Notice: Undefined variable: fterm_desc_sub in /mnt/www/biblio_conv.php on line 353
車両のトレーリングアーム取付け構造
説明

車両のトレーリングアーム取付け構造

【課題】トレーリングアームを支持するトレーリングアーム支持部材の車体に対する取付け剛性を高め、車両の走行安定性を向上させることが出来るようにする。
【解決手段】車体壁部12,13と車体底部14とを有し断面が略U字形に形成された車体部材11と、トレーリングアーム31の車体への取付側端部に固定された弾性部材28に対して略鉛直に挿入された接続部材29と、トレーリングアーム29を支持し接続部材29を車体部材11に対して着脱自在に固定するトレーリングアーム支持部材19と、車体壁部12,13に固定された下段支持部材22と、トレーリングアーム支持部材19を下段支持部材22に固定する下段固定部24と、下段支持部材22の上方において車体壁部12,13にその両端が固定された上段補強部材18と、トレーリングアーム支持部材31を上段補強部材18に固定する上段固定部材21とを備えて構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のトレーリングアーム取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、トレーリングアームを用いて車輪を支持する構造が知られている。このような手法は広く知られているものであり、その一例としては、以下の特許文献1が挙げられる。
この特許文献1には、同文献の図1や図3等に示されるように、トレーリングアーム(10)に円筒体(14)が形成され、この円筒体(14)にゴムブッシュ装置(36)が内蔵された構成が開示されている。
【0003】
そして、このゴムブッシュ装置(36)には、枢着部材(40)が内蔵され、さらに、この枢着部材(40)には、略水平方向に延在する連結部(40B)が設けられている。
このような構成により、トレーリングアーム(10)は、連結部(40B)の軸線(34)を中心に回動出来るようになっている。
【特許文献1】特開2003−54233号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、トレーリングアームを車体に支持する構造は、上述の特許文献1に開示されているものだけではない。
この点、本発明を創作する過程において発明者らが検討した関連技術を示す図8を用いて説明する。
図8に示すように、車両のサイドメンバ111内にはAブラケット122が設けられている。また、このAブラケット122上には、袋ナット119が溶接されている。また、トレーリングアーム131には、ラバーブッシュ128が圧入されている。そして、このラバーブッシュ128には、略鉛直方向(上下方向)にメインボルト129も圧入されている。
【0005】
これにより、トレーリングアーム131およびメインボルト129は、ラバーブッシュ128を介して、揺動可能に接続されている。また、このメインボルト129は、袋ナット119に対して下方から螺合している。
つまり、特許文献1の技術において、トレーリングアーム(10)は、略水平に延在する連結部(40B)の軸線(34)を中心として回動することが出来るように構成されているのであるが、図8に示す関連技術においては、略鉛直に延在するメインボルト129に対して直交し略水平に延在するトレーリングアーム131が、ラバーブッシュ128を介して揺動することが出来るように構成されている点で両者は大きく異なっている。
【0006】
そして、図8に示す関連技術のように、ラバーブッシュ128を介してメインボルト129とトレーリングアーム131とを略直交させ且つ揺動可能に接続した場合、特許文献1の技術に比べ、車両の操舵性を向上させるという利点があるほか、サスペンションのアライメント微調整がしやすいという利点もある。
そして、図8に示す関連技術のような構成とした場合には、特許文献1の技術を適用することは出来ない。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑み案出されたもので、トレーリングアームを支持するトレーリングアーム支持部材の車体に対する取付け剛性を高め、車両の走行安定性を向上させることが出来る、車両のトレーリングアーム取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の車両のトレーリングアーム取付け構造(請求項1)は、車両の上下方向に立設する一対の車体壁部と該車体壁部の両下端を接続する車体底部とを有し断面が略U字形に形成され該車両の車体を形成する車体部材と、該車両の車輪を支持するトレーリングアームと、該トレーリングアームの該車体への取付側端部に固定された弾性部材と、該弾性部材に対して略上下方向に挿入された接続部材と、該トレーリングアームを支持し該接続部材を該車体部材に対して着脱自在に固定するトレーリングアーム支持部材と、一対の該車体壁部にその両端が固定された下段支持部材と、該トレーリングアーム支持部材を該下段支持部材に固定する下段固定部と、該下段支持部材の上方において一対の該車体壁部にその両端が固定された上段補強部材と、該トレーリングアーム支持部材を該上段補強部材に固定する上段固定部材とを備えることを特徴としている。
【0009】
また、請求項2記載の本発明の車両のトレーリングアーム取付け構造は、請求項1記載の内容において、該車体部材の該車体底部には車体穴部が形成され、該弾性部材および該接続部材は、該車体穴部に収容されていることを特徴としている。
また、請求項3記載の本発明の車両のトレーリングアーム取付け構造は、請求項1または2記載の内容において、該上段補強部材には、該トレーリングアーム支持部材が挿通される上段穴部が形成され、該上段固定部は、該トレーリングアーム支持部材の上部と該上段穴部の周縁とを固定することを特徴としている。
【0010】
また、請求項4記載の本発明の車両のトレーリングアーム取付け構造は、請求項1〜3いずれか1項に記載の内容において、該上段補強部材の下方においてその両端が該一対の壁部に固定された中段補強部材と、該中段補強部材に穿設され該トレーリングアーム支持部材が挿通される中段挿通穴部と、該トレーリングアーム支持部材と該中段挿通穴部の周縁とを固定する中段固定部とをさらに備えることを特徴としている。
【0011】
また、請求項5記載の本発明の車両のトレーリングアーム取付け構造は、請求項1〜4いずれか1項に記載の内容において、該トレーリングアーム支持部材は、上端が覆われた袋ナットであることを特徴としている。
また、請求項6記載の本発明の車両のトレーリングアーム取付け構造は、請求項1〜5いずれか1項に記載の内容において、該接続部材が挿通される接続部材穴が形成され該接続部材の下端を支持する接続ブラケットと、該車体部材と該接続ブラケットとを着脱自在に接続するサブボルトおよびサブナットとをさらに備え、該弾性部材は、該下段支持部材と該接続ブラケットとの間で挟持されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両のトレーリングアーム取付け構造によれば、トレーリングアームを支持するトレーリングアーム支持部材の車体に対する取付け剛性を高め、車両の走行安定性を向上させることが出来る。また、下段支持部材および上段補強部材が車体部材の両壁部に固定されているので、車体部材自体の剛性を向上させることも出来る。(請求項1)
また、弾性部材および接続部材を車体穴部に収容することで、トレーリングアームの揺動が車体部材自体によって妨げられる事態を回避することが出来る。(請求項2)
また、上段補強部材に上段穴部を形成し、この上段穴部にトレーリングアーム支持部材を挿通させる構成とすることで、トレーリングアーム支持部材の上部と上段穴部の周縁とを上段固定部により簡素な工程で容易且つ確実に固定することが出来る。(請求項3)
また、トレーリングアーム支持部材は、中段固定部材および中段補強部材を介して車体部材に固定されているので、トレーリングアーム支持部材の車体に対する取付け剛性をさらに高めることが可能となる。また、中断補強部材が車体部材の両壁部に固定されているので、車体部材自体の剛性を向上させることも出来る。(請求項4)
また、袋ナットを用いることで、トレーリングアーム支持部材自体の剛性を高めることが可能となるとともに、トレーリングアーム支持部材内に埃が入り込むことを防ぐことが出来る。(請求項5)
また、接続部材を接続ブラケット,サブボルトおよびサブナットによってさらに支持することで、車体部材に対してトレーリングアーム支持部材をより確実に取り付けることが出来る。また、弾性部材が下段支持部材と接続ブラケットとの間で挟持されているので、トレーリングアームが揺動した場合であっても、弾性部材に入力された負荷をトレーリングアーム支持部材および接続ブラケットに分散させることが出来る。(請求項6)
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面により、本発明の一実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造について説明すると、図1はその全体構成を示す模式的な斜視図、図2はその要部構成を示す模式的な断面図であって図1のII−II断面図、図3もその要部構成を示す模式的な断面図であって図1のIII−III断面図である。
なお、図2および図3においては、図1に示さない構成要素についても明示している。
【0014】
図1に示すように、車両の車体の一部を形成するサイドメンバ11は、上下方向に立設する一対の車体壁部12,13と、これら車体壁部12,13の両下端を接続する平板状の車体底部14を有し、その断面が略U字形となるように形成されている。
このサイドメンバ11は、車両の左後側に設けられており、車両の前後方向に延在している。なお、図示はしないが、車両の右後側にも、このサイドメンバ11と同様のものが設けられている。
【0015】
また、図2に示すように、このサイドメンバ11の車内側(図2中左側)の車体壁部13の上端には略水平に延在する水平フランジ15が形成されている。
また、図3に示すように、このサイドメンバ11には、サイドメンバ開口16を覆うカバー部材17が設けられている。なお、このカバー部材17は、説明の簡略化のため、図1および図2には示していない。
【0016】
このカバー部材17は、車内側の端部(図示略)が水平フランジ15に溶接されるとともに、車外側の端部(図示略)が車外側の壁部12に溶接されている。
また、サイドメンバ11内には、カバー部材17の下方で、上段リンフォース(上段補強部材)18が設けられている。
また、この上段リンフォース18は、図2に示すように、車内側端部18a,傾斜部18b,水平部18cおよび車外側端部18dにより構成されている。
【0017】
これらのうち、車内側端部18aは水平フランジ15に溶接された部分であり、車外側端部18dは車外側の壁部12に溶接された部分である。
また、傾斜部18bは車内側端部18aから車外側(図2中右側)斜め下方に延在する部分であり、水平部18cは傾斜部18bの下端から車外側端部18dの下端に亘って略水平に形成された部分である。
【0018】
そして、水平部18cには円形の穴である上段挿通穴部(上段穴部)18eが形成されている。この上段挿通穴部18eには、後述するメインナット(トレーリングアーム支持部材)19が挿入されている。
また、この上段挿通穴部18eに挿入されたメインナット19の上端近傍と、上段挿通穴部18eの周縁とは、アーク溶接により固定されている。なお、このアーク溶接された部分を上段アーク溶接部(上段固定部)21という。
【0019】
さらに、サイドメンバ11内には、上段リンフォース18の下方にAブラケット(下段支持部材)22が設けられ、サイドメンバ11の車体底部14に形成された車体穴部23を上方から覆っている。
また、図2に示すように、このAブラケット22には、車内側および車外側の両端に、それぞれ、上方へ立設する側方フランジ22a,22bが形成されている。また、図1に示すように、これらの側方フランジ22a,22bは、Aブラケット22の全長に亘って形成されている。
【0020】
これらのうち、車内側のAフランジ22aは、車内側の車体壁部13に当接し且つ溶接されている。同様に、車外側のAフランジ22bは、車外側の車体壁部12に当接し且つ溶接されている。
また、図3に示すように、Aブラケット22には、前側フランジ22c,前側傾斜部22d,水平部22e,後側傾斜部22fおよび後側フランジ22gが形成されている。
【0021】
これらのうち、前側フランジ22cは、Aブラケット22の前縁を形成し、サイドメンバ11の車体底部14に溶接された部分である。
前側傾斜部22dは、前側フランジ22cの後端から後上方へ斜めに延在する部分である。
水平部22eは、前側傾斜部22dの後端から後方へ略水平に延在する部分である。
【0022】
後側傾斜部22fは、水平部22eの後端から後上方へ斜めに延在する部分である。
後側フランジ22gは、Aブラケット22の後縁を形成し、サイドメンバ11の車体底部14に溶接された部分である。
そして、このAブラケット22の水平部22eには、後述するメインボルト(接続部材)29が挿通されるAボルト穴22hが穿設されている。
【0023】
また、このAボルト穴22hとナット穴19aとが連通するように、メインナット19がAブラケット22に対してアーク溶接により固定されている。なお、このアーク溶接された部分を下段アーク溶接部(下段固定部材)24という。
このメインナット19は、その上端がナット穴19aを塞いて形成されているタイプのナット(いわゆる、袋ナット)である。
【0024】
また、図2に示すように、サイドメンバ11の車体底部14の下方にはBブラケット25が設けられている。
このBブラケット25は、その車内側の側部25aが、サイドメンバ11の車体壁部13に溶接されるとともに、その車外側の側部25bが、サイドメンバ11の車体壁部12に溶接されている。
【0025】
また、このBブラケット25の両側部25a,25bの間にはB底部25cが形成されている。さらに、このB底部25cには、B穴部25dが形成されている。このB穴部25dには、後述するトレーリングアーム・アッセンブリ(以下、トレーリングアームASSY)27のラバーブッシュ28およびメインボルト29が挿入されるようになっている。
【0026】
また、図3に示すように、Bブラケット25には、前側フランジ25dおよび後側フランジ25eが形成されている。
これらのうち、前側フランジ25dは、Bブラケット25の前端を形成し、サイドメンバ11の車体底部14に溶接された部分である。
また、後側フランジ25eは、Bブラケット25の後端を形成し、サイドメンバ11の車体底部14には溶接されていない部分である。
【0027】
メインナット19には、トレーリングアームASSY27のメインボルト29が螺合されるようになっている。
このトレーリングアームASSY27は、主に、トレーリングアーム31,ラバーブッシュ28、メインボルト29およびDブラケット(接続ブラケット)32から構成されている。
【0028】
これらのうち、トレーリングアーム31は中立状態で略水平方向に延在した部材であって、その後端側に図示しない車輪が接続され、また、その前端側(車体への取付側)はラバーブッシュ28が圧入されている。このラバーブッシュ28は、トレーリングアーム31の取付側端部31Aに固定された弾性部材である。
このラバーブッシュ28には、中立状態においてトレーリングアーム31と直交し略鉛直方向に延在するメインボルト29も圧入されている。これにより、トレーリングアーム31とメインボルト29との間で揺動が許容されながら(図3中2点鎖線参照)、これらのトレーリングアーム31とメインボルト29とが接続されるようになっている。
【0029】
また、このメインボルト29は、Dブラケット32の後端部32dの近傍に穿設されたDメイン穴部(接続部材穴)32aに挿入されている。
このDブラケット32は、サブボルト35およびサブナット36によりBブラケット25に対して着脱可能に固定された板状の部材である。
また、このDブラケット32には、その前端部32cの近傍においてDサブ穴32bが形成されている。このDサブ穴32bにはサブボルト35が挿入されるようになっている。
【0030】
また、サブナット36はBブラケット32の上面に溶接により固定されている。
そして、サブボルト35とサブナット36とが螺合することで、トレーリングアームASSY27がBブラケット25を介してサイドメンバ11に対して固定出来るようになっている。
さらに、トレーリングアームASSY27は、メインボルト29とメインナット19とが螺合することで、Aブラケット22および上段リンフォース18を介してサイドメンバ11に固定出来るようになっている。
【0031】
また、Aブラケット18とDブラケット32との間にはラバーブッシュ28が介装されている。そして、メインボルト29をメインナット19にねじ込んでいくことにより、ラバーブッシュ28をAブラケット18とDブラケット32との間で圧縮し且つ挟持することが出来るようになっている。
ここで、発明者らが本発明を創作する過程で検討した関連技術について図6〜図9を用いて説明し、本発明と比較する。なお、図6は関連技術の全体構造を示す模式的な斜視図,図7はその要部構成を示す模式的な断面図であって図6のVII−VII断面図、図3もその要部構成を示す模式的な断面図であって図6のVIII−VIII断面図、図9はその構成を示す模式的な上面図であって図7のIX−IX矢視図である。
【0032】
図6に示すように、車両の車体の一部を形成するサイドメンバ111は、車両の上下方向に立設する一対の壁部112,113と、これら壁部112,113の両下端を接続する底部114とを有し、断面が略U字形に形成されている。
なお、図6〜図9においては、車両の右後側に設けられたサイドメンバ111を示すが、車両の左後側にも同様のサイドメンバ(図示略)が設けられている。
【0033】
また、図7に示すように、このサイドメンバ111の車内側(図7中左側)の車体壁部113の上端には略水平に延在する水平フランジ115が形成されている。
また、このサイドメンバ111には、図8に示すように、サイドメンバ開口116を覆うカバー部材117が設けられている。なお、このカバー部材117は、説明の簡略化のため、図6には示していない。
【0034】
このカバー部材117は、車内側の端部(図示略)が水平フランジ115に溶接されるとともに、車外側の端部(図示略)が車外側の壁部112に溶接されている。
また、サイドメンバ111内には、カバー部材117の下方で、上段リンフォース118が設けられている。
また、この上段リンフォース118は、図7に示すように、車内側端部118a,水平部118cおよび車外側端部118dにより構成されている。
【0035】
これらのうち、車内側端部118aは水平フランジ115に溶接された部分であり、また、車外側端部118dは車外側の壁部112に溶接された部分である。
また、水平部118cは車内側端部118aと車外側端部118dとの間に亘って略水平に形成された部分である。
サイドメンバ11内には、さらに、上段リンフォース118の下方にAブラケット122が設けられ、サイドメンバ111の底部114に形成された車体穴部123を上方から覆っている。
【0036】
また、このAブラケット122の両端には、それぞれ、上方へ立設する側方フランジ122a,122bが形成されている。また、図6に示すように、これらの側方フランジ122a,122bは、Aブラケット122の全長に亘って形成されている。
これらのうち、車内側のAフランジ122aは、車内側の車体壁部113に当接し且つ溶接されている。同様に、車外側のAフランジ122bは、車外側の車体壁部112に当接し且つ溶接されている。
【0037】
また、図8に示すように、Aブラケット122には、前側フランジ122c,前側傾斜部122d,水平部122e,後側傾斜部122fおよび後側フランジ122gが形成されている。
これらのうち、前側フランジ122cは、Aブラケット122の前縁を形成し、サイドメンバ111の車体底部114に溶接された部分である。
【0038】
前側傾斜部122dは、前側フランジ122cの後端から後上方へ斜めに延在する部分である。
水平部122eは、前側傾斜部122dの後端から後方へ略水平に延在する部分である。
後側傾斜部122fは、水平部122eの後端から後上方へ斜めに延在する部分である。
【0039】
後側フランジ122gは、Aブラケット122の後縁を形成し、サイドメンバ111の底部114に溶接された部分である。
そして、このAブラケット122の水平部122eには、後述するメインボルト129が挿通されるAボルト穴122hが穿設されている。
また、このAボルト穴122hとナット穴119aとが連通するように、メインナット119がAブラケット122に対してアーク溶接により固定されている。なお、このアーク溶接された部分を下段アーク溶接部124という。
【0040】
このメインナット119は、その上端がナット穴119aを塞いて形成されている袋ナットである。
また、図7に示すように、サイドメンバ111の車体底部114の下方にはBブラケット125が設けられている。
このBブラケット125は、その車内側の側部125aが、一方の車体壁部113に溶接されるとともに、その車外側の側部125bが、他方の車体壁部112に溶接されている。
【0041】
また、このBブラケット125の両側部125a,125bの間にはB底部125cが形成されている。さらに、このB底部125cには、B穴部125dが形成されている。このB穴部125dには、トレーリングアーム・アッセンブリ(トレーリングアームASSY)127のラバーブッシュ128およびメインボルト129が挿入されるようになっている。
【0042】
また、図8に示すように、Bブラケット125には、前側フランジ125dおよび後側フランジ125eが形成されている。
これらのうち、前側フランジ125dは、Bブラケット125の前端を形成し、サイドメンバ111の車体底部114に溶接された部分である。
また、後側フランジ125eは、Bブラケット125の後端を形成し、サイドメンバ111の車体底部114に溶接された部分である。
【0043】
メインナット119には、トレーリングアームASSY127のメインボルト129が螺合されるようになっている。
このトレーリングアームASSY127は、主に、トレーリングアーム131,ラバーブッシュ128、メインボルト129およびDブラケット132から構成されている。
これらのうち、トレーリングアーム131は中立状態で略水平方向に延在した部材であって、その後端側に図示しない車輪が接続され、また、その前端側(該車体への取付側)にはラバーブッシュ128が圧入されている。このラバーブッシュ128は、トレーリングアーム131の取付側端部131Aに固定された弾性部材である。
【0044】
このラバーブッシュ128には、中立状態におけるトレーリングアーム131と直交し略鉛直方向に延在するメインボルト129も圧入されている。これにより、トレーリングアーム131とメインボルト129との間で揺動が許容されながら(図8中2点鎖線参照)、これらのトレーリングアーム131とメインボルト129とが接続されるようになっている。
【0045】
また、このメインボルト129は、Dブラケット132の後端部132dの近傍に穿設されたDメイン穴部132aに挿入されている。
このDブラケット132は、サブボルト135およびサブナット136によりBブラケット125に対して着脱可能に固定される板状の部材である。
また、このDブラケット132には、その前端部132cの近傍においてDサブ穴132bが形成されている。このDサブ穴132bにはサブボルト135が挿入されるようになっている。
【0046】
また、サブナット136はBブラケット132の上面に溶接により固定されている。
そして、サブボルト135とサブナット136とが螺合することで、トレーリングアームASSY127がBブラケット125を介してサイドメンバ111に対して固定出来るようになっている。
さらに、トレーリングアームASSY127は、メインボルト129とメインナット119とが螺合することで、Aブラケット122および上段リンフォース118を介してサイドメンバ11に固定出来るようになっている。
【0047】
また、Aブラケット118とDブラケット132との間にはラバーブッシュ128が介装されている。そして、メインボルト129をメインナット119にねじ込んでいくことにより、ラバーブッシュ128をAブラケット118とDブラケット132との間で圧縮し且つ挟持することが出来るようになっている。
また、Aブラケット122上にはバルクヘッド150が設けられている。
【0048】
このバルクヘッド150は、図9に示すように、車内側壁部151,車外側壁部152,車内側フランジ153,車外側フランジ154および円弧部155を有し、これらが一体に形成された補強部材である。
これらのうち、車内側壁部151は、Aブラケット122上において、メインナット119の一側から車内方向へ延在する板状の部分である。なお、この車内側壁部151の下端はAブラケット122に対して溶接され、且つ、その車外側の側端がメインナット119に対して溶接されている(図9中符号W1参照)。
【0049】
また、車外側壁部152は、メインナット119の他側から車外方向へ延在する板状の部分である。なお、この車外側壁部152の下端もAブラケット122に対して溶接され、且つ、その車内側の側端がメインナット119に対して溶接されている(図9中符号W2参照)。
車内側フランジ153は、車内側壁部151の一端から後方へ延在するフランジである。なお、この車内側フランジ153は一方の壁部113に溶接されている(図9中符号W3参照)。
【0050】
また、車外側フランジ154は、車外側壁部152の一端から後方へ延在するフランジである。なお、この車外側フランジ153は他方の壁部112に溶接されている(図9中符号W4参照)。
円弧部155は、車内側壁部151の他端から車外側壁部152の他端の間に亘ってメインナット119の前側に沿って形成された半円筒状の壁部である。
【0051】
上述のように、図6〜図9に示す関連技術においては、バルクヘッド150により、メインナット119に対し車両の幅方向に入力される荷重に対する剛性を十分に確保することが出来る。バルクヘッド150の車内側壁部151および車外側壁部152が車両の幅方向に延在し、且つ、これらの車内側壁部151および車外側壁部152が、それぞれ、サイドメンバ111の壁部113および112に溶接されていることによるものである。
【0052】
しかしながら、トレーリングアーム131は、図8中2点鎖線および矢印A1で示すように、図示しない車輪の動きに追従し、その後端部131aが上下方向に揺動するようになっている。そして、このトレーリングアーム131を支持するメインナット119にはトレーリングアーム131の上下揺動による荷重が入力されることとなるため、図8中矢印A2で示すように、メインナット119には前後方向の荷重が伝達されることとなる。
【0053】
つまり、バルクヘッド150により、メインナット119の車幅方向の剛性を高めたとしても、前後方向の剛性を十分に確保することは出来ず、車両の走行安定性を向上させるまでには至らない。
これに対して、本発明の一実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造は上述のように構成されているので、以下のような作用および効果を奏する。
【0054】
メインナット19は、その下部が下段アーク溶接部21およびAブラケット22を介してサイドメンバ11に固定されるともに、その上部が上段アーク溶接部24および上段リンフォース18を介してサイドメンバ11に固定されているので、トレーリングアーム31とメインボルト29をラバーブッシュ28により揺動可能に接続する構成であっても、サイドメンバ11に対するトレーリングアーム31の取付け剛性を高めることが可能となる。
【0055】
また、Aブラケット22および上段リンフォース18がサイドメンバ11の両車体壁部12,13に固定されているので、サイドメンバ11自体の剛性を向上させることも出来る。
したがって、トレーリングアーム31が揺動し、ラバーブッシュ28および第メインボルト29を介してメインナット19に対して比較的大きな力が入力された場合であっても、サイドメンバ11に対するメインナット19の取付け位置が正規の位置からズレることを防ぐことが可能となるとともに、サイドメンバ11自体の変形を防ぐことが可能となる。そして、これにより、トレーリングアーム31の動きを安定させることが可能となり、車両の走行安定性を高めることが出来る。
【0056】
また、本実施形態における場合のように、車種によっては、車両の走行安定性を向上させるには、トレーリングアーム31の揺動中心(図3中符号C1参照)の位置を、サイドメンバ11の内部に設定せざるを得ない場合がある。
このような場合、従来の技術においては、トレーリングアームの揺動中心を好ましい位置からずらしたり、或いは、トレーリングアーム自体の設計を変更せざるを得なかったりする。
【0057】
これに対して、本発明においては、ラバーブッシュ28およびメインボルト29を車体穴部23に収容することで、トレーリングアーム31の揺動中心C1を容易に好ましい位置とすることが可能とすることで、車両の走行安定性をより確実に高めることが可能となる。
また、上段リンフォース18に上段挿通穴部18eを形成し、この上段挿通穴部18eにメインナット19を挿通させ、且つ、この上段挿通穴部18eから僅かにメインナット19が上方へ突出する構成とすることで、このメインナット19の上部と上段挿通穴部18eの周縁とを上段アーク溶接部21により容易且つ確実に固定することが出来る。したがって、上段リンフォース18とメインナット19との固定を簡素な工程で素早く行なうことが可能となり、コストおよび組み付け時間の削減に寄与することが出来る。
【0058】
また、メインナット19として袋ナットを用いることで、メインナット19自体の剛性を高めることが可能となるとともに、ナット穴19a内に埃が入り込むことを防ぐことも可能となる。
また、メインボルト19を、Aブラケット22および上段リンフォース18のみならず、Dブラケット32,サブボルト35およびサブナット36によってさらに支持することで、サイドメンバ11に対してメインナット19をより確実に取り付けることが出来る。また、ラバーブッシュ28がAブラケット22とDブラケット32との間で挟持されているので、トレーリングアーム31が揺動した場合であっても、ラバーブッシュ28に入力された負荷をメインナット19およびDブラケット32に分散させることが出来る。
【0059】
次に、図面により、上述した本発明の第2実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造について、図4,図5(a)を用いて説明する。これらのうち図4はその前面視における模式的な断面図であり、図5(a)はその側面視における模式的な断面図である。また、図5(b)は、第2実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造の変形例を示す。
【0060】
なお、図1〜図3を用いて上述した第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。また、上述の第1実施形態を説明するのに用いた図を用いる場合もある。
この第2実施形態においては、サイドメンバ11内に中段リンフォース41が設けられている点で第1実施形態とは異なっている。換言すれば、この中段リンフォース41以外の構成要素については、第2実施形態と上述の第1実施形態とは同様であるので、ここでは中段リンフォース41を中心に説明する。
【0061】
この中段リンフォース41は、車内側フランジ41a,車外側フランジ41b,水平部41c,前側フランジ41dおよび後側フランジ41eにより一体に形成されている。また、この中段リンフォース41は、上段リンフォース18とAブラケット22との間に配設されている。
車内側フランジ41aは、水平部41cの車内側の端部から上方へ立設するフランジであって、車内側の車体壁部13に当接し且つ溶接されている。
【0062】
車外側フランジ41bは、水平部41cの車外側の端部から上方へ立設するフランジであって、車外側の車体壁部12に当接し且つ溶接されている。
図5(a)で示すように、前側フランジ41dは水平部41cの前側の端部から上方へ立設するフランジであり、また、後側フランジ41eは水平部41cの後側の端部から上方へ立設するフランジであり、これらの前側フランジ41dおよび後側フランジ41eは、サイドメンバ11に溶接されていない。
【0063】
もっとも、図5(b)で示すように水平部41cの前側の端部若しくは後側の端部又はその両端部がAブラケット22に溶接された構成にしてもよい。これにより、さらなる剛性の向上を図ることが出来る。
水平部41cは、略水平に延在する平板状の部分である。また、この水平部41cには、メインナット19が挿通される中段挿通穴部41fが穿設されている。
【0064】
また、この中段挿通穴部41fの周縁とメインナット19の側面とはアーク溶接により固定されている。なお、このアーク溶接された部分を中段アーク溶接部(中段固定部材)42という。
本発明の第2実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造は上述のように構成されているので、上述した第1実施形態における作用および効果に加え、以下のように、さらなる作用および効果を奏する。
【0065】
メインナット19は、中段アーク溶接部42および中段リンフォース41を介してサイドメンバ11に固定されているので、サイドメンバ11に対するメインナット19の取付け剛性をさらに高めることが可能となる。
また、中断リンフォースがサイドメンバ11の両壁部12,13に固定されているので、サイドメンバ11自体の剛性を向上させることも出来る。
【0066】
以上、本発明の第1および第2実施形態を説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明の第1実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造の全体構成を示す模式的な斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造の要部構成を示す模式的な断面図であって、図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造の要部構成を示す模式的な断面図であって、図1のIII−III断面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造の要部構成を示す模式的な正面視における断面図である。
【図5】(a)は本発明の第2実施形態に係る車両のトレーリングアーム取付け構造の要部構成を示す模式的な側面視における断面図であって、(b)は本発明の第2実施形態の変形例に係る車両のトレーリングアーム取付け構造の要部構成を示す模式的な側面視における断面図である。
【図6】本発明の関連技術の全体構造を示す模式的な斜視図である。
【図7】本発明の関連技術の要部構成を示す模式的な断面図であって、図6のVII−VII断面図である。
【図8】本発明の関連技術の要部構成を示す模式的な断面図であって、図6のVIII−VIII断面図である。
【図9】本発明の関連技術の要部構成を示す模式的な上面図であって、図7のIX−IX矢視図である図6のVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
【0068】
11 サイドメンバ(車体部材)
12,13 車体壁部
14 車体底部
18 上段リンフォース(上段補強部材)
18e 上段挿通穴部(上段穴部)
19 メインナット(トレーリングアーム支持部材)
21 上段アーク溶接部(上段固定部)
22 Aブラケット(下段支持部材)
23 車体穴部
24 下段アーク溶接部(下段固定部)
28 ラバーブッシュ(弾性部材)
29 メインボルト(接続部材)
31 トレーリングアーム
32 Dブラケット(接続ブラケット)
32a Dメイン穴部(接続部材穴)
35 サブボルト
36 サブナット
41 中段リンフォース(中段補強部材)
41f 中段挿通穴部
42 中段アーク溶接部(中段固定部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の上下方向に立設する一対の車体壁部と該車体壁部の両下端を接続する車体底部とを有し断面が略U字形に形成され該車両の車体を形成する車体部材と、
該車両の車輪を支持するトレーリングアームと、
該トレーリングアームの該車体への取付側端部に固定された弾性部材と、
該弾性部材に対して略上下方向に挿入された接続部材と、
該トレーリングアームを支持し該接続部材を該車体部材に対して着脱自在に固定するトレーリングアーム支持部材と、
一対の該車体壁部にその両端が固定された下段支持部材と、
該トレーリングアーム支持部材を該下段支持部材に固定する下段固定部と、
該下段支持部材の上方において一対の該車体壁部にその両端が固定された上段補強部材と、
該トレーリングアーム支持部材を該上段補強部材に固定する上段固定部材とを備える
ことを特徴とする、車両のトレーリングアーム取付け構造。
【請求項2】
該車体部材の該車体底部には車体穴部が形成され、
該弾性部材および該接続部材は、該車体穴部に収容されている
ことを特徴とする、請求項1記載の車両のトレーリングアーム取付け構造。
【請求項3】
該上段補強部材には、該トレーリングアーム支持部材が挿通される上段穴部が形成され、
該上段固定部は、該トレーリングアーム支持部材の上部と該上段穴部の周縁とを固定する
ことを特徴とする、請求項1または2記載の車両のトレーリングアーム取付け構造。
【請求項4】
該上段補強部材の下方においてその両端が該一対の壁部に固定された中段補強部材と、
該中段補強部材に穿設され該トレーリングアーム支持部材が挿通される中段挿通穴部と、
該トレーリングアーム支持部材と該中段挿通穴部の周縁とを固定する中段固定部とをさらに備える
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のトレーリングアーム取付け構造。
【請求項5】
該トレーリングアーム支持部材は、上端が覆われた袋ナットである
ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両のトレーリングアーム取付け構造。
【請求項6】
該接続部材が挿通される接続部材穴が形成され該接続部材の下端を支持する接続ブラケットと、
該車体部材と該接続ブラケットとを着脱自在に接続するサブボルトおよびサブナットとをさらに備え、
該弾性部材は、該下段支持部材と該接続ブラケットとの間で挟持される
ことを特徴とする、請求項1〜5いずれか1項に記載の車両のトレーリングアーム取付け構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2008−155706(P2008−155706A)
【公開日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−344681(P2006−344681)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【出願人】(000176811)三菱自動車エンジニアリング株式会社 (402)
【Fターム(参考)】