説明

車両のリフト装置

【課題】車両用の車いすリフト装置において、プラットホームに備え付けられた電動式のフラッパを手動操作により回転させると、従来は手動操作力により電動モータや減速ギヤ列が回転して高周波音等の不快な騒音を発する問題があった。本発明では、電動式フラッパを手動操作により回転させる場合の不快な騒音を発生しないようにすることを目的とする。
【解決手段】電動モータを動力源とするフラッパ駆動装置20の動力系を接続した動力接続状態と動力を切り離した動力切り離し状態とに切り換え可能な構成とする。フラッパ11の手動操作は、横移動させた動力切り離し状態で行うことにより電動モータ等の不快な騒音の発生を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の例えばリヤ開口部に装備されるリフト装置であって、例えば車いすの乗降や積み荷の昇降に用いられるリフト装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のリフト装置は、例えば車いすを搭載可能な面積を有する平板形状のプラットホームと、このプラットホームを車両リヤ開口部を経て車室内と車室外の路面上との間で水平姿勢を保持したまま昇降させる昇降機構を備えており、通常プラットホームの後部には、帯板形状のフラッパが装備されている。このフラッパは、プラットホームの後部に沿って上下に回動可能に支持されており、上方へ起立させた格納位置に保持することによりプラットホーム昇降時及び車室内での車いすの移動を規制するストッパ壁部として機能し、プラットホームを車室外へ下降させた状態では、プラットホームの後部から後方へほぼ水平に張り出す取り出し位置に回動されて、プラットホームと路面との間の段差を吸収して車いすの路面とプラットホームとの間の移動を楽にするためのスロープとして機能する。
このフラッパに関する従来の技術が下記の特許文献に開示されている。下記の特許文献1には、介護者の手動操作により起立位置に格納し、ほぼ水平位置に取り出す構成のフラッパが開示されている。特許文献2,3には、車いすに着座した着座者自身がレバーを操作して取り出し、格納することができるフラッパが開示されている。特許文献4には、介護者のペダル足踏み操作により取り出し、格納することができるフラッパが開示されている。
このように従来、介護者の直接手動操作により上下に回動させ、若しくは着座者等のレバー操作により上下に回動させて格納、取り出しする形態のフラッパの他に、電動により上下に回動させて格納、取り出しする電動フラッパが公知になっている。この電動フラッパによれば、着座者若しくは介護者はスイッチ操作のみでフラッパを楽に格納、取り出しすることができるので、当該フラッパひいてはリフト装置の使い勝手を一層向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−316573号公報
【特許文献2】特開2001−95851号公報
【特許文献3】特開2002−307998号公報
【特許文献4】特開2002−307999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の電動フラッパについても、手動操作により格納し、取り出す場合があり、係る場合には介護者等が手動操作によりフラッパを上下に回動させると、これに伴って電動モータ及び減速用のギヤ列が外力によって回転し、その結果高周波の耳障りな騒音を発する場合があり、この点で操作性を改善する必要があった。
本発明は、電動モータを駆動源として格納、取り出しする電動式フラッパにおいて、これを手動操作により格納、取り出しする場合の操作性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は下記の発明により解決される。
第1の発明は、昇降物を搭載可能なプラットホームと、このプラットホームを車両開口部と路面との間で昇降させる昇降機構を備えたリフト装置である。このリフト装置は、プラットホームの後部に沿って上方に起立した格納位置と後方へ張り出す取り出し位置との間を回動可能に支持されたフラッパと、電動モータを動力源としてこのフラッパを格納位置と取り出し位置との間で回動させるフラッパ駆動装置を備えている。このフラッパ駆動装置は、電動モータの回転出力を動力源とする動力系によりフラッパを回動させる動力接続状態と、動力系を切り離して電動モータとは無関係なモータフリー状態でフラッパを手動操作により回動可能とする動力切り離し状態とに切り換え可能な構成を備えている。
第1の発明によれば、フラッパ駆動装置において動力切り離し状態に切り換えることにより、電動モータとは切り離してフラッパを手動操作により回動させることができるので、従来のような電動モータや減速ギヤ列の高周波音等の不快な騒音を発生させることなくフラッパを格納、取り出しすることができ、この点で当該フラッパの操作性を高めることができる。
第2の発明は、第1の発明において、フラッパは、その回転軸線方向に沿って横移動操作可能に支持されており、このフラッパを回転軸線方向に横移動操作することにより動力接続状態と動力切り離し状態を切り換える構成としたリフト装置である。
第2の発明によれば、簡単な操作で動力切り離し状態に切り換えることができ、この点で当該フラッパの操作性を一層高めることができる。
第3の発明は、第2の発明において、フラッパは回転軸線方向の横移動について動力接続側に付勢されたリフト装置である。第3の発明によれば、常時にはフラッパを電動により楽に格納、取り出しすることができる。動力接続状態から動力切り離し状態に切り換える場合には、フラッパを付勢力に抗して横移動させる簡単な操作で足り、この点で当該フラッパの操作性を高めることができる。
第4の発明は、第2又は第3の発明において、フラッパを横移動させた状態で取り出し位置側に5°回転させると該フラッパが前記動力切り離し状態に保持されるリフト装置である。
第4の発明によれば、フラッパを横移動させた後取り出し位置側に5°回転させれば当該フラッパが動力切り離し状態に保持されるので、その後は横移動操作を解除してフラッパを取り出し位置まで回動させることができ、この点で動力切り離し状態でのフラッパの操作性を向上させることができる。
【0006】
第5の発明は、第1〜第4の何れか一つの発明において、フラッパ駆動装置は、電動モータにより回転する駆動側カム板部と、この駆動側カム板部に対して軸線方向に接近、離間可能に支持された従動側カム板部と、この従動側カム板部に係合してその回転を規制することによりフラッパを格納位置にロックするロックレバーを備えており、従動側カム板部を駆動側カム板部に接近させてこの両カム板部を軸線回りの回転について一体化させることで動力接続状態とする一方、従動側カム板部を駆動側カム板部から軸線方向に離間させてこの両カム板部を相互に回転可能とすることにより動力切り離し状態とし、前者の動力接続状態では駆動側カム板部の従動側カム板部に対する一定角度範囲での相対回転によりロックレバーのロック状態が解除される構成としたリフト装置である。
第5の発明によれば、駆動側カム板部に対して従動側カム板部を軸線方向に変位させることにより動力接続状態と動力切り離し状態が切り換えられる。前者の動力接続状態において、駆動側カム板部は従動側カム板部に対して一定の角度範囲で相対回転可能に設けられており、この相対回転を利用してロックレバーが自動的にアンロックされる。駆動側カム板部が従動側カム板部に対して一定の角度範囲だけ相対回転した後に、両カム板部が回転について一体化されてフラッパが電動により格納位置から取り出し位置に取り出される。このように駆動側カム板部に対して従動側カム板部を接近させた動力接続状態において、フラッパを格納位置から取り出し位置に回動させる場合に駆動側カム板部が従動側カム板部に対して一定の角度範囲で相対回転することによりフラッパの格納位置でのロック状態が自動的に解除される。このため、車いすの着座者若しくはその介護者等が手動によりロックレバーのアンロック操作を行う必要がなく、この点で簡易な構成でより高い操作性を実現できる。
第6の発明は、第5の発明において、駆動側カム板部と従動側カム板部の一方に係合凸部が設けられ、他方にこの係合凸部が嵌り込む係合凹部が設けられており、駆動側カム板部に従動側カム板部を接近させて係合凸部を係合凹部内に進入させることにより両カム板部を回転について一体化させて動力接続状態とする一方、駆動側カム板部から従動側カム板部を離間させて係合凸部を係合凹部内から離脱させることにより両カム板部を回転について切り離して動力切り離し状態とするリフト装置である。
第6の発明によれば、駆動側カム板部と従動側カム板部の相互の対向面の一方に係合凸部を設け、他方に係合凹部を設けた簡易な構成で、両カム板部の回転について一体化された動力接続状態と両カム板部の回転について切り離された動力切り離し状態とに切り換えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の実施形態に係るリフト装置を備えた車両後部の斜視図である。
【図2】図1の(II)部拡大図であって、フラッパ駆動装置の左側面図である。
【図3】フラッパ駆動装置の縦断面図である。本図は、動力接続状態を示している。
【図4】フラッパ駆動装置の縦断面図である。本図は、動力切り離し状態を示している。
【図5】フラッパ駆動装置の左側面図であって、駆動側カム板部と従動側カム板部との位置関係を示す図である。本図は、フラッパが格納位置にロックされた状態を示している。
【図6】フラッパ駆動装置の左側面図であって、駆動側カム板部と従動側カム板部との位置関係を示す図である。本図は、動力接続状態で電動によりフラッパの格納位置でのロック状態が解除された状態を示している。
【図7】フラッパ駆動装置の左側面図であって、駆動側カム板部と従動側カム板部との位置関係を示す図である。本図は、動力接続状態で電動によりフラッパが取り出し位置に取り出された状態を示している。
【図8】フラッパ駆動装置の左側面図であって、駆動側カム板部と従動側カム板部との位置関係を示す図である。本図は、動力切り離し状態で手動操作によりフラッパが取り出し位置に取り出された状態を示している。
【図9】フラッパ駆動装置の左側面図であって、駆動側カム板部と従動側カム板部との位置関係を示す図である。本図は、動力切り離し状態で手動操作により取り出したフラッパを電動により格納位置側に戻す場合に、駆動側カム板部が従動側カム板部に対して空転し始めた状態を示している。
【図10】フラッパ駆動装置の左側面図であって、駆動側カム板部と従動側カム板部との位置関係を示す図である。本図は、動力切り離し状態で手動操作により取り出したフラッパを電動により格納位置側に戻す場合に、駆動側カム板部の係合凸部が従動側カム板部の係合凹部に係合する直前の状態を示している。
【図11】フラッパ駆動装置の左側面図であって、駆動側カム板部と従動側カム板部との位置関係を示す図である。本図は、動力切り離し状態で手動操作により取り出したフラッパを電動により格納位置側に戻す場合に、駆動側カム板部と従動側カム板部が一体で回転し始めてフラッパが回動し始める直前の状態を示している。
【図12】本発明の第2実施形態に係るフラッパ駆動装置の左側面図である。本図は、ロックレバーに動力系切り離しアームを設けた点で図2と異なっている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施形態を図1〜図12に基づいて説明する。図1は、以下説明する第1実施形態のリフト装置1を示している。このリフト装置1は、車両2のリヤ開口部3に装備されている。このリフト装置1は、昇降物としての車いす4を搭載可能な面積を有する平板形状のプラットホーム10と、このプラットホーム10をリヤ開口部3を経て車室内と車室外の路面上との間で水平姿勢を保持したまま昇降させる昇降機構5を備えている。車両2の後部に設けたリヤゲート3aを上方へ跳ね上げるとリヤ開口部3が開放される。昇降機構5は、車両フロア2a上に設置した左右一対の四節リンク機構を主体とする昇降アーム5a,5aの先端側をそれぞれプラットホーム10の左右側部に設けたスライド機構5bに結合した構成を備えている。この昇降機構5によって、プラットホーム10を水平姿勢で上下に平行移動可能かつ車両フロア2aに沿って車両前後にスライド可能となっている。
図1に示すように路面上に取り出されたプラットホーム10上に車いす4が搭載された状態で左右の昇降アーム5a,5aが上昇側に作動してプラットホーム10が車両フロア2aの高さまで上昇され、その後若しくは上昇途中の適切なタイミングで左右のスライド機構5b,5bが前スライド側に作動することによりプラットホーム10が前側(車室内側)に水平移動されて車両フロア2aに沿った位置に格納される。プラットホーム10を車室内から路面上に取り出す場合には、先ず左右のスライド機構5b,5bが後ろスライド側に作動してプラットホーム10が後方へ水平移動され、その後若しくはスライド途中の適切なタイミングで左右の昇降アーム5a,5aが下降側に作動してプラットホーム10が路面上まで下ろされる。
プラットホーム10の後部には、主として当該プラットホーム10と路面との間の車いす4の移動を容易にするためのフラッパ11が設けられている。このため、フラッパ11は、主にプラットホーム10を路面上に下ろした状態で利用される。このフラッパ11は、帯板形状を有するもので、プラットホーム10の後部に沿った軸線回りに回動可能に支持されており、上方へ起立した格納位置とプラットホーム10の後部から後方へ張り出す取り出し位置との間を上下に回動可能に設けられている。このフラッパ11は電動式で、フラッパ駆動装置20により上下に回動されるとともに、フラッパ駆動装置20の動力系から切り離して手動操作によっても上下に回動させることができるようになっている。
【0009】
フラッパ駆動装置20の詳細が図2に示されている。このフラッパ駆動装置20は、プラットホーム10の後端左側部に設けられている。このフラッパ駆動装置20は、プラットホーム10の後端左側部に取り付けたベース21と、このベース21に取り付けた駆動源としての電動モータ22を備えている。電動モータ22の出力軸に取り付けたピニオンギヤ23は、より大径のアイドルギヤ24が噛み合わされている。アイドルギヤ24は、ベース21に設けた支軸24aを介して回転可能に支持されている。アイドルギヤ24は、ドリブンギヤ25に噛み合わされている。このドリブンギヤ25は、図3及び図4に示すようにベース21に設けた段付き形状の支持ボス部26を介して回転可能に支持されている。電動モータ22が起動すると、ピニオンギヤ23とアイドルギヤ24の噛み合いを経てドリブンギヤ25が回転する。
支持ボス部26には、大径の大径支軸部26aとこれよりも小径の小径支軸部26bが同軸かつ一体に設けられている。大径支軸部26aにドリブンギヤ25が軸受け26cを介して回転可能に支持されている。
ドリブンギヤ25には、駆動側カム板部27が一体に設けられている。図5に示すようにこの駆動側カム板部27の周面27bには、一つのロック解除カム部27aが設けられている。また、駆動側カム板部27の側面には一つの係合凸部28が設けられている。
【0010】
図3及び図4に示すように支持ボス部26の小径支軸部26bには、フラッパ11に取り付けたフラッパ左ブラケット30が回転可能に支持されている。フラッパ左ブラケット30は、ブラケット部31と支軸部32と従動側カム板部33を備えている。ブラケット部31はフラッパ11の左側部に沿って固定されている。ブラケット部31の下部に支軸部32が側方へ突き出す状態に設けられている。この支軸部32の内周孔32aに、支持ボス部26の小径支軸部26bが軸受け26dを介して相対回転可能かつ軸方向へ相対変位可能な状態で挿入支持されている。支軸部32の左端部に従動側カム板部33が一体に設けられている。図5に示すようにこの従動側カム板部33の周面33bには、一つのストッパ凹部33aが設けられている。ストッパ凹部33a内にロックレバー36のロック爪部36aが嵌り込むことにより当該従動側カム板部33ひいてはフラッパ11の回転がロックされる。フラッパ11は上方へ起立した格納位置でロックされるよう、ストッパ凹部33aの周方向の位置が設定されている。従動側カム板部33の周面33bと駆動側カム板部27の周面27bはほぼ同じ径で形成されている。このため、図5に示すように側面視で両周面33b,27bはほぼ一致する状態となる。
図2に示すようにロックレバー36は、支軸36bを介してベース21に前後方向へ傾動操作可能に支持されている。このロックレバー36とベース21との間には、引っ張りばね37が介装されている。この引っ張りばね37によってロックレバー36は、そのロック爪部36aを従動側カム板部33のストッパ凹部33a内に挿入するロック側(後方へ傾動する方向)に付勢されている。この引っ張りばね37に抗してロックレバー36が図2中二点鎖線で示すように図示左側のアンロック側に回動するとそのロック爪部36aがストッパ凹部33a内から抜き出されて従動側カム板部33が軸線J回りに回転可能となり、従ってフラッパ11を下方の取り出し位置側に回動させることができる。
図3及び図4に示すようにロックレバー36のロック爪部36aは、駆動側カム板部27と従動側カム板部33の両周面27b,33bの双方に跨る板厚寸法を有している。このため、駆動側カム板部27と従動側カム板部33の回転方向の相対位置に関して、図5に示すように駆動側カム板部27のロック解除カム部27aと従動側カム板部33のストッパ凹部33aが回転方向について一致した状態でのみロック爪部36aがストッパ凹部33a内に進入してフラッパ11が上方へ起立した格納位置にロックされる。
【0011】
図2に示すように、ロックレバー36の傾動位置については、フラッパ11を格納位置にロックするロック位置と、フラッパ11の格納位置でのロックを解除するアンロック位置と、フラッパ11の後方への回動のみをロックする中間ロック位置が設定されている。図2では、ロック位置のロックレバー36が実線で示されて符号(LC)が付記され、アンロック位置のロックレバー36が二点鎖線で示されて符号(UL)が付記されている。また、ロック位置とアンロック位置のほぼ中間に位置する中間ロック位置のロックレバー36が同じく二点鎖線で示されて符号(ML)が付記されている。
ロックレバー36がロック位置(LC)に位置する状態では、ロック爪部36aが従動側カム板部33のストッパ凹部33a内にほぼ密着状態で進入した状態となって、フラッパ11の後方及び前方への傾動が完全に規制された起立位置ロック状態となる。ロックレバー36が中間ロック位置(ML)を通過してアンロック位置(UL)まで傾動されると、そのロック爪部36aがストッパ凹部33a内から完全に離脱した状態となって、フラッパ11の後方への回動が許容されるアンロック状態となる。
ロックレバー36が中間ロック位置(ML)まで傾動操作されると、そのロック爪部36aがストッパ凹部33aの後部から僅かに離間してクリアランスが発生し、このクリアランスに相当する僅かな角度だけフラッパ11の前方へ傾動が許容される一方、後方への傾動についてはロック位置(LC)と同じく規制された状態となる。この中間ロック位置(ML)は、プラットホーム10が車室内側に格納された状態でのみ用いられる。プラットホーム10が車室内に格納された状態であって、当該プラットホーム10がスライド機構5b,5bにより前側へスライドされた状態では、図2中二点鎖線で示すようにプラットホーム10の後部であってロックレバー36の近傍にスライド機構5bのスライドローラ5cが位置する。一方、ロックレバー36の後部にはスライドローラ5cの後方に張り出す状態でストッパロッド36cが設けられている。ロックレバー36を中間ロック位置(ML)まで傾動させるとこのストッパロッド36cがスライドローラ5cに当接して、当該ロックレバー36のアンロック位置(UL)への傾動が規制される。このため、プラットホーム10が車室内に格納された状態では、ロックレバー36によりフラッパ11の後方への回動が規制される一方、このロックレバー36を中間ロック位置(ML)まで傾動操作してフラッパ11を前側へ僅かな角度だけ傾動させることができる。車室内においてフラッパ11を前側へ僅かな角度で傾動させた前倒し位置に保持することにより、車いす4のプラットホーム10上からの後退動作がより確実に規制される。フラッパ11の前倒し位置は、引っ張りばね37の付勢力がロック爪部36aを介して駆動側カム板部27を図2において反時計回り方向(フラッパ11の前倒し方向)に回転させる方向に作用することにより保持される。
【0012】
従動側カム板部33の側面には一つの係合凹部35が設けられている。この係合凹部35は、従動側カム板部33の回転軸線を中心とする円弧に沿った長溝孔形状に形成されており、その幅はドリブンギヤ25側の駆動側カム板部27の係合凸部28を挿入可能な寸法に設定されている。ドリブンギヤ25側の駆動側カム板部27とフラッパ左ブラケット30側の従動側カム板部33が相互に回転可能な状態で対向若しくは当接されている。図3に示すように駆動側カム板部27と従動側カム板部33が相互に当接した状態では、駆動側カム板部27の係合凸部28が従動側カム板部33の係合凹部35内に進入した状態となる。この進入状態では、駆動側カム板部27と従動側カム板部33は、相互に一定の角度範囲(係合凸部28が係合凹部35内で移動可能な角度範囲)でのみ相対回転可能な状態となる。
図3に示すように係合凸部28が係合凹部35内に進入した状態で駆動側カム板部27が従動側カム板部33に対して相対回転することにより当該係合凸部28が係合凹部35の前端部(取り出し側端部35a)若しくは後端部(格納側端部35b)に当接した状態となり、この状態でのみドリブンギヤ25側の回転動力がフラッパ左ブラケット30側ひいてはフラッパ11側に伝達される動力系の伝達状態となる。
また、図5に示すように係合凸部28が後者の格納側端部35bに当接した状態では、ロック解除カム部27aがストッパ凹部33aに一致してロック爪部36aのストッパ凹部33a内への進入が許容されてフラッパ11が格納位置にロックされる。これに対して、図6に示すように駆動側カム板部27が図5に示す位置から従動側カム板部33に対して図示時計回り方向に一定の角度範囲で相対回転して係合凸部28が係合凹部35の前端部(取り出し側端部35a)に当接した状態になると、ストッパ凹部33aに対してロック解除カム部27aが回転方向に相対変位する結果、ロック爪部36aがロック解除カム部27aの側部によってストッパ凹部33a内から押し出され、従ってロックレバー36がアンロック側に回動する。ストッパ凹部33a内から押し出されたロック爪部36aは駆動側カム板部27の周面27bと従動側カム板部33の周面33bの双方に跨って押し付けられて当該ロックレバー36がアンロック側に保持される。
駆動側カム板部27と従動側カム板部33は一定の角度範囲で相対回転した後、回転について一体化された動力系の伝達状態となり、従ってドリブンギヤ25を経てフラッパ駆動装置20の駆動力が従動側カム板部33に伝達されてフラッパ11が電動により上下に回動する。
【0013】
図3及び図4に示すようにフラッパ11の後端右側部には、フラッパ右ブラケット40が取り付けられている。このフラッパ右ブラケット40は、ブラケット部41と支軸部42を備えている。ブラケット部41はフラッパ11の右側部に沿って固定されている。ブラケット部41の下部に支軸部42が側方へ突き出す状態に設けられている。前記フラッパ左ブラケット30の支軸部32とこのフラッパ右ブラケット40の支軸部42は、軸線J上に相互に同軸に設けられている。
フラッパ右ブラケット40の支軸部42は、プラットホーム10の後端右側部に取り付けた円筒形の支持ボス部45の内周孔45aに二つの軸受け42a,42aを介して回転可能かつ軸方向へ相対変位可能な状態で挿入支持されている。支持ボス部45の周囲であって、フラッパ右ブラケット40のブラケット部41と支持ボス部45のフランジ部45bとの間に圧縮ばね44が介装されている。この圧縮ばね44によってフラッパ11が左側へ変位する方向であって、ドリブンギヤ25側の駆動側カム板部27にフラッパ左ブラケット30側の従動側カム板部33が相互に当接する方向に付勢されている。
このようにフラッパ11は、フラッパ左ブラケット30の支軸部32とフラッパ右ブラケット40の支軸部42を介して軸線J回りに回転可能な状態でプラットホーム10の後部に支持されている。しかも、フラッパ11は、圧縮ばね44に抗して右側へ僅かな距離(本実施形態では約6mm程度)だけ横移動可能に支持されている。フラッパ11の横移動は、車いすの着座者若しくは介護者の手動操作により行うことができる。
図4に示すようにフラッパ11を圧縮ばね44に抗して右側へ横移動すると、フラッパ左ブラケット30の従動側カム板部33がドリブンギヤ25側の駆動側カム板部27から離間して、係合凹部35内から係合凸部28が離脱され、これによりフラッパ左ブラケット30がドリブンギヤ25から回転動作について切り離されて、フラッパ11をフラッパ駆動装置20の動力系から切り離して上下に回動させることができる「動力切り離し状態」となる。
これに対して図3に示すようにフラッパ11を圧縮ばね44に抗して右側へ横移動させない状態では、フラッパ11は圧縮ばね44により左側に押されてフラッパ左ブラケット30の従動側カム板部33がドリブンギヤ25側の駆動側カム板部27に押し付けられ、その結果係合凹部35内に係合凸部28が挿入された状態となる。この状態では、ドリブンギヤ25側の駆動側カム板部27とフラッパ左ブラケット30側の従動側カム板部33が一定の角度範囲を除いて一体で回転する状態となり、従ってフラッパ駆動装置20によりフラッパ11が電動で格納、取り出しされる「動力接続状態」となる。
【0014】
先ず、後者の動力接続状態でのフラッパ駆動装置20の動作について説明する。フラッパ駆動装置20の動作によりフラッパ11を格納、取り出しする操作は、プラットホーム10が車室外の路面高さまで取り出された状態でのみ行われる。
図5には、フラッパ11が上方へ起立した格納位置にロックされた格納ロック状態でのフラッパ駆動装置20が示されている。フラッパ11の格納ロック状態では、ロックレバー36のロック爪部36aが駆動側カム板部27のロック解除カム部27a内と従動側カム板部33のストッパ凹部33a内の双方に嵌り込んだ状態となっている。従って、この状態では図示するように駆動側カム板部27の係合凸部28は、従動側カム板部33の係合凹部35の格納側端部35bに当接した状態となっている。また、この格納ロック状態では、フラッパ11が図3に示す左側の位置に戻されており、これにより従動側カム板部33が駆動側カム板部27に押し付けられて、係合凹部35内に係合凸部28が進入した動力接続状態となっている。
図5に示す格納ロック状態で、図示省略した操作パネルのフラッパ取り出しスイッチをオン操作してフラッパ駆動装置20を取り出し側に起動すると、図6に示すように電動モータ22の回転出力によりドリブンギヤ25が回転して駆動側カム板部27が図中白抜きの矢印で示す取り出し側に回転し、従って係合凸部28が係合凹部35の格納側端部35bに当接した位置から当該係合凹部35内を前側へ変位してその取り出し側端部35aに当接する。この間、駆動側カム板部27は従動側カム板部33に対して空転する。駆動側カム板部27が図示時計回り方向の取り出し側に空転することにより、ロック解除カム部27aがストッパ凹部33aに対して同方向に変位することによりロックレバー36のロック爪部36aがロック解除カム部27aの側部によって押し上げられてストッパ凹部33a内から押し出され、従ってロックレバー36が引っ張りばね37に抗してアンロック側に回動されてフラッパ11の格納位置でのロック状態が自動的に解除される。
こうして従動側カム板部33に対する駆動側カム板部27の空転によりロックレバー36のロックが解除されるとともに、係合凸部28が係合凹部35の取り出し側端部35aに当接することにより、当該駆動側カム板部27と従動側カム板部33が取り出し側の回転について一体化される。このため、フラッパ11の格納位置でのロック状態が解除された後、図7に示すように引き続き電動モータ22の回転出力により駆動側カム板27と従動側カム板33が一体で回転してフラッパ11が軸線J回りに取り出し側に回転し、最終的にプラットホーム10の後部から後方へほぼ水平に張り出して路面に接地した取り出し位置に取り出される。この間、ロックレバー36のロック爪部36aは、駆動側カム板部27の周面27bと従動側カム板部33の周面33bの双方に跨って押し付けられた状態に保持される。
こうして図5→図6→図7に示す段階を経て、フラッパ11がその先端側を路面に接地させた取り出し位置に取り出されると、電動モータ22に付加される過負荷が検知されて当該電動モータ22が停止される。以上で、フラッパ駆動装置20による一連のフラッパ取り出し動作が完了する。
【0015】
取り出したフラッパ11を格納するには、操作パネルのフラッパ格納スイッチをオン操作して、フラッパ駆動装置20を格納側に起動する。フラッパ駆動装置20が格納側に起動すると、電動モータ22の逆転により駆動側カム板部27が従動側カム板部33に対して図7中反時計回り方向の格納側に一定角度空転し、これにより係合凸部28が係合凹部35の格納側端部35bに当接した状態に戻される。こうして駆動側カム板部27の従動側カム板部33に対する空転により、ロック解除カム部27aのストッパ凹部33aに対する位置ずれが解消されてほぼ一致した状態となり、これによりストッパ凹部33a内にロックレバー36のロック爪部36aが進入可能な状態に戻される。
図7に示す取り出し状態から駆動側カム板部27が格納側に空転して係合凸部28が係合凹部35の格納側端部35bに当接した状態となった後、引き続き電動モータ22の回転出力により、両カム板部27,33が一体で格納側に回転することによりフラッパ11が格納側(起立方向)に回動し始める。両カム板部27,33の周面27b,33bにはロック爪部36aが摺接されてロックレバー36がアンロック位置に保持される。両カム板部27,33が一体で格納側へ回転してフラッパ11が格納位置に至ると、ロックレバー36に作用する引っ張りばね37の付勢力によりロック爪部36aがストッパ凹部33a内に嵌り込んでフラッパ11が格納位置にロックされる。フラッパ11が格納位置にロックされた段階で電動モータ22に付加される過負荷が検知されて当該電動モータ22が停止される。以上で、フラッパ11が図5に示す格納ロック状態に戻されて、フラッパ駆動装置20による一連のフラッパ格納動作が完了する。
【0016】
以上のように第1実施形態のフラッパ11は、電動モータ22を駆動源とするフラッパ駆動装置20によって電動で取り出し、格納できる他、以下説明するように手動操作によっても取り出し、格納することができる。なお、電動の場合と同じく、フラッパ11はプラットホーム10を車室外の路面上に取り出した状態でのみなされる。
格納ロック状態のフラッパ11を手動操作により取り出すには、ロックレバー36を手動操作によりアンロック位置(UL)まで傾動させる。このアンロック操作は、引っ張りばね37の付勢力に抗してなされる。ロックレバー36をアンロック操作するとそのロック爪部36aが従動側カム板部33のストッパ凹部33a内から抜き出される。しかしながら、この段階では、駆動側カム板部27の係合凸部28が従動側カム板部33の係合凹部35内に進入した動力接続状態であるので、このままフラッパ11を取り出し側に回転させると電動モータ21及び減速ギヤ列の高周波音等が発生する。そこで、本実施形態では、図4に示すようにフラッパ11を右側へ移動させることにより、駆動側カム板部27から従動側カム板部33を軸線J方向に離間させて、動力切り離し状態とすることができる。フラッパ11の右側への移動操作は、圧縮ばね44に抗してなされる。
この動力切り離し状態では、フラッパ11は左側の支持ボス部26の小径支軸部26bと、右側の支持ボス部45を介して上下に自由回転可能な状態となり、従ってフラッパ駆動装置20の動力系から切り離したモータフリー状態で取り出し位置に取り出すことができる。図8に示すようにフラッパ11を取り出し位置に回転させた後には、ロックレバー36のアンロック操作を解除してもそのロック爪部36aが従動側カム板部33の周面33bに摺接されて当該ロックレバー36がアンロック位置に保持される。また、フラッパ11が動力切り離し状態で取り出し位置に回転されることにより、従動側カム板部33の係合凹部35内から駆動側カム板部27の係合凸部28が離脱する。係合凸部28は圧縮ばね44の付勢力により従動側カム板部33の側面に相対的に押し付けられて、従動側カム板部33の駆動側カム板部27に対する切り離し状態が保持される。このように、係合凸部28が従動側カム板部33の側面に摺接されて動力切り離し状態が維持されることから、フラッパ11の右側への横移動操作はその格納位置から一定角度(本実施形態では約5°)だけ後方へ回動させた時点で必要なくなり、当該横移動操作を解除してもその後フラッパ11は動力切り離し状態に維持される。この動力切り離し状態でフラッパ11が取り出し位置に回転されることにより、係合凸部28を従動側カム板部33の側面に摺接させる状態で、当該従動側カム板部33がフラッパ11と一体で回転する。
【0017】
こうして手動操作により取り出し位置に取り出したフラッパ11は、手動操作の他フラッパ駆動装置20により電動で格納位置に戻すことができる。操作パネルのフラッパ格納スイッチをオン操作すると、フラッパ駆動装置20が格納側に起動して駆動側カム板部27が図9及び図10に示すように反時計回り方向に回転する。この段階では、駆動側カム板部27の係合凸部28が従動側カム板部33の側面に摺接されることから、両カム板部27,33の切り離し状態が維持され、従って駆動側カム板部27は従動側カム板部33に対して空転する。この空転途中の段階で、係合凸部28は常時従動側カム板部33の側面に摺接されるように当該係合凸部28の位置及び大きさが設定され、またストッパ凹部33a内への嵌り込みが回避されるようになっている。
こうして駆動側カム板部27が図示反時計回り方向に空転すると、図11に示すように係合凸部28が従動側カム板部33の係合凹部35内に嵌り込み、その後一定角度空転した後、係合凸部28が係合凹部35の格納側端部35bに当接し、この時点で両カム板部27,33が回転について一体化される。このため、電動モータ22の回転出力により駆動側カム板部27と従動側カム板部33が図11において反時計回り方向に一体で回転することによりフラッパ11が起立方向に回動して格納位置に戻される。フラッパ11が格納位置に戻されると、ロックレバー36のロック爪部36aが引っ張りばね37の付勢力によってストッパ凹部33a内に嵌り込み、これによりフラッパ11が格納位置にロックされた格納ロック状態(図5に示す状態)に戻される。
図8に示すように動力切り離し状態で手動操作により取り出したフラッパ11を手動操作により格納位置に戻す場合には、駆動側カム板部27が停止した状態で従動側カム板部33がフラッパ11と一体で図示反時計回り方向(フラッパ起立方向)に回動し、その後図5に示すように係合凸部28が係合凹部35内に嵌り込んだ時点でフラッパ11が格納位置に戻され、従ってロック爪部36aがストッパ凹部33a内に嵌り込んで当該フラッパ11が格納位置にロックされた格納ロック状態に戻される。
【0018】
以上のように構成した第1実施形態のフラッパ駆動装置20を備えたリフト装置1によれば、フラッパ駆動装置20においてフラッパ11を横移動させて動力切り離し状態に切り換えることにより、電動モータ22とは切り離してフラッパ11を手動操作により回動させることができるので、従来のような電動モータや減速ギヤ列の高周波音等の不快な騒音を発生させることなくフラッパ11を格納、取り出しすることができ、この点でフラッパ11の操作性を高めることができる。
また、フラッパ11を圧縮ばね44に抗して横移動させるといった簡単な操作で動力切り離し状態に切り換えることができ、この点で当該フラッパ11の操作性を一層高めることができる。
さらに、フラッパ11は圧縮ばね44によって常時には動力接続状態に保持されることから、使用頻度の高い動力接続状態による電動操作時の操作性を高めることができる。
また、動力接続状態において、駆動側カム板部27が従動側カム板部33に対して一定の角度範囲で相対回転することによりロックレバー36が自動的にアンロック位置まで傾動されてフラッパ11の格納位置でのロック状態が自動的に解除される。このため、車いす4の着座者若しくはその介護者等が手動によりロックレバー36のアンロック操作を行う必要がなく、この点でより一層フラッパ11の高い操作性を実現できる。
さらに、フラッパ11の取り出し操作について、動力接続状態から手動操作状態に切り換える際に、ロックレバー36のアンロック操作とフラッパ11を右側へ横移動させる2操作を必要とすることから、着座者若しくは介護者の不用意な操作を未然に防止することができる。
【0019】
以上説明した第1実施形態には種々変更を加えることができる。例えば、フラッパ11を手動操作により右側へ横移動させることにより従動側カム板部33を駆動側カム板部27から離間させて動力切り離し状態に切り換える構成を例示したが、例えば図12に示すようにロックレバー36の下部に動力系切り離しアーム部50を設け、ロックレバー36を手動操作によりアンロック位置(UL)を通過して動力系切り離し位置(SL)まで大きく前側へ傾動させると、前記したようにロック爪部36aがストッパ凹部33aから離脱してフラッパ11の格納ロック状態が解除された後、さらにこの動力系切り離しアーム部50が駆動側カム板部27と従動側カム板部33との間に進入して従動側カム板部33を駆動側カム板部27から離間させ、これによりフラッパ11が右側へ横移動して図4に示す動力切り離し状態に切り換わる構成とすることができる。この第2実施形態に係るフラッパ駆動装置によれば、フラッパ11の取り出しを手動操作により行う場合にロックレバー36を最も前側の動力系切り離し位置(SL)まで傾動操作するとフラッパ11の格納ロック状態の解除操作と、動力系切り離し操作が連続してなされ、この点で当該フラッパ駆動装置20の操作性を一層高めることができる。
なお、この第2実施形態の場合、動力接続状態ではロックレバー36がアンロック位置(UL)まで傾動して上記の動力系切り離し位置(SL)までは傾動しないため、動力系切り離しアーム50が駆動側カム板部27と従動側カム板部33との間に進入するまで至らず、従って動力接続状態が維持される。
【0020】
上記の第1又は第2実施形態にはさらに変更を加えることができる。例えば、プラットホーム10の左側後部にフラッパ駆動装置20を備えた構成を例示したが、プラットホーム10の右側後部にフラッパ駆動装置を備える場合にも適用できる。この場合には、フラッパを左側へ横移動させて動力切り離し状態に切り換える構成とすればよい。
また、駆動側カム板部27と従動側カム板部33の相互の対向面に設けた係合凸部28と係合凹部35との係脱状態により、両カム板部27,33が回転について一体化された動力接続状態と両カム板部27,33の回転について切り離された動力切り離し状態とに切り換える構成としたが、係合凸部28と係合凹部35に代えて例えば駆動側カム板部と従動側カム板部の相互の対向面に面ギヤを設けて、従動側カム板部の軸線J方向の移動によりこの面ギヤを相互に噛み合わせ、あるいは噛み合いを解除させて動力接続状態と傾動系切り離し状態との切り換えを行う構成としてもよい。
さらに、駆動側カム板部と従動側カム板の一方にスプライン軸部を設け、他方にこのスプライン軸部が係脱するスプライン孔を設けて、従動側カム板部の軸線J方向の移動により動力接続状態と動力切り離し状態の切り換えを行う構成としてもよい。
また、フラッパ11を横移動させて約5°程度の角度だけ取り出し側に回転させると駆動側カム板部27の係合凸部28が従動側カム板部33の側面に摺接されて当該フラッパ11が動力切り離し状態に保持され、その結果その後に横移動操作を解除してフラッパ11を下方の取り出し位置に回転させることができる構成を例示したが、上記5°の角度は、係合凸部28若しくは係合凹部35の周方向の長さ等を変更することによりより小さな角度に変更し、あるいはより大きな角度に変更することができる。
さらに、プラットホーム10に搭載する昇降物として車いす4を例示したが、例えば段ボール箱等の一般的な積み荷をプラットホーム10上に搭載して昇降させるためのリフト装置について例示したフラッパ11及びフラッパ装置20を適用することもできる。
【符号の説明】
【0021】
1…リフト装置
2…車両、2a…車両フロア
3…リヤ開口部、3a…リヤゲート
4…車いす
5…昇降機構、5a…昇降アーム、5b…スライド機構、5c…スライドローラ
10…プラットホーム
11…フラッパ
J…軸線(フラッパの回転軸線)
20…フラッパ駆動装置
21…ベース
22…電動モータ
23…ピニオンギヤ
24…アイドルギヤ、24a…支軸
25…ドリブンギヤ
26…支持ボス部
26a…大径支軸部、26b…小径支軸部、26c…軸受け、26d…軸受け
27…駆動側カム板部、27a…ロック解除カム部、27b…周面
28…係合凸部
30…フラッパ左ブラケット
31…ブラケット部
32…支軸部、32a…内周孔
33…従動側カム板部、33a…ストッパ凹部、33b…周面
35…係合凹部、35a…取り出し側端部、35b…格納側端部
36…ロックレバー、36a…ロック爪部、36b…支軸、36c…ストッパロッド
37…引っ張りばね
LC…ロック位置、UL…アンロック位置、ML…中間ロック位置
SL…動力系切り離し位置
40…フラッパ右ブラケット
41…ブラケット部
42…支軸部、42a…軸受け
44…圧縮ばね
45…支持ボス部、45a…内周孔、45b…フランジ部
50…動力系切り離しアーム部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降物を搭載可能なプラットホームと、該プラットホームを車両開口部と路面との間で昇降させる昇降機構を備えたリフト装置であって、
前記プラットホームの後部に沿って上方に起立した格納位置と後方へ張り出す取り出し位置との間を回動可能に支持されたフラッパと、電動モータを動力源として該フラッパを前記格納位置と前記取り出し位置との間で回動させるフラッパ駆動装置を備えており、
該フラッパ駆動装置は、前記電動モータの回転出力を動力源とする動力系により前記フラッパを回動させる動力接続状態と、前記動力系から切り離したモータフリー状態で前記フラッパを手動操作により回動可能とする動力切り離し状態とに切り換え可能な構成としたリフト装置。
【請求項2】
請求項1記載のリフト装置であって、前記フラッパは、その回転軸線方向に沿って横移動操作可能に支持されており、該フラッパを前記回転軸線方向に横移動操作することにより前記動力接続状態と前記動力切り離し状態を切り換える構成としたリフト装置。
【請求項3】
請求項2記載のリフト装置であって、前記フラッパは前記回転軸線方向の横移動について前記動力接続側に付勢されたリフト装置。
【請求項4】
請求項2又は3記載のリフト装置であって、前記フラッパを横移動させた状態で取り出し位置側に5°回転させると該フラッパが前記動力切り離し状態に保持されるリフト装置。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか1項に記載したリフト装置であって、前記フラッパ駆動装置は、前記電動モータにより回転する駆動側カム板部と、該駆動側カム板部に対して前記軸線方向に接近、離間可能に支持された従動側カム板部と、該従動側カム板部に係合してその回転を規制することにより前記フラッパを前記格納位置にロックするロックレバーを備えており、
該従動側カム板部を前記駆動側カム板部に接近させて該両カム板部を前記軸線回りの回転について一体化させることで前記動力接続状態とする一方、前記従動側カム板部を前記駆動側カム板部から前記軸線方向に離間させて該両カム板部を相互に回転可能とすることにより前記動力切り離し状態とし、前記動力接続状態では前記駆動側カム板部の前記従動側カム板部に対する相対回転により前記ロックレバーのロック状態が解除される構成としたリフト装置。
【請求項6】
請求項5記載のリフト装置であって、前記駆動側カム板部と前記従動側カム板部の一方に係合凸部が設けられ、他方に該係合凸部が嵌り込む係合凹部が設けられており、前記駆動側カム板部に前記従動側カム板部を接近させて前記係合凸部を前記係合凹部内に進入させることにより該両カム板部を回転について一体化させて前記動力接続状態とする一方、前記駆動側カム板部から前記従動側カム板部を離間させて前記係合凸部を前記係合凹部内から離脱させることにより該両カム板部を回転について切り離して前記動力切り離し状態とするリフト装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−121354(P2012−121354A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−271416(P2010−271416)
【出願日】平成22年12月6日(2010.12.6)
【出願人】(000110321)トヨタ車体株式会社 (1,272)