車両の共同利用における操作権限付与システム、車載制御装置及びそのプログラム
【課題】小規模な集団での車両共同利用において、ユーザ間で容易かつ柔軟に操作権限を付与し合うことができ、かつ導入容易な操作権限付与システムを提供する。
【解決手段】車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システム1は、第1のユーザの第1の携帯端末機10、第2のユーザの第2の携帯端末機20、及び車載制御装置50を備える。第1の携帯端末機10は、第2のユーザに付与する付与操作権限を操作権限一覧から決定する権限決定手段を備える。付与操作権限を第2の携帯端末機20に送信するように構成され、第2の携帯端末機20は、受信した付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備える。保持操作権限を車載制御装置50に転送するように構成され、車載制御装置50は、転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備える。
【解決手段】車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システム1は、第1のユーザの第1の携帯端末機10、第2のユーザの第2の携帯端末機20、及び車載制御装置50を備える。第1の携帯端末機10は、第2のユーザに付与する付与操作権限を操作権限一覧から決定する権限決定手段を備える。付与操作権限を第2の携帯端末機20に送信するように構成され、第2の携帯端末機20は、受信した付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備える。保持操作権限を車載制御装置50に転送するように構成され、車載制御装置50は、転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の共同利用における操作権限付与システム、車載制御装置及びそのプログラムに関し、特に、車両のユーザ間で操作権限を付与するためのシステム、車載制御装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両の共同利用のためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1では、カーシェアリングの会員がICカード等の会員証を持っていなくても携帯電話機を用いることによってシェアカーを利用できるようにするカーシェアリング管理システムが開示されている。同文献では、カーシェアリング管理システムにおいて、会員の携帯電話機からホストコンピュータに予約情報を送信し、ホストコンピュータが車両情報と予約情報に基づいて利用可能なシェアカーを検索し、シェアカーの車載器と会員の携帯電話機に予約情報を送信することが開示されている。
【0003】
特許文献2では、キーの受け渡しが容易で確実に行われる自動車の共同利用予約管理システムが開示されている。同文献では、複数のユーザがそれぞれのモバイル機器から予約情報等を管理サーバに送信し、管理サーバがキーの受け渡し場所や時間を特定して各ユーザに受け渡しを指示し、各ユーザは利用現場でキーを受け渡すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−183749号公報
【特許文献2】特開2006−11891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のシステムによると、会員はカーシェアリング管理システムのホストコンピュータとの通信のみが利用可能であり、会員同士、即ち、車両ユーザ間で車両の運転権限を付与したり移したりするなどの柔軟な運用ができなかった。また、同文献のシステムは、ホストコンピュータ等を含むためシステムが大規模となり、特に、家族間、会社の同僚間等の比較的小規模な集団での車両共同利用への適用が難しいという問題があった。即ち、少人数での利用のために上記のような大規模なシステムを導入すると費用対効果として好ましくない。
【0006】
また、特許文献2のシステムによると、物理的なキーの受け渡しを前提としているため、車両機能についてきめ細かく操作権限を設定してユーザ間でそれを付与し合うことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、比較的小規模な集団での車両共同利用において、ユーザ間で容易かつ柔軟に操作権限を付与し合うことができ、かつ導入容易な操作権限付与システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の操作権限付与システムは、車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムであって、第1のユーザの第1の携帯端末機、第2のユーザの第2の携帯端末機、及び車載制御装置を備える。第1の携帯端末機は、第2のユーザに付与する第1の付与操作権限を操作権限一覧から決定する権限決定手段を備え、第1の付与操作権限を第2の携帯端末機に送信するように構成される。第2の携帯端末機は、受信した第1の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、保持操作権限を車載制御装置に転送するように構成される。車載制御装置は、転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備える。
このように、車両共同利用におけるユーザの携帯端末機同士で操作権限を付与できるようにしたことにより、比較的小規模な集団での車両共同利用において、ユーザ間で容易かつ柔軟に各操作権限を付与できることができる操作権限付与システムを実現できる。
【0009】
上記の操作権限付与システムにおいて、第2の携帯端末機は、操作権限一覧から要求操作権限を選択する権限選択手段、及び権限要求メッセージ及び要求操作権限を第1の携帯端末機に送信させるための権限要求手段をさらに備え、第1の携帯端末機の権限決定手段が要求操作権限に基づいて付与操作権限を決定するように構成される。
このように、一方のユーザから他方のユーザに要求操作権限を要求し、他方のユーザはそれに対応して操作権限を決定及び付与する構成としたので、操作権限の付与がより容易となる。
【0010】
上記の操作権限付与システムにおいて、第3のユーザの第3の携帯端末機をさらに備え、第2の携帯端末機は、保持操作権限の中から第3のユーザに付与する第2の付与操作権限を決定する権限決定手段を備え、第2の付与操作権限を第3の携帯端末機に送信するように構成され、第3の携帯端末機は、受信した前記第2の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、保持操作権限を車載制御装置に転送するように構成される。
第2のユーザがさらに、自己が保有する保持操作権限の範囲で第3のユーザに操作権限を付与できるようにしたので、車両共同利用のユーザ間の利便性を確保しつつも操作権限範囲の無用な拡張を回避することができる。
【0011】
上記の操作権限付与システムにおいて、車載制御装置は、操作対象機能の操作履歴を記憶する操作履歴記録手段を備え、操作履歴が車載制御装置から各携帯端末機に転送されるように構成される。
これにより、車両共同利用における利便性を高めつつも、各ユーザの車両利用状況を確実に管理することができる。
【0012】
上記の操作権限付与システムにおいて、各携帯端末機が赤外線通信部を備え、各携帯端末機の間の送受信が赤外線通信によって行われるようにした。
これにより、ユーザ間での操作権限の付与を通信網を介さずに行うことができ、低コストかつ導入容易なシステムを実現できるとともに利便性が一層高まる。
【0013】
本発明の、車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムに適用される車載制御装置は、第1のユーザの第1の携帯端末機から付与されて第2のユーザの第2の携帯端末機に記憶された保持操作権限が第2の携帯端末機から転送される通信転送手段、及び転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備える。
このような車載制御装置によって、車両ユーザ間で付与される操作権限が車両において確実に実行され、ユーザにおける利便性が高まる。
【0014】
上記の車両制御装置は、車両で行われた操作の履歴を記憶する操作履歴記録手段をさらに備え、記録された操作履歴が転送通信手段から第1の携帯端末機又は第2の携帯端末機に転送されるように構成される。
これにより、ユーザ間の操作権限付与における管理性を容易に確保することができる。
【0015】
本発明のプログラムは、コンピュータを、上記の操作権限付与システムの各手段として機能させるためのプログラムである。
このようなプログラムによって、スマートフォン等のあらゆる携帯情報端末及び車両に上記の操作権限付与システムを適用することができ、システム導入が容易となりユーザの利便性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例による操作権限付与システムの概略図である。
【図2A】本発明の実施例による操作権限付与システムにおける携帯端末機の機能ブロック図である。
【図2B】本発明の実施例による操作権限付与システムにおける車載制御装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施例による操作権限付与システムの処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例による操作権限付与システムの処理を示すフローチャートである。
【図5A】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5B】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5C】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5D】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5E】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5F】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6A】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6B】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6C】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6D】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[操作権限付与システムの概略]
図1に本発明の実施例による操作権限付与システム1(以下、「システム1」という)の概略図を示す。システム1は、第1のユーザの携帯端末機10、第2のユーザの携帯端末機20、第3のユーザの携帯端末機30、及び車両40に搭載された車載制御装置50を備える。以降の説明において、説明の目的上、第1のユーザを車両40のオーナーとし、全ての操作権限を有しているものとする。但し、当業者であれば、第1のユーザが車両オーナーでなく、一借り手ユーザであっても以下の実施例が実施可能なことが分かるはずである。ここで、携帯端末機とは、スマートフォン、携帯電話機等の種々の携帯情報端末をいうものとする。携帯端末機10、20及び30は相互に通信可能なものとし、例えば、赤外線通信、無線LAN、電話回線による相互通信が可能なものとする。
【0018】
ここで、第1のユーザが第2のユーザに操作権限を与える場合、第1のユーザは携帯端末機10を用いて、第2のユーザに与えるべき操作権限(操作権限A)を操作権限一覧から選択して決定し、操作権限Aを携帯端末機20に送信する。
【0019】
また、第1のユーザが第2のユーザに操作権限を与える前に、第2のユーザが所望の操作権限(操作権限B)を第1のユーザに要求することもできる。この場合、第2のユーザは、端末機20において、操作権限一覧から操作権限Bを選択し、操作権限Bの付与を要求する権限要求メッセージ(ユーザ名等を含む)とともに携帯端末機10に送信する。第1のユーザは、携帯端末機10において、操作権限Bの許可を決定してもよいし、異なる操作権限Cを決定してもよい。その後、上記と同様に、第1のユーザは携帯端末機10を用いて操作権限B又はCを携帯端末機20に送信する。
【0020】
また、第2のユーザから第3のユーザに操作権限を付与することもできる。第2のユーザが第3のユーザに操作権限を与える場合、第2のユーザは携帯端末機20を用いて、自己が保有する操作権限の中から第3のユーザに与えるべき操作権限(操作権限D)を操作権限一覧から選択して決定し、操作権限Dを携帯端末機30に送信する。なお、第1のユーザは他のユーザに操作権限を付与しても自己の操作権限を失うわけではなく、付与後も通常通り全操作権限での車両の利用ができる。
【0021】
その後、第2又は第3のユーザは、携帯端末機20又は30を用いて、各携帯端末機のID及び保持操作権限を車載制御装置50に転送する。この転送は、至近距離にある携帯端末機20又は30と車載制御装置50との間でなされ、携帯端末機が認証されると、ドアロックが解除されて第2又は第3のユーザは車両40に乗ることができる。車載制御装置50は、入力された操作権限に対応する操作対象部位の操作及び動作を有効化する。車載制御装置50は車両40の各部位(例えば、ドア、トランク、サンルーフ、ウインドウ、エンジン、カーナビ等)の操作を有効化又は無効化することができる。例えば、第2のユーザが乗車し、入力操作権限にエンジンの起動が含まれ、トランクの使用が含まれていなかった場合には、車載制御装置50はエンジンの起動を有効化する一方で、トランクのロック解錠ができないようにする。なお、エンジンの起動はユーザがキーを所持している場合には、そのキーを用いるようにしてもよいし、携帯端末機からの信号によって行うようにしてもよい。
【0022】
また、操作権限には操作の制限も含まれ、利用回数、利用可能日数、利用可能時間帯、料金チャージ限度額等を操作権限に含めることができる。従って、車載制御装置50は、第2又は第3のユーザの車両使用開始とともに所定の利用制限を課すことになる。特に、利用可能日数のような時間的な利用制限を課すことにより、付与した操作権限を永久的な権限としないことができる。
このように、本発明の操作権限付与システムによると、複数のユーザ間で柔軟に、かつ管理性をもって操作権限を付与し合うことができる。
【0023】
[操作権限付与システムの機能ブロック図]
図2Aにシステム1における携帯端末機10、携帯端末機20及び携帯端末機30の機能ブロック図を示す。
携帯端末機10は、CPU100、プログラム及びデータを記憶するメモリ105、後述するアプリケーション画面を表示可能な表示部110、ユーザ一覧を格納するユーザ一覧記憶手段120、ユーザ一覧記憶手段120から1以上のユーザを選択するためのユーザ選択手段121、操作権限の一覧を格納する権限一覧記憶手段130、操作権限一覧から他のユーザに与えるための1以上の操作権限を決定する権限決定手段131、携帯端末機20及び30とのデータ通信及び電話通信を行う送受信手段140、及び車載制御装置50との間で近距離データ転送を行う転送通信手段150を備える。さらに、携帯端末機10は、第1のユーザが所有する(即ち、システム1内で所有される)車両を記憶する車両一覧記憶手段160、車両一覧記憶手段160の中から操作対象となる車両を選択するための車両選択手段161、並びに選択されるユーザ、操作権限及び車両の関連付け規則を適用する関連付け手段170を備えていてもよい。上記の各手段はシステムバスで相互接続されている。なお、システム1内で所有される車両が1台のみの場合は、車両一覧記憶手段160及び車両選択手段161は不要である。
【0024】
表示部110は携帯端末機の画面であり、これがスマートフォンの場合には、ユーザのタッチ操作により入力動作可能な入出力インターフェイス(I/O)となる。
【0025】
ユーザ一覧記憶手段120には、例えば、家族間の車両の共同利用であれば、家族のメンバーが格納され、会社内での車両の共同利用であれば、関係する社員の一覧が格納される。社員の一覧が格納される場合には、部署ごと、役職ごとにグルーピングして格納するようにしてもよい。
【0026】
ユーザ選択手段121は、ユーザ一覧記憶手段120のユーザ一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、操作権限を付与すべき1以上のユーザ又はグループを選択する。グループが選択される場合には、グループを構成するメンバーに同時に同一の操作権限が付与されるものとする。
【0027】
権限一覧記憶手段130は、車両40において操作対象となる部位及び利用の制限をリストアップして操作権限一覧が格納される。即ち、操作権限一覧には、例えば、ドア、トランク、サンルーフ、ウインドウ、エンジン、カーナビ等の部位が含まれ、併せてエンジン起動回数、料金チャージ限度額等の利用制限も含まれる。これらの部位は、操作権限セットとしてグルーピングされて格納されてもよい。操作権限セットは、例えば、全操作権限を含むセット、車両走行を行うために必要最小限の操作権限(例えば、運転席のドア、エンジンの操作権限のみ)を含むセット、無免許者に対する操作権限(例えば、ドア及びトランクの操作権限のみ)を含むセット、近隣への出張用のための操作権限(拠点から所定距離内又は所定地域内での使用においては全権限を与えるが、拠点から所定距離を超える地点又は所定地域外では一切の権限を与えない等)のセットとすることができる。また、ドア(運転席のドア、助手席のドア、後部座席のドア、バックドア)、電気系統(カーナビ、テレビ、・・・)等のように部位ごとにグルーピングしてもよい。
【0028】
権限決定手段131は、権限一覧記憶手段130の操作権限一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、操作権限一覧の中から他のユーザに与えるべき1以上の操作権限を決定する。あるいは、後述するように、他のユーザの携帯端末機から受信した要求操作権限を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、その許可若しくは拒否又は権限範囲の修正を行わせて他のユーザに与える1以上の操作権限を決定する。
【0029】
送受信手段140は、権限決定手段131によって決定された操作権限(付与操作権限)を携帯端末機20又は30に送信するためのものである。送受信手段140は、赤外線通信、無線LAN又は電話回線により、携帯端末機20又は30と通信可能なものであればよい。例えば、第1のユーザと第2のユーザが至近距離にいる場合であれば、携帯端末機10と携帯端末機20とは赤外線通信部により赤外線で通信することができる。また、第1のユーザと第2のユーザが同じ家の中、又は建物内の同じフロア等のように比較的近くにいる場合であれば、携帯端末機10と携帯端末機20とは無線LANにより通信することができる。そして、第1のユーザと第2のユーザとが遠隔にいる場合は、携帯端末機10と携帯端末機20とは電話回線で通信することになる。特に、赤外線通信を用いることにより、基地局や通信設備を介すことなくユーザ間で操作権限の付与を行うことができ、低コストかつ導入容易なシステムを実現できるとともに利便性が一層高まる。
【0030】
転送通信手段150は、(第2のユーザへの権限付与とは無関係に)第1のユーザ自身が車両40を使用するときに、車載制御装置50と携帯端末機10の端末ID又はユーザ情報(以下、「ユーザID」という)を近距離通信するために使用される。従って、第1のユーザが通常のキーを用いて車両40を操作する場合には使用されなくてもよい。転送通信手段150は赤外線通信用の通信部等であればよい。従って、送受信手段140と転送通信手段150は同一の通信部となる場合もある。
【0031】
関連付け手段170は、ユーザ選択手段121によって選択されたユーザ又はグループに、権限決定手段131で決定され得る操作権限を関連付けて、特定のユーザに関して表示部110に提示される操作権限の選択肢を絞るものである。例えば、ユーザの免許の有無に関連して、無免許者には「運転席のドア」や「エンジン」を選択させないようにしてもよい。これにより、第1のユーザによる操作権限の決定処理が促進される。また、特定のユーザについて過去に最も多く利用された操作権限のセットをメモリ105に記憶しておき、そのユーザがユーザ選択手段121によって選択された場合に、関連付け手段170がメモリ105から当該セットを読み出すようにしてもよい。
【0032】
また、(設けられる場合には)車両選択手段161によって選択された車両に操作権限を関連付けてもよい。例えば、他のユーザに車両Aの走行に関する操作権限を与えても良いが、車両Bに関しては乗車のみ(走行は不可)の操作権限しか与えたくないと第1のユーザが決めている場合に、車両Bが選択された場合には、表示部110に表示されるべき操作権限の選択肢は乗車のみの操作権限に絞られる。また、選択されたユーザと選択された車両の双方に関連して操作権限の選択肢を狭めるようにしてもよい。例えば、第2のユーザが普通免許を持つが大型免許を持たない場合であって車両Aが普通車で車両Bが大型車である場合に、ユーザ選択手段121によって第2のユーザが選択され、車両選択手段161によって車両Bが選択された場合には、表示部110に表示される操作権限一覧の選択肢から少なくとも走行に関する部位が除外される。
【0033】
携帯端末機20は、CPU200、メモリ205、表示部210、ユーザ一覧記憶手段220、ユーザ選択手段221、権限一覧記憶手段230、権限決定手段231、権限要求手段235、権限選択手段236、保持権限記憶手段237、権限比較調整手段238、送受信手段240、転送通信手段250、車両一覧記憶手段260、車両選択手段261、並びに関連付け手段270を備え、これらはシステムバスで相互接続されている。なお、携帯端末機10と同様に、システム1内で所有される車両が1台のみの場合は、車両一覧記憶手段260及び車両選択手段261は不要である。携帯端末機10、携帯端末機20及び携帯端末機30において、下二桁に同一符号を付した構成は互いに同様であるので、重複する説明を省略する。携帯端末機10と携帯端末機20とで異なる点として、携帯端末機20は、権限要求手段235、権限選択手段236、保持権限記憶手段237及び権限比較調整手段238を備える点である。
【0034】
権限要求手段235は、操作権限の付与を他のユーザに向けて要求するためのものである。権限要求手段235は権限要求メッセージを生成し、権限要求メッセージ及び権限選択手段236で選択される要求操作権限を送受信部240から携帯端末機10に送信させる。あるいは、付与される操作権限の選択を他のユーザ(例えば、第1のユーザ)に委ねるときは、権限要求メッセージのみを携帯端末機10に送信させる。
【0035】
権限選択手段236は、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧を表示部110に表示させ、第2のユーザの入力に従って、操作権限一覧の中から他のユーザに要求すべき1以上の操作権限を選択する。
【0036】
保持権限記憶手段237は他のユーザから付与された(即ち、現在保持している)操作権限(以下、「保持操作権限」という)を記憶し、保持操作権限は転送通信手段250によって車載制御装置50に転送される。また、第2のユーザは、権限決定手段231によって、保持権限記憶手段234に記憶された操作権限を表示部210に表示し、その操作権限の中から他のユーザ(例えば、第3のユーザ)に与える1以上の操作権限を決定することができる。この保持権限記憶手段234を含む構成により、ユーザの利便性を確保しつつも操作権限範囲の無用な拡張を回避することができる。
【0037】
権限比較調整手段238は、他のユーザから要求された要求操作権限と、保持権限記憶手段237に記憶されている保持操作権限とを比較し、要求操作権限が保持操作権限の範囲を超えている場合には、超えた部分を削除して要求操作権限が保持操作権限内のものとなるように調整し、新たな要求操作権限を生成する。
【0038】
転送通信手段250は、上述したように車載制御装置50と近距離通信するためのものである。転送通信手段250によって、携帯端末機20のユーザIDと保持権限記憶手段234に記憶されている保持操作権限が車載制御装置50に転送される。
【0039】
携帯端末機30は、CPU300、メモリ305、表示部310、ユーザ一覧記憶手段320、ユーザ選択手段321、権限一覧記憶手段330、権限決定手段331、権限要求手段335、権限選択手段336、保持権限記憶手段337、権限比較調整手段338、送受信手段340及び転送通信手段350を備え、必要に応じて、さらに車両一覧記憶手段360、車両選択手段361及び関連付け手段370を備え、これらはシステムバスで相互接続されている。携帯端末機30は携帯端末機20の構成と同様であるものとする。
【0040】
図2Bにシステム1における車載制御装置50の機能ブロック図を示す。
車載制御装置50は、CPU501、プログラム及びデータを記憶する記憶部506、転送通信手段550、ユーザ認証手段580、操作有効化手段585及び操作履歴記録手段590を備え、これらはシステムバスで相互接続されている。
【0041】
転送通信手段550は、携帯端末機10、20又は30と近距離データ転送を行うものであり、携帯端末機から転送されたユーザIDと保持操作権限が転送入力される。
【0042】
ユーザ認証手段580は、転送通信手段550から入力されたユーザIDが登録済みのものか否を検証し、転送通信手段550にデータ転送を行った携帯端末機のユーザ認証を行う。
【0043】
操作有効化手段585は、ユーザ認証手段580でのユーザ認証が成功した場合、まず、操作権限を付与されたドアのロックを解錠する。そして、操作有効化手段585は、転送入力された操作権限で指定された部位の操作及び動作を有効状態とするとともに、上述した利用上の制限(利用回数、使用時間、使用金額等の制限)を開始する。
【0044】
操作履歴記録手段590は車両40で行われた操作の履歴を記憶する。記録された操作履歴は転送通信手段550から、車両40を使用しているユーザの携帯端末機に転送される。この転送はユーザの車両使用終了時に送信するようにしてもよいし、逐次送信するようにしてもよい。あるいは、記録された操作履歴は後日、転送通信手段550を介して車両オーナーの携帯端末機10に転送できるようにしてもよい。この場合、転送される情報においては、ユーザと操作履歴が関連付けられているものとする。これにより、車両共同利用における利便性を高めつつも、各ユーザの車両利用状況を確実に管理することができる。
【0045】
[操作権限付与システムの制御のフローチャート1]
図3にシステム1における制御のフローチャートを示す。図3のフローチャートは、第1のユーザ(全操作権限を有する車両オーナー)から第2のユーザへの操作権限の付与における処理を示す。
ステップS01において、携帯端末機20のユーザ選択手段221が、ユーザ一覧記憶手段220のユーザ一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って、操作権限の要求先となるユーザ(本例では第1のユーザ)を選択する。
ステップS02において、携帯端末機20の権限選択手段236が、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って1以上の要求操作権限を選択する。
ステップS03において、携帯端末機20の権限要求手段235が、権限要求メッセージ及び要求操作権限を送受信部240から第1のユーザの携帯端末機10に送信させる。
なお、付与される操作権限の選択を第1のユーザに委ねるときは、ステップS02は省略され、ステップS03において、権限要求メッセージのみが携帯端末機10に送信される。
【0046】
ステップS10において、携帯端末機10の権限決定手段131が、要求元ユーザ及び要求操作権限を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、要求操作権限を付与するか否かを決定する。ステップS10でYesの場合には、処理はステップS14に進み、Noの場合にはステップS11に進む。
ステップS11において、権限決定手段131が、第1のユーザの入力に従って、要求操作権限を修正して付与操作権限を決定すると、処理はステップS14に進む。この修正処理について、付与操作権限は要求操作権限を減縮したもの(要求操作権限の全てを拒否するものを含む)であってもよいし、拡大したものであってもよいし、変更したものであってもよいが、少なくとも第1のユーザは要求操作権限に基づいて修正を行うことになる。
【0047】
一方、第1のユーザが(第2のユーザの要求に応じるのではなく)自発的に第2のユーザに操作権限を与える場合には、まず、ステップS12において、ユーザ選択手段121が、ユーザ一覧記憶手段120のユーザ一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って1以上のユーザ(本例では第2のユーザ)を選択する。
ステップS13において、権限決定手段131が、権限一覧記憶手段130の操作権限一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って付与操作権限を決定する。
【0048】
ステップS14において、権限決定手段131が付与操作権限を確定し、携帯端末機10の送受信手段140が、確定された付与操作権限を携帯端末機20の送受信手段240に送信する。
ステップS20において、携帯端末機20の保持権限記憶手段237が、第1のユーザから付与された操作権限を表示部210に表示するとともにそれを保持操作権限として記憶する。
【0049】
その後、ステップS25において、携帯端末機20の転送通信手段250が、携帯端末機20のユーザID及び保持権限記憶手段237に記憶された保持操作権限を車載制御装置50の転送通信手段550に転送する。
【0050】
ステップS30において、ユーザ認証手段580は、入力されたユーザIDが登録済みのものか否か確認し、Yesの場合には、ユーザを認証してステップS31に進み、操作権限が付与されたドアのロックを解錠する。Noの場合には、セキュリティ動作の一環として処理は終了する。
ステップS32において、操作有効化手段585が、入力された操作権限で指定された部位の操作を有効状態とするとともに上述した利用上の制限(利用回数、使用時間、使用金額等の制限)を開始する。これにより、第2のユーザは、付与された操作権限の範囲で車両40を利用することができる。
【0051】
また、ステップS35において、第2のユーザによって実行された操作の履歴を車両40の操作履歴記録手段590が記録し、ステップS36において、第2のユーザの車両使用終了時又は逐次、携帯端末機20に操作履歴を転送することができる。
ステップS36として、携帯端末機20の送受信部240から操作履歴を携帯端末機10の送受信部140に送信してもよいし、記憶手段506が操作履歴を、後日乗車した第1のユーザの携帯端末機10の転送通信部150に転送するようにしてもよいし、外付けメモリ等によって情報を取り出せるようにしてもよい。
【0052】
[操作権限付与システムの制御のフローチャート2]
図4にシステム1における他の制御のフローチャートを示す。図4のフローチャートは、車両オーナーではない第2のユーザから車両オーナーではない第3のユーザへの操作権限の付与における処理を示す。
ステップS51において、携帯端末機30のユーザ選択手段321が、ユーザ一覧記憶手段320のユーザ一覧を表示部310に表示させ、第3のユーザの入力に従って1以上のユーザ(本例では第2のユーザ)を選択する。
ステップS52において、携帯端末機30の権限選択手段332が、操作権限一覧を表示部310に表示させ、第3のユーザの入力に従って1以上の要求操作権限を選択する。
ステップS53において、携帯端末機30の権限要求手段335が、権限要求メッセージ及び要求操作権限を送受信部340から携帯端末機20に向けて送信させる。
なお、付与される操作権限の選択を第2のユーザに委ねるときは、ステップS52は省略され、権限要求メッセージのみが携帯端末機20に送信される。
【0053】
ステップS58において、携帯端末機20の権限比較調整手段238が、受信した要求操作権限が、保持権限記憶手段237に記憶されている保持操作権限内のものか否か判断する。Yesの場合には、処理はステップS60に進む。Noの場合には、ステップS59において、権限比較調整手段238は要求操作権限のうち保持操作権限外のものを削除して残りの操作権限を新たな要求操作権限とし、処理はステップS60に進む。
【0054】
ステップS60において、携帯端末機20の権限決定手段231が、要求元ユーザ及び要求操作権限を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って、要求操作権限を付与するか否かを決定する。ステップS60でYesの場合には、処理はステップS64に進み、Noの場合にはステップS61に進む。
ステップS61において、権限決定手段231が、第2のユーザの入力に従って、要求操作権限を修正して付与操作権限を選択すると、処理はステップS64に進む。この修正処理についても、付与操作権限は要求操作権限を減縮したもの(要求操作権限の全てを拒否するものを含む)であってもよいし、保持操作権限内で拡大したもの又は変更したものであってもよいが、少なくとも第2のユーザは要求操作権限に基づいて修正を行うことになる。
【0055】
一方、第2のユーザが(第3のユーザの要求に応じるのではなく)自発的に第3のユーザに操作権限を与える場合には、まず、ステップS62において、ユーザ選択手段221が、ユーザ一覧記憶手段220のユーザ一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って1以上のユーザ(本例では第3のユーザ)を選択する。
ステップS63において、権限決定手段231が、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って付与操作権限を決定する。
【0056】
ステップS64において、権限決定手段231が付与操作権限を確定し、携帯端末機20の送受信手段240が、確定された付与操作権限を携帯端末機30の送受信手段340に送信する。
ステップS70において、携帯端末機30の保持権限記憶手段337が、第2のユーザから付与された操作権限を表示部310に表示するとともにそれを記憶する。
【0057】
その後、ステップS75において、携帯端末機30の転送通信手段350が、携帯端末機30のユーザID及び保持権限記憶手段337に記憶された保持操作権限を車載制御装置50の転送通信手段550に送信する。
以降のステップS80〜S86は、図3のステップS30〜S36と同様である(車両40の利用者が第2のユーザではなく第3のユーザになっただけである)ので説明を省略する。
【0058】
なお、本発明は、コンピュータを、上述した操作権限付与システムの各手段として機能させ、又は各ステップとして実行させるためのプログラムも含む。また、本発明は、そのようなプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体も含む。
【0059】
[携帯端末機の画面表示例1]
図5A〜5Fは、図3のステップS01、S02、S10及びS14における第1のユーザの携帯端末機10及び第2のユーザの携帯端末機20における画面表示例である。両携帯端末機とも画面上でタッチ操作が可能なスマートフォンであるものとする。本例では、車両40は4人のユーザで共同利用されるものとし、説明の目的上、それらのユーザ名を、ユーザA(第1のユーザ)、ユーザB(第2のユーザ)、ユーザC(第3のユーザ)、ユーザD(第4のユーザ)とする。本例の設定として、ユーザBが、車両オーナーであるユーザAに所定の操作権限の付与を要求し、ユーザAはユーザBに対してそのうちの一部の操作権限を与えるものとする。
【0060】
図5Aは図3のステップS01における画面例である。図5Aでは、携帯端末機20の表示部210にユーザ一覧記憶手段220のユーザ一覧(ユーザA、ユーザC、ユーザD)が表示される。各ユーザには簡単な付加情報を付してもよい。例えば、ユーザAが車両オーナーであることのマーク、ユーザDは無免許者であることのマーク等を付すようにしてもよい。ここで、ユーザBはユーザAを選択する。
【0061】
図5B及び5Cは、図3のステップS02における画面例である。
図5Bに示すように、携帯端末機20の表示部210に、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧が表示される。即ち、操作対象となる部位及び利用制限の一覧(操作権限一覧)が表示され、ユーザBの指が画面上で移動するのに従って、操作権限一覧がスクロールするようになっている。ユーザBは所望の操作に関する部位の領域にタッチして表示を「ON」にすることによりその部位の操作権限を選択できる。また、図5Cのように、操作対象となる部位をグルーピングして部位セットごとに表示した状態を示すようにしてもよい。上述したように、例えば、「全ての操作権限」、「基本走行」(車両の走行に最低限必要な部位のみのセット)、「乗車のみ」(車両の運転を前提としないセット)等を表示できる。そして、各セットにタッチすると、図5Bに示すような態様で、そのセットを構成する部位等がリスト表示されるものとする。なお、「おまかせ」ボタンを選択すると、付与される操作権限の選択をユーザAに委ねることになる。
【0062】
ユーザBは図5Bにおいて全操作部位、特に、「ドア」、「エンジン」、「カーナビ」その他を「1日利用」する操作権限を選択し(「more」の下にその他の操作権限も存在し、それらも選択され得るものとする)、「送信しますか?」等の送信ボタンを押すと、権限要求メッセージ及び要求操作権限(ここでは、全操作権限の要求)が送受信部240から携帯端末機10に送信される。
【0063】
図5Dは、図3のステップS10における画面例である。
図5Dに示すように、携帯端末機10の表示部110には、ユーザBからの要求操作権限「1日利用」、「ドア」、「エンジン」、「カーナビ」(「more」の下にその他の操作権限も存在し得るものとする)が表示される。ここで、要求操作権限を許可する場合は「許可」をタッチすればよいが、ユーザAは付与する操作権限の範囲を減縮したいとして、要求操作権限を修正する。
【0064】
要求操作権限を修正する場合には、操作権限を拒否する操作部位の領域にタッチして表示を「OFF」にすればよい。図5Eに示すように、ユーザAは「カーナビ」の操作権限を拒否するために、「カーナビ」をOFFにする。図5D及び5Eの間、携帯端末機20の表示部220には「オーナーと通信中・・・」等の表示がされるようにしてもよい。
【0065】
図5Fは、図3のステップS14における画面例である。
携帯端末機10から携帯端末機20に付与操作権限(「1日利用」、「ドア」、「エンジン」その他)が送信され、携帯端末機10の表示部110には「操作権限を送信しました」等と表示され、携帯端末機20の表示部210には、付与された操作権限「1日利用」、「ドア」及び「エンジン」がONで表示され、付与されなかった操作権限「カーナビ」はOFFで表示される。
【0066】
[携帯端末機の画面表示例2]
図6A〜6Dは、図4のステップS51、S52、S60及びS64における第2のユーザの携帯端末機20及び第3のユーザの携帯端末機30における画面表示例である。携帯端末機20及び30とも画面上でタッチ操作が可能なスマートフォンであるものとする。本例でも、画面表示例1の説明と同様に、車両40は4人のユーザで共同利用されるものとし、それらのユーザを、ユーザA(第1のユーザ)、ユーザB(第2のユーザ)、ユーザC(第3のユーザ)、ユーザD(第4のユーザ)とする。本例では、ユーザCがユーザBに所定の操作権限の付与を要求し、ユーザBはユーザCに対してその一部を付与するものとする。
【0067】
図6Aは図4のステップS51における画面例である。図6Aでは、携帯端末機30の表示部310にユーザ一覧記憶手段320のユーザ一覧(ユーザA、ユーザB、ユーザD)が表示される。ここで、ユーザCはユーザBを選択する。
【0068】
図6Bは、図4のステップS52における画面例であり、図5Bと同様である。即ち、ユーザCは所望の操作部位にタッチして各表示を「ON」にすることによりその部位の操作権限を選択できる。ユーザCは図6Bにおいて「ドア」、「トランク」、「エンジン」、「カーナビ」を選択するものとし、権限要求メッセージ及び要求操作権限が送受信部340から携帯端末機20に送信される。なお、ユーザBは、「ドア」、「エンジン」及び「ウインドウ」の操作権限しか有していないものとする。
【0069】
図6Cは、図4のステップS60における画面例である。
図6Cに示すように、携帯端末機20の表示部210には、ユーザCからの要求操作権限(「ドア」、「トランク」、「エンジン」、「カーナビ」)が表示されるが、権限比較調整手段238によって、要求操作権限のうち保持操作権限に含まれる付与可能な操作権限である「ドア」及び「エンジン」がタッチ操作可能な状態で表示部210に表示され、保持操作権限範囲外の「トランク」及び「カーナビ」は選択できない状態で表示される。
【0070】
ユーザBは付与可能な操作権限を全て許可する場合、「許可」を選択してタッチする。それ以外の場合には、ユーザBは保持操作権限内から付与操作権限を決定することができる。この場合も、図5Dと同様に、操作権限を拒否する操作部位の領域にタッチして表示を「OFF」にすればよい。図6Cの間、携帯端末機30の表示部320には「ユーザBと通信中・・・」等の表示がされるようにしてもよい。
【0071】
図6Dは、図4のステップS64における画面例である。
携帯端末機20から携帯端末機30に付与操作権限が送信され、携帯端末機20の表示部210には「操作権限を送信しました」等と表示され、携帯端末機30の表示部310には、付与された操作権限「ドア」及び「エンジン」がONで表示され、付与されなかった「トランク」及び「カーナビ」がOFFで表示される。
【0072】
[変形例]
以上に本発明の代表的な実施例を示したが、本発明は以下のように変形可能である。
例えば、上記実施例では、車両オーナーは共同利用メンバーの中で1人であるとして説明したが、車両オーナー、即ち、全操作権限を他のユーザに付与することができるユーザは複数であってもよい。この場合、各ユーザはいずれの車両オーナーにも操作権限の付与を要求できるようにしてもよいし、特定のユーザが特定の車両オーナーに操作権限の付与を要求できるようにしてもよい。これにより、より柔軟な権限付与を可能とするシステムを構築できる。
【0073】
また、上記実施例では、車両オーナー以外のユーザ間で、その保持操作権限の範囲で自由に操作権限を付与し合うことができるものとしたが、特定のユーザ間(例えば、家族内での共同利用の場合は子供同士、会社内での共同利用の場合は異なる部署間の社員同士等)での操作権限の付与を制限する構成としてもよい。これにより、利便性の高まったシステムにおいても操作権限付与の乱用を防止できる。
【0074】
また、上記実施例において、各ユーザが保持している操作権限の情報をユーザ間で共有するようにしてもよい。この場合、各ユーザが保持している操作権限の情報が、周期的に、又はユーザ間の要求により通信されて、更新されるようにしてもよい。これにより、車両を利用させてもらう側のユーザにおいては、誰に操作権限付与を要求すればよいのかが分かる一方、車両オーナー側においては、適正に操作権限付与がなされているかの管理を容易とすることができる。
【0075】
また、上記実施例では、権限付与のステップを1段(即ち、いずれか1人のユーザによる許可によるもの)としたが、複数のユーザの許可を経由しなければ操作権限が付与されない構成としてもよい。例えば、会社内での共同利用の場合、担当社員が要求操作権限を上司に送信し、上司がそれを許可して経理担当者に送信し、経理担当者がそれを許可して上記担当社員に操作権限を付与するようにすることもできる。これにより、特に会社内での車両共同利用のための手続を円滑にすることができる。
【0076】
また、上記実施例では、ユーザが保持する操作権限は、ユーザが自身の携帯端末機にアクセスすることによって確認できるものであるが、車両側の表示部(例えば、カーナビ画面)に車両を使用しているユーザが保持する操作権限を表示できるようにしてもよい。これにより、運転中の携帯端末機の操作を防止することができる。
【0077】
以上より、本発明によると、比較的小規模な集団での車両共同利用において、ユーザ間で容易かつ柔軟に各操作権限を付与できることができる操作権限付与システムを実現できる。また、スマートフォン等を利用して手軽でかつ柔軟な操作権限の付与が可能となるので、ユーザの利便性が高まり、低コストかつ導入容易なシステムを実現できる。さらに、操作権限の実行又は操作権限付与に制限を課すことができるので、車両共同利用における利便性を高めつつも管理性も担保することができる。またさらに、セキュリティに関しても、セキュリティ解除機能を車両操作権限の付与時に携帯端末機に与えることで、キーではなく、携帯端末機のみでセキュリティ解除を行うことができ利便性が高まる。
【符号の説明】
【0078】
1.操作権限付与システム
10、20、30.携帯端末機
40.車両
50.車載制御装置
100、200、300.CPU
105、205、305.メモリ
110、210、310.表示部
120、220、320.ユーザ一覧記憶手段
121、221、321.ユーザ選択手段
130、230、330.権限一覧記憶手段
131、231、331.権限決定手段
140、240、340.送受信手段
150、250、350.転送通信手段
160、260、360.車両一覧記憶手段
161、261、361.車両選択手段
170、270、370.関連付け手段
235、335.権限要求手段
236、336.権限選択手段
237、337.保持権限記憶手段
238、338.権限比較調整手段
501.CPU
506.記憶部
550.転送通信手段
580.ユーザ認証手段
585.操作有効化手段
590.操作履歴記録手段
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の共同利用における操作権限付与システム、車載制御装置及びそのプログラムに関し、特に、車両のユーザ間で操作権限を付与するためのシステム、車載制御装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から車両の共同利用のためのシステムが提案されている。例えば、特許文献1では、カーシェアリングの会員がICカード等の会員証を持っていなくても携帯電話機を用いることによってシェアカーを利用できるようにするカーシェアリング管理システムが開示されている。同文献では、カーシェアリング管理システムにおいて、会員の携帯電話機からホストコンピュータに予約情報を送信し、ホストコンピュータが車両情報と予約情報に基づいて利用可能なシェアカーを検索し、シェアカーの車載器と会員の携帯電話機に予約情報を送信することが開示されている。
【0003】
特許文献2では、キーの受け渡しが容易で確実に行われる自動車の共同利用予約管理システムが開示されている。同文献では、複数のユーザがそれぞれのモバイル機器から予約情報等を管理サーバに送信し、管理サーバがキーの受け渡し場所や時間を特定して各ユーザに受け渡しを指示し、各ユーザは利用現場でキーを受け渡すことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−183749号公報
【特許文献2】特開2006−11891号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1のシステムによると、会員はカーシェアリング管理システムのホストコンピュータとの通信のみが利用可能であり、会員同士、即ち、車両ユーザ間で車両の運転権限を付与したり移したりするなどの柔軟な運用ができなかった。また、同文献のシステムは、ホストコンピュータ等を含むためシステムが大規模となり、特に、家族間、会社の同僚間等の比較的小規模な集団での車両共同利用への適用が難しいという問題があった。即ち、少人数での利用のために上記のような大規模なシステムを導入すると費用対効果として好ましくない。
【0006】
また、特許文献2のシステムによると、物理的なキーの受け渡しを前提としているため、車両機能についてきめ細かく操作権限を設定してユーザ間でそれを付与し合うことができなかった。
【0007】
そこで、本発明は、比較的小規模な集団での車両共同利用において、ユーザ間で容易かつ柔軟に操作権限を付与し合うことができ、かつ導入容易な操作権限付与システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の操作権限付与システムは、車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムであって、第1のユーザの第1の携帯端末機、第2のユーザの第2の携帯端末機、及び車載制御装置を備える。第1の携帯端末機は、第2のユーザに付与する第1の付与操作権限を操作権限一覧から決定する権限決定手段を備え、第1の付与操作権限を第2の携帯端末機に送信するように構成される。第2の携帯端末機は、受信した第1の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、保持操作権限を車載制御装置に転送するように構成される。車載制御装置は、転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備える。
このように、車両共同利用におけるユーザの携帯端末機同士で操作権限を付与できるようにしたことにより、比較的小規模な集団での車両共同利用において、ユーザ間で容易かつ柔軟に各操作権限を付与できることができる操作権限付与システムを実現できる。
【0009】
上記の操作権限付与システムにおいて、第2の携帯端末機は、操作権限一覧から要求操作権限を選択する権限選択手段、及び権限要求メッセージ及び要求操作権限を第1の携帯端末機に送信させるための権限要求手段をさらに備え、第1の携帯端末機の権限決定手段が要求操作権限に基づいて付与操作権限を決定するように構成される。
このように、一方のユーザから他方のユーザに要求操作権限を要求し、他方のユーザはそれに対応して操作権限を決定及び付与する構成としたので、操作権限の付与がより容易となる。
【0010】
上記の操作権限付与システムにおいて、第3のユーザの第3の携帯端末機をさらに備え、第2の携帯端末機は、保持操作権限の中から第3のユーザに付与する第2の付与操作権限を決定する権限決定手段を備え、第2の付与操作権限を第3の携帯端末機に送信するように構成され、第3の携帯端末機は、受信した前記第2の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、保持操作権限を車載制御装置に転送するように構成される。
第2のユーザがさらに、自己が保有する保持操作権限の範囲で第3のユーザに操作権限を付与できるようにしたので、車両共同利用のユーザ間の利便性を確保しつつも操作権限範囲の無用な拡張を回避することができる。
【0011】
上記の操作権限付与システムにおいて、車載制御装置は、操作対象機能の操作履歴を記憶する操作履歴記録手段を備え、操作履歴が車載制御装置から各携帯端末機に転送されるように構成される。
これにより、車両共同利用における利便性を高めつつも、各ユーザの車両利用状況を確実に管理することができる。
【0012】
上記の操作権限付与システムにおいて、各携帯端末機が赤外線通信部を備え、各携帯端末機の間の送受信が赤外線通信によって行われるようにした。
これにより、ユーザ間での操作権限の付与を通信網を介さずに行うことができ、低コストかつ導入容易なシステムを実現できるとともに利便性が一層高まる。
【0013】
本発明の、車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムに適用される車載制御装置は、第1のユーザの第1の携帯端末機から付与されて第2のユーザの第2の携帯端末機に記憶された保持操作権限が第2の携帯端末機から転送される通信転送手段、及び転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備える。
このような車載制御装置によって、車両ユーザ間で付与される操作権限が車両において確実に実行され、ユーザにおける利便性が高まる。
【0014】
上記の車両制御装置は、車両で行われた操作の履歴を記憶する操作履歴記録手段をさらに備え、記録された操作履歴が転送通信手段から第1の携帯端末機又は第2の携帯端末機に転送されるように構成される。
これにより、ユーザ間の操作権限付与における管理性を容易に確保することができる。
【0015】
本発明のプログラムは、コンピュータを、上記の操作権限付与システムの各手段として機能させるためのプログラムである。
このようなプログラムによって、スマートフォン等のあらゆる携帯情報端末及び車両に上記の操作権限付与システムを適用することができ、システム導入が容易となりユーザの利便性が高まる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施例による操作権限付与システムの概略図である。
【図2A】本発明の実施例による操作権限付与システムにおける携帯端末機の機能ブロック図である。
【図2B】本発明の実施例による操作権限付与システムにおける車載制御装置の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施例による操作権限付与システムの処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施例による操作権限付与システムの処理を示すフローチャートである。
【図5A】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5B】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5C】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5D】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5E】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図5F】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6A】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6B】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6C】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【図6D】本発明の実施例における携帯端末機の画面例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[操作権限付与システムの概略]
図1に本発明の実施例による操作権限付与システム1(以下、「システム1」という)の概略図を示す。システム1は、第1のユーザの携帯端末機10、第2のユーザの携帯端末機20、第3のユーザの携帯端末機30、及び車両40に搭載された車載制御装置50を備える。以降の説明において、説明の目的上、第1のユーザを車両40のオーナーとし、全ての操作権限を有しているものとする。但し、当業者であれば、第1のユーザが車両オーナーでなく、一借り手ユーザであっても以下の実施例が実施可能なことが分かるはずである。ここで、携帯端末機とは、スマートフォン、携帯電話機等の種々の携帯情報端末をいうものとする。携帯端末機10、20及び30は相互に通信可能なものとし、例えば、赤外線通信、無線LAN、電話回線による相互通信が可能なものとする。
【0018】
ここで、第1のユーザが第2のユーザに操作権限を与える場合、第1のユーザは携帯端末機10を用いて、第2のユーザに与えるべき操作権限(操作権限A)を操作権限一覧から選択して決定し、操作権限Aを携帯端末機20に送信する。
【0019】
また、第1のユーザが第2のユーザに操作権限を与える前に、第2のユーザが所望の操作権限(操作権限B)を第1のユーザに要求することもできる。この場合、第2のユーザは、端末機20において、操作権限一覧から操作権限Bを選択し、操作権限Bの付与を要求する権限要求メッセージ(ユーザ名等を含む)とともに携帯端末機10に送信する。第1のユーザは、携帯端末機10において、操作権限Bの許可を決定してもよいし、異なる操作権限Cを決定してもよい。その後、上記と同様に、第1のユーザは携帯端末機10を用いて操作権限B又はCを携帯端末機20に送信する。
【0020】
また、第2のユーザから第3のユーザに操作権限を付与することもできる。第2のユーザが第3のユーザに操作権限を与える場合、第2のユーザは携帯端末機20を用いて、自己が保有する操作権限の中から第3のユーザに与えるべき操作権限(操作権限D)を操作権限一覧から選択して決定し、操作権限Dを携帯端末機30に送信する。なお、第1のユーザは他のユーザに操作権限を付与しても自己の操作権限を失うわけではなく、付与後も通常通り全操作権限での車両の利用ができる。
【0021】
その後、第2又は第3のユーザは、携帯端末機20又は30を用いて、各携帯端末機のID及び保持操作権限を車載制御装置50に転送する。この転送は、至近距離にある携帯端末機20又は30と車載制御装置50との間でなされ、携帯端末機が認証されると、ドアロックが解除されて第2又は第3のユーザは車両40に乗ることができる。車載制御装置50は、入力された操作権限に対応する操作対象部位の操作及び動作を有効化する。車載制御装置50は車両40の各部位(例えば、ドア、トランク、サンルーフ、ウインドウ、エンジン、カーナビ等)の操作を有効化又は無効化することができる。例えば、第2のユーザが乗車し、入力操作権限にエンジンの起動が含まれ、トランクの使用が含まれていなかった場合には、車載制御装置50はエンジンの起動を有効化する一方で、トランクのロック解錠ができないようにする。なお、エンジンの起動はユーザがキーを所持している場合には、そのキーを用いるようにしてもよいし、携帯端末機からの信号によって行うようにしてもよい。
【0022】
また、操作権限には操作の制限も含まれ、利用回数、利用可能日数、利用可能時間帯、料金チャージ限度額等を操作権限に含めることができる。従って、車載制御装置50は、第2又は第3のユーザの車両使用開始とともに所定の利用制限を課すことになる。特に、利用可能日数のような時間的な利用制限を課すことにより、付与した操作権限を永久的な権限としないことができる。
このように、本発明の操作権限付与システムによると、複数のユーザ間で柔軟に、かつ管理性をもって操作権限を付与し合うことができる。
【0023】
[操作権限付与システムの機能ブロック図]
図2Aにシステム1における携帯端末機10、携帯端末機20及び携帯端末機30の機能ブロック図を示す。
携帯端末機10は、CPU100、プログラム及びデータを記憶するメモリ105、後述するアプリケーション画面を表示可能な表示部110、ユーザ一覧を格納するユーザ一覧記憶手段120、ユーザ一覧記憶手段120から1以上のユーザを選択するためのユーザ選択手段121、操作権限の一覧を格納する権限一覧記憶手段130、操作権限一覧から他のユーザに与えるための1以上の操作権限を決定する権限決定手段131、携帯端末機20及び30とのデータ通信及び電話通信を行う送受信手段140、及び車載制御装置50との間で近距離データ転送を行う転送通信手段150を備える。さらに、携帯端末機10は、第1のユーザが所有する(即ち、システム1内で所有される)車両を記憶する車両一覧記憶手段160、車両一覧記憶手段160の中から操作対象となる車両を選択するための車両選択手段161、並びに選択されるユーザ、操作権限及び車両の関連付け規則を適用する関連付け手段170を備えていてもよい。上記の各手段はシステムバスで相互接続されている。なお、システム1内で所有される車両が1台のみの場合は、車両一覧記憶手段160及び車両選択手段161は不要である。
【0024】
表示部110は携帯端末機の画面であり、これがスマートフォンの場合には、ユーザのタッチ操作により入力動作可能な入出力インターフェイス(I/O)となる。
【0025】
ユーザ一覧記憶手段120には、例えば、家族間の車両の共同利用であれば、家族のメンバーが格納され、会社内での車両の共同利用であれば、関係する社員の一覧が格納される。社員の一覧が格納される場合には、部署ごと、役職ごとにグルーピングして格納するようにしてもよい。
【0026】
ユーザ選択手段121は、ユーザ一覧記憶手段120のユーザ一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、操作権限を付与すべき1以上のユーザ又はグループを選択する。グループが選択される場合には、グループを構成するメンバーに同時に同一の操作権限が付与されるものとする。
【0027】
権限一覧記憶手段130は、車両40において操作対象となる部位及び利用の制限をリストアップして操作権限一覧が格納される。即ち、操作権限一覧には、例えば、ドア、トランク、サンルーフ、ウインドウ、エンジン、カーナビ等の部位が含まれ、併せてエンジン起動回数、料金チャージ限度額等の利用制限も含まれる。これらの部位は、操作権限セットとしてグルーピングされて格納されてもよい。操作権限セットは、例えば、全操作権限を含むセット、車両走行を行うために必要最小限の操作権限(例えば、運転席のドア、エンジンの操作権限のみ)を含むセット、無免許者に対する操作権限(例えば、ドア及びトランクの操作権限のみ)を含むセット、近隣への出張用のための操作権限(拠点から所定距離内又は所定地域内での使用においては全権限を与えるが、拠点から所定距離を超える地点又は所定地域外では一切の権限を与えない等)のセットとすることができる。また、ドア(運転席のドア、助手席のドア、後部座席のドア、バックドア)、電気系統(カーナビ、テレビ、・・・)等のように部位ごとにグルーピングしてもよい。
【0028】
権限決定手段131は、権限一覧記憶手段130の操作権限一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、操作権限一覧の中から他のユーザに与えるべき1以上の操作権限を決定する。あるいは、後述するように、他のユーザの携帯端末機から受信した要求操作権限を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、その許可若しくは拒否又は権限範囲の修正を行わせて他のユーザに与える1以上の操作権限を決定する。
【0029】
送受信手段140は、権限決定手段131によって決定された操作権限(付与操作権限)を携帯端末機20又は30に送信するためのものである。送受信手段140は、赤外線通信、無線LAN又は電話回線により、携帯端末機20又は30と通信可能なものであればよい。例えば、第1のユーザと第2のユーザが至近距離にいる場合であれば、携帯端末機10と携帯端末機20とは赤外線通信部により赤外線で通信することができる。また、第1のユーザと第2のユーザが同じ家の中、又は建物内の同じフロア等のように比較的近くにいる場合であれば、携帯端末機10と携帯端末機20とは無線LANにより通信することができる。そして、第1のユーザと第2のユーザとが遠隔にいる場合は、携帯端末機10と携帯端末機20とは電話回線で通信することになる。特に、赤外線通信を用いることにより、基地局や通信設備を介すことなくユーザ間で操作権限の付与を行うことができ、低コストかつ導入容易なシステムを実現できるとともに利便性が一層高まる。
【0030】
転送通信手段150は、(第2のユーザへの権限付与とは無関係に)第1のユーザ自身が車両40を使用するときに、車載制御装置50と携帯端末機10の端末ID又はユーザ情報(以下、「ユーザID」という)を近距離通信するために使用される。従って、第1のユーザが通常のキーを用いて車両40を操作する場合には使用されなくてもよい。転送通信手段150は赤外線通信用の通信部等であればよい。従って、送受信手段140と転送通信手段150は同一の通信部となる場合もある。
【0031】
関連付け手段170は、ユーザ選択手段121によって選択されたユーザ又はグループに、権限決定手段131で決定され得る操作権限を関連付けて、特定のユーザに関して表示部110に提示される操作権限の選択肢を絞るものである。例えば、ユーザの免許の有無に関連して、無免許者には「運転席のドア」や「エンジン」を選択させないようにしてもよい。これにより、第1のユーザによる操作権限の決定処理が促進される。また、特定のユーザについて過去に最も多く利用された操作権限のセットをメモリ105に記憶しておき、そのユーザがユーザ選択手段121によって選択された場合に、関連付け手段170がメモリ105から当該セットを読み出すようにしてもよい。
【0032】
また、(設けられる場合には)車両選択手段161によって選択された車両に操作権限を関連付けてもよい。例えば、他のユーザに車両Aの走行に関する操作権限を与えても良いが、車両Bに関しては乗車のみ(走行は不可)の操作権限しか与えたくないと第1のユーザが決めている場合に、車両Bが選択された場合には、表示部110に表示されるべき操作権限の選択肢は乗車のみの操作権限に絞られる。また、選択されたユーザと選択された車両の双方に関連して操作権限の選択肢を狭めるようにしてもよい。例えば、第2のユーザが普通免許を持つが大型免許を持たない場合であって車両Aが普通車で車両Bが大型車である場合に、ユーザ選択手段121によって第2のユーザが選択され、車両選択手段161によって車両Bが選択された場合には、表示部110に表示される操作権限一覧の選択肢から少なくとも走行に関する部位が除外される。
【0033】
携帯端末機20は、CPU200、メモリ205、表示部210、ユーザ一覧記憶手段220、ユーザ選択手段221、権限一覧記憶手段230、権限決定手段231、権限要求手段235、権限選択手段236、保持権限記憶手段237、権限比較調整手段238、送受信手段240、転送通信手段250、車両一覧記憶手段260、車両選択手段261、並びに関連付け手段270を備え、これらはシステムバスで相互接続されている。なお、携帯端末機10と同様に、システム1内で所有される車両が1台のみの場合は、車両一覧記憶手段260及び車両選択手段261は不要である。携帯端末機10、携帯端末機20及び携帯端末機30において、下二桁に同一符号を付した構成は互いに同様であるので、重複する説明を省略する。携帯端末機10と携帯端末機20とで異なる点として、携帯端末機20は、権限要求手段235、権限選択手段236、保持権限記憶手段237及び権限比較調整手段238を備える点である。
【0034】
権限要求手段235は、操作権限の付与を他のユーザに向けて要求するためのものである。権限要求手段235は権限要求メッセージを生成し、権限要求メッセージ及び権限選択手段236で選択される要求操作権限を送受信部240から携帯端末機10に送信させる。あるいは、付与される操作権限の選択を他のユーザ(例えば、第1のユーザ)に委ねるときは、権限要求メッセージのみを携帯端末機10に送信させる。
【0035】
権限選択手段236は、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧を表示部110に表示させ、第2のユーザの入力に従って、操作権限一覧の中から他のユーザに要求すべき1以上の操作権限を選択する。
【0036】
保持権限記憶手段237は他のユーザから付与された(即ち、現在保持している)操作権限(以下、「保持操作権限」という)を記憶し、保持操作権限は転送通信手段250によって車載制御装置50に転送される。また、第2のユーザは、権限決定手段231によって、保持権限記憶手段234に記憶された操作権限を表示部210に表示し、その操作権限の中から他のユーザ(例えば、第3のユーザ)に与える1以上の操作権限を決定することができる。この保持権限記憶手段234を含む構成により、ユーザの利便性を確保しつつも操作権限範囲の無用な拡張を回避することができる。
【0037】
権限比較調整手段238は、他のユーザから要求された要求操作権限と、保持権限記憶手段237に記憶されている保持操作権限とを比較し、要求操作権限が保持操作権限の範囲を超えている場合には、超えた部分を削除して要求操作権限が保持操作権限内のものとなるように調整し、新たな要求操作権限を生成する。
【0038】
転送通信手段250は、上述したように車載制御装置50と近距離通信するためのものである。転送通信手段250によって、携帯端末機20のユーザIDと保持権限記憶手段234に記憶されている保持操作権限が車載制御装置50に転送される。
【0039】
携帯端末機30は、CPU300、メモリ305、表示部310、ユーザ一覧記憶手段320、ユーザ選択手段321、権限一覧記憶手段330、権限決定手段331、権限要求手段335、権限選択手段336、保持権限記憶手段337、権限比較調整手段338、送受信手段340及び転送通信手段350を備え、必要に応じて、さらに車両一覧記憶手段360、車両選択手段361及び関連付け手段370を備え、これらはシステムバスで相互接続されている。携帯端末機30は携帯端末機20の構成と同様であるものとする。
【0040】
図2Bにシステム1における車載制御装置50の機能ブロック図を示す。
車載制御装置50は、CPU501、プログラム及びデータを記憶する記憶部506、転送通信手段550、ユーザ認証手段580、操作有効化手段585及び操作履歴記録手段590を備え、これらはシステムバスで相互接続されている。
【0041】
転送通信手段550は、携帯端末機10、20又は30と近距離データ転送を行うものであり、携帯端末機から転送されたユーザIDと保持操作権限が転送入力される。
【0042】
ユーザ認証手段580は、転送通信手段550から入力されたユーザIDが登録済みのものか否を検証し、転送通信手段550にデータ転送を行った携帯端末機のユーザ認証を行う。
【0043】
操作有効化手段585は、ユーザ認証手段580でのユーザ認証が成功した場合、まず、操作権限を付与されたドアのロックを解錠する。そして、操作有効化手段585は、転送入力された操作権限で指定された部位の操作及び動作を有効状態とするとともに、上述した利用上の制限(利用回数、使用時間、使用金額等の制限)を開始する。
【0044】
操作履歴記録手段590は車両40で行われた操作の履歴を記憶する。記録された操作履歴は転送通信手段550から、車両40を使用しているユーザの携帯端末機に転送される。この転送はユーザの車両使用終了時に送信するようにしてもよいし、逐次送信するようにしてもよい。あるいは、記録された操作履歴は後日、転送通信手段550を介して車両オーナーの携帯端末機10に転送できるようにしてもよい。この場合、転送される情報においては、ユーザと操作履歴が関連付けられているものとする。これにより、車両共同利用における利便性を高めつつも、各ユーザの車両利用状況を確実に管理することができる。
【0045】
[操作権限付与システムの制御のフローチャート1]
図3にシステム1における制御のフローチャートを示す。図3のフローチャートは、第1のユーザ(全操作権限を有する車両オーナー)から第2のユーザへの操作権限の付与における処理を示す。
ステップS01において、携帯端末機20のユーザ選択手段221が、ユーザ一覧記憶手段220のユーザ一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って、操作権限の要求先となるユーザ(本例では第1のユーザ)を選択する。
ステップS02において、携帯端末機20の権限選択手段236が、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って1以上の要求操作権限を選択する。
ステップS03において、携帯端末機20の権限要求手段235が、権限要求メッセージ及び要求操作権限を送受信部240から第1のユーザの携帯端末機10に送信させる。
なお、付与される操作権限の選択を第1のユーザに委ねるときは、ステップS02は省略され、ステップS03において、権限要求メッセージのみが携帯端末機10に送信される。
【0046】
ステップS10において、携帯端末機10の権限決定手段131が、要求元ユーザ及び要求操作権限を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って、要求操作権限を付与するか否かを決定する。ステップS10でYesの場合には、処理はステップS14に進み、Noの場合にはステップS11に進む。
ステップS11において、権限決定手段131が、第1のユーザの入力に従って、要求操作権限を修正して付与操作権限を決定すると、処理はステップS14に進む。この修正処理について、付与操作権限は要求操作権限を減縮したもの(要求操作権限の全てを拒否するものを含む)であってもよいし、拡大したものであってもよいし、変更したものであってもよいが、少なくとも第1のユーザは要求操作権限に基づいて修正を行うことになる。
【0047】
一方、第1のユーザが(第2のユーザの要求に応じるのではなく)自発的に第2のユーザに操作権限を与える場合には、まず、ステップS12において、ユーザ選択手段121が、ユーザ一覧記憶手段120のユーザ一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って1以上のユーザ(本例では第2のユーザ)を選択する。
ステップS13において、権限決定手段131が、権限一覧記憶手段130の操作権限一覧を表示部110に表示させ、第1のユーザの入力に従って付与操作権限を決定する。
【0048】
ステップS14において、権限決定手段131が付与操作権限を確定し、携帯端末機10の送受信手段140が、確定された付与操作権限を携帯端末機20の送受信手段240に送信する。
ステップS20において、携帯端末機20の保持権限記憶手段237が、第1のユーザから付与された操作権限を表示部210に表示するとともにそれを保持操作権限として記憶する。
【0049】
その後、ステップS25において、携帯端末機20の転送通信手段250が、携帯端末機20のユーザID及び保持権限記憶手段237に記憶された保持操作権限を車載制御装置50の転送通信手段550に転送する。
【0050】
ステップS30において、ユーザ認証手段580は、入力されたユーザIDが登録済みのものか否か確認し、Yesの場合には、ユーザを認証してステップS31に進み、操作権限が付与されたドアのロックを解錠する。Noの場合には、セキュリティ動作の一環として処理は終了する。
ステップS32において、操作有効化手段585が、入力された操作権限で指定された部位の操作を有効状態とするとともに上述した利用上の制限(利用回数、使用時間、使用金額等の制限)を開始する。これにより、第2のユーザは、付与された操作権限の範囲で車両40を利用することができる。
【0051】
また、ステップS35において、第2のユーザによって実行された操作の履歴を車両40の操作履歴記録手段590が記録し、ステップS36において、第2のユーザの車両使用終了時又は逐次、携帯端末機20に操作履歴を転送することができる。
ステップS36として、携帯端末機20の送受信部240から操作履歴を携帯端末機10の送受信部140に送信してもよいし、記憶手段506が操作履歴を、後日乗車した第1のユーザの携帯端末機10の転送通信部150に転送するようにしてもよいし、外付けメモリ等によって情報を取り出せるようにしてもよい。
【0052】
[操作権限付与システムの制御のフローチャート2]
図4にシステム1における他の制御のフローチャートを示す。図4のフローチャートは、車両オーナーではない第2のユーザから車両オーナーではない第3のユーザへの操作権限の付与における処理を示す。
ステップS51において、携帯端末機30のユーザ選択手段321が、ユーザ一覧記憶手段320のユーザ一覧を表示部310に表示させ、第3のユーザの入力に従って1以上のユーザ(本例では第2のユーザ)を選択する。
ステップS52において、携帯端末機30の権限選択手段332が、操作権限一覧を表示部310に表示させ、第3のユーザの入力に従って1以上の要求操作権限を選択する。
ステップS53において、携帯端末機30の権限要求手段335が、権限要求メッセージ及び要求操作権限を送受信部340から携帯端末機20に向けて送信させる。
なお、付与される操作権限の選択を第2のユーザに委ねるときは、ステップS52は省略され、権限要求メッセージのみが携帯端末機20に送信される。
【0053】
ステップS58において、携帯端末機20の権限比較調整手段238が、受信した要求操作権限が、保持権限記憶手段237に記憶されている保持操作権限内のものか否か判断する。Yesの場合には、処理はステップS60に進む。Noの場合には、ステップS59において、権限比較調整手段238は要求操作権限のうち保持操作権限外のものを削除して残りの操作権限を新たな要求操作権限とし、処理はステップS60に進む。
【0054】
ステップS60において、携帯端末機20の権限決定手段231が、要求元ユーザ及び要求操作権限を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って、要求操作権限を付与するか否かを決定する。ステップS60でYesの場合には、処理はステップS64に進み、Noの場合にはステップS61に進む。
ステップS61において、権限決定手段231が、第2のユーザの入力に従って、要求操作権限を修正して付与操作権限を選択すると、処理はステップS64に進む。この修正処理についても、付与操作権限は要求操作権限を減縮したもの(要求操作権限の全てを拒否するものを含む)であってもよいし、保持操作権限内で拡大したもの又は変更したものであってもよいが、少なくとも第2のユーザは要求操作権限に基づいて修正を行うことになる。
【0055】
一方、第2のユーザが(第3のユーザの要求に応じるのではなく)自発的に第3のユーザに操作権限を与える場合には、まず、ステップS62において、ユーザ選択手段221が、ユーザ一覧記憶手段220のユーザ一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って1以上のユーザ(本例では第3のユーザ)を選択する。
ステップS63において、権限決定手段231が、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧を表示部210に表示させ、第2のユーザの入力に従って付与操作権限を決定する。
【0056】
ステップS64において、権限決定手段231が付与操作権限を確定し、携帯端末機20の送受信手段240が、確定された付与操作権限を携帯端末機30の送受信手段340に送信する。
ステップS70において、携帯端末機30の保持権限記憶手段337が、第2のユーザから付与された操作権限を表示部310に表示するとともにそれを記憶する。
【0057】
その後、ステップS75において、携帯端末機30の転送通信手段350が、携帯端末機30のユーザID及び保持権限記憶手段337に記憶された保持操作権限を車載制御装置50の転送通信手段550に送信する。
以降のステップS80〜S86は、図3のステップS30〜S36と同様である(車両40の利用者が第2のユーザではなく第3のユーザになっただけである)ので説明を省略する。
【0058】
なお、本発明は、コンピュータを、上述した操作権限付与システムの各手段として機能させ、又は各ステップとして実行させるためのプログラムも含む。また、本発明は、そのようなプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体も含む。
【0059】
[携帯端末機の画面表示例1]
図5A〜5Fは、図3のステップS01、S02、S10及びS14における第1のユーザの携帯端末機10及び第2のユーザの携帯端末機20における画面表示例である。両携帯端末機とも画面上でタッチ操作が可能なスマートフォンであるものとする。本例では、車両40は4人のユーザで共同利用されるものとし、説明の目的上、それらのユーザ名を、ユーザA(第1のユーザ)、ユーザB(第2のユーザ)、ユーザC(第3のユーザ)、ユーザD(第4のユーザ)とする。本例の設定として、ユーザBが、車両オーナーであるユーザAに所定の操作権限の付与を要求し、ユーザAはユーザBに対してそのうちの一部の操作権限を与えるものとする。
【0060】
図5Aは図3のステップS01における画面例である。図5Aでは、携帯端末機20の表示部210にユーザ一覧記憶手段220のユーザ一覧(ユーザA、ユーザC、ユーザD)が表示される。各ユーザには簡単な付加情報を付してもよい。例えば、ユーザAが車両オーナーであることのマーク、ユーザDは無免許者であることのマーク等を付すようにしてもよい。ここで、ユーザBはユーザAを選択する。
【0061】
図5B及び5Cは、図3のステップS02における画面例である。
図5Bに示すように、携帯端末機20の表示部210に、権限一覧記憶手段230の操作権限一覧が表示される。即ち、操作対象となる部位及び利用制限の一覧(操作権限一覧)が表示され、ユーザBの指が画面上で移動するのに従って、操作権限一覧がスクロールするようになっている。ユーザBは所望の操作に関する部位の領域にタッチして表示を「ON」にすることによりその部位の操作権限を選択できる。また、図5Cのように、操作対象となる部位をグルーピングして部位セットごとに表示した状態を示すようにしてもよい。上述したように、例えば、「全ての操作権限」、「基本走行」(車両の走行に最低限必要な部位のみのセット)、「乗車のみ」(車両の運転を前提としないセット)等を表示できる。そして、各セットにタッチすると、図5Bに示すような態様で、そのセットを構成する部位等がリスト表示されるものとする。なお、「おまかせ」ボタンを選択すると、付与される操作権限の選択をユーザAに委ねることになる。
【0062】
ユーザBは図5Bにおいて全操作部位、特に、「ドア」、「エンジン」、「カーナビ」その他を「1日利用」する操作権限を選択し(「more」の下にその他の操作権限も存在し、それらも選択され得るものとする)、「送信しますか?」等の送信ボタンを押すと、権限要求メッセージ及び要求操作権限(ここでは、全操作権限の要求)が送受信部240から携帯端末機10に送信される。
【0063】
図5Dは、図3のステップS10における画面例である。
図5Dに示すように、携帯端末機10の表示部110には、ユーザBからの要求操作権限「1日利用」、「ドア」、「エンジン」、「カーナビ」(「more」の下にその他の操作権限も存在し得るものとする)が表示される。ここで、要求操作権限を許可する場合は「許可」をタッチすればよいが、ユーザAは付与する操作権限の範囲を減縮したいとして、要求操作権限を修正する。
【0064】
要求操作権限を修正する場合には、操作権限を拒否する操作部位の領域にタッチして表示を「OFF」にすればよい。図5Eに示すように、ユーザAは「カーナビ」の操作権限を拒否するために、「カーナビ」をOFFにする。図5D及び5Eの間、携帯端末機20の表示部220には「オーナーと通信中・・・」等の表示がされるようにしてもよい。
【0065】
図5Fは、図3のステップS14における画面例である。
携帯端末機10から携帯端末機20に付与操作権限(「1日利用」、「ドア」、「エンジン」その他)が送信され、携帯端末機10の表示部110には「操作権限を送信しました」等と表示され、携帯端末機20の表示部210には、付与された操作権限「1日利用」、「ドア」及び「エンジン」がONで表示され、付与されなかった操作権限「カーナビ」はOFFで表示される。
【0066】
[携帯端末機の画面表示例2]
図6A〜6Dは、図4のステップS51、S52、S60及びS64における第2のユーザの携帯端末機20及び第3のユーザの携帯端末機30における画面表示例である。携帯端末機20及び30とも画面上でタッチ操作が可能なスマートフォンであるものとする。本例でも、画面表示例1の説明と同様に、車両40は4人のユーザで共同利用されるものとし、それらのユーザを、ユーザA(第1のユーザ)、ユーザB(第2のユーザ)、ユーザC(第3のユーザ)、ユーザD(第4のユーザ)とする。本例では、ユーザCがユーザBに所定の操作権限の付与を要求し、ユーザBはユーザCに対してその一部を付与するものとする。
【0067】
図6Aは図4のステップS51における画面例である。図6Aでは、携帯端末機30の表示部310にユーザ一覧記憶手段320のユーザ一覧(ユーザA、ユーザB、ユーザD)が表示される。ここで、ユーザCはユーザBを選択する。
【0068】
図6Bは、図4のステップS52における画面例であり、図5Bと同様である。即ち、ユーザCは所望の操作部位にタッチして各表示を「ON」にすることによりその部位の操作権限を選択できる。ユーザCは図6Bにおいて「ドア」、「トランク」、「エンジン」、「カーナビ」を選択するものとし、権限要求メッセージ及び要求操作権限が送受信部340から携帯端末機20に送信される。なお、ユーザBは、「ドア」、「エンジン」及び「ウインドウ」の操作権限しか有していないものとする。
【0069】
図6Cは、図4のステップS60における画面例である。
図6Cに示すように、携帯端末機20の表示部210には、ユーザCからの要求操作権限(「ドア」、「トランク」、「エンジン」、「カーナビ」)が表示されるが、権限比較調整手段238によって、要求操作権限のうち保持操作権限に含まれる付与可能な操作権限である「ドア」及び「エンジン」がタッチ操作可能な状態で表示部210に表示され、保持操作権限範囲外の「トランク」及び「カーナビ」は選択できない状態で表示される。
【0070】
ユーザBは付与可能な操作権限を全て許可する場合、「許可」を選択してタッチする。それ以外の場合には、ユーザBは保持操作権限内から付与操作権限を決定することができる。この場合も、図5Dと同様に、操作権限を拒否する操作部位の領域にタッチして表示を「OFF」にすればよい。図6Cの間、携帯端末機30の表示部320には「ユーザBと通信中・・・」等の表示がされるようにしてもよい。
【0071】
図6Dは、図4のステップS64における画面例である。
携帯端末機20から携帯端末機30に付与操作権限が送信され、携帯端末機20の表示部210には「操作権限を送信しました」等と表示され、携帯端末機30の表示部310には、付与された操作権限「ドア」及び「エンジン」がONで表示され、付与されなかった「トランク」及び「カーナビ」がOFFで表示される。
【0072】
[変形例]
以上に本発明の代表的な実施例を示したが、本発明は以下のように変形可能である。
例えば、上記実施例では、車両オーナーは共同利用メンバーの中で1人であるとして説明したが、車両オーナー、即ち、全操作権限を他のユーザに付与することができるユーザは複数であってもよい。この場合、各ユーザはいずれの車両オーナーにも操作権限の付与を要求できるようにしてもよいし、特定のユーザが特定の車両オーナーに操作権限の付与を要求できるようにしてもよい。これにより、より柔軟な権限付与を可能とするシステムを構築できる。
【0073】
また、上記実施例では、車両オーナー以外のユーザ間で、その保持操作権限の範囲で自由に操作権限を付与し合うことができるものとしたが、特定のユーザ間(例えば、家族内での共同利用の場合は子供同士、会社内での共同利用の場合は異なる部署間の社員同士等)での操作権限の付与を制限する構成としてもよい。これにより、利便性の高まったシステムにおいても操作権限付与の乱用を防止できる。
【0074】
また、上記実施例において、各ユーザが保持している操作権限の情報をユーザ間で共有するようにしてもよい。この場合、各ユーザが保持している操作権限の情報が、周期的に、又はユーザ間の要求により通信されて、更新されるようにしてもよい。これにより、車両を利用させてもらう側のユーザにおいては、誰に操作権限付与を要求すればよいのかが分かる一方、車両オーナー側においては、適正に操作権限付与がなされているかの管理を容易とすることができる。
【0075】
また、上記実施例では、権限付与のステップを1段(即ち、いずれか1人のユーザによる許可によるもの)としたが、複数のユーザの許可を経由しなければ操作権限が付与されない構成としてもよい。例えば、会社内での共同利用の場合、担当社員が要求操作権限を上司に送信し、上司がそれを許可して経理担当者に送信し、経理担当者がそれを許可して上記担当社員に操作権限を付与するようにすることもできる。これにより、特に会社内での車両共同利用のための手続を円滑にすることができる。
【0076】
また、上記実施例では、ユーザが保持する操作権限は、ユーザが自身の携帯端末機にアクセスすることによって確認できるものであるが、車両側の表示部(例えば、カーナビ画面)に車両を使用しているユーザが保持する操作権限を表示できるようにしてもよい。これにより、運転中の携帯端末機の操作を防止することができる。
【0077】
以上より、本発明によると、比較的小規模な集団での車両共同利用において、ユーザ間で容易かつ柔軟に各操作権限を付与できることができる操作権限付与システムを実現できる。また、スマートフォン等を利用して手軽でかつ柔軟な操作権限の付与が可能となるので、ユーザの利便性が高まり、低コストかつ導入容易なシステムを実現できる。さらに、操作権限の実行又は操作権限付与に制限を課すことができるので、車両共同利用における利便性を高めつつも管理性も担保することができる。またさらに、セキュリティに関しても、セキュリティ解除機能を車両操作権限の付与時に携帯端末機に与えることで、キーではなく、携帯端末機のみでセキュリティ解除を行うことができ利便性が高まる。
【符号の説明】
【0078】
1.操作権限付与システム
10、20、30.携帯端末機
40.車両
50.車載制御装置
100、200、300.CPU
105、205、305.メモリ
110、210、310.表示部
120、220、320.ユーザ一覧記憶手段
121、221、321.ユーザ選択手段
130、230、330.権限一覧記憶手段
131、231、331.権限決定手段
140、240、340.送受信手段
150、250、350.転送通信手段
160、260、360.車両一覧記憶手段
161、261、361.車両選択手段
170、270、370.関連付け手段
235、335.権限要求手段
236、336.権限選択手段
237、337.保持権限記憶手段
238、338.権限比較調整手段
501.CPU
506.記憶部
550.転送通信手段
580.ユーザ認証手段
585.操作有効化手段
590.操作履歴記録手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムであって、第1のユーザの第1の携帯端末機、第2のユーザの第2の携帯端末機、及び車載制御装置を備え、
前記第1の携帯端末機が、前記第2のユーザに付与する第1の付与操作権限を操作権限一覧から決定する権限決定手段を備え、該第1の付与操作権限を前記第2の携帯端末機に送信するように構成され、
前記第2の携帯端末機が、受信した前記第1の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、該保持操作権限を前記車載制御装置に転送するように構成され、
前記車載制御装置が、前記転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備えた、操作権限付与システム。
【請求項2】
請求項1に記載の操作権限付与システムにおいて、
前記第2の携帯端末機が、操作権限一覧から要求操作権限を選択する権限選択手段、及び権限要求メッセージ及び該要求操作権限を前記第1の携帯端末機に送信させるための権限要求手段をさらに備え、
前記第1の携帯端末機の権限決定手段が前記要求操作権限に基づいて前記付与操作権限を決定するように構成された操作権限付与システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の操作権限付与システムであって、第3のユーザの第3の携帯端末機をさらに備え、
前記第2の携帯端末機が、前記保持操作権限の中から前記第3のユーザに付与する第2の付与操作権限を決定する権限決定手段を備え、該第2の付与操作権限を前記第3の携帯端末機に送信するように構成され、
前記第3の携帯端末機が、受信した前記第2の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、該保持操作権限を前記車載制御装置に転送するように構成された、操作権限付与システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の操作権限付与システムにおいて、前記車載制御装置が、前記操作対象機能の操作履歴を記憶する操作履歴記録手段を備え、該操作履歴が該車載制御装置から各携帯端末機に転送されるように構成された操作権限付与システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の操作権限付与システムにおいて、各携帯端末機が赤外線通信部を備え、各携帯端末機の間の送受信が赤外線通信によって行われる、操作権限付与システム。
【請求項6】
車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムに適用される車載制御装置であって、
第1のユーザの第1の携帯端末機から付与されて第2のユーザの第2の携帯端末機に記憶された保持操作権限が該第2の携帯端末機から転送される通信転送手段、及び
転送された前記保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段
を備えた車載制御装置。
【請求項7】
請求項6の車載制御装置であって、
前記車両で行われた操作の履歴を記憶する操作履歴記録手段をさらに備え、記録された操作履歴が前記転送通信手段から前記第1の携帯端末機又は前記第2の携帯端末機に転送されるように構成された車載制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作権限付与システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項1】
車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムであって、第1のユーザの第1の携帯端末機、第2のユーザの第2の携帯端末機、及び車載制御装置を備え、
前記第1の携帯端末機が、前記第2のユーザに付与する第1の付与操作権限を操作権限一覧から決定する権限決定手段を備え、該第1の付与操作権限を前記第2の携帯端末機に送信するように構成され、
前記第2の携帯端末機が、受信した前記第1の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、該保持操作権限を前記車載制御装置に転送するように構成され、
前記車載制御装置が、前記転送された保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段を備えた、操作権限付与システム。
【請求項2】
請求項1に記載の操作権限付与システムにおいて、
前記第2の携帯端末機が、操作権限一覧から要求操作権限を選択する権限選択手段、及び権限要求メッセージ及び該要求操作権限を前記第1の携帯端末機に送信させるための権限要求手段をさらに備え、
前記第1の携帯端末機の権限決定手段が前記要求操作権限に基づいて前記付与操作権限を決定するように構成された操作権限付与システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の操作権限付与システムであって、第3のユーザの第3の携帯端末機をさらに備え、
前記第2の携帯端末機が、前記保持操作権限の中から前記第3のユーザに付与する第2の付与操作権限を決定する権限決定手段を備え、該第2の付与操作権限を前記第3の携帯端末機に送信するように構成され、
前記第3の携帯端末機が、受信した前記第2の付与操作権限を保持操作権限として記憶する保持権限記憶手段を備え、該保持操作権限を前記車載制御装置に転送するように構成された、操作権限付与システム。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の操作権限付与システムにおいて、前記車載制御装置が、前記操作対象機能の操作履歴を記憶する操作履歴記録手段を備え、該操作履歴が該車載制御装置から各携帯端末機に転送されるように構成された操作権限付与システム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の操作権限付与システムにおいて、各携帯端末機が赤外線通信部を備え、各携帯端末機の間の送受信が赤外線通信によって行われる、操作権限付与システム。
【請求項6】
車両共同利用において車両ユーザ間で操作権限を付与するための操作権限付与システムに適用される車載制御装置であって、
第1のユーザの第1の携帯端末機から付与されて第2のユーザの第2の携帯端末機に記憶された保持操作権限が該第2の携帯端末機から転送される通信転送手段、及び
転送された前記保持操作権限によって指定された操作対象部位の動作を有効化する操作有効化手段
を備えた車載制御装置。
【請求項7】
請求項6の車載制御装置であって、
前記車両で行われた操作の履歴を記憶する操作履歴記録手段をさらに備え、記録された操作履歴が前記転送通信手段から前記第1の携帯端末機又は前記第2の携帯端末機に転送されるように構成された車載制御装置。
【請求項8】
コンピュータを、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作権限付与システムの各手段として機能させるためのプログラム。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【公開番号】特開2013−37568(P2013−37568A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173878(P2011−173878)
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月9日(2011.8.9)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】
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