車両のパネル取り付け構造
【課題】本発明は、フロントコーナパネルをキャブに組み付ける際の作業性を改善できる車両のパネル取り付け構造を得ることにある。
【解決手段】パネル取り付け構造は、フロントピラー(6)に固定されるブラケット(23)と、フロントピラーを覆うフロントコーナパネル(15)とを備える。ブラケット(23)は、キャブ(1)のドア開口部(8)に臨む第1の固定部(30a〜30d)を有する第1の部分(24)と、フロントピラーの外側に位置するとともに複数の第1の係合部(34)を有する第2の部分(25)とを含む。フロントコーナパネルは、第1の固定部にボルト(29)で固定される第1の結合部(36a〜36d)と、キャブの前面の第2の固定部(45a〜45c)にボルト(43)で固定される第2の結合部(37a〜37c)と、第1の係合部に係合する複数の第2の係合部(38)とを含む。第2の係合部を第1の係合部に係合させることで、フロントコーナパネルがキャブに保持されるとともに、第1および第2の結合部と第1および第2の固定部とが互いに合致する。
【解決手段】パネル取り付け構造は、フロントピラー(6)に固定されるブラケット(23)と、フロントピラーを覆うフロントコーナパネル(15)とを備える。ブラケット(23)は、キャブ(1)のドア開口部(8)に臨む第1の固定部(30a〜30d)を有する第1の部分(24)と、フロントピラーの外側に位置するとともに複数の第1の係合部(34)を有する第2の部分(25)とを含む。フロントコーナパネルは、第1の固定部にボルト(29)で固定される第1の結合部(36a〜36d)と、キャブの前面の第2の固定部(45a〜45c)にボルト(43)で固定される第2の結合部(37a〜37c)と、第1の係合部に係合する複数の第2の係合部(38)とを含む。第2の係合部を第1の係合部に係合させることで、フロントコーナパネルがキャブに保持されるとともに、第1および第2の結合部と第1および第2の固定部とが互いに合致する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキャブオーバ形トラックのような車両に係り、特にキャブの前面と側面とで規定されるコーナ部をキャブの外側から覆うフロントコーナパネルの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャブオーバ形トラックに用いられるキャブは、その前面にフロントパネルを有するとともに、側面にドア開口部を有している。キャブの前面と側面とで規定されるコーナ部は、フロントピラーによって構成されている。フロントピラーは、ドア開口部の前縁に沿って起立しており、その下部がドア開口部を開閉するドアとフロントパネルとの間に位置している。フロントピラーの下部は、キャブの外側からフロントコーナパネルによって覆われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のフロントコーナパネルは、フロントパネルの側縁に沿う前縁と、ドア開口部に臨む後縁とを有し、キャブの前面から側面に向けて回り込んでいる。フロントコーナパネルは、その前縁および後縁に対応する位置に夫々複数の固定片を一体に備えている。固定片は、夫々キャブにボルトで固定されており、これによりフロントコーナパネルがキャブに一体的に組み付けられている。
【0004】
この種のフロントコーナパネルのキャブへの組み付け作業は、通常一人の作業者の手作業により行われている。作業者は、キャブが生産ラインの途中のパネル組み付けポジションに搬送されてくると、フロントコーナパネルの固定片がキャブ側のねじ孔に合致するようにフロントコーナパネルを片手で支えながら各固定片にボルトを通し、このボルトをキャブ側のねじ孔にねじ込んでいる。
【特許文献1】特開平10−53097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トラック用のキャブにおいては、洗練されたデザインを実現するため、例えばフロントコーナパネルを単なるカバーではなくて、装飾部品の一部として積極的に利用したいという要求がある。このため、最近、フロントコーナパネルの一部をキャブの前面側に大きく延長し、この延長部分に灯火類を配置することが試されている。
【0006】
ところが、フロントコーナパネルの一部を延長すると、この延長に伴うフロントコーナパネルの大型化に伴い、フロントコーナパネルの重量が増大するのを避けられなくなる。このため、一人の作業者が重く大きなフロントコーナパネルを一方の手で支えながら、他方の手でボルトを締め付ける作業を強いられることになる。
【0007】
この結果、フロントコーナパネルをキャブに組み付ける際の作業性が悪化し、フロントコーナパネルの組み付け作業に多大な手間と労力を要する。
【0008】
加えて、トラック用のキャブは、各種の組み立て工程をライン状に配して組み立て作業を実行しているので、フロントコーナパネルの組み付け作業に時間を要した場合、生産ラインを変更せざるを得なくなる。よって、作業性が悪化することと合わせて、キャブの組み立てに要するコストが増大するといった問題が生じてくる。
【0009】
本発明の目的は、フロントコーナパネルをキャブの所定の位置に簡単に仮止めすることができ、フロントコーナパネルをキャブに組み付ける際の作業性を改善できる車両のパネル取り付け構造を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る車両のパネル取り付け構造は、
キャブの前端の左右両側部に配置され、上記キャブの側面に開口するドア開口部の前縁を規定するフロントピラーと、
上記フロントピラーの下部に固定されるブラケットと、
上記フロントピラーの下部を上記キャブの外側から覆うとともに、上記キャブの前面から側面に回り込むフロントコーナパネルと、を備えている。
【0011】
上記ブラケットは、上記ドア開口部に臨む複数の第1の固定部を有する第1の部分と、上記第1の部分から上記キャブの前方向へ延出するとともに、上記フロントピラーの高さ方向に離間した複数の第1の係合部を有する第2の部分と、を含み、
上記フロントコーナパネルは、上記ブラケットの第1の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第1の結合部と、上記キャブの前面に位置する複数の第2の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第2の結合部と、上記ブラケットの第1の係合部に取り外し可能に係合する複数の第2の係合部と、を含み、
上記フロントコーナパネルの第2の係合部を上記ブラケットの第1の係合部に係合させることで、上記フロントコーナパネルが上記キャブに保持されるとともに、上記フロントコーナパネルの第1および第2の結合部と上記第1および第2の固定部とが互いに合致することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フロントコーナパネルをキャブに組み付ける時に、フロントコーナパネルの第2の係合部をフロントピラーに固定したブラケットの第1の係合部に係合させることで、フロントコーナパネルをキャブの予め決められた箇所に仮止めすることができる。
【0013】
フロントコーナパネルをキャブに仮止めした状態では、フロントコーナパネルの第1の結合部がブラケットの第1の固定部と合致するとともに、フロントコーナパネルの第2の結合部がキャブ側の第2の固定部と合致するので、第1および第2の結合部と第1および第2の固定部との間を、締結具を介して簡単に固定することができる。
【0014】
したがって、フロントコーナパネルを支えながら締結具を操作するといった面倒で手間のかかる作業が不要となり、たとえフロントコーナパネルが重く大きなものとなっても、フロントコーナパネルの組み付け作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、キャブオーバ形トラックの運転室を構成するキャブ1を開示している。キャブ1は、シャーシの前端部に搭載されて、エンジンの上方に位置している。
【0017】
キャブ1は、ルーフパネル2、キャブフロントアッセンブリ3、バックパネルアッセンブリ4、図示しないアンダーボデーアッセンブリを互いに溶接することで組み立てられている。
【0018】
図2および図6に示すように、キャブフロントアッセンブリ3は、ダッシュボード5、左右一対のフロントピラー6およびフロントパネル7を有している。ダッシュボード5は、キャブ1の前端に位置するとともに、トラックの車幅方向に延びている。フロントピラー6は、ダッシュボード5の左右両端部に溶接されて、ルーフパネル2とダッシュボード5との間を結ぶようにキャブ1の高さ方向に起立している。フロントピラー6は、キャブ1の前面と側面とで規定されるコーナ部に位置するとともに、キャブ1の側面に開口するドア開口部8の前縁を規定している。
【0019】
フロントパネル7は、キャブ1の前面に露出している。フロントパネル7の上縁は、ダッシュボード5に回動可能に支持されている。このため、フロントパネル7は、ダッシュボード5を前方から覆う閉じ位置と、ダッシュボード5の前方に倒れる開き位置との間で回動可能となっている。フロントパネル7を開き位置に回動させることで、フロントパネル7とダッシュボード5との間に配置された配管類やワイヤーハーネス等の保守点検を行うことができる。
【0020】
図1に示すように、フロントパネル7の左右の側縁7a,7bは、キャブ1の高さ方向に起立するとともに、フロントピラー6よりも車幅方向に沿う内側に位置している。さらに、フロントパネル7は、その側縁7a,7bの下部に車幅方向に沿う内側に向けて切り欠かれた一対の逃げ部7c,7dを有している。
【0021】
フロントパネル7の上方にフロントウインドガラス10が設けられている。フロントウインドガラス10は、ルーフパネル2の前縁、ダッシュボード5の上縁およびフロントピラー6によって取り囲まれている。
【0022】
ドア開口部8は、横開き式の乗降用ドア11によって開閉される。ドア11は、図6に示すドアヒンジ12を介してフロントピラー6に回動可能に支持されている。ドア11は、横開き式に限らず、例えばキャブ1の側面に沿うように移動するスライド式であってもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、フロントピラー6は、上部6aと下部6bとを有している。フロントピラー6の上部6aは、フロントウインドガラス10とドア11との間に位置している。フロントピラー6の下部6bは、フロントパネル7とドア11との間に位置している。
【0024】
フロントピラー6の下部6bは、キャブ1の外側から合成樹脂製のフロントコーナパネル15によって覆われている。フロントコーナパネル15は、キャブ1の前面に露出するフロント部分15aと、キャブ1の側面に露出するサイド部分15bとを有し、キャブ1の前面から側面にかけて回り込むように円弧状に湾曲している。
【0025】
図1に示すように、フロントコーナパネル15は、フロントパネル7とドア11との間に介在されている。フロントコーナパネル15のフロント部分15aは、前縁16を有している。前縁16は、フロントパネル7の側縁7a,7bに沿うように起立している。フロントコーナパネル15のサイド部分15bは、後縁17を有している。後縁17は、ドア11の前縁に沿うように起立している。
【0026】
フロントコーナパネル15の下部に下向きに延びる延長部18が一体に形成されている。延長部18は、ドア11の下端部の前方に位置している。延長部18は、フロント部分15aの前縁16から車幅方向に沿う内側に張り出す突出部19を有している。突出部19の縁部は、フロントパネル7の逃げ部7c,7dの縁部に沿った形状となっている。
【0027】
フロントコーナパネル15の延長部18の内側(車室内側)にフラッシャランプ21が組み込まれている。フラッシャランプ21のレンズは、延長部18に形成したスリット22を通じてキャブ1の前方に露出している。フラッシャランプ21は、ワイヤーハーネスに電気的に接続されている。このため、フロントコーナパネル15は、ワイヤーハーネスの一部をキャブ1の外側から覆い隠している。
【0028】
図2および図3に示すように、フロントコーナパネル15は、板金製のブラケット23を介してフロントピラー6の下部6bに固定されている。ブラケット23は、フロントピラー6の高さ方向に沿って延びている。ブラケット23は、第1の部分24と第2の部分25とを備えている。
【0029】
ブラケット23の第1の部分24は、フロントピラー6のドア開口部8に臨む後面に複数のボルト26を介してブラケット23を取り外し可能に固定する部分である。図7ないし図10に示すように、ブラケット23の第1の部分24は、フロントピラー6よりも車幅方向に沿う外側に張り出す外側部27を有している。外側部27は、ドア11が閉じている時に、このドア11の前端部によってキャブ1の後方から覆われている。
【0030】
第1の部分24の外側部27に四つの貫通孔28が形成されている。貫通孔28は、締結具としての第1のボルト29を通すためのものである。貫通孔28は、フロントピラー6の高さ方向に互いに間隔を存して一列に並んでいるとともに、ドア開口部8に露出している。
【0031】
図7ないし図10に示すように、第1の部分24の外側部27の前面に四つのナット30a,30b,30c,30dが溶接されている。ナット30a,30b,30c,30dは、第1の固定部の一例であって、夫々貫通孔28に連通するねじ孔(図示せず)を有している。第1のボルト29は、ブラケット23の後方から貫通孔28を通じてナット30a,30b,30c,30dのねじ孔にねじ込まれる。
【0032】
図2、図7ないし図10に示すように、ブラケット23の第2の部分25は、第1の部分24の外側部27からキャブ1の前方向へ延びている。第2の部分25の高さ方向の中間部に平坦な支持面33が形成されている。支持面33は、上記四つのナット30a,30b,30c,30dのうち、上から二番目のナット30bと三番目のナット30cとの間に位置している。
【0033】
支持面33に一対の係合孔34が形成されている。係合孔34は、第1の係合部の一例であって、フロントピラー6の高さ方向に互いに離間している。
【0034】
一方、上記フロントコーナパネル15は、ドア開口側の縁部に四つの第1の結合片36a,36b,36c,36d、フロントパネル側の縁部に三つの第2の結合片37a,37b,37cおよび上記ブラケット23の第2の部分25の係合孔34に係合する一対のクリップ38を備えている。
【0035】
第1の結合片36a,36b,36c,36dは、第1の結合部の一例であって、フロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面に一体に形成されている。図3ないし図5に示すように、第1の結合片36a,36b,36c,36dは、フロントコーナパネル15の高さ方向に間隔を存して並んでいるとともに、サイド部分15bの後縁17から車幅方向に沿う内側に向けて突出している。
【0036】
第1の結合片36a,36b,36c,36dは、夫々上記第1のボルト29のねじ部が通る挿通孔39a,39b,39c,39dを有している。挿通孔39a,39b,39c,39dの径は、第1のボルト29のねじ部よりも大きく形成されている。このため、39a,39b,39c,39dの内面と第1のボルト29との間に、フロントコーナパネル15の取り付け姿勢を微調整するための隙間40(図7ないし図10を参照)が形成されるようになっている。
【0037】
第2の結合片37a,37b,37cは、フロントコーナパネル15のフロント部分15aの内面に一体に形成されている。図4に示すように、第2の結合片37a,37b,37cは、フロントコーナパネル15の高さ方向に間隔を存して並んでいるとともに、フロント部分15aの前縁16から車幅方向に沿う内側に向けて突出している。
【0038】
第2の結合片37a,37b,37cは、夫々挿通孔42a,42b,42cを有している。挿通孔42a,42b,42cは、締結具としての第2のボルト43を通すためのものである。最上位に位置する第2の結合片37aの挿通孔42aは、第2のボルト43のねじ部がきっちりと嵌まり合うような径を有している。中間に位置する第2の結合片37bの挿通孔42bは、第2のボルト40のねじ部よりも大きな径を有する。最下位に位置する第2の結合片37cの挿通孔42cは、フロントコーナパネル15の高さ方向に延びる長孔となっている。
【0039】
このため、図9に挿通孔42bの部分を代表して示すように、挿通孔42b,42cの内面と第2のボルト43との間に、フロントコーナパネル15の取り付け姿勢を微調整するための隙間44が形成されるようになっている。
【0040】
第2のボルト43は、キャブ1の前面にねじ込まれる。具体的に述べると、図2に示すように、キャブ1の前面に第2の固定部としてのナット45a,45b,45cが設けられている。ナット45a,45b,45cは、第2の結合片37a,37b,37cに対応している。
【0041】
最上位の第2の結合片37aに対応するナット45aは、ダッシュボード5に直接溶接されている。中間の第2の結合片37bに対応するナット45bは、アッパステイ46に溶接されている。アッパステイ46は、フロントピラー6の下部6bの前面に一対のボルト47を介して固定されている。最下位の第2の結合片37cに対応するナット45cは、ロアステイ48に形成されている。ロアステイ48は、一対のボルト49およびナット50を介してダッシュボード5の前面の下端に固定されている。
【0042】
したがって、フロントコーナパネル15は、第1の結合片36a,36b,36c,36dを第1のボルト29を介してブラケット23に固定するとともに、第2の結合片37a,37ba,37cを第2のボルト43を介してキャブ1の前面に固定することで、キャブ1に一体的に組み付けられる。
【0043】
上記クリップ38は、第2の係合部の一例であって、例えばゴムあるいは合成樹脂のような弾性を有する材料で造られている。
【0044】
図12ないし図14に示すように、グリップ38は、支持部53と嵌合部54とを一体に備えている。支持部53は、一対の円盤状の挾持部55a,55bと、これら挾持部55a,55bの間に同軸状に介在された軸部56とで構成されている。挾持部55a,55bは、互いに間隔を存して向かい合っている。
【0045】
嵌合部54は、上記係合孔34よりも大径な円柱状の基部54aを有している。基部54aは、支持部53と同軸状をなすとともに、この基部54aと支持部53との境界部分に小径部57とフランジ部58が一体に形成されている。
【0046】
小径部57の外径は、係合孔34の内径と同等もしくは若干大きく形成されている。フランジ部58は、挾持部55a,55bと同等の外径を有するとともに、小径部57と隣り合っている。フランジ部58は、嵌合部54の軸方向に弾性変形が可能となっている。嵌合部54は、フランジ部58から軸方向に遠ざかるに従い径が減じられており、その支持部53とは反対側の先端が先細り状に尖っている。
【0047】
図3に示すように、クリップ38は、フロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面に保持されて、フロントコーナパネル15の高さ方向に沿う中間部に位置している。フロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面に一対のホルダ60が一体に形成されている。図12ないし図14に示すように、ホルダ60は、サイド部分15bの内面とブラケット23の支持面33との間に介在される支持壁61を有している。
【0048】
図15に示すように、支持壁61は、クリップ38の軸部56が取り外し可能に嵌合する嵌合孔62と、軸部56を嵌合孔62に導くガイド溝63とを有している。嵌合孔62は、支持壁61の中央部に位置している。ガイド溝63は、支持壁61の後縁と嵌合孔62との間を結んでいるとともに、その開口幅が嵌合孔62の方向に進むに従い次第に減じられている。
【0049】
ガイド溝63と嵌合孔62との連続部分に一対の係止片64a,64bが形成されている。係止片64a,64bは、嵌合孔62の径方向に向かい合うとともに、嵌合孔62の径方向内側に向けて張り出している。係止片64a,64bは、互いに近づいたり遠ざかる方向に弾性変形が可能となっている。
【0050】
クリップ38をフロントコーナパネル15に組み付けるには、図15に矢印で示すように、支持部53の軸部56をフロントコーナパネル15の後方からガイド溝63を通じて嵌合孔62に押し込む。これにより、軸部56が係止片64a,64bを弾性変形させつつ嵌合孔62に嵌合する。それとともに、係止片64a,64bが軸部56の挿入方向とは反対側から軸部56の外周面に引っ掛かる。
【0051】
さらに、ホルダ60の支持壁61がクリップ38の挾持部55a,55bの間に入り込み、これら挾持部55a,55bによって挟み込まれる。この結果、クリップ38は、嵌合部54をフロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面から突出させた状態でホルダ60に保持される。
【0052】
図14に矢印で示すように、クリップ38の嵌合部54は、キャブ1の側方からブラケット23の係合孔34に向けて押し込まれる。この押し込みにより、嵌合部54が弾性変形しつつ係合孔34に入り込み、嵌合部54の小径部57が係合孔34に嵌合する。小径部57が係合孔34に嵌合した状態では、フランジ部58が弾性変形しつつブラケット23の支持面33に接触するとともに、係合孔45の開口縁が嵌合部54の基部54aと小径部57とで規定される段差に引っ掛かる。
【0053】
この結果、クリップ38の嵌合部54が係合孔34に突き刺さった状態に保持され、フロントコーナパネル15がキャブ1の所定の位置に仮止めされる。
【0054】
図1に示すように、キャブ1は、フロントコーナパネル15からドア11に至る溝状の装飾ライン66を有している。装飾ライン66は、フロントコーナパネル15に形成された第1のライン部67aと、ドア11の側面に形成された第2のライン部67bとで構成されている。第1のライン部67aと第2のライン部67bとは、フロントコーナパネル15とドア11との境界部分で互いに連続している。
【0055】
本実施の形態によると、フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける際に、第2のライン部67bが第1のライン部67aに連続するようにフロントコーナパネル15をキャブ1に宛がうことで、クリップ38の嵌合部54とブラケット23の係合孔34との位置合せがなされる。
【0056】
次に、フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける手順について説明する。
【0057】
フロントコーナパネル15の組み付け工程は、キャブ1の生産ライン上に配されている。この生産ライン上に定められた組み付けポジションにキャブ1が搬送される時点では、キャブ1がシャーシに搭載されているとともに、キャブ1にドア11が取り付けられている。作業者は、生産ライン上を搬送されるキャブ1に手作業でフロントコーナパネル15を組み付けていく。
【0058】
フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付けるに当っては、まず最初にブラケット23をフロントピラー6の下部6bにボルト26を介して固定する。
【0059】
次に、フロントコーナパネル15を手で把持し、このフロントコーナパネル15の第1のライン部67aがドア11の第2のライン部67bに連続するようにフロントコーナパネル15をキャブ1に宛がう。これにより、図14に示すように、フロントコーナパネル15に保持されたクリップ38の嵌合部54がブラケット23の係合孔34と向かい合う。この状態で、フロントコーナパネル15をブラケット23に向けて押し込むと、クリップ38の嵌合部54がブラケット23の係合孔34に嵌合し、フロントコーナパネル15がブラケット23に保持される。
【0060】
クリップ38は、フロントコーナパネル15の高さ方向に離間した二箇所に位置するので、クリップ38の嵌合部54をブラケット23の係合孔34に嵌合させただけの状態でも、フロントコーナパネル15は回転することなくキャブ1の定位置に仮止めされる。そのため、作業者がフロントコーナパネル15から手を離しても、フロントコーナパネル15はキャブ1に保持された状態を維持する。
【0061】
フロントコーナパネル15をキャブ1に仮止めした状態では、第1の結合片36a,36b,36c,36dの挿通孔39a,39b,39c,39dがブラケット23の貫通孔28と合致する。同様に、第2の結合片37a,37b,37cの挿通孔42a,42b,42cがキャブ1のナット45a,45b,45cと合致する。
【0062】
次に、第2の結合片37a,37b,37cの挿通孔42a,42b,42cに夫々フロントコーナパネル15の前方から第2のボルト43を挿通し、これら第2のボルト43をナット45a,45b,45cにねじ込む。このねじ込みにより、フロントコーナパネル15のフロント部分15aがキャブ1の前面に固定される。
【0063】
この際、ねじ孔45b,45cは、ダッシュボード5に直接溶接されておらず、ダッシュボード5とは別の部品であるアッパステイ46およびロアステイ48に溶接されている。そのため、例えばアッパステイ46およびロアステイ48の寸法誤差あるいは各ステイ46,48とダッシュボード5との固定部分に生じる寸法公差の影響を受けてナット45b,45cと第2の結合片37b,37cの挿通孔42b,42cとの間にずれが生じることがあり得る。
【0064】
しかるに、本実施の形態では、挿通孔42bが第2のボルト43よりも径が大きい孔であるとともに、挿通孔42cが上下方向の長孔となっている。このため、ナット45aにねじ込まれた第2のボルト43を支点としてフロントコーナパネル15を回動させることで、挿通孔42b,42cとナット45b,45cとが合致するようにフロントコーナパネル15をずらすことができる。
【0065】
言い換えると、挿通孔42b,42cと第2のボルト43のねじ部との間に隙間44が存在するので、この隙間44の分だけフロントコーナパネル15の姿勢を微調整できる。
【0066】
さらに、フロントコーナパネル15を回動させることで、フロントコーナパネル15の前縁16とフロントパネル7の側縁7a,7bとの間の隙間が均等となるようにフロントコーナパネル15の姿勢を微調整できる。
【0067】
フロントコーナパネル15のフロント部分15aの固定が完了した後、ドア11を開放する。これにより、フロントピラー6の後面、ブラケット23の第1の部分24およびフロントコーナパネル15の第1の結合片36a,36b,36c,36dがドア開口部8に露出する。
【0068】
次に、第1の結合片36a,36b,36c,36dの挿通孔39a,39b,39c,39dに夫々ドア開口部8を通じて第1のボルト29を挿通し、これら第1のボルト29をブラケット23のナット30a,30b,30c,30dにねじ込む。このねじ込みにより、サイド部分15bがフロントピラー6に固定され、一連のフロントコーナパネル15の組み付け作業が完了する。
【0069】
本実施の形態によると、第1のボルト29のねじ部と挿通孔39a,39b,39c,39dとの間に隙間40が存在する。このため、上記のようにフロントコーナパネル15を回動させることで、隙間40の分だけドア11とフロントコーナパネル15との相対的な位置合せを実行することができ、フロントコーナパネル15の後縁17とドア11の前端との間の隙間が均等となるようにフロントコーナパネル15の姿勢を微調整できる。
【0070】
この結果、フロントコーナパネル15の前縁16とフロントパネル7の側縁7a,7bとの間の隙間が均等となることと合わせて、フロントパネル7、フロントコーナパネル15およびドア15を精度よく位置合せすることができ、キャブ1の外観が良好となる。
【0071】
本発明の実施の形態によれば、フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける時に、フロントコーナパネル15をフロントピラー6に仮止めすることができる。フロントコーナパネル15を仮止めした状態では、第1の結合片36a,36b,36c,36dがブラケット32のナット30a,30b,30c,30dと合致し、第2の結合片37a,37b,37cがキャブ1のナット45a,45b,45cと合致するようにフロントコーナパネル15の位置が定まる。
【0072】
このため、第1のボルト29をナット30a,30b,30dに容易にねじ込むことができるとともに、第2のボルト43をナット45a,45b,45cに容易にねじ込むことができる。加えて、第1および第2のボルト29,43をナット30a,30b,30d,45a,45b,45cにねじ込む際に、作業者はフロントコーナパネル15を手で支える必要はない。
【0073】
したがって、フロントコーナパネル15を一方の手で支えながら、他方の手で第1および第2のボルト29,43を締め付けるといった面倒で手間のかかる作業が不要となり、たとえフロントコーナパネル15が重く大きなものとなっても、フロントコーナパネル15の組み付け時の作業性が良好となる。
【0074】
この結果、キャブ1に対するフロントコーナパネル15の組み付け作業を短時間のうちに効率良く行うことができ、既存の生産ラインを特に変更することなくフロントコーナパネル15の組み付けが可能となる。
【0075】
一方、例えばトラックの定期点検時にキャブ1からフロントコーナパネル15を取り外すには、ボルト26を緩めてブラケット23とフロントピラー6との固定を解除するとともに、第2のボルト43を緩めてフロントコーナパネル15のフロント部分15aとキャブ1との固定を解除する。
【0076】
これにより、フロントコーナパネル15をブラケット23と一緒にキャブ1から取り外すことができる。言い換えると、フロントコーナパネル15とブラケット23とを分離させる必要がないので作業工数が少なくて済み、フロントコーナパネル15の取り外し作業を効率良く行える。
【0077】
取り外したフロントコーナパネル15を再度キャブ1に組み付ける場合、人手を確保できる場合は、フロントコーナパネル15とブラケット23とを分離させずにキャブ1に組み付ける。逆に人手を確保できずに一人の作業者がフロントコーナパネル15の取り付け作業を行う場合は、予め第1の固定ボルト29を緩めるとともに、クリップ38の嵌合部54をブラケット23の係合孔34から引き抜くことで、フロントコーナパネル15とブラケット23とを分離させる。
【0078】
この分離作業が完了したら、ブラケット23をフロントピラー6に固定した後、上記と同様の手順でフロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける。
【0079】
なお、本発明に係る車両は、キャブオーバ形のトラックに限定されるものではなく、例えば大型バスのようなその他の車両においても同様に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係るキャブオーバ型トラックのキャブの斜視図。
【図2】本発明の実施の形態において、キャブとフロントコーナパネルとの位置関係を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態において、フロントピラー、ブラケットおよびフロントコーナパネルの位置関係を示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係るフロントコーナパネルの正面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るフロントコーナパネルの側面図。
【図6】図4のF6-F6線に沿う断面図。
【図7】図4のF7-F7線に沿う断面図。
【図8】図4のF8-F8線に沿う断面図。
【図9】図4のF9-F9線に沿う断面図。
【図10】図4のF10-F10線に沿う断面図。
【図11】図4のF11-F11線に沿う断面図。
【図12】図4のF12-F12線に沿う断面図。
【図13】本発明の実施の形態において、クリップの嵌合部をブラケットの係合孔に嵌合させた状態を示す断面図。
【図14】本発明の実施の形態において、フロントコーナパネル、クリップおよびブラケットの係合孔の位置関係を示す断面図。
【図15】本発明の実施の形態において、フロントコーナパネルのホルダの断面図。
【符号の説明】
【0081】
1…キャブ、6…フロントピラー、8…ドア開口部、15…フロントコーナパネル、23…ブラケット、24…第1の部分、25…第2の部分、29,43…締結具(第1のボルト、第2のボルト)、30a,30b,30c,30d…第1の固定部(ナット)、34…第1の係合部(係合孔)、36a,36b,36c,36d…第1の結合部(第1の結合片)、37a,37b,37c…第2の結合部(第2の結合片)、38…第2の係合部(クリップ)、45a,45b,45c…第2の固定部(ナット)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばキャブオーバ形トラックのような車両に係り、特にキャブの前面と側面とで規定されるコーナ部をキャブの外側から覆うフロントコーナパネルの取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
キャブオーバ形トラックに用いられるキャブは、その前面にフロントパネルを有するとともに、側面にドア開口部を有している。キャブの前面と側面とで規定されるコーナ部は、フロントピラーによって構成されている。フロントピラーは、ドア開口部の前縁に沿って起立しており、その下部がドア開口部を開閉するドアとフロントパネルとの間に位置している。フロントピラーの下部は、キャブの外側からフロントコーナパネルによって覆われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来のフロントコーナパネルは、フロントパネルの側縁に沿う前縁と、ドア開口部に臨む後縁とを有し、キャブの前面から側面に向けて回り込んでいる。フロントコーナパネルは、その前縁および後縁に対応する位置に夫々複数の固定片を一体に備えている。固定片は、夫々キャブにボルトで固定されており、これによりフロントコーナパネルがキャブに一体的に組み付けられている。
【0004】
この種のフロントコーナパネルのキャブへの組み付け作業は、通常一人の作業者の手作業により行われている。作業者は、キャブが生産ラインの途中のパネル組み付けポジションに搬送されてくると、フロントコーナパネルの固定片がキャブ側のねじ孔に合致するようにフロントコーナパネルを片手で支えながら各固定片にボルトを通し、このボルトをキャブ側のねじ孔にねじ込んでいる。
【特許文献1】特開平10−53097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、トラック用のキャブにおいては、洗練されたデザインを実現するため、例えばフロントコーナパネルを単なるカバーではなくて、装飾部品の一部として積極的に利用したいという要求がある。このため、最近、フロントコーナパネルの一部をキャブの前面側に大きく延長し、この延長部分に灯火類を配置することが試されている。
【0006】
ところが、フロントコーナパネルの一部を延長すると、この延長に伴うフロントコーナパネルの大型化に伴い、フロントコーナパネルの重量が増大するのを避けられなくなる。このため、一人の作業者が重く大きなフロントコーナパネルを一方の手で支えながら、他方の手でボルトを締め付ける作業を強いられることになる。
【0007】
この結果、フロントコーナパネルをキャブに組み付ける際の作業性が悪化し、フロントコーナパネルの組み付け作業に多大な手間と労力を要する。
【0008】
加えて、トラック用のキャブは、各種の組み立て工程をライン状に配して組み立て作業を実行しているので、フロントコーナパネルの組み付け作業に時間を要した場合、生産ラインを変更せざるを得なくなる。よって、作業性が悪化することと合わせて、キャブの組み立てに要するコストが増大するといった問題が生じてくる。
【0009】
本発明の目的は、フロントコーナパネルをキャブの所定の位置に簡単に仮止めすることができ、フロントコーナパネルをキャブに組み付ける際の作業性を改善できる車両のパネル取り付け構造を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一つの形態に係る車両のパネル取り付け構造は、
キャブの前端の左右両側部に配置され、上記キャブの側面に開口するドア開口部の前縁を規定するフロントピラーと、
上記フロントピラーの下部に固定されるブラケットと、
上記フロントピラーの下部を上記キャブの外側から覆うとともに、上記キャブの前面から側面に回り込むフロントコーナパネルと、を備えている。
【0011】
上記ブラケットは、上記ドア開口部に臨む複数の第1の固定部を有する第1の部分と、上記第1の部分から上記キャブの前方向へ延出するとともに、上記フロントピラーの高さ方向に離間した複数の第1の係合部を有する第2の部分と、を含み、
上記フロントコーナパネルは、上記ブラケットの第1の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第1の結合部と、上記キャブの前面に位置する複数の第2の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第2の結合部と、上記ブラケットの第1の係合部に取り外し可能に係合する複数の第2の係合部と、を含み、
上記フロントコーナパネルの第2の係合部を上記ブラケットの第1の係合部に係合させることで、上記フロントコーナパネルが上記キャブに保持されるとともに、上記フロントコーナパネルの第1および第2の結合部と上記第1および第2の固定部とが互いに合致することを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、フロントコーナパネルをキャブに組み付ける時に、フロントコーナパネルの第2の係合部をフロントピラーに固定したブラケットの第1の係合部に係合させることで、フロントコーナパネルをキャブの予め決められた箇所に仮止めすることができる。
【0013】
フロントコーナパネルをキャブに仮止めした状態では、フロントコーナパネルの第1の結合部がブラケットの第1の固定部と合致するとともに、フロントコーナパネルの第2の結合部がキャブ側の第2の固定部と合致するので、第1および第2の結合部と第1および第2の固定部との間を、締結具を介して簡単に固定することができる。
【0014】
したがって、フロントコーナパネルを支えながら締結具を操作するといった面倒で手間のかかる作業が不要となり、たとえフロントコーナパネルが重く大きなものとなっても、フロントコーナパネルの組み付け作業を容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、キャブオーバ形トラックの運転室を構成するキャブ1を開示している。キャブ1は、シャーシの前端部に搭載されて、エンジンの上方に位置している。
【0017】
キャブ1は、ルーフパネル2、キャブフロントアッセンブリ3、バックパネルアッセンブリ4、図示しないアンダーボデーアッセンブリを互いに溶接することで組み立てられている。
【0018】
図2および図6に示すように、キャブフロントアッセンブリ3は、ダッシュボード5、左右一対のフロントピラー6およびフロントパネル7を有している。ダッシュボード5は、キャブ1の前端に位置するとともに、トラックの車幅方向に延びている。フロントピラー6は、ダッシュボード5の左右両端部に溶接されて、ルーフパネル2とダッシュボード5との間を結ぶようにキャブ1の高さ方向に起立している。フロントピラー6は、キャブ1の前面と側面とで規定されるコーナ部に位置するとともに、キャブ1の側面に開口するドア開口部8の前縁を規定している。
【0019】
フロントパネル7は、キャブ1の前面に露出している。フロントパネル7の上縁は、ダッシュボード5に回動可能に支持されている。このため、フロントパネル7は、ダッシュボード5を前方から覆う閉じ位置と、ダッシュボード5の前方に倒れる開き位置との間で回動可能となっている。フロントパネル7を開き位置に回動させることで、フロントパネル7とダッシュボード5との間に配置された配管類やワイヤーハーネス等の保守点検を行うことができる。
【0020】
図1に示すように、フロントパネル7の左右の側縁7a,7bは、キャブ1の高さ方向に起立するとともに、フロントピラー6よりも車幅方向に沿う内側に位置している。さらに、フロントパネル7は、その側縁7a,7bの下部に車幅方向に沿う内側に向けて切り欠かれた一対の逃げ部7c,7dを有している。
【0021】
フロントパネル7の上方にフロントウインドガラス10が設けられている。フロントウインドガラス10は、ルーフパネル2の前縁、ダッシュボード5の上縁およびフロントピラー6によって取り囲まれている。
【0022】
ドア開口部8は、横開き式の乗降用ドア11によって開閉される。ドア11は、図6に示すドアヒンジ12を介してフロントピラー6に回動可能に支持されている。ドア11は、横開き式に限らず、例えばキャブ1の側面に沿うように移動するスライド式であってもよい。
【0023】
図1および図2に示すように、フロントピラー6は、上部6aと下部6bとを有している。フロントピラー6の上部6aは、フロントウインドガラス10とドア11との間に位置している。フロントピラー6の下部6bは、フロントパネル7とドア11との間に位置している。
【0024】
フロントピラー6の下部6bは、キャブ1の外側から合成樹脂製のフロントコーナパネル15によって覆われている。フロントコーナパネル15は、キャブ1の前面に露出するフロント部分15aと、キャブ1の側面に露出するサイド部分15bとを有し、キャブ1の前面から側面にかけて回り込むように円弧状に湾曲している。
【0025】
図1に示すように、フロントコーナパネル15は、フロントパネル7とドア11との間に介在されている。フロントコーナパネル15のフロント部分15aは、前縁16を有している。前縁16は、フロントパネル7の側縁7a,7bに沿うように起立している。フロントコーナパネル15のサイド部分15bは、後縁17を有している。後縁17は、ドア11の前縁に沿うように起立している。
【0026】
フロントコーナパネル15の下部に下向きに延びる延長部18が一体に形成されている。延長部18は、ドア11の下端部の前方に位置している。延長部18は、フロント部分15aの前縁16から車幅方向に沿う内側に張り出す突出部19を有している。突出部19の縁部は、フロントパネル7の逃げ部7c,7dの縁部に沿った形状となっている。
【0027】
フロントコーナパネル15の延長部18の内側(車室内側)にフラッシャランプ21が組み込まれている。フラッシャランプ21のレンズは、延長部18に形成したスリット22を通じてキャブ1の前方に露出している。フラッシャランプ21は、ワイヤーハーネスに電気的に接続されている。このため、フロントコーナパネル15は、ワイヤーハーネスの一部をキャブ1の外側から覆い隠している。
【0028】
図2および図3に示すように、フロントコーナパネル15は、板金製のブラケット23を介してフロントピラー6の下部6bに固定されている。ブラケット23は、フロントピラー6の高さ方向に沿って延びている。ブラケット23は、第1の部分24と第2の部分25とを備えている。
【0029】
ブラケット23の第1の部分24は、フロントピラー6のドア開口部8に臨む後面に複数のボルト26を介してブラケット23を取り外し可能に固定する部分である。図7ないし図10に示すように、ブラケット23の第1の部分24は、フロントピラー6よりも車幅方向に沿う外側に張り出す外側部27を有している。外側部27は、ドア11が閉じている時に、このドア11の前端部によってキャブ1の後方から覆われている。
【0030】
第1の部分24の外側部27に四つの貫通孔28が形成されている。貫通孔28は、締結具としての第1のボルト29を通すためのものである。貫通孔28は、フロントピラー6の高さ方向に互いに間隔を存して一列に並んでいるとともに、ドア開口部8に露出している。
【0031】
図7ないし図10に示すように、第1の部分24の外側部27の前面に四つのナット30a,30b,30c,30dが溶接されている。ナット30a,30b,30c,30dは、第1の固定部の一例であって、夫々貫通孔28に連通するねじ孔(図示せず)を有している。第1のボルト29は、ブラケット23の後方から貫通孔28を通じてナット30a,30b,30c,30dのねじ孔にねじ込まれる。
【0032】
図2、図7ないし図10に示すように、ブラケット23の第2の部分25は、第1の部分24の外側部27からキャブ1の前方向へ延びている。第2の部分25の高さ方向の中間部に平坦な支持面33が形成されている。支持面33は、上記四つのナット30a,30b,30c,30dのうち、上から二番目のナット30bと三番目のナット30cとの間に位置している。
【0033】
支持面33に一対の係合孔34が形成されている。係合孔34は、第1の係合部の一例であって、フロントピラー6の高さ方向に互いに離間している。
【0034】
一方、上記フロントコーナパネル15は、ドア開口側の縁部に四つの第1の結合片36a,36b,36c,36d、フロントパネル側の縁部に三つの第2の結合片37a,37b,37cおよび上記ブラケット23の第2の部分25の係合孔34に係合する一対のクリップ38を備えている。
【0035】
第1の結合片36a,36b,36c,36dは、第1の結合部の一例であって、フロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面に一体に形成されている。図3ないし図5に示すように、第1の結合片36a,36b,36c,36dは、フロントコーナパネル15の高さ方向に間隔を存して並んでいるとともに、サイド部分15bの後縁17から車幅方向に沿う内側に向けて突出している。
【0036】
第1の結合片36a,36b,36c,36dは、夫々上記第1のボルト29のねじ部が通る挿通孔39a,39b,39c,39dを有している。挿通孔39a,39b,39c,39dの径は、第1のボルト29のねじ部よりも大きく形成されている。このため、39a,39b,39c,39dの内面と第1のボルト29との間に、フロントコーナパネル15の取り付け姿勢を微調整するための隙間40(図7ないし図10を参照)が形成されるようになっている。
【0037】
第2の結合片37a,37b,37cは、フロントコーナパネル15のフロント部分15aの内面に一体に形成されている。図4に示すように、第2の結合片37a,37b,37cは、フロントコーナパネル15の高さ方向に間隔を存して並んでいるとともに、フロント部分15aの前縁16から車幅方向に沿う内側に向けて突出している。
【0038】
第2の結合片37a,37b,37cは、夫々挿通孔42a,42b,42cを有している。挿通孔42a,42b,42cは、締結具としての第2のボルト43を通すためのものである。最上位に位置する第2の結合片37aの挿通孔42aは、第2のボルト43のねじ部がきっちりと嵌まり合うような径を有している。中間に位置する第2の結合片37bの挿通孔42bは、第2のボルト40のねじ部よりも大きな径を有する。最下位に位置する第2の結合片37cの挿通孔42cは、フロントコーナパネル15の高さ方向に延びる長孔となっている。
【0039】
このため、図9に挿通孔42bの部分を代表して示すように、挿通孔42b,42cの内面と第2のボルト43との間に、フロントコーナパネル15の取り付け姿勢を微調整するための隙間44が形成されるようになっている。
【0040】
第2のボルト43は、キャブ1の前面にねじ込まれる。具体的に述べると、図2に示すように、キャブ1の前面に第2の固定部としてのナット45a,45b,45cが設けられている。ナット45a,45b,45cは、第2の結合片37a,37b,37cに対応している。
【0041】
最上位の第2の結合片37aに対応するナット45aは、ダッシュボード5に直接溶接されている。中間の第2の結合片37bに対応するナット45bは、アッパステイ46に溶接されている。アッパステイ46は、フロントピラー6の下部6bの前面に一対のボルト47を介して固定されている。最下位の第2の結合片37cに対応するナット45cは、ロアステイ48に形成されている。ロアステイ48は、一対のボルト49およびナット50を介してダッシュボード5の前面の下端に固定されている。
【0042】
したがって、フロントコーナパネル15は、第1の結合片36a,36b,36c,36dを第1のボルト29を介してブラケット23に固定するとともに、第2の結合片37a,37ba,37cを第2のボルト43を介してキャブ1の前面に固定することで、キャブ1に一体的に組み付けられる。
【0043】
上記クリップ38は、第2の係合部の一例であって、例えばゴムあるいは合成樹脂のような弾性を有する材料で造られている。
【0044】
図12ないし図14に示すように、グリップ38は、支持部53と嵌合部54とを一体に備えている。支持部53は、一対の円盤状の挾持部55a,55bと、これら挾持部55a,55bの間に同軸状に介在された軸部56とで構成されている。挾持部55a,55bは、互いに間隔を存して向かい合っている。
【0045】
嵌合部54は、上記係合孔34よりも大径な円柱状の基部54aを有している。基部54aは、支持部53と同軸状をなすとともに、この基部54aと支持部53との境界部分に小径部57とフランジ部58が一体に形成されている。
【0046】
小径部57の外径は、係合孔34の内径と同等もしくは若干大きく形成されている。フランジ部58は、挾持部55a,55bと同等の外径を有するとともに、小径部57と隣り合っている。フランジ部58は、嵌合部54の軸方向に弾性変形が可能となっている。嵌合部54は、フランジ部58から軸方向に遠ざかるに従い径が減じられており、その支持部53とは反対側の先端が先細り状に尖っている。
【0047】
図3に示すように、クリップ38は、フロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面に保持されて、フロントコーナパネル15の高さ方向に沿う中間部に位置している。フロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面に一対のホルダ60が一体に形成されている。図12ないし図14に示すように、ホルダ60は、サイド部分15bの内面とブラケット23の支持面33との間に介在される支持壁61を有している。
【0048】
図15に示すように、支持壁61は、クリップ38の軸部56が取り外し可能に嵌合する嵌合孔62と、軸部56を嵌合孔62に導くガイド溝63とを有している。嵌合孔62は、支持壁61の中央部に位置している。ガイド溝63は、支持壁61の後縁と嵌合孔62との間を結んでいるとともに、その開口幅が嵌合孔62の方向に進むに従い次第に減じられている。
【0049】
ガイド溝63と嵌合孔62との連続部分に一対の係止片64a,64bが形成されている。係止片64a,64bは、嵌合孔62の径方向に向かい合うとともに、嵌合孔62の径方向内側に向けて張り出している。係止片64a,64bは、互いに近づいたり遠ざかる方向に弾性変形が可能となっている。
【0050】
クリップ38をフロントコーナパネル15に組み付けるには、図15に矢印で示すように、支持部53の軸部56をフロントコーナパネル15の後方からガイド溝63を通じて嵌合孔62に押し込む。これにより、軸部56が係止片64a,64bを弾性変形させつつ嵌合孔62に嵌合する。それとともに、係止片64a,64bが軸部56の挿入方向とは反対側から軸部56の外周面に引っ掛かる。
【0051】
さらに、ホルダ60の支持壁61がクリップ38の挾持部55a,55bの間に入り込み、これら挾持部55a,55bによって挟み込まれる。この結果、クリップ38は、嵌合部54をフロントコーナパネル15のサイド部分15bの内面から突出させた状態でホルダ60に保持される。
【0052】
図14に矢印で示すように、クリップ38の嵌合部54は、キャブ1の側方からブラケット23の係合孔34に向けて押し込まれる。この押し込みにより、嵌合部54が弾性変形しつつ係合孔34に入り込み、嵌合部54の小径部57が係合孔34に嵌合する。小径部57が係合孔34に嵌合した状態では、フランジ部58が弾性変形しつつブラケット23の支持面33に接触するとともに、係合孔45の開口縁が嵌合部54の基部54aと小径部57とで規定される段差に引っ掛かる。
【0053】
この結果、クリップ38の嵌合部54が係合孔34に突き刺さった状態に保持され、フロントコーナパネル15がキャブ1の所定の位置に仮止めされる。
【0054】
図1に示すように、キャブ1は、フロントコーナパネル15からドア11に至る溝状の装飾ライン66を有している。装飾ライン66は、フロントコーナパネル15に形成された第1のライン部67aと、ドア11の側面に形成された第2のライン部67bとで構成されている。第1のライン部67aと第2のライン部67bとは、フロントコーナパネル15とドア11との境界部分で互いに連続している。
【0055】
本実施の形態によると、フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける際に、第2のライン部67bが第1のライン部67aに連続するようにフロントコーナパネル15をキャブ1に宛がうことで、クリップ38の嵌合部54とブラケット23の係合孔34との位置合せがなされる。
【0056】
次に、フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける手順について説明する。
【0057】
フロントコーナパネル15の組み付け工程は、キャブ1の生産ライン上に配されている。この生産ライン上に定められた組み付けポジションにキャブ1が搬送される時点では、キャブ1がシャーシに搭載されているとともに、キャブ1にドア11が取り付けられている。作業者は、生産ライン上を搬送されるキャブ1に手作業でフロントコーナパネル15を組み付けていく。
【0058】
フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付けるに当っては、まず最初にブラケット23をフロントピラー6の下部6bにボルト26を介して固定する。
【0059】
次に、フロントコーナパネル15を手で把持し、このフロントコーナパネル15の第1のライン部67aがドア11の第2のライン部67bに連続するようにフロントコーナパネル15をキャブ1に宛がう。これにより、図14に示すように、フロントコーナパネル15に保持されたクリップ38の嵌合部54がブラケット23の係合孔34と向かい合う。この状態で、フロントコーナパネル15をブラケット23に向けて押し込むと、クリップ38の嵌合部54がブラケット23の係合孔34に嵌合し、フロントコーナパネル15がブラケット23に保持される。
【0060】
クリップ38は、フロントコーナパネル15の高さ方向に離間した二箇所に位置するので、クリップ38の嵌合部54をブラケット23の係合孔34に嵌合させただけの状態でも、フロントコーナパネル15は回転することなくキャブ1の定位置に仮止めされる。そのため、作業者がフロントコーナパネル15から手を離しても、フロントコーナパネル15はキャブ1に保持された状態を維持する。
【0061】
フロントコーナパネル15をキャブ1に仮止めした状態では、第1の結合片36a,36b,36c,36dの挿通孔39a,39b,39c,39dがブラケット23の貫通孔28と合致する。同様に、第2の結合片37a,37b,37cの挿通孔42a,42b,42cがキャブ1のナット45a,45b,45cと合致する。
【0062】
次に、第2の結合片37a,37b,37cの挿通孔42a,42b,42cに夫々フロントコーナパネル15の前方から第2のボルト43を挿通し、これら第2のボルト43をナット45a,45b,45cにねじ込む。このねじ込みにより、フロントコーナパネル15のフロント部分15aがキャブ1の前面に固定される。
【0063】
この際、ねじ孔45b,45cは、ダッシュボード5に直接溶接されておらず、ダッシュボード5とは別の部品であるアッパステイ46およびロアステイ48に溶接されている。そのため、例えばアッパステイ46およびロアステイ48の寸法誤差あるいは各ステイ46,48とダッシュボード5との固定部分に生じる寸法公差の影響を受けてナット45b,45cと第2の結合片37b,37cの挿通孔42b,42cとの間にずれが生じることがあり得る。
【0064】
しかるに、本実施の形態では、挿通孔42bが第2のボルト43よりも径が大きい孔であるとともに、挿通孔42cが上下方向の長孔となっている。このため、ナット45aにねじ込まれた第2のボルト43を支点としてフロントコーナパネル15を回動させることで、挿通孔42b,42cとナット45b,45cとが合致するようにフロントコーナパネル15をずらすことができる。
【0065】
言い換えると、挿通孔42b,42cと第2のボルト43のねじ部との間に隙間44が存在するので、この隙間44の分だけフロントコーナパネル15の姿勢を微調整できる。
【0066】
さらに、フロントコーナパネル15を回動させることで、フロントコーナパネル15の前縁16とフロントパネル7の側縁7a,7bとの間の隙間が均等となるようにフロントコーナパネル15の姿勢を微調整できる。
【0067】
フロントコーナパネル15のフロント部分15aの固定が完了した後、ドア11を開放する。これにより、フロントピラー6の後面、ブラケット23の第1の部分24およびフロントコーナパネル15の第1の結合片36a,36b,36c,36dがドア開口部8に露出する。
【0068】
次に、第1の結合片36a,36b,36c,36dの挿通孔39a,39b,39c,39dに夫々ドア開口部8を通じて第1のボルト29を挿通し、これら第1のボルト29をブラケット23のナット30a,30b,30c,30dにねじ込む。このねじ込みにより、サイド部分15bがフロントピラー6に固定され、一連のフロントコーナパネル15の組み付け作業が完了する。
【0069】
本実施の形態によると、第1のボルト29のねじ部と挿通孔39a,39b,39c,39dとの間に隙間40が存在する。このため、上記のようにフロントコーナパネル15を回動させることで、隙間40の分だけドア11とフロントコーナパネル15との相対的な位置合せを実行することができ、フロントコーナパネル15の後縁17とドア11の前端との間の隙間が均等となるようにフロントコーナパネル15の姿勢を微調整できる。
【0070】
この結果、フロントコーナパネル15の前縁16とフロントパネル7の側縁7a,7bとの間の隙間が均等となることと合わせて、フロントパネル7、フロントコーナパネル15およびドア15を精度よく位置合せすることができ、キャブ1の外観が良好となる。
【0071】
本発明の実施の形態によれば、フロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける時に、フロントコーナパネル15をフロントピラー6に仮止めすることができる。フロントコーナパネル15を仮止めした状態では、第1の結合片36a,36b,36c,36dがブラケット32のナット30a,30b,30c,30dと合致し、第2の結合片37a,37b,37cがキャブ1のナット45a,45b,45cと合致するようにフロントコーナパネル15の位置が定まる。
【0072】
このため、第1のボルト29をナット30a,30b,30dに容易にねじ込むことができるとともに、第2のボルト43をナット45a,45b,45cに容易にねじ込むことができる。加えて、第1および第2のボルト29,43をナット30a,30b,30d,45a,45b,45cにねじ込む際に、作業者はフロントコーナパネル15を手で支える必要はない。
【0073】
したがって、フロントコーナパネル15を一方の手で支えながら、他方の手で第1および第2のボルト29,43を締め付けるといった面倒で手間のかかる作業が不要となり、たとえフロントコーナパネル15が重く大きなものとなっても、フロントコーナパネル15の組み付け時の作業性が良好となる。
【0074】
この結果、キャブ1に対するフロントコーナパネル15の組み付け作業を短時間のうちに効率良く行うことができ、既存の生産ラインを特に変更することなくフロントコーナパネル15の組み付けが可能となる。
【0075】
一方、例えばトラックの定期点検時にキャブ1からフロントコーナパネル15を取り外すには、ボルト26を緩めてブラケット23とフロントピラー6との固定を解除するとともに、第2のボルト43を緩めてフロントコーナパネル15のフロント部分15aとキャブ1との固定を解除する。
【0076】
これにより、フロントコーナパネル15をブラケット23と一緒にキャブ1から取り外すことができる。言い換えると、フロントコーナパネル15とブラケット23とを分離させる必要がないので作業工数が少なくて済み、フロントコーナパネル15の取り外し作業を効率良く行える。
【0077】
取り外したフロントコーナパネル15を再度キャブ1に組み付ける場合、人手を確保できる場合は、フロントコーナパネル15とブラケット23とを分離させずにキャブ1に組み付ける。逆に人手を確保できずに一人の作業者がフロントコーナパネル15の取り付け作業を行う場合は、予め第1の固定ボルト29を緩めるとともに、クリップ38の嵌合部54をブラケット23の係合孔34から引き抜くことで、フロントコーナパネル15とブラケット23とを分離させる。
【0078】
この分離作業が完了したら、ブラケット23をフロントピラー6に固定した後、上記と同様の手順でフロントコーナパネル15をキャブ1に組み付ける。
【0079】
なお、本発明に係る車両は、キャブオーバ形のトラックに限定されるものではなく、例えば大型バスのようなその他の車両においても同様に実施可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態に係るキャブオーバ型トラックのキャブの斜視図。
【図2】本発明の実施の形態において、キャブとフロントコーナパネルとの位置関係を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態において、フロントピラー、ブラケットおよびフロントコーナパネルの位置関係を示す斜視図。
【図4】本発明の実施の形態に係るフロントコーナパネルの正面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るフロントコーナパネルの側面図。
【図6】図4のF6-F6線に沿う断面図。
【図7】図4のF7-F7線に沿う断面図。
【図8】図4のF8-F8線に沿う断面図。
【図9】図4のF9-F9線に沿う断面図。
【図10】図4のF10-F10線に沿う断面図。
【図11】図4のF11-F11線に沿う断面図。
【図12】図4のF12-F12線に沿う断面図。
【図13】本発明の実施の形態において、クリップの嵌合部をブラケットの係合孔に嵌合させた状態を示す断面図。
【図14】本発明の実施の形態において、フロントコーナパネル、クリップおよびブラケットの係合孔の位置関係を示す断面図。
【図15】本発明の実施の形態において、フロントコーナパネルのホルダの断面図。
【符号の説明】
【0081】
1…キャブ、6…フロントピラー、8…ドア開口部、15…フロントコーナパネル、23…ブラケット、24…第1の部分、25…第2の部分、29,43…締結具(第1のボルト、第2のボルト)、30a,30b,30c,30d…第1の固定部(ナット)、34…第1の係合部(係合孔)、36a,36b,36c,36d…第1の結合部(第1の結合片)、37a,37b,37c…第2の結合部(第2の結合片)、38…第2の係合部(クリップ)、45a,45b,45c…第2の固定部(ナット)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャブの前端の左右両側部に配置され、上記キャブの側面に開口するドア開口部の前縁を規定するフロントピラーと、
上記フロントピラーの下部に固定されるブラケットと、
上記フロントピラーの下部を上記キャブの外側から覆うとともに、上記キャブの前面から側面に回り込むフロントコーナパネルと、を具備し、
上記ブラケットは、上記ドア開口部に臨む複数の第1の固定部を有する第1の部分と、上記第1の部分から上記キャブの前方向へ延出するとともに、上記フロントピラーの高さ方向に離間した複数の第1の係合部を有する第2の部分と、を含み、
上記フロントコーナパネルは、上記ブラケットの第1の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第1の結合部と、上記キャブの前面に位置する複数の第2の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第2の結合部と、上記ブラケットの第1の係合部に取り外し可能に係合する複数の第2の係合部と、を含み、
上記フロントコーナパネルの第2の係合部を上記ブラケットの第1の係合部に係合させることで、上記フロントコーナパネルが上記キャブに保持されるとともに、上記フロントコーナパネルの第1および第2の結合部と上記第1および第2の固定部とが互いに合致することを特徴とする車両のパネル取り付け構造。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記フロントコーナパネルの第1および第2の結合部は、上記フロントピラーの高さ方向に間隔を存して配置されているとともに、上記フロントコーナパネルの第2の係合部は、上記フロントコーナパネルの高さ方向の中間部に配置され、上記第2の係合部よりも下方に位置する上記第2の結合部と上記締結具との間、および上記第1の結合部と上記締結具との間に夫々隙間が形成されていることを特徴とする車両のパネル取り付け構造。
【請求項1】
キャブの前端の左右両側部に配置され、上記キャブの側面に開口するドア開口部の前縁を規定するフロントピラーと、
上記フロントピラーの下部に固定されるブラケットと、
上記フロントピラーの下部を上記キャブの外側から覆うとともに、上記キャブの前面から側面に回り込むフロントコーナパネルと、を具備し、
上記ブラケットは、上記ドア開口部に臨む複数の第1の固定部を有する第1の部分と、上記第1の部分から上記キャブの前方向へ延出するとともに、上記フロントピラーの高さ方向に離間した複数の第1の係合部を有する第2の部分と、を含み、
上記フロントコーナパネルは、上記ブラケットの第1の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第1の結合部と、上記キャブの前面に位置する複数の第2の固定部に夫々締結具を介して固定される複数の第2の結合部と、上記ブラケットの第1の係合部に取り外し可能に係合する複数の第2の係合部と、を含み、
上記フロントコーナパネルの第2の係合部を上記ブラケットの第1の係合部に係合させることで、上記フロントコーナパネルが上記キャブに保持されるとともに、上記フロントコーナパネルの第1および第2の結合部と上記第1および第2の固定部とが互いに合致することを特徴とする車両のパネル取り付け構造。
【請求項2】
請求項1の記載において、上記フロントコーナパネルの第1および第2の結合部は、上記フロントピラーの高さ方向に間隔を存して配置されているとともに、上記フロントコーナパネルの第2の係合部は、上記フロントコーナパネルの高さ方向の中間部に配置され、上記第2の係合部よりも下方に位置する上記第2の結合部と上記締結具との間、および上記第1の結合部と上記締結具との間に夫々隙間が形成されていることを特徴とする車両のパネル取り付け構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−114619(P2008−114619A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−296957(P2006−296957)
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年10月31日(2006.10.31)
【出願人】(303002158)三菱ふそうトラック・バス株式会社 (1,037)
【Fターム(参考)】
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