説明

車両のフレーム構造

【課題】車両のフレーム構造において、サイドフレーム部のクロスメンバ部との接続部と一定部との間にエネルギ伝達吸収構造を形成し、また、サイドフレーム部のクロスメンバ部との接続部とは反対側の端部近傍の延長や短縮を容易にし、さらに、パワーユニットが異なる車両同士や車体が異なる車両同士に共通利用可能とすることにある。
【解決手段】フレームにおいて、前フレーム又は後フレームの一方に所定の長さを有する一定部を左右一対形成し、搭載するパワーユニットに応じてこの一定部の長さを選択的に変更可能とし、前フレーム又は後フレームの他方では、前記一方で選択された前記一定部の長さに応じて伸縮するように所定の長さを有する一定部を左右一対形成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両のフレーム構造に係り、特に車両の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームを備えた車両のフレーム構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両には、車両の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームを前部の前フレームと中間部の中間フレームと後部の後フレームとで一体化して構成し、中間フレームと前フレーム又は後フレームとが繋がる連結部には段部を設けて中間フレームの離間幅を前フレーム又は後フレームの離間幅よりも幅広に形成したフレーム構造を設けたものがある。
【0003】
従来、車両の燃料タンクの取付構造には、二重フロア構造を有する下部構造体に燃料タンクを取り付ける場合に、開口のカバーを外し、開口内に真っ直ぐ上から燃料タンクを挿入し、前後の上フレーム及び下フレームの溝部をガセットの対応する上向きフランジに係合させ、上向きフランジと溝部との係合によって燃料タンクの前後移動を規制するとともに、燃料タンクの側面を左右のフロントサイドメンバやセンタメンバに当接させて左右方向でも規制するものがある。
【特許文献1】特許第3489234号公報 車両用フレーム部材には、フロントサイドメンバのメンバ後半部を板金製のインナパネル及びアウタパネルを溶接して形成するとともに、このメンバ後半部に連接するメンバ前半部を四角閉断面構造のアルミ押出し材で形成したものがある。
【特許文献2】特開平10−109665号公報 車両のフロントサイドメンバのエクステンションの結合構造には、エクステンションをフロントサイドメンバに対して傾けて、フロントサイドメンバの前端開口の複数辺とエクステンションの複数辺とを交差せしめて結合し、エクステンションがフロントサイドメンバ内に陥没するのを阻止するものがある。
【特許文献3】特開平8−175422号公報 車両の前部車体構造には、両端がフロントフレームに接続されて車幅方向に延び、中央部がフロントフレームの接続部よりも前方に位置するフロントエンドロアメンバを設けたものがある。
【特許文献4】特開2002−145123号公報 自動車の車体構造には、車体パネルに沿って前後方向に延び且つ車体パネルを含む閉断面を形成するフロントフレームやリアフレームを備え、このフレームの閉断面内にフレームに沿ってハイドロフレームにより成形したパイプ状部材を接合して補強したものがある。
【特許文献5】特開2000−219163号公報 車両の前部車体構造には、フレームの左右一対の縦フレーム部の他端部に、高い剛性を有するステアリングギヤユニットを車体左右方向に向けて配置し、ステアリングギヤユニットの上面又は下面を左右一対の縦フレーム部の他端部に連結固定したものがある。
【特許文献6】特開2000−225964号公報 ハイドロフォーム加工された立体フレーム及びその製造方法には、長手方向に延びる第一下方サイドレール・第二下方サイドレールと、立体フレームのピラーと最後方ピラーとの間の長さを確定するハイドロフォーム加工された管状上部長手方向構造体と、第一下方サイドレール・第二下方サイドレールに連結されて横方向に延びる連結構造体とを備えたものがある。
【特許文献7】特表2001−520147号公報 モジュール式スペースフレームには、本体モジュールとフロントモジュールとを備えて、本体モジュールは、一対の最後部ピラーを形成する一対の最後部直立構造体及び一対のハイドロフォーム上部長手方向部材を含み、フロントモジュールは、フロント下部サイドレール構造体を、対応する主サイドレール構造体と強固に結合するものがある。
【特許文献8】特表2003−531073号公報 車両の前部車体構造には、サイドメンバを前端部材と中央部材と後端部材とから構成し、前端部材の強度を後端部材よりも低く設定し、この後端部材には、前端部材側からの車体後方への荷重入力により曲げ変形を促進するために閉断面の方向で強度分布を非対称とした曲げ促進部を設けたものがある。
【特許文献9】特開2001−301648号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来、車両のフレーム構造においては、車両前後方向の剛性を確保するよう前後方向に長く延出させたりして、フレームの外形に囲まれる内部空間の容量が小さいために、この内部空間に車両部品を配置することが困難であったり、外的荷重が作用した場合に、エネルギ吸収性能が低かったり、さらに、パワーユニットが異なる車両同士や車体が異なる車両同士にフレームを共通して利用することが困難であった。
【0005】
そこで、この発明の目的は、フレームの外形に囲まれる内部空間の容量を確保しつつ、外的荷重に対するエネルギ吸収性能を考慮し、さらに、パワーユニットが異なる車両同士や車体が異なる車両同士に共通利用可能な部分の範囲を拡大する車両のフレーム構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、車両の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームを前部の前フレームと中間部の中間フレームと後部の後フレームとで一体化して構成し、前記前フレーム又は前記後フレームの一方にパワーユニットを搭載し、前記前フレーム又は前記後フレームの一方に所定の長さを有する一定部を左右一対形成し、搭載するパワーユニットに応じてこの一定部の長さを選択的に変更可能とし、前記前フレーム又は前記後フレームの他方では、前記一方で選択された前記一定部の長さに応じて伸縮するように所定の長さを有する一定部を左右一対形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明の車両のフレーム構造は、サイドフレーム部のクロスメンバ部との接続側と一定部との間にエネルギ伝達吸収構造を形成することができ、また、サイドフレーム部のクロスメンバ部との接続側とは反対側の端部近傍の延長や短縮を容易にし、さらに、パワーユニットが異なる車両同士や車体が異なる車両同士にフレームを共通利用可能とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
この発明は、フレームの外形に囲まれる内部空間の容量を確保しつつ、外的荷重に対するエネルギ吸収性能を向上し、さらに、共通利用可能な部分の範囲を拡大する目的を、搭載するパワーユニットに応じてこの一定部の長さを選択的に変更可能とし、前フレーム又は後フレームの他方では、一方で選択された一定部の長さに応じて伸縮するように所定の長さを有する一定部を左右一対形成して実現するものである。
以下、図面に基づいてこの発明の実施例を詳細且つ具体的に説明する。
【実施例】
【0009】
図1〜図13は、この発明の実施例を示すものである。
【0010】
図3〜図5において、1は燃料電池車両(FC車)や電気車両(EV車)等の電動用車両、2は車体、3はフレーム、4はフロアパネル、5はルーフパネル、6はフロントパネル、7はリアパネル、8はダッシュパネル、9はフェンダエプロンパネル、10は前輪、11は後輪、12は前懸架装置、13は後懸架装置、14はモータ室、15は客室である。図3に示すように、電動用車両1は、車両前後方向の全長がXで設定されているとともに、前輪10の前車軸中心10Cと後輪11の後車軸中心11Cとの車軸間距離がS1で設定されている。
【0011】
車体2は、車両パネルとしてのフロアパネル4やフェンダエプロンパネル9等と一体化したビルトインフレームとした、いわゆるモノコックボディの構造のものである。
【0012】
フレーム3は、図1、図2に示すように、ハイドロフォーム成形され、電動用車両1の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームであり、前部の前フレーム(フロントサイドメンバ)16と中間部の中間フレーム(フロア下成形品)17と後部の後フレーム(リアサイドメンバ)18とが一体化して構成されている。このフレーム3は、車両前後方向が長さKに設定されている。
【0013】
中間フレーム17は、左右で一対の車両前後方向の中間左サイドフレーム部19L・中間右サイドフレーム部19Rと、この中間左サイドフレーム部19Lの前端と中間右サイドフレーム部19Rの前端とを繋ぐ車両幅方向の中間前クロスメンバ部20Fと、この中間左サイドフレーム部19Lの後端と中間右サイドフレーム部19Rの後端とを繋ぐ車両幅方向の中間後クロスメンバ部20Bとが一体化されて平面視で略矩形状に形成され、四辺の上面を略面一に揃え、中央空間21を形成している。
【0014】
また、この中間フレーム17は、基本断面形状が縦長に形成してあり、左右両側辺の上下高さが、基本断面形状として、車両中心線2Cを含む前後両辺の上下高さよりも高く設定され、側壁高さが充分高く設定される。中間左サイドフレーム部19L・中間右サイドフレーム部19Rには、軽量化や配管等の配索目的で、車両幅方向に貫通する多数の左開口22L・右開口22Rが対向するように形成されている。
【0015】
前フレーム16又は後フレーム18の1つ以上は、左右で対をなすサイドフレーム部と車両幅方向に延出するクロスメンバ部とを一体化して閉断面が連続するように形成される。この閉断面をスポット等の間欠的な溶接無しで形成することにより、継ぎ目のない構造とする。
【0016】
即ち、図1、図2に示すように、前フレーム16は、単一の中空管によって連続する閉断面に構成され、ハイドロフォーム成形により、左右で対をなす車両前後方向の前左サイドフレーム部23Lの後端と前右サイドフレーム部23Rの後端とが車両幅方向に延出する前クロスメンバ部24で連結されるとともに、この前クロスメンバ部24が中間フレーム17の中間前クロスメンバ部20Fに一体化して成形される。また、この前フレーム16は、車両前後方向で長さE1に形成されている。
【0017】
この前フレーム16は、平面視で、略C字状あるいは略U字状等のフォーク状の形状であり、前空間25を形成し、側面視で、後方が水平よりも少し低くなるように略直線状に中間フレーム17の中間前クロスメンバ20Fに設けられ、側壁高さが少し高く設定されている。また、前左サイドフレーム部23Lと前右サイドフレーム部23Rの断面形状は、上下に縦長な概略矩形状に形成されている。更に、前フレーム16と中間フレーム17とは、直接的に、前クロスメンバ部22と中間前クロスメンバ部20Fとにより面接触且つ係合するようにして一体的に連設される。
【0018】
後フレーム18は、前フレーム16と同様に、単一の中空管によって連続する閉断面に構成され、ハイドロフォーム成形により、左右で対をなす車両前後方向の後左サイドフレーム部26Lの後端と後右サイドフレーム部26Rの後端とが車両幅方向に延出する後クロスメンバ部27で連結され、後左サイドフレーム部26Lの前端側と後右サイドフレーム部26Rの前端側とが中間フレーム17の中間後クロスメンバ20Bに一体的に成形される。
【0019】
この後フレーム18は、平面視で、略C字状あるいは略U字状等のフォーク状の形状であり、側面視で、略水平な略直線状に中間フレーム17の中間後クロスメンバ20Bに設けられ、側壁高さが低く設定される。後フレーム18と中間フレーム17とは、互いの上面が略面一となって、一平面のフロアを形成するようにして一体的に連結される。この後フレーム18は、車両前後方向で長さE2に形成されている。
【0020】
図1に示すように、前記中間フレーム17は、外寸・内寸共に、前フレーム16及び後フレーム18よりも幅寸法を大きく採っている。例えば、中間フレーム17の両側面は、左右の車輪幅S2(車輪間内寸、車輪間距離(トレッド))に対して同等以上とする。つまり、中間フレーム17において、中間左サイドフレーム部19Lと中間右サイドフレーム部19Rとは、離間幅W1で離間している。この中間左サイドフレーム部19Lと中間右サイドフレーム部19Rとの離間幅W1は、前フレーム16の前左サイドフレーム部23Lと前右サイドフレーム部23Rとの離間幅W2よりも幅広であるとともに、後フレーム18の後左サイドフレーム部26Lと後右サイドフレーム部26Rとの離間幅W3よりも幅広に形成されている。
【0021】
この場合、中間フレーム17と前フレームと16とが繋がる前連結部28に前段部29を設けて、前フレーム17の離間幅W2よりも中間フレーム17の離間幅W1を幅広に形成している。これでは、閉断面となるフレーム表面同士を接触させて、剛性を上げ、前輪10と客室15とが重なる部分のフレーム3の剛性を高めている。また、中間フレーム17と後フレーム18とが繋がる後連結部30に後段部31を設けて、後フレーム18の離間幅W3よりも中間フレーム18の離間幅W1を幅広に形成している。
【0022】
中間フレーム17に設けられる前フレーム16・後フレーム18との前連結部28・後連結部30では、基本断面形状の縦長から横長となるよう扁平に形成してあり、車両中心線2Cに向かう内側程に扁平傾向となるように形成している。この前連結部28・後連結部30の位置を含む前後近傍範囲では、中間フレーム17の中間前クロスメンバ部20F・中間後クロスメンバ部20Bが設けられており、車両幅方向への前段部29・後段部31が形成される。
【0023】
また、前連結部28において、前フレーム16の前左サイドフレーム部23Lの外側の後端・前右サイドフレーム部23Rの外側の後端には、中間フレーム16の中間前クロスメンバ20Fの両端との間を繋ぐ左補強部材32L・右補強部材32Rが設けられる。この左補強部材32L・右補強部材32Rは、前フレーム16が前方から受ける外的荷重を、中間フレーム17にスムーズに伝達する。また、この左補強部材32L・右補強部材32Rは、前フレーム16が前方から受ける外的荷重により、前輪10が後方に押し下げられて車体パネルやフレーム3を変形させ得るような場合に、前輪10と直接接触して座屈変形することにより、エネルギを吸収し、車体パネルや中央のフレーム(客室15に対応するフレーム部)の変形を抑制する。つまり、前フレーム16と左補強部材32L・右補強部材32Rとは、フレーム3の前部においてクラッシャブルな前エネルギ伝達吸収構造33Fを形成する。
【0024】
また、前フレーム16は、中間フレーム17との連結部ではなく、車両2の前端となる前左サイドフレーム部23L・前右サイドフレーム部23Rの開口側の端部を延長することにより、異なるパワーユニットの搭載や異なる車両への前フレーム16の長さの調整を行っている。前フレーム16は、前側端部に延長した場合に、この端部近傍で、延出方向に沿って略一様な断面形状及び断面積を形成し、パワーユニットのぎそう部品を取り付けたり、バンパ等の車体部品を取付けさせる。前フレーム16は、前側端部を延長しない場合との開口端部の前連結部28で整合性を考慮する必要はあまりない。これは、前フレーム16のオーバハング長さを変更するものである。
【0025】
後フレーム18は、後連結部30の間に挟まれた車両中心線2Cに沿って延びて中間後クロスメンバ部20Bと後クロスメンバ部27とを繋ぐ後補強部材34を備え、よって、結果的に、略E字状に形成される。後フレーム18において、後左サイドフレーム部26Lと後右サイドフレーム部26Rとの断面形状は、上下に偏平な概略矩形状となっている。後補強部材34は、後フレーム18が後方から受ける外的荷重を、中間フレーム17にスムーズに伝達する。後連結部30は、外側下部に後懸架装置13を中間フレーム17の延長線上に支持している。これは、後車軸を中間フレーム17から一定の距離に配設することを可能にする。
【0026】
後フレーム18は、車両2の後端側ではなく、中間フレーム17との後連結部30となる端部を延長することにより、つまり、後述の左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rで異なる車両2へのフレーム3の長さ調整を行っている。この後フレーム18は、左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rで端部を延長した場合に、この端部近傍で、延出方向に沿って略一様な断面形状及び断面積を形成する。また、この後フレーム18は、端部を延長しない場合との後連結部30の整合性がとれるだけでなく、後方からの外力に対するクラッシャブルな後エネルギ伝達吸収構造33Bを常に車両の最も後端側に配置できる。
【0027】
また、この実施例において、後フレーム18の後左サイドフレーム部26L・後補強部材34・後右サイドフレーム部26Rの後クロスメンバ部27との接続部とは反対側の端部近傍を、水平且つ延出方向に沿って断面周囲長が略一定となるように、左一定部35L・中間一定部35M・右一定部35Rに設けている。この左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rの車両前後方向に長さGは、一定に設定されている。
【0028】
この後左サイドフレーム部26L・後補強部材34・後右サイドフレーム部26Rの端部開放側の延長部分である左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rは、その延長方向に沿って、形状変化がないか、断面周囲長が等しい一次的な(線形的な)変形(例えば、長辺と短辺とが、長辺と短辺とを加算した一定となる長方形等)となっている。これにより、この左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rを避けた後クロスメンバ部27側の後左サイドフレーム部26L・後補強部材34・後右サイドフレーム部26Rがクラッシャブルな後エネルギ伝達吸収構造33Bを形成する。
【0029】
図4、図5に示すように、前フレーム16又は後フレーム18の一方としての前フレーム16には、パワーユニット36が搭載される。このパワーユニット36は、車両が電動用車両1であることから、走行用モータ37、空気供給装置38、温度調節装置39、補機用バッテリ40、ギヤボックス41等の各部品を備えている。補機用バッテリ40は、車両幅方向の右側で前右サイドフレーム部23Rの内側に配設されている。
【0030】
そして、前フレーム16又は後フレーム18の一方としての後フレーム18に設ける左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rの長さGは、搭載するパワーユニット36に応じて選択的に変更するように設定されるとともに、他方としての前フレーム16の長さE1は、後フレーム18で選択された左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rの長さGに応じて短縮するように設定される。これにより、電動用車両1の全長Xは、一定に維持される。
【0031】
また、後フレーム18では、左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rを、中間フレーム17・後補強部材34・後クロスメンバ部27の間に配置させる。この一定部35は、該一定部35を単体で形成し、単一形状の後フレーム18へ継ぎ足し溶接等により一体的に固定することも可能であるが、一定部35が連続形成された後フレーム18を個別な形状で複数形成することも可能である。継ぎ足しでは、板厚を大きく変えることができ、連続形成ならば、一定部35に連続するテーパを延長して設けることが容易になり、いずれも強度分布を最適化することができる。
【0032】
よって、図1に示すように、前フレーム16又は後フレーム18は、左右で対をなして車両中心線2Cから等距離に位置する部位が、車両前後方向に沿って離間する複数の位置に断面形状が略同じ且つ断面積が略同じように形成される。四角形の角を面取りするように除いた八角形としても、略同じである。このようにすれば、接続部28、30の形状を一つに統一して共用することができる。
【0033】
前フレーム16又は後フレーム18のいずれか一方である後フレーム18は、その延長部位である左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rで中間フレーム17に繋げられる。一定部35は、板厚よりも充分大きな段差を含まなければ、滑らかな形状変更を形成して良い。
【0034】
図1に示すように、車両前後方向に沿って離間する複数の位置の各離間幅W1、W2、W3は、フレーム3のオーバハングとなる前車軸中心10C、後車軸中心11Cよりも端部側の寸法から車輪径を除した寸法よりも小さく設定される。
【0035】
また、図1、図2に示すように、前フレーム16又は後フレーム18は、パワーユニット36を搭載する側の前フレーム16では、端部である前端を開放端とし、パワーユニット36を搭載しない後フレーム18では、端部である後端を後クロスメンバ部27で連続させる。
【0036】
図3、図4に示すように、電動用車両1において、重量のある燃料電池(スタック)42と複数本の水素タンク43とバッテリ類とは、中間フレーム17内の中央空間21で前輪10の前車軸中心10Cと後輪11の後車軸中心11Cとの間、すなわち中央部位に配置される。この場合、燃料電池42は、中央空間21の前部に配置され、水素タンク43は、中央空間21の後部に配置される。
【0037】
図5に示すように、前フレーム16には、前方より順に、前後に延びる左右で一対の内側且つ下方寄りに、熱交換器44、走行モータ37、前左懸架装置12L・前右懸架装置12R、走行モータ用インバータ45、エアコン用のコンデンサ等の補機類が収容される。この場合、前フレーム16は、燃料電池42の制御に関連する専用の補機類が増えるが、内燃機関類(エンジン、ハイブリッド類)を搭載するよりも軽く、その重心も低いので、支持剛性が比較的高くなる。熱交換器44は、ラジエータであり、燃料電池用ラジエータ46と、補機用ラジエータ48とを備え、走行風が効率良く当たるように車両前部に並設される。
【0038】
前左懸架装置12L・前右懸架装置12Rは、サブフレーム48を有している。このサブフレーム48には、ロアアームやステアリング機構49が載置されている。サブフレーム48は、前フレーム16の左右に掛け渡すように下方から取り付けられ、前フレーム16の形状に対応する連結部を有して、平面的に広がる主部が略水平となるように前後の各位置を固定する。また、前左懸架装置12L・前右懸架装置12Rの下方には、車両幅方向に延出する前車軸50が配設されている。
【0039】
前輪10の前車軸中心10Cは、サブフレーム48の前側で、前フレーム16よりも下方且つサブフレーム48の上方の高さに位置する。サブフレーム48の上方には、前左懸架装置12L・前右懸架装置12Rが上下に配設され、この前左懸架装置12L・前右懸架装置12Rの後方近くには、ダッシュパネル8が上下に延出して設けられる。そして、このダッシュパネル8から前方では、左右で一対のフェンダエプロンパネル9が設けられ、このフェンダエプロンパネル9が前フレーム16と一体化される。
【0040】
また、ダッシュパネル8がフロアパネル4と繋がる付近では、前フレーム16の形状がパネル形状に沿って屈曲している。
【0041】
走行モータ用インバータ45は、各部材に囲まれるように搭載されており、その両側方が前フレーム16により囲まれ、また、その後方が接合部である前連結部28により囲まれ、さらに、下方がサブフレーム48により囲まれている。
【0042】
燃料電池42の配管類は、走行モータ用インバータ45の背面と燃料電池42の前面との間を略水平に繋ぐように、また、前連結部28の下面に沿うように、配索されている。前連結部28の下面は、中間フレーム17の最低高さとなる下面よりも高く、中間フレーム17の断面高さ寸法の約半分程度の位置である。
【0043】
図1、図3に示すように、中間フレーム17の前後方向の中間部位には、車両幅方向に掛け渡して設けられるクロスメンバ51を備える。このクロスメンバ51は、側方から荷重に対する変形防止に寄与するが、その前方に搭載する燃料電池42と、その後方の水素タンク43との間を区画する隔壁としての役割もある。
【0044】
次いで、エンジンをベースにした車両としてのガソリン車両(G/E車)やハイブリッド車両(HV車)の内燃機関類車両について、図6〜図11に基づいて説明する。
【0045】
図8に示すように、内燃機関類車両52においては、上述の電動用車両1と略同様な構成であり、車両前部が電動用車両1よりも長さGだけ大きく且つ車両後部が電動用車両1よりも長さGだけ小さく設定されて、その全長Xが電動用車両1の全長Xと同一に設定されている。
【0046】
この内燃機関類車両52の説明においては、図9に示すガソリン車両53と図11に示すハイブリッド車両54とに分けて述べ、また、電動用車両1と同様な構成であることから、共通部分の説明をある程度省略するとともに、電動用車両1と同一機能を果たす箇所には同一符号を付し、そして、その配置等での特徴部分を追加的且つ補足的に述べる。
【0047】
図6、図7に示すように、内燃機関類車両52において、フレーム55は、ガソリン車両53とハイブリッド車両54とで同一構成のものが用いられる。
【0048】
この場合、内燃機関類車両52の全長Xが電動用車両1の全長Xと同一であることから、図6、図9に示すように、フレーム55においては、パワーユニット56を搭載する前フレーム16が電動用車両1の前フレーム16よりも長さGだけ大きく、前フレーム16の前左サイドフレーム部19Lの先端・前右サイドフレーム部19Rの先端に、長さGの左一定部57L・右一定部57Rが設けられる一方、後フレーム18では、電動用車両1における後フレーム18の左一定部・中央一定部・右一定部が省略されている。よって、この内燃機関類車両52のフレーム55の長さKは、電動用車両1のフレーム3の長さKと同一である。後フレーム18は、前フレーム16の前側のオーバハングが長くなった分と同等長さ分だけ短く形成される。
【0049】
図6に示すように、フレーム55において、前フレーム16は、平面視で、略C字状あるいは略U字状といったフォーク状に形成されている。この内部には、外形形状に沿って、連続する閉断面空間が形成される。この前フレーム16は、側面視で、水平より後方がやや低くなるように略直線状に形成され、その前後方向に延びる左右で一対の内側且つ下方寄りに、前方より順に、熱交換器58、パワーユニット56、前左懸架装置12L・前右懸架装置12Rを収容している。
【0050】
図9に示すように、ガソリン車両53のパワーユニット56は、エンジン59とトランスミッション60とからなり、各部品中で最も重く、前輪10の前車軸中心10Cよりも車両前方に位置し、車両後側が軽く、重心が前方寄りとなる。また、車体2には、パワーユニット56よりも車両幅方向の左側で前左サイドフレーム部23Lの内側にパワーユニット56のバッテリ61が配設される。
【0051】
パワーユニット56は、図8、図9に示すように、側面視で、電動用車両1の走行モータのみの場合よりも車両前後方向に大きくなるので、前フレーム16の前半部(特に、ダッシュパネル8よりも前側の直線部分)で、走行モータのみの場合よりも長く延出する。しかし、この延出部分は、パワーユニット56の前後長さの相違分を吸収するのが主目的であり、その一様な形状により外部エネルギの伝達に寄与し、前エネルギ伝達吸収構造33Fを形成する。
【0052】
熱交換器58は、ラジエータとして、パワーユニット用(補機用も含む)のものであり、走行風が効率良く当たるように、車両前部に設けられる。また、この熱交換器58は、温度等パワーユニット56の運転可能な環境が幅広いので、容量が電動用車両1のパワーユニット36よりも充分小さいものである。そして、この熱交換器58は、エアコン用のコンデンサと重ねて搭載される。
【0053】
図10に示すように、前左懸架装置12L・前右懸架装置12Rは、サブフレーム48を有している。このサブフレーム48には、ロアアームやステアリング機構49が載置される。サブフレーム48は、前フレーム16の左右に掛け渡すように下から取り付けられる。前輪10の前車軸中心10Cは、サブフレーム48の前側で、前フレーム16よりも下方且つサブフレーム48の上方の高さに位置する。
【0054】
サブフレーム48の上方には、前左懸架装置12L・前右懸架装置12Rが上下に配設され、その後方近くには、ダッシュパネル8が上下に延びて設けられる。このダッシュパネル8から前方に、左右で一対のフェンダエプロンパネル9が設けられ、このフェンダエプロンパネル9は、前フレーム16と一体化される。これら各パネルで囲まれた空間は、図10に示すように、エンジンルーム62である。このエンジンルーム62は、走行モータの場合と比べて、前輪車軸中心10Cよりも前側となり、いわゆるオーバハングとなる長さが大きくなる。
【0055】
また、中間フレーム17の前後方向の中間部位には、図6に示すように、車両幅方向に掛け渡して設けられるクロスメンバ51を備える。車幅方向の剛性を高めて、ねじれ剛性も高めるだけでなく、前後左右上下に大きく確保されたフロア下空間を仕切り、搭載する補機を取り付け支持する。
【0056】
中間フレーム17の内部では、クロスメンバ51の前後にわたって配索される排気管63と、クロスメンバ51の後方に収容される燃料タンク(ガソリンタンク)64とが設けられる。このとき、排気管63と燃料タンク64とは、中間フレーム17の高さ寸法に収まるように設けられる。
【0057】
一方、ハイブリッド車両54の場合には、図11に示すように、パワーユニット65として、エンジン66に発電動モータ67を併設している。
【0058】
図11に示すように、ハイブリッド車両54のキャパシタやバッテリ68及びインバータ45等は、クロスメンバ51の前方の中央空間21に搭載可能であり、車両中心線2Cに沿うように配設される排気管63の左右両側に分配して搭載される。バッテリ68等は、排気管63と燃料タンク64と同様に、中間フレーム17の高さ寸法に収まるように設けられる。
【0059】
この実施例においては、図12に示すように、電動用車両1と内燃機関類車両52とは、内燃機関類車両52が車両前部で電動用車両1よりも長さGで長いが、内燃機関類車両52が車両後部で電動用車両1よりも長さGで短く設定され、その全長Xが同一である。
【0060】
また、図13に示すように、電動用車両1のフレーム3と内燃機関類車両52とのフレーム55は、ハイドロフォーム成形により、共通に形成される。そして、例えば、生産量の多い内燃機関類車両52のフレーム55をメインにしてハイドロフォーム成形した場合に、電動用車両1においては、前フレーム16の一定部を除去する一方、後フレーム18では、中央フレーム17の中間後クロスメンバ部27と後左サイドフレーム部26L・後補強部材34・後右サイドフレーム部26Rとの端部開放側に左一定部35L・中央一定部35M・右一定部35Rを設ける。
【0061】
この結果、この実施例によれば、車両の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームを前部の前フレーム16と中間部の中間フレーム17と後部の後フレーム18とで一体化して構成し、前フレーム16又は後フレーム18の一方にパワーユニットを搭載し、前フレーム16又は後フレーム18の一方に所定の長さを有する一定部を左右一対形成し、搭載するパワーユニットに応じてこの一定部の長さを選択的に変更可能とし、前フレーム16又は後フレーム18の他方では、前記一方で選択された前記一定部の長さに応じて伸縮するように所定の長さを有する一定部を左右一対形成している。特に、前フレーム16又は後フレーム18の一つ以上を、左右で対をなすサイドフレーム部と車両幅方向に延出するクロスメンバ部とを一体化して閉断面が連続するように形成するとともに、左右のサイドフレーム部のクロスメンバ部との接続側とは反対側の端部近傍を、水平且つ延出方向に沿って断面周囲長が略水平となるように一定部として形成した。これにより、サイドフレーム部のクロスメンバ部との接続側と一定部との間には、前エネルギ伝達吸収構造33F・後エネルギ伝達吸収構造33Bを形成することができ、車両前後方向からの外的荷重を十分に吸収させることができる。また、サイドフレーム部のクロスメンバ部との接続側とは反対側の端部近傍では、車両前後方向の延長や短縮を容易に行わせることができる。
【0062】
また、前フレーム16又は後フレーム18の一方のうち、一方とする前フレーム16にパワーユニットを搭載し、前フレーム16又は後フレーム18のうち一方に設ける一定部を、延出方向に沿って断面周囲長が略一定とし、この一定部の長さGを搭載するパワーユニットに応じて選択的に変更するように設定するとともに、前フレーム16又は後フレーム18の他方の長さは、前記一方で延長するように選択された一定部の長さGに応じて短縮するように設定される。そして、前フレーム16の概形で前端側を開放して、パワーユニットの搭載性を高め、前フレーム16の左右対をなす部分の断面形状で高さの高い形状として、さらに閉断面の2軸の変形によって前後方向に沿って緩やかに拡開並びに縮減するよう線形的にテーパさせた形状として、上下方向の荷重に対し、高い剛性としている。また、縦断するサイドフレームとして機能する補強部材たる前左(右)補強部材32L(R)を、夫々前左(右)サイドフレーム部23L(R)と中間左(右)サイドフレーム部19L(R)といった前後に並ぶサイドフレーム部同士を直接的に連結し、クロスメンバ部たる前クロスメンバ部24及び中間前クロスメンバ部20Fと並列にエネルギ伝達する構造としている。これにより、電動用車両1と内燃機関類車両52とにおいて車両の全長Xにかかわるフレームの長さKを揃え、電動用車両1と内燃機関類車両52とに共通したフレームを用いることができ、単一のフレームの製造により、製造工程を簡略し、また、製造費・材料費を低減して廉価とすることができる。
【0063】
更に、前フレーム16又は後フレーム18のうち、他方とする後フレーム18では、中間フレーム17と後クロスメンバ部27との間に各一定部35を位置するようにする。そして、後フレーム18の概形で後端側を、左右対をなす部分が連続するよう閉塞する。中間フレーム17と共に客室15を搭載するため、上下方向の荷重に対し、後フレーム18の全体を、断面形状で高さの低い扁平形状として、客室15内の容量確保と前後方向の荷重に対し高い剛性としている。縦断する補強部材たる後補強部材34を、中間後クロスメンバ部20Bと後クロスメンバ部27といったクロスメンバ同士を直接的に連結し、サイドフレーム部たる後左(右)サイドフレーム部26L(R)と並列にエネルギ伝達する構造としている。これにより、クラッシャブルな後エネルギ伝達吸収構造33Bを、車両の最も後側に配置することができ、外的荷重が作用したときの衝撃を緩和させることができる。
【0064】
更にまた、前フレーム16又は後フレーム18には、左右で対をなして車両中心線2Cから等距離に位置する部位を、車両前後方向に沿って離間する複数の位置に断面形状が略同じ且つ断面積が略同じように形成している。これにより、同じフレーム断面を形成するので、寸法を変えても部品の接続を維持することができ、製造工程における煩雑化を回避させることができる。ここで対をなすとは、車両前後方向に沿って、延出する長さが同等であることや、断面積に関連する幅や高さが同等であるということであり、局所的なクラッシャブル構造や逃げ構造、部分的な板厚変更や膨出加工などによる左右間の強度分布の違いや表面形状の違いを許容するものである。
【0065】
また、閉断面の内部空間を左右両側部およびクロスメンバ部に渡って連続させている前フレーム16又は後フレーム18のいずれか一方を、その延長部位で中間フレーム17に繋げている。これにより、フレームの多くを共通にしているにもかかわらず、フレームのオーバハングを同等に維持することができ、軸間距離を変更することができ(この実施例では、後フレーム18)、車体のバランスを確保させることができる。閉断面が途切れる部分を設けず、あらゆる方向の外方からの加重に対して強固なフレームを、車両前側後側それぞれに形成でき、補強部材を強度分布や残留応力を考慮して設けることによって、フレーム全体としても軽量かつ非常に強固とできる。
【0066】
更に、車両前後方向に沿って離間する複数の位置の離間寸法を、フレームのオーバハングとなる車軸中心より端部側の寸法から車輪径を除した寸法よりも小さく設定し、これにより、変更箇所を必要最小限として、中間フレーム17を前後に長く大きく形成することができ、全長Xに対する車軸間距離を比較的長くすることができる。
【0067】
更にまた、前フレーム16又は後フレーム18は、パワーユニットを搭載する側では端部を開放端とし、パワーユニットを搭載しない側では端部を連続させる。これにより、パワーユニットの種類が変わってもそれぞれで補機を含めた搭載性を損なわず、パワーユニットを搭載しない側では、バンパ等の部品の取り付け等をそのまま行わせることができる。
【0068】
なお、この実施例において、車体は、フレームを、フロアパネルやフェンダエプロンパネル等と一体化したビルトインフレームとし、いわゆるモノコックボディとして説明したが、セパレートフレームとすることも可能である。部分的に板厚が異なるテーラードブランク材を併用することも可能である。中空管として、材質が均一な鋼管を使用したが、これに替えて、例えば、材質や厚みの異なる部材同士をレーザー溶接等により略連続して突合せ溶接して形成した管材を用いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0069】
前フレーム又は後フレームの一つ以上を、左右で対をなすサイドフレーム部と車両幅方向に延出するクロスメンバ部とを一体化して閉断面が連続するように形成するとともに、左右のサイドフレーム部のクロスメンバ部との接続側とは反対側の端部近傍を、水平且つ延出方向に沿って断面周囲長が略一定となるように一定部として形成することを、他の構造にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】電動用車両のフレームの平面図である。
【図2】電動用車両のフレームの斜視図である。
【図3】電動用車両の概略側面図である。
【図4】電動用車両の斜視図である。
【図5】電動用車両の前部の側面図である。
【図6】ガソリン車両のフレームの平面図である。
【図7】ガソリン車両のフレームの斜視図である。
【図8】ガソリン車両の概略側面図である。
【図9】ガソリン車両の斜視図である。
【図10】ガソリン車両の前部の側面図である。
【図11】ハイブリッド車両の斜視図である。
【図12】電動用車両と内燃機関類車両との長さを比較した側面図である。
【図13】電動用車両のフレームと内燃機関類車両のフレームとの長さを比較した平面図である。
【符号の説明】
【0071】
1 電動用車両
2 車体
3 電動用車両のフレーム
16 前フレーム
17 中間フレーム
18 後フレーム
19L 中間左サイドフレーム部
19R 中間右サイドフレーム部
20F 中間前クロスメンバ部
20B 中間後クロスメンバ部
21 中央空間
22L 左開口
22R 右開口
23L 前左サイドフレーム部
23R 前右サイドフレーム部
24 前クロスメンバ部
25 前空間
26L 後左サイドフレーム部
26R 後右サイドフレーム部
27 後クロスメンバ部
28 前連結部
29 前段部
30 後連結部
31 後段部
32L 前左補強部材
32R 前右補強部材
33F 前エネルギ伝達吸収構造
33B 後エネルギ伝達吸収構造
34 後補強部材
35L 電動用車両のフレームの左一定部
35M 電動用車両のフレームの中央一定部
35R 電動用車両のフレームの右一定部
36 電動用車両のパワーユニット
37 走行用モータ
42 燃料電池
43 水素タンク
44 熱交換器
45 走行モータ用インバータ
51 クロスメンバ
52 内燃機関類車両
53 ガソリン車両
54 ハイブリッド車両
55 内燃機関類車両のフレーム
56 ガソリン車両のパワーユニット
57L 内燃機関類車両のフレームの左一定部
57R 内燃機関類車両のフレームの右一定部
61 ガソリン車両のバッテリ
65 ハイブリッド車両のパワーユニット
68 ハイブリッド車両のバッテリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームを前部の前フレームと中間部の中間フレームと後部の後フレームとで一体化して構成し、前記前フレーム又は前記後フレームの一方にパワーユニットを搭載し、前記前フレーム又は前記後フレームの一方に所定の長さを有する一定部を左右一対形成し、搭載するパワーユニットに応じてこの一定部の長さを選択的に変更可能とし、前記前フレーム又は前記後フレームの他方では、前記一方で選択された前記一定部の長さに応じて伸縮するように所定の長さを有する一定部を左右一対形成することを特徴とする車両のフレーム構造。
【請求項2】
車両の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームを前部の前フレームと中間部の中間フレームと後部の後フレームとで一体化して構成し、前記中間フレームと前記前フレーム又は前記後フレームとが繋がる連結部には段部を設けて前記中間フレームの離間幅を前記前フレーム又は前記後フレームの離間幅よりも幅広に形成する車両のフレーム構造において、前記前フレーム又は前記後フレームの一つ以上を、左右で対をなすサイドフレーム部と車両幅方向に延出するクロスメンバ部とを一体化して閉断面が連続するように形成するとともに、前記左右のサイドフレーム部の前記クロスメンバ部との接続側とは反対側の端部近傍を、略水平となるように一定部として形成したことを特徴とする車両のフレーム構造。
【請求項3】
前記前フレーム又は前記後フレームの一方にパワーユニットを搭載し、前記前フレーム又は前記後フレームの一方に設ける前記一定部を、延出方向に沿って断面周囲長が略一定とし、この前記一定部の長さを搭載するパワーユニットに応じて選択的に変更するように設定するとともに、前記前フレーム又は前記後フレームの他方では、前記一方で延長するよう選択された前記一定部の長さに応じて短縮するように設定することを特徴とする請求項2に記載の車両のフレーム構造。
【請求項4】
前記前フレーム又は前記後フレームの他方では、前記中間フレームと前記クロスメンバ部との間に前記一定部を配置することを特徴とする請求項3に記載の車両のフレーム構造。
【請求項5】
車両の全長に渡って延出して左右で対をなすフレームを前部の前フレームと中間部の中間フレームと後部の後フレームとで一体化して構成し、前記前フレーム又は前記後フレームには、左右で対をなして車両中心線から等距離に位置する部位を、車両前後方向に沿って離間する複数の位置に断面形状が略同じ且つ断面積が略同じように形成したことを特徴とする車両のフレーム構造。
【請求項6】
前記前フレーム又は前記後フレームのいずれか一方を、その延長部位で前記中間フレームに繋げることを特徴とする請求項5に記載の車両のフレーム構造。
【請求項7】
車両前後方向に沿って離間する複数の位置の離間寸法を、前記フレームのオーバハングとなる車軸中心よりも端部側の寸法から車輪径を除した寸法よりも小さく設定することを特徴とする請求項6に記載の車両のフレーム構造。
【請求項8】
前記前フレームと前記後フレームとは、前記パワーユニットを搭載する側では端部を開放端とし、前記パワーユニットを搭載しない側では端部を連続させることを特徴とする請求項7に記載の車両のフレーム構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−106320(P2007−106320A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300720(P2005−300720)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】