車両のトーションビーム式サスペンション
【課題】バンプ時における車輪のホイールアライメントの変化量をより大きく確保する。
【解決手段】車幅方向に伸びるトーションビーム10によって、左右一対のトレーリングアーム1同士が連結される。トーションビーム10の車幅方向中央部11のねじり剛性が、他の部分12,13のねじり剛性よりも小さく設定される。中央部11を所定長さ(例えば10cm)だけ直線状に形成することができる。トーションビーム10は、中央部11がもっとも高い位置となるように、上方に向けて凸となる凸形状とすることもできる。
【解決手段】車幅方向に伸びるトーションビーム10によって、左右一対のトレーリングアーム1同士が連結される。トーションビーム10の車幅方向中央部11のねじり剛性が、他の部分12,13のねじり剛性よりも小さく設定される。中央部11を所定長さ(例えば10cm)だけ直線状に形成することができる。トーションビーム10は、中央部11がもっとも高い位置となるように、上方に向けて凸となる凸形状とすることもできる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のトーションビーム式サスペンションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両、特に小型自動車において多く採用されている後輪用サスペンションとして、トーションビーム式のものがある。このサスペンションは、前端部が車体に枢支されると共に後端部に車輪を保持した左右一対のトレーリングアームを備えて、左右一対のトレーリングアームが車幅方向に伸びるトーションビームによって連結された構造とされる。そして、トーションビームは、左右一対のトレーリングアームの車幅方向の移動を規制する機能を有する他、左右のトレーリングアームが同一高さ位置になるように付勢力を発揮するスタビライザとしての機能を有する。
【0003】
特許文献1には、トーションビームとプロペラシャフトとの干渉を防止するために、トーションビームを、その車幅方向中央部がもっとも高くなるように上方に向けて凸となるように形成して、この中央部を略直線状としたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3546564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車輪がバンプしたとき(車輪つまりトレーリングアームが車体に対して上方へ変位したとき)、トレーリングアームの後端部側面の向きを変化させて、この後端部に保持されている車輪のホイールアラメントを変化させることが行われている。例えば、操安性向上のために、バンプ時に車輪がトーインとなるようにあるいはネガティブキャンバとなるようにすることが行われている。そして、最近では、このようなホイールアライメントの変化をよりを大きく確保することが望まれるようになっている。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、バンプ時における車輪のホイールアライメントの変化量をより大きく確保できるようにした車両のトーションビーム式サスペンションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
前端部が車体に枢支されると共に後端部に車輪を保持した左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に伸びて該左右一対のトレーリングアーム同士を連結するトーションビームと、を備えた車両のトーションビーム式サスペンションであって、
前記トーションビームは、車幅方向中央部におけるねじり剛性が他の部分のねじり剛性よりも小さく設定されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、トーションビームの車幅方向中央部のねじり剛性を他の部分のねじり剛性よりも小さくするという極めて簡単な設定によって、トレーリングアームに保持された車輪のバンプ時におけるホイールアライメントの変化量を十分に大きく確保することができる。ちなみに、トーションビームのねじり剛性を車幅方向全長に渡って略均一に設定すると共に、全体のねじり剛性を中央部のねじり剛性と同じように小さく設定しても、バンプ時における車輪の大きなホイールアライメント変化は得られないものである。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記トーションビームの前記中央部が、車幅方向に伸びる略直線状に伸びる直線部として形成されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、ねじり剛性の小さい部分を直線状にある程度長く確保して、中央部で所望のねじり剛性を得つつ応力集中を回避する上で好ましいものとなる。
【0010】
前記トーションビームは、車幅方向の中央部がもっとも高くかつ該中央部から車幅方向外方側に向かうにつれて徐々に低くなる傾斜部を備えていて、全体として上方に向けて凸となる凸形状に形成されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、トーションビームを全体的に高く設定する場合に比して、トーションビームと車体フロア面との上下方向間隔を極力大きく確保する上で好ましいものとなる。また、トーションビームのねじり中心を極力高い位置に設定する上で好ましいものとなる。
【0011】
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の上端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がトーインとされる、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、バンプ時のトーイン量を十分に確保して、操安性向上の上で好ましいものとなる。
【0012】
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が下方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、トーションビームを簡単に形成しつつ、中央部と他の部分とのねじり剛性の相違も簡単に設定することができる。
【0013】
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の後端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がネガティブキャンバとされる、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、バンプ時に前記車輪がネガティブキャンバ量を十分に確保して、操安性向上の上で好ましいものとなる。
【0014】
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が前方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、トーションビームを簡単に形成しつつ、中央部と他の部分とのねじり剛性の相違も簡単に設定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、極めて簡単な構成によって、バンプ時における車輪のホイールアライメント変化量を大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が適用されたトーションビーム式サスペンションの一例を示す平面図。
【図2】図1のサスペンションを後方かた見た後面図。
【図3】図1のサスペンションを左方から見た左側面図。
【図4】トーションビームの車幅方向中央部での断面形状を示すもので、図1X4−X4線相当断面図。
【図5】トーションビームの中央部以外の部分での断面形状を示すもので、図1X5−X5線相当断面図。
【図6】バンプ時にトーインとなる作用を図式的に示す図。
【図7】バンプ量とトーイン方向へのトー角変化量との関係を示す特性図。
【図8】本発明の第2の実施形態を示すもので、図4に対応した断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態を示すもので、図5に対応した断面図。
【図10】本発明の第3実施形態を示すもので、図2に対応した後面図。
【図11】図10の実施形態において、バンプ量とトーイン方向へのトー角変化量との関係を示すもので、図7に対応した特性図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図3において、1は前後方向に伸びる左右一対のトレーリングアームである。トレーリングアーム1は、その前端部が、ブッシュ2を介してピン3を中心に車体に対して回動自在に取付けられている(枢支されている)。また、トレーリングアーム1の後端部には、図示を略す車輪(実施形態では後輪)が回転自在に取付けられる車輪取付部4が設けられている。上記ピン3の軸線は、図1に示す平面視において、車幅方向外方側に向かうにつれて後方に向かうように傾斜設定されている。また、ピン3は、図2に示す後方視において、車幅方向と平行の水平方向に設定されている。
【0018】
左右一対のトレーリングアーム1は、車幅方向に伸びるトーションビーム10によって連結されている。このトーションビーム10は、左右一対のトレーリングアーム1の車幅方向の位置決めと、スタビライザとしての機能を果たすことになる。トーションビーム10の車幅方向端部とトレーリングアーム1とに渡って、サスペンション受け部材5が固定されている。このサスペンション受け部材5に、それぞれ図示を略すサスペンションスプリングとサスペンションダンパとの各下端部が連結される。
【0019】
トーションビーム10は、車幅方向中央部11がもっとも高い位置となるように、上方に向けて凸となる凸形状に形成されている。より具体的には、車幅方向中央部11は、短い所定長さだけ車幅方向に直線状に伸び、この中央部11から車幅方向外方側に向けて徐々に下方に向かう傾斜部12とされ、傾斜部12よりも車幅方向外方側となる車幅方向端部13はほぼ直線状となるように設定されている。上記中央部の長さがAで示され、左右一方の傾斜部12の長さがB1で示され、左右一方の車幅方向端部13の長さがB2で示され、このB1とB2との合計の長さがBで示される。
【0020】
トーションビーム10は、例えば鉄製の中空パイプ材を押しつぶすように加工して、図4,図5に示すように、断面略V字状となるように形成されている。そして、実施形態では、バンプ時トーインとするため、トーションビーム10のねじれ中心がその上端部付近(中央部11付近)となるように、略V字状とされた開口部10aの向きが下方を向くように設定されている。
【0021】
トーションビーム10のねじり剛性は、車幅方向において相違するように設定されている。すなわち、中央部11のねじり剛性が、他の部分12、13のねじり剛性よりも小さく設定されている。このようなねじり剛性の相違の設定は、例えば、図4,図5に示すように、略V字状の開口部10aの開口幅を、中央部11と他の部分12,13とで相違させることによって行われる。具体的には、中央部11(長さAの区間)においては、図4に示すようにその開口幅がL1と大きくされる一方、傾斜部12と車幅方向端部13での開口幅(長さBの区間)がL2と小さくされている(L1>L2)。換言すれば、略V字状の開口部10aの広がり角が、中央部11ではθ1と大きくされ、他の部分12,13の広がり角θ2は小さくされる(θ1>θ2)。なお、中央部11における閉断面の面積を、他の部分12,13の閉断面の面積よりも小さくすることにより、ねじり剛性を相違させることもできる。
【0022】
図6は、トーションビーム10のねじれ特性を示すものである。この図6は、左右一方のトレーリングアーム1をバンプ側に揺動させたとき(左右他方側のトレーリングアーム1はリバウンド側に揺動される)、トーションビーム10を上方から見た平面視において(図6左方が前方)、そのねじり角度の大きさをX軸方向で示すものである。図6中、原点およびトーションビーム10の車幅方向端を通ってねじれ角0の状態を示す基準線がαで示される。中央部11(長さAの区間)では、ねじり剛性が小さいため、ねじられる角度が大きくされる一方(β線)、傾斜部12,車幅方向端部13(長さBの区間)ではねじり剛性が大きいためにねじられる角度は小さくなる(γ線)。そして、基準線αとγ線との角度差が、トーイン方向へのトー角変化量を示すものとなる。つまり、基準線αの方向が車輪の中心線の向きを示すと考えたとき、γ線はこの車輪の中心線の向きが変更された方向を示すことになる。
【0023】
区間Aの長さを短くすると、β線、γ線は、図6破線で示すβ2線あるいはγ2線のように変化して、基準線αとγ2線との角度差がより大きくなる。つまり、中央部11の長さAは、短いほど、トーイン方向へのトー角変化量を大きくすることができる(長さAは実質的に0でも可能)。ただし、中央部11の長さAを極端に短くすることは応力集中の点で好ましくないので、長さAとしては、5〜15cm程度の範囲に設定するのが好ましい。なお、実施形態では、トーションビーム10の全長は、約1000mmとされており、中央部11の長さAは約10cmとされている。また、トーションビームの10の中央部11の高さを高くするほど、トーイン方向のトー角変化量を大きくすることができるが、車体フロアとの上下方向間隔の確保の点から、中央部11をあまり高くすることは好ましくないものであり、このため、実施形態では、中央部11(の中心)の高さ位置は、車幅方向端部13(の中心)に対して50〜60mm程度の範囲で設定するのが好ましい(実施形態では55mm)。なお、トーションビーム10の各寸法は、トーションビーム10の形状および長さによって変わるものである。
【0024】
ここで、ブッシュ2の高さ位置を高くするほど、乗り心地向上の点では好ましいものとなる。この一方、ブッシュ2の高さ位置を高くしたとき、トーションビーム10のねじり中心位置を高くすることが要求されるが、実施形態のように中央部11がもっとも高くなるようにトーションビームを上方に凸となる凸形状とすることにより、この要求を満足させることができる(ねじり中心は中央部11の高さ付近となる)。そして、トーションビーム1を全体的に高い位置に設定する場合に比して、車体フロアまたは車体のサイドフレームとの上下方向間隔を極力十分に確保する上で好ましいものとなる。
【0025】
図7は、バンプ量に対するトーイン方向のトー角変化量を示す特性図である。この図7において、一点鎖線で示すX1線が、目標線であり、バンプ量40mmのときのトー角変化量が0.3度を目標値としている。図7中、実線で示すX2線が、前述した実施形態によるものであり、目標以上のトー角変化量が得られることが容易に理解される。例えば中央部11の高さを低くしたり(車体フロアとの上下方向間隔をより確保できる点で有利となる)、あるいは中央部11の長さAを長くすることにより(応力集中回避の点で有利となる)、トー角変化量を目標値にまで低下させることができる。
【0026】
一方、図7中、破線で示すX3線は、トーションビーム10の中央部を上方に向けて凸形状に形成し、ねじり剛性を車幅方向全長に渡って均一とした比較例を示す。トーションビーム10のねじり剛性を車幅方向全長に渡って大小に関係なく均一にするだけでは、目標のトー角変化量を達成することは困難であることが理解される。
【0027】
図8,図9は、本発明の第2の実施形態を示すもので、トーションビーム10の断面形状の変更例を示すものであり、中空パイプを押しつぶし変形させて、断面形状を略U字状としたものである。図8が中央部11の断面形状を示し(ねじり剛性小)、図9が傾斜部12および車幅方向端部13の断面形状を示す(ねじり剛性大)。本例では、略U字状の開口部10bの開口幅が、中央部11においてはH1と大きくされる一方、傾斜部12,車幅方向端部13での開口幅10bはH2と小さくしてある(H1>H2)。また、中央部11の閉断面の面積が、傾斜部12、車幅方向端部13の閉断面の面積よりも小さくなるようにしてある。これにより、中央部11のねじり剛性が、他の部分12、13のねじり剛性よりも小さくされる。
【0028】
図10は、本発明の第3の実施形態を示すもので、トーションビーム10の全体形状を変更したものである。すなわち、本例では、トーションビーム10は、その全長に渡って直線状とされている(上方に向けて凸となった凸形状とされていない)。ただし、中央部11(長さA)のねじり剛性は、他の部分(長さB)のねじり剛性よりも小さくしてある。本例におけるバンプ量とトーイン方向へのトー角変化量との関係が、図11に示され、この図11は図7に対応している。そして、図11中、X33線が比較例であり、X22線が本実施形態に対応している。本実施形態においても、バンプ時に、十分に大きなトー角変化量を得ることができる。
【0029】
一方、X33線は、車幅方向全長に渡ってねじり剛性を均一に設定した比較例である。このX33線から理解されるように、トーションビーム10を車幅方向全長に渡って均一に設定したのでは、バンプ時に大きなトー角変化量を得ることが難しいものとなる。
【0030】
ここで、操安性向上のためには、バンプ時トーインとする代わりにあるいは加えて、バンプ時ネガティブキャンバとすることも好ましいものである。バンプ時ネガティブキャンバを得るためには、前述した実施形態において、トーションビーム10の開口部10a(図4,図5の場合)あるいは10b(図8,図9の場合)を、前方に向かうように設定すればよい(トーションビーム10のねじり中心をその後端部付近に設定する)。すなわち、図6の左方が車体前方を示すことから、図6左方が車体上方となるようにすることによって、バンプ時ネガティブキャンバとなることが容易に理解される。
【0031】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。トーションビーム10の断面形状は実施形態に示す場合に限らず、適宜選択できるものであり、また閉断面構造に限らず開断面構造であってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、例えば小型自動車のリアサスペンションとして好適である。
【符号の説明】
【0033】
1:トレーリングアーム
2:ブッシュ:
3:ピン
4:車輪取付部材
10:トーションビーム
10a:開口部
10b:開口部
11:中央部
12:傾斜部
13:車幅方向端部
A:中央部の長さ(区間)
B1:傾斜部の長さ(区間)
B2:車幅方向端部の長さ(区間)
B:傾斜部と車幅方向端部の合計長さ(区間)
α:基準線
β:中央部でのねじれ角
γ:中央部以外でのねじれ角
X1、X11:目標のバンプ時トー角変化量
X2、X22:実施形態におけるバンプ時トー角変化量
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のトーションビーム式サスペンションに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両、特に小型自動車において多く採用されている後輪用サスペンションとして、トーションビーム式のものがある。このサスペンションは、前端部が車体に枢支されると共に後端部に車輪を保持した左右一対のトレーリングアームを備えて、左右一対のトレーリングアームが車幅方向に伸びるトーションビームによって連結された構造とされる。そして、トーションビームは、左右一対のトレーリングアームの車幅方向の移動を規制する機能を有する他、左右のトレーリングアームが同一高さ位置になるように付勢力を発揮するスタビライザとしての機能を有する。
【0003】
特許文献1には、トーションビームとプロペラシャフトとの干渉を防止するために、トーションビームを、その車幅方向中央部がもっとも高くなるように上方に向けて凸となるように形成して、この中央部を略直線状としたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3546564号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、車輪がバンプしたとき(車輪つまりトレーリングアームが車体に対して上方へ変位したとき)、トレーリングアームの後端部側面の向きを変化させて、この後端部に保持されている車輪のホイールアラメントを変化させることが行われている。例えば、操安性向上のために、バンプ時に車輪がトーインとなるようにあるいはネガティブキャンバとなるようにすることが行われている。そして、最近では、このようなホイールアライメントの変化をよりを大きく確保することが望まれるようになっている。
【0006】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、バンプ時における車輪のホイールアライメントの変化量をより大きく確保できるようにした車両のトーションビーム式サスペンションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような解決手法を採択してある。すなわち、請求項1に記載のように、
前端部が車体に枢支されると共に後端部に車輪を保持した左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に伸びて該左右一対のトレーリングアーム同士を連結するトーションビームと、を備えた車両のトーションビーム式サスペンションであって、
前記トーションビームは、車幅方向中央部におけるねじり剛性が他の部分のねじり剛性よりも小さく設定されている、
ようにしてある。
【0008】
上記解決手法によれば、トーションビームの車幅方向中央部のねじり剛性を他の部分のねじり剛性よりも小さくするという極めて簡単な設定によって、トレーリングアームに保持された車輪のバンプ時におけるホイールアライメントの変化量を十分に大きく確保することができる。ちなみに、トーションビームのねじり剛性を車幅方向全長に渡って略均一に設定すると共に、全体のねじり剛性を中央部のねじり剛性と同じように小さく設定しても、バンプ時における車輪の大きなホイールアライメント変化は得られないものである。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記トーションビームの前記中央部が、車幅方向に伸びる略直線状に伸びる直線部として形成されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、ねじり剛性の小さい部分を直線状にある程度長く確保して、中央部で所望のねじり剛性を得つつ応力集中を回避する上で好ましいものとなる。
【0010】
前記トーションビームは、車幅方向の中央部がもっとも高くかつ該中央部から車幅方向外方側に向かうにつれて徐々に低くなる傾斜部を備えていて、全体として上方に向けて凸となる凸形状に形成されている、ようにしてある(請求項3対応)。この場合、トーションビームを全体的に高く設定する場合に比して、トーションビームと車体フロア面との上下方向間隔を極力大きく確保する上で好ましいものとなる。また、トーションビームのねじり中心を極力高い位置に設定する上で好ましいものとなる。
【0011】
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の上端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がトーインとされる、ようにしてある(請求項4対応)。この場合、バンプ時のトーイン量を十分に確保して、操安性向上の上で好ましいものとなる。
【0012】
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が下方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、トーションビームを簡単に形成しつつ、中央部と他の部分とのねじり剛性の相違も簡単に設定することができる。
【0013】
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の後端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がネガティブキャンバとされる、ようにしてある(請求項6対応)。この場合、バンプ時に前記車輪がネガティブキャンバ量を十分に確保して、操安性向上の上で好ましいものとなる。
【0014】
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が前方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、
ようにしてある(請求項7対応)。この場合、トーションビームを簡単に形成しつつ、中央部と他の部分とのねじり剛性の相違も簡単に設定することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、極めて簡単な構成によって、バンプ時における車輪のホイールアライメント変化量を大きく確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明が適用されたトーションビーム式サスペンションの一例を示す平面図。
【図2】図1のサスペンションを後方かた見た後面図。
【図3】図1のサスペンションを左方から見た左側面図。
【図4】トーションビームの車幅方向中央部での断面形状を示すもので、図1X4−X4線相当断面図。
【図5】トーションビームの中央部以外の部分での断面形状を示すもので、図1X5−X5線相当断面図。
【図6】バンプ時にトーインとなる作用を図式的に示す図。
【図7】バンプ量とトーイン方向へのトー角変化量との関係を示す特性図。
【図8】本発明の第2の実施形態を示すもので、図4に対応した断面図。
【図9】本発明の第2の実施形態を示すもので、図5に対応した断面図。
【図10】本発明の第3実施形態を示すもので、図2に対応した後面図。
【図11】図10の実施形態において、バンプ量とトーイン方向へのトー角変化量との関係を示すもので、図7に対応した特性図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1〜図3において、1は前後方向に伸びる左右一対のトレーリングアームである。トレーリングアーム1は、その前端部が、ブッシュ2を介してピン3を中心に車体に対して回動自在に取付けられている(枢支されている)。また、トレーリングアーム1の後端部には、図示を略す車輪(実施形態では後輪)が回転自在に取付けられる車輪取付部4が設けられている。上記ピン3の軸線は、図1に示す平面視において、車幅方向外方側に向かうにつれて後方に向かうように傾斜設定されている。また、ピン3は、図2に示す後方視において、車幅方向と平行の水平方向に設定されている。
【0018】
左右一対のトレーリングアーム1は、車幅方向に伸びるトーションビーム10によって連結されている。このトーションビーム10は、左右一対のトレーリングアーム1の車幅方向の位置決めと、スタビライザとしての機能を果たすことになる。トーションビーム10の車幅方向端部とトレーリングアーム1とに渡って、サスペンション受け部材5が固定されている。このサスペンション受け部材5に、それぞれ図示を略すサスペンションスプリングとサスペンションダンパとの各下端部が連結される。
【0019】
トーションビーム10は、車幅方向中央部11がもっとも高い位置となるように、上方に向けて凸となる凸形状に形成されている。より具体的には、車幅方向中央部11は、短い所定長さだけ車幅方向に直線状に伸び、この中央部11から車幅方向外方側に向けて徐々に下方に向かう傾斜部12とされ、傾斜部12よりも車幅方向外方側となる車幅方向端部13はほぼ直線状となるように設定されている。上記中央部の長さがAで示され、左右一方の傾斜部12の長さがB1で示され、左右一方の車幅方向端部13の長さがB2で示され、このB1とB2との合計の長さがBで示される。
【0020】
トーションビーム10は、例えば鉄製の中空パイプ材を押しつぶすように加工して、図4,図5に示すように、断面略V字状となるように形成されている。そして、実施形態では、バンプ時トーインとするため、トーションビーム10のねじれ中心がその上端部付近(中央部11付近)となるように、略V字状とされた開口部10aの向きが下方を向くように設定されている。
【0021】
トーションビーム10のねじり剛性は、車幅方向において相違するように設定されている。すなわち、中央部11のねじり剛性が、他の部分12、13のねじり剛性よりも小さく設定されている。このようなねじり剛性の相違の設定は、例えば、図4,図5に示すように、略V字状の開口部10aの開口幅を、中央部11と他の部分12,13とで相違させることによって行われる。具体的には、中央部11(長さAの区間)においては、図4に示すようにその開口幅がL1と大きくされる一方、傾斜部12と車幅方向端部13での開口幅(長さBの区間)がL2と小さくされている(L1>L2)。換言すれば、略V字状の開口部10aの広がり角が、中央部11ではθ1と大きくされ、他の部分12,13の広がり角θ2は小さくされる(θ1>θ2)。なお、中央部11における閉断面の面積を、他の部分12,13の閉断面の面積よりも小さくすることにより、ねじり剛性を相違させることもできる。
【0022】
図6は、トーションビーム10のねじれ特性を示すものである。この図6は、左右一方のトレーリングアーム1をバンプ側に揺動させたとき(左右他方側のトレーリングアーム1はリバウンド側に揺動される)、トーションビーム10を上方から見た平面視において(図6左方が前方)、そのねじり角度の大きさをX軸方向で示すものである。図6中、原点およびトーションビーム10の車幅方向端を通ってねじれ角0の状態を示す基準線がαで示される。中央部11(長さAの区間)では、ねじり剛性が小さいため、ねじられる角度が大きくされる一方(β線)、傾斜部12,車幅方向端部13(長さBの区間)ではねじり剛性が大きいためにねじられる角度は小さくなる(γ線)。そして、基準線αとγ線との角度差が、トーイン方向へのトー角変化量を示すものとなる。つまり、基準線αの方向が車輪の中心線の向きを示すと考えたとき、γ線はこの車輪の中心線の向きが変更された方向を示すことになる。
【0023】
区間Aの長さを短くすると、β線、γ線は、図6破線で示すβ2線あるいはγ2線のように変化して、基準線αとγ2線との角度差がより大きくなる。つまり、中央部11の長さAは、短いほど、トーイン方向へのトー角変化量を大きくすることができる(長さAは実質的に0でも可能)。ただし、中央部11の長さAを極端に短くすることは応力集中の点で好ましくないので、長さAとしては、5〜15cm程度の範囲に設定するのが好ましい。なお、実施形態では、トーションビーム10の全長は、約1000mmとされており、中央部11の長さAは約10cmとされている。また、トーションビームの10の中央部11の高さを高くするほど、トーイン方向のトー角変化量を大きくすることができるが、車体フロアとの上下方向間隔の確保の点から、中央部11をあまり高くすることは好ましくないものであり、このため、実施形態では、中央部11(の中心)の高さ位置は、車幅方向端部13(の中心)に対して50〜60mm程度の範囲で設定するのが好ましい(実施形態では55mm)。なお、トーションビーム10の各寸法は、トーションビーム10の形状および長さによって変わるものである。
【0024】
ここで、ブッシュ2の高さ位置を高くするほど、乗り心地向上の点では好ましいものとなる。この一方、ブッシュ2の高さ位置を高くしたとき、トーションビーム10のねじり中心位置を高くすることが要求されるが、実施形態のように中央部11がもっとも高くなるようにトーションビームを上方に凸となる凸形状とすることにより、この要求を満足させることができる(ねじり中心は中央部11の高さ付近となる)。そして、トーションビーム1を全体的に高い位置に設定する場合に比して、車体フロアまたは車体のサイドフレームとの上下方向間隔を極力十分に確保する上で好ましいものとなる。
【0025】
図7は、バンプ量に対するトーイン方向のトー角変化量を示す特性図である。この図7において、一点鎖線で示すX1線が、目標線であり、バンプ量40mmのときのトー角変化量が0.3度を目標値としている。図7中、実線で示すX2線が、前述した実施形態によるものであり、目標以上のトー角変化量が得られることが容易に理解される。例えば中央部11の高さを低くしたり(車体フロアとの上下方向間隔をより確保できる点で有利となる)、あるいは中央部11の長さAを長くすることにより(応力集中回避の点で有利となる)、トー角変化量を目標値にまで低下させることができる。
【0026】
一方、図7中、破線で示すX3線は、トーションビーム10の中央部を上方に向けて凸形状に形成し、ねじり剛性を車幅方向全長に渡って均一とした比較例を示す。トーションビーム10のねじり剛性を車幅方向全長に渡って大小に関係なく均一にするだけでは、目標のトー角変化量を達成することは困難であることが理解される。
【0027】
図8,図9は、本発明の第2の実施形態を示すもので、トーションビーム10の断面形状の変更例を示すものであり、中空パイプを押しつぶし変形させて、断面形状を略U字状としたものである。図8が中央部11の断面形状を示し(ねじり剛性小)、図9が傾斜部12および車幅方向端部13の断面形状を示す(ねじり剛性大)。本例では、略U字状の開口部10bの開口幅が、中央部11においてはH1と大きくされる一方、傾斜部12,車幅方向端部13での開口幅10bはH2と小さくしてある(H1>H2)。また、中央部11の閉断面の面積が、傾斜部12、車幅方向端部13の閉断面の面積よりも小さくなるようにしてある。これにより、中央部11のねじり剛性が、他の部分12、13のねじり剛性よりも小さくされる。
【0028】
図10は、本発明の第3の実施形態を示すもので、トーションビーム10の全体形状を変更したものである。すなわち、本例では、トーションビーム10は、その全長に渡って直線状とされている(上方に向けて凸となった凸形状とされていない)。ただし、中央部11(長さA)のねじり剛性は、他の部分(長さB)のねじり剛性よりも小さくしてある。本例におけるバンプ量とトーイン方向へのトー角変化量との関係が、図11に示され、この図11は図7に対応している。そして、図11中、X33線が比較例であり、X22線が本実施形態に対応している。本実施形態においても、バンプ時に、十分に大きなトー角変化量を得ることができる。
【0029】
一方、X33線は、車幅方向全長に渡ってねじり剛性を均一に設定した比較例である。このX33線から理解されるように、トーションビーム10を車幅方向全長に渡って均一に設定したのでは、バンプ時に大きなトー角変化量を得ることが難しいものとなる。
【0030】
ここで、操安性向上のためには、バンプ時トーインとする代わりにあるいは加えて、バンプ時ネガティブキャンバとすることも好ましいものである。バンプ時ネガティブキャンバを得るためには、前述した実施形態において、トーションビーム10の開口部10a(図4,図5の場合)あるいは10b(図8,図9の場合)を、前方に向かうように設定すればよい(トーションビーム10のねじり中心をその後端部付近に設定する)。すなわち、図6の左方が車体前方を示すことから、図6左方が車体上方となるようにすることによって、バンプ時ネガティブキャンバとなることが容易に理解される。
【0031】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。トーションビーム10の断面形状は実施形態に示す場合に限らず、適宜選択できるものであり、また閉断面構造に限らず開断面構造であってもよい。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、例えば小型自動車のリアサスペンションとして好適である。
【符号の説明】
【0033】
1:トレーリングアーム
2:ブッシュ:
3:ピン
4:車輪取付部材
10:トーションビーム
10a:開口部
10b:開口部
11:中央部
12:傾斜部
13:車幅方向端部
A:中央部の長さ(区間)
B1:傾斜部の長さ(区間)
B2:車幅方向端部の長さ(区間)
B:傾斜部と車幅方向端部の合計長さ(区間)
α:基準線
β:中央部でのねじれ角
γ:中央部以外でのねじれ角
X1、X11:目標のバンプ時トー角変化量
X2、X22:実施形態におけるバンプ時トー角変化量
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部が車体に枢支されると共に後端部に車輪を保持した左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に伸びて該左右一対のトレーリングアーム同士を連結するトーションビームと、を備えた車両のトーションビーム式サスペンションであって、
前記トーションビームは、車幅方向中央部におけるねじり剛性が他の部分のねじり剛性よりも小さく設定されている、
ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項2】
請求項1において、
前記トーションビームの前記中央部が、車幅方向に伸びる略直線状に伸びる直線部として形成されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記トーションビームは、車幅方向の中央部がもっとも高くかつ該中央部から車幅方向外方側に向かうにつれて徐々に低くなる傾斜部を備えていて、全体として上方に向けて凸となる凸形状に形成されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の上端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がトーインとされる、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項5】
請求項4において、
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が下方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の後端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がネガティブキャンバとされる、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項7】
請求項6において、
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が前方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項1】
前端部が車体に枢支されると共に後端部に車輪を保持した左右一対のトレーリングアームと、車幅方向に伸びて該左右一対のトレーリングアーム同士を連結するトーションビームと、を備えた車両のトーションビーム式サスペンションであって、
前記トーションビームは、車幅方向中央部におけるねじり剛性が他の部分のねじり剛性よりも小さく設定されている、
ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項2】
請求項1において、
前記トーションビームの前記中央部が、車幅方向に伸びる略直線状に伸びる直線部として形成されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記トーションビームは、車幅方向の中央部がもっとも高くかつ該中央部から車幅方向外方側に向かうにつれて徐々に低くなる傾斜部を備えていて、全体として上方に向けて凸となる凸形状に形成されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の上端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がトーインとされる、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項5】
請求項4において、
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が下方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、
前記トーションビームの断面形状が、バンプ時に前記中央部の後端部付近を中心としてねじられるように形成されて、バンプ時に前記車輪がネガティブキャンバとされる、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【請求項7】
請求項6において、
前記トーションビームは、中空パイプ材を押しつぶすことにより断面略V字状あるいは略U字状に形成されると共に、略V字状または略U字状の開口部が前方に向かうようにされ、
前記トーションビームは、略V字状または略U字状とされた開口部の開口幅が前記中央部の方が他の部分よりも大きく設定されるか、または閉断面の面積が前記中央部の方が他の部分よりも小さく設定されている、ことを特徴とする車両のトーションビーム式サスペンション。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−60177(P2013−60177A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201589(P2011−201589)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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