車両のバッテリ冷却システム
【課題】空調効率を良好に維持しつつ、バッテリを効率的に冷却することができる車両のバッテリ冷却システムを提供する。
【解決手段】空調装置20が作動した状態でバッテリファン48を作動させるとき、外気導入モードが選択されるように空気導入モード切替手段80を制御しながら、所定のバッテリ冷却制御を行う。バッテリ冷却制御では、バッテリ温度検出手段52により検出された温度が所定温度TBAT1以下であるとき、バッテリファン48による排気量VBATが、設定風量Vsetと同じ量又は設定風量Vsetを演算して得られる量からなる基準量Vtar以下となるように、バッテリファン48の動作を制御し、バッテリ温度検出手段52により検出された温度が所定温度TBAT1よりも高いとき、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtarよりも大きくなるように、バッテリファン48の動作を制御する。
【解決手段】空調装置20が作動した状態でバッテリファン48を作動させるとき、外気導入モードが選択されるように空気導入モード切替手段80を制御しながら、所定のバッテリ冷却制御を行う。バッテリ冷却制御では、バッテリ温度検出手段52により検出された温度が所定温度TBAT1以下であるとき、バッテリファン48による排気量VBATが、設定風量Vsetと同じ量又は設定風量Vsetを演算して得られる量からなる基準量Vtar以下となるように、バッテリファン48の動作を制御し、バッテリ温度検出手段52により検出された温度が所定温度TBAT1よりも高いとき、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtarよりも大きくなるように、バッテリファン48の動作を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置を備えた車両のバッテリ冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたバッテリの冷却に関して、空調された車室内空間の空気を利用してバッテリを冷却する技術が提案されている。この技術を採用する場合、バッテリファンの駆動により気流が形成されることで、車室内空間の空気がバッテリ収容部を通って車外へ排出され、これにより、バッテリを冷却できるとともに、バッテリからガスが発生した場合はそのガスを車外に排出できる。
【0003】
ところが、空調装置が内気循環モードに設定されているとき、空調装置を通して外気を導入することができない。そのため、バッテリファンによる排気量と同程度の量の外気が、空調装置を通らずに車体の隙間等から車室内空間に入り込み、これによって空調効率が低下する問題がある。
【0004】
このような問題に鑑みて、特許文献1の技術では、バッテリが所定温度以上になったときやバッテリからガスが発生したときなど、バッテリの冷却が必要なとき、空調装置の設定を強制的に外気導入モードに切り替えるとともにブロアによる空調装置への外気導入量を最大にするように制御することで、空調装置を通した外気の導入を積極的に行うようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−284136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術を用いる場合でも、バッテリファンによる排気量が、空調装置のブロアによる外気導入量を超えると、外気が空調装置を通らずに車室内空間に入り込んでしまうため、やはり空調効率の低下を招くことがある。
【0007】
そこで、本発明は、空調効率を良好に維持しつつ、バッテリを効率的に冷却することができる車両のバッテリ冷却システムを提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備えた車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御しながら、所定のバッテリ冷却制御を行い、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であるとき、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする。
【0009】
本願の第2の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第1の発明において、
前記車両は、前記バッテリからのガス発生の有無を検出するガス検出手段を備え、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であり、且つ、前記ガス検出手段によりガスが発生していないことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、及び/又は、前記ガス検出手段によりガスが発生したことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする。
【0010】
本願の第3の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする。
【0011】
本願の第4の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする。
【0012】
本願の第5の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第3または第4の発明において、
前記車両は、乗員に向かって空調風を吹き出す吹き出し口と、該吹き出し口とは別の吹き出し口を備え、
前記制御手段は、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記別の吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする。
【0013】
本願の第6の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第3または第4の発明において、
前記車両は、車室内の運転席側に配設された運転席側吹き出し口と、車室内の助手席側に配設された助手席側吹き出し口と、助手席の乗員の有無を検知する助手席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記助手席乗員検知手段により助手席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記助手席側吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする。
【0014】
本願の第7の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第3または第4の発明において、
前記車両は、車室内の前席側に配設された前席側吹き出し口と、車室内の後席側に配設された後席側吹き出し口と、後席の乗員の有無を検知する後席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記後席乗員検知手段により後席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記後席側吹き出し口から吹き出るように、前記空調装置を制御する、ことを特徴とする。
【0015】
本願の第8の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第1または第2の発明において、
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする。
【0016】
本願の第9の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本願の第1の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときはバッテリファンを大きな風量で作動させることで、バッテリを確実且つ迅速に冷却することができる。一方、バッテリ温度が所定温度以下であるときは、空調装置の設定風量に対応する基準量以下の風量でバッテリファンを作動させることで、バッテリファンによる排気量が空調装置の外気導入量よりも大きくなることを防止でき、空調装置を経由しない外気の侵入による空調効率の低下を防止しつつ、空調された空気を利用してバッテリを効率的に冷却することができる。
【0018】
本願の第2の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときや、バッテリから一酸化炭素(CO)等の有毒ガスが発生したときは、バッテリファンを大きな風量で作動させることで、バッテリを確実且つ迅速に冷却できるとともに、バッテリから発生したガスを確実且つ迅速に排出できる。一方、バッテリ温度が所定温度以下であり、バッテリからガスが発生していないときは、上記基準量以下の風量でバッテリファンを作動させることで、第1の発明と同様、空調効率を良好に維持しつつ、バッテリを効率的に冷却することができる。
【0019】
本願の第3の発明によれば、第1または第2の発明のバッテリ冷却制御においてバッテリファンによる排気量が上記基準量よりも大きくなるとき、空調装置の外気導入量を設定風量よりも大きな量に増大させることで、空調装置を経由しない外気の侵入を防止できるため、空調効率を良好に維持することができる。
【0020】
本願の第4の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときバッテリ温度に応じた風量でバッテリファンを作動させる場合において、バッテリファンによる排気量が上記基準値よりも大きくなるとき、空調装置の外気導入量を設定風量よりも大きな量に増大させることで、空調効率を良好に維持することができる。
【0021】
本願の第5の発明によれば、第3または第4の発明において空調装置の外気導入量を増大させる場合、その外気導入量の増大分の空調風が、乗員に向かって空調風を吹き出す吹き出し口とは別の吹き出し口から吹き出されるため、乗員に当たる空調風の風量は増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0022】
本願の第6の発明によれば、第3または第4の発明において空調装置の外気導入量を増大させる場合、助手席に乗員がいないときは、外気導入量の増大分の空調風が助手席側吹き出し口から吹き出されるため、乗員に当たる空調風の風量は増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0023】
本願の第7の発明によれば、第3または第4の発明において空調装置の外気導入量を増大させる場合、後席に乗員がいないときは、外気導入量の増大分の空調風が後席側吹き出し口から吹き出されるため、乗員に当たる空調風の風量は増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0024】
本願の第8の発明によれば、第1または第2の発明においてバッテリ冷却制御によりバッテリファンの排気量が上記基準量よりも大きくなるとき、それらの排気量と基準量との差と同量の外気が、車室内空間を経由せずに直接的にバッテリ収容部内に導入されるため、空調装置を経由しない車室内空間への外気の侵入を防止でき、これにより、空調効率を良好に維持できる。また、空調装置の外気導入量を増大させる必要がないため、設定風量通りの風量で空調を行うことができる。
【0025】
本願の第9の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときバッテリ温度に応じた風量でバッテリファンを作動させる場合において、バッテリファンの排気量が上記基準量よりも大きくなるとき、それらの排気量と基準量との差と同量の外気が、車室内空間を経由せずに直接的にバッテリ収容部内に導入されるため、第8の発明と同様、空調効率を良好に維持できる。また、第8の発明と同様、設定風量通りの風量で空調を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0027】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係るバッテリ冷却システムを搭載した自動車2を概略的に示している。自動車2は、駆動源として図示しないエンジンと電動モータを備え、エンジンと電動モータを切り替えて使用するか又は併用して走行する所謂ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)である。ただし、本発明は、ハイブリッド自動車以外の車両にも等しく適用できる。
【0028】
図1に示すように、本実施形態において、バッテリ40は、ボディパネル4に囲まれた車室内空間6において後席12の下側に配設されたバッテリケース42に収容されている。なお、バッテリ40は、例えば上述の電動モータの駆動源として使用される。バッテリケース42の前部には、空気導入部としての内気導入ダクト44が接続されるか又は一体に設けられており、内気導入ダクト44を介して、バッテリケース42内の空間と車室内空間6とが連通している。バッテリケース42の後部には、空気排出部としての排気ダクト46が接続されるか又は一体に設けられている。排気ダクト46はボディパネル4を貫通して設けられており、排気ダクト46を介して、バッテリケース42内の空間と、ボディパネル4の外側の車外空間8とが連通している。例えば排気ダクト46の中間部には、バッテリファン48が設けられている。バッテリファン48が作動すると、車室内空間6からバッテリケース42内の空間を通って車外空間8に排出される気流が形成される。これにより、車室内空間6の空気が内気導入ダクト44を通してバッテリケース42内に導入されるため、空調された車室内空間6の空気を利用してバッテリ40を冷却できる。また、バッテリ40の冷却に利用されたバッテリケース42内の空気、及び/又はバッテリ40から発生したバッテリケース42内のガスは、排気ダクト46を通して車外空間8に排出できる。バッテリ40の例えば側面には、バッテリ40からのガス発生の有無を検出するガスセンサ50と、バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサ52とが取り付けられている。
【0029】
なお、本発明において、バッテリ40の配置は特に限定されず、バッテリ40は、バッテリケース42の内部に車室内空間6の空気を導入可能とする任意の位置に設置することができる。
【0030】
車室内空間6の所定箇所には、車室内空間6の空気の温度を検出する室内温度センサ32が設けられている。また、車外空間8の所定箇所には、車外空間8の空気の温度を検出する外気温度センサ34が設けられている。
【0031】
自動車2の例えば前部には、車室内空間6の空調を行う空調装置20が設けられている。空調装置20は、車外空間8の空気を空調装置20に導入する外気導入モードと、車室内空間6の空気を空調装置20に導入する内気循環モードとの間で切り替え可能となっている。
【0032】
空調装置20は、外気導入モードの際に外気を導入するための外気導入口22と、内気循環モードの際に車室内空間6の空気を導入するための内気導入口24とを備えている。また、空調装置20は、図1において図示された外気導入口22と内気導入口24に加えて、後述のリヤ空調用の外気導入口120と内気導入口124を備えている。
【0033】
空調装置20は、空調装置20内で冷却又は加熱された空気を吹き出すための複数の吹き出し口26,28,30を備えている。具体的に、空調装置20は、車室内の前席側に配設された前席側吹き出し口として、例えば図示しないインストルメントパネルから前席10の乗員の上半身に向かって空気を吹き出すためのベント吹き出し口26と、前席10の乗員の足元に向かって空気を吹き出すためのヒート吹き出し口28と、前部ガラスの下側から上方へガラス面に沿うように空気を吹き出すためのデフロスタ吹き出し口30とを備えている。また、空調装置20は、図1において図示された吹き出し口26,28,30に加えて、後席12の乗員の上半身に向かって空気を吹き出すためのリヤベント吹き出し口62(図3参照)と、後席12の乗員の足元に向かって空気を吹き出すためのリヤヒート吹き出し口64(図2参照)とを備えている。
【0034】
図2と図3を参照しながら、空調装置20のより具体的な構成について説明する。図2は、空調装置20のフロント空調(後述のリヤベント吹き出し口62以外の吹き出し口から空調風を吹き出す空調)の構成要素を示し、図3は、空調装置20のリヤ空調(後述のリヤベント吹き出し口62から空調風を吹き出す空調)の構成要素を示す。
【0035】
図2に示すように、空調装置20は、外気導入口22と内気導入口24が形成されたメインダクト部70を有し、メインダクト部70からベントダクト部72、ヒートダクト部74、及びデフロスタダクト部76が分岐している。
【0036】
外気導入口22と内気導入口24は、互いに隣接してメインダクト部70の一端(図中左端)に設けられており、内外気切り替えダンパ80により選択的に塞がれるようにしてある。内外気切り替えダンパ80により外気導入口22が塞がれた状態においては内気導入口24からメインダクト部70に空気が導入され、内外気切り替えダンパ80により内気導入口24が塞がれた状態においては外気導入口22からメインダクト部70に空気が導入される。すなわち、内外気切り替えダンパ80は、外気導入モードと内気循環モードとの間で空調装置20の設定を切り替える空気導入モード切替手段として機能する。
【0037】
メインダクト部70の内部には、メインダクト部70に空気を導入するフロントブロア90が、外気導入口22及び内気導入口24の近傍に設けられている。フロントブロア90が作動すると、外気導入口22又は内気導入口24からメインダクト部70に空気が導入され、メインダクト部70の一端(図中左端)から他端(図中右端)に向かって流れる空調風が生じる。
【0038】
空調風の流れ方向においてフロントブロア90の下流側には、空調風を冷却するエバポレータ92が設けられ、さらにエバポレータ92の下流側のミキシング室100には、空調風を加熱するヒータコア94が設けられている。ヒータコア94の前方には、ヒータコア94の前面(加熱面)を開閉するミキシングダンパ96が設けられている。図中の実線で示されるようにヒータコア94の前面がミキシングダンパ96により塞がれているとき、メインダクト部70内の空調風はヒータコア94により加熱されることなくミキシング室100を通過する。一方、図中の鎖線で示されるようにミキシングダンパ96が開いた状態、すなわちヒータコア94の前面が開放されているとき、メインダクト部70内の空調風はヒータコア94により加熱されてミキシング室100を通過する。
【0039】
ベントダクト部72は、運転席側に配設された運転席側吹き出し口に導かれる第1のベントダクト部72aと、助手席側に配設された助手席側吹き出し口に導かれる第2のベントダクト部72bとに分岐している。具体的に、第1のベントダクト部72aの中間部と先端とに運転席側のベント吹き出し口26aが設けられ、第2のベントダクト部78bの中間部と先端とに助手席側のベント吹き出し口26bが設けられている。第1及び第2のベントダクト部72a,72bの基端には、それらのベントダクト部72a,72bを開閉可能なベントダンパ82a,82bがそれぞれ設けられており、ベントダンパ82a,82bの開度によって、ミキシング室100からベントダクト部72a,72bに流れ込む空調風の流量、すなわちベント吹き出し口26a,26bからの空気の吹き出し量が調整される。
【0040】
同様に、ヒートダクト部74は、運転席側吹き出し口に導かれる第1のヒートダクト部74aと、助手席側吹き出し口に導かれる第2のヒートダクト部74bとに分岐している。具体的に、第1のヒートダクト部74aの中間部に運転席側のヒート吹き出し口28aが設けられている。さらに、第1のヒートダクト部74bの先端には運転席の後方席のリヤヒート吹き出し口64aが設けられている。同様に、第2のヒートダクト部74bの中間部に助手席側のヒート吹き出し口28bが設けられ、さらに第2のヒートダクト部74bの先端に助手席の後方席のリヤヒート吹き出し口64bが設けられている。第1及び第2のヒートダクト部74a,74bの基端には、それらのヒートダクト部74a,74bを開閉可能なヒートダンパ84a,84bがそれぞれ設けられており、ヒートダンパ84a,84bの開度によって、ミキシング室100からヒートダクト部74a,74bに流れ込む空調風の流量、すなわちヒート吹き出し口28a,28b及びリヤヒート吹き出し口64a,64bからの空気の吹き出し量が調整される。
【0041】
また、デフロスタダクト部76も、運転席側吹き出し口に導かれる第1のデフロスタダクト部76aと、助手席側吹き出し口に導かれる第2のデフロスタダクト部76bとに分岐している。具体的に、第1のデフロスタダクト部76aの中間部と先端に運転席側のデフロスタ吹き出し口26aが設けられ、第2のデフロスタダクト部76bの中間部と先端に助手席側のデフロスタ吹き出し口26bが設けられている。第1及び第2のデフロスタダクト部76a,76bの基端には、それらのデフロスタダクト部76a,76bを開閉可能なデフロスタダンパ86a,86bが設けられており、デフロスタダンパ86a,86bの開度によって、ミキシング室100からデフロスタダクト部76a,76bに流れ込む空調風の流量、すなわちデフロスタ吹き出し口26a,26bからの空気の吹き出し量が調整される。
【0042】
図3に示すように、空調装置20はリヤベントダクト部178を有する。リヤベントダクト部178の一端(図中左端)には、外気導入口120と内気導入口124が互いに隣接して設けられており、空気導入モード切替手段としての内外気切り替えダンパ180により選択的に塞がれるようにしてある。内外気切り替えダンパ180により外気導入口120が塞がれた状態においては内気導入口124からリヤベントダクト部178に空気が導入され、内外気切り替えダンパ180により内気導入口124が塞がれた状態においては外気導入口120からリヤベントダクト部178に空気が導入される。一方、リヤベントダクト部178の他端(図中右下端)にはリヤベント吹き出し口62が設けられている。
【0043】
リヤベントダクト部178の内部には、リヤベントダクト部178に空気を導入するリヤブロア98が、外気導入口120及び内気導入口124の近傍に設けられている。リヤブロア98が作動すると、外気導入口120又は内気導入口124からリヤベントダクト部178に空気が導入され、リヤベントダクト部178の一端(図中左端)から他端(図中右端)に向かって流れる空調風が生じる。空調風の流れ方向においてリヤブロア98の下流側には、空調風を冷却するエバポレータ192が設けられている。リヤベントダクト部178を流れる空調風の流量、すなわちリヤベント吹き出し口62からの空気の吹き出し量は、リヤブロア98の回転速度によって調整可能となっている。
【0044】
図4は、空調装置20とバッテリファン48の動作を制御するための構成を示すブロック図である。図4に示すように、空調装置20とバッテリファン48の動作を制御する制御手段は、空調装置20の動作を制御する空調制御部102と、バッテリファン48の動作を制御するバッテリファン制御部104とを有する。
【0045】
空調制御部102には、外気温度センサ34、室内温度センサ32、乗員が車室内温度を設定するために操作する温度設定操作部106、乗員が空調装置20を操作するための空調スイッチ108、助手席の乗員の有無を検知する助手席乗員検知センサ110、及び後席の乗員の有無を検知する後席乗員検知センサ112が電気的に接続されており、これらのセンサ等32,34,106,108,110,112から送られる信号が空調制御部102により受信されるようにしてある。
【0046】
また、空調制御部102には、内外気切り替えダンパ80を駆動するモータ81、ミキシングダンパ96を駆動するモータ97、ベントダンパ82を駆動するモータ83、ヒートダンパ84を駆動するモータ85、デフロスタダンパ86を駆動するモータ87、及びリヤベントダンパ88を駆動するモータ89が電気的に接続されており、空調制御部102から送られる制御信号により、上記各モータ81,83,85,87,89,91,97の駆動、すなわち、これらのモータにより駆動される各ダンパ80,82,84,86,88,90,96の動作が制御されるようにしてある。
【0047】
さらに、空調制御部102には、フロントブロア90を駆動するブロアモータ91、及び、リヤブロア98を駆動するブロアモータ99が電気的に接続されており、空調制御部102から送られる制御信号により、ブロアモータ91,99の駆動、すなわち、これらのモータ91,99により駆動されるブロア90,98の動作が制御されるようにしてある。後述のバッテリ冷却制御が行われる場合を除いて、フロントブロア90はフロント空調の設定風量Vfsetと同量の空気を導入するように駆動され、リヤブロア98はリヤ空調の設定風量Vrsetと同量の空気を導入するように駆動される。以下の説明において、フロント空調の設定風量Vfsetにリヤ空調の設定風量Vrsetを加えた風量を、空調装置20の設定風量Vsetという。
【0048】
バッテリファン制御部104には、バッテリ温度センサ52とガスセンサ50が電気的に接続されており、これらのセンサ50,52から送られる信号がバッテリファン制御部104により受信されるようにしてある。また、バッテリファン制御部104には、バッテリファン48を駆動するモータ49が電気的に接続されており、バッテリファン制御部104から送られる制御信号により、モータ49の駆動、すなわちバッテリファン48の動作が制御されるようにしてある。バッテリファン48の動作は、バッテリ温度TBATに応じて制御される。バッテリファン48の風量は所定範囲内で制御可能であり、バッテリファン48の最小風量はVBAT2であり、最大風量はVBAT1である。バッテリファン48の最大風量VBAT1は、例えば40℃に上昇したバッテリ40を十分に冷却できる風量であり、空調装置20の設定風量Vsetの最大量よりも大きい量である。バッテリファン48は、原則としてバッテリ温度TBATに応じて予め決められた風量で駆動されるように制御されるが、後述のように所定条件下では異なる態様で制御される。
【0049】
バッテリファン制御部104には、例えば図8に示すようなバッテリ温度TBATとバッテリファン48の風量VBATとの関係に関する所定のマップが予め記憶されている。図8に示すマップに基づいてバッテリファン48の駆動が制御される場合、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1よりも高いときは、最大風量VBAT1でバッテリファン48が駆動され、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2よりも高く第1の温度TBAT1以下である範囲内であるときは、バッテリ温度が高いときほど大きくなる風量VBAT(最小風量VBAT2〜最大風量VBAT1)でバッテリファン48が駆動され、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2以下のときはバッテリファン48が駆動されない。
【0050】
空調制御部102とバッテリファン制御部104は電気的に接続されており、空調制御部102とバッテリファン制御部104との間で信号の送受信が可能となっている。
【0051】
かかる制御システムを用いた制御の具体例を、図5〜図9を参照しながら説明する。
【0052】
〈バッテリファンの制御〉
先ず、図5を参照しながら、バッテリファン制御部104により行われるバッテリファン48の制御の処理の流れについて説明する。
【0053】
図5に示すように、先ずステップS11〜ステップS13では、バッテリ温度センサ52により検出された温度TBAT、ガスセンサ50により検出されたガス発生の有無、及び、空調制御部102から送信された空調装置20の設定風量Vsetの情報が読み込まれる。
【0054】
続くステップS14では、ステップS12で読み込まれた情報に基づき、バッテリ40からガスが発生しているか否かが判断される。ステップS14において、ガスが発生していないと判断されるとステップS15に進み、ガスが発生していると判断されるとステップS19に進んで後述のようにバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0055】
ただし、本発明において、ガスの発生検知に関する処理(ステップS12及びステップS14の処理)は省略することも可能である。
【0056】
ステップS15では、ステップS11で読み込まれたバッテリ温度TBATが、予め設定された第1の温度TBAT1よりも高いか否かが判断される。第1の温度TBAT1は、バッテリ40を冷却するためにバッテリファン48を最大風量VBAT1で駆動する必要があるバッテリ40の温度の下限値であり、具体的には例えば40℃に設定される。
【0057】
ステップS15において、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1以下であると判断されるとステップS16に進み、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1よりも高いと判断されるとステップS19に進んで後述のようにバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0058】
ステップS16では、ステップS11で読み込まれたバッテリ温度TBATが、予め設定された第2の温度TBAT2よりも高いか否かが判断される。第2の温度TBAT2は、冷却が不要なバッテリ40の温度の上限値であり、具体的には例えば35℃に設定される。
【0059】
ステップS16において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2以下であると判断されると、バッテリ40の冷却が必要でないためステップS20に進んで、バッテリファン48が停止される。一方、ステップS16において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2よりも高いと判断されるとステップS17に進む。
【0060】
ステップS17では、空調制御部102から送られる信号に基づき、空調装置20がオンになっているか否かが判断される。ステップS17において、空調装置20がオンになっていると判断されるとステップS18に進み、空調装置20がオフになっていると判断されるとステップS21に進んで、例えば図8に示すマップに基づきバッテリ温度TBATに応じた風量でバッテリファン48が駆動される。
【0061】
ステップS18では、空調装置20の設定風量Vsetと同じ量からなる基準量Vtarでバッテリファン48が駆動される。すなわち、バッテリファン48による排気量が設定風量Vsetと同じ量になる。ところで、ステップS18の処理が行われる際、空調装置20がオンである状態でバッテリファン48が作動するため、後述の空調装置20の制御により、空調装置20の空気導入モードが外気導入モードに設定される。外気導入モードの際、設定風量Vsetと同じ量の外気が空調装置20を通して車室内空間6に導入されるため、空調装置20による外気導入量とバッテリファン48による排気量とが等しくなる。よって、外気が空調装置20を通らずに車体の隙間等から車室内空間6に入り込むことを防止でき、空調効率を高めることができる。
【0062】
なお、本発明において、バッテリファン48の基準量Vtarは、必ずしも空調装置20の設定風量Vsetと同じ量である必要はなく、空調装置20が設定風量Vsetで作動しているときに外気が空調装置20を通らずに車室内空間6に入り込むことを防止できるような排気量に設定すればよい。具体的に、基準量Vtarは、例えば設定風量Vsetに所定値を加算して得られる量など、設定風量Vsetに所定の演算を行って得られる量であってもよい。また、ステップS18において、上記の処理(バッテリファン48の風量を基準量Vtarに設定する処理)に代えて、バッテリファン48の風量を基準量Vtarよりも小さい量に設定する処理を行うようにしてもよい。
【0063】
ステップS19では、バッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。これにより、バッテリ40を確実且つ迅速に冷却できるとともに、バッテリ40からガスが発生している場合はそのガスを確実且つ迅速に車外へ排出できる。上述したように、バッテリファン48の最大風量VBAT1は、空調装置20の設定風量Vsetの最大量よりも大きいため、ステップS19の処理により、バッテリファン48による排気量が、空調装置20の設定風量Vsetよりも大きくなる。しかし、このとき、後述のようにブロア90,98が例外的に制御されることにより(図7参照)、ブロア90,98による外気導入量Vc(フロントブロア90による外気導入量Vfcに、リヤブロア98による外気導入量Vrcを加えた量)が、設定風量Vsetよりも大きな量になるように増大されるため、外気が空調装置20を通らずに車室内空間6に入り込むことを防止できる。
【0064】
〈空調装置の制御〉
次に、図6を参照しながら、空調制御部102により行われる空調装置20の制御の処理の流れについて説明する。図6に示す制御は、空調装置20がオンになっていると判断されたときに実行される。
【0065】
図6に示すように、先ずステップS31〜ステップS36では、種々の情報が読み込まれる。具体的には、外気温度センサ34により検出された温度Ta(ステップS31)、室内温度センサ32により検出された温度Tr(ステップS32)、温度設定操作部106の操作により設定された温度Tset(ステップS33)、外気温度Ta、室内温度Tr及び設定温度Tsetに基づき算出されるか又は乗員の操作により設定される設定風量Vset(ステップS34)、助手席乗員検知センサ110及び/又は後席乗員検知センサ112により検知された助手席及び/又は後席の乗員の有無(ステップS35)、及び、上述のように制御されたバッテリファン48の風量VBAT(ステップS36)が読み込まれる。ただし、第1の実施形態において、ステップS35の処理は省略可能である。
【0066】
続いて、ステップS37〜ステップS40では、種々の演算が行われる。具体的には、設定温度Tsetと設定風量Vsetに基づき吹き出し温度が演算され(ステップS37)、ブロア90,98を駆動するブロアモータ91,99に印加されるブロア電圧が後述の制御(図7参照)により演算され(ステップS38)、後述の制御(図9参照)により吹き出しモード(ベントモード、ヒートモード、又はデフロスタモード等)が演算され(ステップS39)、乗員の操作又はステップS36で読み込まれた情報(バッテリファン48の作動の有無)に基づき空気導入モードが演算される(ステップS40)。
【0067】
ステップS40では、バッテリファン48が作動している場合、外気導入モードが選択される。これにより、空調装置20が作動している場合、空調装置20が外気導入モードに設定された状態で、上述のバッテリ冷却制御(図5のステップS18及びステップS19の制御)が行われるようにしてある。
【0068】
続くステップS41〜ステップS45では、ステップS37〜ステップS40の演算の結果に基づき、種々の出力が行われる。具体的には、エバポレータ92の駆動が制御され(ステップS41)、ミキシングダンパ96の開度が調整され(ステップS42)、ブロア90,98の駆動が制御され(ステップS43)、吹き出し量を調整する各ダンパ82,84,86,88の開度が調整され(ステップS44)、内外気切り替えダンパ80,180が必要に応じて駆動される(ステップS45)。
【0069】
ステップS40においてバッテリファン48の作動の情報に基づき外気導入モードが選択された場合、ステップS45では、外気導入モードとなるように内外気切り替えダンパ80,180の駆動が制御される。
【0070】
〈ブロアの制御〉
続いて、図7を参照しながら、空調制御部102により行われる空調装置20のブロア90,98の制御(図6のステップS38の制御)の処理の流れについて説明する。
【0071】
図7に示すように、先ずステップS51では、上述のように制御されたバッテリファン48による排気量VBATが、上述の基準量Vtar(本実施形態では、図6のステップS34で読み込まれた空調装置20の設定風量Vsetと同じ量)よりも大きいか否かが判断される。
【0072】
ステップS51において、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されると、ステップS52に進む。
【0073】
ステップS52では、ブロア90,98による外気導入量Vcが設定風量Vsetよりも大きな量に増大するようにブロア電圧が演算されて、図6に示す空調装置20の制御フローに戻る。具体的に、ステップS52では、外気導入量Vcがバッテリファン48による排気量VBATと同じ量になるようにブロア電圧が演算される。このようにして、ブロア90,98による外気導入量Vcとバッテリファン48による排気量VBATとが同量になるように制御することで、図5のステップS19のバッテリ冷却制御によりバッテリファン48の風量VBATが増大したときでも、外気が空調装置20を通らずに車室内空間6に入り込むことを防止でき、空調効率を良好に維持することができる。
【0074】
ただし、ステップS52の処理は、外気導入量Vcを、必ずしも排気量VBATと同じ量になるように増大させる必要はなく、排気量VBATに所定の演算を行って得られる量になるように増大させるようにしてもよい。
【0075】
一方、ステップS51において、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtar以下であると判断された場合、ブロア90,98による外気導入量Vcを増大させる補正を行う必要がない。そのため、ステップS53に進んで、外気導入量Vcが設定風量Vsetになるようにブロア電圧が演算されて、図6に示す空調装置20の制御フローに戻る。
【0076】
[第2の実施形態]
図9を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、空調装置20の吹き出しモードが空調制御部102により後述のように制御されることで、バッテリ冷却制御に伴うブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たることを回避できる。以下、具体的に説明する。
【0077】
図7に示すブロア90,98の制御(図6のステップS38の制御)において、ステップS52の処理を行うと、上述のようにブロア90,98による外気導入量(ブロア風量)Vcが増大する。ただし、このとき、第2の実施形態では、フロントブロア90による外気導入量(フロントブロア風量Vfc)のみが増大するように制御されるものとする。
【0078】
外気導入量Vcの増大に伴い、各吹き出し口26,28,30,64からの空調風の吹き出し量が一律に増大すると、吹き出し量が増大した空調風が乗員に当たり、乗員に違和感や不快感を与える懸念がある。このような観点から、本実施形態では、バッテリ冷却制御に伴うブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たらないように、吹き出しモードの制御が次のように行われる。
【0079】
〈吹き出しモードの制御〉
図9を参照しながら、空調装置20の吹き出しモードの制御(図6のステップS39の制御)の処理の流れについて説明する。
【0080】
図9に示すように、先ずステップS61では、図6のステップS33で読み込まれた設定温度Tsetが、予め設定された温度TC1よりも高いか否かが判断される。
【0081】
ステップS61において、設定温度Tsetが温度TC1よりも高いと判断されると、ステップS65に進んで、ヒートモード(空調風をヒート吹き出し口28のみから吹き出させるモード)が選択されて、図6の制御フローに戻る。
【0082】
一方、ステップS61において、設定温度Tsetが温度TC1以下であると判断されると、ステップS62に進んで、設定温度Tsetが、予め設定された温度TC2よりも高いか否かが判断される。ステップS62において、設定温度Tsetが温度TC2よりも高いと判断されるとステップS66に進み、設定温度Tsetが温度TC2よりも以下であると判断されるとステップS63に進む。
【0083】
ステップS63では、図7の制御(図6の制御のステップS38の処理)によりブロア風量Vcが増大するように制御されたか否かが判断される。
【0084】
ステップS63において、ブロア風量Vcが増大しないと判断されるとステップS69に進んで、通常のベントモード(空調風をベント吹き出し口26のみから吹き出させるモード)が選択されて、図6の制御フローに戻る。
【0085】
一方、ステップS63において、ブロア風量Vcが増大すると判断されるとステップS64に進んで、特別ベントモードが選択されて、図6の制御フローに戻る。ここでいう「特別ベントモード」とは、通常のベントモードと同じ量の空調風をベント吹き出し口26から吹き出させ、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風をデフロスタ吹き出し口30から吹き出させるモードを指す。ステップS64では、特別ベントモードが選択されることにより、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るため、乗員の上半身に当たる空調風の風量が増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0086】
ただし、ステップS64の特別ベントモードでは、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るようにしてあるが、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の一部又は全部の空調風を、ヒート吹き出し口28から吹き出
させるようにしてもよい。
【0087】
ステップS66では、ステップS63と同様、図7の制御(図6の制御のステップS38の処理)によりブロア風量Vcが増大するように制御されたか否かが判断される。
【0088】
ステップS66において、ブロア風量Vcが増大しないと判断されるとステップS68に進んで、通常のバイレベルモード(空調風をベント吹き出し口26とヒート吹き出し口28から吹き出させるモード)が選択されて、図6の制御フローに戻る。
【0089】
一方、ステップS66において、ブロア風量Vcが増大すると判断されるとステップS67に進んで、特別バイレベルモードが選択されて、図6の制御フローに戻る。ここでいう「特別バイレベルモード」とは、通常のバイレベルモードと同じ量の空調風をベント吹き出し口26とヒート吹き出し口28とから吹き出させ、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風をデフロスタ吹き出し口30から吹き出させるモードを指す。ステップS67では、特別バイレベルモードが選択されることにより、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るため、乗員の上半身と足元に当たる空調風の風量が増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0090】
ただし、ステップS67の特別バイレベルモードでは、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るようにしてあるが、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の一部又は全部の空調風を、ヒート吹き出し口28から吹き出る空調風に上乗せするようにしてもよい。この場合でも、乗員の上半身に当たる空調風は増大しないため、乗員に与える違和感や不快感を抑制できる。
【0091】
なお、吹き出しモードとしては、上述したモード以外にも種々のモード(空調風をデフロスタ吹き出し口30のみから吹き出させるモード等)が考えられるため、図9に示す制御フローには、上述したモード以外のモードを選択するための処理を適宜加えるようにしてもよい。また、第2の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0092】
[第3の実施形態]
図10を参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、バッテリ冷却制御に伴いブロア風量Vcが増大する場合において、ブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たらないようにするための構成が第2の実施形態と異なっている。
【0093】
第3の実施形態では、基本的には第1及び第2の実施形態と同様の制御が行われるが、空調装置20の吹き出しモードを演算する処理(図6の制御のステップS39の処理)の構成が第1及び第2の実施形態と異なる。第3の実施形態では、外気温度Ta、室内温度Tr及び設定温度Tsetに基づき吹き出しモードが選択され、ベントモードが選択される場合、これに続いて、図10に示すベントモード補正制御が行われる。
【0094】
〈ベントモード補正制御〉
図10を参照しながら、ベントモード補正制御の処理の流れについて説明する。
【0095】
図10に示すように、先ずステップS71では、運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとの間で吹き出し量差が設定されているか否かが判断される。
【0096】
ステップS71において、運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとの間で吹き出し量差が設定されていると判断されると、ステップS76に進んで、設定された吹き出し量差となるようにベントダンパ82a,82bの開度が調整されるようにベントモードが補正されて、図6の制御フローに戻る。
【0097】
ステップS71において、運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとの間で吹き出し量差が設定されていないと判断されると、ステップS72に進んで、図7の制御(図6の制御のステップS38の処理)によりブロア風量Vcが増大するように制御されたか否かが判断される。
【0098】
ステップS72において、ブロア風量Vcが増大しないと判断されるとステップS75に進んで、補正されることなく通常のベントモード(設定風量Vfsetの空調風が均等に分散されて運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとから吹き出るモード)が選択され、ステップS72において、ブロア風量Vcが増大すると判断されるとステップS73に進む。
【0099】
ステップS73では、図6のステップS35において読み込まれた情報に基づき、助手席の乗員の有無が判断される。
【0100】
ステップS73において、助手席に乗員がいると判断されるとステップS75に進んで、補正されることなく通常のベントモードが選択され、ステップS73において、助手席に乗員がいないと判断されるとステップS74に進む。
【0101】
ステップS74では、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風が、助手席側のベント吹き出し口26bから吹き出る空調風に上乗せされるようにベントモードが補正されて、図6の制御フローに戻る。このように乗員のいない助手席側においてのみ空調風が増大するようにベントモードを補正することで、ブロア風量Vcの増大により乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0102】
[第4の実施形態]
図11と図12を参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、バッテリ冷却制御に伴いブロア風量Vcを増大させる構成、及び、ブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たらないようにするための構成が第1及び第2の実施形態と異なっている。
【0103】
第4の実施形態では、バッテリファン48の制御(図5参照)、及び空調装置20の制御(図6参照)は、基本的には第1の実施形態と同様に行われるが、空調装置20のブロア電圧を演算する処理(図6の制御のステップS38の処理)の構成が第1の実施形態と異なる。具体的に、第1の実施形態では、図7のフローチャートに示す流れでブロア電圧が演算されるが、第4の実施形態では、フロントブロア90のブロア電圧が、図12のフローチャートで示す流れで演算され、リヤブロア98のブロア電圧が、図11のフローチャートで示す流れで演算される。
【0104】
〈リヤブロアの制御〉
先ず、図11を参照しながら、リヤブロア98のブロア電圧を演算する処理の流れについて説明する。
【0105】
図11に示すように、先ずステップS81では、リヤ空調(リヤベント吹き出し口62から空調風を吹き出す空調)がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS81において、リヤ空調がオンに設定されていると判断されるとステップS86に進み、リヤ空調がオフに設定されていると判断されるとステップS82に進む。
【0106】
ステップS82では、フロント空調(リヤベント吹き出し口62以外の吹き出し口から空調風を吹き出す空調)がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS82において、フロント空調がオンに設定されていると判断されるとステップS83に進み、フロント空調がオフに設定されていると判断されると図6の制御フローに戻る。
【0107】
ステップS83では、図6のステップS35で読み込まれた情報に基づき、後席の乗員の有無が判断される。ステップS83において、後席に乗員がいないと判断されるとステップS84に進み、後席に乗員がいると判断されると図6の制御フローに戻る。
【0108】
ステップS84では、図6のステップS36で読み込まれたバッテリファン48の風量VBATが上述の基準量Vtar(本実施形態では、図6のステップS34で読み込まれた空調装置20の設定風量Vsetと同じ量)よりも大きいか否かが判断される。ステップS84において、バッテリ風量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されるとステップS85に進み、バッテリ風量VBATが基準量Vtar以下であると判断されるとステップS87に進む。
【0109】
ステップS85では、バッテリ冷却制御に伴い必要となる外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の空調風がリヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。これにより、リヤ空調がオフに設定されているにも拘わらず、増大分の空調風が、乗員がいない後席側に吹き出されるため、前席の乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0110】
ステップS86では、ステップS84と同様、図6のステップS36で読み込まれたバッテリファン48の風量VBATが基準量Vtarよりも大きいか否かが判断される。ステップS86において、バッテリ風量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されるとステップS88に進み、バッテリ風量VBATが基準量Vtar以下であると判断されるとステップS87に進む。
【0111】
ステップS87では、空調装置20による外気導入量を増大させる必要がないため、要求された風量の空調風がリヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。
【0112】
ステップS88では、フロント空調がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS88において、フロント空調がオンに設定されていると判断されるとステップS90に進み、フロント空調がオフに設定されていると判断されるとステップS89に進む。
【0113】
ステップS89では、バッテリ冷却制御に伴い必要となる外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、リヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。
【0114】
ステップS90では、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の半分が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、リヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の残りの半分は、後述のようにフロント空調の要求風量に加算され、これにより得られる量の空調風がフロント空調に利用される。
【0115】
〈フロントブロアの制御〉
次に、図12を参照しながら、フロントブロア90のブロア電圧を演算する処理の流れについて説明する。
【0116】
図12に示すように、先ずステップS91では、図6のステップS36で読み込まれたバッテリファン48の風量VBATが基準量Vtarよりも大きいか否かが判断される。ステップS91において、バッテリ風量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されるとステップS92に進み、バッテリ風量VBATが基準量Vtar以下であると判断されるとステップS94に進む。
【0117】
ステップS92では、リヤ空調がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS92において、リヤ空調がオンに設定されていると判断されるとステップS96に進み、リヤ空調がオフに設定されていると判断されるとステップS93に進む。
【0118】
ステップS93では、図6のステップS35で読み込まれた情報に基づき、後席の乗員の有無が判断される。ステップS93において、後席に乗員がいないと判断されるとステップS94に進み、後席に乗員がいると判断されるとステップS95に進む。
【0119】
ステップS94では、要求された風量の空調風がフロント空調の吹き出し口から吹き出されるように、フロントブロア90のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。このとき、バッテリ冷却制御に伴い外気導入量を増大させる必要がある場合、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の空調風はリヤベント吹き出し口62から吹き出される。
【0120】
ステップS95では、バッテリ冷却制御に伴い必要となる外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、フロント空調の吹き出し口から吹き出されるように、フロントブロア90のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。
【0121】
ステップS96では、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の半分が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、フロント空調の吹き出し口から吹き出されるように、フロントブロア90のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の残りの半分は、上述のようにリヤ空調の要求風量に加算され、これにより得られる量の空調風がリヤ空調に利用される。
【0122】
なお、フロント空調とリヤ空調がいずれもオンに設定されているとき、第4の実施形態では、後席の乗員の有無に関わらず、フロント空調の空調風とリヤ空調の空調風を、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の半分ずつ増大させるようにしてあるが、後席に乗員がいないときは、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の全部がリヤ空調の吹き出し口から吹き出るようにしてもよい。
【0123】
[第5の実施形態]
図13を参照しながら、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、第1〜第4の実施形態と異なり、空調装置20の風量に関係なくバッテリファン48が制御される。
【0124】
〈バッテリファンの制御〉
第5の実施形態に係るバッテリファン48の制御の処理の流れについて説明する。第1〜第4の実施形態と同様、バッテリファン48は、バッテリファン制御部104により制御される。
【0125】
図13に示すように、先ずステップS101では、バッテリ温度センサ52により検出された温度TBATが読み込まれ、次のステップS102で、ガスセンサ50により検出されたガス発生の有無が読み込まれる。第5の実施形態では、空調装置20の風量に関係なくバッテリファン48が制御されるため、空調装置20の設定風量Vsetを読み込む処理を省略できる。
【0126】
続くステップS103では、ステップS102で読み込まれた情報に基づき、バッテリ40からガスが発生しているか否かが判断される。ステップS103において、ガスが発生していないと判断されるとステップS104に進み、ガスが発生していると判断されるとステップS107に進んでバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0127】
ただし、本発明において、ガスの発生検知に関する処理(ステップS102及びステップS103の処理)は省略することも可能である。
【0128】
ステップS104では、ステップS101で読み込まれたバッテリ温度TBATが、上述の第1の温度TBAT1(例えば40℃)よりも高いか否かが判断される。
【0129】
ステップS104において、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1以下であると判断されるとステップS105に進み、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1よりも高いと判断されるとステップS107に進んでバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0130】
ステップS105では、ステップS101で読み込まれたバッテリ温度TBATが、上述の第2の温度TBAT2(例えば35℃)よりも高いか否かが判断される。
【0131】
ステップS105において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2以下であると判断されると、バッテリ40の冷却が必要でないためステップS108に進んで、バッテリファン48が停止される。
【0132】
一方、ステップS105において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2よりも高いと判断されると、空調装置20がオンであるか否かの判定を行わずにステップS106に進んで、例えば図8に示すマップに基づきバッテリ温度TBATに応じた風量でバッテリファン48が駆動される。
【0133】
このように、第5の実施形態では、バッテリ40の温度が第2の温度TBAT2(例えば35℃)よりも高いとき、空調装置20がオンであるか否かに関わらず、バッテリファン48による排気量がバッテリ40の温度に応じた量となるようにバッテリファン48の動作が制御され(ステップS106)、この点で第1〜第4の実施形態と異なる。
【0134】
そのため、仮に空調装置20を常に設定風量Vsetで作動させると、ステップS106の処理を行うことによりバッテリファン48による排気量VBATが空調装置20の外気導入量Vcよりも大きくなることがある。また、ステップS107においてバッテリファン48を最大風量VBAT1で駆動させる場合も同様である。バッテリファン48による排気量VBATが空調装置20の外気導入量Vcよりも大きくなると、空調効率が低下する懸念がある。そのため、第5の実施形態においても、第1〜第4の実施形態と同様、空調装置20が作動した状態でバッテリファン48が作動するとき、空調装置20の空気導入モードが外気導入モードに選択され、バッテリファンによる排気量VBATが上述の基準量Vtarよりも大きくなると、空調装置20の外気導入量Vcが設定風量Vsetよりも大きな量に増大するように制御される。また、この場合、外気導入量の増大分(Vc―Vset)の空調風が乗員に直接当たらないように空調装置20が制御され、これにより乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0135】
第5の実施形態において、空調装置20の外気導入量Vcを増大させるための具体的な構成、及び外気導入量の増大分(Vc―Vset)の空調風が乗員に直接当たらないようにするための具体的な構成としては、種々の構成を採用することができる。例えば、第2の実施形態と同様、図9に示す流れで吹き出しモードを制御することで外気導入量の増大分(Vc−Vset)の空調風を所定の吹き出し口から吹き出すようにしたり、第3の実施形態と同様、図10に示す流れでベントモード補正制御を行うことで、助手席に乗員がいない場合には外気導入量の増大分(Vc−Vset)の空調風を助手席側の吹き出し口から吹き出すようにしたり、第4の実施形態と同様、図11と図12に示す流れでブロア90,98を制御することで、後席に乗員がいない場合には外気導入量の増大分の空調風を後席側の吹き出し口から吹き出すようにしたりすることができる。
【0136】
[第6の実施形態]
図14と図15を参照しながら、本発明の第6の実施形態について説明する。バッテリ冷却制御に伴いバッテリファン48による排気量VBATが空調装置20の外気導入量Vcよりも大きくなったとき、第1〜第5の実施形態では、空調装置20の外気導入量Vcを増大させることで空調効率の低下を防止されるが、第6の実施形態は、空調装置20の外気導入量Vcを増大させなくても空調効率を良好に維持できる構成となっている。以下、第6の実施形態について具体的に説明する。
【0137】
図14に示すように、第6の実施形態では、車室内空間6を経由せずに直接的に外気をバッテリケース42内に導入するための外気導入部として、外気導入ダクト220が設けられている。具体的に、外気導入ダクト220は、バッテリケース42内の空間と車室内空間6とを連通する内気導入ダクト44から分岐して設けられている。外気導入ダクト220はボディパネル4を貫通して設けられ、外気導入ダクト220の先端が車外空間8に配置されている。これにより、車外空間8とバッテリケース42内の空間とが外気導入ダクト220を介して連通するようにしてある。内気導入ダクト44と外気導入ダクト220との合流部には、導入量調整手段としての調整ダンパ222が設けられている。
【0138】
調整ダンパ222を駆動する図示しないモータは、バッテリファン制御部104に電気的に接続されており、調整ダンパ222の開度が、バッテリファン制御部104により制御されるようにしてある。これにより、バッテリファン制御部104は、調整ダンパ222の開度を制御することで、外気導入ダクト220を介してバッテリケース42内の空間に導入される外気量を調整可能となっている。
【0139】
〈バッテリファンの制御〉
第6の実施形態において、バッテリファン48は、第1の実施形態のように空調装置20の設定風量(空調風量)Vcに応じた風量で駆動されるように制御してもよいし(図5参照)、第5の実施形態のように空調風量Vcに関係なく駆動されるように制御してもよい(図13参照)。
【0140】
〈調整ダンパの制御〉
次に、図15を参照しながら、調整ダンパ222の制御の処理の流れについて説明する。
【0141】
図15に示すように、先ずステップS121〜ステップS124では、外気温度センサ34により検出された温度Ta、室内温度センサ32により検出された温度Tr、空調制御部102から送信された空調装置20の設定風量Vsetの情報、及びバッテリファン48の風量VBATが読み込まれる。
【0142】
続くステップS125では、ステップS122で読み込まれた室内温度Trが、ステップS121で読み込まれた外気温度Taよりも低いか否かが判断される。ステップS125において、室内温度Trが外気温度Ta以上であると判断されるとステップS129に進み、室内温度Trが外気温度Taよりも低いと判断されるとステップS126に進む。
【0143】
ステップS129では、車外空間8の外気のみがバッテリケース42内の空間に導入されるように調整ダンパ222の開度が調整される。これにより、車室内空間の空気よりも低温である外気を利用して、バッテリ40を効率的に冷却することができる。
【0144】
ステップS126では、バッテリファンの風量VBATが、ステップS123で読み込まれた空調風量Vcに基づき算出された上述の基準量Vtar(本実施形態では空調風量Vcと同じ量)よりも大きいか否かが判断される。ステップS126において、バッテリファンの風量VBATが空調風量Vc以下であると判断されるとステップS128に進み、バッテリファンの風量VBATが空調風量Vcよりも大きいと判断されるとステップS127に進む。
【0145】
ステップS128では、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtar以下であり、バッテリケース42内への外気導入量を増大させる必要がないため、車室内空間6の空気のみがバッテリケース42内の空間に導入されるように調整ダンパ222の開度が調整される。
【0146】
ステップS127では、排気量VBATと基準量Vtarとの差(VBAT−Vtar)と同量の外気が外気導入ダクト220を通してバッテリケース42内に導入されるように、調整ダンパ222の開度が調整される。これにより、空調風量Vcを増大させなくても、バッテリケース42内への外気導入量を排気量VBATに応じて増大させることができる。よって、外気が空調装置20を通らずに車体の隙間等から車室内空間6に入り込むことを防止でき、空調効率を良好に維持することができる。
【0147】
ただし、本発明において、外気導入部及び導入量調整手段は上記構成に限定されるものではない。例えば、第6の実施形態では、外気導入部220が内気導入ダクト44から分岐して設けられているが、外気導入部は、バッテリケース42から直接延びるように設けてもよい。
【0148】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明に係るバッテリ冷却システムを搭載した自動車を示す概略図である。
【図2】空調装置のフロント空調部分の構成を示す断面図である。
【図3】空調装置のリヤ空調部分の構成を示す断面図である。
【図4】空調装置とバッテリファンを制御するための構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係るバッテリファンの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】空調装置の制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】空調装置のブロアの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】バッテリ温度に応じてバッテリファンの風量を設定するためのマップの具体例である。
【図9】第2の実施形態に係る吹き出しモードの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係るベントモード補正制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第4の実施形態に係るリヤブロアの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係るフロントブロアの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第5の実施形態に係るバッテリファンの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第6の実施形態に係る自動車の構造を示す概略図である。
【図15】第6の実施形態に係る調整ダンパの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0150】
2:自動車、4:ボディパネル、6:車室内空間、8:車外空間、10:前席、12:後席、20:空調装置、22:外気導入口、24:内気導入口、26:ベント吹き出し口、28:ヒート吹き出し口、30:デフロスタ吹き出し口、32:室内温度センサ、34:外気温度センサ、40:バッテリ、42:バッテリケース、44。内気導入ダクト、46:排気ダクト、48:バッテリファン、50:ガスセンサ、52:バッテリ温度センサ、62:リヤベント吹き出し口、64:リヤヒート吹き出し口、80:内外気切り替えダンパ、90:フロントブロア、98:リヤブロア、102:空調制御部、104:バッテリファン制御部、110:助手席乗員検知センサ、112:後席乗員検知センサ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、空調装置を備えた車両のバッテリ冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載されたバッテリの冷却に関して、空調された車室内空間の空気を利用してバッテリを冷却する技術が提案されている。この技術を採用する場合、バッテリファンの駆動により気流が形成されることで、車室内空間の空気がバッテリ収容部を通って車外へ排出され、これにより、バッテリを冷却できるとともに、バッテリからガスが発生した場合はそのガスを車外に排出できる。
【0003】
ところが、空調装置が内気循環モードに設定されているとき、空調装置を通して外気を導入することができない。そのため、バッテリファンによる排気量と同程度の量の外気が、空調装置を通らずに車体の隙間等から車室内空間に入り込み、これによって空調効率が低下する問題がある。
【0004】
このような問題に鑑みて、特許文献1の技術では、バッテリが所定温度以上になったときやバッテリからガスが発生したときなど、バッテリの冷却が必要なとき、空調装置の設定を強制的に外気導入モードに切り替えるとともにブロアによる空調装置への外気導入量を最大にするように制御することで、空調装置を通した外気の導入を積極的に行うようにしている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−284136号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1の技術を用いる場合でも、バッテリファンによる排気量が、空調装置のブロアによる外気導入量を超えると、外気が空調装置を通らずに車室内空間に入り込んでしまうため、やはり空調効率の低下を招くことがある。
【0007】
そこで、本発明は、空調効率を良好に維持しつつ、バッテリを効率的に冷却することができる車両のバッテリ冷却システムを提供することを、基本的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備えた車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御しながら、所定のバッテリ冷却制御を行い、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であるとき、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする。
【0009】
本願の第2の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第1の発明において、
前記車両は、前記バッテリからのガス発生の有無を検出するガス検出手段を備え、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であり、且つ、前記ガス検出手段によりガスが発生していないことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、及び/又は、前記ガス検出手段によりガスが発生したことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする。
【0010】
本願の第3の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第1または第2の発明において、
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする。
【0011】
本願の第4の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする。
【0012】
本願の第5の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第3または第4の発明において、
前記車両は、乗員に向かって空調風を吹き出す吹き出し口と、該吹き出し口とは別の吹き出し口を備え、
前記制御手段は、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記別の吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする。
【0013】
本願の第6の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第3または第4の発明において、
前記車両は、車室内の運転席側に配設された運転席側吹き出し口と、車室内の助手席側に配設された助手席側吹き出し口と、助手席の乗員の有無を検知する助手席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記助手席乗員検知手段により助手席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記助手席側吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする。
【0014】
本願の第7の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第3または第4の発明において、
前記車両は、車室内の前席側に配設された前席側吹き出し口と、車室内の後席側に配設された後席側吹き出し口と、後席の乗員の有無を検知する後席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記後席乗員検知手段により後席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記後席側吹き出し口から吹き出るように、前記空調装置を制御する、ことを特徴とする。
【0015】
本願の第8の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、第1または第2の発明において、
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする。
【0016】
本願の第9の発明に係る車両のバッテリ冷却システムは、
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本願の第1の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときはバッテリファンを大きな風量で作動させることで、バッテリを確実且つ迅速に冷却することができる。一方、バッテリ温度が所定温度以下であるときは、空調装置の設定風量に対応する基準量以下の風量でバッテリファンを作動させることで、バッテリファンによる排気量が空調装置の外気導入量よりも大きくなることを防止でき、空調装置を経由しない外気の侵入による空調効率の低下を防止しつつ、空調された空気を利用してバッテリを効率的に冷却することができる。
【0018】
本願の第2の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときや、バッテリから一酸化炭素(CO)等の有毒ガスが発生したときは、バッテリファンを大きな風量で作動させることで、バッテリを確実且つ迅速に冷却できるとともに、バッテリから発生したガスを確実且つ迅速に排出できる。一方、バッテリ温度が所定温度以下であり、バッテリからガスが発生していないときは、上記基準量以下の風量でバッテリファンを作動させることで、第1の発明と同様、空調効率を良好に維持しつつ、バッテリを効率的に冷却することができる。
【0019】
本願の第3の発明によれば、第1または第2の発明のバッテリ冷却制御においてバッテリファンによる排気量が上記基準量よりも大きくなるとき、空調装置の外気導入量を設定風量よりも大きな量に増大させることで、空調装置を経由しない外気の侵入を防止できるため、空調効率を良好に維持することができる。
【0020】
本願の第4の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときバッテリ温度に応じた風量でバッテリファンを作動させる場合において、バッテリファンによる排気量が上記基準値よりも大きくなるとき、空調装置の外気導入量を設定風量よりも大きな量に増大させることで、空調効率を良好に維持することができる。
【0021】
本願の第5の発明によれば、第3または第4の発明において空調装置の外気導入量を増大させる場合、その外気導入量の増大分の空調風が、乗員に向かって空調風を吹き出す吹き出し口とは別の吹き出し口から吹き出されるため、乗員に当たる空調風の風量は増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0022】
本願の第6の発明によれば、第3または第4の発明において空調装置の外気導入量を増大させる場合、助手席に乗員がいないときは、外気導入量の増大分の空調風が助手席側吹き出し口から吹き出されるため、乗員に当たる空調風の風量は増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0023】
本願の第7の発明によれば、第3または第4の発明において空調装置の外気導入量を増大させる場合、後席に乗員がいないときは、外気導入量の増大分の空調風が後席側吹き出し口から吹き出されるため、乗員に当たる空調風の風量は増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0024】
本願の第8の発明によれば、第1または第2の発明においてバッテリ冷却制御によりバッテリファンの排気量が上記基準量よりも大きくなるとき、それらの排気量と基準量との差と同量の外気が、車室内空間を経由せずに直接的にバッテリ収容部内に導入されるため、空調装置を経由しない車室内空間への外気の侵入を防止でき、これにより、空調効率を良好に維持できる。また、空調装置の外気導入量を増大させる必要がないため、設定風量通りの風量で空調を行うことができる。
【0025】
本願の第9の発明によれば、バッテリ温度が所定温度よりも高いときバッテリ温度に応じた風量でバッテリファンを作動させる場合において、バッテリファンの排気量が上記基準量よりも大きくなるとき、それらの排気量と基準量との差と同量の外気が、車室内空間を経由せずに直接的にバッテリ収容部内に導入されるため、第8の発明と同様、空調効率を良好に維持できる。また、第8の発明と同様、設定風量通りの風量で空調を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、同一又は類似の構成部分には同一の符号を用いている。
【0027】
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係るバッテリ冷却システムを搭載した自動車2を概略的に示している。自動車2は、駆動源として図示しないエンジンと電動モータを備え、エンジンと電動モータを切り替えて使用するか又は併用して走行する所謂ハイブリッド自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)である。ただし、本発明は、ハイブリッド自動車以外の車両にも等しく適用できる。
【0028】
図1に示すように、本実施形態において、バッテリ40は、ボディパネル4に囲まれた車室内空間6において後席12の下側に配設されたバッテリケース42に収容されている。なお、バッテリ40は、例えば上述の電動モータの駆動源として使用される。バッテリケース42の前部には、空気導入部としての内気導入ダクト44が接続されるか又は一体に設けられており、内気導入ダクト44を介して、バッテリケース42内の空間と車室内空間6とが連通している。バッテリケース42の後部には、空気排出部としての排気ダクト46が接続されるか又は一体に設けられている。排気ダクト46はボディパネル4を貫通して設けられており、排気ダクト46を介して、バッテリケース42内の空間と、ボディパネル4の外側の車外空間8とが連通している。例えば排気ダクト46の中間部には、バッテリファン48が設けられている。バッテリファン48が作動すると、車室内空間6からバッテリケース42内の空間を通って車外空間8に排出される気流が形成される。これにより、車室内空間6の空気が内気導入ダクト44を通してバッテリケース42内に導入されるため、空調された車室内空間6の空気を利用してバッテリ40を冷却できる。また、バッテリ40の冷却に利用されたバッテリケース42内の空気、及び/又はバッテリ40から発生したバッテリケース42内のガスは、排気ダクト46を通して車外空間8に排出できる。バッテリ40の例えば側面には、バッテリ40からのガス発生の有無を検出するガスセンサ50と、バッテリの温度を検出するバッテリ温度センサ52とが取り付けられている。
【0029】
なお、本発明において、バッテリ40の配置は特に限定されず、バッテリ40は、バッテリケース42の内部に車室内空間6の空気を導入可能とする任意の位置に設置することができる。
【0030】
車室内空間6の所定箇所には、車室内空間6の空気の温度を検出する室内温度センサ32が設けられている。また、車外空間8の所定箇所には、車外空間8の空気の温度を検出する外気温度センサ34が設けられている。
【0031】
自動車2の例えば前部には、車室内空間6の空調を行う空調装置20が設けられている。空調装置20は、車外空間8の空気を空調装置20に導入する外気導入モードと、車室内空間6の空気を空調装置20に導入する内気循環モードとの間で切り替え可能となっている。
【0032】
空調装置20は、外気導入モードの際に外気を導入するための外気導入口22と、内気循環モードの際に車室内空間6の空気を導入するための内気導入口24とを備えている。また、空調装置20は、図1において図示された外気導入口22と内気導入口24に加えて、後述のリヤ空調用の外気導入口120と内気導入口124を備えている。
【0033】
空調装置20は、空調装置20内で冷却又は加熱された空気を吹き出すための複数の吹き出し口26,28,30を備えている。具体的に、空調装置20は、車室内の前席側に配設された前席側吹き出し口として、例えば図示しないインストルメントパネルから前席10の乗員の上半身に向かって空気を吹き出すためのベント吹き出し口26と、前席10の乗員の足元に向かって空気を吹き出すためのヒート吹き出し口28と、前部ガラスの下側から上方へガラス面に沿うように空気を吹き出すためのデフロスタ吹き出し口30とを備えている。また、空調装置20は、図1において図示された吹き出し口26,28,30に加えて、後席12の乗員の上半身に向かって空気を吹き出すためのリヤベント吹き出し口62(図3参照)と、後席12の乗員の足元に向かって空気を吹き出すためのリヤヒート吹き出し口64(図2参照)とを備えている。
【0034】
図2と図3を参照しながら、空調装置20のより具体的な構成について説明する。図2は、空調装置20のフロント空調(後述のリヤベント吹き出し口62以外の吹き出し口から空調風を吹き出す空調)の構成要素を示し、図3は、空調装置20のリヤ空調(後述のリヤベント吹き出し口62から空調風を吹き出す空調)の構成要素を示す。
【0035】
図2に示すように、空調装置20は、外気導入口22と内気導入口24が形成されたメインダクト部70を有し、メインダクト部70からベントダクト部72、ヒートダクト部74、及びデフロスタダクト部76が分岐している。
【0036】
外気導入口22と内気導入口24は、互いに隣接してメインダクト部70の一端(図中左端)に設けられており、内外気切り替えダンパ80により選択的に塞がれるようにしてある。内外気切り替えダンパ80により外気導入口22が塞がれた状態においては内気導入口24からメインダクト部70に空気が導入され、内外気切り替えダンパ80により内気導入口24が塞がれた状態においては外気導入口22からメインダクト部70に空気が導入される。すなわち、内外気切り替えダンパ80は、外気導入モードと内気循環モードとの間で空調装置20の設定を切り替える空気導入モード切替手段として機能する。
【0037】
メインダクト部70の内部には、メインダクト部70に空気を導入するフロントブロア90が、外気導入口22及び内気導入口24の近傍に設けられている。フロントブロア90が作動すると、外気導入口22又は内気導入口24からメインダクト部70に空気が導入され、メインダクト部70の一端(図中左端)から他端(図中右端)に向かって流れる空調風が生じる。
【0038】
空調風の流れ方向においてフロントブロア90の下流側には、空調風を冷却するエバポレータ92が設けられ、さらにエバポレータ92の下流側のミキシング室100には、空調風を加熱するヒータコア94が設けられている。ヒータコア94の前方には、ヒータコア94の前面(加熱面)を開閉するミキシングダンパ96が設けられている。図中の実線で示されるようにヒータコア94の前面がミキシングダンパ96により塞がれているとき、メインダクト部70内の空調風はヒータコア94により加熱されることなくミキシング室100を通過する。一方、図中の鎖線で示されるようにミキシングダンパ96が開いた状態、すなわちヒータコア94の前面が開放されているとき、メインダクト部70内の空調風はヒータコア94により加熱されてミキシング室100を通過する。
【0039】
ベントダクト部72は、運転席側に配設された運転席側吹き出し口に導かれる第1のベントダクト部72aと、助手席側に配設された助手席側吹き出し口に導かれる第2のベントダクト部72bとに分岐している。具体的に、第1のベントダクト部72aの中間部と先端とに運転席側のベント吹き出し口26aが設けられ、第2のベントダクト部78bの中間部と先端とに助手席側のベント吹き出し口26bが設けられている。第1及び第2のベントダクト部72a,72bの基端には、それらのベントダクト部72a,72bを開閉可能なベントダンパ82a,82bがそれぞれ設けられており、ベントダンパ82a,82bの開度によって、ミキシング室100からベントダクト部72a,72bに流れ込む空調風の流量、すなわちベント吹き出し口26a,26bからの空気の吹き出し量が調整される。
【0040】
同様に、ヒートダクト部74は、運転席側吹き出し口に導かれる第1のヒートダクト部74aと、助手席側吹き出し口に導かれる第2のヒートダクト部74bとに分岐している。具体的に、第1のヒートダクト部74aの中間部に運転席側のヒート吹き出し口28aが設けられている。さらに、第1のヒートダクト部74bの先端には運転席の後方席のリヤヒート吹き出し口64aが設けられている。同様に、第2のヒートダクト部74bの中間部に助手席側のヒート吹き出し口28bが設けられ、さらに第2のヒートダクト部74bの先端に助手席の後方席のリヤヒート吹き出し口64bが設けられている。第1及び第2のヒートダクト部74a,74bの基端には、それらのヒートダクト部74a,74bを開閉可能なヒートダンパ84a,84bがそれぞれ設けられており、ヒートダンパ84a,84bの開度によって、ミキシング室100からヒートダクト部74a,74bに流れ込む空調風の流量、すなわちヒート吹き出し口28a,28b及びリヤヒート吹き出し口64a,64bからの空気の吹き出し量が調整される。
【0041】
また、デフロスタダクト部76も、運転席側吹き出し口に導かれる第1のデフロスタダクト部76aと、助手席側吹き出し口に導かれる第2のデフロスタダクト部76bとに分岐している。具体的に、第1のデフロスタダクト部76aの中間部と先端に運転席側のデフロスタ吹き出し口26aが設けられ、第2のデフロスタダクト部76bの中間部と先端に助手席側のデフロスタ吹き出し口26bが設けられている。第1及び第2のデフロスタダクト部76a,76bの基端には、それらのデフロスタダクト部76a,76bを開閉可能なデフロスタダンパ86a,86bが設けられており、デフロスタダンパ86a,86bの開度によって、ミキシング室100からデフロスタダクト部76a,76bに流れ込む空調風の流量、すなわちデフロスタ吹き出し口26a,26bからの空気の吹き出し量が調整される。
【0042】
図3に示すように、空調装置20はリヤベントダクト部178を有する。リヤベントダクト部178の一端(図中左端)には、外気導入口120と内気導入口124が互いに隣接して設けられており、空気導入モード切替手段としての内外気切り替えダンパ180により選択的に塞がれるようにしてある。内外気切り替えダンパ180により外気導入口120が塞がれた状態においては内気導入口124からリヤベントダクト部178に空気が導入され、内外気切り替えダンパ180により内気導入口124が塞がれた状態においては外気導入口120からリヤベントダクト部178に空気が導入される。一方、リヤベントダクト部178の他端(図中右下端)にはリヤベント吹き出し口62が設けられている。
【0043】
リヤベントダクト部178の内部には、リヤベントダクト部178に空気を導入するリヤブロア98が、外気導入口120及び内気導入口124の近傍に設けられている。リヤブロア98が作動すると、外気導入口120又は内気導入口124からリヤベントダクト部178に空気が導入され、リヤベントダクト部178の一端(図中左端)から他端(図中右端)に向かって流れる空調風が生じる。空調風の流れ方向においてリヤブロア98の下流側には、空調風を冷却するエバポレータ192が設けられている。リヤベントダクト部178を流れる空調風の流量、すなわちリヤベント吹き出し口62からの空気の吹き出し量は、リヤブロア98の回転速度によって調整可能となっている。
【0044】
図4は、空調装置20とバッテリファン48の動作を制御するための構成を示すブロック図である。図4に示すように、空調装置20とバッテリファン48の動作を制御する制御手段は、空調装置20の動作を制御する空調制御部102と、バッテリファン48の動作を制御するバッテリファン制御部104とを有する。
【0045】
空調制御部102には、外気温度センサ34、室内温度センサ32、乗員が車室内温度を設定するために操作する温度設定操作部106、乗員が空調装置20を操作するための空調スイッチ108、助手席の乗員の有無を検知する助手席乗員検知センサ110、及び後席の乗員の有無を検知する後席乗員検知センサ112が電気的に接続されており、これらのセンサ等32,34,106,108,110,112から送られる信号が空調制御部102により受信されるようにしてある。
【0046】
また、空調制御部102には、内外気切り替えダンパ80を駆動するモータ81、ミキシングダンパ96を駆動するモータ97、ベントダンパ82を駆動するモータ83、ヒートダンパ84を駆動するモータ85、デフロスタダンパ86を駆動するモータ87、及びリヤベントダンパ88を駆動するモータ89が電気的に接続されており、空調制御部102から送られる制御信号により、上記各モータ81,83,85,87,89,91,97の駆動、すなわち、これらのモータにより駆動される各ダンパ80,82,84,86,88,90,96の動作が制御されるようにしてある。
【0047】
さらに、空調制御部102には、フロントブロア90を駆動するブロアモータ91、及び、リヤブロア98を駆動するブロアモータ99が電気的に接続されており、空調制御部102から送られる制御信号により、ブロアモータ91,99の駆動、すなわち、これらのモータ91,99により駆動されるブロア90,98の動作が制御されるようにしてある。後述のバッテリ冷却制御が行われる場合を除いて、フロントブロア90はフロント空調の設定風量Vfsetと同量の空気を導入するように駆動され、リヤブロア98はリヤ空調の設定風量Vrsetと同量の空気を導入するように駆動される。以下の説明において、フロント空調の設定風量Vfsetにリヤ空調の設定風量Vrsetを加えた風量を、空調装置20の設定風量Vsetという。
【0048】
バッテリファン制御部104には、バッテリ温度センサ52とガスセンサ50が電気的に接続されており、これらのセンサ50,52から送られる信号がバッテリファン制御部104により受信されるようにしてある。また、バッテリファン制御部104には、バッテリファン48を駆動するモータ49が電気的に接続されており、バッテリファン制御部104から送られる制御信号により、モータ49の駆動、すなわちバッテリファン48の動作が制御されるようにしてある。バッテリファン48の動作は、バッテリ温度TBATに応じて制御される。バッテリファン48の風量は所定範囲内で制御可能であり、バッテリファン48の最小風量はVBAT2であり、最大風量はVBAT1である。バッテリファン48の最大風量VBAT1は、例えば40℃に上昇したバッテリ40を十分に冷却できる風量であり、空調装置20の設定風量Vsetの最大量よりも大きい量である。バッテリファン48は、原則としてバッテリ温度TBATに応じて予め決められた風量で駆動されるように制御されるが、後述のように所定条件下では異なる態様で制御される。
【0049】
バッテリファン制御部104には、例えば図8に示すようなバッテリ温度TBATとバッテリファン48の風量VBATとの関係に関する所定のマップが予め記憶されている。図8に示すマップに基づいてバッテリファン48の駆動が制御される場合、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1よりも高いときは、最大風量VBAT1でバッテリファン48が駆動され、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2よりも高く第1の温度TBAT1以下である範囲内であるときは、バッテリ温度が高いときほど大きくなる風量VBAT(最小風量VBAT2〜最大風量VBAT1)でバッテリファン48が駆動され、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2以下のときはバッテリファン48が駆動されない。
【0050】
空調制御部102とバッテリファン制御部104は電気的に接続されており、空調制御部102とバッテリファン制御部104との間で信号の送受信が可能となっている。
【0051】
かかる制御システムを用いた制御の具体例を、図5〜図9を参照しながら説明する。
【0052】
〈バッテリファンの制御〉
先ず、図5を参照しながら、バッテリファン制御部104により行われるバッテリファン48の制御の処理の流れについて説明する。
【0053】
図5に示すように、先ずステップS11〜ステップS13では、バッテリ温度センサ52により検出された温度TBAT、ガスセンサ50により検出されたガス発生の有無、及び、空調制御部102から送信された空調装置20の設定風量Vsetの情報が読み込まれる。
【0054】
続くステップS14では、ステップS12で読み込まれた情報に基づき、バッテリ40からガスが発生しているか否かが判断される。ステップS14において、ガスが発生していないと判断されるとステップS15に進み、ガスが発生していると判断されるとステップS19に進んで後述のようにバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0055】
ただし、本発明において、ガスの発生検知に関する処理(ステップS12及びステップS14の処理)は省略することも可能である。
【0056】
ステップS15では、ステップS11で読み込まれたバッテリ温度TBATが、予め設定された第1の温度TBAT1よりも高いか否かが判断される。第1の温度TBAT1は、バッテリ40を冷却するためにバッテリファン48を最大風量VBAT1で駆動する必要があるバッテリ40の温度の下限値であり、具体的には例えば40℃に設定される。
【0057】
ステップS15において、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1以下であると判断されるとステップS16に進み、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1よりも高いと判断されるとステップS19に進んで後述のようにバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0058】
ステップS16では、ステップS11で読み込まれたバッテリ温度TBATが、予め設定された第2の温度TBAT2よりも高いか否かが判断される。第2の温度TBAT2は、冷却が不要なバッテリ40の温度の上限値であり、具体的には例えば35℃に設定される。
【0059】
ステップS16において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2以下であると判断されると、バッテリ40の冷却が必要でないためステップS20に進んで、バッテリファン48が停止される。一方、ステップS16において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2よりも高いと判断されるとステップS17に進む。
【0060】
ステップS17では、空調制御部102から送られる信号に基づき、空調装置20がオンになっているか否かが判断される。ステップS17において、空調装置20がオンになっていると判断されるとステップS18に進み、空調装置20がオフになっていると判断されるとステップS21に進んで、例えば図8に示すマップに基づきバッテリ温度TBATに応じた風量でバッテリファン48が駆動される。
【0061】
ステップS18では、空調装置20の設定風量Vsetと同じ量からなる基準量Vtarでバッテリファン48が駆動される。すなわち、バッテリファン48による排気量が設定風量Vsetと同じ量になる。ところで、ステップS18の処理が行われる際、空調装置20がオンである状態でバッテリファン48が作動するため、後述の空調装置20の制御により、空調装置20の空気導入モードが外気導入モードに設定される。外気導入モードの際、設定風量Vsetと同じ量の外気が空調装置20を通して車室内空間6に導入されるため、空調装置20による外気導入量とバッテリファン48による排気量とが等しくなる。よって、外気が空調装置20を通らずに車体の隙間等から車室内空間6に入り込むことを防止でき、空調効率を高めることができる。
【0062】
なお、本発明において、バッテリファン48の基準量Vtarは、必ずしも空調装置20の設定風量Vsetと同じ量である必要はなく、空調装置20が設定風量Vsetで作動しているときに外気が空調装置20を通らずに車室内空間6に入り込むことを防止できるような排気量に設定すればよい。具体的に、基準量Vtarは、例えば設定風量Vsetに所定値を加算して得られる量など、設定風量Vsetに所定の演算を行って得られる量であってもよい。また、ステップS18において、上記の処理(バッテリファン48の風量を基準量Vtarに設定する処理)に代えて、バッテリファン48の風量を基準量Vtarよりも小さい量に設定する処理を行うようにしてもよい。
【0063】
ステップS19では、バッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。これにより、バッテリ40を確実且つ迅速に冷却できるとともに、バッテリ40からガスが発生している場合はそのガスを確実且つ迅速に車外へ排出できる。上述したように、バッテリファン48の最大風量VBAT1は、空調装置20の設定風量Vsetの最大量よりも大きいため、ステップS19の処理により、バッテリファン48による排気量が、空調装置20の設定風量Vsetよりも大きくなる。しかし、このとき、後述のようにブロア90,98が例外的に制御されることにより(図7参照)、ブロア90,98による外気導入量Vc(フロントブロア90による外気導入量Vfcに、リヤブロア98による外気導入量Vrcを加えた量)が、設定風量Vsetよりも大きな量になるように増大されるため、外気が空調装置20を通らずに車室内空間6に入り込むことを防止できる。
【0064】
〈空調装置の制御〉
次に、図6を参照しながら、空調制御部102により行われる空調装置20の制御の処理の流れについて説明する。図6に示す制御は、空調装置20がオンになっていると判断されたときに実行される。
【0065】
図6に示すように、先ずステップS31〜ステップS36では、種々の情報が読み込まれる。具体的には、外気温度センサ34により検出された温度Ta(ステップS31)、室内温度センサ32により検出された温度Tr(ステップS32)、温度設定操作部106の操作により設定された温度Tset(ステップS33)、外気温度Ta、室内温度Tr及び設定温度Tsetに基づき算出されるか又は乗員の操作により設定される設定風量Vset(ステップS34)、助手席乗員検知センサ110及び/又は後席乗員検知センサ112により検知された助手席及び/又は後席の乗員の有無(ステップS35)、及び、上述のように制御されたバッテリファン48の風量VBAT(ステップS36)が読み込まれる。ただし、第1の実施形態において、ステップS35の処理は省略可能である。
【0066】
続いて、ステップS37〜ステップS40では、種々の演算が行われる。具体的には、設定温度Tsetと設定風量Vsetに基づき吹き出し温度が演算され(ステップS37)、ブロア90,98を駆動するブロアモータ91,99に印加されるブロア電圧が後述の制御(図7参照)により演算され(ステップS38)、後述の制御(図9参照)により吹き出しモード(ベントモード、ヒートモード、又はデフロスタモード等)が演算され(ステップS39)、乗員の操作又はステップS36で読み込まれた情報(バッテリファン48の作動の有無)に基づき空気導入モードが演算される(ステップS40)。
【0067】
ステップS40では、バッテリファン48が作動している場合、外気導入モードが選択される。これにより、空調装置20が作動している場合、空調装置20が外気導入モードに設定された状態で、上述のバッテリ冷却制御(図5のステップS18及びステップS19の制御)が行われるようにしてある。
【0068】
続くステップS41〜ステップS45では、ステップS37〜ステップS40の演算の結果に基づき、種々の出力が行われる。具体的には、エバポレータ92の駆動が制御され(ステップS41)、ミキシングダンパ96の開度が調整され(ステップS42)、ブロア90,98の駆動が制御され(ステップS43)、吹き出し量を調整する各ダンパ82,84,86,88の開度が調整され(ステップS44)、内外気切り替えダンパ80,180が必要に応じて駆動される(ステップS45)。
【0069】
ステップS40においてバッテリファン48の作動の情報に基づき外気導入モードが選択された場合、ステップS45では、外気導入モードとなるように内外気切り替えダンパ80,180の駆動が制御される。
【0070】
〈ブロアの制御〉
続いて、図7を参照しながら、空調制御部102により行われる空調装置20のブロア90,98の制御(図6のステップS38の制御)の処理の流れについて説明する。
【0071】
図7に示すように、先ずステップS51では、上述のように制御されたバッテリファン48による排気量VBATが、上述の基準量Vtar(本実施形態では、図6のステップS34で読み込まれた空調装置20の設定風量Vsetと同じ量)よりも大きいか否かが判断される。
【0072】
ステップS51において、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されると、ステップS52に進む。
【0073】
ステップS52では、ブロア90,98による外気導入量Vcが設定風量Vsetよりも大きな量に増大するようにブロア電圧が演算されて、図6に示す空調装置20の制御フローに戻る。具体的に、ステップS52では、外気導入量Vcがバッテリファン48による排気量VBATと同じ量になるようにブロア電圧が演算される。このようにして、ブロア90,98による外気導入量Vcとバッテリファン48による排気量VBATとが同量になるように制御することで、図5のステップS19のバッテリ冷却制御によりバッテリファン48の風量VBATが増大したときでも、外気が空調装置20を通らずに車室内空間6に入り込むことを防止でき、空調効率を良好に維持することができる。
【0074】
ただし、ステップS52の処理は、外気導入量Vcを、必ずしも排気量VBATと同じ量になるように増大させる必要はなく、排気量VBATに所定の演算を行って得られる量になるように増大させるようにしてもよい。
【0075】
一方、ステップS51において、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtar以下であると判断された場合、ブロア90,98による外気導入量Vcを増大させる補正を行う必要がない。そのため、ステップS53に進んで、外気導入量Vcが設定風量Vsetになるようにブロア電圧が演算されて、図6に示す空調装置20の制御フローに戻る。
【0076】
[第2の実施形態]
図9を参照しながら、本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、空調装置20の吹き出しモードが空調制御部102により後述のように制御されることで、バッテリ冷却制御に伴うブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たることを回避できる。以下、具体的に説明する。
【0077】
図7に示すブロア90,98の制御(図6のステップS38の制御)において、ステップS52の処理を行うと、上述のようにブロア90,98による外気導入量(ブロア風量)Vcが増大する。ただし、このとき、第2の実施形態では、フロントブロア90による外気導入量(フロントブロア風量Vfc)のみが増大するように制御されるものとする。
【0078】
外気導入量Vcの増大に伴い、各吹き出し口26,28,30,64からの空調風の吹き出し量が一律に増大すると、吹き出し量が増大した空調風が乗員に当たり、乗員に違和感や不快感を与える懸念がある。このような観点から、本実施形態では、バッテリ冷却制御に伴うブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たらないように、吹き出しモードの制御が次のように行われる。
【0079】
〈吹き出しモードの制御〉
図9を参照しながら、空調装置20の吹き出しモードの制御(図6のステップS39の制御)の処理の流れについて説明する。
【0080】
図9に示すように、先ずステップS61では、図6のステップS33で読み込まれた設定温度Tsetが、予め設定された温度TC1よりも高いか否かが判断される。
【0081】
ステップS61において、設定温度Tsetが温度TC1よりも高いと判断されると、ステップS65に進んで、ヒートモード(空調風をヒート吹き出し口28のみから吹き出させるモード)が選択されて、図6の制御フローに戻る。
【0082】
一方、ステップS61において、設定温度Tsetが温度TC1以下であると判断されると、ステップS62に進んで、設定温度Tsetが、予め設定された温度TC2よりも高いか否かが判断される。ステップS62において、設定温度Tsetが温度TC2よりも高いと判断されるとステップS66に進み、設定温度Tsetが温度TC2よりも以下であると判断されるとステップS63に進む。
【0083】
ステップS63では、図7の制御(図6の制御のステップS38の処理)によりブロア風量Vcが増大するように制御されたか否かが判断される。
【0084】
ステップS63において、ブロア風量Vcが増大しないと判断されるとステップS69に進んで、通常のベントモード(空調風をベント吹き出し口26のみから吹き出させるモード)が選択されて、図6の制御フローに戻る。
【0085】
一方、ステップS63において、ブロア風量Vcが増大すると判断されるとステップS64に進んで、特別ベントモードが選択されて、図6の制御フローに戻る。ここでいう「特別ベントモード」とは、通常のベントモードと同じ量の空調風をベント吹き出し口26から吹き出させ、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風をデフロスタ吹き出し口30から吹き出させるモードを指す。ステップS64では、特別ベントモードが選択されることにより、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るため、乗員の上半身に当たる空調風の風量が増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0086】
ただし、ステップS64の特別ベントモードでは、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るようにしてあるが、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の一部又は全部の空調風を、ヒート吹き出し口28から吹き出
させるようにしてもよい。
【0087】
ステップS66では、ステップS63と同様、図7の制御(図6の制御のステップS38の処理)によりブロア風量Vcが増大するように制御されたか否かが判断される。
【0088】
ステップS66において、ブロア風量Vcが増大しないと判断されるとステップS68に進んで、通常のバイレベルモード(空調風をベント吹き出し口26とヒート吹き出し口28から吹き出させるモード)が選択されて、図6の制御フローに戻る。
【0089】
一方、ステップS66において、ブロア風量Vcが増大すると判断されるとステップS67に進んで、特別バイレベルモードが選択されて、図6の制御フローに戻る。ここでいう「特別バイレベルモード」とは、通常のバイレベルモードと同じ量の空調風をベント吹き出し口26とヒート吹き出し口28とから吹き出させ、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風をデフロスタ吹き出し口30から吹き出させるモードを指す。ステップS67では、特別バイレベルモードが選択されることにより、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るため、乗員の上半身と足元に当たる空調風の風量が増大せず、乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0090】
ただし、ステップS67の特別バイレベルモードでは、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風がデフロスタ吹き出し口30から吹き出るようにしてあるが、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の一部又は全部の空調風を、ヒート吹き出し口28から吹き出る空調風に上乗せするようにしてもよい。この場合でも、乗員の上半身に当たる空調風は増大しないため、乗員に与える違和感や不快感を抑制できる。
【0091】
なお、吹き出しモードとしては、上述したモード以外にも種々のモード(空調風をデフロスタ吹き出し口30のみから吹き出させるモード等)が考えられるため、図9に示す制御フローには、上述したモード以外のモードを選択するための処理を適宜加えるようにしてもよい。また、第2の実施形態において、その他の構成は第1の実施形態と同様である。
【0092】
[第3の実施形態]
図10を参照しながら、本発明の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態では、バッテリ冷却制御に伴いブロア風量Vcが増大する場合において、ブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たらないようにするための構成が第2の実施形態と異なっている。
【0093】
第3の実施形態では、基本的には第1及び第2の実施形態と同様の制御が行われるが、空調装置20の吹き出しモードを演算する処理(図6の制御のステップS39の処理)の構成が第1及び第2の実施形態と異なる。第3の実施形態では、外気温度Ta、室内温度Tr及び設定温度Tsetに基づき吹き出しモードが選択され、ベントモードが選択される場合、これに続いて、図10に示すベントモード補正制御が行われる。
【0094】
〈ベントモード補正制御〉
図10を参照しながら、ベントモード補正制御の処理の流れについて説明する。
【0095】
図10に示すように、先ずステップS71では、運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとの間で吹き出し量差が設定されているか否かが判断される。
【0096】
ステップS71において、運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとの間で吹き出し量差が設定されていると判断されると、ステップS76に進んで、設定された吹き出し量差となるようにベントダンパ82a,82bの開度が調整されるようにベントモードが補正されて、図6の制御フローに戻る。
【0097】
ステップS71において、運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとの間で吹き出し量差が設定されていないと判断されると、ステップS72に進んで、図7の制御(図6の制御のステップS38の処理)によりブロア風量Vcが増大するように制御されたか否かが判断される。
【0098】
ステップS72において、ブロア風量Vcが増大しないと判断されるとステップS75に進んで、補正されることなく通常のベントモード(設定風量Vfsetの空調風が均等に分散されて運転席側のベント吹き出し口26aと助手席側のベント吹き出し口26bとから吹き出るモード)が選択され、ステップS72において、ブロア風量Vcが増大すると判断されるとステップS73に進む。
【0099】
ステップS73では、図6のステップS35において読み込まれた情報に基づき、助手席の乗員の有無が判断される。
【0100】
ステップS73において、助手席に乗員がいると判断されるとステップS75に進んで、補正されることなく通常のベントモードが選択され、ステップS73において、助手席に乗員がいないと判断されるとステップS74に進む。
【0101】
ステップS74では、ブロア風量の増大分(Vc−Vset)の空調風が、助手席側のベント吹き出し口26bから吹き出る空調風に上乗せされるようにベントモードが補正されて、図6の制御フローに戻る。このように乗員のいない助手席側においてのみ空調風が増大するようにベントモードを補正することで、ブロア風量Vcの増大により乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0102】
[第4の実施形態]
図11と図12を参照しながら、本発明の第4の実施形態について説明する。第4の実施形態では、バッテリ冷却制御に伴いブロア風量Vcを増大させる構成、及び、ブロア風量Vcの増大分(Vc−Vset)の空調風が乗員に直接当たらないようにするための構成が第1及び第2の実施形態と異なっている。
【0103】
第4の実施形態では、バッテリファン48の制御(図5参照)、及び空調装置20の制御(図6参照)は、基本的には第1の実施形態と同様に行われるが、空調装置20のブロア電圧を演算する処理(図6の制御のステップS38の処理)の構成が第1の実施形態と異なる。具体的に、第1の実施形態では、図7のフローチャートに示す流れでブロア電圧が演算されるが、第4の実施形態では、フロントブロア90のブロア電圧が、図12のフローチャートで示す流れで演算され、リヤブロア98のブロア電圧が、図11のフローチャートで示す流れで演算される。
【0104】
〈リヤブロアの制御〉
先ず、図11を参照しながら、リヤブロア98のブロア電圧を演算する処理の流れについて説明する。
【0105】
図11に示すように、先ずステップS81では、リヤ空調(リヤベント吹き出し口62から空調風を吹き出す空調)がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS81において、リヤ空調がオンに設定されていると判断されるとステップS86に進み、リヤ空調がオフに設定されていると判断されるとステップS82に進む。
【0106】
ステップS82では、フロント空調(リヤベント吹き出し口62以外の吹き出し口から空調風を吹き出す空調)がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS82において、フロント空調がオンに設定されていると判断されるとステップS83に進み、フロント空調がオフに設定されていると判断されると図6の制御フローに戻る。
【0107】
ステップS83では、図6のステップS35で読み込まれた情報に基づき、後席の乗員の有無が判断される。ステップS83において、後席に乗員がいないと判断されるとステップS84に進み、後席に乗員がいると判断されると図6の制御フローに戻る。
【0108】
ステップS84では、図6のステップS36で読み込まれたバッテリファン48の風量VBATが上述の基準量Vtar(本実施形態では、図6のステップS34で読み込まれた空調装置20の設定風量Vsetと同じ量)よりも大きいか否かが判断される。ステップS84において、バッテリ風量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されるとステップS85に進み、バッテリ風量VBATが基準量Vtar以下であると判断されるとステップS87に進む。
【0109】
ステップS85では、バッテリ冷却制御に伴い必要となる外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の空調風がリヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。これにより、リヤ空調がオフに設定されているにも拘わらず、増大分の空調風が、乗員がいない後席側に吹き出されるため、前席の乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0110】
ステップS86では、ステップS84と同様、図6のステップS36で読み込まれたバッテリファン48の風量VBATが基準量Vtarよりも大きいか否かが判断される。ステップS86において、バッテリ風量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されるとステップS88に進み、バッテリ風量VBATが基準量Vtar以下であると判断されるとステップS87に進む。
【0111】
ステップS87では、空調装置20による外気導入量を増大させる必要がないため、要求された風量の空調風がリヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。
【0112】
ステップS88では、フロント空調がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS88において、フロント空調がオンに設定されていると判断されるとステップS90に進み、フロント空調がオフに設定されていると判断されるとステップS89に進む。
【0113】
ステップS89では、バッテリ冷却制御に伴い必要となる外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、リヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。
【0114】
ステップS90では、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の半分が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、リヤベント吹き出し口62から吹き出されるように、リヤブロア98のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の残りの半分は、後述のようにフロント空調の要求風量に加算され、これにより得られる量の空調風がフロント空調に利用される。
【0115】
〈フロントブロアの制御〉
次に、図12を参照しながら、フロントブロア90のブロア電圧を演算する処理の流れについて説明する。
【0116】
図12に示すように、先ずステップS91では、図6のステップS36で読み込まれたバッテリファン48の風量VBATが基準量Vtarよりも大きいか否かが判断される。ステップS91において、バッテリ風量VBATが基準量Vtarよりも大きいと判断されるとステップS92に進み、バッテリ風量VBATが基準量Vtar以下であると判断されるとステップS94に進む。
【0117】
ステップS92では、リヤ空調がオンに設定されているか否かが判断される。ステップS92において、リヤ空調がオンに設定されていると判断されるとステップS96に進み、リヤ空調がオフに設定されていると判断されるとステップS93に進む。
【0118】
ステップS93では、図6のステップS35で読み込まれた情報に基づき、後席の乗員の有無が判断される。ステップS93において、後席に乗員がいないと判断されるとステップS94に進み、後席に乗員がいると判断されるとステップS95に進む。
【0119】
ステップS94では、要求された風量の空調風がフロント空調の吹き出し口から吹き出されるように、フロントブロア90のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。このとき、バッテリ冷却制御に伴い外気導入量を増大させる必要がある場合、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の空調風はリヤベント吹き出し口62から吹き出される。
【0120】
ステップS95では、バッテリ冷却制御に伴い必要となる外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、フロント空調の吹き出し口から吹き出されるように、フロントブロア90のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。
【0121】
ステップS96では、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の半分が要求風量に加算されてなる風量の空調風が、フロント空調の吹き出し口から吹き出されるように、フロントブロア90のブロア電圧が演算されて、図6の制御フローに戻る。外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の残りの半分は、上述のようにリヤ空調の要求風量に加算され、これにより得られる量の空調風がリヤ空調に利用される。
【0122】
なお、フロント空調とリヤ空調がいずれもオンに設定されているとき、第4の実施形態では、後席の乗員の有無に関わらず、フロント空調の空調風とリヤ空調の空調風を、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の半分ずつ増大させるようにしてあるが、後席に乗員がいないときは、外気導入量の増大分(VBAT−Vtar)の全部がリヤ空調の吹き出し口から吹き出るようにしてもよい。
【0123】
[第5の実施形態]
図13を参照しながら、本発明の第5の実施形態について説明する。第5の実施形態では、第1〜第4の実施形態と異なり、空調装置20の風量に関係なくバッテリファン48が制御される。
【0124】
〈バッテリファンの制御〉
第5の実施形態に係るバッテリファン48の制御の処理の流れについて説明する。第1〜第4の実施形態と同様、バッテリファン48は、バッテリファン制御部104により制御される。
【0125】
図13に示すように、先ずステップS101では、バッテリ温度センサ52により検出された温度TBATが読み込まれ、次のステップS102で、ガスセンサ50により検出されたガス発生の有無が読み込まれる。第5の実施形態では、空調装置20の風量に関係なくバッテリファン48が制御されるため、空調装置20の設定風量Vsetを読み込む処理を省略できる。
【0126】
続くステップS103では、ステップS102で読み込まれた情報に基づき、バッテリ40からガスが発生しているか否かが判断される。ステップS103において、ガスが発生していないと判断されるとステップS104に進み、ガスが発生していると判断されるとステップS107に進んでバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0127】
ただし、本発明において、ガスの発生検知に関する処理(ステップS102及びステップS103の処理)は省略することも可能である。
【0128】
ステップS104では、ステップS101で読み込まれたバッテリ温度TBATが、上述の第1の温度TBAT1(例えば40℃)よりも高いか否かが判断される。
【0129】
ステップS104において、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1以下であると判断されるとステップS105に進み、バッテリ温度TBATが第1の温度TBAT1よりも高いと判断されるとステップS107に進んでバッテリファン48が最大風量VBAT1で駆動される。
【0130】
ステップS105では、ステップS101で読み込まれたバッテリ温度TBATが、上述の第2の温度TBAT2(例えば35℃)よりも高いか否かが判断される。
【0131】
ステップS105において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2以下であると判断されると、バッテリ40の冷却が必要でないためステップS108に進んで、バッテリファン48が停止される。
【0132】
一方、ステップS105において、バッテリ温度TBATが第2の温度TBAT2よりも高いと判断されると、空調装置20がオンであるか否かの判定を行わずにステップS106に進んで、例えば図8に示すマップに基づきバッテリ温度TBATに応じた風量でバッテリファン48が駆動される。
【0133】
このように、第5の実施形態では、バッテリ40の温度が第2の温度TBAT2(例えば35℃)よりも高いとき、空調装置20がオンであるか否かに関わらず、バッテリファン48による排気量がバッテリ40の温度に応じた量となるようにバッテリファン48の動作が制御され(ステップS106)、この点で第1〜第4の実施形態と異なる。
【0134】
そのため、仮に空調装置20を常に設定風量Vsetで作動させると、ステップS106の処理を行うことによりバッテリファン48による排気量VBATが空調装置20の外気導入量Vcよりも大きくなることがある。また、ステップS107においてバッテリファン48を最大風量VBAT1で駆動させる場合も同様である。バッテリファン48による排気量VBATが空調装置20の外気導入量Vcよりも大きくなると、空調効率が低下する懸念がある。そのため、第5の実施形態においても、第1〜第4の実施形態と同様、空調装置20が作動した状態でバッテリファン48が作動するとき、空調装置20の空気導入モードが外気導入モードに選択され、バッテリファンによる排気量VBATが上述の基準量Vtarよりも大きくなると、空調装置20の外気導入量Vcが設定風量Vsetよりも大きな量に増大するように制御される。また、この場合、外気導入量の増大分(Vc―Vset)の空調風が乗員に直接当たらないように空調装置20が制御され、これにより乗員に違和感や不快感を与えることを防止できる。
【0135】
第5の実施形態において、空調装置20の外気導入量Vcを増大させるための具体的な構成、及び外気導入量の増大分(Vc―Vset)の空調風が乗員に直接当たらないようにするための具体的な構成としては、種々の構成を採用することができる。例えば、第2の実施形態と同様、図9に示す流れで吹き出しモードを制御することで外気導入量の増大分(Vc−Vset)の空調風を所定の吹き出し口から吹き出すようにしたり、第3の実施形態と同様、図10に示す流れでベントモード補正制御を行うことで、助手席に乗員がいない場合には外気導入量の増大分(Vc−Vset)の空調風を助手席側の吹き出し口から吹き出すようにしたり、第4の実施形態と同様、図11と図12に示す流れでブロア90,98を制御することで、後席に乗員がいない場合には外気導入量の増大分の空調風を後席側の吹き出し口から吹き出すようにしたりすることができる。
【0136】
[第6の実施形態]
図14と図15を参照しながら、本発明の第6の実施形態について説明する。バッテリ冷却制御に伴いバッテリファン48による排気量VBATが空調装置20の外気導入量Vcよりも大きくなったとき、第1〜第5の実施形態では、空調装置20の外気導入量Vcを増大させることで空調効率の低下を防止されるが、第6の実施形態は、空調装置20の外気導入量Vcを増大させなくても空調効率を良好に維持できる構成となっている。以下、第6の実施形態について具体的に説明する。
【0137】
図14に示すように、第6の実施形態では、車室内空間6を経由せずに直接的に外気をバッテリケース42内に導入するための外気導入部として、外気導入ダクト220が設けられている。具体的に、外気導入ダクト220は、バッテリケース42内の空間と車室内空間6とを連通する内気導入ダクト44から分岐して設けられている。外気導入ダクト220はボディパネル4を貫通して設けられ、外気導入ダクト220の先端が車外空間8に配置されている。これにより、車外空間8とバッテリケース42内の空間とが外気導入ダクト220を介して連通するようにしてある。内気導入ダクト44と外気導入ダクト220との合流部には、導入量調整手段としての調整ダンパ222が設けられている。
【0138】
調整ダンパ222を駆動する図示しないモータは、バッテリファン制御部104に電気的に接続されており、調整ダンパ222の開度が、バッテリファン制御部104により制御されるようにしてある。これにより、バッテリファン制御部104は、調整ダンパ222の開度を制御することで、外気導入ダクト220を介してバッテリケース42内の空間に導入される外気量を調整可能となっている。
【0139】
〈バッテリファンの制御〉
第6の実施形態において、バッテリファン48は、第1の実施形態のように空調装置20の設定風量(空調風量)Vcに応じた風量で駆動されるように制御してもよいし(図5参照)、第5の実施形態のように空調風量Vcに関係なく駆動されるように制御してもよい(図13参照)。
【0140】
〈調整ダンパの制御〉
次に、図15を参照しながら、調整ダンパ222の制御の処理の流れについて説明する。
【0141】
図15に示すように、先ずステップS121〜ステップS124では、外気温度センサ34により検出された温度Ta、室内温度センサ32により検出された温度Tr、空調制御部102から送信された空調装置20の設定風量Vsetの情報、及びバッテリファン48の風量VBATが読み込まれる。
【0142】
続くステップS125では、ステップS122で読み込まれた室内温度Trが、ステップS121で読み込まれた外気温度Taよりも低いか否かが判断される。ステップS125において、室内温度Trが外気温度Ta以上であると判断されるとステップS129に進み、室内温度Trが外気温度Taよりも低いと判断されるとステップS126に進む。
【0143】
ステップS129では、車外空間8の外気のみがバッテリケース42内の空間に導入されるように調整ダンパ222の開度が調整される。これにより、車室内空間の空気よりも低温である外気を利用して、バッテリ40を効率的に冷却することができる。
【0144】
ステップS126では、バッテリファンの風量VBATが、ステップS123で読み込まれた空調風量Vcに基づき算出された上述の基準量Vtar(本実施形態では空調風量Vcと同じ量)よりも大きいか否かが判断される。ステップS126において、バッテリファンの風量VBATが空調風量Vc以下であると判断されるとステップS128に進み、バッテリファンの風量VBATが空調風量Vcよりも大きいと判断されるとステップS127に進む。
【0145】
ステップS128では、バッテリファン48による排気量VBATが基準量Vtar以下であり、バッテリケース42内への外気導入量を増大させる必要がないため、車室内空間6の空気のみがバッテリケース42内の空間に導入されるように調整ダンパ222の開度が調整される。
【0146】
ステップS127では、排気量VBATと基準量Vtarとの差(VBAT−Vtar)と同量の外気が外気導入ダクト220を通してバッテリケース42内に導入されるように、調整ダンパ222の開度が調整される。これにより、空調風量Vcを増大させなくても、バッテリケース42内への外気導入量を排気量VBATに応じて増大させることができる。よって、外気が空調装置20を通らずに車体の隙間等から車室内空間6に入り込むことを防止でき、空調効率を良好に維持することができる。
【0147】
ただし、本発明において、外気導入部及び導入量調整手段は上記構成に限定されるものではない。例えば、第6の実施形態では、外気導入部220が内気導入ダクト44から分岐して設けられているが、外気導入部は、バッテリケース42から直接延びるように設けてもよい。
【0148】
以上、上述の実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0149】
【図1】本発明に係るバッテリ冷却システムを搭載した自動車を示す概略図である。
【図2】空調装置のフロント空調部分の構成を示す断面図である。
【図3】空調装置のリヤ空調部分の構成を示す断面図である。
【図4】空調装置とバッテリファンを制御するための構成を示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係るバッテリファンの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】空調装置の制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】空調装置のブロアの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図8】バッテリ温度に応じてバッテリファンの風量を設定するためのマップの具体例である。
【図9】第2の実施形態に係る吹き出しモードの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図10】第3の実施形態に係るベントモード補正制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第4の実施形態に係るリヤブロアの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第4の実施形態に係るフロントブロアの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第5の実施形態に係るバッテリファンの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】第6の実施形態に係る自動車の構造を示す概略図である。
【図15】第6の実施形態に係る調整ダンパの制御の処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0150】
2:自動車、4:ボディパネル、6:車室内空間、8:車外空間、10:前席、12:後席、20:空調装置、22:外気導入口、24:内気導入口、26:ベント吹き出し口、28:ヒート吹き出し口、30:デフロスタ吹き出し口、32:室内温度センサ、34:外気温度センサ、40:バッテリ、42:バッテリケース、44。内気導入ダクト、46:排気ダクト、48:バッテリファン、50:ガスセンサ、52:バッテリ温度センサ、62:リヤベント吹き出し口、64:リヤヒート吹き出し口、80:内外気切り替えダンパ、90:フロントブロア、98:リヤブロア、102:空調制御部、104:バッテリファン制御部、110:助手席乗員検知センサ、112:後席乗員検知センサ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備えた車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御しながら、所定のバッテリ冷却制御を行い、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であるとき、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする車両のバッテリ冷却システム。
【請求項2】
前記車両は、前記バッテリからのガス発生の有無を検出するガス検出手段を備え、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であり、且つ、前記ガス検出手段によりガスが発生していないことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、及び/又は、前記ガス検出手段によりガスが発生したことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項4】
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする車両のバッテリ冷却システム。
【請求項5】
前記車両は、乗員に向かって空調風を吹き出す吹き出し口と、該吹き出し口とは別の吹き出し口を備え、
前記制御手段は、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記別の吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項6】
前記車両は、車室内の運転席側に配設された運転席側吹き出し口と、車室内の助手席側に配設された助手席側吹き出し口と、助手席の乗員の有無を検知する助手席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記助手席乗員検知手段により助手席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記助手席側吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項7】
前記車両は、車室内の前席側に配設された前席側吹き出し口と、車室内の後席側に配設された後席側吹き出し口と、後席の乗員の有無を検知する後席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記後席乗員検知手段により後席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記後席側吹き出し口から吹き出るように、前記空調装置を制御する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項8】
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項9】
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする車両のバッテリ冷却システム。
【請求項1】
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備えた車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御しながら、所定のバッテリ冷却制御を行い、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であるとき、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする車両のバッテリ冷却システム。
【請求項2】
前記車両は、前記バッテリからのガス発生の有無を検出するガス検出手段を備え、
前記バッテリ冷却制御は、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度以下であり、且つ、前記ガス検出手段によりガスが発生していないことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量以下となるように、前記バッテリファンの動作を制御し、
前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき、及び/又は、前記ガス検出手段によりガスが発生したことが検出されたとき、前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように、前記バッテリファンの動作を制御するものである、ことを特徴とする請求項1に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項3】
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項4】
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記空調装置の設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記ブロアによる外気導入量を前記設定風量よりも大きな量に増大させる、ことを特徴とする車両のバッテリ冷却システム。
【請求項5】
前記車両は、乗員に向かって空調風を吹き出す吹き出し口と、該吹き出し口とは別の吹き出し口を備え、
前記制御手段は、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記別の吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項6】
前記車両は、車室内の運転席側に配設された運転席側吹き出し口と、車室内の助手席側に配設された助手席側吹き出し口と、助手席の乗員の有無を検知する助手席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記助手席乗員検知手段により助手席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記助手席側吹き出し口から吹き出るように前記空調装置を制御する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項7】
前記車両は、車室内の前席側に配設された前席側吹き出し口と、車室内の後席側に配設された後席側吹き出し口と、後席の乗員の有無を検知する後席乗員検知手段と、を備え、
前記制御手段は、前記後席乗員検知手段により後席に乗員がいないことが検知されたとき、前記ブロアによる外気導入量の前記増大分の空調風が前記後席側吹き出し口から吹き出るように、前記空調装置を制御する、ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項8】
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ冷却制御において前記バッテリファンによる排気量が前記基準量よりも大きくなるように前記バッテリファンを駆動させるとき、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のバッテリ冷却システム。
【請求項9】
バッテリと、
該バッテリを収容するバッテリ収容部と、
該バッテリ収容部内の空間と車室内空間とを連通する空気導入部と、
前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する空気排出部と、
前記空気導入部を通して車室内空間から前記バッテリ収容部内に空気を導入し、前記空気排出部を通して前記バッテリ収容部内から車外に空気を排出するバッテリファンと、
前記バッテリの温度を検出するバッテリ温度検出手段と、
車室内空間の空調を行う空調装置と、
該空調装置に設けられ、前記空調装置に空気を導入するブロアと、
前記空調装置に設けられ、車外空間の空気を前記空調装置に導入する外気導入モードと、車室内空間の空気を前記空調装置に導入する内気循環モードとの間で前記空調装置の設定を切り替える空気導入モード切替手段と、
前記空調装置の動作と前記バッテリファンの動作を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、前記バッテリ温度検出手段により検出された温度が所定温度よりも高いとき前記バッテリファンによる排気量が前記バッテリの温度に応じた量となるように前記バッテリファンの動作を制御する、車両のバッテリ冷却システムであって、
前記車両は、車室内空間を経由せずに直接的に外気を前記バッテリ収容部内に導入するために前記バッテリ収容部内の空間と車外空間とを連通する外気導入部と、前記外気導入部を通して車外空間から前記バッテリ収容部に導入される外気の導入量を調整する導入量調整手段を備え、
前記制御手段は、
前記空調装置が作動した状態で前記バッテリファンを作動させるとき、前記外気導入モードが選択されるように前記空気導入モード切替手段を制御し、前記バッテリファンによる排気量が、前記設定風量と同じ量又は前記設定風量を演算して得られる量からなる基準量よりも大きくなると、前記排気量と前記基準量との差と同量の外気が前記外気導入部を通して前記バッテリ収容部に導入されるように、前記導入量調整手段を制御する、ことを特徴とする車両のバッテリ冷却システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−36723(P2010−36723A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−201822(P2008−201822)
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月5日(2008.8.5)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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