説明

車両の下部構造

【課題】車両の下部の空気の流れを制御することによって車両の走行安定性を向上させ、さらに車両走行時のCD値を低下させることにより燃費性能を向上させることができる車両の下部構造を提供する。
【解決手段】車両の下部構造1は、車室のフロアを形成するフロアパネル7と、このフロアパネル7の前方に設けられたフロントタイヤ3及び後方に設けられたリアタイヤ5を備え、フロントタイヤ3とリアタイヤ5との間においてフロアパネル7の側方に設けられたフェンダー9又はサイドシル11の下側に取り付けられ、フロントタイヤ3の後方近傍を流れる空気の流速を高めるためのダクト部材35を備え、このダクト部材35は、フロントタイヤ3の後方近傍を流れる空気の流速を高めて車両後方に向けて流すようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の下部構造に関し、特に、車両の抗力抵抗値を低下させることができる車両の下部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両の走行時に車両の下部を流れる空気は、車両の進行方向とは逆に流れる。しかし、車両の底部には様々な部品が露出して取り付けられており、これらの部品によって形成される凹凸形状によって空気の流れが乱れるので、車両の下部を流れる空気の一部は車幅方向外側に向けて流れてしまう。即ち、車両の下部を流れる空気の一部は、車幅方向外側に向けて流れてサイドシルの下を通過して流れ、さらにサイドドアに沿って上方に向けて流れる。そうすると、このような空気流によって車両を持ち上げる力が発生してしまうので、車両の走行安定性を低下させ、また走行時のCD値を上昇させて、結果として車両の燃費性能が低下してしまうという問題があった。
【0003】
これを防止すべく、特許文献1に記載された車両の下部構造では、サイドシルの下部に設けられたマットガードの端部をサイドシルの下端よりも車幅方向外側に位置するように延設して、サイドシルの横の空気を整流することにより、車両の走行安定性を向上させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−160162号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の構造では、マットガードの整流部にあたるように流れる空気を整流することはできるが、マットガードから離れて流れ、整流部にあたらないような空気を整流することはできない。そして結果として、整流部にあたらない空気によって、整流部の端部を乗り越えて車両のサイドドアに沿って上昇するような流れが発生してしまうので、車両の走行安定性及び燃費を十分に向上させることができないという問題があった。
【0006】
そこで本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、車両の走行安定性を向上させ、さらに車両走行時のCD値を低下させることにより燃費性能を向上させることができる車両の下部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明は、車室のフロアを形成するフロアパネルと、このフロアパネルの前方に設けられたフロントタイヤ及び後方に設けられたリアタイヤを備える車両の下部構造であって、フロントタイヤの車両後方近傍において、フロントタイヤとリアタイヤとの間においてフロアパネルの側方に設けられた車体部品の下側に取り付けられ、フロントタイヤの後方近傍を流れる空気の流速を高める加速手段を備え、この加速手段は、フロントタイヤの後方近傍を流れる空気の流速を高めて車両後方に向けて流すようになっていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明によれば、車両の走行時に、車体部品の下側に取り付けられた加速手段によって、フロントタイヤの車両後方近傍を流れる空気の流速を高めて車両後方に流すことができる。これにより、フロントタイヤとリアタイヤの間における車体部品の下側において、空気が高速で車両後方に流れる低圧領域を作り出すことができる。そして、車両の前方からフロアパネルの下側に流入して車幅方向に流れる空気は、低圧領域の近くにきたときに低圧領域に吸い込まれるので、車幅方向に流れる空気の大部分を低圧領域に向けて流すことができる。このように、フロントタイヤとリアタイヤの間に低圧領域を作り出して車幅方向に流れる空気を吸い込むことにより、車体部品の下側を通過して車幅方向外側に向かうのを防止することができる。
【0009】
また、本発明において、好ましくは、加速手段は、フロントタイヤの車両後側において車両前方に向けて開口した流入口と、この流入口よりも車両後側に設けられ車両後方に向けて開口した流出口と、流入口から流出口に向けて延びる先細りした形状の流路とを備えるダクト部材である。
【0010】
このように構成された本発明によれば、簡単な構造を有するダクト部材によって、フロントタイヤとリアタイヤの間における車体部品の下側に低圧領域を作り出すことができる。また、フロントタイヤの車両後側にこのようなダクト部材を配置することによって、フロントタイヤによって巻き上げられた小石等の異物をダクト部材によって受けることができ、これにより、車両が傷付くのを防止することができる。
【0011】
また、本発明において、好ましくは、ダクト部材は、車両後方側に向けて厚みが漸減する形状を有する。
【0012】
このように構成された本発明によれば、ダクト部材の下面を、フロントタイヤから離れるにつれて路面から離すことができ、これにより、例えば坂道を登りきったときにダクト部材が路面に接触するのを防止することができる。
【0013】
また、本発明において、好ましくは、ダクト部材は、流入口を覆い、ダクト部材内部に異物が流入するのを防止するためのカバー部材を備える。
【0014】
このように構成された本発明によれば、車両の走行中にダクト部材内部に異物が入るのを防止することができる。
【0015】
また、本発明において、好ましくは、ダクト部材は、その下面に形成されたシャッタ部材を備え、該シャッタ部材は、所定の重量が加わったときに下方に回動するように構成されている。
【0016】
このように構成された本発明によれば、ダクト部材内に異物が入り込んでダクト部材の下面に堆積した場合でも、異物の重量が所定の重量を超えたときにシャッタ部材を下方に回動させることで、ダクト部材内から異物を排出することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、車両の下部の空気の流速を高めることによって車両の走行安定性を向上させ、さらに車両走行時のCD値を低下させることにより燃費性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態による車両の下部構造の底面図である。
【図2】図1のA−A断面における立断面図である。
【図3】本発明の実施形態による車両の下部構造の側面図である。
【図4】本発明の実施形態によるダクト部材を示す斜視図である。
【図5】図1のB−B断面における、立断面図である。
【図6】本発明の実施形態によるダクト部材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による車両の下部構造について説明する。図1は、本発明の実施形態による車両の下部構造の底面図であり、図2は、図1のA−A断面における立断面図である。
【0020】
まず、図1に示すように、車両の下部構造1は、一対のフロントタイヤ3と、一対のリアタイヤ5と、車両の車室のフロアを構成するフロアパネル7とを備える。また、フロントタイヤ3の周りには、このフロントタイヤ3のほぼ上半分を囲むように形成されたフェンダー9が設けられている。また、フロントタイヤ3とリアタイヤ5の間には、フロアパネル7に固定されフロアパネル7を両側から支持する一対のサイドシル11が設けられている。サイドシル11の先端部は、フェンダー9の車両後方端部に接触して配置され、サイドシル11は、フェンダー9の車両後方端部から、リアタイヤ5の前方まで延びている。このようにフロントタイヤ3とリアタイヤ5の間におけるフロアパネル7の側方には、フェンダー9の一部(フェンダー9の車両後方端部9a)と、サイドシル11が配置されており、本実施形態では、これらの部材が本願発明の「車体部品」を構成する。
【0021】
フロアパネルの車幅方向中央部には、ドライブシャフト13や排気管15等を車両前後方向に通すためのセンタートンネル17が設けられており、さらにフロアパネル7の車幅方向両側は、サイドシル11に接合されている。
【0022】
図2に示すように、サイドシル11は、車幅方向断面において所定形状の閉断面を有し、車両の前後方向において、フロントタイヤ3の後側からリアタイヤ5の前側まで延びる。そしてこのサイドシル11は、車両の前突等に対して剛性を発揮するようになっている。このサイドシル11は、鋼材を曲げて形成した、車幅方向外側に配置されるサイドシルアウタパネル19、及び車幅方向内側に配置されるサイドシルインナパネル21とを備える。そしてこれらサイドシルアウタパネル19及びサイドシルインナパネル21の上下には、各々、上フランジ部23,25と下フランジ部27,29が形成されており、サイドシル11は、サイドシルアウタパネル19及びサイドシルインナパネル21の各々の上フランジ部23,25と下フランジ部27,29とを互いに接合して形成される。また、サイドシル11の内部には、サイドシル11を補強するためのレインフォースメント31が設けられている。
【0023】
また、本発明の実施形態にかかる車両の下部構造1は、加速手段を構成するダクト部材33を備える。またダクト部材33の後方には、ガイド部材35が接続されている。
【0024】
図3は、本発明の実施形態にかかる車両の下部構造の側面図であり、図4は、本発明の実施形態によるダクト部材を示す斜視図である。
図3に示すように、ダクト部材33は、フェンダー9の車両後方側端部の下部とサイドシル11の車両前端部にわたって、フロントタイヤ3の後方に取り付けられている。そしてガイド部材35は、サイドシル11の下側に沿って、ダクト部材33の車両後端部からリアタイヤ5の車両前方の位置まで延びている。
【0025】
図4に示すように、ダクト部材33は、空気を流入させるための流入口37と、空気を流出させるための流出口39と、流入口37と流出口39との間に延びるダクト流路41とを備える。流入口37は、フロントタイヤ3から車両後側に少し離れた位置において、車両前方に向けて開口している。そしてこの流入口37の幅は、フロントタイヤの幅とほぼ同じにすることが好ましい。また、流出口39は、流入口37よりも車両後方に設けられている。そしてこれら流入口37と流出口39の間に延びるダクト流路41は、車両後方に向かうにつれて高さが漸減するように形成されており、これによりダクト流路41は、流入口37から流出口39にかけて先細り形状を有する。
【0026】
また、ダクト部材33の外形は、車両後方に向かうにつれて厚みが漸減するようになっている。具体的には、ダクト部材33は、天井部材43、床部材45、及び2つの壁部材47,49の4つの部材によって形成されており、ダクト部材33をフェンダー9及びサイドシル11の下面に取り付けたときに、床部材45が車両後方に向けて上方に傾斜している。床部材45の水平方向に対する傾斜角度は、車両の走行時に床部材45の下面の表面に沿って流れる空気が床部材45の下面から剥離しないような角度に設定される。
【0027】
また、天井部材43は、ダクト部材33が取り付けられる面に対応するような形状を有しており、本実施形態では、車両前側の車幅方向外側の角から他の角に向けて下り傾斜を形成するような形状を有している。しかしながら、天井部材43の形状は、ダクト部材33の取り付け位置に応じて適宜変更可能である。
【0028】
尚、本実施形態では、ダクト部材33がフェンダー9の車両後方端部の下面とサイドシル11の下面をまたぐように両者に取り付けられたものとして説明するが、ダクト部材33は、フロアパネル7の車幅方向端部近傍を流れる空気の流速を高めるためのものであるので、ダクト部材33の取り付け位置は、フロントタイヤ3とリアタイヤ5の間における、フロントタイヤ3のほぼ真後ろであればどこでもよい。従って、ダクト部材33全体をフェンダー9の車両後方端部の下面、又はフェンダー以外の車体部品であるサイドシル11の下面に取り付けてもよい。
また、本実施形態では、流出口39の垂直方向の長さを、流入口37の垂直方向の長さよりも短くすることによりダクト部材33のダクト流路41を先細り形状にするものとして詳述したが、ダクト流路41を先細り形状とするために、ダクト流路41の幅を車両後方に向けて漸減させるような形状としてもよい。
【0029】
図5は、本発明の実施形態による車両の下部構造の車幅方向断面を示す立断面図である。
図5に示すように、ガイド部材35は、車幅方向外側にある外側壁51と、車幅方向内側にある内側壁53と、外側壁51及び内側壁53の間に延びる天井部55とを備える。そしてこのようなガイド部材35は、これら外側壁51、内側壁53、及び天井部55によって車幅方向において下側に開口した開放断面を形成し、その内部に空気が流れるガイド流路57を形成している。ガイド部材35は、サイドシルアウタパネル19に取り付けられており、ガイド部材35の内側壁53は、サイドシルアウタパネル19の下フランジ27の車幅方向外側に沿って垂直方向に延び、その垂直方向の長さは、サイドシルアウタパネル19の下フランジ27の垂直方向の長さとほぼ等しい。ガイド部材35の外側壁51は、サイドシルアウタパネル19の下フランジ27から、ガイド流路57の幅に相当する距離だけ車幅方向外方に離れて形成されている。そして外側壁51の長さは、下フランジ27及び内側壁53の垂直方向の長さよりも長くなっており、外側壁51の下端部51aは、下フランジ27の下端部27aよりも低い位置にある。
【0030】
また、ガイド部材35は、ダクト部材33の車両後方からリアタイヤ5の車両前方まで(即ち、サイドシル11の車両前方端部から車両後方端部まで)延びている。そしてガイド部材35は、その車両前方端部から車両後方端部近傍にかけて上述した開放断面形状を有している。そしてガイド部材35の車両前方端部は、ガイド流路57がダクト部材33の流出口39と連続するようにダクト部材35の車両後方端部に固定されている。また、ガイド部材35の車両後方端部には、ガイド流路57内を通る空気がリアタイヤ5に当たるのを防止するためのディフレクタ59(図1参照)が形成されている。このディフレクタ59は、外側壁51と一体成形されて外側壁51と連続的に形成されており、外側壁51の車両後方端部から、サイドシル11が延びる方向に対して傾斜して車幅方向内側に向けて延びる壁によって形成される。
【0031】
次に、上述した本発明の実施形態による車両の下部構造1の作用について詳述する。
【0032】
図1及び図5に示す矢印A〜Dは、車両の走行時における車両の下部の空気の流れを示すものである。矢印Aは、車両が直進して走行しているときに、車両の下部に入り込んで車両の進行方向と逆方向に向かう空気の流れを示す。また、車両の下部(フロアパネル7の底面)には、ドライブシャフト13やそれを収容するためのセンタートンネル17等が形成されており、空気がこれらの部材に当たるので、車両の下部において空気の流れが乱れ、一部の空気は矢印B及びCによって示すように車幅方向外向きの流れが発生する。
【0033】
また、矢印Cは、フロントタイヤ3近傍で車幅方向外方に向かう空気の流れを示す。矢印Cによって示すフロントタイヤ3近傍で車幅方向外方に向かう空気、及びフロントタイヤ3を収容するホイールハウス内を流れる空気は、ダクト部材33の流入口37を介してダクト部材33のダクト流路内41に流れる。そして、流入口37に入った空気は、先細り形状のダクト流路41内を通って加速されて流出口39に向かう。そして加速されて空気は、矢印Dによって示すように、ダクト部材33の流出口39からガイド部材35のガイド流路57に流入して、サイドシル11の長手方向に沿って車両後方に流れる。そしてこのとき、ガイド部材35のガイド流路57を流れる空気の流速は、矢印Bによって示される空気の流速よりも高くなっているので、ガイド流路57内の圧力は、ガイド部材35よりも下方の圧力よりも低くなり、ガイド流路57内に低圧領域が作り出される。そうすると、矢印Bによって示す方向に流れる空気が車幅方向外方に向けて流れてガイド部材35の下方を通過しようとしたときに、低圧領域に吸い込まれるので、空気の進行方向が変化して低圧領域に向かって流れる。このように、本発明の実施形態による車両の下部構造1によれば、ガイド流路57内に低圧領域を作り出して、ガイド部材35の下方を通過しようとする空気の流速を高めることができ、これにより、ガイド部材35の下方を通過しようとする空気をガイド流路57内の空気流に巻き込んでガイド流路57内に流れ込むようにすることができる。これにより、ガイド部材35の下方を通過して車両の下部から車幅方向外方に空気が流れるのを防止することができる。
【0034】
また、ガイド流路57内を通って車両後方に流れる空気は、ディフレクタ59にあたって車幅方向内方に流れ、再びフロアパネル7の下方に向けて流れる。このように、ガイド流路57の車両後方端部にディフレクタ59を設けることによって、ガイド流路57内の空気がリアタイヤ5にあたるのを防止することができる。
【0035】
また、ガイド流路57を形成する外側壁51が、サイドシルアウタパネル19の下フランジ27よりも下方まで延びているので、下フランジ27の下端27aよりもさらに下方を通って下フランジ27を通過した空気を確実にガイド流路57内に誘導することができる。
【0036】
以上のように本発明の実施形態による車両の下部構造1によれば、ガイド流路57内の圧力を低下させて、ガイド部材35の下方を通る空気をガイド流路57内に吸い込むようにすることで、フロアパネル7の下方を流れる空気がサイドシル11よりも車幅方向外方に流れるのを防止することができる。そしてこれにより、車両の走行時のCD値を低下させることができる。
【0037】
次に図6を参照して、上述したダクト部材の変形例について説明する。図5は、ダクト部材の変形例を示す斜視図である。
【0038】
図6に示すように、ダクト部材61は、流入口63を覆うためのグリル65と、ダクト部材61の底面に設けられたシャッタ部材67とを備える。このグリル65は、流入口63を通ってダクト部材61のダクト流路69内部に小石等の空気以外の異物が入るのを防止するようになっている。また、流入口63を覆うためのカバー部材としては、図示したようなグリル65の他に所定の径の網目を有するメッシュ部材を用いてもよい。
【0039】
シャッタ部材67は、ダクト部材61の底面に設けられた開口71を覆うようになっている。このシャッタ部材67は、シャッタ部材67の車両前端部に設けられたトーションバー73等の付勢手段によって、ダクト部材61の外側から開口71の周縁部に押圧されている。そしてシャッタ部材67は、車両の走行時に流入口から異物がダクト部材61内部に流入してシャッタ部材67の上面に堆積した堆積物の重量が所定の量を超えたときに、トーションバー73の回動軸周りに回動して、シャッタ部材67の上面に堆積した異物をダクト部材61内部から排出するようになっている。
【0040】
以上のように、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、実施形態における各構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0041】
例えば、上述の実施形態では、ガイド部材35が、内側壁53、外側壁51、及び天井部55を備えるものとして説明したが、内側壁53としてサイドシルアウタパネル19の下フランジ27を用い、さらに天井部55としてサイドシルアウタパネル19の底面を用いてもよい。この場合、サイドシルアウタパネル19の底面に外側壁51だけを設けることで、サイドシルアウタパネル19の下部にガイド流路57を形成することができる。また、上述の実施形態では、加速手段としてダクト部材33を例に挙げて詳細な説明を行ったが、加速手段は、フロントタイヤの後方近傍を流れる空気の流速を高めることができればどのようなものであってもよく、例えば車両前方から後方に向けて空気を加速させて流すファン等を用いてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 車両の下部構造
3 フロントタイヤ
5 リアタイヤ
7 フロアパネル
9 フェンダー
11 サイドシル
33,61 ダクト部材
35 ガイド部材
41 ダクト流路
57 ガイド流路
65 グリル
67 シャッタ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室のフロアを形成するフロアパネルと、このフロアパネルの前方に設けられたフロントタイヤ及び後方に設けられたリアタイヤを備える車両の下部構造であって、
前記フロントタイヤの車両後方近傍において、前記フロントタイヤと前記リアタイヤとの間において前記フロアパネルの側方に設けられた車体部品の下側に取り付けられ、前記フロントタイヤの後方近傍を流れる空気の流速を高める加速手段を備え、
この加速手段は、前記フロントタイヤの後方近傍を流れる空気の流速を高めて車両後方に向けて流すようになっていることを特徴とする車両の下部構造。
【請求項2】
前記加速手段は、前記フロントタイヤの車両後側において車両前方に向けて開口した流入口と、この流入口よりも車両後側に設けられ車両後方に向けて開口した流出口と、前記流入口から前記流出口に向けて延びる先細りした形状の流路とを備えるダクト部材である、請求項1に記載の車両の下部構造。
【請求項3】
前記ダクト部材は、車両後方側に向けて厚みが漸減する形状を有する、請求項1又は2に記載の車両の下部構造。
【請求項4】
前記ダクト部材は、前記流入口を覆い、該ダクト部材内部に異物が流入するのを防止するためのカバー部材を備える、請求項1乃至3の何れか1項に記載の車両の下部構造。
【請求項5】
前記ダクト部材は、その下面に形成されたシャッタ部材を備え、このシャッタ部材は、所定の重量が加わったときに下方に回動するように形成されている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両の下部構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−176675(P2012−176675A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40391(P2011−40391)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】