説明

車両の冷却装置

【課題】ウォータポンプの回転軸と軸受け部との摺動面の摺動性を劣化させることなく車両の検査や調整を行う上で有利な車両の冷却装置を提供する。
【解決手段】ウォータポンプ11の回転軸1204と軸受け部1206との潤滑は冷却水によって行なわれる。冷却水が無い状態でのウォータポンプ11の不用意な動作を防止する場合には、ECU20の初期化動作の期間、閉成信号Sc2が停止されることにより、常時開成のウォータポンプ用リレー18によるウォータポンプ11への電力P1の供給が停止される。初期化動作が終了したならば、駆動停止を指令する駆動制御信号Sc1をウォータポンプ11に供給した後、閉成信号Sc2を有効とする。これによりウォータポンプ11に対する電力P1の供給が可能な状態とされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(Electric Vehicle)あるいはハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)は、電動式のウォータポンプによって冷却水を循環させることで車両に搭載された冷却対象を冷却する冷却装置を備えている(特許文献1参照)。
この種の冷却装置の一例を図3に示す。
冷却装置100は、補機バッテリー102と、冷却水循環用のウォータポンプ104と、ECU110を含んで構成されている。
補機バッテリー102は、車両の補機に電力を供給するものであり、車両の駆動用モータに駆動用電力を供給するメインバッテリーとは別に設けられたものである。
ウォータポンプ104は、冷却水を循環させるものであり、羽根が取着された回転軸と、この回転軸を回転可能に支持する軸受け部とを有している。このウォータポンプ104は、冷却水により回転軸と軸受け部との潤滑が行われる。
ウォータポンプ104は、補機バッテリー102から電力P0が供給された状態で、E
CU110から供給される駆動制御信号Scに基づいて、その駆動、駆動停止が制御される。
ECU110は、イグニッションスイッチ112がオンされて補機バッテリー102から電力P0が供給されることで、イグニッションリレー114を動作させ、また、ウォータポンプ104の駆動を指令する駆動制御信号Scをモータ用駆動部108に供給する。
したがって、イグニッションスイッチ112がオンされると、イグニッションリレー114が動作することにより補機バッテリー102からウォータポンプ104に電力P0が供給される。そして、ECU110からウォータポンプ104に駆動を指令する駆動制御信号Scが供給される。
これにより、ウォータポンプ104が動作して冷却水の循環がなされ、冷却対象が冷却され、冷却水によりウォータポンプ104の回転軸と軸受け部との潤滑が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−157114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記構成の冷却装置100を備える車両の製作工程において、ウォータポンプ104に冷却水が入っていない状態で、車両の検査あるいは調整を行うためにイグニッションスイッチ112をオンさせる場合がある。
しかしながら、イグニッションスイッチ112をオンすると、冷却水によって回転軸と軸受け部との潤滑がなされていない状態で回転軸が回転されてしまうことになり、回転軸と軸受け部との摺動面の劣化が懸念される。
そのため、ECU110からウォータポンプ104の駆動停止を指令する駆動制御信号Scをウォータポンプ104に供給することが必要となる。
ところが、ECU110は、その仕様上、電力P0が供給されて起動すると初期化動作を実行することから、初期化動作の期間(例えば0.2秒程度)は、駆動停止を指令する駆動制御信号Scをウォータポンプ104に供給することができない。
具体的には、駆動制御信号Scはローレベルでウォータポンプ104の駆動を指令するローアクティブの信号である。そのため、ECU110の初期化動作の期間において、短期間ではあるがウォータポンプ104の駆動を指令する駆動制御信号Scがウォータポンプ104に供給されることになり、回転軸と軸受け部との摺動面の劣化が生じる。
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、その目的は、ウォータポンプの回転軸と軸受け部との摺動面の摺動性を劣化させることなく車両の検査や調整を行う上で有利な車両の冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述の目的を達成するため、本発明は、車両に搭載された補機に電力を供給する補機バッテリーと、前記車両の冷却対象を冷却する冷却水と、前記補機バッテリーから供給される電力に基づいて回転軸が回転駆動し前記冷却水を循環させる冷却水循環用のウォータポンプと、前記車両のイグニッションスイッチがオンとなることにより前記補機バッテリーから電力が供給されて初期化動作を実行し、前記初期化動作終了後は前記ウォータポンプに該ウォータポンプの駆動または駆動停止を指令する駆動制御信号を供給して前記ウォータポンプの駆動状態を制御する制御手段とを備え、前記冷却水により前記ウォータポンプの回転軸と該回転軸を回転可能に支持する軸受け部との潤滑を行う車両の冷却装置であって、前記補機バッテリーと前記ウォータポンプとの間に常時開成のウォータポンプ用リレーを設け、前記制御手段は、前記初期化動作が終了したならば前記ウォータポンプに駆動停止を指令する前記駆動制御信号を供給し前記ウォータポンプを停止状態に維持させた後に、前記ウォータポンプ用リレーに閉成信号を供給することで前記補機バッテリーから前記ウォータポンプに対する電力供給を可能な状態とするものである。
【発明の効果】
【0006】
制御手段の初期化動作期間、常時開成のウォータポンプ用リレーに対する閉成信号の供給が停止されることにより、ウォータポンプに対する電力の供給が停止される。
制御手段は、初期化動作が終了したならば、ウォータポンプに駆動停止を指令する駆動制御信号を供給しウォータポンプを停止状態に維持させる。その後、ウォータポンプ用リレーに閉成信号を供給することで補機バッテリーからウォータポンプに対する電力供給を可能な状態とする。
そのため、冷却水によってウォータポンプの回転軸と軸受け部との潤滑がなされていない状態で回転軸が回転されることを防止できるので、ウォータポンプの回転軸と軸受け部との摺動面の摺動性の劣化を防止できる。
したがって、ウォータポンプの品質を確保しつつ、イグニッションスイッチをオンした状態で車両の検査や調整を行う上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施の形態の車両の冷却装置10の構成を示すブロック図である。
【図2】車両の冷却装置10の動作フローチャートである。
【図3】従来の車両の冷却装置100の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、本発明の実施の形態の車両の冷却装置10について図1を参照して説明する。
まず、本実施の形態の車両の冷却装置10が搭載される車両200について説明する。
本実施の形態では、車両200は、電気自動車(Electric Vehicle)あるいはハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)である。
車両200は、メインバッテリー202、補機バッテリー204、駆動用モータ206、インバータ208、充電装置210などを含んで構成されている。
メインバッテリー202は、駆動用モータ206に駆動用電力を供給するものである。
メインバッテリー202の出力電圧は、例えば、200V乃至300V程度である。
【0009】
補機バッテリー204は、メインバッテリー202とは別に設けられたバッテリーである。
補機バッテリー204は、車両200に搭載された種々の補機、例えば、ヘッドライト、エアーコンディショナー、カーオーディオ、ナビゲーションなどの電力が供給されることにより動作する装置に電力を供給するものである。
補機バッテリー204の出力電圧は、例えば、12Vである。
【0010】
駆動用モータ206は、車両200の車輪を駆動して車両200を走行させる動力源を構成するものである。
インバータ208は、メインバッテリー202の直流電力を交流電力に変換して駆動用モータ206に供給するものである。
充電装置210は、車両200の外部に設けられた電力供給源から電力を受電することにより、メインバッテリー202および補機バッテリー204を充電するものである。
これら駆動用モータ206、インバータ208、充電装置210は、動作に伴って発生する熱を冷却する必要がある冷却対象である。
なお、冷却対象は、動作に伴って発生する熱を冷却する必要がある装置あるいは部分であればよく、駆動用モータ206、インバータ208、充電装置210に限定されるものではない。
【0011】
次に、本実施の形態の冷却装置10について説明する。
冷却装置10は、前記の補機バッテリー204と、ウォータポンプ11と、ウォータポンプ用リレー18と、ECU(Electronic Control Unit)20と、イグニッションスイッチ22と、イグニッションリレー24を含んで構成されている。
【0012】
ウォータポンプ11は、ポンプ本体12と、モータ14と、モータ用駆動部16とを備えている。
ポンプ本体12は、冷却水の循環を行うものであり、冷却水循環用の羽根1202が取着された回転軸1204と、この回転軸1204を回転可能に支持する軸受け部1206とを有している。
回転軸1204と軸受け部1206との潤滑は、冷却水によって行なわれる。
ポンプ本体12は冷却水を吐出する吐出口12Aと、冷却水を吸入する吸入口12Bとを備えている。
吐出口12Aには、冷却水を循環する循環経路40の上流端が接続されている。
吸入口12Bには、循環経路40の下流端が接続されている。
本実施の形態では、循環経路40には冷却水が流れる方向に沿って駆動用モータ206の冷却対象部、インバータ208の冷却対象部、充電装置210の冷却対象部、ラジエータ40、タンク42がこの順番で配置され、各冷却対象部が冷却される。
タンク44を循環した冷却水は、吸入口12Bからポンプ本体12の内部の循環経路40Aに至り、回転軸1204と軸受け部1206との潤滑を行った後、吐出口12Aから循環経路40に吐出される。
ラジエータ42は、ポンプ本体12で循環される冷却水の熱を大気に放出させ、冷却水の温度を下げるものである。
タンク44は、ラジエータ42で冷却された冷却水を貯えるものであり、タンク44に貯えられた冷却水は吸入口12Bに吸入される。
【0013】
モータ14は、ポンプ本体12の回転軸1204を回転駆動するものである。
モータ用駆動部16は、補機バッテリー204から電力P1がモータ用駆動部16に供給された状態で、ECU20からモータ用駆動部16に供給される駆動制御信号Sc1に基づいてモータ14の回転動作の実行および停止を行う。
本実施の形態では、駆動制御信号Sc1はローアクティブの信号である。
したがって、モータ用駆動部16は、ローレベルの駆動制御信号Sc1を有効として扱いモータ14を回転させ、ハイレベルの駆動制御信号Sc1を無効として扱いモータ14の回転を停止させる。
言い換えると、駆動制御信号Sc1はウォータポンプ11の駆動または駆動停止を指令する信号であり、駆動制御信号Sc1がローレベルとなることでウォータポンプ11に該ウォータポンプ11の駆動を指令するローアクティブの信号である。
【0014】
本実施の形態では、ECU20からモータ用駆動部16に信号線Aを介して駆動制御信号Sc1を供給する。
したがって、仮に、信号線Aの断線などにより、ECU20からモータ用駆動部16にローレベルの駆動制御信号Sc1が供給されなくても、モータ用駆動部16の入力端は、この入力端にローレベルの信号が供給されたのと同じ状態となる。
そのため、例えば、車両200の走行中に、信号線Aの断線などの故障が発生しても、モータ14の回転が維持されウォータポンプ11による冷却水の循環が維持されるように図られている。
また、本実施の形態では、モータ用駆動部16は、モータ14が回転しているか、停止しているかを示す検出信号SrをECU16に供給する。
なお、この検出信号Srは後述するECU20によって監視されている。そして、ECU20が検出信号Srに基づいてモータ14の回転停止を検出すると、ECU20が従来公知の方法によって異常の発生を報知する。
【0015】
ウォータポンプ用リレー18は、補機バッテリー204とウォータポンプ11との間に設けられた常時開成のリレーであり、閉成信号Sc2が供給されることで閉成する。
より詳細には、ウォータポンプ用リレー18は、2つの信号側端子18A、18Bと2つの負荷側端子18C、18Dとを有している。
2つの信号端子18A、18Bのうち一方の信号側端子18Aは、後述するイグニッションリレー24の負荷側端子24Dに接続され、他方の信号側端子18Bは、ECU20の入力端に接続されている。
2つの負荷側端子18C、18Dのうち一方の負荷側端子18Cは補機バッテリー204に接続され、他方の負荷側端子18Dはウォータポンプ11(モータ用駆動部16)に接続されている。
したがって、本実施の形態では、閉成信号Sc2は、イグニッションリレー24が閉成された状態でECU20の入力端がローレベルとなることによって、補機バッテリー204からウォータポンプ用リレー18に供給される。
【0016】
イグニッションスイッチ22は、補機バッテリー204の出力端と、ECU20の電源入力端との間に設けられ、車両200に搭乗した運転者の操作によってオン、オフされるものである。
したがって、イグニッションスイッチ22がオンされると、補機バッテリー204の電力P1がECU20に供給される。
【0017】
イグニッションリレー24は、常時開成のリレーであり、ECU20の入力端から閉成信号Sc3が供給されることで閉成する。
より詳細には、イグニッションリレー24は、2つの信号側端子24A、24Bと2つの負荷側端子24C、24Dとを有している。
2つの信号側端子24A、24Bのうち一方の信号側端子24Aは接地され、他方の信号側端子24BはECU20の出力端に接続されている。
2つの負荷側端子24C、24Dのうち一方の負荷側端子24Cは補機バッテリー204に接続され、他方の負荷側端子24Dは、ECU20の電源入力端、前記したウォータポンプ用リレー18の信号側端子18B、前記不図示の補機に共通接続されている。
【0018】
ECU20は、CPU、制御プログラムなどを格納するROM、ワーキングエリアを提供するRAM、周辺回路とのインタフェースをとるインタフェース部などがバスによって接続されたマイクロコンピュータによって構成されるものである。ECU20は、前記CPUが制御プログラムを実行することにより機能する。
本実施の形態では、ECU20は特許請求の範囲の制御手段を構成する。
ECU20は、車両200に設けられたイグニッションスイッチ22がオンとなることにより補機バッテリー204から電力P1が供給されることで初期化動作(イニシャライズ)を実行する。
ECU20は、駆動または駆動停止を指令する駆動制御信号Sc1をウォータポンプ11に供給することによってウォータポンプ11の駆動または駆動停止を制御する。
ECU20は、閉成信号Sc2をウォータポンプ用リレー18に供給することによってウォータポンプ11に対する補機バッテリー204の電力P1の供給および停止を制御する。
【0019】
ECU20が駆動を指令する駆動制御信号Sc1をウォータポンプ11に供給し、かつ、閉成信号Sc2をウォータポンプ用リレー18に供給することによってウォータポンプ11が駆動し冷却水が循環されることで冷却対象の冷却がなされる。また、冷却水によりウォータポンプ11の回転軸1204と軸受け部1206との潤滑が行われる。
【0020】
また、ECU20は、車両200の製作工程などにおいて冷却水が入っていない状態でウォータポンプ11が動作することを防止するために、次の動作を実行する。
すなわち、ECU20が初期化動作を実行している期間、常時開成のウォータポンプ用リレー18に対する閉成信号Sc2の供給が停止される。したがって、ウォータポンプ用リレー18によるウォータポンプ11に対する電力P1の供給が停止される。
ECU20は、初期化動作が終了したならば、駆動停止を指令する駆動制御信号Sc1をウォータポンプ11に供給してウォータポンプ11を停止状態に維持させる。
その後に、閉成信号Sc2をウォータポンプ用リレー18に供給することで補機バッテリー204からウォータポンプ11に対する電力P1の供給を可能な状態とする。
【0021】
次に、本実施の形態の冷却装置10の動作について図2のフローチャートを参照して説明する。
この場合の動作は、車両200の製作工程などにおいてイグニッションスイッチ22をオンすることが必要になった場合における冷却装置10の動作である。
なお、このような動作を実行する前に、予め、ECU20に対して、車両200の製作工程用の専用の制御モードで動作させるための指令を与えておくものとする。すなわち、ECU20を専用の制御モードで動作する状態に設定しておく。
このような指令は、例えば、ECU20に設けられたディップスイッチの操作によって行うなど任意である。
【0022】
ECU20が専用の制御モードで動作する状態において、イグニッションスイッチ22をオンする(ステップS10)。
イグニッションスイッチ22のオンにより、補機バッテリー204の電力P1がイグニッションスイッチ22を介してECU20に供給されることにより、ECU20が初期化動作を開始する(ステップS12)。
ECU20は初期化動作の開始と共に閉成信号Sc3をイグニッションリレー24に供給してイグニッションリレー24をオンさせる(ステップS14)。これにより、補機バッテリー204の電力P1は、イグニッションリレー24を介してECU20に供給されると共に、前記不図示の補機に供給される。
ECU20は初期化動作を行っているため、ウォータポンプ用リレー18に対する閉成信号Sc2の供給を停止していることから、常時開成のウォータポンプ用リレー18は開成状態が維持される(ステップS16)。したがって、ウォータポンプ11は駆動停止状態が維持されている(ステップS18)。
なお、ECU20の初期化動作期間において、駆動制御信号Sc1はローレベルでありウォータポンプ11の駆動を指令する信号となっている。しかしながら、ステップS16、S18によりウォータポンプ11は駆動停止状態が維持されることになる。
【0023】
次に、ECU20は、初期化動作が終了したか否かを判定する(ステップS20)。
この判定結果が否定ならばステップS20を繰り返し、判定結果が肯定ならば、ECU20は、ウォータポンプ11に駆動停止を指令する駆動制御信号Sc1を供給する(ステップS22)。この結果、ウォータポンプ11に駆動停止を指令する駆動制御信号Sc1が供給されるため、ウォータポンプ11は停止された状態が維持される。
さらに、ECU20は、閉成信号Sc2をウォータポンプ用リレー18に供給する(ステップS24)。この結果、それまで開成していたウォータポンプ用リレー18が閉成し、補機バッテリー204からウォータポンプ11に対する電力P1の供給が可能な状態とされる。
この場合、ウォータポンプ11に電力P1が供給されるものの、ウォータポンプ11に駆動停止を指令する駆動制御信号Sc1が供給されることによって、ウォータポンプ11は引き続き停止状態に維持される。
このようにして、イグニッションスイッチ22をオンしても、ウォータポンプ11が停止状態に維持される。
一方、補機バッテリー204からウォータポンプ11に対する電力P1の供給が可能な状態とすることによって、ECU20からの駆動制御信号Sc1によってウォータポンプ11が作動するか否かの作動点検(駆動停止)を行うことが出来る。
【0024】
以上説明したように本実施の形態によれば、ECU20の初期化動作期間、常時開成のウォータポンプ用リレー18に対する閉成信号Sc2の供給が停止されることにより、ウォータポンプ11に対する電力P1の供給を停止させるようにした。
そして、ECU20の初期化動作が終了したならば、駆動停止を指令する駆動制御信号Sc1をウォータポンプ11に供給した後に、閉成信号Sc2をウォータポンプ用リレー18に供給するようにした。
そのため、冷却水によってウォータポンプ11の回転軸1204と軸受け部1206との潤滑がなされていない状態で回転軸1204が回転されることを防止できるので、回転軸1204と軸受け部1206との摺動面の摺動性の劣化を防止できる。
したがって、ウォータポンプ11の品質を確保しつつ、イグニッションスイッチ22をオンした状態で車両の検査や調整を行う上で有利となる。
【符号の説明】
【0025】
10……冷却装置、11……ウォータポンプ、1204……回転軸、1206……軸受け部、18……ウォータポンプ用リレー、20……ECU、22……イグニッションスイッチ、200……車両、204……補機バッテリー、Sc1……駆動制御信号、Sc2……閉成信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された補機に電力を供給する補機バッテリーと、
前記車両の冷却対象を冷却する冷却水と、
前記補機バッテリーから供給される電力に基づいて回転軸が回転駆動し前記冷却水を循環させる冷却水循環用のウォータポンプと、
前記車両のイグニッションスイッチがオンとなることにより前記補機バッテリーから電力が供給されて初期化動作を実行し、前記初期化動作終了後は前記ウォータポンプに該ウォータポンプの駆動または駆動停止を指令する駆動制御信号を供給して前記ウォータポンプの駆動状態を制御する制御手段とを備え、
前記冷却水により前記ウォータポンプの回転軸と該回転軸を回転可能に支持する軸受け部との潤滑を行う車両の冷却装置であって、
前記補機バッテリーと前記ウォータポンプとの間に常時開成のウォータポンプ用リレーを設け、
前記制御手段は、前記初期化動作が終了したならば前記ウォータポンプに駆動停止を指令する前記駆動制御信号を供給し前記ウォータポンプを停止状態に維持させた後に、前記ウォータポンプ用リレーに閉成信号を供給することで前記補機バッテリーから前記ウォータポンプに対する電力供給を可能な状態とする、
車両の冷却装置。
【請求項2】
前記駆動制御信号は、該駆動制御信号がローレベルとなることで前記ウォータポンプに該ウォータポンプの駆動を指令するローアクティブの信号であり、
前記制御手段から前記ウォータポンプに対する前記駆動制御信号の供給は信号線を介してなされる、
請求項1記載の車両の冷却装置。
【請求項3】
前記冷却対象は、前記車両の車輪を駆動させる駆動用モータと、メインバッテリーの電力を前記駆動用モータに供給するインバータと、前記メインバッテリーおよび前記補機バッテリーの充電を行う充電装置との何れかを含む、
請求項1記載の車両の冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−280278(P2010−280278A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−134294(P2009−134294)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000006286)三菱自動車工業株式会社 (2,892)
【Fターム(参考)】