説明

車両のパーツの診断システム、コンピュータプログラム、及び、車両のパーツの診断方法

【課題】ユーザーによって使用状態が異なるパーツであっても、その使用状態を考慮して当該パーツの劣化を診断する。
【解決手段】プローブ車両3に搭載されているパーツであってユーザーによって使用状態が異なるパーツの劣化を診断する車両のパーツの診断システムである。パーツの使用状態に関する使用情報として、パーツの動作時間に関する情報を取得する取得部21と、この使用情報に基づいてパーツの使用実績を累積した累積情報として、パーツの動作時間の累計値に関する情報を生成する生成部22と、この累積情報に基づいてパーツの劣化の度合いとして、パーツの寿命又は交換時期を判定する判定部23とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両が備えているパーツの診断システム、この診断システムのためのコンピュータプログラム、及び、前記パーツの診断方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車等の車両が備えている各種のパーツの交換時期の判断は、従来、次のようにして行われている。例えば車検時において、自動車整備工場の作業員が、目視や計測器を用いて各種のパーツを点検し、当該作業員の知見等に基づいて、何ヶ月後又は何Km走行後に当該パーツの交換が必要となるかを推定し、おおまかな交換時期を判断している。そして、その交換時期を作業員が車両のユーザー(ドライバ)に伝えている。
【0003】
しかし、作業員による前記判断は、交換時期の目安になる程度であり、例えば、ヘッドライトやワイパー装置のゴム等、パーツの種類によっては、車検後の使用状態が大きく変化すると、その劣化の度合いが前記目安と著しく異なることもある。
【0004】
また、各種のパーツには、そのメーカーが推奨する交換時期が定められているものがある。この場合、例えば特許文献1に開示されているように、タグチップに、パーツの製品名称の他、製造年月日を示す情報が記憶されており、このタグチップが当該パーツに取り付けられている。
そして、例えば車検時において、作業員が、読み取り装置によってタグチップへ無線電力を送出し、タグチップから製造年月日を読み取り、メーカーが推奨する交換時期と照らし合わせ、交換の要否を判断することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−157767号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように従来では、例えば車検時において、作業員がパーツの交換時期(寿命)を推定したり、その場で交換の要否を判断したりしているが、車検時以降におけるパーツの使用状態は、考慮されない。
すなわち、ドライバによってそのパーツの使用状態が、その後において大きく変動すると、つまり、例えばヘッドライトを点灯させる機会が極端に多くなると、予想されていた時期よりも早く劣化が進んで、例えば夜道で突然ヘッドライトが不能となってしまうおそれがある。
【0007】
そこで、本発明は、ユーザーによって使用状態が異なるパーツであっても、その使用状態を考慮して当該パーツの劣化を診断することができる車両のパーツの診断システム、コンピュータプログラム、及び、車両のパーツの診断方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は、車両に搭載されているパーツであってユーザーによって使用状態が異なるパーツの劣化を診断する車両のパーツの診断システムであって、前記パーツの使用状態に関する使用情報を取得する取得部と、前記使用情報に基づいて前記パーツの使用実績を累積した累積情報を生成する生成部と、前記累積情報に基づいて前記パーツの劣化の度合いを判定する判定部とを備えていることを特徴とする。
本発明によれば、車両に搭載されているパーツの使用状態に関する使用情報、及び、これに基づく当該パーツの使用実績を累積した累積情報により、パーツの劣化の度合いが判定される。このため、ユーザーによって使用状態が異なるパーツであっても、その使用状態を考慮して当該パーツの劣化を診断することが可能となる。したがって、例えば、車両を購入してからの経過年数のみ又はパーツを新規品に交換してからの経過年数のみに基づいて、パーツの劣化を判断する場合と比べると、本発明によれば、正確な判断が可能となる。なお、前記使用状態とは、使用の有無(使用しているか、使用していないか)や、1回の使用における使用量(使用している場合に、高レベルで使用しているのか、小レベルで使用しているのか)等を意味する。
【0009】
(2)また、前記取得部は、前記使用情報として前記パーツの動作時間に関する情報を取得し、前記生成部は、前記累積情報として前記パーツの動作時間の累積値に関する情報を生成し、前記判定部は、前記パーツの動作時間の累積値に関する情報に基づいて、前記パーツの劣化の度合いとして当該パーツの寿命又は交換時期を判定する。
この場合、車両に搭載されているパーツの動作時間に関する情報、及び、この情報に基づいて生成された当該パーツの動作時間の累積値に関する情報により、パーツの寿命又は交換時期が判定される。このため、ユーザーによって使用状態が異なるパーツであっても、その使用状態を考慮して当該パーツの劣化を診断することが可能となる。
【0010】
(3)また、前記車両のパーツの診断システムは、前記パーツごとの耐用に関する耐用情報を記憶するデータベースを備え、前記判定部は、前記データベースの前記耐用情報と前記累積情報とを比較して、前記パーツの劣化の度合いを判定するのが好ましい。
この場合、データベースに蓄積されている耐用情報と、実際に取得されたパーツの累積情報とを比較して、当該パーツの劣化の度合いが判定される。なお、パーツについての「耐用に関する耐用情報」とは、例えば、当該パーツのメーカーが推奨する耐用年数についての情報である。
【0011】
(4)また、車両に搭載され無線通信機能を有する車載装置に、前記パーツの実耐用に関する情報を更に取得可能である前記取得部が設けられ、前記車載装置との間で無線通信が可能であるインフラ装置に、前記データベースが設けられている前記(3)に記載の車両のパーツの診断システムであって、前記インフラ装置は、前記車載装置から送信され前記インフラ装置が取得したパーツの実耐用に関する情報に基づいて、前記データベースに記憶されている当該パーツの耐用に関する耐用情報を更新する更新部を備えているのが好ましい。
【0012】
この場合、パーツの実耐用に関する情報が取得部によって取得されていくにしたがって、当該パーツの実耐用に関する情報に基づいて、データベースの耐用に関する耐用情報が更新される。このため、データベースの情報を、実耐用に関する情報に近づける学習が可能となる。すなわち、例えばパーツの実際の耐用年数(実耐用に関する情報)が、メーカーが推奨する耐用年数(データベースにおける耐用情報)と異なっていても、実際の耐用年数に基づいて、データベースが更新され、この更新後の情報に基づいて、判定部は、パーツの劣化の度合いを判定することができるようになる。
【0013】
(5)また、本発明のコンピュータプログラムは、前記車両のパーツの診断システムを構成する機能部(取得部、生成部及び判定部)の各機能を実行させるためのものであり、当該診断システムと同様の作用効果を奏する。なお、このコンピュータプログラムに含まれている各ステップは、複数のコンピュータによって実行されていてもよい。
(6)また、本発明の車両のパーツ診断方法は、前記診断システムが実行する方法であり、当該診断システムと同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、車両に搭載されているパーツの使用状態に関する使用情報、及び、これに基づく当該パーツの使用実績を累積した累積情報により、パーツの劣化の度合いが判定される。このため、ユーザーによって使用状態が異なるパーツであっても、その使用状態を考慮して当該パーツの劣化を診断することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車両のパーツの診断システムを有するプローブ情報システムを示す全体構成図である。
【図2】診断方法を説明するフロー図である。
【図3】診断方法を説明するフロー図である。
【図4】診断方法を説明するフロー図である。
【図5】診断方法を説明するフロー図である。
【図6】(a)は実使用データベースの例であり、(b)耐用データベースの例である。
【図7】耐用データベースの更新を説明するフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を説明する。
〔システムの全体構成〕
図1は、車両のパーツの診断システムを有するプローブ情報システム1を示す全体構成図である。このプローブ情報システム1は、インフラ(インフラストラクチャー)側の装置であるプローブセンタ2と、道路を走行する多数のプローブ車両3に搭載されている車載装置4とを備えている。
【0017】
前記診断システムは、プローブ車両3に搭載されているパーツの劣化を診断する機能を有しており、この診断の対象となるパーツ(以下、対象パーツという)は、当該車両3のユーザーによって使用状態が異なるパーツである。具体的に説明すると、対象パーツとして、プローブ車両3に設けられているヘッドライト31やワイパー装置32等があり、例えば、夜間に走行する比率が高いドライバが運転するプローブ車両3は、ヘッドライト31を点灯させる機会が多い。このように、対象パーツは、ドライバによって使用状態が変動するパーツである。
【0018】
各プローブ車両3の車載装置4は、インターネット等のネットワーク5に無線で通信可能な通信インタフェースである通信装置16と、通信装置16で受信した各種情報及びプローブ車両3において取得された対象パーツに関する情報を処理する車載コンピュータ17とを備えている。車載コンピュータ17は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなコンピュータ等よりなる。
【0019】
車載装置4は、プローブ車両3に搭載されているものであればその構造は何ら限定されるものではなく、例えば、プローブ車両3に備え付けであって通信機能を有している専用の車載端末装置であってもよいし、通信装置16が携帯電話機であってこの携帯電話機を車載コンピュータ17に接続して構成したものであってもよい。
【0020】
そして、各プローブ車両3の車載装置4(車載コンピュータ17)は、所定の時間ごと、又は、所定の走行距離ごとにプローブ情報D1を生成し、自身の車両IDをそのプローブ情報D1に含めてネットワーク5に送信する。
プローブ情報D1は、実際に道路を走行するプローブ車両3において得られる車両に関する情報のことをいい、車両ID、車両位置、車両時刻及び車両速度等がこれに含まれる。そして、本実施形態では、プローブ情報D1には、後に説明する対象パーツの「使用情報」が含まれる。
【0021】
各プローブ車両3の車載コンピュータ17は、当該プローブ車両3に搭載されている対象パーツの使用状態に関する「使用情報」を取得する機能を有しており、自身の車両IDと共に使用情報を、プローブ情報D1に含めてネットワーク5に送信する。
例えば、対象パーツがヘッドライト31の場合、その点灯時間(動作時間)が車載コンピュータ17(後述する取得部21)によってカウントされ、このカウント値の情報及び当該対象パーツのパーツIDが「使用情報」として、プローブ情報D1に含まれる。この「使用情報」の取得等の処理については、後にも説明する。
【0022】
プローブセンタ2は、前記ネットワーク5に接続された通信インタフェースである通信装置6と、この通信装置6で受信した各種情報を処理するセンタコンピュータ7とを備えている。センタコンピュータ7は、CPU、メモリ(RAM)及び記憶装置(ROM)を有するプログラマブルなサーバコンピュータ等よりなる。
プローブセンタ2は、ネットワーク5の通信範囲に存在するプローブ車両3の車載装置4との間で双方向通信が可能である。
【0023】
センタコンピュータ7は、ネットワーク5を通じて通信装置6が受信した各プローブ車両3からの前記プローブ情報D1を取得及び収集することができる。そして、センタコンピュータ7は、車両IDごとに収集したプローブ情報D1に基づいて、例えば、渋滞状況及びリンク旅行時間等よりなる交通情報D2を生成することができる。
【0024】
また、センタコンピュータ7は、車両IDごとに収集したプローブ情報D1(使用情報)に基づいて、当該車両IDに対応するプローブ車両3の対象パーツごとの劣化の度合いに関する診断情報D3を生成する。この診断情報D3の生成については後に説明する。
そして、前記交通情報D2及び前記診断情報D3は、通信装置6によって、ネットワーク5に送信され、プローブ車両3は、これら情報D2,D3を取得し、そのドライバは活用することができる。
【0025】
〔診断システムの概略〕
診断システムが、プローブ車両3に搭載されている対象パーツの劣化を診断する処理を実行するために、当該診断システムは、コンピュータプログラムが実行する機能実現手段として、取得部21と、生成部22と、判定部23とを有している。
そこで、本実施形態では、車載装置4が、当該車載装置4(車載コンピュータ17)のコンピュータプログラムによって実行される機能実現手段として、前記取得部21を有しており、センタコンピュータ7が、当該センタコンピュータ7のコンピュータプログラムによって実行される機能実現手段として、前記生成部22と前記判定部23とを有している。なお、これら取得部21と生成部22と判定部23との配置は、これ以外であってもよい。
【0026】
前記取得部21は、ヘッドライト31等の対象パーツの使用状態(オン/オフや動作負荷)に関する前記「使用情報」を、取得する機能を有している。
前記生成部22は、この「使用情報」に基づいて、ヘッドライト31等の対象パーツの動作時間(点灯時間)を累積した累積情報を生成する機能を有している。
そして、前記判定部23は、生成部22によって生成された累積情報に基づいて、ヘッドライト31等の対象パーツの劣化の度合いを判定する機能を有している。
【0027】
このように、センタコンピュータ7と車載コンピュータ17との共同によって、本発明の車両のパーツの診断システムによる診断方法を行うためには、その診断のためのコンピュータプログラムを、センタコンピュータ7及び車載コンピュータ17それぞれにインストールすればよい。コンピュータプログラムは、CD−ROMやDVD−ROM等の記憶媒体に格納されており、譲渡等することができる。また、このプログラムの譲渡は、ネットワーク経由でダウンロード可能に格納されたサーバから、ダウンロードされることで行われてもよい。
前記の各機能実現手段(機能部)よって実行される診断の手順については、後に説明する。
【0028】
〔診断システムのための車載装置及びプローブ車両の構成〕
プローブ車両3は、ドライバの搭乗席(図示せず)を有する車体10を備え、この車体10に、エンジン、ブレーキ装置及び速度検出器等が搭載されている他に、前記車載装置4、及び、車両3の各部を制御する電子制御装置(ECU)11が搭載されている。
ECU11は、ドライバのアクセル操作に基づくエンジンの駆動制御や、ブレーキ操作に基づく制動制御等の他、前記対象パーツの動作(オン/オフや動作負荷の強弱)等の各種の制御を行う。
【0029】
プローブ車両3は、対象パーツとして、ヘッドライト31及びワイパー装置32等を備えており、ECU11は、ドライバのスイッチ切り替え操作に起因して、ヘッドライト31及びワイパー装置32の使用状態を変更することができる。つまり、使用状態の変更として、ヘッドライト31を点灯させたり(オン)、消灯させたり(オフ)することができる。また、ワイパー装置を動作させたり(オン)、停止させたり(オフ)することができる。さらに、その動作負荷として、ヘッドライト31の発光の強弱や、ワイパー装置32の動作速度等を切り替えたりすることができる。
【0030】
車載装置4は、前記車載コンピュータ17、この車載コンピュータ17の通信インタフェースに接続された前記通信装置16の他に、ドライバに対するヒューマンインタフェースとしてのディスプレイ19及びスピーカ装置20を備えており、また、GPSやDGPS等よりなる位置検出部15と、時刻修正機能を有する電波時計等よりなる時計装置18とが、車載コンピュータ17のインタフェースに接続されている。
【0031】
車載コンピュータ17は、所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムによって実行される機能部として、前記取得部21を有している。この取得部21は、対象パーツの使用状態に関する「使用情報」を取得する。後にも説明するが「使用情報」には、対象パーツの動作時間のカウント値の情報と、当該対象パーツのパーツIDとが含まれている。取得部21の具体的な機能については、後に説明する。
そして、プローブ車両3側において、取得部21により取得された前記「使用情報」を、プローブ情報D1に含ませ、当該プローブ情報D1は、通信装置16によってネットワーク5に送信される。
【0032】
〔診断システムのためのセンタコンピュータの構成〕
プローブセンタ2は、前記センタコンピュータ7と、このセンタコンピュータ7の通信インタフェースに接続された前記通信装置6とを備えている。
センタコンピュータ7は、所定の各機能を実行するプログラムを記憶装置に格納しており、このプログラムが実行する機能部として、前記生成部22及び前記判定部23を有しており、さらに、本実施形態では、更新部26を有している。さらに、プローブセンタ2は、実使用データベース24と、耐用データベース25とを備えている。実使用データベース24、耐用データベース25、生成部22、判定部23及び更新部26については後に説明する。
【0033】
そして、プローブ車両3側からネットワーク5に送信された前記プローブ情報D1を、プローブセンタ2は、通信装置6によって受信することができ、センタコンピュータ7は、このプローブ情報D1に含まれている前記「使用情報」を取得する。なお、プローブ情報D1には、車両IDが含まれていることから、プローブセンタ2側では、車両IDごとにプローブ情報D1を認識することができる。
また、この「使用情報」には、上記のとおり、対象パーツの動作時間のカウント値の情報と、当該対象パーツのパーツIDとが含まれていることから、プローブセンタ2側では、車両IDごとであってかつ対象パーツごとの前記カウント値の情報を認識することができる。
【0034】
〔車両のパーツの診断方法について〕
プローブ車両3側において、車載コンピュータ17の前記取得部21は、ヘッドライト31やワイパー装置32等の対象パーツの使用状態(オン/オフや動作負荷)に関する前記「使用情報」を、取得することができる。なお、取得部21は、「使用情報」を、ECU11を通じて取得したり、各対象パーツのスイッチからの信号に基づいて取得したりすることができる。以下、「使用情報」の取得についての具体例を説明する。図2、図3、図4及び図5は、診断方法を説明するフロー図である。
【0035】
対象パーツがヘッドライト31の場合、搭乗席のドライバによるスイッチ操作に起因してヘッドライト31の点灯が開始されると(ステップS1)、その点灯時間(動作時間)が、例えばECU11を通じて車載コンピュータ17の取得部21によってカウントされる(ステップS2、ステップS3)。例えばヘッドライト31の点灯開始時から点灯終了時までが二時間であったならば、その時間が点灯時間(動作時間)であり、その点灯時間(動作時間)を、取得部21が取得する。
【0036】
そして、ヘッドライト31の点灯時間を意図するカウント値の情報、及び、そのヘッドライト31のパーツIDを使用情報として、取得部21が取得し、車載コンピュータ17によって、この使用情報をプローブ情報D1に含ませる(ステップS4)。本実施形態では、取得部21は使用情報として、対象パーツの動作時間に関する情報を取得している。
また、対象パーツの動作負荷の強弱についての情報もプローブ情報D1に含ませてもよい。つまり、ヘッドライト31による発光の強弱についての情報も含ませてもよい。この場合、例えば、カウント値に所定の係数(1より大きい係数)を乗算し、そのカウント値を使用情報とすればよい。
【0037】
このように、各プローブ車両3の車載コンピュータ17は、当該プローブ車両3に搭載されている対象パーツの使用状態(オン/オフや動作負荷の強弱)に関する使用情報を取得する機能を有している。そして、自身の車両IDと共に使用情報を、プローブ情報D1に含め(ステップS1〜ステップS4)、ネットワーク5に送信する(ステップS5)。
【0038】
そして、プローブセンタ2側において、センタコンピュータ7は、ネットワーク5から前記プローブ情報D1を取得する(図3のステップS11)。このプローブ情報D1には、上記のとおり、対象パーツ(ヘッドライト31)の点灯時間を意図するカウント値の情報が、当該対象パーツ(ヘッドライト31)のパーツIDと対応付けられて使用情報として含まれている。また、この使用情報は、当該対象パーツが搭載されているプローブ車両3の車両IDと共に、プローブ情報に含まれている。
【0039】
このため、センタコンピュータ7は、車両IDごとに収集したプローブ情報D1に基づいて、前記生成部22及び前記判定部23が機能し、当該車両IDに対応するプローブ車両3の対象パーツごとの劣化の度合いに関する診断情報D3を生成する。これら前記生成部22及び前記判定部23の機能について、以下説明する。
【0040】
生成部22は、所定の車両IDを有するプローブ車両3について、そのヘッドライト31の点灯時間(動作時間)を累積した累積情報を、生成する(ステップS12)。例えば、今回、プローブ情報によって取得した使用情報が、ヘッドライト31を0.1時間点灯したことを意図している情報であった場合、今回以前に、前記実使用データベース24に蓄積されていたヘッドライト31の点灯時間に、0.1時間ぶんの情報を追加する処理を行う(ステップS13)。
【0041】
実使用データベース24は、図6(a)に示しているように、車両IDごとでありかつパーツIDごとに区画されており、対象パーツが使用されプローブ情報D1に含まれている使用情報を取得するごとに、その使用情報が意図する動作時間の累積値を記憶させる。なお、車両IDが1,3,4のプローブ車両には、同じメーカーによる3つの対象パーツが搭載されているので、パーツIDは1,2,3と同じである。
【0042】
つまり、本実施形態において、車両IDが「1」であり、対象パーツ(ヘッドライト31)のパーツIDが「1」である場合、今回以前に、実使用データベース24に既に蓄積されているヘッドライト31の点灯時間は、3000時間である。
そこで、生成部22は、今回の点灯時間である0.1時間を、この3000時間に加える処理を行い、この値(3000.1時間)を累計情報として、実使用データベース24に蓄積させる。このように、生成部22は、累積情報として、対象パーツの動作時間の累積値に関する情報を生成する。
【0043】
そして、所得部21によってプローブ情報D1に含まれている使用情報が取得されるごとに、生成部22は当該使用情報に基づいて、対象パーツの使用実績を累積した累積情報を生成し、実使用データベース24を更新する。
なお、上記のとおり、使用情報には、対象パーツのパーツIDが含まれているので、異なるパーツIDの使用情報が取得された場合には、生成部22は、当該パーツIDに応じて、対象パーツごとの使用実績を累計した累積情報を、実使用データベース上に生成する。また、異なる車両IDの場合も同様であり、当該車両IDに応じて、対象パーツごとの使用実績を累計した累積情報を、実使用データベース上に生成する。
【0044】
そして、判定部23は、生成部22によって生成された前記累積情報に基づいて、対象パーツの劣化の度合いを判定する(ステップS14)。すなわち、判定部23は、実使用データベース24に蓄積されていく累積情報と、後述の耐用データベース25に記憶されている耐用情報とを比較して、累積情報(動作時間の累積値)が、耐用情報を超えている場合、対象パーツの劣化の度合いとして、対象パーツの寿命又は交換時期に到達したと判定する(ステップS14のYes)。
【0045】
耐用データベース25は、図6(b)に示しているように、対象パーツのパーツIDごとに、その対象パーツの耐用に関する耐用情報が記憶されている。耐用情報は、対象パーツの交換時期又は寿命についての情報であり、初期状態では、メーカーの推奨値が記憶されているが、後に説明する更新部26によって、この耐用情報は更新される。
【0046】
判定部23の処理の具体例を説明する。例えば、パーツIDが「1」であるヘッドライト31についての耐用情報として、3500時間という情報が耐用データベースに記憶されている(図6(b)参照)。
上記のとおり3000.1時間の累積情報が、前記生成部22によって、実使用データベース24に蓄積されている場合、判定部23によって、累積情報(3000.1時間)は、耐用情報(3500時間)を超えていないと判定され(ステップS14のNo)、診断情報D3は生成されない。
【0047】
これに対して、判定部23によって、累積情報が、耐用情報を超えているとの判定がされた場合(ステップS14のYes)、診断情報D3を生成する(ステップS15)。診断情報D3は、判定の対象となった対象パーツは、耐用を超えている旨を示す情報であり、当該対象パーツのパーツIDと、判定の対象となっているプローブ車両3の車両IDとを含む情報である。この場合、対象パーツの交換が必要となることを意味している。
このように、判定部23は、対象パーツの動作時間の累積値に関する情報に基づいて、当該対象パーツの劣化の度合いとして、対象パーツの寿命又は交換時期を判定している。
【0048】
そして、診断情報D3が生成された場合、センタコンピュータ7は、この診断情報D3を判定結果として、通信装置6によってネットワーク5へ送信する(ステップS16)。なお、診断情報D3は、車両ID及びパーツIDとが含まれており、この診断情報D3は、通信装置6によって、ネットワーク5を介して当該車両IDに対応したプローブ車両3の車載装置4に提供される。
【0049】
前記車両IDに対応したプローブ車両3側において、通信装置16を介して、車載装置4が前記診断情報D3を取得すると(図4のステップS21)、車載コンピュータ17は、その診断情報D3が意図する内容を、ディスプレイ19に表示させたり、或いは、その内容の音声出力をスピーカ装置20から発声させたりして、ドライバに報知する(ステップS22)。つまり、対象パーツが寿命又は交換時期であることを意図する情報が、報知される。なお、ディスプレイ19とスピーカ装置20の双方で、ドライバに報知することにしてもよい。
【0050】
そして、診断情報D3が報知されることにより、対象パーツが例えば整備工場等で交換される。対象パーツが交換されると、ドライバは、車載コンピュータ17の入力インタフェースを用いて、対象パーツが交換された旨の情報を入力する(図5(a)ステップS31)。この情報が入力されると、対象パーツが交換された旨の情報に、当該対象パーツのパーツIDが対応付けられて、交換済み情報が、車載コンピュータ17によって生成され、この交換済み情報がプローブ情報D1に含まれ(ステップS32)、ネットワーク5を介してプローブセンタ2側へ送信される(ステップS33)。このプローブ情報D1にも、車両IDが含まれている。
【0051】
そして、プローブセンタ2側において、このプローブ情報D1を取得すると(図5(b)のステップS41)、前記交換済み情報に基づいて、センタコンピュータ7は、前記実使用データベース24(図6(a)参照)における、交換が済んだ対象パーツの累積値をリセットする(ステップS42)。例えば、車両IDが「1」であり、そのヘッドライト31(パーツIDが「1」)が交換された場合であれば、3000の値が0に更新される。つまり、実使用データベース24において、交換が済んだ対象パーツは未使用であることの更新がされる。
【0052】
〔耐用データベースの更新について〕
上記のとおり、プローブセンタ2が実使用データベース24及び耐用データベース25を備えており、耐用データベース25には、対象パーツごとの耐用に関する耐用情報が記憶されている。
そして、本実施形態では、センタコンピュータ7は、コンピュータプログラムが実行する機能実現手段として、耐用データベース25に記憶されている対象パーツの耐用に関する耐用情報を更新する更新部26を更に備えている(図1参照)。
【0053】
この更新部26を機能させるために、車載装置4側では、前記取得部21は、対象パーツの使用状態に関する前記「使用情報」の他に、「対象パーツの実耐用に関する情報」を更に取得可能である(図7のステップS51)。
「対象パーツの実耐用に関する情報」とは、対象パーツの寿命時期についての情報である。例えば対象パーツがヘッドライト31である場合に、取得部21は、例えばECU11を通じて、ヘッドライト31が故障したことの情報を取得することができる。つまり、ヘッドライト31を点灯させるべくドライバが操作しても、点灯しない場合に、その状態を、取得部21は検出することができる。この場合、取得部21は、ヘッドライト31が寿命時期に達したことを意図する「対象パーツの実耐用に関する情報」を取得する。
【0054】
そして、この「対象パーツの実耐用に関する情報」は、「使用情報」の場合と同様に、プローブ情報D1に含ませて、ネットワーク5に送信される(ステップS52)。そして、プローブセンタ2側において、前記プローブ情報D1を取得すると(ステップS53)、センタコンピュータ7の前記更新部26は、当該プローブ情報D1に含まれている「対象パーツの実耐用に関する情報」に基づいて、耐用データベース25に蓄積されている対象パーツの耐用に関する耐用情報を更新する(ステップS54、ステップS55)。
【0055】
なお、前記耐用情報の更新は、「対象パーツの実耐用に関する情報」に書き換える処理であるが、この更新は、一つのプローブ車両3のみから「対象パーツの実耐用に関する情報」が、プローブセンタ2側で収集されても行われず(ステップS54のNoの場合)、複数のプローブ車両3から収集された場合に、耐用データベース25の更新が行われる(ステップS54のYesの場合)。この場合、複数のプローブ車両3から収集された「対象パーツの実耐用に関する情報」の平均値を、書き換えることで、耐用データベース25の更新時期についての情報が、更新される(ステップS55)。
【0056】
耐用データベース25には、初期値として、対象パーツの交換時期について、メーカーが推奨する耐用年数が記憶されているが、この耐用年数は、実際の耐用年数と異なることがある。そこで、上記のように「対象パーツの実耐用に関する情報」が取得部21によって取得されていくにしたがって、当該「対象パーツの実耐用に関する情報」に基づいて、耐用データベース25の耐用に関する耐用情報が更新される。このため、耐用データベース25の情報を、実耐用に関する情報に近づける学習が可能となる。
【0057】
したがって、例えば対象パーツの実際の耐用年数が、メーカーが推奨する耐用年数と異なっていても、メーカーが推奨する耐用年数ではなく実際の耐用年数に基づいて、耐用データベース25が更新され、この更新後の情報に基づいて、判定部26は、対象パーツの劣化の度合いを判定することができるようになる。
【0058】
以上の前記実施形態に係る診断システムによって実行される、対象パーツの劣化を診断する方法は、対象パーツの使用状態に関する使用情報を取得し、この使用情報に基づいて対象パーツの使用実績を累積した累積情報を生成し、この累積情報に基づいて対象パーツの劣化の度合いを判定することによって行われる。
つまり、プローブ車両3に搭載されている対象パーツの使用状態に関する使用情報、及び、これに基づいて当該対象パーツの使用実績を累積した累積情報により、対象パーツの劣化の度合いが判定される。このため、ユーザーによって使用状態が異なるパーツであっても、その使用状態を考慮して当該パーツの劣化を診断することが可能となる。
【0059】
なお、対象パーツとして、主に、ヘッドライト31の場合を説明したが、その他の対象パーツも同様の処理を実行することで、劣化を診断することが可能となる。
なお、対象パーツとしては、ヘッドライト31、ワイパー装置32のゴム以外に、タイヤに制動力を加えるためのブレーキパッド、映像や音楽の情報が記憶されている光ディスク等の記憶媒体の再生装置(プレーヤ)、車載電気機器の電源となる車載バッテリー及びエンジンオイルがある。
【0060】
ブレーキパッドの場合、ブレーキが作動した回数、ブレーキが作動していた時間、及び、ブレーキが作動した際の車両の走行速度のうちの少なくとも一つを、使用状態に関する使用情報として取得する。そして、この使用情報に基づいて、ブレーキパッドの使用実績を累積した累積情報を生成し、この累積情報に基づいてブレーキパッドの劣化(パッドの摩耗)の度合いを判定する。なお、ブレーキが作動した際の車両の走行速度が大きいほど、ブレーキパッドの摩耗が大きくなることから、このような走行速度は、使用状態に関する使用情報として有効である。
【0061】
また、再生装置(プレーヤ)の場合、再生装置を1回利用した際の時間、又は、光ディスクを交換した回数を、使用状態に関する使用情報として取得する。そして、この使用情報に基づいて、再生装置の使用実績を累積した累積情報を生成し、この累積情報に基づいて再生装置の劣化(再生装置のヘッドの劣化、光ディスクの出し入れ機構の劣化)の度合いを判定する。これにより、再生装置の寿命や、光ディスクの出し入れ機構の故障の可能性を診断することが可能となる。
【0062】
また、車載バッテリーの場合、車載電気機器である例えばエアコンが作動している時間と、外気温度に対するエアコンの設定温度とのうちの少なくとも一つに基づく車載バッテリーの使用電力を、使用状態に関する使用情報として取得する。そして、この使用情報に基づいて、車載バッテリーの使用実績を累積した累積情報を生成し、この累積情報に基づいて車載バッテリーの劣化の度合いを判定する。なお、車載バッテリーの使用電力(電気消費量)が多くなると、放電充電が数多く繰り返されるので、(車載バッテリーの残量ではなく)車載バッテリーの劣化の度合いを推定することができる。
なお、エアコンのように消費電力が大きい車載電気機器に基づいて、車載バッテリーの使用電力を、使用状態に関する使用情報として取得するのが効果的であるが、エアコン以外であってもよい。例えば、ヘッドライトの点灯時間や、ワイパーの動作時間及び/又は動作速度(動作モード)である。また、複数の車載電気機器(エアコン、ワイパー、ヘッドライト)に基づいて、車載バッテリーの使用電力を、使用情報として取得してもよい。
【0063】
また、エンジンオイルの場合、エンジンの回転数と、走行時の周囲温度とのうちの少なくとも一つに基づくエンジンオイルの使用状態を、使用情報として取得する。そして、この使用情報に基づいて、エンジンオイルの使用実績を累積した累積情報を生成し、この累積情報に基づいてエンジンオイルの劣化の度合いを判定する。この場合、エンジンオイルの残量ではなく、エンジンオイルの劣化の度合いを推定することができる。なお、エンジンの回転数が高くなる程、エンジンオイルの劣化は進み、また、走行時の周囲温度が低い程(寒冷地である程)、エンジンオイルの劣化が進む。また、エンジンオイルの劣化により、燃料消費量が悪化するため、エンジンオイルの劣化検知は有効となる。
【0064】
上記の実施形態はすべて例示であり本発明の範囲を制限するものではない。本発明の範囲は、上記の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内での変更が含まれる。
上記の実施形態では、プローブ車両3の車載装置4に、取得部21が設けられ、プローブセンタ2のセンタコンピュータ7に、生成部22、判定部23及び更新部26が設けられた場合を説明したが、これらすべてが、車載装置4に設けられていてもよい。この場合、データベース24,25も、車載装置4に設けられる。
また、生成部22が、センタコンピュータ7に設けられているが、車載装置4側に設けられた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
2:プローブセンタ、 3:プローブ車両、 4:車載装置、 7:センタコンピュータ、 17:車載コンピュータ、 21:取得部、 22:生成部、 23:判定部、 24:実使用データベース、 25:耐用データベース、 26:更新部、 31:ヘッドライト、 32:ワイパー装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されているパーツであってユーザーによって使用状態が異なるパーツの劣化を診断する車両のパーツの診断システムであって、
前記パーツの使用状態に関する使用情報を取得する取得部と、前記使用情報に基づいて前記パーツの使用実績を累積した累積情報を生成する生成部と、前記累積情報に基づいて前記パーツの劣化の度合いを判定する判定部と、を備えていることを特徴とする車両のパーツの診断システム。
【請求項2】
前記取得部は、前記使用情報として前記パーツの動作時間に関する情報を取得し、
前記生成部は、前記累積情報として前記パーツの動作時間の累積値に関する情報を生成し、
前記判定部は、前記パーツの動作時間の累積値に関する情報に基づいて、前記パーツの劣化の度合いとして当該パーツの寿命又は交換時期を判定する請求項1に記載の車両のパーツの診断システム。
【請求項3】
前記パーツごとの耐用に関する耐用情報を記憶するデータベースを備え、
前記判定部は、前記データベースの前記耐用情報と前記累積情報とを比較して、前記パーツの劣化の度合いを判定する請求項1又は2に記載の車両のパーツの診断システム。
【請求項4】
車両に搭載され無線通信機能を有する車載装置に、前記パーツの実耐用に関する情報を更に取得可能である前記取得部が設けられ、
前記車載装置との間で無線通信が可能であるインフラ装置に、前記データベースが設けられている請求項3に記載の車両のパーツの診断システムであって、
前記インフラ装置は、前記車載装置から送信され前記インフラ装置が取得したパーツの実耐用に関する情報に基づいて、前記データベースに記憶されている当該パーツの耐用に関する耐用情報を更新する更新部を、備えている車両のパーツの診断システム。
【請求項5】
車両に搭載されているパーツであってユーザーによって使用状態が異なるパーツの劣化を診断する診断処理を、コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記パーツの使用状態に関する使用情報を取得するステップと、前記使用情報に基づいて前記パーツの使用実績を累積した累積情報を生成するステップと、前記累積情報に基づいて前記パーツの劣化の度合いを判定するステップと、を含むことを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項6】
車両に搭載されているパーツであってユーザーによって使用状態が異なるパーツの劣化を診断する方法であって、
前記パーツの使用状態に関する使用情報を取得し、前記使用情報に基づいて前記パーツの使用実績を累積した累積情報を生成し、前記累積情報に基づいて前記パーツの劣化の度合いを判定することを特徴とする車両のパーツの診断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128725(P2012−128725A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−280546(P2010−280546)
【出願日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)