説明

車両の側面衝突判定方法及び側面衝突判定装置

【課題】 高速斜め側面衝突と低速ほぼ真横衝突とを識別してサイドエアバッグを適切に展開制御する。
【解決手段】 車両の側方から加わる加速度を検出する加速度センサ10の出力を区間積分し、この区間積分値IGが予め設定した下限しきい値ThLと上限しきい値ThHの間に停滞する期間が、予め設定した一定期間を越える場合は、緩慢な車両移動を引き起こす斜め側方衝突と判定し、斜め衝突信号に応答する総合判定ブロック17が、急激な車両移動を引き起こすほぼ真横からの側面衝突と区別し、サイドエアバッグの作動可否条件を適切に切り替えることができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の側面衝突時に車両のほぼ真横から受ける側面衝突とドアへの側面斜め衝突とを区別し、衝突形態に応じた的確な乗員側方保護を可能にした車両の側面衝突判定方法及び側面衝突判定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】側方エアバッグ・システムは、先行実施されてきた前方エアバッグ・システムとシステム構成上の若干の違いはあるが、その基本動作は殆ど同じである。側方エアバッグ・システムの場合、ドアパネルやシート側面などにエアバッグが埋め込んであり、側面衝突により車両が一定限度を越える側面方向の衝撃を受けた時に衝突判定装置が展開信号を発し、スクイブと呼ばれる起爆素子に動作電流を通電して、エアバッグを展開させる構成とされており、展開したエアバッグがドアパネルと乗員との間に介在して緩衝機能を果たすようになっている。
【0003】しかしながら、エアバッグの展開が必要とされる展開時間を支配する要因は、側方エアバッグと前方エアバッグとでは異なる点も多く、乗員正面方向に比べ側面方向は乗員室内空間が狭く、また前面衝突の場合、衝突時に乗員と乗員室内構造物との空間を狭める要因が、主に慣性力による乗員の移動であるのに対し、側面衝突の場合は、慣性力による乗員の移動とともに車両側面構造物の乗員室内への侵入(イントルージョン)が加わるといった理由から、前方エアバッグに比べて側方エアバッグの方は衝突開始後短時間での展開が必要とされ、高速衝突時には数msという極短時間での衝突判定が要求される。そこで、こうした要求に応え、側面衝突の判定を高速に行うため、例えばドア内に機械的に接点を閉じる圧縮スイッチを設置し、ドアの変形圧縮を感知することで側面衝突の判定を行うなどの試みが従来からなされてきた。
【0004】ただし、側面衝突判定を高速化するためドア内に機械的に接点を閉じる圧縮スイッチを配設して衝突判定を行う試みは、圧縮スイッチ位置以外の箇所への衝突時に、乗員に傷害が及ぶ場合でも衝突判定がなされないことがあり、また圧縮スイッチ位置への衝突の場合、乗員に傷害が及ばない軽量物の衝突によるドア変形圧縮によって誤判定を下しやすいという課題があった。そこで、前面衝突判定と同様に側面衝突判定にも、加速度センサにより検出された加速度信号に基づく衝突判定方法が研究されるようになった。本出願人は、衝突時に車両構造部材に発生する複数の場所の速度変化量を総合して判断し、多種多様な側面衝突に対して衝突判定能力を備える手法を模索してきた。例えば、車両側面変形と車両移動の両方が観測される場所(例えば、Bピラー下側やサイドシル等)と車両の側面変形が及ばず車両移動のみが観測される場所(例えばセンタートンネル)に衝突判定ユニットを設け、両方のユニットから各種情報を得て総合的に衝突判定する装置の試作或いは改良を続けてきた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、試作された従来の側面衝突判定装置は、中速衝突判定部において、ほぼ真横から受ける側面衝突判定のためのしきい値をより高い速度まで非判定とするよう引き上げると、特に早期乗員保護要求が至上命題である高速判定が困難とされてきたドアへの高速側面斜め衝突判定が遅れがちであった。例えば、図8(A)に示すような前席ドアへの前方からの側面斜め衝突については、斜め衝突してくる車両の前端角がドア表面を滑りながら変形を及ぼし、インナパネルを乗員室内に侵入させながら進んでくる。その間車両は、側面方向に僅かばかり緩やかに移動するが、やがてBピラーに衝突した時に大きく移動する。つまり、車両側面の比較的剛性の弱いドアに集中的に衝突してくる側面衝突事象の場合、Bピラーやサイドシル等の側面構造部材に衝突する前のドア変形侵入により乗員が傷害を受けてしまうため、この段階での衝突判定と側方エアバッグ展開が理想的な乗員保護への鍵となるが、この時間内ではBピラー下側やサイドシル等の側面部及びセンタートンネル等の中央部の構造部材には僅かな衝撃しか及ばず、側面変形及び側面移動を検出するのが困難であった。またこれとは逆に、図8(B)に示したほぼ真横からの低速側面衝突については、側面構造部材(主にBピラー)により乗員室が保護される程度の衝撃なので、車室内への変形侵入はごく僅かであるが、その分車両が急激に横移動する。これは、例えば図9(A)、(B)に示したように、車両側面ユニットで観測される速度変化量(加速度の区間積分値)も車両中央ユニットで観測される速度変化量も、高速斜め側面衝突での乗負保護に必要な判定時間Tの期間内で見たときに、全期間又はそれに近い期間において高速斜め側面衝突の方がほぼ真横からの低速側面衝突を下回っており、このため加速度の区間積分値をただ単に所定のしきい値を基準に比較しただけでは、この判定時間T内で高速斜め側面衝突を「判定」とし、ほぼ真横からの低速側面衝突を「非判定」とすることができないという事情によるものであった。
【0006】本発明は、上記課題を解決したものであり、急激な車両移動をもたらす車両のほぼ真横からの低速側面衝突と、車両移動が緩やかに起きる斜め側面衝突とをそれぞれの事象の傾向を捕らえて的確に識別し、乗員拘束具を適切に作動できるようにすることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、本発明の車両の側面衝突判定方法は、車両の側方から加わる加速度を検出し、該加速度を区間積分し、該区間積分値が予め設定した下限しきい値と上限しきい値の間に停滞する期間を計測し、該期間が予め設定した一定期間を越える場合は、緩慢な車両移動を引き起こす側面斜め衝突の可能性を、急激な車両移動を引き起こすほぼ真横からの側面衝突とは識別して認識し、乗員拘束具の作動可否条件を切り替えることを特徴とするものである。
【0008】また、本発明の車両の側面衝突判定方法は、前記加速度の区間積分値が下限しきい値を越えてから上限しきい値を越すまでを観測帯内停滞と判定し、該観測帯内停滞の持続期間が予め設定されたしきい値を越えるときに、前記斜め衝突判定を下すこと、或いは前記乗員拘束具の作動可否条件の切り替えは、車両変形と車両移動の両方が観測される位置に配設した車両側面ユニット及び車両変形の影響が及ばず車両移動にのみ起因する加速度が検出できる位置に配設した車両中央ユニットから各種衝突判別出力に基づいて行われ、前記斜め衝突信号が供給されない場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの中速衝突判別出力の論理積又は車両側面ユニットからの中速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件とし、前記斜め衝突信号が供給された場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件に加えることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明の車両の側面衝突判定装置は、車両の側方から加わる加速度を検出する加速度センサと、該加速度センサの出力を区間積分する区間積分器と、該区間積分器の区間積分値が予め設定した下限しきい値と上限しきい値の間に停滞する期間を計測し、該期間が予め設定した一定期間を越える場合は、緩慢な車両移動を引き起こす側面斜め衝突を示す斜め衝突信号を出力する斜め衝突判定手段と、該斜め衝突判定手段の斜め衝突信号に応答し、急激な車両移動を引き起こすほぼ真横からの側面衝突と前記側面斜め衝突とを識別し、乗員拘束具の作動可否条件を切り替える総合判定手段とを具備することを特徴とするものである。
【0010】また、本発明の車両の側面衝突判定装置は、前記斜め衝突判定手段が、前記加速度の区間積分値が下限しきい値を越えてから上限しきい値を越すまでを観測帯内停滞と判定し、該観測帯内停滞の持続期間が予め設定されたしきい値を越えるときに、前記斜め衝突判定を下すこと、或いは前記総合判定手段が、車両変形と車両移動の両方が観測される位置に配設した車両側面ユニット及び車両変形の影響が及ばず車両移動にのみ起因する加速度が検出できる位置に配設した車両中央ユニットから各種衝突判別出力が供給され、前記斜め衝突信号が供給されない場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの中速衝突判別出力の論理積又は車両側面ユニットからの中速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件とし、前記斜め衝突信号が供給された場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件に加えること等を特徴とするものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について図1から図7を参照して説明する。図1は、本発明の車両の側面衝突判定装置の一実施形態を示す概略構成図、図2は、図1に示した斜め衝突判定ブロックの回路構成図、図3は、図1に示した総合判定ブロックによる衝突判定領域を示す図、図4は、高速斜め側面衝突時の図2に示した回路各部の信号波形図、図5は、ほぼ真横からの低速側面衝突時の図2に示した回路各部の信号波形図、図6は、図4,5の事例とは異なる側面衝突時の図2R>2に示した回路各部の信号波形図、図7は、図2に示した斜め衝突判定ブロックの機能をソフトウェアにより実現した場合の動作フローを示すフローチャートである。
【0012】図1に示す側面衝突判定装置51は、側面衝突を受ける側の車両の側面変形量と移動量の少なくとも一方をもたらす加速度が検出できる位置、例えばBピラーの下側やサイドシル(別名サイドメンバ)又はクロスメンバの外側等の車両両側に配置した車両側面ユニット51s(ただし、片側のみ図示)と、側面衝突を受ける側の何れかに係わらず車両の移動量のみに起因する加速度を検出できる位置、例えばセンタートンネル等に配置した車両中央ユニット51cとから構成される。なお、車両中央ユニット51cは、車両の横方向軸(Y軸)以外に車両の縦方向軸(X軸)の加速度も別途検出し、車両前方衝突の衝突判定を併せ行うような構成も可能である。また、側面衝突を受ける側と反対側では車両中央ユニット51cで検出できる加速度と同様、車両の移動量のみに起因する成分が検出されることが衝突実験結果から分かっている。
【0013】車両の左右に配設した車両側面ユニット51sは、同一構成をなす。衝突側の車両側面ユニット51sは、高速衝突判定Aブロック4と中速衝突判定Aブロック5と低速衝突判定Aブロック6という判定レベルの異なる3つのブロックを有しており、3種類の判定信号S1〜S3を車両中央ユニット51cに供給する。これらの3ブロックは、加速度センサ1の出力を、折り返し誤差除去用のローパスフィルタ2とAD変換器3を介して供給される。加速度センサ6としては、例えばピエゾ抵抗変化を利用する応力歪みゲージを半導体基板上に組み込んだものや、静電容量型半導体加速度センサ、或いは圧電素子を用いた加速度センサ等が用いられる。
【0014】上記3ブロック4〜6は、いずれもAD変換器3が出力する離散値加速度データGs(k)に基づいて算出した各ブロックに固有の衝突判定用演算値を所定のしきい値をもってしきい判別し、得られた各しきい値判別出力をそれぞれ一定時間に亙って持続するパルスに変え、第1種から第3種までの判定信号S1〜S3として車両中央ユニット51cに供給する。
【0015】ところで、各衝突判定ブロック4〜6の衝突判定用演算は任意であるが、ここでは区間積分法に基づく衝突判定を例に説明する。高速衝突判定Aブロック4には、車両側方構造物の激しい変形侵入を伴うような高速側面衝突などを短時間で判定できる区間積分幅と判定用しきい値が設定してあり、しきい値を越える区間積分値が得られた場合に、高速側面衝突等の判定を示す判定信号S1が出力される。なお、区間積分幅と判定用しきい値は、異なる尺度に従って選定された数値を複数組設定することもできる。また、中速衝突判定Aブロック5には、ほぼ真横からの中速側面衝突を判定とし、ほぼ真横からの低速側面衝突を非判定とする区間積分幅及び判定用しきい値が設定してあり、しきい値を越える区間積分値が得られた場合に、中速側面衝突等の判定を示す判定信号S2が出力される。なお、区間積分幅と判定用しきい値は、異なる尺度に従って選定された数値を複数組設定することもできる。また、低速衝突判定Aブロック6には、中速衝突判定Aブロック5よりもさらに低いしきい値が設定してあり、高速斜め側面衝突等のようなドアに集中的に衝突してくる側面衝突事象や車両側面ユニット位置より離れた車両側面構造物に衝突するような事象についても比較的早期に判定できるしきい値で、例えば悪路走行を非判定とできるようなしきい値が設定してあり、しきい値を越える区間積分値が得られた場合に、低速側面衝突等の判定を示す判定信号S3が出力される。なお、この低速衝突判定Aブロック6についても、区間積分幅と判定用しきい値として異なる尺度に従って選定された数値を複数組設定することができる。
【0016】車両中央ユニット51cは、高速衝突判定Bブロック13と中速衝突判定Bブロック14と低速衝突判定Bブロック15と斜め衝突判定ブロック16の4つのブロックを有しており、各ブロックが4種の判定信号C1〜C4を出力する。これらの4ブロックは、加速度センサ10の出力を、折り返し誤差除去用のローパスフィルタ11とAD変換器12を介して供給される。また、4ブロックのうちの3ブロック13〜15は、いずれもAD変換器12が出力する離散値加速度データGc(k)に基づいて算出した各ブロックに固有の衝突判定用演算値を所定のしきい値をもってしきい値判別し、得られた各しきい値判別出力をそれぞれ一定時間に亙って持続するパルスに変え、判定信号C1〜C3を出力する。また、これらの衝突判定ブロック13〜15も、衝突判定用演算は任意に採用できるが、ここでは区間積分法により衝突判定する場合を例に説明する。
【0017】高速衝突判定Bブロック13は、車両側方構造物の激しい変形侵入を伴うような衝突判定時間に見合った比較的短区間の積分値を低いしきい値で判定するよう設定してある。ただし、区間積分幅及び対応するしきい値は、異なる尺度に従って選定された数値を複数組設定するようにしてもよい。なお、ここで低いしきい値を採用したのは、車両側方構造物の激しい変形侵入を伴うような衝突の場合、車両側面の変形侵入を経て車両が横移動を開始するため、横移動を開始し始めるまである程度待たないと十分な速度変化が観察できないからである。しきい値を越える区間積分値が得られると、低しきい値判定を示す判定信号C1が出力される。また、中速衝突判定Bブロック14は、ほぼ真横からの中速側面衝突を「判定」とし、ほぼ真横からの低速側面衝突を「非判定」とする区間積分幅及び判定用しきい値が設定してある。ただし、積分区間幅及び対応するしきい値は、異なる尺度に従って設定された数値を復数組設定するようにしてもよい。しきい値を越える区間積分値が得られると、中速側面衝突判定等の判定を示す判定信号C2が出力される。低速衝突判定Bブロック15は、車両が横移動するような衝突事象を「判定」とし、強いドア閉めや誤用及び軽量物が衝突するような事象を「非判定」とするしきい値が設定してある。ただし、区間積分幅及び対応するしきい値は、異なる尺度に従って選定された数値を複数組設定するようにしてもよい。しきい値を越える区間積分値が得られると、低速側面衝突判定等を示す判定信号C3が出力される。
【0018】斜め衝突判定ブロック16の細部を、図2を参照して説明する。斜め衝突判定ブロック16は、AD変換器12からの離散値加速度データGc(k)を一定区間(ここでは、例えば3ms)に亙って区間積分する区間積分器20と、区間積分器20が出力する区間積分値IGが下限しきい値ThLを越えてから上限しきい値ThHを越すまで観測帯内停滞信号WHを出力する区間積分値推移出力回路21と、区間積分値推移出力回路21が出力する観測帯内停滞信号WHの履歴を監視し、この観測帯内停滞信号WHが過去一定時間(ここでは、例えば7ms)幅の中でどの位の時間推移していたかを示す履歴判定信号を出力し、その値をしきい値と比較する履歴判定回路22と、履歴判定回路22から出力される履歴判定信号によってトリガされ所定期間(例えば、30ms)に亙って持続するパルスを斜め衝突信号として出力する斜め衝突信号出力回路23とから構成される。ここに例示した斜め衝突信号出力回路23は、履歴判定信号によりトリガされて30msに亙って持続するワンショット回路23aと、ワンショット回路23aの出力と履歴判定信号との論理和をとるオアゲート23bとから構成される。また、本実施形態では、サンプリング周期を0.5msとしてあるため、履歴判定回路22は、サンプル数に換算して現在から過去14点までのサンプルを履歴監視し、4.5ms以上すなわち9点を越えるサンプルが得られた場合に、履歴判定信号を出力する。
【0019】車両中央ユニット51c内には、上記4ブロック13〜16の外に総合判定ブロック17が設けられており、前記4種類の判定信号C1〜C4と衝突側の車両側面ユニット51sから供給される3種類の判定信号S1〜S3に基づいて論理判断を行い、最終的に衝突を受けた側の側方エアバッグを展開させる衝突判定信号を出力するようになっている。総合判定ブロック17内に設けた第1のアンドゲート30は、判定信号S1とC1の論理積をとり、その出力を最終段のオアゲート34に供給する。従って、車両側面ユニット51sにて激しい変形侵入が判定され、かつ車両中央ユニット51cにて僅かな車両移動の速度変化量が判定されたときに、衝突判定が下される。第2のアンドゲート31は、判定信号S3とC2の論理積をとり、その出力を最終段のオアゲート34に供給する。従って、車両側面ユニット51sにてある程度の変形侵入か又は車両移動の少なくとも一方が判定され、かつ車両中央ユニット51cにて中程度の車両移動の速度変化量が判定されたときに、衝突判定が下される。また、第3のアンドゲート32は、判定信号S2とC3の論理積をとり、その出力を最終段のオアゲート34に供給する。従って、車両側面ユニット51sにて中程度の変形侵入か又は車両移動の少なくとも一方が判定され、かつ車両中央ユニット51cにて側面衝突に相応する車両移動の速度変化量が判定されたときに、衝突判定が下される。第4のアンドゲート33は、判定信号S3とC3及びC4の論理積をとり、その出力を最終段のオアゲート34に供給する。従って、車両側面ユニット51sにてある程度の変形侵入が判定され、かつ車両中央ユニット51cにて側面衝突に相応する車両移動の速度変化量が判定され、なおかつ斜め衝突が判定されたときに、衝突判定が下される。
【0020】図3は、上記総合判定ブロックによる衝突判定領域を、横軸に車両中央ユニット51c内各判定ブロックのしきい値レベルをとり、縦軸に車両側面ユニット51s内各判定ブロックのしきい値レベルをとって表示したものである。同図において、ほぼ真横からの低速側面衝突の非判定領域と高速斜め側面衝突の判定領域とが一部重複するが、この重複領域における判定は、単純な区間積分値のしきい値判別だけに依存するのではなく、加速度信号区間積分値の履歴判定という時間領域における衝突事象判断を参照するものであり、かくすることでほぼ真横からの低速側面衝突と高速斜め側面衝突とが区別されることを意味している。
【0021】ここで、高速斜め側面衝突が発生したとする。この場合、斜め衝突判定ブロック16内の区間積分器20の出力IGは衝突当初は顕著な変化を見せず、図4R>4(A)に示したように、じわじわと大きさを増していく。区間積分値IGが下限しきい値ThLを越えると、図4(B)に示したように、区間積分値推移出力回路21が出力する観測帯内停滞信号WHがハイレベルとなる。この区間積分値推移監視回路21のハイレベル出力は、区間積分器20の出力が高しきい値ThHを越すまで持続する。観測帯内停滞信号WHがハイレベルである期間中は、図4(C)に示したように、履歴判定回路22が0.5msごとにポイント数Pに1を積算していく。そして、ポイント数積算値ΣPが9ポイントを越えた時点で、図4(D)に示したように、斜め衝突信号出力回路23が作動する。斜め衝突信号出力回路23は、一旦作動すると30msの期間に亙って持続する斜め衝突信号C4をパルス出力する。
【0022】斜め衝突信号出力回路23からの斜め衝突信号C4と、車両側面ユニット51s内の低速衝突判定Aブロック6からの判定信号S3(加速度区間積分値の低速衝突判定Aブロック判別出力)と、車両中央ユニット51c内の低速衝突判定Bブロック15からの判定信号C3(加速度区間積分値の低速衝突判定Bブロック判別出力)の論理積を、アンドゲート33を介してオアゲート34に供給するため、高速斜め衝突に対して側面側では低速衝突判定Aブロック6、中央側では低速衝突判定Bブロック15の互いにしきい値の低い側の衝突判定信号の組み合わせが有効となる。その結果、高速衝突とは言え衝突後に徐々に増加する加速度区間積分値を低レベル段階で検出し、高速斜め側面衝突であるとして早期に衝突判定信号(エアバッグ展開信号)を発生することができる。
【0023】一方また、ほぼ真横からの低速衝突が発生した場合、斜め衝突判定ブロック16内の区間積分器20の出力IGは衝突当初は比較的大きな変化を見せ、図5R>5(A)に示したように、最初から顕著な変化を示す。このため、区間積分値IGが下限しきい値ThLを越えると、区間積分値推移出力回路21が出力する観測帯内停滞信号WHがハイレベルとなるが、この区間積分器20の出力IGはすぐに上限しきい値ThHを越えてしまうため、区間積分値推移出力回路21のハイレベル出力は持続せず、図5(B)に示したように、観測帯内停滞信号WHは短時間だけ出現する。このため、区間積分値推移出力回路21の出力がハイレベルである期間中、図5R>5(C)に示したように、履歴判定回路22が0.5msごとにポイント数Pに1を積算しても、このポイント数積算値ΣPが9ポイントを越えることはない。その結果、図5(D)に示したように、斜め衝突信号出力回路23は作動しないまま終わってしまい、ほぼ真横からの低速衝突に対して総合判定ブロック15から衝突判定信号すなわちエアバッグ展開信号が出力されることはない。
【0024】すなわち、斜め衝突信号C4が供給されない場合は、アンドゲート33が開かないため、車両側面ユニット51s内の低速衝突判定Aブロックからの判定信号S3と車両中央ユニット51c内の低速衝突判定Bブロック15からの判定信号C3の論理積は選択されず、中速と低速衝突判定ブロックでは、車両側面ユニット51s内の低速衝突判定Aブロック6からの判定信号S3と車両中央ユニット51c内の中速衝突判定Bブロック14からの判定信号C2の論理積と車両側面ユニット51s内の中速衝突判定Aブロック5からの判定信号S2と車両中央ユニット51c内の低速衝突判定Bブロック15からの判定信号C3の論理積のみが有効となる。低速側面衝突は、車両側面ユニット51s内の中速衝突判定Aブロック5か又は車両中央ユニット51c内の中速衝突判定Bブロック14のいずれかで「非判定」とすることにより、最終の判定も「非判定」とすることができる。また、斜め衝突信号C4が供給されない場合の判定は、車両側面ユニット51s内の中速衝突判定Aブロック5からの判定信号S2と車両中央ユニット51c内の低速衝突判定Bブロック15からの判定信号C3の論理積では、低速側面衝突の車両変形と比べて変形量の大きい衝突(例えば、中速側面衝突)をより速く判定し、車両側面ユニット51s内の低速衝突判定Aブロック6からの判定信号S3と車両中央ユニット51c内の中速衝突判定Bブロック14からの判定信号C2の論理積では、車両変形はさほど感知できないが低速側面衝突の車両移動と比べて急激に移動する衝突事象、例えばトラック側面衝突等をより速く判定するよう設定できる。
【0025】このように、上記側面衝突判定装置1は、車両の側方から加わる加速度を検出する加速度センサ10の出力を区間積分し、この区間積分値IGが予め設定した下限しきい値ThLと上限しきい値ThHの間に停滞する期間が、予め設定した一定期間を越える場合は、緩慢な車両移動を引き起こす斜め側面衝突と判定し、急激な車両移動を引き起こすほぼ真横からの側面衝突と識別し、側方エアバッグの作動可否条件を切り替えることができる。このため、車両のほぼ真横に低速で衝突する側面衝突と高速斜め側面衝突とを確実に区別することができ、これにより例えば乗員保護が不要な低速でのほぼ真横からの側面衝突では側方エアバッグの作動を抑制する一方、乗員保護が必要な高速斜め側面衝突において側方エアバッグを作動させることができ、側面衝突に対するきめ細かな対応により、乗員を確実に保護することができる。
【0026】また、図6(A)に示したように、図4,5に示した衝突事例とは異なる波形を示す区間積分値IGが観測される場合も、ほぼ真横からの側面衝突と区別して確実に判定することができる。この衝突事例では、区間積分値IGが下限しきい値ThLと上限しきい値ThHの間で推移し、まず最初に下限しきい値ThLを越え、僅かな時間を置いて下限しきい値ThLを下回り、その後に再度下限しきい値ThLを越える。このため、観測帯内停滞信号WHは、同図(B)に示したような断続パルスとして出力されることになるが、斜め衝突判定ブロック16が観測帯内停滞惟号WHを過去一定時間の履歴判定信号に変換して判定するため、ほぼ真横からの側面衝突と区別して確実に判定することができる。
【0027】また、他の実施形態として、車両側面ユニット51sの加速度センサ1からの出力で斜め衝突判定を行うことも可能であるが、本実施例の車両中央ユニット51cの加速度センサ10からの出力のように、車両変形が及ばず車両移動のみに起因する加速度が検出できる位置での判定の方が車両変形に邪魔されることなくより正確に識別が可能である。さらに、車両中央と、車両衝突を受ける側と反対側の側面で、同様に車両移動量のみに起因する加速度成分が検出されることから、車両中央ユニット51cの代わりに反対側の車両側面ユニット51sによる判定も可能である。この場合、車両中央ユニットは使用せず、両車両側面ユニットのみで構成できることも可能となる。
【0028】また、上記各実施形態において、斜め衝突判定ブロック16の主要な機能は、図7に示すソフトウェア処理に置き換えることもできる。なお、同図に示したソフトウェア処理は、区間積分器20から履歴判定回路22までのハードウェアをソフトウェア処理に置き換えたものであり、0.5msの割り込み周期をもって繰り返し実行されるようにしてある。
【0029】図7に示すフローチャートでは、まずステップ(100)において、区間積分処理を行い、続く判断ステップ(110)において、区間積分値IGがThLを越えるか否かが判別される。区間積分値IGが下限しきい値ThL以下である場合は、ステップ(120)において、ThHオーバフラグを“0”レベルとし、観測帯内停滞データWH=0とし、続くステップ(130)においてリングバッファ等のバッファメモリに格納する。ただし、判断ステップ(110)において区間積分値IGが下限しきい値ThLを越えることが判った場合は、続く判断ステップ(121)において、区間積分値IGが上限しきい値ThHを越えるか否かを判別する。さらに、区間積分値IGが上限しきい値ThH以下である場合は、さらに続く判断ステップ(122)において、ThHオーバフラグのレベルの1/0の別を判別する。ここでは、ThHオーバフラグが“0”レベルである場合、すなわち区間積分値IGが未だThHを越えていない場合は、ステップ(123)において、観測帯内停滞データWH=1とし、ステップ(130)へ移行する。ただし、区間積分値IGが過去に一度でもThHを越えたことがあり、再びThLとThHの間に戻ってきた場合は、判断ステップ(122)においてThHオーバフラグが“1”レベルであることを受け、ステップ(124)において、観測帯内停滞データWH=0とし、ステップ(130)へ移行する。なお、その前の判断ステップ(121)において、区間積分値IGがThHを越えたことが判った場合は、ステップ(125)において、ThHオーバフラグを“1”レベルとし、かつまた観測帯内停滞データWH=0として、ステップ(130)へ移行する。
【0030】上記バッファメモリに格納された観測帯内停滞データWHは、ステップ(140)において積算計数され、これがポイント数積算値PすなわちΣWH(k)となる。ポイント数積算値Pは、続く判断ステップ(150)において、しきい値ThP(例えば、9)を基準にしきい値判別される。しきい値判別の結果、ポイント数積算値PがThPに満たないことが判った場合は、ステップ(160)において履歴判定フラグBを降ろしたままとされるが、ポイント数積算値PがThP以上であることが判ると、ステップ(161)において履歴判定フラグBが立てられる。この履歴判別フラグBは、次段の斜め衝突信号出力回路23へのトリガ信号とされる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、車両の側方から加わる加速度を検出する加速度センサの出力を区間積分し、この区間積分値が予め設定した下限しきい値と上限しきい値の間に停滞する期間が、予め設定した一定期間を越える場合は、緩慢な車両移動を引き起こす斜め側面衝突と判定し、急激な車両移動を引き起こすほぼ真横からの側面衝突と区別し、乗員拘束具の作動可否条件を切り替えるようにしたから、車両のほぼ真横に衝突する側面衝突と斜め側面衝突とを確実に区別し、例えば乗員保護が不要な低速でのほぼ真横からの側面衝突では乗員拘束具の作動を抑制する一方、乗員保護が必要な高速での斜め側面衝突に対しては乗員拘束具を所要時間内に作動させることができ、側面衝突に対するきめ細かな対応により、乗員を確実に保護することができる等の優れた効果を奏する。
【0032】また、本発明は、加速度の区間積分値が下限しきい値を越えてから上限しきい値を越すまでを観測帯内停滞と判定し、該観測帯内停滞の持続期間が予め設定されたしきい値を越えるときに、前記斜め衝突判定を下すようにしたから、加速度の区間積分値の観測期間を区間積分値推移判定手段に設定する上限しきい値と下限しきい値に応じて随意可変設定することができ、また区間積分値の推移を監視し、過去に溯る一定時間において加速度区間積分値が上限しきい値と下限しきい値の観測帯にあることが判った時点で履歴判定信号を出力するようにし、一旦は、観測帯の上,下限を逸脱して再び観測帯内に復帰したような衝突事例についても誤りなく判別でき、しかも履歴判定信号として例えば一定期間に亙って持続するパルスとの論理和からなる斜め衝突信号として出力することで、斜め衝突信号を一定期間に亙って持続できるため、高速斜め側面衝突判定に要求される所要の判定時間に適合させることができる等の効果を奏する。
【0033】また、総合判定手段は、車両変形と車両移動の両方が観測される位置に配設した車両側面ユニット及び車両変形の影響が及ばず車両移動にのみ起因する加速度が検出できる位置に配設した車両中央ユニットから各種衝突判別出力に基づいて行われ、前記斜め衝突信号が供給されない場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの中速衝突判別出力の論理積又は車両側面ユニットからの中速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件とし、前記斜め衝突信号が供給された場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件に加えるようにしたから、高速斜め側面衝突時には車両側面ユニット側も車両中央ユニット側もそれぞれの加速度区間積分値を低速衝突判定して低速衝突判別出力を得ることで、高速衝突とは言え衝突後に徐々に増加する加速度区間積分値を低レベル段階で検出し、一方またほぼ真横からの側面衝突時には中速と低速の判定ブロックでは、単両側面ユニット側の低速衝突判定に基づく低速衝突判別出力及び車両中央ユニット側の中速衝突判定に基づく中速衝突判別出力を得るか、又は車両側面ユニット側の中速衝突判定に基づく中速判別出力及び車両中央ユニット側の低速衝突判定に基づく低速衝突判別出力を得ることで、低速での側画衝突を「非判定」とすることができ、かつまた中速での側面衝突やトラック衝突等を速い時間に「判定」とすることができ、さらに斜め衝突信号により車両側面ユニット側と車両中央ユニット側の判定基準を直接可変するのではなく、車両側面ユニット側と車両中央ユニット側とで複数の判定基準に従って生成した衝突判定信号のうち、斜め衝突に適合する衝突判定信号だけを選別する形で対応することができ、斜め衝突信号生成と他の判定信号生成とが同時並行的に実行できるため、乗員拘束具の作動の可否を迅速かつ確実に判定することができる等の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両の側面衝突判定装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した斜め衝突判定ブロックの回路構成図である。
【図3】図1に示した総合判定ブロックによる衝突判定領域を示す図である。
【図4】高速斜め側面衝突時の図2に示した回路各部の信号波形図である。
【図5】ほぼ真横からの低速側面衝突時の図2に示した回路各部の信号波形図である。
【図6】図4,5の事例とは異なる側面衝突時の図2に示した回路各部の信号波形図である。
【図7】図2に示した斜め衝突判定ブロックの機能をソフトウェアにより実現した場合の動作フローを示すフローチャートである。
【図8】衝突形態による車両変形と車両移動の違いを示す図である。
【図9】車両側面ユニットと中央ユニットで検出される事象の相違を示す図である。
【符号の説明】
1 加速度センサ
4 高速衝突判定Aブロック
5 中速衝突判定Aブロック
6 中速衝突判定Bブロック
13 高速衝突判定Bブロック
14 中速衝突判定Cブロック
15 中速衝突判定Dブロック
16 斜め衝突判定ブロック
17 総合判定ブロック
20 区間積分器
21 区間積分値推移出力回路
22 履歴判定回路
23 斜め衝突信号出力回路
51 車両の側面衝突判定装置
51s 車両側面ユニット
51c 車両中央ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】 車両の側方から加わる加速度を検出し、該加速度を区間積分し、該区間積分値が予め設定した下限しきい値と上限しきい値の間に停滞する期間を計測し、該期間が予め設定した一定期間を越える場合は、緩慢な車両移動を引き起こす側面斜め衝突の可能性を、急激な車両移動を引き起こすほぼ真横からの側面衝突とは区別して認識し、乗員拘束具の作動可否条件を切り替えることを特徴とする車両の側面衝突判定方法。
【請求項2】 前記加速度の区間積分値が下限しきい値を越えてから上限しきい値を越すまでを観測帯内停滞と判定し、該観測帯内停滞の持続期間が予め設定されたしきい値を越えるときに、前記斜め衝突判定を下すことを特徴とする請求項1記載の車両の側面衝突判定方法。
【請求項3】 前記乗員拘束具の作動可否条件の切り替えは、車両変形と車両移動の両方が観測される位置に配設した車両側面ユニット及び車両変形の影響が及ばず車両移動にのみ起因する加速度が検出できる位置に配設した車両中央ユニットから各種衝突判別出力に基づいて行われ、前記斜め衝突信号が供給されない場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの中速衝突判別出力の論理積又は車両側面ユニットからの中速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件とし、前記斜め衝突信号が供給された場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件に加えることを特徴とする請求項1記載の車両の側面衝突判定方法。
【請求項4】 車両の側方から加わる加速度を検出する加速度センサと、該加速度センサの出力を区間積分する区間積分器と、該区間積分器の区間積分値が予め設定した下限しきい値と上限しきい値の間に停滞する期間を計測し、該期間が予め設定した一定期間を越える場合は、緩慢な車両移動を引き起こす側面斜め衝突を示す斜め衝突信号を出力する斜め衝突判定手段と、該斜め衝突判定手段の斜め衝突信号に応答し、急激な車両移動を引き起こすほぼ真横からの側面衝突と前記側面斜め衝突とを区別し、乗員拘束具の作動可否条件を切り替える総合判定手段とを具備することを特徴とする車両の側面衝突判定装置。
【請求項5】 前記斜め衝突判定手段は、前記加速度の区間積分値が下限しきい値を越えてから上限しきい値を越すまでを観測帯内停滞と判定し、該観測帯内停滞の持続期間が予め設定されたしきい値を越えるときに、前記斜め衝突判定を下すことを特徴とする請求項4記載の車両の側面衝突判定装置。
【請求項6】 前記斜め衝突判定手段は、前記加速度センサの出力を所定の積分期間に亙って区間積分する区間積分手段と、該区間積分手段が出力する区間積分値が下限しきい値を越えてから上限しきい値を越すまで観測帯内停滞信号を出力する区間積分値推移出力手段と、該区間積分値推移出力手段が出力する観測帯内停滞信号の履歴を監視し、該観測帯内停滞信号が過去一定時間幅の中にどの位の時間推移していたかを示す履歴判定信号を出力し、その値をしきい値判別する履歴判定手段と、該履歴判定手段のトリガにより所定期間に亙って持続するパルスを斜め衝突信号として出力する斜め衝突信号出力手段とを具備することを特徴とする請求項4又は5のいずれか1項に記載の車両の側面衝突判定装置。
【請求項7】 前記総合判定手段は、車両変形と車両移動の両方が観測される位置に配設した車両側面ユニット及び車両変形の影響が及ばず車両移動にのみ起因する加速度が検出できる位置に配設した車両中央ユニットから各種衝突判別出力が供給され、前記斜め衝突信号が供給されない場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの中速衝突判別出力の論理積又は車両側面ユニットからの中速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件とし、前記斜め衝突信号が供給された場合は、車両側面ユニットからの低速衝突判別出力と車両中央ユニットからの低速衝突判別出力の論理積を乗員拘束具の作動条件に加えることを特徴とする請求項4記載の車両の側面衝突判定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図7】
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【公開番号】特開平11−321548
【公開日】平成11年(1999)11月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平10−132833
【出願日】平成10年(1998)5月15日
【出願人】(000001937)日本電気ホームエレクトロニクス株式会社 (8)