車両の冷却風導入構造
【課題】空気の導入効率の低下を最小限に止め、フロントグリルからダクトに空気を円滑に導くことを可能にする。
【解決手段】エンジンフード21に、フード本体部31と、フロントグリル23を取付けるグリル取付部32と、グリル取付部32に設けられ、ダクト22に空気を導入する開口部33と、が設けられ、開口部33が、アウタパネル25に設けられたアウタパネル側開口部34と、インナパネル26に設けられたインナパネル側開口部36と、から構成され、ダクト22に、フード本体部31のエンジンルーム13側の面に沿って設けられる水平部51と、水平部51の前端51aから開口部33側に向かって斜め前下方へ延出される延出部52と、を備え、延出部52に、インナパネル側開口部36からアウタパネル25側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部34の周縁部34bに当接する挿入部56を備える。
【解決手段】エンジンフード21に、フード本体部31と、フロントグリル23を取付けるグリル取付部32と、グリル取付部32に設けられ、ダクト22に空気を導入する開口部33と、が設けられ、開口部33が、アウタパネル25に設けられたアウタパネル側開口部34と、インナパネル26に設けられたインナパネル側開口部36と、から構成され、ダクト22に、フード本体部31のエンジンルーム13側の面に沿って設けられる水平部51と、水平部51の前端51aから開口部33側に向かって斜め前下方へ延出される延出部52と、を備え、延出部52に、インナパネル側開口部36からアウタパネル25側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部34の周縁部34bに当接する挿入部56を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルーム側に設けられるエンジンフードと、エンジン若しくはエンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、エンジンフードの前面に取付けられるフロントグリルと、を備えた車両の冷却風導入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の冷却風導入構造として、アウタパネル及びインナパネルから構成されるエンジンフードの上面に空気導入孔が設けられ、この空気導入孔にエンジンフード内に空気を取り入れるフードグリルが設けられ、このフードグリルにアウタパネルからインナパネルまで突出する延出部(壁面)が設けられたものがある。
この車両の冷却風導入構造によれば、アウタパネル及びインナパネルの隙間に空気が流れ込むことを防止できる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、車両の冷却風導入構造として、エンジンフードの前端部にフロントグリルが取付けられ、このフロントグリルの後方にフロントグリルから空気を導く導風通路が設けられたものが知られている。この導風通路は、フロントグリルの後方に設けられるガイド部材と、このガイド部材の上方に設けられ空気の通路となる導風部と、この導風部の後方に設けられ、冷却装置に空気を導くダクトとからなる。冷却装置は、具体的にはインタクーラ、ラジエータ又はコンデンサーなどである。なお、エンジンフードは、アウタパネルとインナパネルとを主要構成として形成され、導風部は、インナパネルの前部と、インナパネルとアウタパネルとの間に設けられた中間パネルと、から構成される。
この車両の冷却風導入構造によれば、エンジンフードの前端部の強度を確保しつつ、冷却装置に空気を導く導風通路を形成することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
さらに、車両の冷却風導入構造に利用できる技術として、エンジンフードが、エンジンルームを上方から覆うフード本体と、このフード本体の前端部から下方に延出され、車体の前部を覆うとともにフロントグリルを支持する支持パネルと、から構成されるものがある。
この車両の冷却風導入構造によれば、フロントグリルを強固に支持することが可能である(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−40723号公報
【特許文献2】特開2006−273097公報
【特許文献3】特許第3266835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エンジンフードが構成されるアウタパネルとインナパネルとにそれぞれ開口部を設け、その開口部を通じてエンジンルーム内に空気を導入する場合には、アウタパネル及びインナパネルの開口部の端部同士が離間していると、その隙間から空気がアウタパネルとインナパネルとの間に抜けてしまうことが考えられる。そこで、特許文献1の車両の冷却風導入構造のように、フードグリル(フードエアスクープ)に延壁部(延出部)を設けてアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞いでいる。
【0007】
例えば、特許文献3の技術のように、前側が下方に延出された形状(スラントノーズ)のエンジンフードに対して、延出された部分に相当するアウタパネルとインナパネルとにそれぞれ開口部を設けるとともに、その開口部を通じて特許文献2のように、インナパネルのエンジンフード側に設けたダクトに空気を送り込む場合には、アウタパネルの外側から開口部に取付けられるフロントグリルでアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞ぎ、フロントグリルからダクトに空気を導入することが考えられる。
【0008】
しかし、フロントグリルの取付方向と、ダクトの延出方向とが異なることから、フロントグリルとダクトとの連結される部位付近で空気の流れが曲げられ、空気が円滑(スムーズ)に流れることはできない。すなわち、空気の導入効率が低下する恐れがあった。
【0009】
本発明は、空気の導入効率の低下を最小限に止め、フロントグリルからダクトに空気を円滑に導くことができる車両の冷却風導入構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、アウタパネル及びインナパネルを接合することで閉断面が構成され、エンジンルームを覆うエンジンフードと、エンジンフードのエンジンルーム側に設けられエンジン若しくはエンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、エンジンフードの車外側に取付けられるフロントグリルと、を備えた車両の冷却風導入構造において、エンジンフードに、エンジンルームの上方を覆うフード本体部と、フード本体部の前端から下方に向かって延出され、フロントグリルを取付けるグリル取付部と、グリル取付部に設けられ、ダクトに空気を導入する開口部と、が設けられ、開口部が、アウタパネルに設けられたアウタパネル側開口部と、インナパネルに設けられたインナパネル側開口部と、から構成され、ダクトに、フード本体部のエンジンルーム側の面に沿って設けられる水平部と、水平部の前端から開口部側に向かって斜め前下方へ延出される延出部と、を備え、延出部に、インナパネル側開口部からアウタパネル側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部の周縁部に当接する挿入部を備えることを特徴とする。なお、冷却装置は、具体的にはインタクーラ、ラジエータ又はコンデンサーなどである。
【0011】
請求項2に係る発明は、インナパネルに、インナパネル側開口部の車幅外方且つ上部のコーナ部近傍にエンジンルーム側に膨出する膨出部を備え、膨出部が設けられる位置において、ダクトに、挿入部の形成が回避されるとともに、フロントグリルに、アウタパネル側開口部及びインナパネル側開口部を貫通してエンジンルーム内まで延びるフロントグリル側挿入部が設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、アウタパネルに且つ膨出部と対向する位置に、フロントグリルを取付ける取付部材が挿入される取付孔が設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、インナパネル側開口部の上縁が、挿入部が挿通される位置においてアウタパネル側開口部の上縁よりも上方に位置するとともに、膨出部が設けられる位置においてアウタパネル側開口部の上縁とほぼ同じ高さに位置することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、フロントグリル側挿入部の先端が、延出部の先端よりも後方まで延出されることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、ダクトに、ダクトの下面から上方に膨出した干渉防止部が形成され、インナパネル側開口部の下端から干渉防止部の下面を離間させるとともに、干渉防止部の先端を、フロントグリル側挿入部に車体高さ方向に関してオーバラップさせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両の冷却風導入構造に、アウタパネル及びインナパネルを接合することで閉断面が構成され、エンジンルームを覆うエンジンフードと、エンジンフードのエンジンルーム側に設けられエンジン若しくはエンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、エンジンフードの車外側に取付けられるフロントグリルと、を備える。
エンジンフードに、エンジンルームの上方を覆うフード本体部と、フード本体部の前端から下方に向かって延出され、フロントグリルを取付けるグリル取付部と、グリル取付部に設けられ、ダクトに空気を導入する開口部と、が設けられる。
開口部が、アウタパネルに設けられたアウタパネル側開口部と、インナパネルに設けられたインナパネル側開口部と、から構成される。
ダクトに、フード本体部のエンジンルーム側の面に沿って設けられる水平部と、水平部の前端から開口部側に向かって斜め前下方へ延出される延出部と、を備える。
延出部に、インナパネル側開口部からアウタパネル側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部の周縁部に当接する挿入部を備えたので、挿入部でアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞ぐことができる。例えば、前側が下方に延出された形状(スラントノーズ)のエンジンフードのように、フロントグリルの取付方向と、ダクトの延出方向とが異なる場合にも、ダクトの挿入部を、車体前後方向に関してフロントグリル位置近傍まで近づけることができる。すなわち、フロントグリルとダクトとの連結される部位をフロントグリルの前面に近づけることができるので、フロントグリルとダクトとの連結される部位付近で空気の流れが曲げられることを回避することができる。この結果、空気を円滑(スムーズ)に流すことができ、空気の導入効率の低下を防止することができる。
また、ダクト側に挿入部を設けてアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞ぐので、ダクトの延出方向とフロントグリルの取付方向を任意に設定することができ、フロントグリル側の形状の自由度の向上を図ることができる。さらに、フロントグリルの形状を車体前後方向に関して平面的に構成できるので、フロントグリルが扱い易くなり、フロントグリルの組付け性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、インナパネルに、インナパネル側開口部の車幅外方且つ上部のコーナ部近傍にエンジンルーム側に膨出する膨出部を備えるので、インナパネルの剛性を高めることができる。特に、膨出部をインナパネル側開口部の近傍に設けることで、インナパネル側開口部の周りの剛性を高めることができる。
膨出部が設けられる位置において、ダクトに挿入部の形成が回避されるので、ダクトを小さくすることができ、ダクトの成形性の向上を図ることができる。
フロントグリルに、アウタパネル側開口部及びインナパネル側開口部を貫通してエンジンルーム内まで延びるフロントグリル側挿入部が設けられるので、ダクトに挿入部を形成しなくてもインナパネルとアウタパネルとの隙間に空気が流れ込むことを防止できる。
【0018】
請求項3に係る発明では、アウタパネルに且つ膨出部と対向する位置に、フロントグリルを取付ける取付部材が挿入される取付孔が設けられる。すなわち、アウタパネルとインナパネルとの間に十分な空間が形成されるので、取付部材がインナパネルに干渉することを防止することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、インナパネル側開口部の上縁が、挿入部が挿通される位置においてアウタパネル側開口部の上縁よりも上方に位置するので、インナパネルがダクトと干渉することを防げる。
また、インナパネル側開口部の上縁が、膨出部が設けられる位置においてアウタパネル側開口部の上縁とほぼ同じ高さに位置するので、例えば、フロントグリル側挿入部を車体前後方向に延ばすだけで、インナパネルとアウタパネルとの隙間を塞ぐことができ、フロントグリルの形状の簡素化を図ることができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、フロントグリル側挿入部の先端が、延出部(ダクト)の先端よりも後方まで延出されるので、インナパネルとアウタパネルとの隙間を十分に塞ぐことができ、インナパネルとアウタパネルとの隙間から空気が抜けることを抑制することができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、ダクトに、ダクトの下面から上方に膨出した干渉防止部が形成され、インナパネル側開口部の下端から干渉防止部の下面を離間させたので、例えば、ウォッシャ液を貯留するウォッシャタンクの注入口やラジエータの空気抜き等のエンジンルーム内に収納される部品の干渉を避けることができる。これにより、エンジンルーム内に収納される部品のレイアウト性の向上を図ることができるとともに、エンジンフードの高さを低く設定することができる。
また、干渉防止部の先端を、フロントグリル側挿入部に車体高さ方向に関してオーバラップさせたので、干渉防止部から空気がエンジンルーム内に回り込むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る車両の冷却風導入構造が採用された車両を示す斜視図である。
【図2】図1に示された車両の平面図である。
【図3】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるフロントグリルの斜視図である。
【図4】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるグリルガーニッシュの斜視図である。
【図5】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるダクトにグリルガーニッシュを取付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるダクトを下方から見た斜視図である。
【図7】本発明に係る車両の冷却風導入構造の左のガーニシュ側開口の斜視図である。
【図8】本発明に係る車両の冷却風導入構造の右のガーニシュ側開口の斜視図である。
【図9】図3の9−9線断面図である。
【図10】図3の10−10線断面図である。
【図11】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるエンジンフードの背面図である。
【図12】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるエンジンフードの背面から見た要部拡大図である。
【図13】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるエンジンフードの正面図である。
【図14】本発明に係る車両の冷却風導入構造の左要部を示す拡大図である。
【図15】本発明に係る車両の冷却風導入構造の右要部を示す拡大図である。
【図16】図5の16−16線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0024】
図1、図2に示されたように、車両10は、車体11の前部に、エンジンルーム13が設けられている。エンジンルーム13には、エンジン14や、このエンジン14に取り入れられる空気を冷やす冷却装置15などが配置され、エンジンフード21で覆われる。なお、冷却装置15は、具体的にはインタクーラである。その他、ラジエータ又はコンデンサーなどがあげられる。
【0025】
図1〜図3に示される車両の冷却風導入構造は、エンジンルーム13を覆うエンジンフード21と、エンジン14若しくはエンジン14に付設されるインタクーラ(冷却装置)15に空気を導入するダクト22(図5参照)と、エンジンフード21の車外側に取付けられるフロントグリル23と、から構成される。
【0026】
図2、図9、図11に示されたように、エンジンフード21は、アウタパネル25とインナパネル26とから構成され、これらアウタパネル25とインナパネル26との周縁部分を接合することで閉断面27が構成される。
【0027】
アウタパネル25とインナパネル26とから構成されるエンジンフード21は、エンジンルーム13の上方を覆うフード本体部31とフード本体部31の前端31aから下方に向かって延出され、フロントグリル23を取付けるグリル取付部32と、グリル取付部32に設けられ、ダクト22(図5参照)に空気を導入する開口部33と、が設けられたものということもできる。
【0028】
開口部33は、アウタパネル25に設けられた左右のアウタパネル側開口部34,35と、インナパネル26に設けられた左右のインナパネル側開口部36,37と、から構成される。
【0029】
インナパネル26は、左右のインナパネル側開口部36,37の車幅外方且つ上部のコーナ部36b,37b近傍にエンジンルーム13側に膨出する左右の膨出部38,39を備える。なお、S1,S2は、それぞれ車幅方向に関する左右の膨出部38,39の膨出範囲を示す。
【0030】
図9に示されたように、左のインナパネル側開口部36の上縁36aは、後述する左の挿入部56が挿通される位置において左のアウタパネル側開口部34の上縁34aよりも上方に位置するとともに、左の膨出部38が設けられる位置において左のアウタパネル側開口部34の上縁34aとほぼ同じ高さに位置するように設定される。なお、図12に示された右のインナパネル側開口部37の上縁37aは、左のインナパネル側開口部36の上縁36aと略同一形状に形成される。
【0031】
図5、図6に示されたダクト22は、エンジンフード21(図1参照)側に設けられるアッパ部材43と、このアッパ部材43の下方に設けられるロア部材44と、から構成される。アッパ部材43は、複数のクリップ45でロア部材44に結合される。ロア部材44は、第1〜第5のダクト側取付部46a〜46fが形成され、第1〜第5のダクト側取付部46a〜46fは、エンジンフード21のインナパネル26(図9参照)に取付けられる。
【0032】
アッパ部材43及びロア部材44で構成されるダクト22は、見方を変えれば、フード本体部31のエンジンルーム13側の面に沿って設けられる水平部51と、水平部51の前端51aから開口部33(図11参照)側に向かって斜め前下方へ延出される左右の延出部52,53と、左右の延出部52,53の前面にそれぞれ設けられ空気を導入する左右の空気導入口54,55と、水平部51の後方でダクト22の下面22aに設けられ、インタクーラ15に臨ませ空気を吹き出す空気吹き出し口63と、を備えたものということができる。
【0033】
左右の延出部52,53の上部には、図11に示された左右のインナパネル側開口部36,37からアウタパネル25側に向かって挿通され、左右のアウタパネル側開口部34,35の周縁部34b,35bに当接する左右の挿入部56,57を備える。
【0034】
左の挿入部56を含む左の延出部52の先端52aには、インナパネル26(図9参照)に当接させる左のクッシュン材58が設けられ、右の挿入部57を含む右の延出部53の先端53aには、インナパネル26に当接させる右のクッシュン材59が設けられる。
【0035】
さらに、ダクト22は、図6、図14〜図16に示されたように、ダクト22の車幅方向右且つ下面22aから上方に膨出した干渉防止部61が形成され、干渉防止部61は、右のインナパネル側開口部37の下端37cからダクト22の下面22a(干渉防止部61の下面61b)を離間させるとともに、干渉防止部61の先端61aを、右の第5フロントグリル側挿入部93eに車体高さ方向に関してオーバラップさせている。
【0036】
図3に示されたように、フロントグリル23は、エンジンフード21のグリル取付部32に設けられるグリル本体71と、このグリル本体71の裏面に設けられ、グリル取付部32に取付けられるグリルガーニッシュ(インナ部材)72と、グリル本体71の上部に配置され、グリル取付部32に取付けられるグリルモール73と、からなる。
【0037】
グリル本体71は、走行風を導入する複数の導入開口75,75,76,76と、走行風を導入する導入凹部77と、エンブレム(不図示)を取付けるエンブレム取付部78と、グリル取付部32に取付けられる複数の本体側取付部(不図示)が形成される。
導入凹部77は、グリルモール73の下端73aが合わさることで、上部導入開口79が形成される。
【0038】
図4、図5に示されたように、グリルガーニッシュ72は、ダクト22の左右の空気導入口54,55に臨ます左右のガーニッシュ側開口81,82と、これらのガーニッシュ側開口81,82の周りに一部を除いて形成され、ダクト22の左右の空気導入口54,55に向けて延ばした左右のフロントグリル側挿入部83,84と、グリル取付部32に取付けられる左右の第1ガーニッシュ側取付部85,85と、グリル取付部32に取付けられる左右の第2ガーニッシュ側取付部86,86と、グリル取付部32に取付けられる左右の第3ガーニッシュ側取付部87,87と、グリル取付部32に形成され、グリル本体71を取付ける第1本体取付孔101をそれぞれ臨ます複数の角孔88と、が形成される。
【0039】
なお、グリルガーニッシュ72は、エンジンフード21の塗装色を隠す役目をなすとともに、グリル本体71(図3参照)を支持するバックパネルの役目をなす。従って、黒色の樹脂材で形成されている。
【0040】
図7に示されたように、左のフロントグリル側挿入部83は、上部車幅外方に形成された左の第1フロントグリル側挿入部91aと、上部車幅内方に形成された左の第2フロントグリル側挿入部91bと、側部車幅外方に形成された左の第3フロントグリル側挿入部91cと、側部車幅内方に形成された左の第4フロントグリル側挿入部91dと、下部に形成された左の第5フロントグリル側挿入部91eと、から構成される。
【0041】
すなわち、左のフロントグリル側挿入部83は、左の第1フロントグリル側挿入部91aと左の第2フロントグリル側挿入部91bとの間には形成されない。左の第1フロントグリル側挿入部91aと左の第2フロントグリル側挿入部91bとの間にはダクト22側から左の挿入部56(図5、図9参照)が延ばされている。
【0042】
図8に示されたように、右のフロントグリル側挿入部84は、上部車幅外方に形成された右の第1フロントグリル側挿入部93aと、上部車幅内方に形成された右の第2フロントグリル側挿入部93bと、側部車幅外方に形成された右の第3フロントグリル側挿入部93cと、側部車幅内方に形成された右の第4フロントグリル側挿入部93dと、下部に形成された右の第5フロントグリル側挿入部93eと、から構成される。
【0043】
すなわち、右のフロントグリル側挿入部84は、右の第1フロントグリル側挿入部93aと右の第2フロントグリル側挿入部93bとの間には形成されない。右の第1フロントグリル側挿入部93aと右の第2フロントグリル側挿入部93bとの間にはダクト22側から右の挿入部57(図5参照)が延ばされている。
【0044】
ここで、図7〜図9に示されたように、膨出部38,39(図11参照)が設けられる位置において、フロントグリル23に設けられるフロントグリル側挿入部とは、左の第1フロントグリル側挿入部91a及び右の第1フロントグリル側挿入部93aが相当する。
【0045】
図10に示されたように、左の第1フロントグリル側挿入部(フロントグリル側挿入部)91aの先端92は、ダクト22の左の延出部52の先端52aよりも後方まで延出されている。なお、先端52aは、ダクト22の先端でもある。また、右の第1フロントグリル側挿入部(フロントグリル側挿入部)93a(図8参照)の先端94は、ダクト22(図5参照)の右の延出部53の先端53aよりも後方まで延出されている。なお、先端53aは、ダクト22の先端でもある。
【0046】
図3、図10に示されたように、グリルモール73は、樹脂材にて形成され、表面にメッキ処理がなされた部材である。グリルモール73には、グリルモール73をグリル取付部32に取付ける左右の第1〜第3モール側取付部96〜98が設けられる。
【0047】
図12、図13に示されたように、グリル取付部32のアウタパネル25側には、前述した左右のアウタパネル側開口部34,35、左右のインナ側開口部36,37の他に、グリル本体71を取付ける左右の第1〜第3本体取付孔101〜103と、グリルガーニッシュ72を取付ける左右の第1〜第3取付孔104〜106と、グリルモール73を取付ける左右の第1〜第3モール取付孔111〜113と、が形成される。
【0048】
左右の第1〜第3取付孔104〜106には、それぞれ取付部材116(図4参照)で左右の第1〜第3ガーニッシュ側取付部85〜87が取付けられ、左右の第1〜第3モール取付孔111〜113には、それぞれ取付部材117(図10参照)で左右の第1〜第3モール側取付部96〜98(図3参照)が取付けられる。
【0049】
なお、図13に示されたように、アウタパネル25(図11参照)に且つ膨出部38,39と対向する位置に、図3、図10に示されるフロントグリル23を取付ける取付部材116,116,117,117が挿入される取付孔は、グリルガーニッシュ72を取付ける左右の第1取付孔104,104と、グリルモール73を取付ける左右の第1モール取付孔111,111が相当する。
【0050】
車両の冷却風導入構造(図2、図5、図9)では、アウタパネル25及びインナパネル26を接合することで閉断面27が構成され、エンジンルーム13を覆うエンジンフード21と、エンジンフード21のエンジンルーム13側に設けられエンジン14若しくはエンジン14に付設されるインタクーラ(冷却装置)15に空気を導入するダクト22と、エンジンフード21の車外側に取付けられるフロントグリル23と、を備える。
【0051】
エンジンフード21に、エンジンルーム13の上方を覆うフード本体部31と、フード本体部31の前端31aから下方に向かって延出され、フロントグリル23を取付けるグリル取付部32と、グリル取付部32に設けられ、ダクト22に空気を導入する開口部33と、が設けられる。
【0052】
開口部33が、アウタパネル25に設けられたアウタパネル側開口部34と、インナパネル26に設けられたインナパネル側開口部36と、から構成される(右のアウタパネル側開口部35、右のインナパネル側開口部37は省略、以下同じ)。
ダクト22に、フード本体部31のエンジンルーム13側の面に沿って設けられる水平部51と、水平部51の前端51aから開口部33側に向かって斜め前下方へ延出される延出部52と、を備える(右の延出部53は記載を省略する。以下同じ)。
【0053】
延出部52に、インナパネル側開口部36からアウタパネル25側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部34の周縁部34bに当接する挿入部56(右の挿入部57は記載を省略する。以下同じ)を備えたので、挿入部56でアウタパネル25とインナパネル26との隙間を塞ぐことができる。例えば、前側が下方に延出された形状(スラントノーズ)のエンジンフード21のように、フロントグリル23の取付方向と、ダクト22の延出方向とが異なる場合にも、ダクト22の挿入部56を、車体前後方向に関してフロントグリル23位置近傍まで近づけることができる。
【0054】
すなわち、フロントグリル23とダクト22との連結される部位をフロントグリル23の前面に近づけることができるので、フロントグリル23とダクト22との連結される部位付近で空気の流れが曲げられることを回避することができる。この結果、空気を円滑(スムーズ)に流すことができ、空気の導入効率の低下を防止することができる。
【0055】
また、ダクト22側に挿入部56を設けてアウタパネル25とインナパネル26との隙間を塞ぐので、ダクト22の延出方向とフロントグリル23の取付方向を任意に設定することができ、フロントグリル23側の形状の自由度の向上を図ることができる。さらに、フロントグリル23の形状を車体前後方向に関して平面的に構成できるので、フロントグリル23が扱い易くなり、フロントグリル23の組付け性の向上を図ることができる。
【0056】
車両の冷却風導入構造(図2、図12)では、インナパネル26に、インナパネル側開口部36の車幅外方且つ上部のコーナ部36b近傍にエンジンルーム13側に膨出する膨出部38(右の膨出部39は記載を省略する。以下同じ)を備えるので、インナパネル26の剛性を高めることができる。特に、膨出部38をインナパネル側開口部36の近傍に設けることで、インナパネル側開口部36の周りの剛性を高めることができる。
【0057】
膨出部38が設けられる位置において、ダクト22(図5参照)に挿入部56の形成が回避されるので、ダクト22を小さくすることができ、ダクト22の成形性の向上を図ることができる。
【0058】
フロントグリル23(図7、図9、図10参照)に、アウタパネル側開口部34及びインナパネル側開口部36を貫通してエンジンルーム13内まで延びるフロントグリル側挿入部(左の第1フロントグリル側挿入部)91aが設けられるので、ダクト22に挿入部56を形成しなくてもインナパネル26とアウタパネル25との隙間に空気が流れ込むことを防止できる。
【0059】
車両の冷却風導入構造(図13)では、アウタパネル25に且つ膨出部38と対向する位置に、フロントグリル23を取付ける取付部材116,117(図4、図10参照)が挿入される取付孔104,111が設けられる。すなわち、図10に示されたように、アウタパネル25とインナパネル26との間に十分な空間が形成されるので、取付部材116,117がインナパネル26に干渉することを防止することができる。
【0060】
車両の冷却風導入構造(図9)では、インナパネル側開口部36の上縁36aが、挿入部56が挿通される位置においてアウタパネル側開口部34の上縁34aよりも上方に位置するので、インナパネル26がダクト22(図5参照)と干渉することを防げる。
【0061】
また、インナパネル側開口部36の上縁36aが、膨出部38が設けられる位置においてアウタパネル側開口部34の上縁34aとほぼ同じ高さに位置するので、例えば、フロントグリル側挿入部を車体前後方向に延ばすだけで、インナパネル26とアウタパネル25との隙間を塞ぐことができ、フロントグリル23の形状の簡素化を図ることができる。
【0062】
車両の冷却風導入構造(図7、図10)では、フロントグリル側挿入部(左の第1フロントグリル側挿入部)91aの先端92が、延出部52(ダクト22)の先端52aよりも後方まで延出されるので、インナパネル26とアウタパネル25との隙間を十分に塞ぐことができ、インナパネル26とアウタパネル25との隙間から空気が抜けることを抑制することができる。
【0063】
車両の冷却風導入構造(図16)では、ダクト22に、ダクト22の下面22aから上方に膨出した干渉防止部61が形成され、インナパネル側開口部(右のインナパネル側開口部)37の下端37cから干渉防止部61の下面61bを離間させたので、例えば、ウォッシャ液を貯留するウォッシャタンクの注入口やラジエータの空気抜き等のエンジンルーム13内に収納される部品の干渉を避けることができる。これにより、エンジンルーム13内に収納される部品のレイアウト性の向上を図ることができるとともに、エンジンフード21の高さを低く設定することができる。
【0064】
また、干渉防止部61の先端61aを、フロントグリル側挿入部(右の第5フロントグリル側挿入部)93eに車体高さ方向に関してオーバラップさせたので、干渉防止部61から空気がエンジンルーム13内に回り込むことを防止することができる。
【0065】
尚、本発明に係る車両の冷却風導入構造は、図3、図4に示すように、フロントグリル23の全面から空気を導入するようにしたが、これに限るものではなく、フロントグリル23の左右一方側のみから空気を導入するようにしたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る車両の冷却風導入構造は、ターボチャージャーを搭載したセダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0067】
13…エンジンルーム、14…エンジン、15…冷却装置(インタクーラ)、21…エンジンフード、22…ダクト、22a…下面、23…フロントグリル、25…アウタパネル、26…インナパネル、27…閉断面、31…フード本体部、31a…前端、32…グリル取付部、33…開口部、34…アウタパネル側開口部(左のアウタパネル側開口部)、34a…上縁、34b…周縁部、36…インナパネル側開口部(左のインナパネル側開口部)、36a…周縁部、36b…コーナ部、37…インナパネル側開口部(右のインナパネル側開口部)、下端…37c、38…膨出部(左の膨出部)、51…水平部、51a…前端、52…延出部(左の延出部)、56…挿入部(左の挿入部)、61…干渉防止部、61a…先端、61b…下面、91a…フロントグリル側挿入部(左の第1フロントグリル側挿入部)、92…先端、93e…フロントグリル側挿入部(右の第5フロントグリル側挿入部)、104…取付孔(第1取付孔)、111…取付孔(第1モール取付孔)、116,117…取付部材。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンルーム側に設けられるエンジンフードと、エンジン若しくはエンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、エンジンフードの前面に取付けられるフロントグリルと、を備えた車両の冷却風導入構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の冷却風導入構造として、アウタパネル及びインナパネルから構成されるエンジンフードの上面に空気導入孔が設けられ、この空気導入孔にエンジンフード内に空気を取り入れるフードグリルが設けられ、このフードグリルにアウタパネルからインナパネルまで突出する延出部(壁面)が設けられたものがある。
この車両の冷却風導入構造によれば、アウタパネル及びインナパネルの隙間に空気が流れ込むことを防止できる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、車両の冷却風導入構造として、エンジンフードの前端部にフロントグリルが取付けられ、このフロントグリルの後方にフロントグリルから空気を導く導風通路が設けられたものが知られている。この導風通路は、フロントグリルの後方に設けられるガイド部材と、このガイド部材の上方に設けられ空気の通路となる導風部と、この導風部の後方に設けられ、冷却装置に空気を導くダクトとからなる。冷却装置は、具体的にはインタクーラ、ラジエータ又はコンデンサーなどである。なお、エンジンフードは、アウタパネルとインナパネルとを主要構成として形成され、導風部は、インナパネルの前部と、インナパネルとアウタパネルとの間に設けられた中間パネルと、から構成される。
この車両の冷却風導入構造によれば、エンジンフードの前端部の強度を確保しつつ、冷却装置に空気を導く導風通路を形成することが可能である(例えば、特許文献2参照。)。
【0004】
さらに、車両の冷却風導入構造に利用できる技術として、エンジンフードが、エンジンルームを上方から覆うフード本体と、このフード本体の前端部から下方に延出され、車体の前部を覆うとともにフロントグリルを支持する支持パネルと、から構成されるものがある。
この車両の冷却風導入構造によれば、フロントグリルを強固に支持することが可能である(例えば、特許文献3参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭64−40723号公報
【特許文献2】特開2006−273097公報
【特許文献3】特許第3266835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
エンジンフードが構成されるアウタパネルとインナパネルとにそれぞれ開口部を設け、その開口部を通じてエンジンルーム内に空気を導入する場合には、アウタパネル及びインナパネルの開口部の端部同士が離間していると、その隙間から空気がアウタパネルとインナパネルとの間に抜けてしまうことが考えられる。そこで、特許文献1の車両の冷却風導入構造のように、フードグリル(フードエアスクープ)に延壁部(延出部)を設けてアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞いでいる。
【0007】
例えば、特許文献3の技術のように、前側が下方に延出された形状(スラントノーズ)のエンジンフードに対して、延出された部分に相当するアウタパネルとインナパネルとにそれぞれ開口部を設けるとともに、その開口部を通じて特許文献2のように、インナパネルのエンジンフード側に設けたダクトに空気を送り込む場合には、アウタパネルの外側から開口部に取付けられるフロントグリルでアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞ぎ、フロントグリルからダクトに空気を導入することが考えられる。
【0008】
しかし、フロントグリルの取付方向と、ダクトの延出方向とが異なることから、フロントグリルとダクトとの連結される部位付近で空気の流れが曲げられ、空気が円滑(スムーズ)に流れることはできない。すなわち、空気の導入効率が低下する恐れがあった。
【0009】
本発明は、空気の導入効率の低下を最小限に止め、フロントグリルからダクトに空気を円滑に導くことができる車両の冷却風導入構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に係る発明は、アウタパネル及びインナパネルを接合することで閉断面が構成され、エンジンルームを覆うエンジンフードと、エンジンフードのエンジンルーム側に設けられエンジン若しくはエンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、エンジンフードの車外側に取付けられるフロントグリルと、を備えた車両の冷却風導入構造において、エンジンフードに、エンジンルームの上方を覆うフード本体部と、フード本体部の前端から下方に向かって延出され、フロントグリルを取付けるグリル取付部と、グリル取付部に設けられ、ダクトに空気を導入する開口部と、が設けられ、開口部が、アウタパネルに設けられたアウタパネル側開口部と、インナパネルに設けられたインナパネル側開口部と、から構成され、ダクトに、フード本体部のエンジンルーム側の面に沿って設けられる水平部と、水平部の前端から開口部側に向かって斜め前下方へ延出される延出部と、を備え、延出部に、インナパネル側開口部からアウタパネル側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部の周縁部に当接する挿入部を備えることを特徴とする。なお、冷却装置は、具体的にはインタクーラ、ラジエータ又はコンデンサーなどである。
【0011】
請求項2に係る発明は、インナパネルに、インナパネル側開口部の車幅外方且つ上部のコーナ部近傍にエンジンルーム側に膨出する膨出部を備え、膨出部が設けられる位置において、ダクトに、挿入部の形成が回避されるとともに、フロントグリルに、アウタパネル側開口部及びインナパネル側開口部を貫通してエンジンルーム内まで延びるフロントグリル側挿入部が設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項3に係る発明は、アウタパネルに且つ膨出部と対向する位置に、フロントグリルを取付ける取付部材が挿入される取付孔が設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明は、インナパネル側開口部の上縁が、挿入部が挿通される位置においてアウタパネル側開口部の上縁よりも上方に位置するとともに、膨出部が設けられる位置においてアウタパネル側開口部の上縁とほぼ同じ高さに位置することを特徴とする。
【0014】
請求項5に係る発明は、フロントグリル側挿入部の先端が、延出部の先端よりも後方まで延出されることを特徴とする。
【0015】
請求項6に係る発明は、ダクトに、ダクトの下面から上方に膨出した干渉防止部が形成され、インナパネル側開口部の下端から干渉防止部の下面を離間させるとともに、干渉防止部の先端を、フロントグリル側挿入部に車体高さ方向に関してオーバラップさせたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両の冷却風導入構造に、アウタパネル及びインナパネルを接合することで閉断面が構成され、エンジンルームを覆うエンジンフードと、エンジンフードのエンジンルーム側に設けられエンジン若しくはエンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、エンジンフードの車外側に取付けられるフロントグリルと、を備える。
エンジンフードに、エンジンルームの上方を覆うフード本体部と、フード本体部の前端から下方に向かって延出され、フロントグリルを取付けるグリル取付部と、グリル取付部に設けられ、ダクトに空気を導入する開口部と、が設けられる。
開口部が、アウタパネルに設けられたアウタパネル側開口部と、インナパネルに設けられたインナパネル側開口部と、から構成される。
ダクトに、フード本体部のエンジンルーム側の面に沿って設けられる水平部と、水平部の前端から開口部側に向かって斜め前下方へ延出される延出部と、を備える。
延出部に、インナパネル側開口部からアウタパネル側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部の周縁部に当接する挿入部を備えたので、挿入部でアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞ぐことができる。例えば、前側が下方に延出された形状(スラントノーズ)のエンジンフードのように、フロントグリルの取付方向と、ダクトの延出方向とが異なる場合にも、ダクトの挿入部を、車体前後方向に関してフロントグリル位置近傍まで近づけることができる。すなわち、フロントグリルとダクトとの連結される部位をフロントグリルの前面に近づけることができるので、フロントグリルとダクトとの連結される部位付近で空気の流れが曲げられることを回避することができる。この結果、空気を円滑(スムーズ)に流すことができ、空気の導入効率の低下を防止することができる。
また、ダクト側に挿入部を設けてアウタパネルとインナパネルとの隙間を塞ぐので、ダクトの延出方向とフロントグリルの取付方向を任意に設定することができ、フロントグリル側の形状の自由度の向上を図ることができる。さらに、フロントグリルの形状を車体前後方向に関して平面的に構成できるので、フロントグリルが扱い易くなり、フロントグリルの組付け性の向上を図ることができる。
【0017】
請求項2に係る発明では、インナパネルに、インナパネル側開口部の車幅外方且つ上部のコーナ部近傍にエンジンルーム側に膨出する膨出部を備えるので、インナパネルの剛性を高めることができる。特に、膨出部をインナパネル側開口部の近傍に設けることで、インナパネル側開口部の周りの剛性を高めることができる。
膨出部が設けられる位置において、ダクトに挿入部の形成が回避されるので、ダクトを小さくすることができ、ダクトの成形性の向上を図ることができる。
フロントグリルに、アウタパネル側開口部及びインナパネル側開口部を貫通してエンジンルーム内まで延びるフロントグリル側挿入部が設けられるので、ダクトに挿入部を形成しなくてもインナパネルとアウタパネルとの隙間に空気が流れ込むことを防止できる。
【0018】
請求項3に係る発明では、アウタパネルに且つ膨出部と対向する位置に、フロントグリルを取付ける取付部材が挿入される取付孔が設けられる。すなわち、アウタパネルとインナパネルとの間に十分な空間が形成されるので、取付部材がインナパネルに干渉することを防止することができる。
【0019】
請求項4に係る発明では、インナパネル側開口部の上縁が、挿入部が挿通される位置においてアウタパネル側開口部の上縁よりも上方に位置するので、インナパネルがダクトと干渉することを防げる。
また、インナパネル側開口部の上縁が、膨出部が設けられる位置においてアウタパネル側開口部の上縁とほぼ同じ高さに位置するので、例えば、フロントグリル側挿入部を車体前後方向に延ばすだけで、インナパネルとアウタパネルとの隙間を塞ぐことができ、フロントグリルの形状の簡素化を図ることができる。
【0020】
請求項5に係る発明では、フロントグリル側挿入部の先端が、延出部(ダクト)の先端よりも後方まで延出されるので、インナパネルとアウタパネルとの隙間を十分に塞ぐことができ、インナパネルとアウタパネルとの隙間から空気が抜けることを抑制することができる。
【0021】
請求項6に係る発明では、ダクトに、ダクトの下面から上方に膨出した干渉防止部が形成され、インナパネル側開口部の下端から干渉防止部の下面を離間させたので、例えば、ウォッシャ液を貯留するウォッシャタンクの注入口やラジエータの空気抜き等のエンジンルーム内に収納される部品の干渉を避けることができる。これにより、エンジンルーム内に収納される部品のレイアウト性の向上を図ることができるとともに、エンジンフードの高さを低く設定することができる。
また、干渉防止部の先端を、フロントグリル側挿入部に車体高さ方向に関してオーバラップさせたので、干渉防止部から空気がエンジンルーム内に回り込むことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る車両の冷却風導入構造が採用された車両を示す斜視図である。
【図2】図1に示された車両の平面図である。
【図3】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるフロントグリルの斜視図である。
【図4】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるグリルガーニッシュの斜視図である。
【図5】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるダクトにグリルガーニッシュを取付けた状態を示す斜視図である。
【図6】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるダクトを下方から見た斜視図である。
【図7】本発明に係る車両の冷却風導入構造の左のガーニシュ側開口の斜視図である。
【図8】本発明に係る車両の冷却風導入構造の右のガーニシュ側開口の斜視図である。
【図9】図3の9−9線断面図である。
【図10】図3の10−10線断面図である。
【図11】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるエンジンフードの背面図である。
【図12】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるエンジンフードの背面から見た要部拡大図である。
【図13】本発明に係る車両の冷却風導入構造が構成されるエンジンフードの正面図である。
【図14】本発明に係る車両の冷却風導入構造の左要部を示す拡大図である。
【図15】本発明に係る車両の冷却風導入構造の右要部を示す拡大図である。
【図16】図5の16−16線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0024】
図1、図2に示されたように、車両10は、車体11の前部に、エンジンルーム13が設けられている。エンジンルーム13には、エンジン14や、このエンジン14に取り入れられる空気を冷やす冷却装置15などが配置され、エンジンフード21で覆われる。なお、冷却装置15は、具体的にはインタクーラである。その他、ラジエータ又はコンデンサーなどがあげられる。
【0025】
図1〜図3に示される車両の冷却風導入構造は、エンジンルーム13を覆うエンジンフード21と、エンジン14若しくはエンジン14に付設されるインタクーラ(冷却装置)15に空気を導入するダクト22(図5参照)と、エンジンフード21の車外側に取付けられるフロントグリル23と、から構成される。
【0026】
図2、図9、図11に示されたように、エンジンフード21は、アウタパネル25とインナパネル26とから構成され、これらアウタパネル25とインナパネル26との周縁部分を接合することで閉断面27が構成される。
【0027】
アウタパネル25とインナパネル26とから構成されるエンジンフード21は、エンジンルーム13の上方を覆うフード本体部31とフード本体部31の前端31aから下方に向かって延出され、フロントグリル23を取付けるグリル取付部32と、グリル取付部32に設けられ、ダクト22(図5参照)に空気を導入する開口部33と、が設けられたものということもできる。
【0028】
開口部33は、アウタパネル25に設けられた左右のアウタパネル側開口部34,35と、インナパネル26に設けられた左右のインナパネル側開口部36,37と、から構成される。
【0029】
インナパネル26は、左右のインナパネル側開口部36,37の車幅外方且つ上部のコーナ部36b,37b近傍にエンジンルーム13側に膨出する左右の膨出部38,39を備える。なお、S1,S2は、それぞれ車幅方向に関する左右の膨出部38,39の膨出範囲を示す。
【0030】
図9に示されたように、左のインナパネル側開口部36の上縁36aは、後述する左の挿入部56が挿通される位置において左のアウタパネル側開口部34の上縁34aよりも上方に位置するとともに、左の膨出部38が設けられる位置において左のアウタパネル側開口部34の上縁34aとほぼ同じ高さに位置するように設定される。なお、図12に示された右のインナパネル側開口部37の上縁37aは、左のインナパネル側開口部36の上縁36aと略同一形状に形成される。
【0031】
図5、図6に示されたダクト22は、エンジンフード21(図1参照)側に設けられるアッパ部材43と、このアッパ部材43の下方に設けられるロア部材44と、から構成される。アッパ部材43は、複数のクリップ45でロア部材44に結合される。ロア部材44は、第1〜第5のダクト側取付部46a〜46fが形成され、第1〜第5のダクト側取付部46a〜46fは、エンジンフード21のインナパネル26(図9参照)に取付けられる。
【0032】
アッパ部材43及びロア部材44で構成されるダクト22は、見方を変えれば、フード本体部31のエンジンルーム13側の面に沿って設けられる水平部51と、水平部51の前端51aから開口部33(図11参照)側に向かって斜め前下方へ延出される左右の延出部52,53と、左右の延出部52,53の前面にそれぞれ設けられ空気を導入する左右の空気導入口54,55と、水平部51の後方でダクト22の下面22aに設けられ、インタクーラ15に臨ませ空気を吹き出す空気吹き出し口63と、を備えたものということができる。
【0033】
左右の延出部52,53の上部には、図11に示された左右のインナパネル側開口部36,37からアウタパネル25側に向かって挿通され、左右のアウタパネル側開口部34,35の周縁部34b,35bに当接する左右の挿入部56,57を備える。
【0034】
左の挿入部56を含む左の延出部52の先端52aには、インナパネル26(図9参照)に当接させる左のクッシュン材58が設けられ、右の挿入部57を含む右の延出部53の先端53aには、インナパネル26に当接させる右のクッシュン材59が設けられる。
【0035】
さらに、ダクト22は、図6、図14〜図16に示されたように、ダクト22の車幅方向右且つ下面22aから上方に膨出した干渉防止部61が形成され、干渉防止部61は、右のインナパネル側開口部37の下端37cからダクト22の下面22a(干渉防止部61の下面61b)を離間させるとともに、干渉防止部61の先端61aを、右の第5フロントグリル側挿入部93eに車体高さ方向に関してオーバラップさせている。
【0036】
図3に示されたように、フロントグリル23は、エンジンフード21のグリル取付部32に設けられるグリル本体71と、このグリル本体71の裏面に設けられ、グリル取付部32に取付けられるグリルガーニッシュ(インナ部材)72と、グリル本体71の上部に配置され、グリル取付部32に取付けられるグリルモール73と、からなる。
【0037】
グリル本体71は、走行風を導入する複数の導入開口75,75,76,76と、走行風を導入する導入凹部77と、エンブレム(不図示)を取付けるエンブレム取付部78と、グリル取付部32に取付けられる複数の本体側取付部(不図示)が形成される。
導入凹部77は、グリルモール73の下端73aが合わさることで、上部導入開口79が形成される。
【0038】
図4、図5に示されたように、グリルガーニッシュ72は、ダクト22の左右の空気導入口54,55に臨ます左右のガーニッシュ側開口81,82と、これらのガーニッシュ側開口81,82の周りに一部を除いて形成され、ダクト22の左右の空気導入口54,55に向けて延ばした左右のフロントグリル側挿入部83,84と、グリル取付部32に取付けられる左右の第1ガーニッシュ側取付部85,85と、グリル取付部32に取付けられる左右の第2ガーニッシュ側取付部86,86と、グリル取付部32に取付けられる左右の第3ガーニッシュ側取付部87,87と、グリル取付部32に形成され、グリル本体71を取付ける第1本体取付孔101をそれぞれ臨ます複数の角孔88と、が形成される。
【0039】
なお、グリルガーニッシュ72は、エンジンフード21の塗装色を隠す役目をなすとともに、グリル本体71(図3参照)を支持するバックパネルの役目をなす。従って、黒色の樹脂材で形成されている。
【0040】
図7に示されたように、左のフロントグリル側挿入部83は、上部車幅外方に形成された左の第1フロントグリル側挿入部91aと、上部車幅内方に形成された左の第2フロントグリル側挿入部91bと、側部車幅外方に形成された左の第3フロントグリル側挿入部91cと、側部車幅内方に形成された左の第4フロントグリル側挿入部91dと、下部に形成された左の第5フロントグリル側挿入部91eと、から構成される。
【0041】
すなわち、左のフロントグリル側挿入部83は、左の第1フロントグリル側挿入部91aと左の第2フロントグリル側挿入部91bとの間には形成されない。左の第1フロントグリル側挿入部91aと左の第2フロントグリル側挿入部91bとの間にはダクト22側から左の挿入部56(図5、図9参照)が延ばされている。
【0042】
図8に示されたように、右のフロントグリル側挿入部84は、上部車幅外方に形成された右の第1フロントグリル側挿入部93aと、上部車幅内方に形成された右の第2フロントグリル側挿入部93bと、側部車幅外方に形成された右の第3フロントグリル側挿入部93cと、側部車幅内方に形成された右の第4フロントグリル側挿入部93dと、下部に形成された右の第5フロントグリル側挿入部93eと、から構成される。
【0043】
すなわち、右のフロントグリル側挿入部84は、右の第1フロントグリル側挿入部93aと右の第2フロントグリル側挿入部93bとの間には形成されない。右の第1フロントグリル側挿入部93aと右の第2フロントグリル側挿入部93bとの間にはダクト22側から右の挿入部57(図5参照)が延ばされている。
【0044】
ここで、図7〜図9に示されたように、膨出部38,39(図11参照)が設けられる位置において、フロントグリル23に設けられるフロントグリル側挿入部とは、左の第1フロントグリル側挿入部91a及び右の第1フロントグリル側挿入部93aが相当する。
【0045】
図10に示されたように、左の第1フロントグリル側挿入部(フロントグリル側挿入部)91aの先端92は、ダクト22の左の延出部52の先端52aよりも後方まで延出されている。なお、先端52aは、ダクト22の先端でもある。また、右の第1フロントグリル側挿入部(フロントグリル側挿入部)93a(図8参照)の先端94は、ダクト22(図5参照)の右の延出部53の先端53aよりも後方まで延出されている。なお、先端53aは、ダクト22の先端でもある。
【0046】
図3、図10に示されたように、グリルモール73は、樹脂材にて形成され、表面にメッキ処理がなされた部材である。グリルモール73には、グリルモール73をグリル取付部32に取付ける左右の第1〜第3モール側取付部96〜98が設けられる。
【0047】
図12、図13に示されたように、グリル取付部32のアウタパネル25側には、前述した左右のアウタパネル側開口部34,35、左右のインナ側開口部36,37の他に、グリル本体71を取付ける左右の第1〜第3本体取付孔101〜103と、グリルガーニッシュ72を取付ける左右の第1〜第3取付孔104〜106と、グリルモール73を取付ける左右の第1〜第3モール取付孔111〜113と、が形成される。
【0048】
左右の第1〜第3取付孔104〜106には、それぞれ取付部材116(図4参照)で左右の第1〜第3ガーニッシュ側取付部85〜87が取付けられ、左右の第1〜第3モール取付孔111〜113には、それぞれ取付部材117(図10参照)で左右の第1〜第3モール側取付部96〜98(図3参照)が取付けられる。
【0049】
なお、図13に示されたように、アウタパネル25(図11参照)に且つ膨出部38,39と対向する位置に、図3、図10に示されるフロントグリル23を取付ける取付部材116,116,117,117が挿入される取付孔は、グリルガーニッシュ72を取付ける左右の第1取付孔104,104と、グリルモール73を取付ける左右の第1モール取付孔111,111が相当する。
【0050】
車両の冷却風導入構造(図2、図5、図9)では、アウタパネル25及びインナパネル26を接合することで閉断面27が構成され、エンジンルーム13を覆うエンジンフード21と、エンジンフード21のエンジンルーム13側に設けられエンジン14若しくはエンジン14に付設されるインタクーラ(冷却装置)15に空気を導入するダクト22と、エンジンフード21の車外側に取付けられるフロントグリル23と、を備える。
【0051】
エンジンフード21に、エンジンルーム13の上方を覆うフード本体部31と、フード本体部31の前端31aから下方に向かって延出され、フロントグリル23を取付けるグリル取付部32と、グリル取付部32に設けられ、ダクト22に空気を導入する開口部33と、が設けられる。
【0052】
開口部33が、アウタパネル25に設けられたアウタパネル側開口部34と、インナパネル26に設けられたインナパネル側開口部36と、から構成される(右のアウタパネル側開口部35、右のインナパネル側開口部37は省略、以下同じ)。
ダクト22に、フード本体部31のエンジンルーム13側の面に沿って設けられる水平部51と、水平部51の前端51aから開口部33側に向かって斜め前下方へ延出される延出部52と、を備える(右の延出部53は記載を省略する。以下同じ)。
【0053】
延出部52に、インナパネル側開口部36からアウタパネル25側に向かって挿通され、アウタパネル側開口部34の周縁部34bに当接する挿入部56(右の挿入部57は記載を省略する。以下同じ)を備えたので、挿入部56でアウタパネル25とインナパネル26との隙間を塞ぐことができる。例えば、前側が下方に延出された形状(スラントノーズ)のエンジンフード21のように、フロントグリル23の取付方向と、ダクト22の延出方向とが異なる場合にも、ダクト22の挿入部56を、車体前後方向に関してフロントグリル23位置近傍まで近づけることができる。
【0054】
すなわち、フロントグリル23とダクト22との連結される部位をフロントグリル23の前面に近づけることができるので、フロントグリル23とダクト22との連結される部位付近で空気の流れが曲げられることを回避することができる。この結果、空気を円滑(スムーズ)に流すことができ、空気の導入効率の低下を防止することができる。
【0055】
また、ダクト22側に挿入部56を設けてアウタパネル25とインナパネル26との隙間を塞ぐので、ダクト22の延出方向とフロントグリル23の取付方向を任意に設定することができ、フロントグリル23側の形状の自由度の向上を図ることができる。さらに、フロントグリル23の形状を車体前後方向に関して平面的に構成できるので、フロントグリル23が扱い易くなり、フロントグリル23の組付け性の向上を図ることができる。
【0056】
車両の冷却風導入構造(図2、図12)では、インナパネル26に、インナパネル側開口部36の車幅外方且つ上部のコーナ部36b近傍にエンジンルーム13側に膨出する膨出部38(右の膨出部39は記載を省略する。以下同じ)を備えるので、インナパネル26の剛性を高めることができる。特に、膨出部38をインナパネル側開口部36の近傍に設けることで、インナパネル側開口部36の周りの剛性を高めることができる。
【0057】
膨出部38が設けられる位置において、ダクト22(図5参照)に挿入部56の形成が回避されるので、ダクト22を小さくすることができ、ダクト22の成形性の向上を図ることができる。
【0058】
フロントグリル23(図7、図9、図10参照)に、アウタパネル側開口部34及びインナパネル側開口部36を貫通してエンジンルーム13内まで延びるフロントグリル側挿入部(左の第1フロントグリル側挿入部)91aが設けられるので、ダクト22に挿入部56を形成しなくてもインナパネル26とアウタパネル25との隙間に空気が流れ込むことを防止できる。
【0059】
車両の冷却風導入構造(図13)では、アウタパネル25に且つ膨出部38と対向する位置に、フロントグリル23を取付ける取付部材116,117(図4、図10参照)が挿入される取付孔104,111が設けられる。すなわち、図10に示されたように、アウタパネル25とインナパネル26との間に十分な空間が形成されるので、取付部材116,117がインナパネル26に干渉することを防止することができる。
【0060】
車両の冷却風導入構造(図9)では、インナパネル側開口部36の上縁36aが、挿入部56が挿通される位置においてアウタパネル側開口部34の上縁34aよりも上方に位置するので、インナパネル26がダクト22(図5参照)と干渉することを防げる。
【0061】
また、インナパネル側開口部36の上縁36aが、膨出部38が設けられる位置においてアウタパネル側開口部34の上縁34aとほぼ同じ高さに位置するので、例えば、フロントグリル側挿入部を車体前後方向に延ばすだけで、インナパネル26とアウタパネル25との隙間を塞ぐことができ、フロントグリル23の形状の簡素化を図ることができる。
【0062】
車両の冷却風導入構造(図7、図10)では、フロントグリル側挿入部(左の第1フロントグリル側挿入部)91aの先端92が、延出部52(ダクト22)の先端52aよりも後方まで延出されるので、インナパネル26とアウタパネル25との隙間を十分に塞ぐことができ、インナパネル26とアウタパネル25との隙間から空気が抜けることを抑制することができる。
【0063】
車両の冷却風導入構造(図16)では、ダクト22に、ダクト22の下面22aから上方に膨出した干渉防止部61が形成され、インナパネル側開口部(右のインナパネル側開口部)37の下端37cから干渉防止部61の下面61bを離間させたので、例えば、ウォッシャ液を貯留するウォッシャタンクの注入口やラジエータの空気抜き等のエンジンルーム13内に収納される部品の干渉を避けることができる。これにより、エンジンルーム13内に収納される部品のレイアウト性の向上を図ることができるとともに、エンジンフード21の高さを低く設定することができる。
【0064】
また、干渉防止部61の先端61aを、フロントグリル側挿入部(右の第5フロントグリル側挿入部)93eに車体高さ方向に関してオーバラップさせたので、干渉防止部61から空気がエンジンルーム13内に回り込むことを防止することができる。
【0065】
尚、本発明に係る車両の冷却風導入構造は、図3、図4に示すように、フロントグリル23の全面から空気を導入するようにしたが、これに限るものではなく、フロントグリル23の左右一方側のみから空気を導入するようにしたものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係る車両の冷却風導入構造は、ターボチャージャーを搭載したセダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0067】
13…エンジンルーム、14…エンジン、15…冷却装置(インタクーラ)、21…エンジンフード、22…ダクト、22a…下面、23…フロントグリル、25…アウタパネル、26…インナパネル、27…閉断面、31…フード本体部、31a…前端、32…グリル取付部、33…開口部、34…アウタパネル側開口部(左のアウタパネル側開口部)、34a…上縁、34b…周縁部、36…インナパネル側開口部(左のインナパネル側開口部)、36a…周縁部、36b…コーナ部、37…インナパネル側開口部(右のインナパネル側開口部)、下端…37c、38…膨出部(左の膨出部)、51…水平部、51a…前端、52…延出部(左の延出部)、56…挿入部(左の挿入部)、61…干渉防止部、61a…先端、61b…下面、91a…フロントグリル側挿入部(左の第1フロントグリル側挿入部)、92…先端、93e…フロントグリル側挿入部(右の第5フロントグリル側挿入部)、104…取付孔(第1取付孔)、111…取付孔(第1モール取付孔)、116,117…取付部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウタパネル及びインナパネルを接合することで閉断面が構成され、エンジンルームを覆うエンジンフードと、該エンジンフードのエンジンルーム側に設けられエンジン若しくは該エンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、前記エンジンフードの車外側に取付けられるフロントグリルと、を備えた車両の冷却風導入構造において、
前記エンジンフードは、前記エンジンルームの上方を覆うフード本体部と、該フード本体部の前端から下方に向かって延出され、前記フロントグリルを取付けるグリル取付部と、該グリル取付部に設けられ、前記ダクトに空気を導入する開口部と、が設けられ、
前記開口部は、前記アウタパネルに設けられたアウタパネル側開口部と、前記インナパネルに設けられたインナパネル側開口部と、から構成され、
前記ダクトは、前記フード本体部の前記エンジンルーム側の面に沿って設けられる水平部と、前記水平部の前端から前記開口部側に向かって斜め前下方へ延出される延出部と、を備え、
前記延出部は、前記インナパネル側開口部から前記アウタパネル側に向かって挿通され、前記アウタパネル側開口部の周縁部に当接する挿入部を備えることを特徴とする車両の冷却風導入構造。
【請求項2】
前記インナパネルは、前記インナパネル側開口部の車幅外方且つ上部のコーナ部近傍に前記エンジンルーム側に膨出する膨出部を備え、
前記膨出部が設けられる位置において、前記ダクトに、前記挿入部の形成が回避されるとともに、前記フロントグリルに、前記アウタパネル側開口部及び前記インナパネル側開口部を貫通して前記エンジンルーム内まで延びるフロントグリル側挿入部が設けられることを特徴とする請求項1記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項3】
前記アウタパネルに且つ前記膨出部と対向する位置に、前記フロントグリルを取付ける取付部材が挿入される取付孔が設けられることを特徴とする請求項2記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項4】
前記インナパネル側開口部の上縁は、前記挿入部が挿通される位置において前記アウタパネル側開口部の上縁よりも上方に位置するとともに、前記膨出部が設けられる位置において前記アウタパネル側開口部の上縁とほぼ同じ高さに位置することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項5】
前記フロントグリル側挿入部の先端は、前記延出部の先端よりも後方まで延出されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項6】
前記ダクトは、該ダクトの下面から上方に膨出した干渉防止部が形成され、
前記インナパネル側開口部の下端から前記干渉防止部の下面を離間させるとともに、前記干渉防止部の先端を、前記フロントグリル側挿入部に車体高さ方向に関してオーバラップさせたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項1】
アウタパネル及びインナパネルを接合することで閉断面が構成され、エンジンルームを覆うエンジンフードと、該エンジンフードのエンジンルーム側に設けられエンジン若しくは該エンジンに付設される冷却装置に空気を導入するダクトと、前記エンジンフードの車外側に取付けられるフロントグリルと、を備えた車両の冷却風導入構造において、
前記エンジンフードは、前記エンジンルームの上方を覆うフード本体部と、該フード本体部の前端から下方に向かって延出され、前記フロントグリルを取付けるグリル取付部と、該グリル取付部に設けられ、前記ダクトに空気を導入する開口部と、が設けられ、
前記開口部は、前記アウタパネルに設けられたアウタパネル側開口部と、前記インナパネルに設けられたインナパネル側開口部と、から構成され、
前記ダクトは、前記フード本体部の前記エンジンルーム側の面に沿って設けられる水平部と、前記水平部の前端から前記開口部側に向かって斜め前下方へ延出される延出部と、を備え、
前記延出部は、前記インナパネル側開口部から前記アウタパネル側に向かって挿通され、前記アウタパネル側開口部の周縁部に当接する挿入部を備えることを特徴とする車両の冷却風導入構造。
【請求項2】
前記インナパネルは、前記インナパネル側開口部の車幅外方且つ上部のコーナ部近傍に前記エンジンルーム側に膨出する膨出部を備え、
前記膨出部が設けられる位置において、前記ダクトに、前記挿入部の形成が回避されるとともに、前記フロントグリルに、前記アウタパネル側開口部及び前記インナパネル側開口部を貫通して前記エンジンルーム内まで延びるフロントグリル側挿入部が設けられることを特徴とする請求項1記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項3】
前記アウタパネルに且つ前記膨出部と対向する位置に、前記フロントグリルを取付ける取付部材が挿入される取付孔が設けられることを特徴とする請求項2記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項4】
前記インナパネル側開口部の上縁は、前記挿入部が挿通される位置において前記アウタパネル側開口部の上縁よりも上方に位置するとともに、前記膨出部が設けられる位置において前記アウタパネル側開口部の上縁とほぼ同じ高さに位置することを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項5】
前記フロントグリル側挿入部の先端は、前記延出部の先端よりも後方まで延出されることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の車両の冷却風導入構造。
【請求項6】
前記ダクトは、該ダクトの下面から上方に膨出した干渉防止部が形成され、
前記インナパネル側開口部の下端から前記干渉防止部の下面を離間させるとともに、前記干渉防止部の先端を、前記フロントグリル側挿入部に車体高さ方向に関してオーバラップさせたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の車両の冷却風導入構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−81903(P2012−81903A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−230932(P2010−230932)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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