車両の下部車体構造
【課題】
左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設することで、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることができる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】
フロアパネル2,6と、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレーム12とを備え、左右一対のリヤフレーム12,12間に燃料タンク13が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤフレーム12,12の前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバ14を設け、上記クロスメンバ14を上記燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設したことを特徴とする。
左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設することで、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることができる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】
フロアパネル2,6と、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレーム12とを備え、左右一対のリヤフレーム12,12間に燃料タンク13が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤフレーム12,12の前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバ14を設け、上記クロスメンバ14を上記燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設したことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネルの後方に左右一対で車幅方向に所定間隔を隔てて車両の前後方向に延びるリヤフレームを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設されたような車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の下部車体構造としては図11に示す構造が一般的であった。
すなわち、フロアパネル100には、後方が上方に段上げされたキックアップ部101を介してリヤフロア102を連接し、キックアップ部101の上部背面と、リヤフロア102の前部下部との位置に車幅方向に延びるリヤクロスメンバ103を設け、このリヤクロスメンバ103の後方に燃料タンク104を配設する一方、リヤフロア102の上方にはリヤシート105を配設したものである。
【0003】
上述のリヤクロスメンバ103は車体の剛性向上と、側突荷重に対抗して燃料タンク104を保護する役目を奏するが、居住性および燃料タンク容量を考慮すると望ましくない位置にあった。
【0004】
つまり、車両にはリヤシート105およびキックアップ部101を可及的後方位置に設けて、リヤ席乗員の足元スペースを確保し、居住性の向上を図るという要請と、燃料タンク104の容量を可及的大きくしたいという要請とがあり、居住性を向上させるためにはキックアップ部101を後退させる必要があり、燃料タンク容量を大きくするためには該燃料タンクを前方に延ばす必要があり、上述の各要請を満たすための構成が相反する構造となり、加えてコンパクトな車両においてはリヤのオーバハングを小さく設定したいという要請が加わるが、リヤクロスメンバ103が図11に示すようにかキックアップ部101の上部背面に存在していると、上述の要請を満たすことが困難であった。
【0005】
ところで、特許文献1には、キックアップ部の上部背面にリヤクロスメンバを設け、その後方において左右一対のリヤサイドフレーム間に燃料タンクを配設したものが、開示されているが、このように燃料タンクの前方にリヤクロスメンバが存在すると図11の構造と同様にして、居住性向上および燃料タンク容量拡大に対してリヤクロスメンバが邪魔になる問題点があった。
【0006】
また特許文献2には、キックアップ部に燃料タンクを配設したものが開示されているが、居住性向上と燃料タンク容量の拡大とを示唆するものではない。
さらに、特許文献3には、キックアップ部の背面形状に沿うように燃料タンクを加工して、該燃料タンクをキックアップ部背面に沿設したものが開示されているが、このように構成すると燃料タンクの構造が複雑化するので、実現性が低下する問題点があった。
【特許文献1】特開平5−50952号公報
【特許文献2】実開平5−71083号公報
【特許文献3】特開平5−155258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設することで、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることができる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による車両の下部車体構造は、フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを上記燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設したものである。
【0009】
上記構成によれば、上述のクロスメンバは左右一対のリヤフレームの前端部相互間を車幅方向に連結するものであるから、車体の剛性確保を図ることができ、しかも、上述のクロスメンバは燃料タンク前方においてフロアパネルの下方に配設されたものであるから、クロスメンバがキックアップ部の上部背面に存在する従来構造と比較して、燃料タンクの容量拡大を図ることができる。つまり、車体の剛性確保と、燃料タンクの容量アップとの両立を図ることができ、また上述のクロスメンバはフロアパネル下方に配設されるので、このクロスメンバが車室内に影響を与えることもない。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネルには、上記クロスメンバの配設された位置から後方が上方に段上げされたキックアップ部が形成され、上記キックアップ部の下方に上記燃料タンクが配設されたものである。
【0011】
上記構成によれば、キックアップ部の下方に燃料タンクが配設され、かつ上述のクロスメンバは燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設されているので、キックアップ部の後退設定による車室内の拡大と、燃料タンク容量の拡大との両立を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設したものである。
【0013】
上記構成によれば、排気管のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンクの一部延長構造により、該燃料タンクの容量をさらに拡大することができる。
この発明による車両の下部車体構造は、また、フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設したものである。
【0014】
上記構成によれば、上述のクロスメンバは左右一対のリヤフレームの前端部相互間に位置し、これら一対のリヤフレームを連結するものであるから、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大とを両立することができる。
しかも、排気管のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンクの一部延長構造により、該燃料タンクの容量をさらに拡大することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向中間部は、フロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるフロアフレームの後端部と接続されたものである。
【0016】
上記構成によれば、クロスメンバとフロアフレームとの接続構造により、その相乗効果にて、フロアフレームの剛性向上とクロスメンバの剛性向上とを図ることができ、車両衝突時の荷重の分散も図れ、耐衝突性能の向上をも図ることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバには排気管の配設部に対応して凹部が形成されたものである。
上記構成によれば、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることに加えて、上記凹部の形成により排気管レイアウトの容易化を達成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設したもので、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図るという目的を、左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設するという構造にて実現した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の下部車体構造を示し、図1は要部の側面図、図2は底面図であって、図1、図2において、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル(ダッシュパネル)1を設け、このダッシュロアパネル1の下部後端には、後方に向けて略水平に延びるフロアパネル2を連設し、このフロアパネル2の中央部には車室内方へ突出し、かつ車両の前後方向に延びるトンネル部3を形成している。
【0021】
また上述のフロアパネル2の左右両側部には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのサイドシル4,4を接合固定している。このサイドシル4はサイドシルインナと、サイドシルアウタとサイドシルレインフォースメントとを接合して構成され、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えたものである。
【0022】
さらに、上述のフロアパネル2には、その後方が上方に段上げされたキックアップ部5を形成し、このキックアップ部5の上端部には、該上端部から後方に向けて延びるリヤフロア6(フロアパネル2の一部)が連設され、このリヤフロア6の後部略中間には下方に段下げ形成されたスペアタイヤパンク7を設けている。
【0023】
ところで、フロアパネル2の上部にはトンネル部3を跨いで左右のサイドシル4,4まで車幅方向に延びる車体剛性部材としてのクロスメンバ(いわゆるNo.2クロスメンバ)8を設けると共に、このクロスメンバ8に対して車両後方に離間した位置には、トンネル部3と直交して該トンネル部3とサイドシル4との間を車幅方向に連結する左右一対のクロスメンバ9,9(いわゆるNo.2.5クロスメンバで、車体剛性部材)を設け、フロアパネル2と各クロスメンバ8,9との間には車幅方向に延びる閉断面を形成している。
【0024】
一方、フロアパネル2の下部において、側部のサイドシル4と中央部のトンネル部3との中間には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としての左右一対のフロアフレーム10,10を設けている。このフロアフレーム10はフロアパネル2の下面に接合固定されたもので、フロアパネル2とフロアフレーム10との間には車両の前後方向に延びる閉断面が形成されている。このフロアフレーム10の後端はキックアップ部5の近傍まで延設されている。また、このフロアフレーム10の前端部には車体剛性部材としてのフロントサイドフレーム11が連続して設けられている。
【0025】
また上述のリヤフロア6には左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのリヤサイドフレーム12,12が設けられている。このリヤサイドフレーム12はリヤフロア6の下面に接合固定されたもので、リヤフロア6とリヤサイドフレーム12との間には車両の前後方向に延びる閉断面が形成されている。
【0026】
そして、キックアップ部5の背面側下方とリヤフロア6の前部下方とに位置し、かつ左右一対のリヤサイドフレーム12,12間に位置するように燃料タンク13が配設されている。
【0027】
図3に要部を拡大平面図にて示すように、フロアパネル2の下面に接合され、かつフロアパネル2に沿って車両の前後方向に延びるフロアフレーム10の後端部10aと、リヤフロア6の下面に接合され、かつ所定間隔を保って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム12の前端部12aとは、車幅方向にオフセットすると共に、車両の前後方向にオーバラップするように構成されている。
【0028】
上述の左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部12a,12a相互間を車幅方向に延びて両者12,12を接続する車体剛性部材としてのリヤクロスメンバ14を設け、図1、図2に示すように、このリヤクロスメンバ14を上述の燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設している。詳しくは、該リヤクロスメンバ14は図1に示すようにキックアップ部5の直前部においてフロアパネル2の下方に配設されたものである。
【0029】
図4はリヤクロスメンバ14の斜視図、図5は図4のA-A線に沿う矢視断面図であって、図3〜図5に示すように、このリヤクロスメンバ14は該メンバ14それ自体の剛性向上を図る目的で車幅方向に連続する凹凸形状を有するように形成されると共に、トンネル部3側部のフロアパネル2下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14a,14b,14c,14dと、フロアフレーム10の後端部10a下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14e・・・と、リヤサイドフレーム12の前端部12a下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14f・・・とを備え、これらの各取付座14a〜14fにはそれぞれ取付け孔15,16,17が形成されている。
【0030】
図4、図5に示すようにトンネル部3側部のフロアパネル2下面に対する左右一対の取付け座14a,14b間、14c,14d間には、リヤクロスメンバ14のトップデッキ面に対して下方に窪む凹部18が形成され、この凹部18に対応して排気管19が配設されている。
【0031】
つまり、リヤクロスメンバ14の排気管19の配設部に対応して上述の凹部18が形成されたものである。
またフロアフレーム10の後端部10a下面に対する上述の取付け座14eは、リヤクロスメンバ14のトップデッキ面に対して凹設された低位置に形成されて いる。
【0032】
さらに、リヤサイドフレーム12の前端部12a下面に対する取付け座14fは、リヤクロスメンバ14の主体部に対して若干後方に後退した位置に形成されている。
図6は図3のB-B線に相当す部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の取付け孔15に対応して、トンネル部3側部のフロアパネル2上面には予め複数のナット20が溶接固定され、このナット20に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト21を用いて、取付け座14a,14b,14c,14dがフロアパネル2に着脱可能に取付けられる。
【0033】
図7は図3のC−C線に相当する部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の取付け孔16に対応して、フロアフレーム10の後端部10aには予め複数のナット22が溶接固定され、このナット22に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト23を用いて、取付け座14eがフロアフレーム10の後端部10aに着脱可能に取付けられる。
【0034】
図8は図3のD−D線に相当する部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の取付け孔17に対応して、リヤサイドフレーム12の前端部12aには予め複数のナット24が溶接固定され、このナット24に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト25を用いて、取付け座14fがリヤサイドフレーム12の前端部12aに着脱可能に取付けられる。
【0035】
要するに、上述のリヤクロスメンバ14は、メンテナンス性を考慮して、トンネル部3側部のフロアパネル2と、フロアフレーム10の後端部10aと、リヤサイドフレーム12の前端部12aとに複数のボルト21,23,25(この実施例では合計12本のボルト)を用いて着脱可能に取付けられるものである。
【0036】
ところで、図2、図9に示すように、前述の燃料タンク13の側方のリヤフロア6の下方には、車両の前後方向に延びる排気管19が配設され、この排気管19とリヤフロア6との間には燃料タンク13の一部を延長して配設している。
つまり、燃料タンク13には略L字状に屈曲して配設される排気管19の上部とリヤフロア6の下部との間に位置するように延長部13aが一体形成され、この延長部13aの形成により、燃料タンク容量の拡大を図るように構成している。
【0037】
ここで、上述の排気管19の下流側はサイレンサ26を介してテールパイプ27に接続される一方、排気管19の上流側はトンネル部3の車外側に位置するキャタリスト28,29を介して、エンジンのエキゾーストマニボルトに接続されている。
【0038】
なお、図1において燃料タンク13の上部には凹部13bが形成され、これに対応してリヤフロア6にも凹部6bが形成されているが、図10に示すように、これらの各凹部13b,6bを省略して、この分、燃料タンク13の容量拡大を図るように構成してもよい。
【0039】
また、図2においてクロスメンバ8(いわゆるNo.2クロスメンバ)と対応する部位のトンネル部3の開放下端部には下部トンネルメンバ30が設けられている。さらに、キックアップ5に近接するリヤフロア6上方にはリヤシート31が設けられている。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0040】
このように上記実施例の車両の下部車体構造は、フロアパネル(フロアパネル2とリヤフロア6との双方を含む)と、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム12とを備え、左右一対のリヤサイドフレーム12,12間に燃料タンク13が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を車幅方向に延びて両者12,12を接続するリヤクロスメンバ14を設け、上記リヤクロスメンバ14を上記燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設したものである。
【0041】
この構成によれば、上述のリヤクロスメンバ14は左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を車幅方向に連結するものであるから、車体の剛性確保を図ることができ、しかも、上述のリヤクロスメンバ14は燃料タンク13前方においてフロアパネル2の下方に配設されたものであるから、リヤクロスメンバがキックアップ部の上部背面に存在する従来構造(図11参照)と比較して、燃料タンク13の容量拡大を図ることができる。つまり、車体の剛性確保と、燃料タンク13の容量アップとの両立を図ることができ、また上述のリヤクロスメンバ14はフロアパネル2下方に配設されるので、このリヤクロスメンバ14が車室内に影響を与えることもない。
【0042】
また、上記フロアパネル2には、上記リヤクロスメンバ14の配設された位置から後方が上方に段上げされたキックアップ部5が形成され、上記キックアップ部5の下方に上記燃料タンク13が配設されたものである。
【0043】
この構成によれば、キックアップ部5の下方に燃料タンク13が配設され、かつ上述のリヤクロスメンバ14は燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設されているので、キックアップ部5の後退設定による車室内の拡大と、燃料タンク13容量の拡大との両立を図ることができる。
【0044】
さらに、上記燃料タンク13の側方のフロアパネル(リヤフロア6参照)の下方には車両の前後方向に延びる排気管19が配設され、上記排気管19とフロアパネル(リヤフロア6参照)との間には上記燃料タンク13の一部を延長(延長部13a参照)して配設したものである。
【0045】
この構成によれば、排気管19のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンク13の一部延長構造により、該燃料タンク13の容量をさらに拡大することができる。
また、上記実施例の車両の下部車体構造は、フロアパネル(フロアパネル2とリヤフロア6との双方を含む)と、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム12とを備え、左右一対のリヤサイドフレーム12,12間に燃料タンク13が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を車幅方向に延びて両者12,12を接続するリヤクロスメンバ14を設け、上記燃料タンク13の側方のフロアパネル(リヤフロア6参照)の下方には車両の前後方向に延びる排気管19が配設され、上記排気管19とフロアパネル(リヤフロア6参照)との間には上記燃料タンク13の一部を延長(延長部13a参照)して配設したものである。
【0046】
この構成によれば、上述のリヤクロスメンバ14は左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間に位置し、これら一対のリヤサイドフレーム12,12を連結するものであるから、車体の剛性確保を図ることができ、また上記リヤクロスメンバ14はリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を連結する位置に存在し、従来のようにキックアップ部の上部背面に位置していないので、この分、燃料タンクの容量拡大を図ることができる。つまり車体剛性確保と燃料タンクの容量拡大とを両立することができる。
【0047】
しかも、排気管19のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンク13の一部延長構造により、該燃料タンク13の容量をさらに拡大することができる。
【0048】
加えて、上記リヤクロスメンバ14の車幅方向中間部は、フロアパネル2に沿って車両の前後方向に延びるフロアフレーム10の後端部10aと接続されたものである。
【0049】
この構成によれば、リヤクロスメンバ14とフロアフレーム10との接続構造により、その相乗効果にて、フロアフレーム10の剛性向上とリヤクロスメンバ14の剛性向上とを図ることができ、車両衝突時の荷重の分散も図れ、耐衝突性能の向上をも図ることができる。
【0050】
さらに、上記リヤクロスメンバ14には排気管19の配設部に対応して凹部18が形成されたものである。
この構成によれば、車体の剛性確保と燃料タンク13の容量拡大との両立を図ることに加えて、上記凹部18の形成により排気管19のレイアウトの容易化を達成することができる。
【0051】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフロアパネルは、実施例のフロアパネル2、リヤフロア6に対応し、
以下同様に、
リヤフレームは、リヤサイドフレーム12に対応し、
クロスメンバは、リヤクロスメンバ14に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の車両の下部車体構造を示す側面図。
【図2】下部車体構造を示す底面図。
【図3】リヤクロスメンバの平面図。
【図4】リヤクロスメンバの斜視図。
【図5】図4のA−A線矢視断面図。
【図6】図3のB−B線に相当する部位の断面図。
【図7】図3のC−C線に相当する部位の断面図。
【図8】図3のD−D線に相当する部位の断面図。
【図9】燃料タンクおよび排気管の斜視図。
【図10】下部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【図11】従来の車両の下部車体構造を示す側面図。
【符号の説明】
【0053】
2…フロアパネル
5…キックアップ部
6…リヤフロア(フロアパネル)
10…フロアフレーム
12…リヤサイドフレーム(リヤフレーム)
13…燃料タンク
14…リヤクロスメンバ
18…凹部
19…排気管
【技術分野】
【0001】
この発明は、フロアパネルの後方に左右一対で車幅方向に所定間隔を隔てて車両の前後方向に延びるリヤフレームを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設されたような車両の下部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の下部車体構造としては図11に示す構造が一般的であった。
すなわち、フロアパネル100には、後方が上方に段上げされたキックアップ部101を介してリヤフロア102を連接し、キックアップ部101の上部背面と、リヤフロア102の前部下部との位置に車幅方向に延びるリヤクロスメンバ103を設け、このリヤクロスメンバ103の後方に燃料タンク104を配設する一方、リヤフロア102の上方にはリヤシート105を配設したものである。
【0003】
上述のリヤクロスメンバ103は車体の剛性向上と、側突荷重に対抗して燃料タンク104を保護する役目を奏するが、居住性および燃料タンク容量を考慮すると望ましくない位置にあった。
【0004】
つまり、車両にはリヤシート105およびキックアップ部101を可及的後方位置に設けて、リヤ席乗員の足元スペースを確保し、居住性の向上を図るという要請と、燃料タンク104の容量を可及的大きくしたいという要請とがあり、居住性を向上させるためにはキックアップ部101を後退させる必要があり、燃料タンク容量を大きくするためには該燃料タンクを前方に延ばす必要があり、上述の各要請を満たすための構成が相反する構造となり、加えてコンパクトな車両においてはリヤのオーバハングを小さく設定したいという要請が加わるが、リヤクロスメンバ103が図11に示すようにかキックアップ部101の上部背面に存在していると、上述の要請を満たすことが困難であった。
【0005】
ところで、特許文献1には、キックアップ部の上部背面にリヤクロスメンバを設け、その後方において左右一対のリヤサイドフレーム間に燃料タンクを配設したものが、開示されているが、このように燃料タンクの前方にリヤクロスメンバが存在すると図11の構造と同様にして、居住性向上および燃料タンク容量拡大に対してリヤクロスメンバが邪魔になる問題点があった。
【0006】
また特許文献2には、キックアップ部に燃料タンクを配設したものが開示されているが、居住性向上と燃料タンク容量の拡大とを示唆するものではない。
さらに、特許文献3には、キックアップ部の背面形状に沿うように燃料タンクを加工して、該燃料タンクをキックアップ部背面に沿設したものが開示されているが、このように構成すると燃料タンクの構造が複雑化するので、実現性が低下する問題点があった。
【特許文献1】特開平5−50952号公報
【特許文献2】実開平5−71083号公報
【特許文献3】特開平5−155258号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明は、左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設することで、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることができる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明による車両の下部車体構造は、フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを上記燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設したものである。
【0009】
上記構成によれば、上述のクロスメンバは左右一対のリヤフレームの前端部相互間を車幅方向に連結するものであるから、車体の剛性確保を図ることができ、しかも、上述のクロスメンバは燃料タンク前方においてフロアパネルの下方に配設されたものであるから、クロスメンバがキックアップ部の上部背面に存在する従来構造と比較して、燃料タンクの容量拡大を図ることができる。つまり、車体の剛性確保と、燃料タンクの容量アップとの両立を図ることができ、また上述のクロスメンバはフロアパネル下方に配設されるので、このクロスメンバが車室内に影響を与えることもない。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネルには、上記クロスメンバの配設された位置から後方が上方に段上げされたキックアップ部が形成され、上記キックアップ部の下方に上記燃料タンクが配設されたものである。
【0011】
上記構成によれば、キックアップ部の下方に燃料タンクが配設され、かつ上述のクロスメンバは燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設されているので、キックアップ部の後退設定による車室内の拡大と、燃料タンク容量の拡大との両立を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設したものである。
【0013】
上記構成によれば、排気管のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンクの一部延長構造により、該燃料タンクの容量をさらに拡大することができる。
この発明による車両の下部車体構造は、また、フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設したものである。
【0014】
上記構成によれば、上述のクロスメンバは左右一対のリヤフレームの前端部相互間に位置し、これら一対のリヤフレームを連結するものであるから、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大とを両立することができる。
しかも、排気管のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンクの一部延長構造により、該燃料タンクの容量をさらに拡大することができる。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバの車幅方向中間部は、フロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるフロアフレームの後端部と接続されたものである。
【0016】
上記構成によれば、クロスメンバとフロアフレームとの接続構造により、その相乗効果にて、フロアフレームの剛性向上とクロスメンバの剛性向上とを図ることができ、車両衝突時の荷重の分散も図れ、耐衝突性能の向上をも図ることができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記クロスメンバには排気管の配設部に対応して凹部が形成されたものである。
上記構成によれば、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることに加えて、上記凹部の形成により排気管レイアウトの容易化を達成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設したもので、車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図ることができる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
車体の剛性確保と燃料タンクの容量拡大との両立を図るという目的を、左右一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、上記クロスメンバを燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設するという構造にて実現した。
【実施例】
【0020】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の下部車体構造を示し、図1は要部の側面図、図2は底面図であって、図1、図2において、エンジンルームと車室とを前後方向に仕切るダッシュロアパネル(ダッシュパネル)1を設け、このダッシュロアパネル1の下部後端には、後方に向けて略水平に延びるフロアパネル2を連設し、このフロアパネル2の中央部には車室内方へ突出し、かつ車両の前後方向に延びるトンネル部3を形成している。
【0021】
また上述のフロアパネル2の左右両側部には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのサイドシル4,4を接合固定している。このサイドシル4はサイドシルインナと、サイドシルアウタとサイドシルレインフォースメントとを接合して構成され、車両の前後方向に延びるサイドシル閉断面を備えたものである。
【0022】
さらに、上述のフロアパネル2には、その後方が上方に段上げされたキックアップ部5を形成し、このキックアップ部5の上端部には、該上端部から後方に向けて延びるリヤフロア6(フロアパネル2の一部)が連設され、このリヤフロア6の後部略中間には下方に段下げ形成されたスペアタイヤパンク7を設けている。
【0023】
ところで、フロアパネル2の上部にはトンネル部3を跨いで左右のサイドシル4,4まで車幅方向に延びる車体剛性部材としてのクロスメンバ(いわゆるNo.2クロスメンバ)8を設けると共に、このクロスメンバ8に対して車両後方に離間した位置には、トンネル部3と直交して該トンネル部3とサイドシル4との間を車幅方向に連結する左右一対のクロスメンバ9,9(いわゆるNo.2.5クロスメンバで、車体剛性部材)を設け、フロアパネル2と各クロスメンバ8,9との間には車幅方向に延びる閉断面を形成している。
【0024】
一方、フロアパネル2の下部において、側部のサイドシル4と中央部のトンネル部3との中間には、車両の前後方向に延びる車体剛性部材としての左右一対のフロアフレーム10,10を設けている。このフロアフレーム10はフロアパネル2の下面に接合固定されたもので、フロアパネル2とフロアフレーム10との間には車両の前後方向に延びる閉断面が形成されている。このフロアフレーム10の後端はキックアップ部5の近傍まで延設されている。また、このフロアフレーム10の前端部には車体剛性部材としてのフロントサイドフレーム11が連続して設けられている。
【0025】
また上述のリヤフロア6には左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びる車体剛性部材としてのリヤサイドフレーム12,12が設けられている。このリヤサイドフレーム12はリヤフロア6の下面に接合固定されたもので、リヤフロア6とリヤサイドフレーム12との間には車両の前後方向に延びる閉断面が形成されている。
【0026】
そして、キックアップ部5の背面側下方とリヤフロア6の前部下方とに位置し、かつ左右一対のリヤサイドフレーム12,12間に位置するように燃料タンク13が配設されている。
【0027】
図3に要部を拡大平面図にて示すように、フロアパネル2の下面に接合され、かつフロアパネル2に沿って車両の前後方向に延びるフロアフレーム10の後端部10aと、リヤフロア6の下面に接合され、かつ所定間隔を保って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム12の前端部12aとは、車幅方向にオフセットすると共に、車両の前後方向にオーバラップするように構成されている。
【0028】
上述の左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部12a,12a相互間を車幅方向に延びて両者12,12を接続する車体剛性部材としてのリヤクロスメンバ14を設け、図1、図2に示すように、このリヤクロスメンバ14を上述の燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設している。詳しくは、該リヤクロスメンバ14は図1に示すようにキックアップ部5の直前部においてフロアパネル2の下方に配設されたものである。
【0029】
図4はリヤクロスメンバ14の斜視図、図5は図4のA-A線に沿う矢視断面図であって、図3〜図5に示すように、このリヤクロスメンバ14は該メンバ14それ自体の剛性向上を図る目的で車幅方向に連続する凹凸形状を有するように形成されると共に、トンネル部3側部のフロアパネル2下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14a,14b,14c,14dと、フロアフレーム10の後端部10a下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14e・・・と、リヤサイドフレーム12の前端部12a下面に対する前後一対かつ左右一対の取付け座14f・・・とを備え、これらの各取付座14a〜14fにはそれぞれ取付け孔15,16,17が形成されている。
【0030】
図4、図5に示すようにトンネル部3側部のフロアパネル2下面に対する左右一対の取付け座14a,14b間、14c,14d間には、リヤクロスメンバ14のトップデッキ面に対して下方に窪む凹部18が形成され、この凹部18に対応して排気管19が配設されている。
【0031】
つまり、リヤクロスメンバ14の排気管19の配設部に対応して上述の凹部18が形成されたものである。
またフロアフレーム10の後端部10a下面に対する上述の取付け座14eは、リヤクロスメンバ14のトップデッキ面に対して凹設された低位置に形成されて いる。
【0032】
さらに、リヤサイドフレーム12の前端部12a下面に対する取付け座14fは、リヤクロスメンバ14の主体部に対して若干後方に後退した位置に形成されている。
図6は図3のB-B線に相当す部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の取付け孔15に対応して、トンネル部3側部のフロアパネル2上面には予め複数のナット20が溶接固定され、このナット20に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト21を用いて、取付け座14a,14b,14c,14dがフロアパネル2に着脱可能に取付けられる。
【0033】
図7は図3のC−C線に相当する部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の取付け孔16に対応して、フロアフレーム10の後端部10aには予め複数のナット22が溶接固定され、このナット22に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト23を用いて、取付け座14eがフロアフレーム10の後端部10aに着脱可能に取付けられる。
【0034】
図8は図3のD−D線に相当する部位の断面図であって、リヤクロスメンバ14の取付け孔17に対応して、リヤサイドフレーム12の前端部12aには予め複数のナット24が溶接固定され、このナット24に下方から締付け固定する取付け部材としてのボルト25を用いて、取付け座14fがリヤサイドフレーム12の前端部12aに着脱可能に取付けられる。
【0035】
要するに、上述のリヤクロスメンバ14は、メンテナンス性を考慮して、トンネル部3側部のフロアパネル2と、フロアフレーム10の後端部10aと、リヤサイドフレーム12の前端部12aとに複数のボルト21,23,25(この実施例では合計12本のボルト)を用いて着脱可能に取付けられるものである。
【0036】
ところで、図2、図9に示すように、前述の燃料タンク13の側方のリヤフロア6の下方には、車両の前後方向に延びる排気管19が配設され、この排気管19とリヤフロア6との間には燃料タンク13の一部を延長して配設している。
つまり、燃料タンク13には略L字状に屈曲して配設される排気管19の上部とリヤフロア6の下部との間に位置するように延長部13aが一体形成され、この延長部13aの形成により、燃料タンク容量の拡大を図るように構成している。
【0037】
ここで、上述の排気管19の下流側はサイレンサ26を介してテールパイプ27に接続される一方、排気管19の上流側はトンネル部3の車外側に位置するキャタリスト28,29を介して、エンジンのエキゾーストマニボルトに接続されている。
【0038】
なお、図1において燃料タンク13の上部には凹部13bが形成され、これに対応してリヤフロア6にも凹部6bが形成されているが、図10に示すように、これらの各凹部13b,6bを省略して、この分、燃料タンク13の容量拡大を図るように構成してもよい。
【0039】
また、図2においてクロスメンバ8(いわゆるNo.2クロスメンバ)と対応する部位のトンネル部3の開放下端部には下部トンネルメンバ30が設けられている。さらに、キックアップ5に近接するリヤフロア6上方にはリヤシート31が設けられている。また、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示す。
【0040】
このように上記実施例の車両の下部車体構造は、フロアパネル(フロアパネル2とリヤフロア6との双方を含む)と、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム12とを備え、左右一対のリヤサイドフレーム12,12間に燃料タンク13が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を車幅方向に延びて両者12,12を接続するリヤクロスメンバ14を設け、上記リヤクロスメンバ14を上記燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設したものである。
【0041】
この構成によれば、上述のリヤクロスメンバ14は左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を車幅方向に連結するものであるから、車体の剛性確保を図ることができ、しかも、上述のリヤクロスメンバ14は燃料タンク13前方においてフロアパネル2の下方に配設されたものであるから、リヤクロスメンバがキックアップ部の上部背面に存在する従来構造(図11参照)と比較して、燃料タンク13の容量拡大を図ることができる。つまり、車体の剛性確保と、燃料タンク13の容量アップとの両立を図ることができ、また上述のリヤクロスメンバ14はフロアパネル2下方に配設されるので、このリヤクロスメンバ14が車室内に影響を与えることもない。
【0042】
また、上記フロアパネル2には、上記リヤクロスメンバ14の配設された位置から後方が上方に段上げされたキックアップ部5が形成され、上記キックアップ部5の下方に上記燃料タンク13が配設されたものである。
【0043】
この構成によれば、キックアップ部5の下方に燃料タンク13が配設され、かつ上述のリヤクロスメンバ14は燃料タンク13前方のフロアパネル2の下方に配設されているので、キックアップ部5の後退設定による車室内の拡大と、燃料タンク13容量の拡大との両立を図ることができる。
【0044】
さらに、上記燃料タンク13の側方のフロアパネル(リヤフロア6参照)の下方には車両の前後方向に延びる排気管19が配設され、上記排気管19とフロアパネル(リヤフロア6参照)との間には上記燃料タンク13の一部を延長(延長部13a参照)して配設したものである。
【0045】
この構成によれば、排気管19のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンク13の一部延長構造により、該燃料タンク13の容量をさらに拡大することができる。
また、上記実施例の車両の下部車体構造は、フロアパネル(フロアパネル2とリヤフロア6との双方を含む)と、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム12とを備え、左右一対のリヤサイドフレーム12,12間に燃料タンク13が配設された車両の下部車体構造であって、上記一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を車幅方向に延びて両者12,12を接続するリヤクロスメンバ14を設け、上記燃料タンク13の側方のフロアパネル(リヤフロア6参照)の下方には車両の前後方向に延びる排気管19が配設され、上記排気管19とフロアパネル(リヤフロア6参照)との間には上記燃料タンク13の一部を延長(延長部13a参照)して配設したものである。
【0046】
この構成によれば、上述のリヤクロスメンバ14は左右一対のリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間に位置し、これら一対のリヤサイドフレーム12,12を連結するものであるから、車体の剛性確保を図ることができ、また上記リヤクロスメンバ14はリヤサイドフレーム12,12の前端部相互間を連結する位置に存在し、従来のようにキックアップ部の上部背面に位置していないので、この分、燃料タンクの容量拡大を図ることができる。つまり車体剛性確保と燃料タンクの容量拡大とを両立することができる。
【0047】
しかも、排気管19のレイアウトを確保しながら、上述の燃料タンク13の一部延長構造により、該燃料タンク13の容量をさらに拡大することができる。
【0048】
加えて、上記リヤクロスメンバ14の車幅方向中間部は、フロアパネル2に沿って車両の前後方向に延びるフロアフレーム10の後端部10aと接続されたものである。
【0049】
この構成によれば、リヤクロスメンバ14とフロアフレーム10との接続構造により、その相乗効果にて、フロアフレーム10の剛性向上とリヤクロスメンバ14の剛性向上とを図ることができ、車両衝突時の荷重の分散も図れ、耐衝突性能の向上をも図ることができる。
【0050】
さらに、上記リヤクロスメンバ14には排気管19の配設部に対応して凹部18が形成されたものである。
この構成によれば、車体の剛性確保と燃料タンク13の容量拡大との両立を図ることに加えて、上記凹部18の形成により排気管19のレイアウトの容易化を達成することができる。
【0051】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のフロアパネルは、実施例のフロアパネル2、リヤフロア6に対応し、
以下同様に、
リヤフレームは、リヤサイドフレーム12に対応し、
クロスメンバは、リヤクロスメンバ14に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の車両の下部車体構造を示す側面図。
【図2】下部車体構造を示す底面図。
【図3】リヤクロスメンバの平面図。
【図4】リヤクロスメンバの斜視図。
【図5】図4のA−A線矢視断面図。
【図6】図3のB−B線に相当する部位の断面図。
【図7】図3のC−C線に相当する部位の断面図。
【図8】図3のD−D線に相当する部位の断面図。
【図9】燃料タンクおよび排気管の斜視図。
【図10】下部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【図11】従来の車両の下部車体構造を示す側面図。
【符号の説明】
【0053】
2…フロアパネル
5…キックアップ部
6…リヤフロア(フロアパネル)
10…フロアフレーム
12…リヤサイドフレーム(リヤフレーム)
13…燃料タンク
14…リヤクロスメンバ
18…凹部
19…排気管
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、
上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、
上記クロスメンバを上記燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設した
車両の下部車体構造。
【請求項2】
上記フロアパネルには、上記クロスメンバの配設された位置から後方が上方に段上げされたキックアップ部が形成され、
上記キックアップ部の下方に上記燃料タンクが配設された
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項3】
上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には、車両の前後方向に延びる排気管が配設され、
上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設した
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項4】
フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、
上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、
上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、
上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設した
車両の下部車体構造。
【請求項5】
上記クロスメンバの車幅方向中間部は、フロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるフロアフレームの後端部と接続された
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の下部車体構造。
【請求項6】
上記クロスメンバには排気管の配設部に対応して凹部が形成された
請求項3記載の車両の下部車体構造。
【請求項1】
フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、
上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、
上記クロスメンバを上記燃料タンク前方のフロアパネルの下方に配設した
車両の下部車体構造。
【請求項2】
上記フロアパネルには、上記クロスメンバの配設された位置から後方が上方に段上げされたキックアップ部が形成され、
上記キックアップ部の下方に上記燃料タンクが配設された
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項3】
上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には、車両の前後方向に延びる排気管が配設され、
上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設した
請求項1記載の車両の下部車体構造。
【請求項4】
フロアパネルと、該フロアパネル後方に左右一対で車幅方向において所定間隔を保持して車両の前後方向に延びるリヤフレームとを備え、左右一対のリヤフレーム間に燃料タンクが配設された車両の下部車体構造であって、
上記一対のリヤフレームの前端部間を車幅方向に延びて両者を接続するクロスメンバを設け、
上記燃料タンクの側方のフロアパネルの下方には車両の前後方向に延びる排気管が配設され、
上記排気管とフロアパネルとの間には上記燃料タンクの一部を延長して配設した
車両の下部車体構造。
【請求項5】
上記クロスメンバの車幅方向中間部は、フロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるフロアフレームの後端部と接続された
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の下部車体構造。
【請求項6】
上記クロスメンバには排気管の配設部に対応して凹部が形成された
請求項3記載の車両の下部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−15770(P2006−15770A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−192477(P2004−192477)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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