説明

車両のリヤウィンドシールド構造体

【課題】第1及び第2のリヤウィンドシールドの双方の後方視界を良好に保つことを可能にする。
【解決手段】車体11の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールド21と、この第1のリヤウィンドシールド21の下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールド22と、を備えた車両のリヤウィンドシールド構造体20であって、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールド22から第1のリヤウィンドシールド21へ映り込む反射光を遮る遮光壁23を、第1のリヤウィンドシールド21と第2のリヤウィンドシールド22との間に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールドと、この第1のリヤウィンドシールドの下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールドと、を備えた車両のリヤウィンドシールド構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のリヤウィンドシールド構造体に参考となる技術として、車両のインストルメントパネル上に配置される反射性物品の外表面に、フロントガラスを透過する外光による反射性物品の窓映り像が、アイポイントからほぼ見えなくなるような方向にセットした偏光板が設けられたものある。
この技術によれば、反射のために、インストルメントパネル上に配置できなかった反射性物品を、インストルメントパネル上に配置することが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
車両のリヤウィンドシールド構造体として、ルーフの後端部に、下方に傾斜する第1のリヤウィンドシールドが配置され、この第1のリヤウィンドシールドの下方から車体の後端部にかけてトランクルームが設けられ、このトランクルームの後方に後方視界の視認が可能な第2のリヤウィンドシールドが設けられたものがある。
この車両のリヤウィンドシールド構造体によれば、後方視界を大きく確保することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−130916公報
【特許文献2】特開2008−155843公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2の車両のリヤウィンドシールド構造体では、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールドから第1のリヤウィンドシールドへ映り込む反射光で、第1のリヤウィンドシールド若しくは第2のリヤウィンドシールドから車体後方が見えにくくなることがあった。
特許文献1の技術では、インストルメントパネル上に、反射性物品の窓映り像がアイポイントからほぼ見えなくなるように偏光板が設けられている。
【0006】
そこで、特許文献2の車両のリヤウィンドシールド構造体に、特許文献1の技術を組合せて、第1のリヤウィンドシールドへ映り込む反射光を防ぐ方法が考えられる。しかし、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールドに偏向板を設けるとすれば、今度は、第2のリヤウィンドシールドが見えにくくなることが予想される。すなわち、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールドから第1のリヤウィンドシールドへ映り込む反射光を、第2のリヤウィンドシールドの視界を犠牲にすることなく防ぐ方法が望まれる。
【0007】
本発明は、第1及び第2のリヤウィンドシールドの双方の後方視界を良好に保つことができる車両のリヤウィンドシールド構造体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、車体の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールドと、この第1のリヤウィンドシールドの下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールドと、を備えた車両のリヤウィンドシールド構造体であって、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールドから第1のリヤウィンドシールドへ映り込む反射光を遮る遮光壁を、第1のリヤウィンドシールドと第2のリヤウィンドシールドとの間に設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、車体の後部に開口部が設けられ、この開口部を開閉自在に覆うテールゲートが設けられ、第1のリヤウィンドシールド、第2のリヤウィンドシールド及び遮光壁が、テールゲートに設けられることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、第1のリヤウィンドシールドが、車体に、後方に向けて下方に傾斜させて設けられ、第2のリヤウィンドシールドが、車体に、略垂直に設けられたことを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、遮光壁を、車室側に略水平に突出させたことを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、遮光壁が、テールゲートの枠体を、車室内にて上方から覆うアッパガーニッシュと、テールゲートの枠体を、車室内にて下方から覆うロアガーニッシュと、から分割構成されることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、アッパガーニッシュに、枠体に止める枠体側アッパクリップと、枠体にアッパガーニッシュの後部を引っ掛ける引っ掛け部と、枠体に当接させ、アッパガーニッシュの後部の高さ方向位置を設定する当てリブと、ロアガーニッシュと結合する結合クリップと、ロアガーニッシュを車体前後方向に位置決めする位置決め爪と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、ロアガーニッシュに、枠体に止める枠体側ロアクリップと、結合クリップが嵌合する受け部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両のリヤウィンドシールド構造体に、車体の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールドと、この第1のリヤウィンドシールドの下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールドと、を備える。
車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールドから第1のリヤウィンドシールドへ映り込む反射光を遮る遮光壁を、第1のリヤウィンドシールドと第2のリヤウィンドシールドとの間に設けたので、第1のリヤウィンドシールドへ第2のリヤウィンドシールドから映り込む反射光を遮光壁で遮ることができる。この結果、第1及び第2のリヤウィンドシールドの双方の後方視界を良好に保つことができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、車体の後部に開口部が設けられ、この開口部を開閉自在に覆うテールゲートが設けられる。一般的に、テールゲートは平板状の部品であり強度及び剛性が不足することもある。第1のリヤウィンドシールド、第2のリヤウィンドシールド及び遮光壁がテールゲートに設けられたので、例えば、遮光壁が補強部材の役割を担うことができ、テールゲートの強度及び剛性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、第1のリヤウィンドシールドが、車体に、後方に向けて下方に傾斜させて設けられ、第2のリヤウィンドシールドが、車体に、略垂直に設けられた。すなわち、第1及び第2のリヤウィンドシールドが異なる角度で車体に設置されているので、例えば、太陽光若しくはヘッドライトなどの一方向からの光線で、第1及び第2のリヤウィンドシールドが同時に見えにくくなることを防止することができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、遮光壁を、車室側に略水平に突出させたので、後方視界の妨げになることはない。この結果、良好な後方視界を十分に確保することができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、遮光壁が、テールゲートの枠体を、車室内にて上方から覆うアッパガーニッシュと、テールゲートの枠体を、車室内にて下方から覆うロアガーニッシュと、から分割構成されたので、テールゲートの枠体を上下からアッパガーニッシュ及びロアガーニッシュで覆うことができる。この結果、車室内の意匠を向上することができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、アッパガーニッシュに、枠体に止める枠体側アッパクリップと、枠体にアッパガーニッシュの後部を引っ掛ける引っ掛け部と、枠体に当接させ、アッパガーニッシュの後部の高さ方向位置を設定する当てリブと、を備えたので、枠体及びロアガーニッシュに、アッパガーニッシュを容易に取付けることができる。これにより、アッパガーニッシュの組立性の向上を図ることができる。さらに、車両のリヤウィンドシールド構造体の仕上がりが良好となる。
また、アッパガーニッシュとロアガーニッシュとを結合する結合クリップと、ロアガーニッシュを車体前後方向に位置決めする位置決め爪と、を備えたので、アッパガーニッシュとロアガーニッシュとを、精度よく一体的に結合することができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、ロアガーニッシュに、枠体に止める枠体側ロアクリップと、結合クリップが嵌合する受け部と、を備えたので、枠体に、ロアガーニッシュを容易に取付けることができる。これにより、ロアガーニッシュの組立性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体が採用された車両後部の平面図である。
【図2】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体が採用されたテールゲートを室内側から見た正面図である。
【図3】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体が採用されたテールゲートを室内側から見た斜視図である。
【図4】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体の分解斜視図である。
【図5】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体の斜視図である。
【図6】図5の6−6線断面図である。
【図7】図5の7−7線断面図である。
【図8】図5の8−8線断面図である。
【図9】図5の9−9線断面図である。
【図10】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体のアッパガーニッシュの裏面から見た斜視図である。
【図11】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体のロアガーニッシュの裏面から見た斜視図である。
【図12】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体の側面断面での比較検討図である。
【図13】本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体の車室側から見た比較検討図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0024】
図1〜図3に示されたように、車両10は、車体11の後部に設けられた開口部14と、開口部14を開閉自在に覆うテールゲート15と、が設けられる。
【0025】
テールゲート15は、車体11の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールド21と、この第1のリヤウィンドシールド21の下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールド(エキストラウィンドウシールド)22と、第1のリヤウィンドシールド21と第2のリヤウィンドシールド22との間に且つ車室12側に設けられ、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールド22から第1のリヤウィンドシールド21へ映り込む反射光を遮る遮光壁23と、これらの第1のリヤウィンドシールド21、第2のリヤウィンドシールド22及び遮光壁23を支持する枠体(テールゲート本体)24と、第1のリヤウィンドシールド21と第2のリヤウィンドシールド22とが近接される隙間26部分を車体外方から覆う外部ガーニッシュ27と、からなる。
【0026】
車両のリヤウィンドシールド構造体20は、第1のリヤウィンドシールド21、第2のリヤウィンドシールド22、遮光壁23、外部ガーニッシュ27及び枠体24で構成される。
【0027】
枠体24は、車外側を覆うアウタパネル31と、室内12側に配置するインナパネル32(図6参照)とからなる。さらに、枠体24は、アウタパネル31とインナパネル32とで、ヒンジ(不図示)を介して開口部14に取付けられる上部枠34と、この上部枠34の両端から延ばされた左右の側部枠35,36と、左右の側部枠35,36に連結され、ナンバプレート39を取付ける下部枠37と、左右の側部枠35,36の中間同士を繋ぐ中間枠38と、から構成される。
【0028】
図4〜図11に示されたように、中間枠38は、アウタパネル31側のアウタ枠部41とインナパネル32側のインナ枠部42とで閉断面43が形成される。
【0029】
アウタ枠部41は、第1のリヤウィンドシールド21がシールされる第1シール部45と、第2のリヤウィンドシールド22がシールされる第2シール部46と、外部ガーニッシュ27を取付ける外部側クリップ孔47と、アッパガーニッシュ71を引っ掛ける引っ掛け孔48と、アッパガーニッシュ71を当てる当接部49と、を備える。
【0030】
インナ枠部42は、アッパガーニッシュ71を取付けるアッパ側クリップ孔51と、ロアガーニッシュ72を取付けるロア側クリップ孔52と、を備える。
【0031】
第1のリヤウィンドシールド21と第1シール部45との間には、雨水をシールするダムラバー54及び接着剤55が設けられる。第2のリヤウィンドシールド22と第2シール部46との間には、雨水をシールするダムラバー56及び接着剤57が設けられる。
【0032】
図1〜図3に示されたように、上部枠34は、テールゲート15の閉状態で室内12上部に設けられたルーフライニング61で隠される。左右の側部枠35,36の上部35a,36aは、それぞれ左右の側部ライニング62,63で室内12側から覆われる。左右の側部枠35,36の下部35b,36bは、それぞれ左右の側部ステー部材64,65で室内12側から覆われる。なお、左右の側部ステー部材64,65は、遮光壁23の構成部材である。下部枠37は、テールゲートライニング66で室内12側から覆われている。
【0033】
図6〜図10に示されたように、外部ガーニッシュ27は、アウタ枠部41の外部側クリップ孔47に嵌合する外部側クリップ68を備える。
遮光壁23は、上方に配置されるアッパガーニッシュ71と、下方に配置されるロアガーニッシュ72と、これらのアッパガーニッシュ71及びロアガーニッシュ72を支持するとともに、左右の側部枠35,36(図1参照)の下部35b,36bを、それぞれで室内12側から覆う左右の側部ステー部材64,65と、からなる。左右の側部ステー部材64,65は、左右の側部枠35,36の下部35b,36bに支持されている。
【0034】
アッパガーニッシュ71及びロアガーニッシュ72は、第1のリヤウィンドシールド21と第2のリヤウィンドシールド22とが近接される隙間26部分を室内12側から覆う内部ガーニッシュでもある。アッパガーニッシュ71及びロアガーニッシュ72は、後述するように、中間枠38にも直接的に支持されている。
【0035】
アッパガーニッシュ71は、車幅方向に延ばされたアッパ本体74と、枠体24(インナ枠部42のアッパ側クリップ孔51)に止める枠体側アッパクリップ75と、枠体24にアッパガーニッシュ71の後部を引っ掛ける引っ掛け部76と、枠体24(アウタ枠部41の当接部49)に当接させ、アッパガーニッシュ71の後部の高さ方向位置を設定する当てリブ77と、ロアガーニッシュ72と結合する結合クリップ78と、アッパガーニッシュ71に設けられ、ロアガーニッシュ72を車体前後方向に位置決めする位置決め爪79と、ロアガーニッシュ72に前端71aを係止する前端突起71bと、を備える。なお、枠体側アッパクリップ75、引っ掛け部76、当てリブ77、結合クリップ78、位置決め爪79及び前端突起71bは、車幅方向に沿って複数個設けられている。
【0036】
枠体側アッパクリップ75は、アッパガーニッシュ71に形成されたアッパ側クリップ座81に支持される。結合クリップ78は、アッパガーニッシュ71に形成されたクリップ支持部82で支持される。クリップ支持部82には、結合クリップ78が係止する係止孔83が設けられる。
【0037】
ロアガーニッシュ72は、車幅方向に延ばされたロア本体84と、枠体24(インナ枠部42のロア側クリップ孔52)に止める枠体側ロアクリップ85と、アッパガーニッシュ71の結合クリップ78が嵌合する受け部(嵌合部)86と、アッパガーニッシュ71の前端71aを受ける段部87と、アッパガーニッシュ71の前端突起71bを係止するロア係止孔91と、を備える。なお、枠体側ロアクリップ85、受け部(嵌合部)86及びロア係止孔91は、車幅方向に沿って複数個設けられている。
枠体側ロアクリップ85は、ロアガーニッシュ72に形成したロア側クリップ座88に嵌合している。ロア側クリップ座88には、ロア支持孔92が設けられる。受け部86は、角孔89が設けられる。
【0038】
図6に示されたように、車両のリヤウィンドシールド構造体20では、車体11(図1参照)の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールド21と、この第1のリヤウィンドシールド21の下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールド22と、を備える。
【0039】
車両のリヤウィンドシールド構造体20では、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールド22から第1のリヤウィンドシールド21へ映り込む反射光を遮る遮光壁23を、第1のリヤウィンドシールド21と第2のリヤウィンドシールド22との間に設けたので、第1のリヤウィンドシールド21へ第2のリヤウィンドシールド22から映り込む反射光を遮光壁23で遮ることができる。この結果、第1及び第2のリヤウィンドシールド21,22の双方の後方視界を良好に保つことができる。
【0040】
図1、図6に示されたように、車両のリヤウィンドシールド構造体20では、車体11の後部に開口部14が設けられ、この開口部14を開閉自在に覆うテールゲート15が設けられる。一般的に、テールゲート15は平板状の部品であり強度及び剛性が不足することもある。第1のリヤウィンドシールド21、第2のリヤウィンドシールド22及び遮光壁23がテールゲート15に設けられたので、例えば、遮光壁23が補強部材の役割を担うことができ、テールゲート15の強度及び剛性の向上を図ることができる。
【0041】
図6に示されたように、車両のリヤウィンドシールド構造体20では、第1のリヤウィンドシールド21が、車体11(図1参照)に、後方に向けて下方に傾斜させて設けられ、第2のリヤウィンドシールド22が、車体11に、略垂直に設けられた。すなわち、第1及び第2のリヤウィンドシールド21,22が異なる角度で車体11に設置されているので、例えば、太陽光若しくはヘッドライトなどの一方向からの光線で、第1及び第2のリヤウィンドシールド21,22が同時に見えにくくなることを防止することができる。
【0042】
車両のリヤウィンドシールド構造体20では、遮光壁23を、車室12側に略水平に突出させたので、後方視界の妨げになることはない。この結果、良好な後方視界を十分に確保することができる。
【0043】
車両のリヤウィンドシールド構造体20では、遮光壁23が、テールゲート15(図1参照)の枠体24を、車室12内にて上方から覆うアッパガーニッシュ71と、テールゲート15の枠体24を、車室12内にて下方から覆うロアガーニッシュ72と、から分割構成されたので、テールゲート15の枠体24を上下からアッパガーニッシュ71及びロアガーニッシュ72で覆うことができる。この結果、車室12内の意匠を向上することができる。
【0044】
図6、図7、図9に示されたように、車両のリヤウィンドシールド構造体20では、アッパガーニッシュ71に、枠体24に止める枠体側アッパクリップ75と、枠体24にアッパガーニッシュ71の後部を引っ掛ける引っ掛け部76と、枠体24に当接させ、アッパガーニッシュ71の後部の高さ方向位置を設定する当てリブ77と、を備えたので、枠体24及びロアガーニッシュ72に、アッパガーニッシュ71を容易に取付けることができる。これにより、アッパガーニッシュ71の組立性の向上を図ることができる。さらに、車両のリヤウィンドシールド構造体20の仕上がりが良好となる。
【0045】
また、図6、図7、図8に示されたように、アッパガーニッシュ71とロアガーニッシュ72とを結合する結合クリップ78と、ロアガーニッシュ72を車体前後方向に位置決めする位置決め爪79と、を備えたので、アッパガーニッシュ71とロアガーニッシュ72とを、精度よく一体的に結合することができる。
【0046】
図8、図9に示されたように、車両のリヤウィンドシールド構造体20では、ロアガーニッシュ72に、枠体24に止める枠体側ロアクリップ85と、結合クリップ78が嵌合する受け部(嵌合部)86と、を備えたので、枠体24に、ロアガーニッシュ72を容易に取付けることができる。これにより、ロアガーニッシュ72の組立性の向上を図ることができる。
【0047】
図6、図9に示されたように、車両のリヤウィンドシールド構造体20では、アッパガーニッシュ71に枠体側アッパクリップ75が設けられ、ロアガーニッシュ72に枠体側ロアクリップ85が設けられたので、アッパガーニッシュ71及びロアガーニッシュ72を中間枠38にも直接的に取付けることができる。この結果、アッパガーニッシュ71及びロアガーニッシュ72の支持剛性の向上を図ることができる。
【0048】
図7に示されたように、車両のリヤウィンドシールド構造体20では、アッパガーニッシュ71に、ロアガーニッシュ72に前端71aを係止する前端突起71bが設けられ、ロアガーニッシュ72に、アッパガーニッシュ71の前端突起71bを係止するロア係止孔91と、を備えたので、アッパガーニッシュ71及びロアガーニッシュ72同士を、さらに強固に結合することができる。
【0049】
図12(a)に示されるように、比較例の車両のリヤウィンドシールド構造体120は、第1のリヤウィンドシールド121と、第2のリヤウィンドシールド(エキストラウィンドウシールド)122と、これらの第1のリヤウィンドシールド121及び第2のリヤウィンドシールド122に介在させたガーニッシュ123と、第1のリヤウィンドシールド121、第2のリヤウィンドシールド122及びガーニッシュ123を支持する枠体(不図示)と、で構成される。ガーニッシュ123は車室124側に突出させたものではない。
【0050】
従って、図13(a)に示されたように、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールド122から第1のリヤウィンドシールド121へ映り込む反射光で、第1のリヤウィンドシールド121若しくは第2のリヤウィンドシールド122から車体後方が見えにくくなることがあった。
【0051】
図12(b)に示されるように、実施例の車両のリヤウィンドシールド構造体20は、車体後方の路面からの反射で第2のリヤウィンドシールド22から第1のリヤウィンドシールド21へ映り込む反射光を遮る遮光壁23を、第1のリヤウィンドシールド21と第2のリヤウィンドシールド22との間に設けたものである。
【0052】
従って、図13(b)に示されたように、第1のリヤウィンドシールド21へ第2のリヤウィンドシールド22から映り込む反射光を遮光壁23で遮ることができる。この結果、第1及び第2のリヤウィンドシールド21,22の双方の後方視界を良好に保つことができる。
【0053】
尚、本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体は、図6に示すように、遮光壁23は、車室12側に略水平に突出させたが、これに限るものではなく、運転者のアイポイントと遮光壁23とを結ぶ直線上に延ばしたものであってもよい。これにより、さらに良好な後方視界を確保することができる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明に係る車両のリヤウィンドシールド構造体は、車体の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールドと、この第1のリヤウィンドシールドの下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールドと、を備えたセダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0055】
10…車両、11…車体、12…車室、14…開口部、15…テールゲート、20…車両のリヤウィンドシールド構造体、21…第1のリヤウィンドシールド、22…第2のリヤウィンドシールド、23…遮光壁、24…枠体、71…アッパガーニッシュ、72…ロアガーニッシュ、75…枠体側アッパクリップ、76…引っ掛け部、77…当てリブ、78…結合クリップ、79…位置決め爪、85…枠体側ロアクリップ、86…受け部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後方視界を確保する第1のリヤウィンドシールドと、この第1のリヤウィンドシールドの下部に設けられ、後方視界を拡げる第2のリヤウィンドシールドと、を備えた車両のリヤウィンドシールド構造体であって、
車体後方の路面からの反射で前記第2のリヤウィンドシールドから前記第1のリヤウィンドシールドへ映り込む反射光を遮る遮光壁を、前記第1のリヤウィンドシールドと前記第2のリヤウィンドシールドとの間に設けたことを特徴とする車両のリヤウィンドシールド構造体。
【請求項2】
前記車体は、後部に開口部が設けられ、この開口部を開閉自在に覆うテールゲートが設けられ、
前記第1のリヤウィンドシールド、前記第2のリヤウィンドシールド及び前記遮光壁は、前記テールゲートに設けられることを特徴とする請求項1記載の車両のリヤウィンドシールド構造体。
【請求項3】
前記第1のリヤウィンドシールドは、車体に、後方に向けて下方に傾斜させて設けられ、前記第2のリヤウィンドシールドは、車体に、略垂直に設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の車両のリヤウィンドシールド構造体。
【請求項4】
前記遮光壁は、前記車室側に略水平に突出させたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の車両のリヤウィンドシールド構造体。
【請求項5】
前記遮光壁は、前記テールゲートの枠体を、前記車室内にて上方から覆うアッパガーニッシュと、前記テールゲートの枠体を、前記車室内にて下方から覆うロアガーニッシュと、から分割構成されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の車両のリヤウィンドシールド構造体。
【請求項6】
前記アッパガーニッシュは、前記枠体に止める枠体側アッパクリップと、前記枠体に該アッパガーニッシュの後部を引っ掛ける引っ掛け部と、前記枠体に当接させ、該アッパガーニッシュの後部の高さ方向位置を設定する当てリブと、前記ロアガーニッシュと結合する結合クリップと、前記ロアガーニッシュを車体前後方向に位置決めする位置決め爪と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の車両のリヤウィンドシールド構造体。
【請求項7】
前記ロアガーニッシュは、前記枠体に止める枠体側ロアクリップと、前記結合クリップが嵌合する受け部と、を備えたことを特徴とする請求項5記載の車両のリヤウィンドシールド構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−116364(P2012−116364A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−268540(P2010−268540)
【出願日】平成22年12月1日(2010.12.1)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】