説明

車両のフロアトンネル部構造

【課題】エアバッグセンサをインパネ下方のデッドスペースに配設でき、トンネル拡大部の傾斜面とブラケットの間の空間を利用して、チェンジケーブルの配索経路確保とサービス性確保との両立を図る車両のフロアトンネル部構造を提供する。
【解決手段】トンネル拡大部20の車両後方に傾斜する傾斜面21,22の上部に前端が接合された平面部40aと、平面部40aの後端から下方に延びる脚部40bと、を備えたエアバッグセンサ取付けブラケット40を設け、チェンジケーブル54を、エアバッグセンサ取付けブラケット40の平面部40aと、トンネル拡大部20の傾斜面22と、の間の空間60に案内し、チェンジケーブル54を、エアバッグセンサ取付けブラケット40の下方に位置する傾斜面22に設けられた貫通孔を介して車室外に配索したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ダッシュパネルとフロアパネルとの連結部にトンネル拡大部が設けられると共に、変速機操作機構から延設されたチェンジケーブルがフロアパネルを貫通してエンジンルーム内の変速機に連結されるように構成され、かつ衝突時の振動を検出するエアバッグセンサを備えたような車両のフロアトンネル部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両には衝突時に作動するエアバッグセンサが設けられている。すなわち、特許文献1に開示されているように、ダッシュロアパネルとフロアパネルの前部との間におけるトンネル上面に、断面ハット形状の支持ブラケットと、略水平構造の取付けブラケットと、を介してエアバッグセンサが配設されている。
【0003】
しかしながら、該特許文献1においては、変速機操作機構から延設されてエンジンルーム内の変速機に連結されるチェンジケーブルと、上記各ブラケットとの関連構造が開示されていないうえ、該チェンジケーブルのサービス性についても開示されていない。
【特許文献1】特開2000−142285号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、前部機関前輪駆動(つまり、FF)タイプのものにおいて、エンジンを横置き配置し、排気系をエンジン後方にレイアウトしてトンネル部の車外側に導出する場合、エンジンの排気効率を考慮して、上記排気系をエンジン上部の排気ポートから車両後方側下方に、所定の傾斜角で略直線状に延びるように形成すると、トンネル部の前部には、排気系に沿って上方に大きく突出して、該排気系(特に、排気管)の傾斜角に対応するように傾斜した上壁面を備えるトンネル拡大部が形成される。
【0005】
そこで、この発明は、トンネル拡大部とチェンジケーブルとを備えた車両において、該トンネル拡大部の車両後方に傾斜する傾斜面の上部にその前端が接合された平面部と、該平面部の後端から下方に延びる脚部と、を備えたエアバッグセンサ取付けブラケットを設け、チェンジケーブルが上記エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部と、上記トンネル拡大部の傾斜面との間の空間に案内されると共に、該チェンジケーブルを、エアバッグセンサ取付けブラケットの下方に位置する傾斜面に設けられた貫通孔を介して車室外に配索すうように構成することで、エアバッグセンサをインストルメントパネル下方のデッドスペースに配設すると共に、トンネル拡大部の傾斜面と取付けブラケットとの間の空間を利用して、チェンジケーブルの配索経路を確保することができ、また、そのサービス性の確保を達成することができる車両のフロアトンネル部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による車両のフロアトンネル部構造は、ダッシュパネルとフロアパネルとの連結部にトンネル拡大部が設けられると共に、変速機操作機構から延設されたチェンジケーブルがフロアパネルを貫通してエンジンルーム内の変速機に連結されるように構成された車両において、上記トンネル拡大部の車両後方に傾斜する傾斜面の上部に前端が接合された平面部と、該平面部の後端から下方に延びる脚部と、を備えたエアバッグセンサ取付けブラケットが設けられ、上記チェンジケーブルが該エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部と、上記トンネル拡大部の傾斜面と、の間の空間に案内されると共に、該チェンジケーブルが上記エアバッグセンサ取付けブラケットの下方に位置する上記傾斜面に設けられた貫通孔を介して車室外に配索されるように構成されたものである。
【0007】
上記構成によれば、エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部に設けられるエアバッグセンサを、インストルメントパネル下方のデッドスペースに配設することができると共に、トンネル拡大部の傾斜面と、エアバッグセンサ取付けブラケットとの間の空間を利用して、上記チェンジケーブルの配索経路を確保することができ、また、該チェンジケーブルのサービス性の確保を達成することができる。
【0008】
この発明の一実施態様においては、上記傾斜面が傾斜角度の大きい前部と、傾斜角度の小さい後部と、を有し、上記エアバッグセンサ取付けブラケットが上記前部と上記後部とに跨って設けられたものである。
上記構成によれば、上記傾斜面の前部と後部との傾斜角度の大小により、トンネル拡大部を窪ませることができ、これにより、エアバッグセンサの配設空間を確保することができると共に、エアバッグセンサ取付けブラケットとトンネル拡大部の傾斜面との間の空間を確保することができる。
【0009】
この発明の一実施態様においては、上記変速機操作機構がインストルメントパネルに配設されたものである。
上記構成によれば、変速機操作機構をインストルメントパネルに配設したので、フロア面を低く抑えてウオークスルーに支障のないレイアウトが達成できる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記車両のフロアトンネル部構造は、変速機操作機構がインストルメントパネルに配設される車台と、フロアに配設される車台と、に共通して適用されるように構成されたものである。
上記構成によれば、車両のフロアトンネル部構造を、インパネシフト車の車台とフロアシフト車の車台とに共通して適用することができ、汎用性の拡大を図ると共に、派生対応が容易に行える。
なお、車台とはダッシュロアパネル、フロアパネル、リヤフロア、サイドシル、トンネル部などを含むアンダフロア周りのことである。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記トンネル拡大部の上方には空調ユニットが設けられ、上記エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部に取付けられたエアバッグセンサは上記空調ユニットの下方に位置するものである。
上記構成によれば、エアバッグセンサを空調ユニット下方のデッドスペースに配設することができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、トンネル拡大部とチェンジケーブルとを備えた車両において、該トンネル拡大部の車両後方に傾斜する傾斜面の上部にその前端が接合された平面部と、該平面部の後端から下方に延びる脚部と、を備えたエアバッグセンサ取付けブラケットを設け、チェンジケーブルが上記エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部と、上記トンネル拡大部の傾斜面との間の空間に案内されると共に、該チェンジケーブルを、エアバッグセンサ取付けブラケットの下方に位置する傾斜面に設けられた貫通孔を介して車室外に配索すうように構成したので、エアバッグセンサをインストルメントパネル下方のデッドスペースに配設すると共に、トンネル拡大部の傾斜面と取付けブラケットとの間の空間を利用して、チェンジケーブルの配索経路を確保することができ、また、そのサービス性の確保を達成することができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
エアバッグセンサをインストルメントパネル下方のデッドスペースに配設することができ、かつ、トンネル拡大部の傾斜面と取付けブラケットとの間の空間を利用して、チェンジケーブルの配索経路確保とそのサービス性確保との両立を図るという目的を、ダッシュパネルとフロアパネルとの連結部にトンネル拡大部を設けると共に、変速機操作機構から延設されたチェンジケーブルを、フロアパネルを貫通してエンジンルーム内の変速機に連結するように構成した車両において、上記トンネル拡大部の車両後方に傾斜する傾斜面の上部に、前端が接合された平面部と、該平面部の後端から下方に延びる脚部と、を備えたエアバッグセンサ取付けブラケットを設け、上記チェンジケーブルを、該エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部と、上記トンネル拡大部の傾斜面と、の間の空間に案内すると共に、該チェンジケーブルを、上記エアバッグセンサ取付けブラケットの下方に位置する上記傾斜面に設けられた貫通孔を介して車室外に配索されるように構成するという構造にて実現した。
【実施例】
【0014】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両のフロアトンネル部構造を示すが、まず、図1を参照して車両の前部構造について説明する。
【0015】
図1に示す概略斜視図において、エンジンルーム1と車室2とを前後方向に仕切るダッシュパネルとしてのダッシュロアパネル3を設け、このダッシュロアパネル3の下部には後方に向けて略水平に延びるフロアパネル4を一体的に連設している。
上述のフロアパネル4およびダッシュロアパネル3の車幅方向中央部には、車室2内に突出して、車両の前後方向に延びるトンネル部5を一体形成している。
【0016】
一方、エンジンルーム1内には、シリンダブロック6と、シリンダヘッド7と、シリンダヘッドカバー8と、オイルパン9とを備えたエンジン10を横置きに配置し、このエンジン10の一方側には変速機11を配置して、FF車と成している。なお、図面ではレシプロエンジンを例示したが、これはロータリエンジンであってもよい。
【0017】
エンジン10の前方には、気筒に吸気を導入する吸気マニホルド12を取付け、エンジン10の後方には、気筒の排気を排出する排気マニホルド13を取付けている。ここで、上述の吸気マニホルド12は気筒列方向に延びるサージタンク14を取囲むように湾曲形成されており、それぞれ所定の吸気通路長を確保している。
【0018】
一方、排気マニホルド13は、仮想垂直線L1に対して所定の角度α(約15度)だけ後方側に傾斜したエンジン10のシリンダヘッド7における排気ポート(図示せず)から側面視でほぼ直線状に後方側斜め下方に延びるように形成されている。
上述の排気マニホルド13の前端部(上流部)からY字排気管16の中間部までは側面視でほぼ直線状に後方側斜め下方に延びるように形成されているので、上記ダッシュロアパネル3とフロアパネル4との連結部、詳しくは上述のトンネル部5の前部には、排気マニホルド13、直キャタリスト15、Y字排気管16に沿って上方に大きく突出して、これら各要素13,15,16の傾斜角に対応するように傾斜した上壁面を備えるトンネル拡大部20が形成されており、上述の排気系19の略直線化により、エンジン10の排気効率を高めるように構成している。
【0019】
ここで、上述の直キャタリスト15およびY字排気管16の中間部よりも前側(上流部)はトンネル拡大部20の車外側に配設されており、Y字排気管16の下流部と、フレキシブルジョイント17と、アンダーフットキャタリスト18と、はトンネル部5の車外側に配設されている。
【0020】
次に、図2〜図7を参照して、車両のフロアトンネル部構造について詳述する。
図2はフロアトンネル部構造を示す側面図、図3は図2の平面図、図4は車室内側から前方を見た状態で示す斜視図、図5はエンジンルーム下方から上側後方を見た状態で示す斜視図、図6は図2の要部拡大側面図、図7はエアバッグセンサ取付けブラケットの斜視図である。
【0021】
図2に示すように、上述のダッシュロアパネル3は上下方向に延びる縦壁3aと、該縦壁3aの下端から後方に向けて斜め下方に延びるスラント壁3bと、該スラント壁3bの後端から後方に向けて水平に延び、フロアパネル4と面一状になる下壁3cとを備えている。
【0022】
このダッシュロアパネル3に一体形成されたトンネル拡大部20は、図2に示すように、その上面に車両後方に傾斜する傾斜面21,22が形成されている。
上記傾斜面21,22は傾斜角度の大きい前部、つまり前部傾斜面21と、傾斜角度の小さい後部、つまり後部傾斜面22とを有し、これら前後の各傾斜面21,22を前後方向に一体連設したものである。
【0023】
また、上述のトンネル拡大部20における各傾斜面21,22の上方には所定間隔を隔てて空調ユニット23を配設する一方、図2、図4に示すように、運転席側(この実施例では車両左側)にはステアリングシャフト24を設け、この運転席側に設けられるブレーキペダル(図示せず)と対応すべく、ダッシュロアパネル3の縦壁3aのエンジンルーム1側には、ブレーキブースタ25を取付けている。
【0024】
さらに、図3に平面図で示すように、助手席側において、ダッシュロアパネル3のスラント壁3bとトンネル拡大部20の側壁との間には、助手席乗員が足を載せるフットレスト26を形成している。
同様に、図4に斜視図で示すように、運転席側において、ダッシュロアパネル3の車幅方向左側において、その縦壁3aとスラント壁3bとの間には、運転席乗員が足を載せるフットレスト27を形成している。
【0025】
また、図4に示すように、運転席側におけるダッシュロアパネル3の縦壁3aにおいて、ブレーキブースタ25の取付け位置よりも車幅方向左側には、エンジンルーム1側から配設されるハーネス用のコネクタ28を取付けている。
さらに、図4に示すように、ダッシュロアパネル3のスラント壁3bの左端部上方には、コネクタ28からのハーネス(図示せず)を一側のハーネス29と他側のハーネス30とに分配する分配器31(いわゆる、ディストリビュータ)を配設している。
【0026】
ところで、図2、図3、図4、図6に示すように、上述のトンネル拡大部20の傾斜面21,22上部には、エアバッグセンサ取付けブラケット40(以下単に取付けブラケットと略記する)が設けられている。
この取付けブラケット40は図7に示すように、略水平な平面部40aと、この平面部40aの後端から下方に延びる左右一対の脚部40b,40bと、これら左右の脚部40b,40b間に形成された開口部40cと、左右一対の脚部40b,40bの下端から後方に延びる後部取付け片40d,40dと、上述の平面部40aの前端から前方に延びる前部取付け片40eと、を一体に折曲げ形成した剛性部材である。
【0027】
この取付けブラケット40において、前部取付け片40eはトンネル拡大部20の前部傾斜面21と平行に形成され、後部取付け片40dはトンネル拡大部20の後部傾斜面22と平行に形成されている。また、これら前部取付け片40eおよび後部取付け片40dのそれぞれには取付け孔41…いわゆるボルト挿通孔が形成されている。さらに、上述の開口部40cの口縁には、後述するチェンジケーブルの傷付き防止用のゴム製のパッド42が嵌着されている。
【0028】
図2、図3、図4、図6に示すように、取付けブラケット40の前部取付け片40eは、ボルト、ナット等の取付け部材43を用いて、トンネル拡大部20の前部傾斜面21に着脱可能に接合されており、取付けブラケット40の後部取付け片40dは、ボルト、ナット等の取付け部材44を用いて、トンネル拡大部20の後部傾斜面22に着脱可能に接合されている。
つまり、この取付けブラケット40はトンネル拡大部20の前部傾斜面21と後部傾斜面22とに跨って着脱可能に取付けられたものであり、この取付けブラケット40の平面部40aには、エアバッグセンサ45が固定されている。
【0029】
図3、図6に示すように、エアバッグセンサ45はその下部外方に複数の取付けフランジ45a…を有しており、これら複数の取付けフランジ45a…を、ボルト、ナット等の取付け部材46を用いて、取付けブラケット40の平面部40aに対して着脱可能に固定されたものであり、このエアバッグセンサ45は車両衝突時の振動を検出し、図示しないエアバッグを展開して、乗員を保護するためのものであって、該エアバッグセンサ45は、図2に示すインストルメントパネル50下方のデッドスペースで、かつ図6に示すように、空調ユニット23の下方に位置する。
【0030】
ところで、図2に示すように、インストルメントパネル50には変速操作用のチェンジレバー51が設けられており、このチェンジレバー51の上端にはノブ52を設ける一方、チェンジレバー51の下部に設けられた変速機操作機構53にはチェンジケーブル54が延設されている。
【0031】
図2では、マニュアルシフト用の変速機操作機構53を例示しているので、チェンジケーブル54は2本存在し、一方がシフト用で、他方がセレクト用であるが、AT車においてはチェンジケーブル54は1本のみとなる。
【0032】
変速機操作機構53から延設されたチェンジケーブル54は、フロアパネルを貫通して図1で示したエンジンルーム1内の変速機11に連結されているので、以下、その具体的構造について説明する。
【0033】
図6に示すように、取付けブラケット40の下方に位置する後部傾斜面22に貫通孔55を設け、この貫通孔55の口縁上部に対応して該後部傾斜面22上には、チェンジケーブル54の案内部56を有するグロメット57を、ボルト、ナット等の取付け部材58を用いて、着脱可能に取付けている。
【0034】
上述のグロメット57は、図3、図4に示すように、取付けブラケット40の開口部40cから出し入れが可能となるように、前後方向に延びる所謂縦長形状に形成されると共に、2つの取付け部材58,58のうち前側の取付け部材58は、取付けブラケット40の平面部40aと、トンネル拡大部20の後部傾斜面22と、の間の空間60から容易に着脱操作できるように、車両左側片側に位置しており、2つの取付け部材58,58のうち後側の取付け部材58は、取付けブラケット40の脚部40bよりも車両後方側に位置しており、この取付け部材58を容易に着脱操作できるように構成している。
【0035】
また、これら一対の取付け部材58,58は、図3に示すように、グロメット57に対して対角線状に位置するように配置されている。
そして、上述の変速機操作機構53から延設されたチェンジケーブル54は、図2、図6に示すように、取付けブラケット40の開口部40cから上記空間60に案内され、かつ、グロメット57の案内部56および後部傾斜面22の貫通孔55を介してトンネル拡大部20の下部つまり車室外に配索された後に、図1で示したエンジンルーム1内の変速機11に連結されるように配索されている。
【0036】
一方、図5、図6に示すように、トンネル拡大部20の車外側において、前部傾斜面21の下面と後部傾斜面22の下面との間、要するに前後の各傾斜面21,22に跨った状態でクロスメンバ70を車幅方向に向けて接合固定し、傾斜面21,22とクロスメンバ70との間には閉断面71を形成している。
【0037】
また、図5に示すように、エンジンルーム1の下方において車体前後方向に延設される左右一対のフロントサイドフレーム80,80を設け、これら一対のフロントサイドフレーム80,80のキックアップ部80a,80aはダッシュロアパネル3の前部に結合している。
【0038】
ところで、図2と図8との対比から明らかなように、上記構成の車両のフロアトンネル部構造は、変速機操作機構53がインストルメントパネル50に配設されるインパネシフト車(図2参照)の車台(アンダフロアとその周辺部)と、変速機操作機構53がトンネル部5に支持部材61を介して配設されるフロアシフト車(図8参照)の車台と、に共通して適用されるように構成している。なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0039】
図9は取付けブラケット40の他の実施例を示し、エアバッグセンサ45の取付けを阻害しないように、該取付けブラケット40の平面部40aには、前後方向に延び、かつ下方へ突出する複数のビード40f,40fを一体形成すると共に、前部取付け片40eと平面部40aとに跨って前後方向に延び、かつ上方へ突出するビード40gを一体形成したものである。
このように構成すると、部品点数の増加を招くことなく、取付けブラケット40の剛性向上を図ることができると共に、エアバッグセンサ45に対する衝突荷重の伝達性を向上することができる。
【0040】
このように、上記実施例の車両のフロアトンネル部構造は、ダッシュロアパネル3とフロアパネル4との連結部にトンネル拡大部20が設けられると共に、変速機操作機構53から延設されたチェンジケーブル54がフロアパネル4を貫通してエンジンルーム1内の変速機11に連結されるように構成された車両において、上記トンネル拡大部20の車両後方に傾斜する傾斜面21,22の上部に前端が接合された平面部40aと、該平面部40aの後端から下方に延びる脚部40bと、を備えた取付けブラケット40が設けられ、上記チェンジケーブル54が該取付けブラケット40の平面部40aと、上記トンネル拡大部20の傾斜面22と、の間の空間60に案内されると共に、該チェンジケーブル54が上記取付けブラケット40の下方に位置する上記傾斜面22に設けられた貫通孔55を介して車室外に配索されるように構成されたものである(図1、図2、図6参照)。
【0041】
この構成によれば、取付けブラケット40の平面部40aに設けられるエアバッグセンサ45を、インストルメントパネル50下方のデッドスペースに配設することができると共に、トンネル拡大部20の傾斜面22と、取付けブラケット40との間の空間60を利用して、上記チェンジケーブル54の配索経路を確保することができ、また、該チェンジケーブル54のサービス性の確保を達成することができる。
【0042】
また、上記傾斜面21,22が傾斜角度の大きい前部(前部傾斜面21参照)と、傾斜角度の小さい後部(後部傾斜面22参照)と、を有し、上記取付けブラケット40が上記前部(前部傾斜面21)と上記後部(後部傾斜面22)とに跨って設けられたものである(図6参照)。
この構成によれば、上記傾斜面21,22の前部と後部との傾斜角度の大小により、トンネル拡大部20を窪ませることができ、これにより、エアバッグセンサ45の配設空間を確保することができると共に、取付けブラケット40とトンネル拡大部20の傾斜面22との間の空間60を確保することができる。
【0043】
さらに、上記変速機操作機構53がインストルメントパネル50に配設されたものである(図2参照)。
この構成によれば、変速機操作機構53をインストルメントパネル50に配設したので、フロア面を低く抑えてウオークスルーに支障のないレイアウトが達成できる。
【0044】
また、上記構成の車両のフロアトンネル部構造は、変速機操作機構53がインストルメントパネル50に配設されるフロアシフト車の車台(図2参照)と、フロアに配設されるフロアシフト車の車台(図8参照)と、に共通して適用されるように構成されたものである(図2、図8参照)。
【0045】
この構成によれば、車両のフロアトンネル部構造を、インパネシフト車の車台とフロアシフト車の車台とに共通して適用することができ、汎用性の拡大を図ると共に、派生対応が容易に行える。
なお、車台とはダッシュロアパネル3、フロアパネル4、リヤフロア、サイドシル、トンネル部5などを含むアンダフロア周りのことである。
【0046】
さらに、上記トンネル拡大部20の上方には空調ユニット23が設けられ、上記取付けブラケット40の平面部40aに取付けられたエアバッグセンサ45は上記空調ユニット23の下方に位置するものである(図2参照)。
この構成によれば、エアバッグセンサ45を空調ユニット23下方のデッドスペースに配設することができる。
【0047】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のダッシュパネルは、実施例のダッシュロアパネル3に対応し、
以下同様に、
エアバッグセンサ取付けブラケットは、取付けブラケット40に対応し、
傾斜角度の大きい前部は、前部傾斜面21に対応し、
傾斜角度の小さい後部は、後部傾斜面22に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、図示実施例においては左ハンドル車両を示したが、これは右ハンドル車両であってもよい。また図示実施例においては、MT車に対応してシフト用とセレクト用の2本のチェンジケーブル54を備えた構成を例示したが、AT車に適用する場合にはチェンジケーブル54は1本のみでよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の車両のフロアトンネル部構造を示す概略斜視図
【図2】フロアトンネル部構造を示す側面図
【図3】図2の要部平面図
【図4】フロアトンネル部構造を車室内側から見た状態で示す斜視図
【図5】フロアトンネル部構造をエンジンルーム下方から見た状態で示す斜視図
【図6】図2の要部拡大側面図
【図7】エアバッグセンサ取付けブラケットの斜視図
【図8】フロアシフト車を示す側面図
【図9】エアバッグセンサ取付けブラケットの他の実施例を示す斜視図
【符号の説明】
【0049】
1…エンジンルーム
3…ダッシュロアパネル(ダッシュパネル)
4…フロアパネル
11…変速機
20…トンネル拡大部
21…前部傾斜面(傾斜面)
22…後部傾斜面(傾斜面)
23…空調ユニット
40…取付けブラケット(エアバッグ取付けブラケット)
40a…平面部
40b…脚部
45…エアバッグセンサ
50…インストルメントパネル
53…変速機操作機構
54…チェンジケーブル
55…貫通孔
60…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダッシュパネルとフロアパネルとの連結部にトンネル拡大部が設けられると共に、
変速機操作機構から延設されたチェンジケーブルがフロアパネルを貫通してエンジンルーム内の変速機に連結されるように構成された車両において、
上記トンネル拡大部の車両後方に傾斜する傾斜面の上部に前端が接合された平面部と、
該平面部の後端から下方に延びる脚部と、を備えたエアバッグセンサ取付けブラケットが設けられ、
上記チェンジケーブルが該エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部と、上記トンネル拡大部の傾斜面と、の間の空間に案内されると共に、
該チェンジケーブルが上記エアバッグセンサ取付けブラケットの下方に位置する上記傾斜面に設けられた貫通孔を介して車室外に配索されるように構成された
車両のフロアトンネル部構造。
【請求項2】
上記傾斜面が傾斜角度の大きい前部と、傾斜角度の小さい後部と、を有し、
上記エアバッグセンサ取付けブラケットが上記前部と上記後部とに跨って設けられた
請求項1記載の車両のフロアトンネル部構造。
【請求項3】
上記変速機操作機構がインストルメントパネルに配設された
請求項1または2記載の車両のフロアトンネル部構造。
【請求項4】
上記請求項1記載の車両のフロアトンネル部構造は、変速機操作機構がインストルメントパネルに配設される車台と、フロアに配設される車台と、に共通して適用されるように構成された
車両のフロアトンネル部構造。
【請求項5】
上記トンネル拡大部の上方には空調ユニットが設けられ、上記エアバッグセンサ取付けブラケットの平面部に取付けられたエアバッグセンサは上記空調ユニットの下方に位置する
請求項1〜4の何れか1に記載の車両のフロアトンネル部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−179182(P2009−179182A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−20140(P2008−20140)
【出願日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】