説明

車両の下部車体構造

【課題】フロアパネル下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された左右のフレームの間に連結部材を架設連結する車両の下部車体構造において、両フレームの間に連結部材を架設連結する際に、両フレームに対し連結部材を容易に取り付けられるようにする。
【解決手段】連結メンバ35における両フロアフレーム18,18の少なくとも一方との連結部近傍に、連結メンバ35以外の車両用部材を支持する支持ブラケット38を設ける。この支持ブラケット38に、両フロアフレーム18,18の間に連結メンバ35を架設連結する際に連結メンバ35を係合させて仮組みするための仮組み用係合部39dを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フロアパネル下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された左右のフレームの間に連結部材を架設連結する車両の下部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の下部車体構造として、特許文献1に示すようなものが知られている。すなわち、フロアパネルには、上方に突出して車両前後方向に延びるフロアトンネルが形成され、また、フロアパネルの上面には左右のクロスメンバが設けられ、さらに、フロアパネルの下面におけるフロアトンネル下部の車幅方向両側には、車両前後方向に延びるフレームがそれぞれ設けられているとともに、フロアトンネルの下面(車外側の面)には、フロアパネル上の左右のクロスメンバに対応する位置に補強メンバがそれぞれ設けられている。
【0003】
このような構成によれば、補強メンバにより下部車体剛性を向上させることができるが、車両の下部車体構造では、車幅方向のねじり剛性や下部車体剛性をより一層向上させることが望まれる。
【0004】
これに応えるべく、フロアパネル下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された左右のフレームの間に連結部材を架設連結することが考えられる。
【特許文献1】特開2005−297610号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の如く、両フレームの間に連結部材を架設連結する場合、その架設連結の際に、両フレームに対し連結部材を容易に取り付けられることが望まれる。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フロアパネル下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された左右のフレームの間に連結部材を架設連結する車両の下部車体構造において、両フレームの間に連結部材を架設連結する際に、両フレームに対し連結部材を容易に取り付けられるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、フロアパネル下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された左右のフレームの間に連結部材を架設連結する車両の下部車体構造であって、上記連結部材における上記両フレームの少なくとも一方との連結部近傍には、該連結部材以外の車両用部材を支持する支持ブラケットが設けられており、上記支持ブラケットには、上記両フレームの間に上記連結部材を架設連結する際に該連結部材を係合させて仮組みするための仮組み用係合部が設けられているものである。
【0008】
これにより、連結部材における両フレームの少なくとも一方との連結部近傍に、連結部材以外の車両用部材を支持する支持ブラケットを設けるとともに、この支持ブラケットに、両フレームの間に連結部材を架設連結する際にこの連結部材を係合させて仮組みするための仮組み用係合部を設けているので、両フレームの間に連結部材を架設連結する際に、支持ブラケットの仮組み用係合部に連結部材を仮組みすることができる。よって、連結部材仮組み用の部材を別途設けることなく、車両用部材支持用の支持ブラケットを利用して両フレームに対し連結部材を容易に取り付けることができる。
【0009】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記支持ブラケットは、上記車両用部材としてのパーキングブレーキケーブルを支持するものであることを特徴とするものである。
【0010】
これにより、連結部材仮組み用の部材を別途設けることなく、パーキングブレーキケーブル支持用の支持ブラケットを利用して両フレームに対し連結部材を容易に取り付けることができる。
【0011】
第3の発明は、上記第1又は2の発明において、上記連結部材は、上記両フレームの後端部の間に架設連結された棒状のものであることを特徴とするものである。
【0012】
これにより、自由度の高い棒状の連結部材により車幅方向のねじり剛性を向上させることができる。また、両フレームの後端部の間に架設連結された連結部材により強度不足の両フレーム後端部近傍の下部車体剛性を向上させることができる。
【0013】
第4の発明は、上記第1〜3のいずれか1つの発明において、上記連結部材には、該連結部材がプロペラシャフトの下方及び排気通路の上方を通るように屈曲部が形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
これにより、連結部材に、この連結部材がプロペラシャフトの下方及び排気通路の上方を通るように屈曲部を形成しているので、プロペラシャフトや排気通路と干渉することなく、連結部材を配置することができる。
【0015】
第5の発明は、上記第1〜4のいずれか1つの発明において、上記フロアパネルのフロアトンネル内における該フロアパネル上面に車幅方向に延設されたクロスメンバに対応する位置には、排気通路の中間位置に設けられた大径の排気浄化装置が配置されていることを特徴とするものである。
【0016】
このように、フロアパネルのフロアトンネル内におけるフロアパネル上面に車幅方向に延設されたクロスメンバに対応する位置に、排気通路の中間位置に設けられた大径の排気浄化装置を配置しているため、従来のように、フロアトンネルの下面におけるクロスメンバに対応する位置に補強メンバを設けることができない場合でも、連結部材により車幅方向のねじり剛性や下部車体剛性を向上させることができる。
【0017】
第6の発明は、上記第5の発明において、上記支持ブラケットには、上記排気浄化装置に還元剤を供給するためのパイプを支持する支持部が設けられていることを特徴とするものである。
【0018】
これにより、支持ブラケットに、排気浄化装置に還元剤を供給するためのパイプを支持する支持部を設けているので、パイプ支持用の部材を別途設けることなく、支持ブラケットを利用してパイプを支持することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、連結部材における両フレームの少なくとも一方との連結部近傍に、連結部材以外の車両用部材を支持する支持ブラケットを設けるとともに、この支持ブラケットに、両フレームの間に連結部材を架設連結する際にこの連結部材を係合させて仮組みするための仮組み用係合部を設けているので、両フレームの間に連結部材を架設連結する際に、支持ブラケットの仮組み用係合部に連結部材を仮組みすることができ、よって、連結部材仮組み用の部材を別途設けることなく、車両用部材支持用の支持ブラケットを利用して両フレームに対し連結部材を容易に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0021】
図1〜図4に示すように、車体フロアを構成するフロアパネル1の車幅方向中間部には、上方(車室側)に突出して車両前後方向に延びるフロアトンネル2が一体又は一体的に形成されており、このフロアトンネル2は、エンジンルームと車室とを車両前後方向に仕切るダッシュロアパネル(不図示)と、後述するキックアップ部3との間に亘って形成された車体剛性部材である。
【0022】
図1、図3に示すように、フロアパネル1の車幅方向(車両左右方向)両側には、車両前後方向に延びるサイドシル6,6がそれぞれ接続されており、このサイドシル6は、サイドシルインナとサイドシルアウタとが接合してなり、かつ車両前後方向に延びる閉断面を有する車体剛性部材である。
【0023】
図1〜図3に示すように、フロアパネル1の上面には、フロアトンネル2とサイドシル6とを車幅方向に連結する左右分割構造の前側及び後側クロスメンバ7,7,8,8が車両前後方向に所定の間隔を隔ててそれぞれ設けられている。前側クロスメンバ7,7は、フロアトンネル2を挟んで車幅方向に一直線状に並設されており、この前側クロスメンバ7とフロアパネル1との間には、車幅方向に延びる閉断面が形成されている。後側クロスメンバ8,8も、フロアトンネル2を挟んで車幅方向に一直線状に並設されており、この後側クロスメンバ8とフロアパネル1との間にも、車幅方向に延びる閉断面が形成されている。
【0024】
フロアパネル1の後部には、キックアップ部3を介して車両後方に延びるリアフロアパネル4が一体的に連設形成されており、このリアフロアパネル4の後部中央には、スペアタイヤパン5が段下げ形成されている。リアフロアパネル4の上面におけるスペアタイヤパン5の車両前方近傍には、車幅方向に延びるリアクロスメンバ11が接合されており、このリアクロスメンバ11とリアフロアパネル4との間には、車幅方向に延びる閉断面が形成され、このことで、後部車体剛性の向上が図られている。
【0025】
図3に示すように、フロアパネル1の下面におけるフロアトンネル2下部の車幅方向両側には、車両前後方向に延びるトンネルメンバ16,16がそれぞれ設けられており、このトンネルメンバ16とフロアパネル1との間には、車両前後方向に延びる閉断面が形成されている。
【0026】
フロアパネル1下面の車幅方向両側、詳しくは、フロアパネル1の下面における左右のサイドシル6,6と左右のトンネルメンバ16,16との間には、車両前後方向に延びる横断面略ハット状のフロアフレーム18,18がそれぞれ設けられており、このフロアフレーム18とフロアパネル1との間には、車両前後方向に延びる閉断面が形成されている。左右のフロアフレーム18,18は、エンジンルームの車幅方向両側を車両前後方向にそれぞれ延びる左右のフロントサイドフレーム(不図示)と車両前後方向に連続する車体剛性部材である。フロアフレーム18は、図5〜図7に示すように、底板部18aと、この底板部18aの車幅方向両端から上方にそれぞれ延びる一対の側板部18b,18bと、これらの側板部18b,18bの上端から車幅方向外側にそれぞれ延びてフロアパネル1の下面に固定された固定板部18c,18cとを有している。底板部18aの後端部は、車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜しており、そこには、ボルト挿通用の挿通孔18d(図7参照)が形成されている。
【0027】
図2、図3に示すように、キックアップ部3の下側には、リアクロスメンバ12が接合固定されており、このリアクロスメンバ12とキックアップ部3との間には、車幅方向に延びる閉断面が形成されている。
【0028】
図5〜図8に示すように、リアクロスメンバ12下面の車幅方向両側には、車両前後方向に延びる横断面略ハット状のサブフレーム13,13がそれぞれ設けられており、このサブフレーム13とリアクロスメンバ12との間には、車両前後方向に延びる閉断面が形成されている。サブフレーム13は、その下方からフロアフレーム18の後端部で覆われるように、リアクロスメンバ12とフロアフレーム18との間に介在配置されている。サブフレーム13は、底板部13aと、この底板部13aの車幅方向両端から上方にそれぞれ延びる一対の側板部13b,13bと、これらの側板部13b,13bの上端から車幅方向外側にそれぞれ延びてリアクロスメンバ12の下面に固定された固定板部13c,13cとを有している。底板部13aは、車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜しており、その中央部には、フロアフレーム18の挿通孔18dと対応する位置にボルト挿通用の挿通孔13dが形成されている。尚、図3では、図を見易くするため、サブフレーム13の図示を省略している。
【0029】
図2、図3に示すように、リアフロアパネル4下面の車幅方向両側には、車両前後方向に延びるリアサイドフレーム14,14がそれぞれ接合固定されており、このリアサイドフレーム14とリアフロアパネル4との間には、車両前後方向に延びる閉断面が形成されている。
【0030】
図3に示すように、リアフロアパネル4下面の車両前後方向中間部には、左右のリアサイドフレーム14,14を車幅方向に連結するリアクロスメンバ15が設けられており、このリアクロスメンバ15とリアフロアパネル4との間には、車幅方向に延びる閉断面が形成されている。
【0031】
そして、リアフロアパネル4上のリアクロスメンバ11と、キックアップ部3下面のリアクロスメンバ12と、リアフロアパネル4下面のリアサイドフレーム14,14及びリアクロスメンバ15とにより、後部車体剛性の向上が図られている。
【0032】
図1〜図4に示すように、フロアトンネル2の下方には、エンジンと連結されたトランスミッションの出力をリアディファレンシャルを介して後輪に伝達するプロペラシャフト20が車両前後方向に指向させて配置されている。
【0033】
フロアトンネル2には、車両右方かつ上方に膨出する膨出部2aが一体形成されており、この膨出部2aの下方(フロアトンネル2の下方におけるプロペラシャフト20の車両右側)には、図3に示すように、排気通路21が配設されている。この排気通路21は、エンジンの排気マニホルド近傍に配置されたキャタリスト(所謂直キャタ)22と、このキャタリスト22の下流側に設けられ、酸化触媒及び所謂DPFを有する触媒コンバータ23と、この触媒コンバータ23の下流側に設けられ、所謂SCR(Selective Catalytic Reductionの略。選択接触還元)触媒を有する大径の排気浄化装置24と、この排気浄化装置24の下流側に設けられ、リアフロアパネル4後部下面の車両右側に配置されたサイレンサ25と、このサイレンサ25の下流側に設けられたテールパイプ26と、キャタリスト22と触媒コンバータ23とを接続する第1排気管27と、触媒コンバータ23と排気浄化装置24とを接続する第2排気管28と、排気浄化装置24とサイレンサ25とを接続する第3排気管29とを備えている。
【0034】
排気浄化装置24は、フロアトンネル2内の後部(フロアトンネル2の後部下側)における右側の後側クロスメンバ8に対応する位置に配設されていて、その外径が第1〜第3排気管27〜29の外径よりも大きくなっている。排気浄化装置24は、尿素を排気浄化用の還元剤として用いるものである。つまり、排気浄化装置24では、SCR触媒に尿素(CO(NH)水溶液を供給し、その供給された尿素水溶液を排気熱により加水分解してアンモニア(NH)に変換し、このアンモニアにより排気中のNOをSCR触媒上で還元して人体に無害な窒素(N)及び水(HO)に変換するようになっている。そして、排気浄化装置24のSCR触媒に尿素水溶液を供給するため、リアフロアパネル4後部下面の車両左方(サイレンサ25の車両左方)に、尿素水溶液を収容する尿素タンク30を設けるとともに、第2排気管28の下流部分に、尿素タンク30からの尿素水溶液を排気通路21内に噴射するインジェクター31を取り付け、フロアパネル1及びリアフロアパネル4の下面(車両下面)側に、尿素タンク30とインジェクター31とを繋ぐ、可撓性を有する長尺の尿素水溶液供給用パイプ32(以下、単にパイプ32という)を配索している。
【0035】
図3、図4に示すように、両フロアフレーム18,18の後端部の間には、金属パイプからなる連結メンバ(連結部材)35が車幅方向に架設連結されており、この連結メンバ35の車両右側には、該連結メンバ35がプロペラシャフト20の下方及び第3排気管29の上方を通るように、上方に滑らかに湾曲する屈曲部35aが形成されている。
【0036】
図3、図5、図6に示すように、連結メンバ35の車幅方向両端部には、取付ブラケット36,36がそれぞれ固定されており、この取付ブラケット36は、車幅方向に延びて連結メンバ35に溶接された横断面U字状の固定板部36aと、この固定板部36aの車幅方向外側端から車幅方向外側に延びる係合部36bとを有している。この係合部36bは、車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜板部36cと、この傾斜板部36cの前後端からそれぞれ垂下する垂下板部36d,36dとを有しており、傾斜板部36cの前部にはボルト挿通用の挿通孔(不図示)が、後部には矩形状の係合孔36fが形成されている。
【0037】
図5〜図7に示すように、連結メンバ35における両フロアフレーム18,18との連結部近傍には、パーキングブレーキ装置のパーキングブレーキケーブル(車両用部材)37,37を支持する支持ブラケット38,38がそれぞれ設けられており、この支持ブラケット38は、リアフロアパネル4の下面に固定された第1ブラケット構成部材39と、この第1ブラケット構成部材39に結合された第2ブラケット構成部材40とを有している。尚、連結メンバ35における右側フロアフレーム18との連結部近傍の構造は、連結メンバ35における左側フロアフレーム18との連結部近傍の構造とほぼ同様の構成であるため、その詳細な図示は省略している。また、図3では、図を見易くするため、パーキングブレーキ37や支持ブラケット38の図示を省略している。
【0038】
パーキングブレーキ装置は、フロアトンネル2に取り付けられたパーキングレバー(不図示)を有しており、このパーキングブレーキレバーには、一対のパーキングブレーキケーブル37,37の前端部(一端部)が接続され、その後端部(他端部)は左右の後輪(不図示)におけるブレーキシューのパーキングレバーにそれぞれ接続されている。パーキングブレーキケーブル37は、支持ブラケット38や、車両下面に設けられた他の支持ブラケット41,42(図5参照)によって保持されている。
【0039】
第1ブラケット構成部材39は、車両前後方向かつ上下方向に延びて下端が車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜する鉛直板部39aと、この鉛直板部39aの上端の車両前後方向両端部から車幅方向外側にそれぞれ延びてリアフロアパネル4の下面に溶接された2つの固定板部39b,39bと、鉛直板部39aの下端から車幅方向内側に延びて車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜板部39cとを有している。鉛直板部39aの車幅方向外側の面には、パイプ32を差し込んで内嵌支持する二股状のクリップ(支持部)43が車幅方向外側に突出するように取り付けられている。
【0040】
傾斜板部39cの前端部にはボルト挿通用の挿通孔39iが、中央部には係合孔39jが形成されている。傾斜板部39cの後部の車幅方向内側端には、両フロアフレーム18,18の間に連結メンバ35を架設連結する際に該連結メンバ35を係合させて仮組みするための仮組み用係合部39dが車幅方向内側に延びるように設けられており、この仮組み用係合部39dは、傾斜板部39cから車幅方向内側かつ車両前方に延びて車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜板部39eと、この傾斜板部39eの前部の車幅方向内側端から斜め下後方に突起するL字状の係合突起部39fとを有している。この係合突起部39fは、傾斜板部39eから斜め下後方に延びる第1鉛直板部39gと、この第1鉛直板部39gの下部の後端から斜め上後方にかつ第1鉛直板部39gに対し略直角に延びる第2鉛直板部39hとを有している。
【0041】
そして、両フロアフレーム18,18に対し連結メンバ35を取り付ける際には、まず、係合突起部39fに連結メンバ35の取付ブラケット36の係合孔36fを引っ掛けて係合させることで、仮組み用係合部39dに連結メンバ35を仮取付けする。このように仮組み用係合部39dに連結メンバ35を仮組みした後、そのままの状態で、連結メンバ35の取付ブラケット36の挿通孔、フロアフレーム18の挿通孔18d及びサブフレーム13の挿通孔13dに挿通したボルト44並びにナット(不図示)によって、フロアフレーム18の後端部に連結メンバ35をボルト締めする。以上のようにして、両フロアフレーム18,18の間に連結メンバ35が架設連結される。
【0042】
第2ブラケット構成部材40は、車両前方から後方に行くに従って上方に傾斜する傾斜板部40aと、この傾斜板部40aの後端から斜め下後方にとともにかつ傾斜板部40aに対し略直角に延びる支持板部40bとを有している。傾斜板部40aの前部にはボルト挿通用の挿通孔(不図示)が、後部には矩形状の開口40dが形成されている。この開口40dの前端縁部には、上方に延びる係合爪40eが形成されている。支持板部40bは、車幅方向内側に若干傾いていて、その先端部が車両後方側に折り曲げられており、この折り曲げ部40fの内部にパーキングブレーキケーブル37が挿通支持されている。そして、傾斜板部40aの係合爪40eを第1ブラケット構成部材39の係合孔39jに係合した状態で、傾斜板部40aの挿通孔及び第1ブラケット構成部材39の挿通孔39iに挿通したボルト45並びにナット(不図示)によって、第1ブラケット構成部材39の傾斜板部39cに第2ブラケット構成部材40の傾斜板部40aをボルト締めすることで、第1ブラケット構成部材39に第2ブラケット構成部材40が結合される。
【0043】
−効果−
以上により、本実施形態によれば、連結メンバ35における両フロアフレーム18,18との連結部近傍に、連結メンバ35以外の車両用部材としてのパーキングブレーキケーブル37を支持する支持ブラケット38,38をそれぞれ設けるとともに、この支持ブラケット38に、両フロアフレーム18,18の間に連結メンバ35を架設連結する際にこの連結メンバ35を係合させて仮組みするための仮組み用係合部39dを設けているので、両フロアフレーム18,18の間に連結メンバ35を架設連結する際に、支持ブラケット38の仮組み用係合部39dに連結メンバ35を仮組みすることができる。よって、連結メンバ仮組み用の部材を別途設けることなく、パーキングブレーキケーブル支持用の支持ブラケット38を利用して両フロアフレーム18,18に対し連結メンバ35を容易に取り付けることができる。
【0044】
また、自由度の高い棒状の連結メンバ35により車幅方向のねじり剛性を向上させることができる。その上、両フロアフレーム18,18の後端部の間に架設連結された連結メンバ35により強度不足の両フロアフレーム18,18後端部近傍の下部車体剛性を向上させることができる。
【0045】
さらに、連結メンバ35に、この連結メンバ35がプロペラシャフト20の下方及び排気通路21の上方を通るように屈曲部35aを形成しているので、プロペラシャフト20や排気通路21と干渉することなく、連結メンバ35を配置することができる。
【0046】
さらにまた、フロアパネル1のフロアトンネル2内におけるフロアパネル1上面に車幅方向に延設された後側クロスメンバ8に対応する位置に、排気通路21の中間位置に設けられた大径の排気浄化装置24を配置しているため、従来のように、フロアトンネル2の下面における後側クロスメンバ8に対応する位置に補強メンバを設けることができない場合でも、連結メンバ35により車幅方向のねじり剛性や下部車体剛性を向上させることができる。
【0047】
また、支持ブラケット38に、排気浄化装置24に還元剤を供給するためのパイプ32を支持するクリップ43を設けているので、パイプ支持用の部材を別途設けることなく、支持ブラケット38を利用してパイプ32を支持することができる。
【0048】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、連結メンバ35を両フロアフレーム18,18の間に架設連結しているが、フロアパネル1下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された、フロアフレーム18,18以外の左右のフレームの間に架設連結してもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、連結メンバ35における両フロアフレーム18,18との連結部近傍に支持ブラケット38,38をそれぞれ設けているが、両フロアフレーム18,18のいずれか一方との連結部近傍にのみ支持ブラケット38を設けてもよい。
【0050】
さらに、上記実施形態では、支持ブラケット38に仮組み用係合部として傾斜板部39e及び係合突起部39fを設けているが、両フロアフレーム18,18の間に連結メンバ35を架設連結する際に連結メンバ35を係合させて仮組みすることができる限り、如何なる構成であってもよい。例えば、支持ブラケット38に仮組み用係合部として係合孔を形成してもよい。この場合、連結メンバ35にその係合孔に係合する係合突起部を設ける。
【0051】
さらにまた、上記実施形態では、連結メンバ35に別部材としての取付ブラケット36を取り付けているが、連結メンバ35に取付ブラケット36を一体に形成してもよい。
【0052】
また、上記実施形態では、支持ブラケット38にパーキングブレーキケーブル37を支持しているが、これに限らず、例えば、ブレーキパイプや燃料パイプを支持してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、連結メンバ35をパイプで構成しているが、これに限らず、例えば、中実棒状の部材で構成してもよい。
【0054】
さらにまた、上記実施形態では、連結メンバ35を両フロアフレーム18,18の後端部の間に架設連結しているが、両フロアフレーム18,18の後端部以外の部分の間に架設連結してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、本発明に係る支持部をクリップ43で構成しているが、パイプ32を支持することができる限り、如何なるもので構成してもよい。
【0056】
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
【0057】
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示すものであって、明細書には何ら拘束されない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように、本発明にかかる車両の下部車体構造は、フロアパネル下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された左右のフレームの間に連結部材を架設連結する際に、両フレームに対し連結部材を容易に取り付けられるようにする用途等に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施形態に係る車両の下部車体構造の概略平面図である。
【図2】車両の下部車体構造を上方から見た概略斜視図である。
【図3】車両の下部車体構造の概略底面図である。
【図4】連結メンバとプロペラシャフト及び排気通路との位置関係を示す概略断面図である。
【図5】連結メンバにおける左側フロアフレームとの連結部近傍を下方から見た斜視図である。
【図6】連結メンバにおける左側フロアフレームとの連結部近傍を下方から見た斜視図である。
【図7】取付ブラケット及び第2ブラケット構成部材を取り外した状態の図6相当図である。
【図8】フロアフレーム等を取り外した状態における車両の下部左側車体構造を下方から見た斜視図である。
【符号の説明】
【0060】
1 フロアパネル
2 フロアトンネル
18 フロアフレーム
20 プロペラシャフト
21 排気通路
24 排気浄化装置
32 パイプ
35 連結メンバ(連結部材)
35a 屈曲部
37 パーキングブレーキケーブル(車両用部材)
38 支持ブラケット
39d 仮組み用係合部
43 クリップ(支持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネル下面の車幅方向両側に車両前後方向にそれぞれ延設された左右のフレームの間に連結部材を架設連結する車両の下部車体構造であって、
上記連結部材における上記両フレームの少なくとも一方との連結部近傍には、該連結部材以外の車両用部材を支持する支持ブラケットが設けられており、
上記支持ブラケットには、上記両フレームの間に上記連結部材を架設連結する際に該連結部材を係合させて仮組みするための仮組み用係合部が設けられていることを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項2】
請求項1記載の車両の下部車体構造において、
上記支持ブラケットは、上記車両用部材としてのパーキングブレーキケーブルを支持するものであることを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両の下部車体構造において、
上記連結部材は、上記両フレームの後端部の間に架設連結された棒状のものであることを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両の下部車体構造において、
上記連結部材には、該連結部材がプロペラシャフトの下方及び排気通路の上方を通るように屈曲部が形成されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の車両の下部車体構造において、
上記フロアパネルのフロアトンネル内における該フロアパネル上面に車幅方向に延設されたクロスメンバに対応する位置には、排気通路の中間位置に設けられた大径の排気浄化装置が配置されていることを特徴とする車両の下部車体構造。
【請求項6】
請求項5記載の車両の下部車体構造において、
上記支持ブラケットには、上記排気浄化装置に還元剤を供給するためのパイプを支持する支持部が設けられていることを特徴とする車両の下部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−52476(P2010−52476A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216915(P2008−216915)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】