説明

車両のフロアパネル構造

【課題】車室底部の見映えを悪化させることなく、適正にペダル操作を行うことができるようにする。
【解決手段】車室の底部を形成するフロアパネルの上方に運転席シートが配設され、該運転席シートの前方にアクセルペダル等からなる操作ペダルが設置されるとともに、その側方にクラッチペダルが並設された車両において、上記操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル上の踵部載置領域には、上面が前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部13が設けられるとともに、クラッチペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が位置するフロアパネル上の踵部領域には、上記第1傾斜フロア部13に比べて傾斜角度で上面が前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部14が設けられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室の底部を形成するフロアパネルの上方に運転席シートが配設されるとともに、該運転席シートの前方に操作ペダルが設置された車両のフロアパネル構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば下記特許文献1に示されるように、シート座面位置を調整するシート位置調整手段と、ペダルを操作する乗員の脚部が載置されるフロアパネル(可動フロア)の上下位置を調整するフロアパネル位置調整手段とを設け、かつ、これら両手段を操作する運転姿勢調整操作手段を設けることで、乗員の体格差に左右されることなく、適切な運転姿勢の設定と、前方視界の確保とが両立でき、またシートの前後方向への調整量が小さくても適正な運転姿勢が得られ、さらにフロア高さを調整することにより適切なペダル操作性を確保できるように構成された車両の運転姿勢調整装置が知られている。
【0003】
また、下記特許文献2に示されるように、運転席シートに着座した運転者のペダル操作足により踏込操作されるブレーキペダルとアクセルペダルとが車室前部に配設された自動車運転席のフロア構造において、上記ブレーキペダルおよびアクセルペダルの踏込ポイントよりも後方に位置するフロア部上に、上記ペダル操作足の踵部が載置される踵部載置領域を設け、該踵部載置領域の一部に、上面が前上がりに傾斜した踵載置部を形成するとともに、上記ブレーキペダルの後方に位置する第1踵載置部の前後寸法を、上記アクセルペダルの後方に位置する第2踵載置部の前後寸法よりも短く設定することにより、簡単な構成で運転姿勢を容易かつ適正に調整して運転者が操作ペダルを適正に操作できるようにすることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−145405号公報
【特許文献2】特開2009−208638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示された車両の運転姿勢調整装置では、例えばシート位置調整手段により、運転席シートに着座する運転者の身長に応じて運転席シートを前後移動させるとともに、これに対応してシートクッションの上下位置および傾斜角度を調整することができるため、運転席シートに着座した運転者の着座姿勢を安楽状態に維持しつつ、運転席シートの前方に配設されたアクセルペダルまたはブレーキペダル等からなる操作ペダルの踏込操作を適正に行うことが可能であり、かつ前方視界を適正に確保できるように運転者の着座姿勢を調整することができる。また、運転席シートに着座する運転者が身長の異なる者に乗り換わって、足の長さ及び足裏寸法等が変化すると、これに対応させるように上記フロアパネル位置調整手段により可動フロアの上下位置を調整することができるため、各運転者の踵部をフロアパネル上に載置した状態で、ペダル操作足の拇子球部を操作ペダルのペダル面部に対して適正に当接させることができるように、操作ペダルの踏み込み特性を調整できるという利点がある。
【0006】
しかし、上記のようにシート位置調整手段により運転席シートの前後位置と、シートクッションの上下位置および傾斜角度とを調整可能に構成するとともに、フロアパネル位置調整手段により可動フロアパネルの上下位置を調整可能に構成した場合には、該調整装置の構造が複雑で製造コストが高くなる等の問題がある。特に、上記可動フロアと、その下方に位置するフロアパネルとの間に形成された狭い間隙内に、上記フロアパネル位置調整手段を設置しなければならないため、その設置スペースを充分に確保することが困難である等の問題があった。また、上記フロアパネル位置調整手段により可動フロアパネルの上下位置を適正値に調整した場合においても、シート位置調整手段により運転席シートの位置および角度を調整することによる影響を受けて運転者のペダル操作性等が変化し、上記運転席シートの位置および角度と可動フロアパネルの上下位置との全てを適正値に調整することは極めて困難であった。
【0007】
一方、上記特許文献2に開示された運転席のフロア構造では、運転席シートに着座した低身長者が、ペダル操作足の踵部を上記第1踵載置部上に載置した状態で、その足首角度および足裏面の傾斜角度を適正角度に維持しつつ、ペダル操作足の拇子球部をアクセルペダルの踏込ポイントに当接させることができるため、上記ペダル操作足の踵部がフロア面から離間した状態で、アクセルペダルの踏込操作が行われることに起因して微妙なペダル操作が不可能となるのを効果的に防止できるという利点がある。また、高身長者の場合には、上記第1踵載置部の後端部よりも後方側で、かつ第2踵載置部の側方側部に、ペダル操作足の踵部を位置させた状態で、上記アクセルペダルおよびブレーキペダルに対するペダル踏み換え操作等を行うことができるため、該踏み換え操作が上記第1,第2踵載置部により阻害されるという事態の発生を効果的に防止できる等の利点がある。
【0008】
しかし、上記のようにアクセルペダルおよびブレーキペダルからなる操作ペダルの側方にクラッチペダルが並設された車両において、該クラッチペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が位置する踵部領域に、上記特許文献2に開示されているように上面が前上がりに傾斜した傾斜面部を形成した場合には、該傾斜面部が邪魔になって上記クラッチペダルの操作性が却って悪化する可能性がある。これを防止するために上記クラッチペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が位置する踵部領域を平坦面に形成した場合には、上記アクセルペダル等からなる操作ペダルの設置部とクラッチペダルの設置部とで車室底部の形状が著しく相違することとなって見映えが悪化するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑み、車室底部の見映えを悪化させることなく、運転席シートに着座する運転者の体格が種々に変化した場合おいても、それぞれ適正にペダル操作を行うことができる車両のフロアパネル構造を提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、車室の底部を形成するフロアパネルの上方に運転席シートが配設され、該運転席シートの前方にアクセルペダル等からなる操作ペダルが設置されるとともに、その側方にクラッチペダルが並設された車両において、上記操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル上の踵部載置領域には、上面が前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部が設けられるとともに、クラッチペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が位置するフロアパネル上の踵部領域には、上記第1傾斜フロア部に比べて傾斜角度で上面が前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部が設けられたものである。
【0011】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両のフロアパネル構造において、水平面に対する上記第1傾斜フロア部の傾斜角度が15°程度に設定されるとともに、水平面に対する上記第2傾斜フロア部の傾斜角度が10°程度に設定されたものである。
【0012】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両のフロアパネル構造において、上記第1傾斜フロア部と第2傾斜フロア部とを滑らかに接続する接続部が設けられたものである。
【0013】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のフロアパネル構造において、上記第1傾斜フロア部の後方部に、第2傾斜フロア部の傾斜角度と同一角度で傾斜した緩傾斜部が設けられたものである。
【0014】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両のフロアパネル構造において、上記アクセルペダルは、フロアパネルに固定されたペダル基部と、該ペダル基部に設けられた枢支部を支点に揺動可能に支持されたペダル本体とを備えたものである。
【0015】
請求項6に係る発明は、上記請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両のフロアパネル構造において、上記クラッチペダルが、上部に設けられた枢支部と、該枢支部を支点に揺動可能に支持された踏込操作部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、アクセルペダル等からなる操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル上の踵部載置領域を前上がりに傾斜した傾斜フロア部を設けたため、運転席シートに着座する運転者の体格が種々に変化した場合おいても、それぞれ適正にペダル操作を行うことができるという利点がある。そして、上記アクセルペダル等からなる操作ペダルの側方に配設されたクラッチペダルを踏込操作するペダル操作足の踵部が位置するフロアパネル上の踵部領域に、第1傾斜フロア部に比べて緩角度で上面が前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部を設けたため、該第2傾斜フロア部と、上記アクセルペダル等の後方側に配設された第1傾斜フロア部との間に大きな高低差が生じるのを防止して車室底部の見映えを向上させつつ、上記クラッチペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部がフロア面に当接することによる違和感の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0017】
請求項2に係る発明では、水平面に対する上記第1傾斜フロア部の傾斜角度を15°程度に設定するとともに、水平面に対する上記第2傾斜フロア部の傾斜角度を10°程度に設定したため、上記第1傾斜フロア部上に載置したペダル操作足の踵部が滑り落ちるのを防止しつつ、運転者の体格に応じて上記踵部の載置高さを調節することができ、かつ上記第2傾斜フロア部にペダル操作足の踵部が当接してペダル操作性が低下するのを確実に防止しつつ、第1傾斜フロア部と上記第2傾斜フロア部との間に大きな高低差が生じるのを効果的に防止できるという利点がある。
【0018】
請求項3に係る発明では、アクセルペダル側の第1傾斜フロア部の上面と、クラッチペダル側の第2傾斜フロア部の上面とを滑らかに接続する接続部を設けたため、上記第1傾斜フロア部の上面と第2傾斜フロア部の上面との間に、両者の傾斜角度が相違することによる段差が形成されるのを防止することにより、車室底部の見映えを良好に維持しつつ、上記段差にペダル操作足が当接して違和感が生じるのを効果的に抑制することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、上記第1傾斜フロア部の後方部に、第2傾斜フロア部の傾斜角度と同一角度で傾斜した緩傾斜部を設けたため、上記第1,第2傾斜フロア部を構成するヒールパッド材等の形状を単純化して容易に製造できるとともに、運転席シートの前方部に位置する車室底部の見映えを効果的に向上できるという利点がある。
【0020】
請求項5に係る発明では、上記アクセルペダルを、フロアパネルに固定されたペダル基部と、該ペダル基部に設けられた枢支部を支点に揺動可能に支持されたペダル本体とを備えた所謂オルガン式ペダルとし、該オルガン式ペダルを踏込操作するペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル上の踵部載置領域に傾斜フロア部を設けたため、運転席シートに着座した運転者の体格の如何に拘わらず、簡単な構成で上記オルガン式の操作ペダルの微妙な踏込操作を適正に行うことができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、上記クラッチペダルを、上部に設けられた枢支部と、該枢支部を支点に揺動可能に支持された踏込操作部とを備えた所謂吊りペダル式としたため、吊りペダル式のクラッチペダルを踏み込み操作する際に、ペダル操作足の踵部がフロア面に当接することによる違和感の発生を効果的に防止して、その踏込操作を適正に行うことができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る車両のフロアパネル構造の実施形態を示す説明図である。
【図2】ペダルの配設構造を示す背面断面図である。
【図3】アクセルペダルの具体的構成を示す図2のIII−III線断面図である。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】図2のV−V線断面図である。
【図6】ヒールパッド材の具体的構造を示す斜視図である。
【図7】ペダル基部の取付部の構造を示す側面断面図である。
【図8】フロアマットの取付構造を示す側面断面図である。
【図9】シートの前後位置調整機構および傾斜角度調整機構の具体的構成を示す側面図である。
【図10】シートの前後位置調整機構および傾斜角度調整機構の具体的構成を示す斜視図である。
【図11】図9のXI−XI線断面図である。
【図12】傾斜角度調整機構の具体的構成を示す側面断面図である。
【図13】傾斜角度調整機構の具体的構成を示す平面断面図である。
【図14】シートクッションを車両の前方側に移動させた状態を示す側面図である。
【図15】平均身長者の着座状態を示す側面図である。
【図16】平均身長者および低身長者の踵部載置状態を示す説明図である。
【図17】高身長者の着座状態を示す側面図である。
【図18】高身長者の踵部載置状態を示す説明図である。
【図19】ヒールパッド材の変形例を示す側面断面図である。
【図20】本発明に係る車両のフロアパネル構造の別の実施形態を示す図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1〜図6は、本発明に係る車両のフロアパネル構造の実施形態を示している。該車両の車室内には、その底部を形成するフロアパネル9の上方に運転席シート1が配設されるとともに、そのシートクッション1aをスライド変位させてその前後位置を調整する前後位置調整機構2と、上記シートクッション1aの傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構3とが設けられている。上記車室の前部には、運転席シート1に着座した運転者により踏込操作されるアクセルペダル4、ブレーキペダル5およびクラッチペダル6が左右に並設されている。
【0024】
上記車両の車体には、エンジンルームと車室とを区画するダッシュパネル7と、該ダッシュパネル7の下端部から後下がりの傾斜状態で車体の後方側に延びるキックアップパネル8と、その後端部に連続して車体の後方側へ略水平に延びる車室のフロアパネル9とが設けられている。また、上記フロアパネル9の上面には、防振、遮音および断熱機能等を有するメルシート、フェルト材またはグラスウール等を主体としたクッション材10aと、その上面を被覆するパイル地等からなる表層材10bとを備えた従来周知のフロアカーペット10が敷設されている。
【0025】
上記運転席シート1の前方に配設されたアクセルペダル4、ブレーキペダル5およびクラッチペダル6からなる操作ペダルを踏込操作する際に、運転者の右足からなるペダル操作足の踵部が位置するフロアパネル9上の踵部載置領域には、ヒールパッド材11が配設されている。また、該ヒールパッド材11および上記フロアカーペット10の上面を覆うようにフロアマット材12が敷設されている(図3参照)。上記ヒールパッド材11は、通常時に運転者がペダル操作足の踵部を載置した状態で操作ペダルを踏込操作するのに適した剛性と、車両の衝突時にペダル操作足の踵部に作用する衝撃荷重を吸収するのに適した柔軟性とを有する発泡ウレタン、硬質の発泡スチロール材または合成ゴム材等により形成されている。
【0026】
具体的には、運転者が上記アクセルペダル4等を踏込操作する際に、ペダル操作足の踵部からヒールパッド材11に作用する載置荷重に応じて踵部が大きく沈み込むことのないように該ヒールパッド材11の剛性が設定されることにより、上記ペダル操作を適正に行い得るように構成されている。また、車両の衝突時にペダル操作足の踵部が上記ヒールパッド材11に大きな力で押し付けられた場合には、該押し付け力に応じてヒールパッド材11が適度に変形するように上記ヒールパッド材11の柔軟性が設定されることにより、上記衝撃荷重が吸収されてペダル操作足が保護されるようになっている。
【0027】
上記ヒールパッド材11のアクセルペダル4およびブレーキペダル5の後方側部位には、上面が水平面に対して15°程度の傾斜角度αで前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部13が設けられている。また、上記ヒールパッド材11のクラッチペダル6の後方側部位には、上面が水平面に対して10°程度の傾斜角度βで前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部14が設けられている(図6参照)。
【0028】
上記第1傾斜フロア部13は、様々な体格を有する運転者がアクセルペダル4およびブレーキペダル5を踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置される踵部載置領域に配設されるように、その前後寸法が例えば50mm程度に設定されている。そして、上記第1傾斜フロア部13の後方側には、上面が上記傾斜角度αよりも緩角度、例えば10°程度の角度γで後下がりに傾斜するとともに、上記踵部載置領域を超えて後方側に延びる後方延長部13aが設けられている(図3参照)。
【0029】
例えば180cm以上の身長を有する複数の高身長者が運転席に着座した場合に、そのペダル操作足の踵部が載置される踵載置位置を測定してその平均値を求め、該高身長者の平均値に対応した踵載置位置のやや後方側に、上記後方延長部13aの後端部が位置するように設定されている。また、上記第1傾斜フロア部13の前方側には、図6に示すように、上面が略水平な水平面部13bが設けられている。該水平面部13bには、平面視で上記アクセルペダル4を構成するペダル基部19に対応した幅寸法を有する切欠き部15が形成され、該切欠き部15が平面視で上記ペダル基部19の後方部に外嵌されるようになっている。
【0030】
上記ヒールパッド材11の第2傾斜フロア部14は、クラッチペダル6を踏込操作する際にペダル操作足の踵部が位置する前方領域とその後方側に連続する後方領域とが一体的に形成されている。そして、上記第2傾斜フロア部14の水平面に対する傾斜角度βが、上記アクセルペダル4およびブレーキペダル5側の後方延長部13aと同程度、つまり約10°に設定され、上記ヒールパッド材11の後方部には、同一角度(約10°)で後下がりに傾斜した面一の傾斜面が形成されている。
【0031】
上記アクセルペダル4およびブレーキペダル5の後方側部位に配設された第1傾斜フロア部13と、クラッチペダル6側の領域に位置する第2傾斜フロア部14と間には、上記傾斜角度α,βの相違に起因した高低差が上面に形成されている。また、上記第1傾斜フロア部13の上面と第2傾斜フロア部14の上面との間には、両者を滑らかに接続する円弧状の湾曲面を有する接続部16が設けられている(図2参照)。
【0032】
そして、上記フロアカーペット10の裏打ちクッション材10aの所定部分が切除されることにより形成された空隙部に上記ヒールパッド材11が設置されてフロアパネル9の上面に接着される等の手段で固定されるととともに、該ヒールパッド材11の上面を覆うように表層材10bが設置されている。さらに、その上に上記フロアマット材12が敷設されることにより、上記ヒールパッド材11の第1,第2傾斜フロア部13,14に対応した傾斜面部が、上記アクセルペダル4、ブレーキペダル5およびクラッチペダル6の後方側部位に形成されている。
【0033】
また、図3に示すように、上記ヒールパッド材11の後部に位置する上記後方延長部13aおよび上記第2傾斜フロア部14の後方領域は、その上面の設置高さが周囲のフロア面Fよりも下方に位置するように設定されている。これにより、上記第1,第2傾斜フロア部13,14の後方部には、その周囲のフロア面Fよりも下方に凹入した凹入部49が形成されている。
【0034】
上記アクセルペダル4は、運転席シート1に着座した運転者の足元部に位置するフロアパネル9上に設置された支持軸17からなる枢支部を支点に下端部が回動可能に支持されるとともに、運転者の踏込操作に応じて前後に揺動変位するように立設されたペダル本体18と、該ペダル本体18を支持するペダル基部19と、上記ペダル本体18の揺動変位を検出して図外の制御部に検出信号を出力するペダル操作検出部20とを備えた所謂オルガン式の操作ペダルからなっている。
【0035】
上記ペダル本体18は、下端部に上記支持軸17が挿通される挿通部21が設けられた板状の成形体からなっている。該ペダル本体18の上下方向の中間部よりも上方部分であって、運転席シート1の前方に配設された上記フロアマット材12上に踵部を載置したペダル操作足の拇子球部等が当接する踏込操作部には、側面視で運転席側(後方側)に膨出した例えば100mm〜200mm程度の曲率半径R1を有する湾曲面からなる凸面状部23が設けられるとともに、該凸面状部23の上方には平坦面状部24が連設されている。また、上記ペダル本体18には、図2および図6等に示すように、上記ブレーキペダル5側に位置する凸面状部23の側辺部を正面視で下広がり形状に膨出させることにより、その車幅方向寸法を拡張した拡張部25が形成されている。
【0036】
ペダル本体18の裏面には、上記ペダル操作検出部20を構成する操作ロッド26が連結ピン27等を介して回動可能に枢支されている。そして、上記ペダル本体18は、その下端部がペダル基部19に設けられた枢支部の支持軸17により支持されるとともに、上方部が操作ロッド26に外嵌されたペダル支持ばね28を介してペダル基部19に支持されることにより、通常時(非操作時)には、例えば水平線に対する傾斜角度βが60°程度となった前上がりの傾斜状態に保持されている。
【0037】
上記ペダル基部19は、縦長の箱状体31と、該箱状体31の上面開口部を覆うように取り付けられる蓋体32とを有している。上記箱状体31の側面には、図7に示すように、前方取付部29と、後方取付部30とが設けられている。該後方取付部30は、ペダル本体18の下端部を支持する上記支持軸17よりも前方側に配設されることにより、上記第1傾斜フロア部13よりも前方側においてペダル基部19がフロアパネル9に固定されている。
【0038】
すなわち、上記ヒールパッド材11の水平面部13bに形成された切欠き部15内に上記ペダル基部19の後方部が挿入されるとともに、該ペダル基部19の後方取付部30内に装着された円筒状のゴムブッシュ材44が、上記キックアップパネル8から上方に突設された係止ピン45に外嵌されることにより、上記第1傾斜フロア部13よりも前方側に上記ペダル基部19の後方部が係止されている。この状態で、キックアップパネル8に突設されたスタッドボルト46に固定ナット47が螺着されて上記ペダル基部19の前方取付部29が係止されることにより、該ペダル基部19がフロアパネル9、具体的にはキックアップパネル8に固定されている。
【0039】
上記ペダル基部19の蓋体32は、箱状体31の周壁部に設けられたビス止め部に螺着されるビス(図示せず)の挿通孔33が外周部に形成され、かつ上記操作ロッド26の挿通孔34が上部中央に形成されるとともに、該挿通孔34の周縁部により上記ペダル支持ばね28の下端部が支持されるように構成されている。また、蓋体32の下端部には、上記支持軸17からなる枢支部の左右両端部を支持する支持部35が設けられている。なお、図3および図4において、符号36は、上記ペダル支持ばね28の上端部を支持するばね受け座金である。
【0040】
上記ペダル基部19の箱状体31内には、ペダル本体18の揺動操作に応じて駆動されるエンコーダ軸36が回転自在に支持されるとともに、該エンコーダ軸36の基端部には、その回動変位を検出するエンコーダ37が取り付けられている。また、上記エンコーダ軸36の中央部周面には、駆動アーム38が突設されるとともに、該駆動アーム38の先端部に設けられた連結部39に、上記操作ロッド26の基端に設けられた球状部40が圧入される等により回動可能に連結されている。
【0041】
上記フロアマット材12には、図8に示すように、ヒールパッド材11の前方部に形成された切欠き部15に対応した切欠き12aが形成され、該切欠き12aが上記ペダル基部19の後方部に外嵌されて該フロアマット材12およびヒールパッド材11の相対移動が規制されることにより、両部材が位置決めされるようになっている。このようにして上記フロアマット材12の前方部が位置決めされた状態で、フロアマット材12の後部左右が止着具41によりフロアパネル9に止着されている。
【0042】
上記構成において、フロアマット材12により覆われた第1傾斜フロア部13上に運転者がそのペダル操作足、つまり右足の踵部を載置するとともに、その拇子球部を上記ペダル本体18の凸面状部23に当接させた状態で、該ペダル本体18を運転者が踏込操作すると、上記ペダル支持ばね28の付勢力に抗してペダル本体18が上記支持軸17からなる枢支部を支点に車両の前方側へ揺動変位するように駆動される。該ペダル本体18に入力された駆動力が上記操作ロッド26および駆動アーム38を介してエンコーダ軸36に伝達されることにより、該エンコーダ軸36が回動駆動されるとともに、その回転量が上記エンコーダ37により検出され、その検出信号がコネクタ42およびハーネス43を介して図外の制御部に出力されるようになっている。
【0043】
また、上記アクセルペダル4の左側方に配設されたブレーキペダル5およびその左側方に配設されたクラッチペダル6は、図2および図5に示すように、その上端部に設けられて上記ダッシュパネル7に設けられた枢支部5a,6aと、該上端枢支部5a,6aを支点としてそれぞれ揺動可能に支持されたペダル本体5b,6bとを有する所謂吊りペダルからなっている。そして、上記ブレーキペダル5を構成するペダル本体5bの下端部に設けられた踏込操作部5c上に運転者の右足からなるペダル操作足の拇子球部が押し当てられた状態で踏み込みまれ、上端枢支部5aを支点に上記ペダル本体5bが揺動変位することにより、ブレーキ操作が行われる。また、上記クラッチペダル6を構成するペダル本体6bの下端部に設けられた踏込操作部6c上に運転者の左足からなるペダル操作足の拇子球部が押し当てられて踏み込みまれ、上端枢支部6aを支点に上記ペダル本体6bが揺動変位することにより、クラッチ操作が行われるよう構成されている。
【0044】
上記運転席シート1の設置部には、図9〜図11に示すように、シートクッション1aを前後移動可能に支持する左右一対のシートスライドロアレール51が配設されるとともに、該シートスライドロアレール51に沿ってシートスライドアッパレール52がスライド変位可能に支持されている。上記シートスライドロアレール51は、上面が開口したC型鋼等からなり、その前後両端部には、取付ブラケット53,54が溶接される等により一体に接合されている。そして、上記取付ブラケット53,54が、クロスメンバ50の上面等に締結ボルト等を介して固定されることにより、上記シートスライドロアレール51がやや前上がりに傾斜した状態でフロアパネル9上に設置されている。
【0045】
上記左右のシートスライドロアレール51内には、図11に示すように、ねじ軸からなる回転軸55が回転自在に設置されるとともに、両シートスライドアッパレール52の前端部間には、駆動モータ56により回転駆動される駆動軸57およびこれを回転可能に支持する支持部材58が車幅方向に延びるように設置されている。また、上記駆動軸57の左右両端部には、その駆動力を上記回転軸55に伝達するベベルギア機構またはウォームホイールギア機構等からなる動力伝達部59が設けられている。
【0046】
上記シートスライドロアレール51、シートスライドアッパレール52、回転軸55、駆動モータ56、駆動軸57および動力伝達部59と、シートスライドロアレール51の底部に固定されて上記回転軸55が螺合するナットブロック51aとにより、上記運転席シート1のシートクッション1aをシートスライドロアレール51に沿ってスライド変位させて運転席シート1の前後位置を調整する前後位置調整機構2が構成されている。
【0047】
例えば、図外の前後調整スイッチが前進方向に操作された場合等には、上記駆動モータ56を正転させる制御信号が出力され、該制御信号に応じて駆動モータ56が正回転することにより、上記シートクッション1aを前進させる方向の駆動力が上記駆動軸57、動力伝達部59および回転軸55に伝達される。該回転軸55は、上記シートスライドロアレール51の底部に固定されたナットブロック51aによって支持された状態で、上記動力伝達部59から入力された駆動力により回転駆動されて車両の前方側に螺進することにより、上記シートスライドアッパレール52とともに運転席シート1のシートクッション1aが車両の前方側に駆動される。
【0048】
一方、上記前後調整スイッチが後退方向に操作された場合には、上記駆動モータ56を逆回転させる制御信号が出力され、該制御信号に応じて駆動モータ56が逆転することにより、上記シートクッション1aを後退させる方向の駆動力が上記駆動軸57、動力伝達部59および回転軸55に伝達され、該回転軸55が逆転駆動されて車体の後方側に螺進することにより、上記シートスライドアッパレール52および運転席シート1のシートクッション1aが車体の後方側に駆動されるように構成されている。
【0049】
また、上記シートスライドロアレール51は、前上がりに傾斜した状態で車体フロア上に設置されているため、上記前後位置調整機構2によりシートスライドアッパレール52および運転席シート1のシートクッション1aを、上記シートスライドロアレール51に沿って車両の前方側に移動させると、これに連動してシートクッション1aが上方に押し上げられることになる。逆に、上記前後位置調整機構2によりシートスライドアッパレール52および運転席シート1のシートクッション1aを、上記シートスライドロアレール51に沿って車体の後方側に移動させると、これに連動してシートクッション1aが下降するようになっている。
【0050】
また、上記シートスライドアッパレール52には、運転席シート1のシートクッション1aの傾斜角度を変化させる傾斜角度調整機構3が設けられている。該傾斜角度調整機構3は、図9および図10に示すように、シートクッション1aの左右両側辺部に設けられたクッションフレーム61と、シートスライドアッパレール52の前部上面に設置されて上記クッションフレーム61の前端部を支持する前部ブラケット62および前部リンク63と、シートスライドアッパレール52の後部上面に設置されて上記クッションフレーム61の後方部を支持する後部ブラケット64および三角形状の後部リンク65と、左右の後部リンク65の後端部同士および上記両クッションフレーム61の後方下端部同士を連結する連結軸66と、シートスライドアッパレール52の中央部上面に設置されて上記後部リンク65に駆動力を伝達する中央リンク67およびこれを支持する中央ブラケット68と、上記中央リンク67の上部を上記後部リンク65の前端部に連結する連結リンク69と、下記駆動軸70、駆動レバー71および傾動駆動部72とを有している。
【0051】
上記中央リンク67は、その下端部が車幅方向に延びる駆動軸70に固定されるとともに、該駆動軸70を介して上記中央ブラケット68に回動自在に支持されている。上記駆動軸70には、該駆動軸70を回動変位させる駆動レバー71が固定されている。また、左右一対のシートスライドアッパレール52の一方(車幅方向の外方側)に設けられた上記中央ブラケット68には、駆動軸70に固定された上記駆動レバー71を駆動する傾動駆動部72が設けられている。
【0052】
上記傾動駆動部72は、図12および図13に示すように、前端部が連結ピン73を介して上記駆動レバー71の先端部(下端部)に連結されたねじ軸74と、該ねじ軸74を回転駆動する駆動モータ75およびギア機構76と、該ギア機構76の前面に固着されたガイドブラケット77とを有し、該ガイドブラケット77の基端部が支持ブラケット78を介して上記中央ブラケット68に支持されている。また、上記ギア機構76には、駆動モータ75の出力軸75aに固着されたウォームギア79と、該ウォームギア79により回転駆動されるウォームナット80とが配設され、該ウォームナット80には、上記ねじ軸74に螺合するねじ孔が形成されている。
【0053】
そして、上記駆動モータ75からウォームギア79を介して入力される駆動力により上記ウォームナット80が回転駆動されるのに応じ、該ウォームナット80に螺合した上記ねじ軸74が回転してねじ送りされるようになっている。該ねじ軸74がねじ送りされるのに応じ、その先端部に設けられた上記連結ピン73が、ガイドブラケット77に形成された支持溝81に沿って前後移動し、その駆動力が連結ピン73を介して上記駆動レバー71に伝達されることにより、該駆動レバー71が揺動変位して上記駆動軸70が回動駆動される。
【0054】
また、上記駆動軸70が回転駆動されるのに応じて上記中央リンク67が揺動変位するとともに、その駆動力が連結リンク69を介して上記後部リンク65に伝達され、該後部リンク65が揺動変位するとともに、これに対応して前部リンク63が揺動変位することにより、シートクッション1aの傾斜角度が調節されるようになっている。すなわち、運転席シート1のシートクッション1aが車体の後方側に移動した後退位置では、図9に示すように、上記前部リンク63および中央リンク67が後傾した状態となるとともに、後部リンク65の後端部に設けられた連結軸66が下方に位置した状態となることにより、シートクッション1aの座面が大きく後傾した状態に保持されている。
【0055】
上記構成において、前後調整スイッチにより運転席シート1を車両の前方側に移動させる操作が行われた場合には、予め設定された駆動特性に基づき、上記傾斜角度調整機構3の駆動モータ75を正転駆動する制御信号が図外の制御手段から出力され、該駆動モータ75の正転駆動力が上記ギア機構76、ねじ軸74、連結ピン73、駆動レバー71および駆動軸70を介して中央リンク67に伝達され、該中央リンク67が、上記後傾状態から図14に示す起立状態に移行する。そして、上記中央リンク67が起立状態に移行するのに応じ、その駆動力が連結リンク69を介して後部リンク65に伝達され、該後部リンク65の前端部が車両の前方側に引っ張られることにより、後部リンク65の後端部に設けられた上記連結軸66が上昇するとともに、これに応じてシートクッション1aの後端部が押し上げられるように駆動される。
【0056】
また、上記後部リンク65の揺動変位に連動して前部リンク63が後傾状態から起立状態に移行するため、これに応じてシートクッション1aの前端部が押し上げられつつ前方に移動するように駆動され、該シートクッション1aが上記下方位置から図14に示す上方位置に変位する。さらに、上記シートクッション1aの前端部の上方移動量に比較して後端部の上方移動量が大きく設定されることにより、上記シートクッション1aの上方移動に応じてその座面の後傾角度が、次第に小さくなるように変化し、水平状態に近づくように構成されている。また、これに連動して上記シートバック1bの傾斜角度が変化し、鉛直状態に近付くように変位するようになっている。
【0057】
一方、前後調整スイッチにより運転席シート1を車体の後方側に移動させる操作が行われた場合には、予め設定された駆動特性に基づき、上記傾斜角度調整機構3の駆動モータ75を逆転駆動する制御信号が制御手段から出力され、該駆動モータ75の正転駆動力が上記ギア機構76、ねじ軸74、連結ピン73、駆動レバー71および駆動軸70を介して中央リンク67に伝達される。これにより上記シートクッション1aが上方位置から、図9に示す下方位置に変位し、該シートクッション1aの下方移動に応じてその座面の後傾角度が次第に大きくなるように変化するとともに、上記シートバック1bが大きく後傾した状態となるように構成されている。
【0058】
上記運転席シート1に着座する運転者が身長の異なる者に乗り換わると、その身長に略比例して運転者の座高、腕の長さおよび足の長さ等が変化するため、これに対応して運転席シート1に着座した運転者のアイポイントおよび操作ペダル等に対する操作性も変化する。したがって、新たに運転席シート1に着座した運転者は、その安楽姿勢を維持しつつ、ステアリングハンドル48を適正状態で把持するとともに、例えば上記ペダル本体18の凸面状部23等からなるアクセルペダル4の適正位置にペダル操作足の拇子球部を適正状態で当接させ、かつそのアイポイントを適正ラインLに一致させて前方視界を適正に確保できるように、上記前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3を作動させて運転席シート1の前後位置等を調整しようとする。
【0059】
上記運転席シート1には、身長が150cm以下の者から190cm以上の者まで様々な身長および体形を有する運転者が着座する可能性があるため、これらの者が上記運転席シート1に安楽姿勢で着座して適正に運転操作を行うことができるように構成する必要がある。例えば、運転席シート1に着座する機会が最も多い考えられる平均身長者Mの身長を173cmと設定し、該平均身長者Mの安楽姿勢を統計的に解析した結果、以下のようなデータが得られた。
【0060】
上記運転席シート1に着座した乗員の安楽姿勢とは、長期間に亘りその着座状態を安定して維持できるとともに、ハンドル操作およびペダル操作等に適した着座姿勢を意味している。具体的には、図15に示すように、ペダル操作足の足首角度θ1が85°〜95°程度、膝角度θ2が120°前後、腰骨部から肩部までの上半身と大腿部との折曲角度θ3が約95°である。また、上記平均身長者Mの場合には、水平線に対して太腿部がなす角度であるサイ角θ4の適正角度が、シートクッション1aの傾斜角度に約1.5°を加算した値であることが、人間工学的実験により確認されている。さらに、上記ステアリングハンドル48を適正に操作することができる肘角θ5は100°〜130°程度、脇角θ6は20°〜45°程度である。
【0061】
したがって、上記平均身長者Mが、例えば足首角度θ1を90°、膝角度θ2を120°、腰骨部から肩部までの上半身と大腿部との折曲角度θ3を95°に設定し、かつサイ角θ4を17°に設定して運転席シート1に着座した場合に、平均身長者MのアイポイントImを、例えば8°程度の角度で前下がりに傾斜する適正ラインLに一致させることができるように、上記シートクッション1aの前後基準位置、上下基準高さおよび基準傾斜角度が設定されている。
【0062】
上記のような平均身長者Mの基準着座状態では、その肘角θ5および脇角θ6が上記範囲内に設定されてステアリングハンドル48を適正に把持することができる。また、図16に示すように、ペダル操作足の踵部Kmを、上記第1傾斜フロア部13上の所定位置に載置し、かつ水平線に対する足裏面の傾斜角度θ7を例えば47°程度に設定した状態で、アクセルペダル4の適正位置、例えばペダル本体18に設けられた上記平坦面状部24に近接した凸面状部23の上方部等に拇子球部Bmを当接させることができる位置に上記アクセルペダル4が配設されている。なお、上記図15において、Hmは、運転席シート1に着座した平均身長者Mのヒップポイント(着座基準点)である。また、当実施形態では、図16の実線に示すように、平均身長者Mがペダル操作足の踵部Kmを載置する基準位置を、例えば第1傾斜フロア部13の前後方向略中央部上に設定している。
【0063】
上記運転席シート1に着座する運転者が平均身長者Mから、図1および図15の仮想線で示すように、女性ドライバー等からなる低身長者Sに乗り換わった場合、該低身長者Sは、上記ハンドル操作性およびペダル操作性を確保しつつ、そのアイポイントIsを適正ラインLに一致させることができるように、上記前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3を作動させて運転席シート1のシートクッション1aを前方に移動させるとともに、これに対応してシートクッション1aの設置高さを上昇させ、かつ水平線に対するシートクッション1aの傾斜角度を減少させる操作を行う。
【0064】
例えば、150cmの身長を有する低身長者Sが運転席シート1に着座した場合には、シートクッション1a上に位置するヒップポイントHsを、上記平均身長者M用の前後基準位置Hmから、例えば105mm程度前方に移動させるとともに、これに連動して上記ヒップポイントHsを25mm程度上方に移動させ、かつそのサイ角θ4を12°程度とするようにシートクッション1aの傾斜角度を変化させるように操作する。この結果、上記平均身長者Mに比較して腕の短い低身長者Sの上半身を前方に移動させて上記ステアリングハンドル48を適正状態で把持できるとともに、上記平均身長者Mに比較して座高の低い低身長者SのアイポイントIsを、車体の前部上方側に移動させることにより、適正ラインLに一致させることができる。
【0065】
また、上記シートクッション1aの前方移動および上方移動に応じて低身長者Sのペダル操作足が車体の前部上方に移動する傾向があるため、これに対応させて上記膝角度θ2を125°程度に増大させることにより、足首角度θ1を適正角度に維持しつつ、上記低身長者Sの右足からなるペダル操作足の拇子球部Bsをアクセルペダル4のペダル本体18に設けられた上記平坦面状部24に近接した凸面状部23の上方部等からなる適正位置に当接させることが可能となる。
【0066】
上記低身長者Sの踵部Ksから拇子球部Bsまでの距離(155mm程度)は、平均身長者Mの同距離(180mm程度)に比較して25mm程度短いため、上記低身長者Sの足裏傾斜角度θ7を、平均身長者と同角度(47°)に維持しつつ、ペダル操作足の拇子球部Bsをアクセルペダル4の上記適正位置に当接させようとすると、その踵部Ksが、平均身長者Mの踵部Kmよりも約18mm(=sin47°×25mm)だけ上方に位置することになる。このため、低身長者Sがペダル操作足の踵部Ksをフロアパネル9の上方に浮かせるようにしなければ、上記ペダル操作足の拇子球部Bsを、適正値である上記凸面状部23の上方部等に対して正確に当接させることができず、このようにペダル操作足の踵部Ksをフロアパネル9の上方に浮かせた場合には、該踵部Ksを支点とした微妙なペダル操作を適正に行うことが困難となる。
【0067】
しかし、上記第1傾斜フロア部13の傾斜角度αを15°に設定した場合には、図16の仮想線で示すように、低身長者Sが足裏面の傾斜角度θ7を例えば47°から52°程度に変化させるとともに、ペダル操作足の踵部Ksを上記第1傾斜フロア部13上の基準位置(平均身長者Mの踵部Kmの載置位置)よりも28mm程度前方に移動させることにより、上記踵部Ksを、後方延長部13aに比較して7.5mm程度上方に位置する第1傾斜フロア部13の前方部分上に載置した状態で、その拇子球部Bsをアクセルペダル4に設けられた凸面状部23の上方部等からなる適正位置に当接させて、アクセル操作を行うことができる。
【0068】
なお、上記足裏面の傾斜角度θ7が47°から52°程度に変化するのに対応してペダル操作足の足首角度θ1が90°よりも小さくなる傾向があるが、上記足裏傾斜角度θ7の増大に応じ、低身長者Sは、その膝角度θ2を125°程度に設定して中身長者よりも膝を伸ばし気味状態とすることにより(図1参照)、足首角度θ1が適正範囲を超えて小さくなること、例えば85°以下となるのを防止することが可能である。
【0069】
一方、図17に示すように、例えば186cmの身長を有する高身長者Tが上記運転席シート1に着座した場合には、シートクッション1a上に位置するヒップポイントHtを、上記平均身長者M用の前後基準位置Hmから、例えば85mm程度後方に移動させるとともに、これに連動して上記ヒップポイントHsを20mm程度下方に移動させ、かつ上記サイ角θ4を22.0°程度とするようにシートクッション1aの傾斜角度を変化させるように操作する。これにより上記平均身長者Mに比較して腕の長い高身長者Tの上半身を後方に移動させて上記ステアリングハンドル48を適正状態で把持できるとともに、上記平均身長者Mに比較して座高の高い高身長者TのアイポイントItを、車体の後部下方側に移動させることにより、適正ラインLに一致させることができる。
【0070】
また、上記シートクッション1aの後方移動および下方移動に応じて高身長者Tのペダル操作足が車体の後部下方に移動する傾向があるため、これに対応させて上記膝角度θ2を115°程度に減少させることにより、高身長者Tは、その足首角度θ1を95°以上となるのを防止しつつ、上記ペダル操作足の拇子球部Btを上記凸面状部23等からなるアクセルペダル4の適正踏込位置に当接させることが可能となる。
【0071】
上記高身長者Tの踵部Ktから拇子球部Btまでの距離(195mm程度)は、平均身長者Mの同距離(180mm程度)に比較して15mm程度長いため、上記高身長者Tの足裏傾斜角度θ7を中身長者Mの同角度(47°)に維持するとともに、その踵部Ktの載置位置を同位置に設定した場合には、アクセルペダル4の凸面状部23等に対する拇子球部Btの当接位置を、上記平均身長者Mよりも約11mm(=sin47°×15mm)だけ下方に変位させる必要がある。
【0072】
上記実施形態において、高身長者Tの足裏傾斜角度θ7を例えば47°から44°程度に変化させるとともに、図18に示すように、その踵部Ktを、上記第1傾斜フロア部13の後方部、またはその後方側に設けられた後方延長部13a上に移動させるようにすれば、高身長者Tの拇子球部Btをアクセルペダル4の適正位置に当接させた状態で、適正に踏込操作することが可能である。なお、上記足裏面の傾斜角度θ7が47°から44°程度に変化するのに対応してペダル操作足の足首角度θ1が90°よりも大きくなる傾向があるが、上記足裏面の傾斜角度θ7の減少に対応させて膝角度θ2を120°よりも小さい値、例えば115°程度として膝を曲げ気味状態とすることにより(図17参照)、足首角度θ1が適正範囲を超えて大きくなること、例えば95°以上となるのを防止することができる。
【0073】
上記のように車室の底部を形成するフロアパネル9の上方に運転席シート1が配設され、該運転席シート1の前方にアクセルペダル4およびブレーキペダル5からなる操作ペダルが配設されるとともに、その側方にクラッチペダル6が並設された車両において、上記アクセルペダル4等からなる操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵部載置領域には、上面が前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部13を設けるとともに、クラッチペダル6を踏込操作する際にペダル操作足の踵部が位置するフロアパネル9上の踵部領域には、上記第1傾斜フロア部13に比べて傾斜角度で上面が前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部14を設けたため、車室底部の見映えを悪化させることなく、運転席シート1に着座する運転者の体格が種々に変化した場合おいても、それぞれ適正にペダル操作を行うことができるという利点がある。
【0074】
すなわち、上記実施形態では、アクセルペダル4およびブレーキペダル5からなる操作ペダルの後方側に位置する踵部載置領域に、例えば15°の傾斜角度αで上面が前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部13を形成したため、図16の仮想線および図1に示すように、平均身長者Mに比較して足裏寸法の短い低身長者Sであっても、そのペダル操作足の踵部Ksを上記第1傾斜フロア部13の前方部上に載置することにより、該踵部Ksを比較的上方に位置させた状態で、足首角度θ1および足裏面の傾斜角度θ7を適正角度に維持しつつ、その拇子球部Bsを例えばアクセルペダル4に設けられた上記凸面状部23等からなる踏込操作部に当接させた状態で上記アクセルペダル4等を踏込操作することができる。
【0075】
したがって、上記低身長者Sのペダル操作足の踵部Ksがフロア面から離間した状態となることに起因して微妙なペダル操作が不可能となったり、上記足首角度θ1および足裏面の傾斜角度θ7が適正角度から大きくずれることに起因して操作ペダルの迅速な踏込操作が困難となったりすることなく、低身長者Sがペダル操作足の踵部Ksを上記第1傾斜フロア部13上に載置するとともに、上記拇子球部Bsをアクセルペダル4の適正位置(凸面状部23)に当接させた状態で、該アクセルペダル4等の微妙なペダル操作を行うことができるという利点がある。
【0076】
また、高身長者Tの場合は、例えば図17に示すように、そのペダル操作足の足裏傾斜角度θ7を減少させるとともに、膝角度θ2を小さくすれば、踵部Ktをそれ程下方に移動させることなく、ペダル操作足の拇子球部Btをアクセルペダル4等の適正位置(凸面状部23)に対して容易かつ適正に当接させることが可能である。したがって、上記高身長者Tが、図18に示すように、第1傾斜フロア部13の後方部上にペダル操作足の踵部Ktを載置した状態で、上記アクセルペダル4等からなる操作ペダルの微妙な踏込操作を適正に行うことができる。
【0077】
そして、上記のようにアクセルペダル4およびブレーキペダル5からなる操作ペダルの側方に配設された所謂吊りペダル式のクラッチペダル6を踏込操作するペダル操作足の踵部が位置するフロアパネル9上の踵部領域に、第1傾斜フロア部13に比べて緩角度、例えば10°程度の傾斜角度βで上面が前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部14を設けたため、上記アクセルペダル4およびブレーキペダル5の後方側に配設された第1傾斜フロア部13と上記第2傾斜フロア部14との間に大きな高低差が生じるのを防止しつつ、上記クラッチペダル6を踏込操作する際にペダル操作足の踵部がフロア面に当接することによる違和感の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0078】
なお、上記水平面に対する第1傾斜フロア部13の傾斜角度αを15°よりも大きな値に設定した場合には、該第1傾斜フロア部13上に載置したペダル操作足の踵部が滑り落ち易いという問題があり、かつ上記第1傾斜フロア部13の傾斜角度αを15°よりも小さな値に設定した場合には、運転者の体格に応じて上記踵部の載置高さを調節する機能が充分に得られないため、上記水平面に対する上記第1傾斜フロア部13の傾斜角度αを15°程度に設定することが望ましい。
【0079】
そして、水平面に対する上記第2傾斜フロア部の傾斜角度βを10°よりも大きな値に設定した場合には、該第2傾斜フロア部14にペダル操作足の踵部が当接してペダル操作性が低下する可能性があり、かつ上記第2傾斜フロア部14の傾斜角度βを10°よりも小さな値に設定した場合には、第1傾斜フロア部13と上記第2傾斜フロア部14との間に大きな高低差が生じるのを防止する効果が充分に得られないため、上記水平面に対する上記第2傾斜フロア部14の傾斜角度βを10°程度に設定することが望ましい。
【0080】
また、上記実施形態では、アクセルペダル4およびブレーキペダル5側の第1傾斜フロア部13の上面と、クラッチペダル6側の第2傾斜フロア部14の上面とを滑らかに接続する接続部16を設けたため、上記第1傾斜フロア部13の上面と第2傾斜フロア部14の上面との間に、両者の傾斜角度が相違することによる段差が形成されることに起因して見映えが悪化するのを効果的に抑制できるとともに、上記段差にペダル操作足が当接して違和感が生じるのを抑制できる等の利点がある。
【0081】
さらに、上記実施形態に示すように、第2傾斜フロア部14の水平面に対する傾斜角度βを、上記アクセルペダル4およびブレーキペダル5側に設けられた第1傾斜フロア部13の後方に位置する後方延長部13aと同程度、つまり約10°に設定し、上記ヒールパッド材11の後方部に同一角度(約10°)で後下がりに傾斜した面一の傾斜面を形成した場合には、上記第1,第2傾斜フロア部13,14を構成するヒールパッド材11の形状を単純化して容易に製造することができるとともに、運転席シート1の前方部に位置する車室底部の見映えを効果的に向上することができる。
【0082】
また、上記のようにアクセルペダル4およびブレーキペダル5からなる操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵部載置領域に設けられた前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部13の後部に、上面が後下がりに傾斜するとともに、上記操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置される踵部載置領域を超えて後方側に延びる後方延長部13aを設けた場合には、高身長者Tが上記アクセルペダル4またはブレーキペダル5をゆっくりと踏込操作している状態からその踏込量を急激に増大する急操作状態に移行する際等に、ペダル操作足の踵部が上記第1傾斜フロア部13の後端部に当接して摺動抵抗が作用する等により運転者が違和感を受けるのを効果的に防止できるという利点がある。
【0083】
例えば、上記後方延長部13aを省略し、図19に示すように、アクセルペダル4およびブレーキペダル5からなる操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵部載置領域に設けられた前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部13の後方部に水平なフロア面131を設置した構造とすることも考えられる。しかし、このように構成した場合には、足裏寸法の大きい高身長者Tがペダル操作足の踵部Ktを上記水平なフロア面131上に載置するとともに、その足先部をアクセルペダル4の踏込操作部(凸面状部24)に当接させた状態で、ペダル操作を行う場合がある。このような状態で、上記アクセルペダル4等の踏込量を急激に増大する急操作状態に移行する際に、上記ペダル操作足の踵部Ktが前方に移動することにより上記第1傾斜フロア部13と水平フロア面131との境界部132上に当接して摺動抵抗が生じるため、運転者が違和感を受ける可能性がある。
【0084】
これに対して図18等に示すように第1傾斜フロア部13の後部に、上面が後下がりに傾斜した後方延長部13aを設けた場合には、該後方延長部13a上に高身長者Tがペダル操作足の踵部Ktを載置するとともに、その足先部をアクセルペダル4の踏込操作部(凸面状部24)に当接させて、操作ペダルをゆっくりと操作する緩操作状態から、上記アクセルペダル4等の踏込量を急激に増大する急操作状態に移行する際に、上記後方延長部13aに沿ってペダル操作足の踵部Ktを前方へスムーズにスライド変位させることにより、上記ペダル操作時における違和感の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0085】
また、上記実施形態に示すように、後方延長部13aの設置高さをその周囲のフロア面Fよりも下方に位置させることにより、上記傾斜フロア部13の後部に、その周囲のフロア面Fよりも下方に凹入した凹入部49を形成した場合には、上記フロア面Fの設置高さを後方延長部13aの後端部と同一高さに設定した場合のように、フロア面Fの設置高さが過度に低くなったり、上記傾斜フロア部13の前端部が該フロア面Fから大きく上方に突出した状態となったりすることなく、高身長者Tがペダル操作時に違和感を受けるのを効果的に防止できるという利点がある。
【0086】
さらに、上記実施形態では、車室のフロアパネル9の上方にペダル操作足の踵部を載置した状態で微妙なペダル操作を行うことが要求されるアクセルペダル4を、フロアパネル9に固定されたペダル基部19と、該ペダル基部19に設けられた支持軸17からなる枢支部を支点に揺動可能に支持されたペダル本体18とを備えた所謂オルガン式ペダルにより構成するとともに、上記ペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵部載置領域に第1傾斜フロア部13を配設した構造としたため、運転席シート1に着座した運転者の体格の如何に拘わらず、簡単な構成で上記アクセルペダル4の微妙なペダル操作を適正に行うことができる利点がある。
【0087】
また、上記実施形態では、アクセルペダル4の側方に配設された所謂吊りペダル式のブレーキペダル5を踏込操作するペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵部載置領域にも、上記アクセルペダル4の設置部に配設された第1傾斜フロア部13と同一の角度αで前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部13を設けるとともに、該傾斜フロア部13の後部に、上面が後下がりに傾斜するとともに、上記ブレーキペダル5を踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置される踵部載置領域を超えて後方側に延びる後方延長部13aを設けた構造としたため、運転席シート1に着座した運転者の体格の如何に拘わらず、簡単な構成で上記ブレーキペダル5を適正に踏込操作することができるとともに、上記アクセルペダル4およびブレーキペダル5間の踏み換え操作をスムーズに行うことができる。
【0088】
なお、上記アクセルペダル4およびブレーキペダル5の設置部に第1傾斜フロア部13を設けてなる上記実施形態に代え、図20に示すように、上記ブレーキペダル5を踏込操作するペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル9上の踵部載置領域および上記クラッチペダル6側の踵部領域に、角度βで前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部14を設け、該第2傾斜フロア部14の傾斜角度βを、上記アクセルペダル4側に位置する第1傾斜フロア部13の傾斜角度αよりも緩角度に設定した構造としてもよい。
【0089】
また、上記実施形態では、運転席シート1を前後移動させるとともに、該運転席シート1の前方移動に応じてそのシートクッション1aの後傾角度を低減する前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3等を設けたため、運転席シート1に着座する運転者が、その身長に応じて上記前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3等の駆動特性を適正に設定することにより、運転者の着座姿勢を維持しつつ、そのアイポイントを適正ラインLに一致させるとともに、優れたハンドル操作性およびペダル操作性が得られるように、運転席シート1の前後位置およびシートクッション1aの傾斜角度等を自動的に調整できるという利点がある。
【0090】
そして、上記運転席シート1の前後位置およびシートクッション1aの傾斜角度の調整動作に応じて運転席シート1に着座した運転者の着座位置等が変化した場合においても、運転者の足元部に位置するフロアパネル9上に上記第1傾斜フロア部13等を形成することにより、足裏寸法の短い低身長者Sがペダル操作足の踵部Ksを上記第1傾斜フロア部13等の上に載置した状態で、足首角度θ1および足裏面の傾斜角度θ7を、アクセルペダル4等の操作に適した角度に維持しつつ、上記低身長者Sの拇子球部Bsをアクセルペダル4の凸面状部23に当接させてペダル操作性を確保できる等の利点がある。
【0091】
なお、上記実施形態では、前後位置調整機構2および傾斜角度調整機構3等により、運転者のスイッチ操作に応じて自動的に運転席シート1を前後移動させるとともに、該運転席シート1の前方移動に応じてそのシートクッション1aの後傾角度を低減するように構成した例について説明したが、運転者の手動操作で運転席シート1の前後位置およびシートクッション1aの後傾角度を変化させるように構成してもよい。
【符号の説明】
【0092】
1 運転席シート
4 アクセルペダル
5 ブレーキペダル
6 アクセルペダル
9 フロアパネル
13 第1傾斜フロア部
14 第2傾斜フロア部
16 接続部
17 支持軸(枢支部)
18 ペダル本体
19 ペダル基部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室の底部を形成するフロアパネルの上方に運転席シートが配設され、該運転席シートの前方にアクセルペダル等からなる操作ペダルが設置されるとともに、その側方にクラッチペダルが並設された車両において、上記操作ペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が載置されるフロアパネル上の踵部載置領域には、上面が前上がりに傾斜した第1傾斜フロア部が設けられるとともに、クラッチペダルを踏込操作する際にペダル操作足の踵部が位置するフロアパネル上の踵部領域には、上記第1傾斜フロア部に比べて傾斜角度で上面が前上がりに傾斜した第2傾斜フロア部が設けられたことを特徴とする車両のフロアパネル構造。
【請求項2】
水平面に対する上記第1傾斜フロア部の傾斜角度が15°程度に設定されるとともに、水平面に対する上記第2傾斜フロア部の傾斜角度が10°程度に設定されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のフロアパネル構造。
【請求項3】
上記第1傾斜フロア部と第2傾斜フロア部とを滑らかに接続する接続部が設けられたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両のフロアパネル構造。
【請求項4】
上記第1傾斜フロア部の後方部に、第2傾斜フロア部の傾斜角度と同一角度で傾斜した緩傾斜部が設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両のフロアパネル構造。
【請求項5】
上記アクセルペダルは、フロアパネルに固定されたペダル基部と、該ペダル基部に設けられた枢支部を支点に揺動可能に支持されたペダル本体とを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両のフロアパネル構造。
【請求項6】
上記クラッチペダルは、上部に設けられた枢支部と、該枢支部を支点に揺動可能に支持された踏込操作部とを備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の車両のフロアパネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−240907(P2011−240907A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−117436(P2010−117436)
【出願日】平成22年5月21日(2010.5.21)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】