車両のフロア構造
【課題】車両に前方から衝撃力が加わる場合において、運転者の足のつま先がすね側に曲げられる力が作用することを抑制し、下肢の傷害値を低減することのできる車両のフロア構造を提供する。
【解決手段】衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材20を、車両に前方から作用する衝撃力によって踏板11が後端側を中心に回転する際に、トーボード面に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量をそれぞれ設定可能である。これにより、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【解決手段】衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材20を、車両に前方から作用する衝撃力によって踏板11が後端側を中心に回転する際に、トーボード面に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量をそれぞれ設定可能である。これにより、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の助手席等、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるトーボード面が設けられた車両のフロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両のフロア構造としては、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるように設けられ、着座した乗員の足が位置するトーボード面を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−164782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記車両のフロア構造を有する車両では、車両に前方から衝撃力が加わる場合に、床面からトーボード面に亘って設けられたフットレストを前方に移動させることにより、運転者の足のつま先がすね側に曲げられることによる下肢の傷害値を低減し、車両の安全性の向上を図るようにしている。
【0005】
しかし、前記車両においては、フットレストが助手席に設けられていないため、助手席の乗員の下肢の傷害値の低減を図ることができない。また、前記フットレストを運転席および助手席に適用したとしても、前記フットレストは衝撃力が作用した直後に最大限まで移動し、その後は衝撃力が乗員の足のつま先をすね側に曲げる力として作用するため、下肢の傷害値を低減することは困難である。
【0006】
本発明の目的とするところは、車両に前方から衝撃力が加わる場合において、運転者の足のつま先がすね側に曲げられる力が作用することを抑制し、下肢の傷害値を低減することのできる車両のフロア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、着座した乗員の足が位置し、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるトーボード面を有する車両のフロア構造において、車両の前方から衝撃力が作用する場合に、乗員に伝わる衝撃力を低減する衝撃力低減機構を備え、衝撃力低減機構は、乗員の足で踏まれる踏板と、前記踏板の後端側を中心に前端側を下方に回転可能に前記踏板の後端側を支持する支持部材と、前記踏板の前端側と前記トーボード面との間に設けられ、変形させることで衝撃力を吸収する衝撃力吸収部材と、を有し、前記衝撃力吸収部材は、前記踏板が後端側を中心に回転する際の前記トーボード面に対して前記踏板がなす複数の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量がそれぞれ設定可能である。
【0008】
これにより、踏板が後端側を中心に回転する際のトーボード面に対して踏板がなす角度に応じた量の衝撃力が吸収されることから、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動が制御される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両の助手席の下部前方を示す斜視図である。
【図2】助手席の下部前方を前方から見た斜視図である。
【図3】車両の前方から衝撃力が加わる場合の乗員の足の変位と足に作用する荷重の関係を示す図である。
【図4】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図5】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図6】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図7】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図8】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図9】(a)本発明の第2実施形態を示す車両の助手席の下部前方を示す斜視図である。(b)衝撃力吸収部材を前方から見た図である。
【図10】(a)本発明の第3実施形態を示す車両の助手席の下部前方を示す斜視図である。(b)衝撃力吸収部材を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図8は、本発明の第1実施形態を示すものである。
【0012】
本発明のフロア構造を備えた車両は、車室内の左側に助手席1が設けられている。助手席1には、図1に示すように、床面2と、床面2の前端から前方に向かって斜め上方に延びるトーボード面3と、が設けられている。助手席1の床面2およびトーボード面3は、全面に亘ってカーペット(図示せず)で覆われている。
【0013】
助手席1の床面2およびトーボード3面には、車両に前方から衝撃力が作用する場合に、着座した乗員の下肢に作用する衝撃力を低減するための衝撃力低減機構10が設けられている。衝撃力低減機構10は、通常の使用状態において、床面2およびトーボード面3と共に、カーペットによって覆われている。
【0014】
衝撃力低減機構10は、乗員の足で踏まれる踏板11と、踏板11の後端側を床面2の前端部に支持する支持部材12と、トーボード面3と踏板11の前端側との間に設けられ、車両の前方から加わる衝撃力によって変形可能に設けられ、変形することで衝撃力を吸収するための衝撃力吸収部材20と、を有している。
【0015】
踏板11は、助手席1のトーボード面3の外周部を除く全面に亘って設けられた板状部材である。踏板11は、車両の前方から加わる衝撃力によって変形することのない硬質の部材から形成されている。
【0016】
支持部材12は、踏板11の後端側と床面2の前端側とを連結する板状部材からなる。支持部材12は、車両の前方から衝撃力が加わる場合に、破断することなく踏板11の前方への移動を規制する。支持部材12は、車両に前方から衝撃力が作用して乗員が踏板11を踏み込んだ場合に、踏板11の後端側を中心にして踏板11を回転させる。
【0017】
衝撃力吸収部材20は、車両に前方から衝撃力が作用して乗員の足が踏板11を踏み込む場合に、トーボード面3に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおいて衝撃力を受けて変形可能な第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24を有している。第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24,は、それぞれ所定の幅寸法の板状部材からなる。第1〜第3衝撃力吸収部21,22,23は、幅方向に延びるとともに、左右両側が屈曲されてトーボード面3側に向かって延びる逆U字状に形成され、両端がトーボード面3を幅方向に延びる板状のベース25に固定されている。また、第4衝撃力吸収部24は、左右両側がトーボード面3に向かって斜め幅方向外側に延びるとともに、屈曲されてトーボード面3に向かって斜め幅方向内側に延びる菱形状に形成され、両端がベース25に固定されている。
【0018】
第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24は、図2に示すように、それぞれ対応するトーボード面3に対する踏板11のなす角度において踏板11の下面が当接する当接部21a,22a,23a,24aと、当接部21a,22a,23a,24aの幅方向両端からトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な一対の変形部21b,22b,23b,24bと、を有している。第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24は、それぞれ吸収可能な衝撃力の吸収量が設定されている。
【0019】
第1衝撃力吸収部21の一対の変形部21bの間には、第2衝撃力吸収部22が配置されている。また、第2衝撃力吸収部22の一対の変形部22bの間には、第3衝撃力吸収部23が配置されている。さらに、第3衝撃力吸収部23の一対の変形部23bの間には、第4衝撃力吸収部24が配置されている。第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24は、それぞれ構成する板状部材の板厚を変更したり、材質を変更したりすることで、吸収可能な衝撃力の吸収量を設定可能である。
【0020】
例えば、図3の車両の前方から衝撃力が加わる場合の乗員の足の変位と乗員の足に作用する荷重の関係を示す図では、衝撃力吸収部材20がある場合を実線で示し、衝撃力吸収部材20がない場合を一点鎖線で示している。衝撃力吸収部材20がない場合には、乗員の足の変位に対して急激に衝撃力が乗員の足に作用している。また、衝撃力吸収部材20がある場合には、第1、第4衝撃力吸収部21,24を低衝撃力で変形させて衝撃力を吸収させ、第2、第3衝撃力吸収部22,23を第1、第4衝撃力吸収部21,24よりも高い衝撃力で変形させて衝撃力を吸収させることで、乗員の足に作用する衝撃力を足の変位に対して一定とすることが可能となる。
【0021】
このように、各衝撃力吸収部21,22,23,24では、吸収可能な衝撃力の吸収量が設定可能であり、衝撃力のピークを調整することができる。それぞれの衝撃力吸収部21,22,23,24の板厚、材質の組み合わせにより、上記の例に拠らず様々な衝撃力のピークの調整ができることは言うまでも無い。
【0022】
以上のように構成された車両のフロア構造において、フルラップ衝突やオフセット衝突によって走行中の車両に前方から衝撃力が加わる場合における乗員の左足Fの挙動を図4乃至図8を用いて説明する。
【0023】
図4の状態において車両に前方から衝撃力が加わると、車両が急激に減速することによって乗員が前方に移動する。このとき、前方に移動する乗員の足Fは、衝撃力低減機構10の踏板11を踏み込んだ状態となるとともに、膝が前方に移動することによって乗員の足Fのつま先がすね側に曲げられる力が作用する。その後、踏板11を踏み込んだ乗員の足Fは、図5に示すように、衝撃力吸収部材20の第1衝撃力吸収部21の当接部21aに踏板11を当接させて変形部21bを変形させることにより、つま先が前方に向く方向に回転する。これにより、乗員の膝の曲がりが解消される。その後、図6乃至図8に示すように、トーボード面3に対する踏板11のそれぞれに対応する角度において第2〜第4衝撃力吸収部22,23,24の当接部22a,23b,24bに踏板11を当接させて変形部22b,23b,24bを順に変形させることにより、段階的に足Fをつま先が前方に向く方向に回転させる。これにより、乗員の膝が前方に移動することによる足Fのつま先がすね側に曲がる方向に作用する力を解消させることができる。
【0024】
このように、本実施形態の車両のフロア構造によれば、車両に前方から作用する衝撃力によって踏板11が後端側を中心に回転する際に、衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材20を、トーボード面3に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量をそれぞれ設定可能である。これにより、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0025】
また、衝撃力吸収部材20は、トーボード面3に対して踏板11がなすそれぞれの角度において変形することで衝撃力を吸収可能な複数の衝撃力吸収部21,22,23,24を有している。これにより、トーボード面3に対して踏板11がなす各角度における衝撃力の吸収量を個別に設定することができるので、衝撃力吸収部材20の製造が容易となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0026】
また、各衝撃力吸収部21,22,23,24は、トーボード面3に対する踏板11のなすそれぞれの角度において踏板11が当接する当接部21a,22a,23a,24aと、当接部21a,22a,23a,24aの両側からトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な一対の変形部21b,22b,23b,24bと、を有する。これにより、一対の変形部21b,22b,23b,24bによって衝撃力を吸収することができるので、衝撃力吸収部材20を構成する部材自体の板厚や材質等、強度を大きくする必要はなく製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
また、第1衝撃力吸収部21の一対の変形部21bの間には、第2〜第4衝撃力吸収部22,23,24が配置されている。これにより、衝撃力吸収部材20を設置するために大きなスペースを必要としないため、衝撃力低減機構10の小型化を図ることが可能となる。
【0028】
図9は本発明の第2実施形態を示すものである。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0029】
この衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材30は、図9(a)に示すように、車両に前方から衝撃力が作用して乗員の足が踏板11を踏み込む場合に、トーボード面3に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおいて衝撃力を受けて変形可能な第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34を有している。
【0030】
第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34は、図9(b)に示すように、それぞれ対応するトーボード面3に対する踏板11のなす角度において踏板11の下面が当接する当接部31a,32a,33a,34aと、当接部31a,32a,33a,34aの幅方向両端からトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な一対の変形部31b,32b,33b,34bと、を有している。また、一対の変形部31b,32b,33b,34bの端部は、幅方向に延びるベース35に固定されている。さらに、一対の変形部31b,32b,33b,34bは、それぞれ幅方向外側に張り出すように屈曲形成されている。
【0031】
以上のように構成された車両のフロア構造において、走行中の車両に前方から衝撃力が加わると、第1実施形態と同様に、第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34の当接部31a,32a,33b,34bに踏板11を当接させて変形部31b,32b,33b,34bを順に変形させることにより、段階的に足Fをつま先が前方に向く方向に回転させる。これにより、乗員の膝が前方に移動することによる足Fのつま先がすね側に曲がる方向に作用する力を解消させることができる。
【0032】
また、一対の変形部31b,32b,33b,34bは、それぞれ幅方向外側に張り出すように屈曲形成されているので、変形する際にそれぞれの屈曲している部分が幅方向外側に折れ曲がるため、変形後の高さ寸法を小さくすることが可能となる。
【0033】
このように、本実施形態の車両のフロア構造によれば、第1実施形態と同様に、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0034】
また、一対の変形部31b,32b,33b,34bが、それぞれ幅方向外側に張り出すように屈曲形成されている。これにより、第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34の変形後の高さ寸法を小さくすることが可能となるので、第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34において確実に衝撃力を吸収することが可能となる。
【0035】
図10は本発明の第3実施形態を示すものである。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0036】
この衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材40は、図10(a)に示すように、車両に前方から衝撃力が作用して乗員の足が踏板11を踏み込む場合に、トーボード面3に対して踏板11がなす3段階の角度のそれぞれにおいて衝撃力を受けて変形可能な第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43を有している。
【0037】
第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43は、図10(b)に示すように、それぞれ対応するトーボード面3に対する踏板11のなす角度において踏板11の下面が当接する当接部41a,42a,43aと、当接部41a,42a,43aからトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な変形部41b,42b,43bと、を有している。また、変形部41b,42b,43bの端部は、幅方向に延びるベース44に固定されている。
【0038】
第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43は、互いの屈曲された部分を重ねるように前後方向に並べて配置されている。
【0039】
以上のように構成された車両のフロア構造において、走行中の車両に前方から衝撃力が加わると、第1実施形態と同様に、第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43の当接部41a,42a,43bに踏板11を当接させて変形部41b,42b,43bを順に変形させることにより、段階的に足Fをつま先が前方に向く方向に回転させる。これにより、乗員の膝が前方に移動することによる足Fのつま先がすね側に曲がる方向に作用する力を解消させることができる。
【0040】
このように、本実施形態の車両のフロア構造によれば、第1実施形態と同様に、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0041】
また、第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43は、互いの屈曲された部分を重ねるように前後方向に並べて配置されている。これにより、衝撃力吸収部材40を設置するために大きなスペースを必要としないため、衝撃力低減機構10の小型化を図ることが可能となる。
【0042】
尚、前記実施形態では、助手席1のトーボード面3の外周部を除く全体を衝撃力低減機構10の踏板11が覆うようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、乗員の左右の足Fのそれぞれに1つずつ衝撃力低減機構10を構成してもよいし、左右の足Fの一方のみに衝撃力低減機構10を構成するようにしてもよい。この場合、衝撃力低減機構10は、フットレストとして用いることが可能である。
【0043】
また、前記実施形態では、踏板11の後端側を床面2の前端部に支持する支持部材12を板状部材から形成したものを示したが、これに限られるものではない。車両に前方から衝撃力が作用して乗員が踏板11を踏み込んだ場合に、踏板11の後端側を中心にして踏板11を回転させるものであれば、例えば、蝶番によって踏板の後端側と床面2の前端部を連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…助手席、2…床面、3…トーボード面、10…衝撃力低減機構、11…踏板、12…支持部材、20…衝撃力吸収部材、21,22,23,24…第1〜第4衝撃力吸収部、21a,22a,23a,24a…当接部、21b,22b,23b,24b…変形部、30…衝撃力吸収部材、31a,32a,33a,34a…当接部、31b,32b,33b,34b…変形部、40…衝撃力吸収部材、41a,42a,43a…当接部、41b,42b,43b…変形部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両の助手席等、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるトーボード面が設けられた車両のフロア構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の車両のフロア構造としては、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるように設けられ、着座した乗員の足が位置するトーボード面を有するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−164782号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記車両のフロア構造を有する車両では、車両に前方から衝撃力が加わる場合に、床面からトーボード面に亘って設けられたフットレストを前方に移動させることにより、運転者の足のつま先がすね側に曲げられることによる下肢の傷害値を低減し、車両の安全性の向上を図るようにしている。
【0005】
しかし、前記車両においては、フットレストが助手席に設けられていないため、助手席の乗員の下肢の傷害値の低減を図ることができない。また、前記フットレストを運転席および助手席に適用したとしても、前記フットレストは衝撃力が作用した直後に最大限まで移動し、その後は衝撃力が乗員の足のつま先をすね側に曲げる力として作用するため、下肢の傷害値を低減することは困難である。
【0006】
本発明の目的とするところは、車両に前方から衝撃力が加わる場合において、運転者の足のつま先がすね側に曲げられる力が作用することを抑制し、下肢の傷害値を低減することのできる車両のフロア構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記目的を達成するために、着座した乗員の足が位置し、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるトーボード面を有する車両のフロア構造において、車両の前方から衝撃力が作用する場合に、乗員に伝わる衝撃力を低減する衝撃力低減機構を備え、衝撃力低減機構は、乗員の足で踏まれる踏板と、前記踏板の後端側を中心に前端側を下方に回転可能に前記踏板の後端側を支持する支持部材と、前記踏板の前端側と前記トーボード面との間に設けられ、変形させることで衝撃力を吸収する衝撃力吸収部材と、を有し、前記衝撃力吸収部材は、前記踏板が後端側を中心に回転する際の前記トーボード面に対して前記踏板がなす複数の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量がそれぞれ設定可能である。
【0008】
これにより、踏板が後端側を中心に回転する際のトーボード面に対して踏板がなす角度に応じた量の衝撃力が吸収されることから、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動が制御される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の第1実施形態を示す車両の助手席の下部前方を示す斜視図である。
【図2】助手席の下部前方を前方から見た斜視図である。
【図3】車両の前方から衝撃力が加わる場合の乗員の足の変位と足に作用する荷重の関係を示す図である。
【図4】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図5】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図6】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図7】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図8】車両の前方から衝撃力が加わる場合の挙動を示す斜視図である。
【図9】(a)本発明の第2実施形態を示す車両の助手席の下部前方を示す斜視図である。(b)衝撃力吸収部材を前方から見た図である。
【図10】(a)本発明の第3実施形態を示す車両の助手席の下部前方を示す斜視図である。(b)衝撃力吸収部材を側方から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1乃至図8は、本発明の第1実施形態を示すものである。
【0012】
本発明のフロア構造を備えた車両は、車室内の左側に助手席1が設けられている。助手席1には、図1に示すように、床面2と、床面2の前端から前方に向かって斜め上方に延びるトーボード面3と、が設けられている。助手席1の床面2およびトーボード面3は、全面に亘ってカーペット(図示せず)で覆われている。
【0013】
助手席1の床面2およびトーボード3面には、車両に前方から衝撃力が作用する場合に、着座した乗員の下肢に作用する衝撃力を低減するための衝撃力低減機構10が設けられている。衝撃力低減機構10は、通常の使用状態において、床面2およびトーボード面3と共に、カーペットによって覆われている。
【0014】
衝撃力低減機構10は、乗員の足で踏まれる踏板11と、踏板11の後端側を床面2の前端部に支持する支持部材12と、トーボード面3と踏板11の前端側との間に設けられ、車両の前方から加わる衝撃力によって変形可能に設けられ、変形することで衝撃力を吸収するための衝撃力吸収部材20と、を有している。
【0015】
踏板11は、助手席1のトーボード面3の外周部を除く全面に亘って設けられた板状部材である。踏板11は、車両の前方から加わる衝撃力によって変形することのない硬質の部材から形成されている。
【0016】
支持部材12は、踏板11の後端側と床面2の前端側とを連結する板状部材からなる。支持部材12は、車両の前方から衝撃力が加わる場合に、破断することなく踏板11の前方への移動を規制する。支持部材12は、車両に前方から衝撃力が作用して乗員が踏板11を踏み込んだ場合に、踏板11の後端側を中心にして踏板11を回転させる。
【0017】
衝撃力吸収部材20は、車両に前方から衝撃力が作用して乗員の足が踏板11を踏み込む場合に、トーボード面3に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおいて衝撃力を受けて変形可能な第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24を有している。第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24,は、それぞれ所定の幅寸法の板状部材からなる。第1〜第3衝撃力吸収部21,22,23は、幅方向に延びるとともに、左右両側が屈曲されてトーボード面3側に向かって延びる逆U字状に形成され、両端がトーボード面3を幅方向に延びる板状のベース25に固定されている。また、第4衝撃力吸収部24は、左右両側がトーボード面3に向かって斜め幅方向外側に延びるとともに、屈曲されてトーボード面3に向かって斜め幅方向内側に延びる菱形状に形成され、両端がベース25に固定されている。
【0018】
第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24は、図2に示すように、それぞれ対応するトーボード面3に対する踏板11のなす角度において踏板11の下面が当接する当接部21a,22a,23a,24aと、当接部21a,22a,23a,24aの幅方向両端からトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な一対の変形部21b,22b,23b,24bと、を有している。第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24は、それぞれ吸収可能な衝撃力の吸収量が設定されている。
【0019】
第1衝撃力吸収部21の一対の変形部21bの間には、第2衝撃力吸収部22が配置されている。また、第2衝撃力吸収部22の一対の変形部22bの間には、第3衝撃力吸収部23が配置されている。さらに、第3衝撃力吸収部23の一対の変形部23bの間には、第4衝撃力吸収部24が配置されている。第1〜第4衝撃力吸収部21,22,23,24は、それぞれ構成する板状部材の板厚を変更したり、材質を変更したりすることで、吸収可能な衝撃力の吸収量を設定可能である。
【0020】
例えば、図3の車両の前方から衝撃力が加わる場合の乗員の足の変位と乗員の足に作用する荷重の関係を示す図では、衝撃力吸収部材20がある場合を実線で示し、衝撃力吸収部材20がない場合を一点鎖線で示している。衝撃力吸収部材20がない場合には、乗員の足の変位に対して急激に衝撃力が乗員の足に作用している。また、衝撃力吸収部材20がある場合には、第1、第4衝撃力吸収部21,24を低衝撃力で変形させて衝撃力を吸収させ、第2、第3衝撃力吸収部22,23を第1、第4衝撃力吸収部21,24よりも高い衝撃力で変形させて衝撃力を吸収させることで、乗員の足に作用する衝撃力を足の変位に対して一定とすることが可能となる。
【0021】
このように、各衝撃力吸収部21,22,23,24では、吸収可能な衝撃力の吸収量が設定可能であり、衝撃力のピークを調整することができる。それぞれの衝撃力吸収部21,22,23,24の板厚、材質の組み合わせにより、上記の例に拠らず様々な衝撃力のピークの調整ができることは言うまでも無い。
【0022】
以上のように構成された車両のフロア構造において、フルラップ衝突やオフセット衝突によって走行中の車両に前方から衝撃力が加わる場合における乗員の左足Fの挙動を図4乃至図8を用いて説明する。
【0023】
図4の状態において車両に前方から衝撃力が加わると、車両が急激に減速することによって乗員が前方に移動する。このとき、前方に移動する乗員の足Fは、衝撃力低減機構10の踏板11を踏み込んだ状態となるとともに、膝が前方に移動することによって乗員の足Fのつま先がすね側に曲げられる力が作用する。その後、踏板11を踏み込んだ乗員の足Fは、図5に示すように、衝撃力吸収部材20の第1衝撃力吸収部21の当接部21aに踏板11を当接させて変形部21bを変形させることにより、つま先が前方に向く方向に回転する。これにより、乗員の膝の曲がりが解消される。その後、図6乃至図8に示すように、トーボード面3に対する踏板11のそれぞれに対応する角度において第2〜第4衝撃力吸収部22,23,24の当接部22a,23b,24bに踏板11を当接させて変形部22b,23b,24bを順に変形させることにより、段階的に足Fをつま先が前方に向く方向に回転させる。これにより、乗員の膝が前方に移動することによる足Fのつま先がすね側に曲がる方向に作用する力を解消させることができる。
【0024】
このように、本実施形態の車両のフロア構造によれば、車両に前方から作用する衝撃力によって踏板11が後端側を中心に回転する際に、衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材20を、トーボード面3に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量をそれぞれ設定可能である。これにより、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0025】
また、衝撃力吸収部材20は、トーボード面3に対して踏板11がなすそれぞれの角度において変形することで衝撃力を吸収可能な複数の衝撃力吸収部21,22,23,24を有している。これにより、トーボード面3に対して踏板11がなす各角度における衝撃力の吸収量を個別に設定することができるので、衝撃力吸収部材20の製造が容易となり、製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0026】
また、各衝撃力吸収部21,22,23,24は、トーボード面3に対する踏板11のなすそれぞれの角度において踏板11が当接する当接部21a,22a,23a,24aと、当接部21a,22a,23a,24aの両側からトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な一対の変形部21b,22b,23b,24bと、を有する。これにより、一対の変形部21b,22b,23b,24bによって衝撃力を吸収することができるので、衝撃力吸収部材20を構成する部材自体の板厚や材質等、強度を大きくする必要はなく製造コストの低減を図ることができる。
【0027】
また、第1衝撃力吸収部21の一対の変形部21bの間には、第2〜第4衝撃力吸収部22,23,24が配置されている。これにより、衝撃力吸収部材20を設置するために大きなスペースを必要としないため、衝撃力低減機構10の小型化を図ることが可能となる。
【0028】
図9は本発明の第2実施形態を示すものである。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0029】
この衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材30は、図9(a)に示すように、車両に前方から衝撃力が作用して乗員の足が踏板11を踏み込む場合に、トーボード面3に対して踏板11がなす4段階の角度のそれぞれにおいて衝撃力を受けて変形可能な第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34を有している。
【0030】
第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34は、図9(b)に示すように、それぞれ対応するトーボード面3に対する踏板11のなす角度において踏板11の下面が当接する当接部31a,32a,33a,34aと、当接部31a,32a,33a,34aの幅方向両端からトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な一対の変形部31b,32b,33b,34bと、を有している。また、一対の変形部31b,32b,33b,34bの端部は、幅方向に延びるベース35に固定されている。さらに、一対の変形部31b,32b,33b,34bは、それぞれ幅方向外側に張り出すように屈曲形成されている。
【0031】
以上のように構成された車両のフロア構造において、走行中の車両に前方から衝撃力が加わると、第1実施形態と同様に、第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34の当接部31a,32a,33b,34bに踏板11を当接させて変形部31b,32b,33b,34bを順に変形させることにより、段階的に足Fをつま先が前方に向く方向に回転させる。これにより、乗員の膝が前方に移動することによる足Fのつま先がすね側に曲がる方向に作用する力を解消させることができる。
【0032】
また、一対の変形部31b,32b,33b,34bは、それぞれ幅方向外側に張り出すように屈曲形成されているので、変形する際にそれぞれの屈曲している部分が幅方向外側に折れ曲がるため、変形後の高さ寸法を小さくすることが可能となる。
【0033】
このように、本実施形態の車両のフロア構造によれば、第1実施形態と同様に、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0034】
また、一対の変形部31b,32b,33b,34bが、それぞれ幅方向外側に張り出すように屈曲形成されている。これにより、第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34の変形後の高さ寸法を小さくすることが可能となるので、第1〜第4衝撃力吸収部31,32,33,34において確実に衝撃力を吸収することが可能となる。
【0035】
図10は本発明の第3実施形態を示すものである。尚、前記実施形態と同様の構成部分には同一の符号を付して示す。
【0036】
この衝撃力低減機構10の衝撃力吸収部材40は、図10(a)に示すように、車両に前方から衝撃力が作用して乗員の足が踏板11を踏み込む場合に、トーボード面3に対して踏板11がなす3段階の角度のそれぞれにおいて衝撃力を受けて変形可能な第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43を有している。
【0037】
第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43は、図10(b)に示すように、それぞれ対応するトーボード面3に対する踏板11のなす角度において踏板11の下面が当接する当接部41a,42a,43aと、当接部41a,42a,43aからトーボード面3側に向かって延びるように形成され、作用する衝撃力によって変形可能な変形部41b,42b,43bと、を有している。また、変形部41b,42b,43bの端部は、幅方向に延びるベース44に固定されている。
【0038】
第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43は、互いの屈曲された部分を重ねるように前後方向に並べて配置されている。
【0039】
以上のように構成された車両のフロア構造において、走行中の車両に前方から衝撃力が加わると、第1実施形態と同様に、第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43の当接部41a,42a,43bに踏板11を当接させて変形部41b,42b,43bを順に変形させることにより、段階的に足Fをつま先が前方に向く方向に回転させる。これにより、乗員の膝が前方に移動することによる足Fのつま先がすね側に曲がる方向に作用する力を解消させることができる。
【0040】
このように、本実施形態の車両のフロア構造によれば、第1実施形態と同様に、車両に前方から衝撃力が作用する際における乗員の下肢の挙動を制御することができるので、乗員の下肢の傷害値の低減を図ることが可能となる。
【0041】
また、第1〜第3衝撃力吸収部41,42,43は、互いの屈曲された部分を重ねるように前後方向に並べて配置されている。これにより、衝撃力吸収部材40を設置するために大きなスペースを必要としないため、衝撃力低減機構10の小型化を図ることが可能となる。
【0042】
尚、前記実施形態では、助手席1のトーボード面3の外周部を除く全体を衝撃力低減機構10の踏板11が覆うようにしたものを示したが、これに限られるものではない。例えば、乗員の左右の足Fのそれぞれに1つずつ衝撃力低減機構10を構成してもよいし、左右の足Fの一方のみに衝撃力低減機構10を構成するようにしてもよい。この場合、衝撃力低減機構10は、フットレストとして用いることが可能である。
【0043】
また、前記実施形態では、踏板11の後端側を床面2の前端部に支持する支持部材12を板状部材から形成したものを示したが、これに限られるものではない。車両に前方から衝撃力が作用して乗員が踏板11を踏み込んだ場合に、踏板11の後端側を中心にして踏板11を回転させるものであれば、例えば、蝶番によって踏板の後端側と床面2の前端部を連結するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1…助手席、2…床面、3…トーボード面、10…衝撃力低減機構、11…踏板、12…支持部材、20…衝撃力吸収部材、21,22,23,24…第1〜第4衝撃力吸収部、21a,22a,23a,24a…当接部、21b,22b,23b,24b…変形部、30…衝撃力吸収部材、31a,32a,33a,34a…当接部、31b,32b,33b,34b…変形部、40…衝撃力吸収部材、41a,42a,43a…当接部、41b,42b,43b…変形部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座した乗員の足が位置し、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるトーボード面を有する車両のフロア構造において、
車両の前方から衝撃力が作用する場合に、乗員に伝わる衝撃力を低減する衝撃力低減機構を備え、
衝撃力低減機構は、乗員の足で踏まれる踏板と、前記踏板の後端側を中心に前端側を下方に回転可能に前記踏板の後端側を支持する支持部材と、前記踏板の前端側と前記トーボード面との間に設けられ、変形させることで衝撃力を吸収する衝撃力吸収部材と、を有し、
前記衝撃力吸収部材は、前記踏板が後端側を中心に回転する際の前記トーボード面に対して前記踏板がなす複数の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量がそれぞれ設定可能である
ことを特徴とする車両のフロア構造。
【請求項2】
前記衝撃力吸収部材は、前記トーボード面に対して前記踏板がなすそれぞれの角度において変形することで衝撃力を吸収可能な複数の衝撃力吸収部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のフロア構造。
【請求項3】
前記各衝撃力吸収部は、前記トーボード面に対する前記踏板のなすそれぞれの角度において踏板が当接する当接部と、前記当接部の所定方向の両側から前記トーボード面側に向かって延びるように形成され、衝撃力によって変形可能な一対の変形部と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両のフロア構造。
【請求項4】
前記衝撃力吸収部の一対の変形部の間には、対応するトーボード面に対して前記踏板がなす角度よりも小さい角度に対応する衝撃力吸収部が配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の車両のフロア構造。
【請求項5】
前記一対の変形部は、それぞれ外側に張り出すように屈曲形成されている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のフロア構造。
【請求項6】
前記各衝撃力吸収部は、前記トーボード面に対する前記踏板のなすそれぞれの角度において踏板が当接する当接部と、前記当接部から前記トーボード面側に向かって延びるように屈曲形成された変形部と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両のフロア構造。
【請求項1】
着座した乗員の足が位置し、床面から前方に向かって斜め上方に立ち上がるトーボード面を有する車両のフロア構造において、
車両の前方から衝撃力が作用する場合に、乗員に伝わる衝撃力を低減する衝撃力低減機構を備え、
衝撃力低減機構は、乗員の足で踏まれる踏板と、前記踏板の後端側を中心に前端側を下方に回転可能に前記踏板の後端側を支持する支持部材と、前記踏板の前端側と前記トーボード面との間に設けられ、変形させることで衝撃力を吸収する衝撃力吸収部材と、を有し、
前記衝撃力吸収部材は、前記踏板が後端側を中心に回転する際の前記トーボード面に対して前記踏板がなす複数の角度のそれぞれにおける衝撃力の吸収量がそれぞれ設定可能である
ことを特徴とする車両のフロア構造。
【請求項2】
前記衝撃力吸収部材は、前記トーボード面に対して前記踏板がなすそれぞれの角度において変形することで衝撃力を吸収可能な複数の衝撃力吸収部を有している
ことを特徴とする請求項1に記載の車両のフロア構造。
【請求項3】
前記各衝撃力吸収部は、前記トーボード面に対する前記踏板のなすそれぞれの角度において踏板が当接する当接部と、前記当接部の所定方向の両側から前記トーボード面側に向かって延びるように形成され、衝撃力によって変形可能な一対の変形部と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両のフロア構造。
【請求項4】
前記衝撃力吸収部の一対の変形部の間には、対応するトーボード面に対して前記踏板がなす角度よりも小さい角度に対応する衝撃力吸収部が配置されている
ことを特徴とする請求項3に記載の車両のフロア構造。
【請求項5】
前記一対の変形部は、それぞれ外側に張り出すように屈曲形成されている
ことを特徴とする請求項3または4に記載の車両のフロア構造。
【請求項6】
前記各衝撃力吸収部は、前記トーボード面に対する前記踏板のなすそれぞれの角度において踏板が当接する当接部と、前記当接部から前記トーボード面側に向かって延びるように屈曲形成された変形部と、を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の車両のフロア構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−14171(P2013−14171A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146715(P2011−146715)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】
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