車両のドア開口部構造
【課題】車体ドアを良好に拘束することができる車両のドア開口部構造を提供する。
【解決手段】車両のドア開口部構造10は、ドア開口部12の周囲13に沿って配索されるワイヤ16と、ワイヤ16を引き込む駆動手段21とを有する。ドア開口部構造10によれば、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉時において、駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際には、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位し、車体ドア14の周縁部27に設けられたワイヤ受部28を締め付ける。
【解決手段】車両のドア開口部構造10は、ドア開口部12の周囲13に沿って配索されるワイヤ16と、ワイヤ16を引き込む駆動手段21とを有する。ドア開口部構造10によれば、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉時において、駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際には、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位し、車体ドア14の周縁部27に設けられたワイヤ受部28を締め付ける。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のドア開口部に開閉可能に車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のなかには、車体ドア内にワイヤを配置し、車体前後方向に張設したものがある。車体ドアは、車体に形成されたドア開口部を開閉するものである。
この車両は、車体ドア内にワイヤが配置された状態で、ワイヤの前端部が車体ドアのヒンジに結合されるとともに、ワイヤの後端部がセンターピラーに結合される。
【0003】
ワイヤの前・後端部をヒンジやセンターピラーに締結することで、車体ドア内のワイヤは、車体前後方向に向けて張設した状態に保持される。
よって、車体ドアが側面衝突で荷重を受けた場合、ワイヤの張力で車体ドアの変形を規制することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−294142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車体ドアはヒンジを介して車体に開閉自在に取り付けられている。すなわち、車体ドアはヒンジを介して車体に片持ち支持されている。
このため、車両走行の際に、車体ドアのうち、ヒンジと反対側の部位に振動などが発生することが考えられる。
【0005】
車体ドアの振動を防ぐためには、車体ドアを閉じた状態において車体ドアの全体を拘束することが望ましい。
しかし、特許文献1のワイヤでは車体ドアの全体を拘束することができない。このため、特許文献1のワイヤを車体ドアに用いても、車体ドアの振動などを抑えることは難しい。
【0006】
本発明は、車体ドアを良好に拘束することができる車両のドア開口部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、前記ドア開口部の周囲に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記車体ドアの周縁部に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、前記車体ドアの周縁部に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記ドア開口部の周囲に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明において、前記ワイヤは、前記ドア開口部の周囲に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明において、前記ワイヤは、前記車体ドアの周縁部に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明において、前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが嵌り込む凹部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明において、前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが当接する摩擦部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、ドア開口部の周囲にワイヤが配索されている。このワイヤを引き込むことで、車体ドアの周縁部に設けられたワイヤ受部を締め付ける。
よって、ドア開口部をワイヤを介して車体ドアの周縁部に良好に拘束し、いわゆる車体ドアの「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドアに振動やガタなどが発生することを防止することができるという利点がある。
【0014】
さらに、ドア開口部を車体ドアの周縁部に良好に拘束して、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることで、車体ドアが側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドアの変形を規制することができるという利点がある。
加えて、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができるという利点がある。
【0015】
請求項2に係る発明では、車体ドアの周縁部にワイヤが配索されている。このワイヤを引き込むことで、ドア開口部のワイヤ受部を締め付ける。
よって、車体ドアの周縁部をワイヤを介してドア開口部に良好に拘束し、いわゆる車体ドアの「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドアに振動やガタなどが発生することを防止することができるという利点がある。
【0016】
さらに、車体ドアの周縁部をドア開口部に良好に拘束して、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることで、車体ドアが側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドアの変形を規制することができるという利点がある。
加えて、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができるという利点がある。
【0017】
請求項3に係る発明では、ドア開口部の周囲に沿ってウェザーストリップが設けられ、ウェザーストリップの中空部にワイヤを配索(配設)した。
これにより、ワイヤをウェザーストリップで覆うことができるので、ワイヤが外部に露出することを防いで外観性を高めることができるという利点がある。
【0018】
請求項4に係る発明では、車体ドアの周縁部に沿ってウェザーストリップが設けられ、ウェザーストリップの中空部にワイヤを配索した。
これにより、ワイヤをウェザーストリップで覆うことができるので、ワイヤが外部に露出することを防いで外観性を高めることができるという利点がある。
【0019】
請求項5に係る発明では、ワイヤ受部に凹部を有するように構成した。駆動手段でワイヤを引き込んだ際に、ワイヤを凹部に嵌め込ませることでワイヤ受部に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤでワイヤ受部を良好に締め付けることができるので、車体ドアの「閉まり剛性」をさらに高めることができるという利点がある。
【0020】
請求項6に係る発明では、ワイヤ受部に摩擦部を有するように構成した。駆動手段でワイヤを引き込んだ際に、ワイヤを摩擦部に押し付けることでワイヤ受部に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤでワイヤ受部を良好に締め付けることができるので、車体ドアの「閉まり剛性」をさらに高めることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る車両のドア開口部構造(第1実施の形態)を示す斜視図、図2は図1のドア開口部構造の要部を示す斜視図である。
車両のドア開口部構造10は、車体11の左側部11aに備えられたドア開口部12と、ドア開口部12に備えられた車体ドア14と、ドア開口部12の周囲13に沿って配索(配設)されたワイヤ16と、ワイヤ16を引き込む駆動手段21とを備える。
【0022】
ドア開口部12は、フロントピラー23、ルーフサイドレール24、センターピラー25およびサイドシル26で略5角形状に形成された開口部である。
フロントピラー23の下端部に上下のヒンジ31,31が設けられている。上下のヒンジ31,31に車体ドア14の前端部14aが設けられている。
【0023】
車体ドア14は、上下のヒンジ31,31を軸にしてスイング移動することで、ドア開口部12を開ける開位置と、ドア開口部12を閉じる閉位置とにスイング移動可能な部材である。
この車体ドア14は、図2に示すように、車体ドア14の周縁部27に沿ってワイヤ受部28が設けられている。
【0024】
周縁部27は、前ドアサッシュ47(図3参照)および上ドアサッシュ64(図4参照)を備える。
ワイヤ受部28は、第1ワイヤ受部48(図3参照)および第2ワイヤ受部68(図4参照)を備える。
ワイヤ受部28はワイヤ16を受ける凹部29を有する。凹部29は、駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌り込むための部位である。
この凹部29は、第1凹部49(図3参照)および第2凹部69(図4参照)を備える。
【0025】
ワイヤ16は、ドア開口部12の周囲13に沿って配索され(図3、図4も参照)、一端部16aが駆動手段21のケーシング33に取り付けられるとともに、他端部16bが駆動手段21の巻取ローラ34に取り付けられている。
【0026】
駆動手段21は、車体11に取り付けられた減速機36と、減速機36に取り付けられた電動モータ37と、ワイヤ16を案内する4個の案内ローラ17とを備える。
減速機36は、車体11に取り付けられ、ワイヤ16の一端部16aが取り付けられたケーシング33と、ケーシング33内に設けられたギヤ群(図示せず)と、ギヤ群に連結された巻取ローラ34とを備える。
巻取ローラ34は、ケーシング33に回転自在に支持され、ワイヤ16の他端部16bが取り付けられている。
【0027】
電動モータ37は、ケーシング33に取り付けられ、出力軸38がギヤ群に連結されている。
駆動手段21によれば、電動モータ37を正転することで、出力軸38の回転がギヤ群で減速されて巻取ローラ34に伝わる。巻取ローラ34が逆転することで、ワイヤ16を矢印(図2参照)の如く引き込む。
これにより、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位し、車体ドア14の周縁部27に設けられたワイヤ受部28を締め付ける。
【0028】
図3は図1の3−3線断面図であり、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉の状態を示す。
フロントピラー23の前部23aに支持ブロック41を介してフロント窓ガラス42が設けられ、フロントピラー23の後部23bから車体後方に向けて突片43が突出されている。この突片43には、車体側ウェザーストリップ45が取り付けられている。
【0029】
また、フロントピラー23には、車体ドア14の前ドアサッシュ47に対向させて第1ワイヤ収納部51が形成されている。
前ドアサッシュ47は、図2に示すように、車体ドア14の周縁部27のうち、前傾斜部を構成する部材である。
【0030】
第1ワイヤ収納部51内には、車体側ウェザーストリップ45の一部を構成するワイヤ保持ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)46が収納されている。
ワイヤ保持ウェザーストリップ46の中空部46aにワイヤ16が配索されている。
これにより、ワイヤ16は第1ワイヤ収納部51に保持されている。
ワイヤ保持ウェザーストリップ46の中空部46aにワイヤ16を配索することで、ワイヤ16をワイヤ保持ウェザーストリップ46で覆うことができる。
よって、ワイヤ16が外部に露出することを防いで外観性を高めることができる。
【0031】
前ドアサッシュ47は、ワイヤ16に対向する部位に第1ワイヤ受部48を備える。第1ワイヤ受部48は、図2に示すように、ワイヤ受部28のうち、前傾斜部を形成する部位である。
第1ワイヤ受部48はワイヤ16を受ける第1凹部49を有する。第1凹部49は、図2に示すように、凹部29のうち、前傾斜部を形成する部位である。
【0032】
この第1凹部49は、図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌り込むように湾曲凹状に形成されている。
ワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を第1凹部49に嵌め込ませることで第1ワイヤ受部48に確実に保持することができる。
【0033】
前ドアサッシュ47には、ドア側ウェザーストリップ57および案内ウェザーストリップ58が取り付けられている。
車体ドア14を閉じた状態において、前ドアサッシュ47の隆起部61が車体側ウェザーストリップ45に押し付けられるとともに、ドア側ウェザーストリップ57がフロントピラー23に押し付けられる。
案内ウェザーストリップ58に車体ドア窓ガラス63が昇降自在に嵌め込まれている。
なお、フロントピラー23の左側部23cは、ガーニッシュ55で覆われている。
【0034】
図4は図1の4−4線断面図であり、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉の状態を示す。
ルーフサイドレール24の下部24aから外側突片71が下方に向けて突出されている。この外側突片71には、車体外側ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)75が取り付けられている。
車体外側ウェザーストリップ75の中空部75aにワイヤ16が配索されている。
【0035】
これにより、ワイヤ16はルーフサイドレール24の下部24aに保持されている。
車体外側ウェザーストリップ75の中空部75aにワイヤ16を配索することで、ワイヤ16を車体外側ウェザーストリップ75で覆うことができる。
よって、ワイヤ16が外部に露出することを防いで外観性を高めることができる。
【0036】
ルーフサイドレール24の下部24aに対向させて車体ドア14の上ドアサッシュ64を備える。
上ドアサッシュ64は、図2に示すように、車体ドア14の周縁部27のうち、上水平部を構成する部材である。
【0037】
この上ドアサッシュ64は、ワイヤ16に対向する部位に第2ワイヤ受部68を備える。第2ワイヤ受部68は、図2に示すように、ワイヤ受部28のうち、上水平部を形成する部位である。
この第2ワイヤ受部68はワイヤ16を受ける第2凹部69を有する。第2凹部69は、図2に示すように、凹部29のうち、上水平部を形成する部位である。
【0038】
第2凹部69は、図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌り込むように湾曲凹状に形成されている。
このように、ワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を第2凹部69に嵌め込ませることで第2ワイヤ受部68に確実に保持することができる。
【0039】
また、ルーフサイドレール24の下部24aから内側突片76が下方に向けて突出されている。この内側突片76には、車体内側ウェザーストリップ77が取り付けられている。
上ドアサッシュ64には、ドア側ウェザーストリップ72およびドア側ウェザーストリップ73が取り付けられている。
車体ドア14を閉じた状態において、上ドアサッシュ64の隆起部74が車体内側ウェザーストリップ77に押し付けられるとともに、ドア側ウェザーストリップ72がルーフサイドレール24の下部24aに押し付けられる。
【0040】
つぎに、第1実施の形態のドア開口部構造10の作用を図5〜図8に基づいて説明する。
まず、ドア開口部12を車体ドア14に拘束する例を図5〜図6に基づいて説明する。
図5(a),(b)は第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
(a)において、図1に示すドア開口部12に車体ドア14が閉じられたドア閉の状態に保たれている。
車両走行時の車速が予め設定したしきい値を超えたとき、駆動手段21の電動モータ37を正転させて巻取ローラ34を逆転させることで、ワイヤ16を矢印Aの如く引き込む。
【0041】
(b)において、ワイヤ16が引き込まれることで、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位する。ワイヤ16は、ワイヤ保持ウェザーストリップ46を介して第1ワイヤ受部48を矢印F1の如く押圧する。
この状態において、ワイヤ16を第1凹部49に嵌め込ませることで第1ワイヤ受部48に確実に保持することができる。
よって、第1ワイヤ受部48をワイヤ16で良好に締め付けることができる。
【0042】
図6(a),(b)は第1実施の形態に係るドア開口部構造でドア開口部を車体ドアに拘束する例を説明する図である。
(a)において、ワイヤ16が引き込まれてドア開口部12の内方に変位することで、ワイヤ16は、車体外側ウェザーストリップ75を介して第2ワイヤ受部68を矢印F2の如く押圧する。
この状態において、ワイヤ16を第2凹部69に嵌め込ませることで第2ワイヤ受部68に確実に保持することができる。
よって、第2ワイヤ受部68をワイヤ16で良好に締め付けることができる。
【0043】
(b)において、ワイヤ受部28のうち、第1、第2のワイヤ受部48,68をワイヤ16で良好に締め付けるとともに、その他のワイヤ受部28をワイヤ16で良好に締め付ける。
よって、ドア開口部12をワイヤ16を介して車体ドア14の周縁部27に良好に拘束し、いわゆる車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドア14に振動やガタなどが発生することを防止することができる。
【0044】
さらに、ドア開口部12を車体ドア14の周縁部27に良好に拘束して、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることで、車体ドア14が側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドア14の変形を規制することができる。
加えて、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができる。
【0045】
つぎに、ドア開口部12から車体ドア14を開く例を図7〜図8に基づいて説明する。
図7(a),(b)は第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
(a)において、車両走行時の車速が予め設定したしきい値以下になったとき、駆動手段21の電動モータ37を逆転させて巻取ローラ34を正転することで、ワイヤ16の引込み状態を解放する。
ワイヤ16の引込み状態を解放することで、ワイヤ16によるワイヤ受部28の締付け状態を解放する。
【0046】
(b)に示すように、第1ワイヤ受部48(すなわち、ワイヤ受部28の前傾斜部)の締付け状態を解放することで、第1凹部49に嵌め込まれているワイヤ16が第1凹部49から外側に外れる。
【0047】
図8は第1実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
第2ワイヤ受部68(すなわち、ワイヤ受部28の上水平部)の締付け状態を解放することで、第2凹部69に嵌め込まれているワイヤ16が第2凹部69から外側に外れる。
同様に、第1、第2の凹部49,69以外の凹部29(図2参照)からもワイヤ16が外側に外れる。
これにより、図7(b)および図8に示すように、車体ドア14をドア開口部12から矢印Bの如く開くことができる。
【0048】
図5〜図8においては、車速がしきい値を超えた場合と、超えない場合とに対応させて車体ドア14を拘束状態と拘束解除状態に切り換える例について説明したが、これに加えて、車両が衝突した際に、車体ドア14を拘束解除状態に切り換えることも可能である。
この場合、車両が衝突した直後は車体ドア14を拘束状態に保ち、その後、車体ドア14を拘束解除状態に切り換える。
【0049】
つぎに、第2〜第5の実施の形態に係る車両のドア開口部構造を図9〜図18に基づいて説明する。なお、第2〜第5の実施の形態において第1実施の形態と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
(第2実施の形態)
図9は本発明に係る車両のドア開口部構造(第2実施の形態)を示す断面図である。
車両のドア開口部構造80は、第1実施の形態のワイヤ受部28に代えてワイヤ受部82を備えたもので、その他の構成は第1実施の形態のドア開口部構造10と同じである。
以下、ワイヤ受部82のうち、上水平部を構成する第2ワイヤ受部83を代表例として説明する。
【0051】
第2ワイヤ受部83は第2凹部84の表面に摩擦部85を有する。摩擦部85は、図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が当接する部位に設けられている。
この摩擦部85は、一例として、表面に凹凸部を形成することで摩擦係数を高めたものを例示するが、これに限定するものではなく、材質を変えるなどの他の手段で摩擦係数を高めることも可能である。
【0052】
図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を摩擦部85に押し付けることで第2ワイヤ受部83に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤ16で第2ワイヤ受部83を良好に締め付けることができるので、車体ドア14の「閉まり剛性」をさらに高めることができる。
すなわち、第2実施の形態のドア開口部構造80によれば、第1実施の形態のドア開口部構造10と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(第3実施の形態)
第3実施の形態を図10〜図16に基づいて説明する。
図10は本発明に係る車両のドア開口部構造(第3実施の形態)の要部を示す斜視図である。
車両のドア開口部構造100は、車体ドア14の周縁部102に沿ってワイヤ16を配索し、ワイヤ16でドア開口部12の周囲13を締め付けるように構成したもので、その他の構成は第1実施の形態のドア開口部構造10と同じである。
車体ドア14の周縁部102は、車体ドア14を閉じた状態において、周囲13の内壁に沿って形成された略5角形の枠体である、
【0054】
車両のドア開口部構造100によれば、駆動手段21の電動モータ37を正転することで、出力軸38の回転がギヤ群で減速されて巻取ローラ34に伝わる。巻取ローラ34が逆転することで、ワイヤ16を矢印の如く引き込む。
これにより、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位し、ドア開口部12の周囲13に設けられたワイヤ受部103を締め付ける。
【0055】
ドア開口部12の周囲13は、前傾斜部13a、上水平部13b、鉛直部13cおよび下水平部13dの4辺で構成されている。
車体ドア14の周縁部102は、前傾斜部13aに対向する前ドアサッシュ105(図11参照)や、上水平部13bに対向する上ドアサッシュ106(図12参照)を備える。
【0056】
図11は図10の11−11線に相当する部位の断面図、図12は図10の12−12線に相当する部位の断面図であり、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉の状態を示す。
図11に示すように、前ドアサッシュ105のうち、フロントピラー107の後部107aに対向する部位にドア側ウェザーストリップ109が取り付けられている。
前ドアサッシュ105は、車体ドア14の周縁部102のうち、前傾斜部を構成する部材である。
【0057】
また、図12に示すように、ドア側ウェザーストリップ109は、上ドアサッシュ106のうち、ルーフサイドレール108の下部108aに対向する部位にも取り付けられている。
上ドアサッシュ106は、車体ドア14の周縁部102のうち、上水平部を構成する部材である。
このドア側ウェザーストリップ109は、前ドアサッシュ105や上ドアサッシュ106と同様に、周縁部102の他の部位にも同様に取り付けられている。
【0058】
ドア側ウェザーストリップ109に中空部109aが形成され、中空部109aにワイヤ16が配索されている。
よって、ワイヤ16は、前ドアサッシュ105や上ドアサッシュ106などの周縁部102にドア側ウェザーストリップ109を介して取り付けられている。
これにより、ワイヤ16は、車体ドア14の周縁部102に沿って配索された状態に保たれている。
【0059】
ここで、ドア側ウェザーストリップ109の中空部109aにワイヤ16を配索することで、ワイヤ16をドア側ウェザーストリップ109で覆うことができる。
よって、ワイヤ16が外部に露出することを防いで外観性を高めることができる。
【0060】
図11に示すように、フロントピラー107の後部107aにおいて、ワイヤ16の近傍に第1ワイヤ支持部111を備える。
後部107aは、ドア開口部12の周囲13のうち、図10に示す前傾斜部13aに相当する部位である。
【0061】
第1ワイヤ支持部111は、後部107aから車体後方に張り出した第1支持片112と、第1支持片112の端部から車体外側に向けて張り出した第1ワイヤ受部113とを有する。
第1ワイヤ受部113は、図10に示すワイヤ受部103のうち、前傾斜部13aに形成された部位である。
【0062】
後部107a、第1支持片112および第1ワイヤ受部113で第1ワイヤ収納空間114(図15(b)参照)が形成されている。
第1ワイヤ収納空間114は、車体ドア14を閉じた状態において、ワイヤ16を収納する空間である。
第1ワイヤ収納空間114にワイヤ16を収納させた状態で、ワイヤ16をドア開口部12の内方に変位させることで、第1ワイヤ受部113をワイヤ16で締め付けることができる。
【0063】
また、図12に示すように、ルーフサイドレール108の下部108aにおいて、ワイヤ16の近傍に第2ワイヤ支持部116を備える。
下部108aは、ドア開口部12の周囲13のうち、上水平部13bに相当する部位である。
【0064】
第2ワイヤ支持部116は、下部108aから下方に張り出した第2支持片117と、第2支持片117の端部から車体外側に向けて張り出した第2ワイヤ受部118とを有する。
第2ワイヤ受部118は、図10に示すワイヤ受部103のうち、上水平部13bに形成された部位である。
【0065】
下部108a、第2支持片117および第2ワイヤ受部118で第2ワイヤ収納空間119(図16参照)が形成されている。
第2ワイヤ収納空間119は、車体ドア14を閉じた状態において、ワイヤ16を収納する空間である。
第2ワイヤ収納空間119にワイヤ16を収納させた状態において、ワイヤ16をドア開口部12の内方に変位させることで、第2ワイヤ受部118をワイヤ16で締め付けることができる。
【0066】
図10に示すように、ワイヤ受部103は、ドア開口部12の周囲13のうち、鉛直部13cおよび下水平部13dにも、第3ワイヤ受部121および第4ワイヤ受部122をそれぞれ備える。
すなわち、ワイヤ受部103は、ドア開口部12の周囲13(前傾斜部13a、上水平部13b、鉛直部13cおよび下水平部13dの4辺)に沿って設けられている。
【0067】
つぎに、第3実施の形態のドア開口部構造100の作用を図13〜図16に基づいて説明する。
まず、車体ドア14をドア開口部12で拘束する例を図13〜図14に基づいて説明する。
【0068】
図13(a),(b)は第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
(a)において、車体ドア14(図1も参照)でドア開口部12が閉じたドア閉の状態に保たれている。
車両走行時の車速が予め設定したしきい値を超えたとき、駆動手段21の電動モータ37を正転させて巻取ローラ34を逆転することで、ワイヤ16を矢印Cの如く引き込む。
【0069】
(b)において、ワイヤ16が引き込まれることで、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位する。
ワイヤ16は、ドア側ウェザーストリップ109を介して第1ワイヤ受部113を矢印F3の如く押圧する。
よって、第1ワイヤ受部113をワイヤ16で締め付けることができる。
【0070】
図14(a),(b)は第3実施の形態に係るドア開口部構造で車体ドアを拘束する例を説明する図である。
(a)において、ワイヤ16が引き込まれてドア開口部12の内方に変位することで、ワイヤ16は、ドア側ウェザーストリップ109を介して第2ワイヤ受部118を矢印F4の如く押圧する。
よって、第2ワイヤ受部118をワイヤ16で締め付けることができる。
【0071】
(b)において、第1、第2のワイヤ受部113,118をワイヤ16で締め付けるとともに、第3、第4のワイヤ受部121,122をワイヤ16で締め付ける。
よって、車体ドア14の周縁部102をワイヤ16を介してドア開口部12に良好に拘束し、いわゆる車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドア14に振動やガタなどが発生することを防止することができる。
【0072】
さらに、車体ドア14の周縁部102をドア開口部12に良好に拘束して、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることで、車体ドア14が側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドア14の変形を規制することができる。
加えて、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができる。
【0073】
つぎに、ドア開口部12から車体ドア14を開く例を図15〜図16に基づいて説明する。
図15(a),(b)は第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
(a)において、車両走行時の車速が予め設定したしきい値以下になったとき、駆動手段21の電動モータ37を逆転させて巻取ローラ34を正転することで、ワイヤ16の引込み状態を解放する。
ワイヤ16の引込み状態を解放することで、ワイヤ16によるワイヤ受部103の締付け状態を解放する。
【0074】
(b)に示すように、第1ワイヤ受部113(すなわち、ワイヤ受部103の前傾斜部)の締付け状態を解放することで、ワイヤ16が第1ワイヤ受部113から外れる。
【0075】
図16は第3実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
第2ワイヤ受部118(すなわち、ワイヤ受部103の上水平部)の締付け状態を解放することで、ワイヤ16が第2ワイヤ受部118から外れる。
同様に、図10に示すワイヤ受部103のうち、第3ワイヤ受部121および第4ワイヤ受部122からワイヤ16が外側に外れる。
これにより、図15(b)および図16に示すように、車体ドア14をドア開口部12から矢印Dの如く開くことができる。
【0076】
図13〜図16においては、車速がしきい値を超えた場合と、超えない場合とに対応させて車体ドア14を拘束する状態と拘束解除した状態に切り換える例について説明したが、これに加えて、車両が衝突した際に、車体ドア14を拘束解除する状態に切り換えることも可能である。
この場合、車両が衝突した直後は車体ドア14を拘束状態に保ち、その後、車体ドア14を拘束解除状態に切り換える。
【0077】
(第4実施の形態)
図17は本発明に係る車両のドア開口部構造(第4実施の形態)を示す断面図である。
車両のドア開口部構造130は、第3実施の形態のワイヤ受部103に代えてワイヤ受部131を備えたもので、その他の構成は第3実施の形態のドア開口部構造100と同じである。
【0078】
以下、ワイヤ受部131のうち、上水平部を構成する第2ワイヤ受部132を代表例として説明する。第2ワイヤ受部132は、第3実施の形態の第2ワイヤ受部118に代えて用いられた部材である。
この第2ワイヤ受部132は、ワイヤ16に対向する面に凹部133を有する。凹部133は、図10に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌め込まれるように湾曲凹状に形成されている。
【0079】
よって、駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を凹部133に嵌め込ませることで第2ワイヤ受部132に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤ16で第2ワイヤ受部132を一層良好に締め付けることができるので、車体ドアの「閉まり剛性」をさらに高めることができる。
すなわち、第4実施の形態のドア開口部構造130によれば、第3実施の形態のドア開口部構造100と同様の効果を得ることができる。
【0080】
(第5実施の形態)
図18は本発明に係る車両のドア開口部構造(第5実施の形態)を示す断面図である。
車両のドア開口部構造140は、第3実施の形態のワイヤ受部103に代えてワイヤ受部141を備えたもので、その他の構成は第3実施の形態のドア開口部構造100と同じである。
【0081】
以下、ワイヤ受部141のうち、上水平部を構成する第2ワイヤ受部142を代表例として説明する。第2ワイヤ受部142は、第3実施の形態の第2ワイヤ受部118に代えて用いられた部材である。
【0082】
この第2ワイヤ受部142は、ワイヤ16に対向する表面に摩擦部143を有する。摩擦部143は、図10に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が当接する部位に設けられている。
摩擦部143は、一例として、表面に凹凸部を形成することで摩擦係数を高めたものを例示するが、これに限定するものではなく、材質を変えるなどの他の手段で摩擦係数を高めることも可能である。
【0083】
駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を摩擦部143に押し付けることで第2ワイヤ受部142に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤ16で第2ワイヤ受部142を一層良好に締め付けることができるので、車体ドア14の「閉まり剛性」をさらに高めることができる。
すなわち、第5実施の形態のドア開口部構造140によれば、第3実施の形態のドア開口部構造100と同様の効果を得ることができる。
【0084】
なお、前記第1実施の形態では、ワイヤ受部28に凹部29を形成した例について説明したが、これに限らないで、ワイヤ受部28に凹部29を形成しないで平坦に形成することも可能である。
【0085】
また、前記実施の形態で例示したドア開口部の周囲13、車体ドアの周縁部27,102、ワイヤ保持ウェザーストリップ46および車体外側ウェザーストリップ75などの形状は適用する車両に応じて適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の車両のドア開口部構造は、車体のドア開口部に開閉可能に車体ドアを備えた車両への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る車両のドア開口部構造(第1実施の形態)を示す斜視図である。
【図2】図1のドア開口部構造の要部を示す斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
【図6】第1実施の形態に係るドア開口部構造でドア開口部を車体ドアに拘束する例を説明する図である。
【図7】第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
【図8】第1実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
【図9】本発明に係る車両のドア開口部構造(第2実施の形態)を示す断面図である。
【図10】本発明に係る車両のドア開口部構造(第3実施の形態)の要部を示す斜視図である。
【図11】図10の11−11線に相当する部位の断面図である。
【図12】図10の12−12線に相当する部位の断面図である。
【図13】第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
【図14】第3実施の形態に係るドア開口部構造で車体ドアを拘束する例を説明する図である。
【図15】第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
【図16】第3実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
【図17】本発明に係る車両のドア開口部構造(第4実施の形態)を示す断面図である。
【図18】本発明に係る車両のドア開口部構造(第5実施の形態)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10,80,100,130,140…車両のドア開口部構造、11…車体、12…ドア開口部、13…周囲、14…車体ドア、16…ワイヤ、21…駆動手段、27,102…車体ドアの周縁部、28,82,103,131,141…ワイヤ受部、29,133…凹部、46…ワイヤ保持ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)、47,105…前ドアサッシュ(周縁部の一部)、48,113…第1ワイヤ受部(ワイヤ受部の一部)、49…第1凹部(凹部の一部)、64,106…上ドアサッシュ(周縁部の一部)、68,83,118,132,142…第2ワイヤ受部(ワイヤ受部の一部)、69,84…第2凹部(凹部)、75…車体外側ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)、85,143…摩擦部、46a,75a…中空部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体のドア開口部に開閉可能に車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のなかには、車体ドア内にワイヤを配置し、車体前後方向に張設したものがある。車体ドアは、車体に形成されたドア開口部を開閉するものである。
この車両は、車体ドア内にワイヤが配置された状態で、ワイヤの前端部が車体ドアのヒンジに結合されるとともに、ワイヤの後端部がセンターピラーに結合される。
【0003】
ワイヤの前・後端部をヒンジやセンターピラーに締結することで、車体ドア内のワイヤは、車体前後方向に向けて張設した状態に保持される。
よって、車体ドアが側面衝突で荷重を受けた場合、ワイヤの張力で車体ドアの変形を規制することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平5−294142号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、車体ドアはヒンジを介して車体に開閉自在に取り付けられている。すなわち、車体ドアはヒンジを介して車体に片持ち支持されている。
このため、車両走行の際に、車体ドアのうち、ヒンジと反対側の部位に振動などが発生することが考えられる。
【0005】
車体ドアの振動を防ぐためには、車体ドアを閉じた状態において車体ドアの全体を拘束することが望ましい。
しかし、特許文献1のワイヤでは車体ドアの全体を拘束することができない。このため、特許文献1のワイヤを車体ドアに用いても、車体ドアの振動などを抑えることは難しい。
【0006】
本発明は、車体ドアを良好に拘束することができる車両のドア開口部構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、前記ドア開口部の周囲に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記車体ドアの周縁部に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、前記車体ドアの周縁部に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記ドア開口部の周囲に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明において、前記ワイヤは、前記ドア開口部の周囲に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明において、前記ワイヤは、前記車体ドアの周縁部に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明において、前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが嵌り込む凹部を有することを特徴とする。
【0012】
請求項6に係る発明において、前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが当接する摩擦部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る発明では、ドア開口部の周囲にワイヤが配索されている。このワイヤを引き込むことで、車体ドアの周縁部に設けられたワイヤ受部を締め付ける。
よって、ドア開口部をワイヤを介して車体ドアの周縁部に良好に拘束し、いわゆる車体ドアの「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドアに振動やガタなどが発生することを防止することができるという利点がある。
【0014】
さらに、ドア開口部を車体ドアの周縁部に良好に拘束して、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることで、車体ドアが側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドアの変形を規制することができるという利点がある。
加えて、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができるという利点がある。
【0015】
請求項2に係る発明では、車体ドアの周縁部にワイヤが配索されている。このワイヤを引き込むことで、ドア開口部のワイヤ受部を締め付ける。
よって、車体ドアの周縁部をワイヤを介してドア開口部に良好に拘束し、いわゆる車体ドアの「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドアに振動やガタなどが発生することを防止することができるという利点がある。
【0016】
さらに、車体ドアの周縁部をドア開口部に良好に拘束して、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることで、車体ドアが側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドアの変形を規制することができるという利点がある。
加えて、車体ドアの「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができるという利点がある。
【0017】
請求項3に係る発明では、ドア開口部の周囲に沿ってウェザーストリップが設けられ、ウェザーストリップの中空部にワイヤを配索(配設)した。
これにより、ワイヤをウェザーストリップで覆うことができるので、ワイヤが外部に露出することを防いで外観性を高めることができるという利点がある。
【0018】
請求項4に係る発明では、車体ドアの周縁部に沿ってウェザーストリップが設けられ、ウェザーストリップの中空部にワイヤを配索した。
これにより、ワイヤをウェザーストリップで覆うことができるので、ワイヤが外部に露出することを防いで外観性を高めることができるという利点がある。
【0019】
請求項5に係る発明では、ワイヤ受部に凹部を有するように構成した。駆動手段でワイヤを引き込んだ際に、ワイヤを凹部に嵌め込ませることでワイヤ受部に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤでワイヤ受部を良好に締め付けることができるので、車体ドアの「閉まり剛性」をさらに高めることができるという利点がある。
【0020】
請求項6に係る発明では、ワイヤ受部に摩擦部を有するように構成した。駆動手段でワイヤを引き込んだ際に、ワイヤを摩擦部に押し付けることでワイヤ受部に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤでワイヤ受部を良好に締め付けることができるので、車体ドアの「閉まり剛性」をさらに高めることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は本発明に係る車両のドア開口部構造(第1実施の形態)を示す斜視図、図2は図1のドア開口部構造の要部を示す斜視図である。
車両のドア開口部構造10は、車体11の左側部11aに備えられたドア開口部12と、ドア開口部12に備えられた車体ドア14と、ドア開口部12の周囲13に沿って配索(配設)されたワイヤ16と、ワイヤ16を引き込む駆動手段21とを備える。
【0022】
ドア開口部12は、フロントピラー23、ルーフサイドレール24、センターピラー25およびサイドシル26で略5角形状に形成された開口部である。
フロントピラー23の下端部に上下のヒンジ31,31が設けられている。上下のヒンジ31,31に車体ドア14の前端部14aが設けられている。
【0023】
車体ドア14は、上下のヒンジ31,31を軸にしてスイング移動することで、ドア開口部12を開ける開位置と、ドア開口部12を閉じる閉位置とにスイング移動可能な部材である。
この車体ドア14は、図2に示すように、車体ドア14の周縁部27に沿ってワイヤ受部28が設けられている。
【0024】
周縁部27は、前ドアサッシュ47(図3参照)および上ドアサッシュ64(図4参照)を備える。
ワイヤ受部28は、第1ワイヤ受部48(図3参照)および第2ワイヤ受部68(図4参照)を備える。
ワイヤ受部28はワイヤ16を受ける凹部29を有する。凹部29は、駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌り込むための部位である。
この凹部29は、第1凹部49(図3参照)および第2凹部69(図4参照)を備える。
【0025】
ワイヤ16は、ドア開口部12の周囲13に沿って配索され(図3、図4も参照)、一端部16aが駆動手段21のケーシング33に取り付けられるとともに、他端部16bが駆動手段21の巻取ローラ34に取り付けられている。
【0026】
駆動手段21は、車体11に取り付けられた減速機36と、減速機36に取り付けられた電動モータ37と、ワイヤ16を案内する4個の案内ローラ17とを備える。
減速機36は、車体11に取り付けられ、ワイヤ16の一端部16aが取り付けられたケーシング33と、ケーシング33内に設けられたギヤ群(図示せず)と、ギヤ群に連結された巻取ローラ34とを備える。
巻取ローラ34は、ケーシング33に回転自在に支持され、ワイヤ16の他端部16bが取り付けられている。
【0027】
電動モータ37は、ケーシング33に取り付けられ、出力軸38がギヤ群に連結されている。
駆動手段21によれば、電動モータ37を正転することで、出力軸38の回転がギヤ群で減速されて巻取ローラ34に伝わる。巻取ローラ34が逆転することで、ワイヤ16を矢印(図2参照)の如く引き込む。
これにより、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位し、車体ドア14の周縁部27に設けられたワイヤ受部28を締め付ける。
【0028】
図3は図1の3−3線断面図であり、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉の状態を示す。
フロントピラー23の前部23aに支持ブロック41を介してフロント窓ガラス42が設けられ、フロントピラー23の後部23bから車体後方に向けて突片43が突出されている。この突片43には、車体側ウェザーストリップ45が取り付けられている。
【0029】
また、フロントピラー23には、車体ドア14の前ドアサッシュ47に対向させて第1ワイヤ収納部51が形成されている。
前ドアサッシュ47は、図2に示すように、車体ドア14の周縁部27のうち、前傾斜部を構成する部材である。
【0030】
第1ワイヤ収納部51内には、車体側ウェザーストリップ45の一部を構成するワイヤ保持ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)46が収納されている。
ワイヤ保持ウェザーストリップ46の中空部46aにワイヤ16が配索されている。
これにより、ワイヤ16は第1ワイヤ収納部51に保持されている。
ワイヤ保持ウェザーストリップ46の中空部46aにワイヤ16を配索することで、ワイヤ16をワイヤ保持ウェザーストリップ46で覆うことができる。
よって、ワイヤ16が外部に露出することを防いで外観性を高めることができる。
【0031】
前ドアサッシュ47は、ワイヤ16に対向する部位に第1ワイヤ受部48を備える。第1ワイヤ受部48は、図2に示すように、ワイヤ受部28のうち、前傾斜部を形成する部位である。
第1ワイヤ受部48はワイヤ16を受ける第1凹部49を有する。第1凹部49は、図2に示すように、凹部29のうち、前傾斜部を形成する部位である。
【0032】
この第1凹部49は、図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌り込むように湾曲凹状に形成されている。
ワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を第1凹部49に嵌め込ませることで第1ワイヤ受部48に確実に保持することができる。
【0033】
前ドアサッシュ47には、ドア側ウェザーストリップ57および案内ウェザーストリップ58が取り付けられている。
車体ドア14を閉じた状態において、前ドアサッシュ47の隆起部61が車体側ウェザーストリップ45に押し付けられるとともに、ドア側ウェザーストリップ57がフロントピラー23に押し付けられる。
案内ウェザーストリップ58に車体ドア窓ガラス63が昇降自在に嵌め込まれている。
なお、フロントピラー23の左側部23cは、ガーニッシュ55で覆われている。
【0034】
図4は図1の4−4線断面図であり、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉の状態を示す。
ルーフサイドレール24の下部24aから外側突片71が下方に向けて突出されている。この外側突片71には、車体外側ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)75が取り付けられている。
車体外側ウェザーストリップ75の中空部75aにワイヤ16が配索されている。
【0035】
これにより、ワイヤ16はルーフサイドレール24の下部24aに保持されている。
車体外側ウェザーストリップ75の中空部75aにワイヤ16を配索することで、ワイヤ16を車体外側ウェザーストリップ75で覆うことができる。
よって、ワイヤ16が外部に露出することを防いで外観性を高めることができる。
【0036】
ルーフサイドレール24の下部24aに対向させて車体ドア14の上ドアサッシュ64を備える。
上ドアサッシュ64は、図2に示すように、車体ドア14の周縁部27のうち、上水平部を構成する部材である。
【0037】
この上ドアサッシュ64は、ワイヤ16に対向する部位に第2ワイヤ受部68を備える。第2ワイヤ受部68は、図2に示すように、ワイヤ受部28のうち、上水平部を形成する部位である。
この第2ワイヤ受部68はワイヤ16を受ける第2凹部69を有する。第2凹部69は、図2に示すように、凹部29のうち、上水平部を形成する部位である。
【0038】
第2凹部69は、図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌り込むように湾曲凹状に形成されている。
このように、ワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を第2凹部69に嵌め込ませることで第2ワイヤ受部68に確実に保持することができる。
【0039】
また、ルーフサイドレール24の下部24aから内側突片76が下方に向けて突出されている。この内側突片76には、車体内側ウェザーストリップ77が取り付けられている。
上ドアサッシュ64には、ドア側ウェザーストリップ72およびドア側ウェザーストリップ73が取り付けられている。
車体ドア14を閉じた状態において、上ドアサッシュ64の隆起部74が車体内側ウェザーストリップ77に押し付けられるとともに、ドア側ウェザーストリップ72がルーフサイドレール24の下部24aに押し付けられる。
【0040】
つぎに、第1実施の形態のドア開口部構造10の作用を図5〜図8に基づいて説明する。
まず、ドア開口部12を車体ドア14に拘束する例を図5〜図6に基づいて説明する。
図5(a),(b)は第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
(a)において、図1に示すドア開口部12に車体ドア14が閉じられたドア閉の状態に保たれている。
車両走行時の車速が予め設定したしきい値を超えたとき、駆動手段21の電動モータ37を正転させて巻取ローラ34を逆転させることで、ワイヤ16を矢印Aの如く引き込む。
【0041】
(b)において、ワイヤ16が引き込まれることで、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位する。ワイヤ16は、ワイヤ保持ウェザーストリップ46を介して第1ワイヤ受部48を矢印F1の如く押圧する。
この状態において、ワイヤ16を第1凹部49に嵌め込ませることで第1ワイヤ受部48に確実に保持することができる。
よって、第1ワイヤ受部48をワイヤ16で良好に締め付けることができる。
【0042】
図6(a),(b)は第1実施の形態に係るドア開口部構造でドア開口部を車体ドアに拘束する例を説明する図である。
(a)において、ワイヤ16が引き込まれてドア開口部12の内方に変位することで、ワイヤ16は、車体外側ウェザーストリップ75を介して第2ワイヤ受部68を矢印F2の如く押圧する。
この状態において、ワイヤ16を第2凹部69に嵌め込ませることで第2ワイヤ受部68に確実に保持することができる。
よって、第2ワイヤ受部68をワイヤ16で良好に締め付けることができる。
【0043】
(b)において、ワイヤ受部28のうち、第1、第2のワイヤ受部48,68をワイヤ16で良好に締め付けるとともに、その他のワイヤ受部28をワイヤ16で良好に締め付ける。
よって、ドア開口部12をワイヤ16を介して車体ドア14の周縁部27に良好に拘束し、いわゆる車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドア14に振動やガタなどが発生することを防止することができる。
【0044】
さらに、ドア開口部12を車体ドア14の周縁部27に良好に拘束して、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることで、車体ドア14が側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドア14の変形を規制することができる。
加えて、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができる。
【0045】
つぎに、ドア開口部12から車体ドア14を開く例を図7〜図8に基づいて説明する。
図7(a),(b)は第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
(a)において、車両走行時の車速が予め設定したしきい値以下になったとき、駆動手段21の電動モータ37を逆転させて巻取ローラ34を正転することで、ワイヤ16の引込み状態を解放する。
ワイヤ16の引込み状態を解放することで、ワイヤ16によるワイヤ受部28の締付け状態を解放する。
【0046】
(b)に示すように、第1ワイヤ受部48(すなわち、ワイヤ受部28の前傾斜部)の締付け状態を解放することで、第1凹部49に嵌め込まれているワイヤ16が第1凹部49から外側に外れる。
【0047】
図8は第1実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
第2ワイヤ受部68(すなわち、ワイヤ受部28の上水平部)の締付け状態を解放することで、第2凹部69に嵌め込まれているワイヤ16が第2凹部69から外側に外れる。
同様に、第1、第2の凹部49,69以外の凹部29(図2参照)からもワイヤ16が外側に外れる。
これにより、図7(b)および図8に示すように、車体ドア14をドア開口部12から矢印Bの如く開くことができる。
【0048】
図5〜図8においては、車速がしきい値を超えた場合と、超えない場合とに対応させて車体ドア14を拘束状態と拘束解除状態に切り換える例について説明したが、これに加えて、車両が衝突した際に、車体ドア14を拘束解除状態に切り換えることも可能である。
この場合、車両が衝突した直後は車体ドア14を拘束状態に保ち、その後、車体ドア14を拘束解除状態に切り換える。
【0049】
つぎに、第2〜第5の実施の形態に係る車両のドア開口部構造を図9〜図18に基づいて説明する。なお、第2〜第5の実施の形態において第1実施の形態と同一・類似部材については同じ符号を付して説明を省略する。
【0050】
(第2実施の形態)
図9は本発明に係る車両のドア開口部構造(第2実施の形態)を示す断面図である。
車両のドア開口部構造80は、第1実施の形態のワイヤ受部28に代えてワイヤ受部82を備えたもので、その他の構成は第1実施の形態のドア開口部構造10と同じである。
以下、ワイヤ受部82のうち、上水平部を構成する第2ワイヤ受部83を代表例として説明する。
【0051】
第2ワイヤ受部83は第2凹部84の表面に摩擦部85を有する。摩擦部85は、図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が当接する部位に設けられている。
この摩擦部85は、一例として、表面に凹凸部を形成することで摩擦係数を高めたものを例示するが、これに限定するものではなく、材質を変えるなどの他の手段で摩擦係数を高めることも可能である。
【0052】
図2に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を摩擦部85に押し付けることで第2ワイヤ受部83に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤ16で第2ワイヤ受部83を良好に締め付けることができるので、車体ドア14の「閉まり剛性」をさらに高めることができる。
すなわち、第2実施の形態のドア開口部構造80によれば、第1実施の形態のドア開口部構造10と同様の効果を得ることができる。
【0053】
(第3実施の形態)
第3実施の形態を図10〜図16に基づいて説明する。
図10は本発明に係る車両のドア開口部構造(第3実施の形態)の要部を示す斜視図である。
車両のドア開口部構造100は、車体ドア14の周縁部102に沿ってワイヤ16を配索し、ワイヤ16でドア開口部12の周囲13を締め付けるように構成したもので、その他の構成は第1実施の形態のドア開口部構造10と同じである。
車体ドア14の周縁部102は、車体ドア14を閉じた状態において、周囲13の内壁に沿って形成された略5角形の枠体である、
【0054】
車両のドア開口部構造100によれば、駆動手段21の電動モータ37を正転することで、出力軸38の回転がギヤ群で減速されて巻取ローラ34に伝わる。巻取ローラ34が逆転することで、ワイヤ16を矢印の如く引き込む。
これにより、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位し、ドア開口部12の周囲13に設けられたワイヤ受部103を締め付ける。
【0055】
ドア開口部12の周囲13は、前傾斜部13a、上水平部13b、鉛直部13cおよび下水平部13dの4辺で構成されている。
車体ドア14の周縁部102は、前傾斜部13aに対向する前ドアサッシュ105(図11参照)や、上水平部13bに対向する上ドアサッシュ106(図12参照)を備える。
【0056】
図11は図10の11−11線に相当する部位の断面図、図12は図10の12−12線に相当する部位の断面図であり、車体ドア14でドア開口部12を閉じたドア閉の状態を示す。
図11に示すように、前ドアサッシュ105のうち、フロントピラー107の後部107aに対向する部位にドア側ウェザーストリップ109が取り付けられている。
前ドアサッシュ105は、車体ドア14の周縁部102のうち、前傾斜部を構成する部材である。
【0057】
また、図12に示すように、ドア側ウェザーストリップ109は、上ドアサッシュ106のうち、ルーフサイドレール108の下部108aに対向する部位にも取り付けられている。
上ドアサッシュ106は、車体ドア14の周縁部102のうち、上水平部を構成する部材である。
このドア側ウェザーストリップ109は、前ドアサッシュ105や上ドアサッシュ106と同様に、周縁部102の他の部位にも同様に取り付けられている。
【0058】
ドア側ウェザーストリップ109に中空部109aが形成され、中空部109aにワイヤ16が配索されている。
よって、ワイヤ16は、前ドアサッシュ105や上ドアサッシュ106などの周縁部102にドア側ウェザーストリップ109を介して取り付けられている。
これにより、ワイヤ16は、車体ドア14の周縁部102に沿って配索された状態に保たれている。
【0059】
ここで、ドア側ウェザーストリップ109の中空部109aにワイヤ16を配索することで、ワイヤ16をドア側ウェザーストリップ109で覆うことができる。
よって、ワイヤ16が外部に露出することを防いで外観性を高めることができる。
【0060】
図11に示すように、フロントピラー107の後部107aにおいて、ワイヤ16の近傍に第1ワイヤ支持部111を備える。
後部107aは、ドア開口部12の周囲13のうち、図10に示す前傾斜部13aに相当する部位である。
【0061】
第1ワイヤ支持部111は、後部107aから車体後方に張り出した第1支持片112と、第1支持片112の端部から車体外側に向けて張り出した第1ワイヤ受部113とを有する。
第1ワイヤ受部113は、図10に示すワイヤ受部103のうち、前傾斜部13aに形成された部位である。
【0062】
後部107a、第1支持片112および第1ワイヤ受部113で第1ワイヤ収納空間114(図15(b)参照)が形成されている。
第1ワイヤ収納空間114は、車体ドア14を閉じた状態において、ワイヤ16を収納する空間である。
第1ワイヤ収納空間114にワイヤ16を収納させた状態で、ワイヤ16をドア開口部12の内方に変位させることで、第1ワイヤ受部113をワイヤ16で締め付けることができる。
【0063】
また、図12に示すように、ルーフサイドレール108の下部108aにおいて、ワイヤ16の近傍に第2ワイヤ支持部116を備える。
下部108aは、ドア開口部12の周囲13のうち、上水平部13bに相当する部位である。
【0064】
第2ワイヤ支持部116は、下部108aから下方に張り出した第2支持片117と、第2支持片117の端部から車体外側に向けて張り出した第2ワイヤ受部118とを有する。
第2ワイヤ受部118は、図10に示すワイヤ受部103のうち、上水平部13bに形成された部位である。
【0065】
下部108a、第2支持片117および第2ワイヤ受部118で第2ワイヤ収納空間119(図16参照)が形成されている。
第2ワイヤ収納空間119は、車体ドア14を閉じた状態において、ワイヤ16を収納する空間である。
第2ワイヤ収納空間119にワイヤ16を収納させた状態において、ワイヤ16をドア開口部12の内方に変位させることで、第2ワイヤ受部118をワイヤ16で締め付けることができる。
【0066】
図10に示すように、ワイヤ受部103は、ドア開口部12の周囲13のうち、鉛直部13cおよび下水平部13dにも、第3ワイヤ受部121および第4ワイヤ受部122をそれぞれ備える。
すなわち、ワイヤ受部103は、ドア開口部12の周囲13(前傾斜部13a、上水平部13b、鉛直部13cおよび下水平部13dの4辺)に沿って設けられている。
【0067】
つぎに、第3実施の形態のドア開口部構造100の作用を図13〜図16に基づいて説明する。
まず、車体ドア14をドア開口部12で拘束する例を図13〜図14に基づいて説明する。
【0068】
図13(a),(b)は第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
(a)において、車体ドア14(図1も参照)でドア開口部12が閉じたドア閉の状態に保たれている。
車両走行時の車速が予め設定したしきい値を超えたとき、駆動手段21の電動モータ37を正転させて巻取ローラ34を逆転することで、ワイヤ16を矢印Cの如く引き込む。
【0069】
(b)において、ワイヤ16が引き込まれることで、ワイヤ16がドア開口部12の内方に変位する。
ワイヤ16は、ドア側ウェザーストリップ109を介して第1ワイヤ受部113を矢印F3の如く押圧する。
よって、第1ワイヤ受部113をワイヤ16で締め付けることができる。
【0070】
図14(a),(b)は第3実施の形態に係るドア開口部構造で車体ドアを拘束する例を説明する図である。
(a)において、ワイヤ16が引き込まれてドア開口部12の内方に変位することで、ワイヤ16は、ドア側ウェザーストリップ109を介して第2ワイヤ受部118を矢印F4の如く押圧する。
よって、第2ワイヤ受部118をワイヤ16で締め付けることができる。
【0071】
(b)において、第1、第2のワイヤ受部113,118をワイヤ16で締め付けるとともに、第3、第4のワイヤ受部121,122をワイヤ16で締め付ける。
よって、車体ドア14の周縁部102をワイヤ16を介してドア開口部12に良好に拘束し、いわゆる車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることができる。
これにより、車両走行の際に、車体ドア14に振動やガタなどが発生することを防止することができる。
【0072】
さらに、車体ドア14の周縁部102をドア開口部12に良好に拘束して、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることで、車体ドア14が側面衝突で荷重を受けた場合、車体ドア14の変形を規制することができる。
加えて、車体ドア14の「閉まり剛性」を高めることによって、車体剛性を高めることができるので、走行安定性も向上させることができる。
【0073】
つぎに、ドア開口部12から車体ドア14を開く例を図15〜図16に基づいて説明する。
図15(a),(b)は第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
(a)において、車両走行時の車速が予め設定したしきい値以下になったとき、駆動手段21の電動モータ37を逆転させて巻取ローラ34を正転することで、ワイヤ16の引込み状態を解放する。
ワイヤ16の引込み状態を解放することで、ワイヤ16によるワイヤ受部103の締付け状態を解放する。
【0074】
(b)に示すように、第1ワイヤ受部113(すなわち、ワイヤ受部103の前傾斜部)の締付け状態を解放することで、ワイヤ16が第1ワイヤ受部113から外れる。
【0075】
図16は第3実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
第2ワイヤ受部118(すなわち、ワイヤ受部103の上水平部)の締付け状態を解放することで、ワイヤ16が第2ワイヤ受部118から外れる。
同様に、図10に示すワイヤ受部103のうち、第3ワイヤ受部121および第4ワイヤ受部122からワイヤ16が外側に外れる。
これにより、図15(b)および図16に示すように、車体ドア14をドア開口部12から矢印Dの如く開くことができる。
【0076】
図13〜図16においては、車速がしきい値を超えた場合と、超えない場合とに対応させて車体ドア14を拘束する状態と拘束解除した状態に切り換える例について説明したが、これに加えて、車両が衝突した際に、車体ドア14を拘束解除する状態に切り換えることも可能である。
この場合、車両が衝突した直後は車体ドア14を拘束状態に保ち、その後、車体ドア14を拘束解除状態に切り換える。
【0077】
(第4実施の形態)
図17は本発明に係る車両のドア開口部構造(第4実施の形態)を示す断面図である。
車両のドア開口部構造130は、第3実施の形態のワイヤ受部103に代えてワイヤ受部131を備えたもので、その他の構成は第3実施の形態のドア開口部構造100と同じである。
【0078】
以下、ワイヤ受部131のうち、上水平部を構成する第2ワイヤ受部132を代表例として説明する。第2ワイヤ受部132は、第3実施の形態の第2ワイヤ受部118に代えて用いられた部材である。
この第2ワイヤ受部132は、ワイヤ16に対向する面に凹部133を有する。凹部133は、図10に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が嵌め込まれるように湾曲凹状に形成されている。
【0079】
よって、駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を凹部133に嵌め込ませることで第2ワイヤ受部132に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤ16で第2ワイヤ受部132を一層良好に締め付けることができるので、車体ドアの「閉まり剛性」をさらに高めることができる。
すなわち、第4実施の形態のドア開口部構造130によれば、第3実施の形態のドア開口部構造100と同様の効果を得ることができる。
【0080】
(第5実施の形態)
図18は本発明に係る車両のドア開口部構造(第5実施の形態)を示す断面図である。
車両のドア開口部構造140は、第3実施の形態のワイヤ受部103に代えてワイヤ受部141を備えたもので、その他の構成は第3実施の形態のドア開口部構造100と同じである。
【0081】
以下、ワイヤ受部141のうち、上水平部を構成する第2ワイヤ受部142を代表例として説明する。第2ワイヤ受部142は、第3実施の形態の第2ワイヤ受部118に代えて用いられた部材である。
【0082】
この第2ワイヤ受部142は、ワイヤ16に対向する表面に摩擦部143を有する。摩擦部143は、図10に示す駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際にワイヤ16が当接する部位に設けられている。
摩擦部143は、一例として、表面に凹凸部を形成することで摩擦係数を高めたものを例示するが、これに限定するものではなく、材質を変えるなどの他の手段で摩擦係数を高めることも可能である。
【0083】
駆動手段21でワイヤ16を引き込んだ際に、ワイヤ16を摩擦部143に押し付けることで第2ワイヤ受部142に確実に保持することができる。
これにより、ワイヤ16で第2ワイヤ受部142を一層良好に締め付けることができるので、車体ドア14の「閉まり剛性」をさらに高めることができる。
すなわち、第5実施の形態のドア開口部構造140によれば、第3実施の形態のドア開口部構造100と同様の効果を得ることができる。
【0084】
なお、前記第1実施の形態では、ワイヤ受部28に凹部29を形成した例について説明したが、これに限らないで、ワイヤ受部28に凹部29を形成しないで平坦に形成することも可能である。
【0085】
また、前記実施の形態で例示したドア開口部の周囲13、車体ドアの周縁部27,102、ワイヤ保持ウェザーストリップ46および車体外側ウェザーストリップ75などの形状は適用する車両に応じて適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明の車両のドア開口部構造は、車体のドア開口部に開閉可能に車体ドアを備えた車両への適用に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る車両のドア開口部構造(第1実施の形態)を示す斜視図である。
【図2】図1のドア開口部構造の要部を示す斜視図である。
【図3】図1の3−3線断面図である。
【図4】図1の4−4線断面図である。
【図5】第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
【図6】第1実施の形態に係るドア開口部構造でドア開口部を車体ドアに拘束する例を説明する図である。
【図7】第1実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
【図8】第1実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
【図9】本発明に係る車両のドア開口部構造(第2実施の形態)を示す断面図である。
【図10】本発明に係る車両のドア開口部構造(第3実施の形態)の要部を示す斜視図である。
【図11】図10の11−11線に相当する部位の断面図である。
【図12】図10の12−12線に相当する部位の断面図である。
【図13】第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤを引き込む例を説明する図である。
【図14】第3実施の形態に係るドア開口部構造で車体ドアを拘束する例を説明する図である。
【図15】第3実施の形態に係るドア開口部構造のワイヤ締付状態を解放する例を説明する図である。
【図16】第3実施の形態に係るドア開口部構造の車体ドアを開く例を説明する図である。
【図17】本発明に係る車両のドア開口部構造(第4実施の形態)を示す断面図である。
【図18】本発明に係る車両のドア開口部構造(第5実施の形態)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
10,80,100,130,140…車両のドア開口部構造、11…車体、12…ドア開口部、13…周囲、14…車体ドア、16…ワイヤ、21…駆動手段、27,102…車体ドアの周縁部、28,82,103,131,141…ワイヤ受部、29,133…凹部、46…ワイヤ保持ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)、47,105…前ドアサッシュ(周縁部の一部)、48,113…第1ワイヤ受部(ワイヤ受部の一部)、49…第1凹部(凹部の一部)、64,106…上ドアサッシュ(周縁部の一部)、68,83,118,132,142…第2ワイヤ受部(ワイヤ受部の一部)、69,84…第2凹部(凹部)、75…車体外側ウェザーストリップ(ウェザーストリップ)、85,143…摩擦部、46a,75a…中空部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、
前記ドア開口部の周囲に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、
前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記車体ドアの周縁部に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする車両のドア開口部構造。
【請求項2】
車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、
前記車体ドアの周縁部に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、
前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記ドア開口部の周囲に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする車両のドア開口部構造。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記ドア開口部の周囲に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする請求項1記載の車両のドア開口部構造。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記車体ドアの周縁部に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする請求項2記載の車両のドア開口部構造。
【請求項5】
前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが嵌り込む凹部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両のドア開口部構造。
【請求項6】
前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが当接する摩擦部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両のドア開口部構造。
【請求項1】
車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、
前記ドア開口部の周囲に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、
前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記車体ドアの周縁部に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする車両のドア開口部構造。
【請求項2】
車体にドア開口部が備えられ、前記ドア開口部を開閉可能な車体ドアが備えられた車両のドア開口部構造において、
前記車体ドアの周縁部に沿って配索されるワイヤと、前記ワイヤを引き込む駆動手段と、を有し、
前記車体ドアで前記ドア開口部を閉じたドア閉時において、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際には、前記ワイヤが前記ドア開口部の内方に変位し、前記ドア開口部の周囲に設けられたワイヤ受部を締め付けることを特徴とする車両のドア開口部構造。
【請求項3】
前記ワイヤは、前記ドア開口部の周囲に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする請求項1記載の車両のドア開口部構造。
【請求項4】
前記ワイヤは、前記車体ドアの周縁部に沿って設けられたウェザーストリップの中空部に配索されたことを特徴とする請求項2記載の車両のドア開口部構造。
【請求項5】
前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが嵌り込む凹部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両のドア開口部構造。
【請求項6】
前記ワイヤ受部は、前記駆動手段で前記ワイヤを引き込んだ際に前記ワイヤが当接する摩擦部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両のドア開口部構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−265387(P2008−265387A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−107422(P2007−107422)
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年4月16日(2007.4.16)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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