コーナ部に、斜め上方に延びて、トンネルサイドメンバ19の車外側部に離間近接するストッパ片54Eを一体形成したものである。
【0076】
このように構成すると、側突荷重の入力時に、ストッパ片54Eがトンネルサイドメンバ19に当接すると、尿素タンク54のそれ以上の排気経路28側への移動が抑制されるので、尿素タンク54の溝部54aの挟み込み構造と相俟って、車両側突時の尿素タンク54の横移動をより一層確実に防止することができる。
【0077】
図9で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、図1〜図7で示した先の実施例と同様であるから、図9において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0078】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の排気管は、実施例の排気通路28に対応し、
以下同様に、
タンクは、液体の還元剤としての尿素水を貯蔵した尿素タンク54に対応し、
フレーム部は、フロアフレーム21に対応し、
前後の各サイドフレーム部は、フロントサイドフレーム23、リヤサイドフレーム18に対応し、
排気管後部よりも高温になる排気浄化部は、上流触媒ユニット30に対応し、
フロアパネル下面に沿って前後方向に延設された配管は、リヤブレーキパイプ47、燃料パイプ48に対応し、
液体の還元剤を用いる排気浄化部は、SCRユニット31に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記尿素タンク54に代えて、比較的容積が大きいウオッシャ液タンクを配設するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明のタンク配設構造を備えた車両の要部平面図
【図2】図1の斜視図
【図3】車両のタンク配設構造を示す底面図
【図4】図3のA−A線に沿う右側部の正面図
【図5】図3のA−A線に沿う左側部の正面図
【図6】図3のB−B線に沿う要部の正面図
【図7】図3のC−C線に沿う要部の側面図
【図8】車両のタンク配設構造の他の実施例を示す側面図
【図9】車両のタンク配設構造のさらに他の実施例を示す要部正面図
【符号の説明】
【0080】
1…フロアパネル
2…トンネル部
11,12…クロスメンバ
18…リヤサイドフレーム(サイドフレーム部)
19…トンネルサイドメンバ
21…フロアフレーム(フレーム部)
23…フロントサイドフレーム(サイドフレーム部)
28…排気経路(排気管)
30…上流触媒ユニット(排気浄化部)
31…SCRユニット(排気浄化部)
47…リヤブレーキパイプ(配管)
48…燃料パイプ(配管)
54…尿素タンク(タンク)
54a…溝部
54A…左タンク部
54B…右タンク部
54C…通路
58…注入口
60…配管
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられたような車両のタンク配設構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、比較的大きい容量を必要とするタンク(例えば、排気浄化用還元剤としての尿素水を貯蔵したタンク、その他のタンクなどを車両に配設する場合、特許文献1に開示されたように、運転席と対向する側のフロントカウル内、エンジンルーム内、リヤカウル内、フロントバンパ内の空間部、リヤバンパ内の空間部、フロントシート下部の空間部、リヤシート下部の空間部、または、断面が中空状の車体フレーム内の空間部に配設すべく構成したものがある。
【0003】
上述のタンクの配設部位が車両中心から前後方向に離れたフロントカウル内、エンジンルーム内、リヤカウル内、フロントバンパ内の空間部、リヤバンパ内の空間部の場合には、ヨー慣性モーメントが大きくなるので好ましくない。
また、上述のタンクを閉断面構造の中空状の車体フレーム内の空間部を利用して配設する場合には、タンクに対する貯蔵物の補給やタンクからの貯蔵物の供給が複雑化する。
【0004】
上述の各タンク配設部位のうちでは、フロントシート下部の空間部、リヤシート下部の空間部が最も望ましいが、シートの前後スライドや足元スペースを確保することを考えると、タンク容量が小さくなる。
【0005】
そこで、上述の比較的容積が大きいタンクをフロアパネルの下部に設けることが考えられるが、フロアパネル下部には一般に前後方向に延びるフロアフレームが下方に突出するように設けられており、フロアフレームと干渉しないようにタンクを配設すると、タンク容量が小さくなる一方、タンク容積を重視して、フロアフレームを取外すと、車体剛性が低下するという問題点があった。また、この特許文献1に開示されたものでは、側突時において上述のタンクが車幅方向内方、特に、高温となる排気管側へ移動することを防止するという構成については開示されていない。
【特許文献1】特開2006−242092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は、フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端とトンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部を延設し、所定の貯蔵物を貯蔵したタンクには、該タンク上面に上記フレーム部を挟む溝部を形成し、この溝部でフレーム部を挟んで該タンクをフロアパネル下部に取付けることで、上記フレーム部にて車室の前後方向の剛性を高め、かつ、所定のタンク容量も確保することができ、しかも、タンクの溝部で該フレーム部を挟み込む構成により、側突時にタンクが車幅方向、特に、排気管側に移動することを防止し、二次災害を抑制することができる車両のタンク配設構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一実施態様においては、フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられた車両において、上記フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端と上記トンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部が延設されており、上記タンクは、その上面に上記フレーム部を挟む溝部が形成され、上記フレーム部を該溝部に挟んで上記フロアパネル下部に取付けられたものである。
上述のフレーム部はフロアフレームに設定してもよく、また、上述のタンクは液体の還元剤(尿素水)を貯蔵した尿素タンクに設定してもよい。
【0008】
上記構成によれば、フロアパネルの下方で該フロアパネル側端とトンネル部との間に設けた上述のフレームにより、車室の前後方向の剛性を高めることができる。
しかも、タンクの溝部にて上記フレーム部を挟むように構成したので、所定のタンク容量を確保しつつ、車両の側突時に該タンクが車幅方向内方、特に、排気管側に移動するのを防止して、二次災害を抑制することができる。
つまり、上記タンクの横移動を防止することにより、安全性の向上を図ることができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記フレーム部は、車両前方および後方に延びる前後の各サイドフレーム部に連結されると共に、該フレーム部下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状とされ、上記タンクは、上記溝部左右の左右タンク部を繋ぐ通路が後方ほど上下に拡大され、上記タンクの後部に注入口が設けられたものである。
上述の車両前方に延びるサイドフレーム部は、閉断面構造のフロントサイドフレームに設定してもよく、上述の車両後方に延びるサイドフレーム部は、閉断面構造のリヤサイドフレームに設定してもよい。
【0010】
上記構成によれば、最低地上高の確保や、タンク内の貯蔵物の流動性向上による補給の迅速化を図りつつ、上記フレーム部がフロアパネルに連結支持される他に、その前後が前後の各サイドフレーム部に連結支持されるので、前突時および後突時の車室剛性を確保することができる。
しかも、左右タンク部を繋ぐ通路が後方ほど上下に拡大されているので、タンクの車幅方向に対する支持剛性の向上を図ることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記タンクは、その前部が後部よりも上記フレーム部との上下重複量または重複比率が大きく、上記排気管は、上記トンネル部内の前部に、排気管後部よりも高温になる排気浄化部が設けられたものである。
【0012】
上記構成によれば、高温の反応温度を要する酸化触媒や燃焼を伴うDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)など、比較的高温となる排気浄化部を、トンネル部内の前部に配設し、かつ上述の上下重複量または重複比率にてタンク前部の横移動を重点的に抑制することで、タンク内の貯蔵物の流動性と、安全性とを両立することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記トンネル部の下縁に沿ってトンネルサイドメンバが前後方向に延設され、上記タンクは、上記フレーム部と上記トンネルサイドメンバとに挟まれる部位で、該トンネルサイドメンバと少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状であることを特徴とする。
【0014】
上記構成によれば、側突時にタンクの溝部とフレーム部との当接、タンクとトンネルサイドメンバとの当接により、該タンクの横移動を2重に防止することができて、側突時にタンクが排気管、特に、高温の前部の排気浄化部に近付くことを、より一層抑制することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記トンネル部近傍の上記フロアパネル下面に沿って配管が前後方向に延設され、上記タンクの車幅方向における上記フレーム部よりも上記トンネル部側の高さが、反対側よりも低く形成されたものである。
上述の配管は、燃料パイプまたは/およびリヤブレーキパイプに設定してもよい。
【0016】
上記構成によれば、タンクと車体との間に隙間があると、フロアパネルに対してタンクが引っかかりにくく、タンク固定バンドのみではタンクの側突時の移動を阻止しにくいが、この一実施態様においては、タンクのトンネル部側の高さにより、上述の配管を通す上方スペースを確保しつつ、該タンクの反対側の高さにより、側突時のタンクの横移動を抑制することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記タンク側方の上記トンネル部内に位置する上記排気管に、貯蔵時に液体の還元剤を用いる排気浄化部が設けられ、上記タンクに上記液体の還元剤が貯蔵されると共に、該タンクと上記排気浄化部とが配管で連結されたものである。
【0018】
上記構成によれば、排気浄化部とタンク(いわゆる還元剤タンク)とが近いので、配管長の短縮や、タンク内に設けられるポンプのポンピングロスを低減することができる。
特に、タンクとポンプとをユニット化して設け、かつ、トラックのような圧縮空気を利用した排気管への還元剤供給ができない乗用車においては、省エネルギ効果が大きい。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記還元剤は尿素水であることを特徴とする。
上記構成によれば、極寒時に尿素水が凍結した場合においても、配管が短いので素早く省エネルギにて解凍することができる。
また、側突時等に上記タンクの排気管側への移動が抑制されるので、尿素水が排気管の熱(具体的には150℃以上)によって、その成分中の水と尿素とが反応し、劇物としてのアンモニアが発生することを防止できる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネル上部には前後方向に離間して複数のクロスメンバが設けられ、上記タンクは複数のクロスメンバと対応するフロアパネル下部に配設されたものである。
【0021】
上記構成によれば、上述のクロスメンバは車幅方向に延びる車体剛性部材であり、前後のクロスメンバにより、側突耐力の向上を図ることができるので、タンクの溝部の挟み込み構造と相俟って、車両側突時のタンクの横移動をより一層確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端とトンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部を延設し、所定の貯蔵物を貯蔵したタンクには、該タンク上面に上記フレーム部を挟む溝部形成し、この溝部でフレーム部を挟んで該タンクをフロアパネル下部に取付けたので、上記フレーム部にて車室の前後方向の剛性を高め、かつ、所定のタンク容量も確保することができ、しかも、タンクの溝部で該フレーム部を挟み込む構成により、側突時にタンクが車幅方向、特に、排気管側に移動することを防止し、二次災害を抑制することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
車室の前後方向の剛性を高めつつ、側突時にタンクが車幅方向に移動することを防止して、二次災害を抑制するという目的を、フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられた車両において、上記フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端と上記トンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部が延設されており、上記タンクは、その上面に上記フレーム部を挟む溝部が形成され、上記フレーム部を該溝部に挟んで上記フロアパネル下部に取付けるという構成にて実現した。
【実施例】
【0024】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のタンク配設構造を示すが、まず、図1〜図3を参照して車両の車体構造について説明する。ここで、図1は本発明の車両のタンク配設構造を備えた車両の要部平面図、図2は図1の斜視図、図3は車両の底部構造を示す底面図である。
【0025】
図1、図2において車体フロアを構成するフロアパネル1には、車幅方向略中央部にて上方(車室内方)に膨出し、かつ車両前後方向に延設されたフロアトンネルとしてのトンネル部2を、一体または一体的に形成している。このトンネル部2は車体剛性の中心となるもので、該トンネル部2は、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル(ダッシュパネル)と、後述するキックアップ部3との間にわたって前後方向に形成されたものである。
【0026】
フロアパネル1の後部には、キックアップ部3を介して後方に延びるリヤフロア4を一体または一体的に連設形成している。このリヤフロア4の後部中央には、スペアタイヤパン5を段下げ形成している。
【0027】
図4は図3のA−A線に沿う右側部の正面図、図5は図3のA−A線に沿う左側部の正面図、図6は図3のB−B線に沿う部分正面図であって、図3〜図6に示すように、上述のフロアパネル1の左右両サイドには、車体前後方向に延びるサイドシル6,6を接続している。このサイドシル6は、サイドシルインナ7とサイドシルアウタ8とを接合して、車体前後方向に延びるサイドシル閉断面9を有する車体剛性部材である。なお、この実施例では、サイドシルインナ7とサイドシルアウタ8との間にはサイドシルレインフォースメント10が設けられる。
また、図1、図2に示すように、上述のフロアパネル1の上部には、前後方向に所定の間隔を隔て、かつ、トンネル部2とサイドシルインナ7との間を車幅方向に連結する左右分割構造のクロスメンバ11,12を設けて、下部車体剛性の向上、および側突耐力の向上を図るように構成している。
【0028】
上述のクロスメンバ11,12のうち、前側の左右のクロスメンバ11,11は、図1、図2に示すように、トンネル部2を隔てて車幅方向に一直線状に並設されており、該クロスメンバ11とフロアパネル1との間には、図2に示すように、車幅方向に延びる閉断面13が形成されている。
【0029】
上述のクロスメンバ11,12のうち、後側の左右のクロスメンバ12,12も、図1、図2に示すように、トンネル部2を隔てて車幅方向に一直線状に並設されており、該クロスメンバ12とフロアパネル1との間にも、図2に示すように、車幅方向に延びる閉断面14が形成されている。
【0030】
さらに、リヤフロア4におけるスペアタイヤパン5の直前部には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ15を接合し、このリヤクロスメンバ15とリヤフロア4との間には、同方向に延びる閉断面を形成して、後部車体剛性の向上を図るように構成している。
【0031】
図3は図1の底面図であって、キックアップ部3の下部には、リヤクロスメンバ16を接合固定し、図2に示すように、このリヤクロスメンバ16とキックアップ部3との間には、車幅方向に延びる閉断面17を形成している。
【0032】
また、図3に示すように、リヤフロア4の下面左右両サイドには、車体前後方向に延びる閉断面構造のリヤフレームとしてのリヤサイドフレーム18,18を接合固定し、このリヤサイドフレーム18とリヤフロア4との間には、前後方向に延びる閉断面を形成している。
【0033】
図3に示すように、トンネル部2の左右の両下縁に沿ってフロアパネル1下方に車体前後方向に延びる左右のトンネルレインフォースメントとしてのトンネルサイドメンバ(詳しくは、下部トンネルサイドメンバ)19,19をそれぞれ設けている。
上述のトンネルサイドメンバ19とフロアパネル1との間には、図4、図5に示すように、車体前後方向に延びる閉断面20がそれぞれ形成されている。
【0034】
また、図3に示すように、フロアパネル1の下方で、該フロアパネル1の側端とトンネル部2との間、詳しくは、サイドシルインナ7とトンネルサイドメンバ19との間には、下方に突出して車体前後方向に延びる左右のフレーム部としてのフロアフレーム21,21を設け、図4、図5に示すように、該フロアフレーム21とフロアパネル1との間には、車体前後方向に延びる閉断面22を形成している。
ここで、上述の左右のフロアフレーム21,21は、エンジンルームの左右両サイドを車体前後方向に延びる左右の閉断面構造のフロントサイドフレーム23,23と前後方向に連続する車体剛性部材である。
【0035】
つまり、フレーム部としての左右のフロアフレーム21,21は、そのリヤ側においてはキックアップ部3の閉断面17を介してリヤサイドフレーム18,18に連結されており、そのフロント側においてはフロントサイドフレーム23,23に連結されている。また、これらの各フレーム21,18,23は車両の前後方向に延びる閉断面構造体(車体剛性部材)である。
【0036】
ところで、図3、図4、図5に示すように、エンジンルームにはパワートレインを構成するエンジン24を搭載し、トンネル部2の下方車外側には、エンジン24に連結されたトランスミッション25の出力を、リヤディファレンシャル26を介して、後輪に伝達するプロペラシャフト27が車体前後方向に向けて配置されている。
【0037】
また、上述のトンネル部2には、図1、図2、図4に示すように右側かつ上方に膨出する膨出部2aを一体形成し、この膨出部2aを含むトンネル部2の下方車外側には、排気経路28を配設している。
この排気経路28は、エンジン24の排気マニホルド近傍に配置されるキャタリスト(いわゆる直キャタ)29と、酸化触媒およびDPF(但し、DPFはディーゼル・パティキュレート・フィルタの略)を備えた上流触媒ユニット30と、液体の還元剤としての尿素水を用いる排気浄化部としてのSCRユニット31(但し、SCRはSelective Catalytic Reductionの略)と、サイレンサ32と、テールパイプ33と、上記各要素29,30間、30,31間、31,32間に接続された排気通路としての排気管34,35,36とを備えている。
【0038】
これらの各要素からなる排気経路28はトンネル部2下方において略前後方向に配設されている。また、上述の上流触媒ユニット30は、高温の反応温度を要する酸化触媒や燃焼を伴うDPFなど、比較的高温になる触媒ユニットであって、この上流触媒ユニット30はトンネル部2内の前部に設けられている。
【0039】
また、上述のSCRユニット31は、インジェクタ37と反応部38とから構成されている。
このSCRユニット31は、反応部38内のNOX還元触媒における浄化効率を高めるために、尿素[(NH2)2CO]の水溶液を37から反応部38に添加するもので、添加された尿素水溶液はエンジン24の排気により加熱されて加水分解され、アンモニアを発生させる。このアンモニア(アルカリ性)が還元剤となって、排気ガス中のNOX(酸性)を無害化(中和)するものである。
【0040】
このため、排気浄化システムとして上述のSCRユニット31を用いる車両においては、液体の排気浄化用還元剤としての尿素水を貯蔵したタンク、つまり後述する尿素タンク54を備える必要がある。
【0041】
図3において、上述の上流触媒ユニット30の下流部と対応して、左右のトンネルサイドメンバ19,19間を車幅方向に連結するトンネルクロスメンバ40を設けると共に、SCRユニット31の配設部位と対応して、左右のトンネルサイドメンバ19,19間を車幅方向に連結し、さらに、その左右両端部をリヤクロスメンバ16に連結してなる後側のトンネルクロスメンバ41を設けている。
【0042】
なお、図3において、42はリヤフロア4の下部に配設した燃料タンク、43はフロントサイドフレーム23とサイドシルインナ7とを車幅方向に連結するトルクボックス、44は後輪用のブレーキディスク、45はブレーキキャリパ、46はエンジンルーム内に設けられたブレーキシリンダである。
【0043】
図3に仮想線で示すように、トンネル部2近傍にはフロアパネル1下面に沿って配管としてのリヤブレーキパイプ47と、燃料パイプ48とが前後方向に延設されている。
これらの各パイプ47,48は、図6に示すように、フロアパネル1下面に前後方向に離間して複数設けられた弾性支持部材49の支持アーム50によって支持されている。
【0044】
また、上述のリヤブレーキパイプ47は、図3に示すように、ブレーキシリンダ46と左右後輪用のブレーキキャリパ45,45とを接続する配管であり、上述の燃料パイプ48は燃料タンク42とエンジン24の所定部とを接続する配管である。
【0045】
さらに、この実施例では、図5、図6に示すように、上述のリヤブレーキパイプ47および燃料パイプ48は、その前後方向中間部がトンネルサイドメンバ19とフロアフレーム21との間を通って前後方向に延びるように配設されている。
【0046】
一方、図4、図5に示すように、トンネル部2の車外側、つまり下方側には、該トンネル部2と離間するようにインシュレータ51を配設し、このインシュレータ51の左右両端部を、ボルト、ナット等の取付け部材52を用いて、左右のトンネルサイドメンバ19,19に取付け固定すると共に、図4に示すように、プロペラシャフト27とSCRユニット31の反応部38との間には、別のインシュレータ53を配設して、熱害を防止すべく構成している。
【0047】
次に、図3〜図7を参照して、車両のタンク配設構造について説明する。ここで、図7は図3の矢印C−C線に沿う要部の拡大側面図である。
【0048】
図3、図7に示すように、複数のクロスメンバ11,12と上下方向に対応するフロアパネル1の下部には、液体の還元剤としての尿素水が貯蔵される尿素タンク54を配設している。
【0049】
図3、図5〜図7に示すように、上述の尿素タンク54は前後一対のタンク固定バンド55,55を用いて車体に取付けられるが、図5、図6に示すように、これらタンク固定バンド55の車幅方向内方側の端部は、ボルト、ナット等の取付け部材52を用いてトンネルサイドメンバ19下部に取付けられ、タンク固定バンド55の車幅方向外方側の端部は、ボルト、ナット等の取付け部材56を用いてサイドシルインナ7の下部に取付けられている。
【0050】
しかも、この尿素タンク54は、その上面に上述のフロアフレーム21を挟む凹状の溝部54aが形成されており、上記フロアフレーム21を該溝部54aに挟んで上記フロアパネル1下部に取付けられたものである。
上述の尿素タンク54は溝部54aの形成により、該溝部54a左右の左タンク部54Aと右タンク部54Bとを有している。
【0051】
図7に示すように、上述のフロアフレーム21の下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状に構成されており、同図に示すように、尿素タンク54は、上記溝部54aの左右タンク部54A,54Bを繋ぐ通路54Cが後方ほど上下に拡大されている。
【0052】
また、図3、図6に示すように、この尿素タンク54の後部には、その上端にタンクキャップ57を備えた注入口58が設けられている。ここで、上述のタンクキャップ57および注入口58の上部はフロアパネル1上に臨設されている。
【0053】
さらに、図3、図4、図5に、尿素タンク54の左タンク部54Aの前部で、かつ、タンク内部には、送液ポンプと、ヒータと、サーバとを備えたポット59を設け、このポット59における送液ポンプと、上述のインジェクタ37との間が配管60で連通連結されている。上述のインジェクタ37を備えたSCRユニット31は、尿素タンク54側方のトンネル部2内に位置するものである。図5に示すように、上述の配管60の中途部はクリップ61を用いて車体、例えば、フロアフレーム21に支持されている。
【0054】
上述の尿素タンク54は、図7に示すように、その前部が後部よりもフロアフレーム21との上下重複量または重複比率が大きくなるように形成されており、側突時における該尿素タンク54前部の横移動を重点的に抑制すべく構成している。
【0055】
また、図5に示すように、上述の尿素タンク54は、フロアフレーム21とトンネルサイドメンバ19とに挟まれる部位において、該タンク54がトンネルサイドメンバ19と少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状に構成されている。
【0056】
さらに、図5、図6に示すように、尿素タンク54の車幅方向におけるフロアフレーム21よりもトンネル2側の高さ、つまり右タンク部54Bの高さが、反対側(左タンク部54A参照)よりも低く形成されており、この右タンク部54Bのトップデッキ面と、フロアパネル1下面との間に、配管を通す上方スペースを確保して、この上方スペースを有効利用して、リヤブレーキパイプ47および燃料パイプ48を配設している。
【0057】
また、図6に示すように、フロアフレーム21の車外側の面と、左タンク部54Aの車内側の面との間にはラバー62を介設し、同様に、フロアフレーム21の車内側の面と、右タンク部54Bの車外側の面との間にはラバー63を介設している。つまり、フロアフレーム21の外面と尿素タンク54の溝部54aとの間に、上記ラバー62,63を介設している。
なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示す。
【0058】
このように、上記実施例の車両のタンク配設構造は、フロアパネル1の車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部2が車両前後方向に延設され、該トンネル部2下方に排気管(排気経路28参照)が略前後方向に配設され、上記フロアパネル1下方に所定の貯蔵物(尿素水参照)を貯蔵するタンク(尿素タンク54参照)が取付けられた車両において、上記フロアパネル1の下方、かつ該フロアパネル1の側端と上記トンネル部2との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部(フロアフレーム21参照)が延設されており、上記タンク(尿素タンク54参照)は、その上面に上記フレーム部(フロアフレーム21参照)を挟む溝部54aが形成され、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)を該溝部54aに挟んで上記フロアパネル1下部に取付けられたものである(図3、図6参照)。
【0059】
この構成によれば、フロアパネル1の下方で該フロアパネル1側端とトンネル部2との間に設けた上述のフレーム部(フロアフレーム21)により、車室の前後方向の剛性を高めることができる。
しかも、タンク(尿素タンク54参照)の溝部54aにて上記フレーム部(フロアフレーム21)を挟むように構成したので、所定のタンク容量を確保しつつ、車両の側突時に該タンク(尿素タンク54参照)が車幅方向内方、特に、排気管(排気経路28参照)側に移動するのを防止して、二次災害を抑制することができる。
つまり、上記タンク(尿素タンク54参照)の横移動を防止することにより、安全性の向上を図ることができる。
【0060】
また、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)は、車両前方および後方に延びる前後の各サイドフレーム部(何れも閉断面構造のフロントサイドフレーム23、リヤサイドフレーム18参照)に連結されると共に、該フレーム部(フロアフレーム21参照)下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状とされ、上記タンク(尿素タンク54参照)は、上記溝部54a左右の左右タンク部54A,54Bを繋ぐ通路54Cが後方ほど上下に拡大され、上記タンク(尿素タンク54参照)の後部に注入口58が設けられたものである(図3、図6、図7参照)。
【0061】
この構成によれば、最低地上高の確保や、タンク(尿素タンク54参照)内の貯蔵物(尿素水参照)の流動性向上による補給の迅速化を図りつつ、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)がフロアパネル1に連結支持される他に、その前後が前後の各サイドフレーム部(フロントサイドフレーム23、リヤサイドフレーム18参照)に連結支持されるので、前突時および後突時の車室剛性(車体剛性)を確保することができる。
しかも、左右タンク部54A,54Bを繋ぐ通路54Cが後方ほど上下に拡大されているので、タンク(尿素タンク54参照)の車幅方向に対する支持剛性の向上を図ることができる。
【0062】
さらに、上記タンク(尿素タンク54参照)は、その前部が後部よりも上記フレーム部(フロアフレーム21参照)との上下重複量または重複比率が大きく、上記排気管(排気経路28参照)は、上記トンネル部2内の前部に、排気管後部よりも高温になる排気浄化部(上流触媒ユニット30参照)が設けられたものである(図3、図7参照)。
【0063】
この構成によれば、高温の反応温度を要する酸化触媒や燃焼を伴うDPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルタ)など、比較的高温となる排気浄化部(上流触媒ユニット30)を、トンネル部2内の前部に配設し、かつ上述の上下重複量または重複比率にてタンク54前部の横移動を重点的に抑制することで、タンク(尿素タンク54参照)内の貯蔵物(尿素水参照)の流動性と、安全性とを両立することができる。
【0064】
加えて、上記トンネル部2の下縁に沿ってトンネルサイドメンバ19が前後方向に延設され、上記タンク(尿素タンク54参照)は、上記フレーム部(フロアフレーム21参照)と上記トンネルサイドメンバ19とに挟まれる部位で、該トンネルサイドメンバ19と少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状であることを特徴とする(図3、図5参照)。
【0065】
この構成によれば、側突時にタンク(尿素タンク54参照)の溝部54aとフレーム部(フロアフレーム21)との当接、タンク(尿素タンク54)とトンネルサイドメンバ19との当接により、該タンク(尿素タンク54参照)の横移動を2重に防止することができて、側突時にタンク(尿素タンク54)が排気管(排気経路28参照)、特に、高温の前部の排気浄化部(上流触媒ユニット30参照)に近付くことを、より一層抑制することができる。
【0066】
また、上記トンネル部2近傍の上記フロアパネル1下面に沿って配管(リヤブレーキパイプ47,燃料パイプ48参照)が前後方向に延設され、上記タンク(尿素タンク54参照)の車幅方向における上記フレーム部(フロアフレーム21参照)よりも上記トンネル部2側の高さが、反対側よりも低く形成されたものである(図5、図6参照)。
【0067】
この構成によれば、タンク(尿素タンク54参照)と車体との間に隙間があると、フロアパネル1に対してタンク(尿素タンク54)が引っかかりにくく、タンク固定バンド55のみではタンク(尿素タンク54)の側突時の移動を阻止しにくいが、該一実施態様においては、タンク(尿素タンク54)のトンネル部2側の高さにより、上述の配管(各パイプ47,48参照)を通す上方スペースを確保しつつ、該タンク(尿素タンク54参照)の反対側の高さにより、側突時のタンク(尿素タンク54)の横移動を抑制することができる。
【0068】
さらに、上記タンク(尿素タンク54参照)側方の上記トンネル部2内に位置する上記排気管(排気経路28参照)に、貯蔵時に液体の還元剤(尿素水参照)を用いる排気浄化部(SCRユニット31参照)が設けられ、上記タンク(尿素タンク54参照)に上記液体の還元剤が貯蔵されると共に、該タンク(尿素タンク54参照)と上記排気浄化部(SCRユニット31、特に、そのインジェクタ37参照)とが配管60で連結されたものである(図3参照)。
【0069】
この構成によれば、排気浄化部(SCRユニット31参照)とタンク(いわゆる還元剤タンク54)とが近いので、配管長の短縮や、タンク54内に設けられるポンプのポンピングロスを低減することができる。
特に、タンク54とポンプとをユニット化して設け、かつ、トラックのような圧縮空気を利用した排気管への還元剤供給ができない乗用車においては、省エネルギ効果が大きい。
【0070】
また、上記還元剤は尿素水であることを特徴とする(図5参照)。
この構成によれば、極寒時に尿素水が凍結した場合においても、配管60が短いので素早く省エネルギにて解凍することができる。
【0071】
また、側突時等に上記タンク(尿素タンク54参照)の排気管(排気経路28参照)側への移動が抑制されるので、尿素水が排気管の熱(具体的には150℃以上)によって、その成分中の水と尿素とが反応し、劇物としてのアンモニアが発生することを防止できる。
【0072】
さらに、上記フロアパネル1上部には前後方向に離間して複数のクロスメンバ11,12が設けられ、上記タンク(尿素タンク54参照)は複数のクロスメンバ11,12と対応するフロアパネル1下部に配設されたものである(図7参照)。
【0073】
この構成によれば、上述のクロスメンバ11,12は車幅方向に延びる車体剛性部材であり、前後のクロスメンバ11,12により、側突耐力の向上を図ることができるので、タンク(尿素タンク54参照)の溝部54aの挟み込み構造と相俟って、車両側突時のタンク(尿素タンク54参照)の横移動をより一層確実に防止することができる。
【0074】
図8は、車両のタンク配設構造の他の実施例を示し、尿素タンク54の前部において左タンク部54A(前図参照)の底部と、右タンク部54Bの底部とを車幅方向に連結する連結片54Dを、尿素タンク本体と一体形成して、尿素タンク54それ自体の剛性向上を図ったものである。
このように構成しても、その他の構成、作用、効果については、図1〜図7で示した先の実施例と同一であるから、図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0075】
図9は車両のタンク配設構造のさらに他の実施例を示し、尿素タンク54の一部としての右タンク部54Bの車幅方向内側の上側コーナ部に、斜め上方に延びて、トンネルサイドメンバ19の車外側部に離間近接するストッパ片54Eを一体形成したものである。
【0076】
このように構成すると、側突荷重の入力時に、ストッパ片54Eがトンネルサイドメンバ19に当接すると、尿素タンク54のそれ以上の排気経路28側への移動が抑制されるので、尿素タンク54の溝部54aの挟み込み構造と相俟って、車両側突時の尿素タンク54の横移動をより一層確実に防止することができる。
【0077】
図9で示したこの実施例においても、その他の構成、作用、効果については、図1〜図7で示した先の実施例と同様であるから、図9において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0078】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の排気管は、実施例の排気通路28に対応し、
以下同様に、
タンクは、液体の還元剤としての尿素水を貯蔵した尿素タンク54に対応し、
フレーム部は、フロアフレーム21に対応し、
前後の各サイドフレーム部は、フロントサイドフレーム23、リヤサイドフレーム18に対応し、
排気管後部よりも高温になる排気浄化部は、上流触媒ユニット30に対応し、
フロアパネル下面に沿って前後方向に延設された配管は、リヤブレーキパイプ47、燃料パイプ48に対応し、
液体の還元剤を用いる排気浄化部は、SCRユニット31に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、上記尿素タンク54に代えて、比較的容積が大きいウオッシャ液タンクを配設するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明のタンク配設構造を備えた車両の要部平面図
【図2】図1の斜視図
【図3】車両のタンク配設構造を示す底面図
【図4】図3のA−A線に沿う右側部の正面図
【図5】図3のA−A線に沿う左側部の正面図
【図6】図3のB−B線に沿う要部の正面図
【図7】図3のC−C線に沿う要部の側面図
【図8】車両のタンク配設構造の他の実施例を示す側面図
【図9】車両のタンク配設構造のさらに他の実施例を示す要部正面図
【符号の説明】
【0080】
1…フロアパネル
2…トンネル部
11,12…クロスメンバ
18…リヤサイドフレーム(サイドフレーム部)
19…トンネルサイドメンバ
21…フロアフレーム(フレーム部)
23…フロントサイドフレーム(サイドフレーム部)
28…排気経路(排気管)
30…上流触媒ユニット(排気浄化部)
31…SCRユニット(排気浄化部)
47…リヤブレーキパイプ(配管)
48…燃料パイプ(配管)
54…尿素タンク(タンク)
54a…溝部
54A…左タンク部
54B…右タンク部
54C…通路
58…注入口
60…配管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、
該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、
上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられた車両において、
上記フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端と上記トンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部が延設されており、
上記タンクは、その上面に上記フレーム部を挟む溝部が形成され、上記フレーム部を該溝部に挟んで上記フロアパネル下部に取付けられたことを特徴とする
車両のタンク配設構造。
【請求項2】
上記フレーム部は、車両前方および後方に延びる前後の各サイドフレーム部に連結されると共に、
該フレーム部下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状とされ、
上記タンクは、上記溝部左右の左右タンク部を繋ぐ通路が後方ほど上下に拡大され、
上記タンクの後部に注入口が設けられたことを特徴とする
請求項1記載の車両のタンク配設構造。
【請求項3】
上記タンクは、その前部が後部よりも上記フレーム部との上下重複量または重複比率が大きく、
上記排気管は、上記トンネル部内の前部に、排気管後部よりも高温になる排気浄化部が設けられたことを特徴とする
請求項1記載の車両のタンク配設構造。
【請求項4】
上記トンネル部の下縁に沿ってトンネルサイドメンバが前後方向に延設され、
上記タンクは、上記フレーム部と上記トンネルサイドメンバとに挟まれる部位で、該トンネルサイドメンバと少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状であることを特徴とする
請求項1〜3の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【請求項5】
上記トンネル部近傍の上記フロアパネル下面に沿って配管が前後方向に延設され、
上記タンクの車幅方向における上記フレーム部よりも上記トンネル部側の高さが、反対側よりも低く形成されたことを特徴とする
請求項1〜4の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【請求項6】
上記タンク側方の上記トンネル部内に位置する上記排気管に、貯蔵時に液体の還元剤を用いる排気浄化部が設けられ、
上記タンクに上記液体の還元剤が貯蔵されると共に、該タンクと上記排気浄化部とが配管で連結されたことを特徴とする
請求項1〜5の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【請求項7】
上記還元剤は尿素水であることを特徴とする
請求項6記載の車両のタンク配設構造。
【請求項8】
上記フロアパネル上部には前後方向に離間して複数のクロスメンバが設けられ、
上記タンクは複数のクロスメンバと対応するフロアパネル下部に配設されたことを特徴とする
請求項1〜7の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【請求項1】
フロアパネルの車幅方向略中央部に上方に膨出する形状のトンネル部が車両前後方向に延設され、
該トンネル部下方に排気管が略前後方向に配設され、
上記フロアパネル下方に所定の貯蔵物を貯蔵するタンクが取付けられた車両において、
上記フロアパネルの下方、かつ該フロアパネルの側端と上記トンネル部との間に、下方に突出すると共に前後方向に延びるフレーム部が延設されており、
上記タンクは、その上面に上記フレーム部を挟む溝部が形成され、上記フレーム部を該溝部に挟んで上記フロアパネル下部に取付けられたことを特徴とする
車両のタンク配設構造。
【請求項2】
上記フレーム部は、車両前方および後方に延びる前後の各サイドフレーム部に連結されると共に、
該フレーム部下面は、その前部よりも後部が上方に位置する形状とされ、
上記タンクは、上記溝部左右の左右タンク部を繋ぐ通路が後方ほど上下に拡大され、
上記タンクの後部に注入口が設けられたことを特徴とする
請求項1記載の車両のタンク配設構造。
【請求項3】
上記タンクは、その前部が後部よりも上記フレーム部との上下重複量または重複比率が大きく、
上記排気管は、上記トンネル部内の前部に、排気管後部よりも高温になる排気浄化部が設けられたことを特徴とする
請求項1記載の車両のタンク配設構造。
【請求項4】
上記トンネル部の下縁に沿ってトンネルサイドメンバが前後方向に延設され、
上記タンクは、上記フレーム部と上記トンネルサイドメンバとに挟まれる部位で、該トンネルサイドメンバと少なくとも前部で上下方向にオーバラップする形状であることを特徴とする
請求項1〜3の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【請求項5】
上記トンネル部近傍の上記フロアパネル下面に沿って配管が前後方向に延設され、
上記タンクの車幅方向における上記フレーム部よりも上記トンネル部側の高さが、反対側よりも低く形成されたことを特徴とする
請求項1〜4の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【請求項6】
上記タンク側方の上記トンネル部内に位置する上記排気管に、貯蔵時に液体の還元剤を用いる排気浄化部が設けられ、
上記タンクに上記液体の還元剤が貯蔵されると共に、該タンクと上記排気浄化部とが配管で連結されたことを特徴とする
請求項1〜5の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【請求項7】
上記還元剤は尿素水であることを特徴とする
請求項6記載の車両のタンク配設構造。
【請求項8】
上記フロアパネル上部には前後方向に離間して複数のクロスメンバが設けられ、
上記タンクは複数のクロスメンバと対応するフロアパネル下部に配設されたことを特徴とする
請求項1〜7の何れか1に記載の車両のタンク配設構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【公開番号】特開2009−137339(P2009−137339A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−313230(P2007−313230)
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月4日(2007.12.4)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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