説明

車両の制動制御装置

【課題】車両の旋回時に、旋回方向内側の車輪に制動力を付与させる旋回時制動制御が運転手の意図に反して行われることを抑制できる車両の制動制御装置を提供する。
【解決手段】ブレーキ用ECUは、作動ボタンがオン状態である場合(ステップS10:YES)、車両の車体速度VS及びステアリングの操舵角Aを取得する(ステップS11,S12)。そして、ブレーキ用ECUは、取得した車体速度VS及び操舵角Aに基づき、規定時間Tthの間、車両の走行状態が直進状態であることが継続中であるという第1の条件が成立した場合(ステップS19:YES)、作動ボタンをオン状態からオフ状態に自動的に変更させる(ステップS20)、又は作動ボタンの操作状態をオフ状態に変更することを促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の旋回時に旋回方向内側の車輪に制動力を付与させる旋回時制動制御を行う車両の制動制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の旋回時において旋回半径を小さくさせる制動制御を行う車両の制動制御装置として、例えば特許文献1に記載される制御装置が提案されている。この制動制御装置は、車両に搭載されたスイッチ(操作部)がオンである状態(以下、「許可状態」ともいう。)で検出されたステアリングの操舵角の絶対値が予め設定された操舵角判定値以上である場合に、車両の旋回方向内側の後輪(右方向に旋回している場合には右後輪)に対して制動力を付与する旋回時制動制御(「小回り制御」ともいう。)を行う。
【0003】
このように小回り制御が行われる状態で旋回する車両においては、旋回時に小回り制御が行われない車両と比較して、車両の旋回方向内側の後輪を中心に回転する運動を伴いつつ旋回するため、その旋回半径が小さくなる、即ち小回りが効くことになる。
【0004】
ところで、近年では、小回り制御を実行可能な制動制御装置を搭載した一般乗用車の開発が進められている。こうした一般乗用車(以下、単に「車両」という。)では、例えば、運転手によって車両の進行方向に存在する障害物が発見された場合、該運転手によるステアリングの操舵によって操舵角の絶対値が大きくなる。そして、ステアリングの操舵角が操舵角判定値以上になると共に、車両の車体速度が車体速度判定値(例えば、10km/h)未満になると、小回り制御が開始される。その結果、車両は、小回り制御を行わないで旋回する場合と比較して小回りが効く分、障害物を、余裕を持って回避することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−207823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記制動制御装置を搭載した車両では、スイッチをオンにしたことを運転手が忘れた場合、又は運転手の意図に反してスイッチがオンになった場合でも、ステアリングの操舵角の絶対値が操舵角判定値以上になると共に車両の車体速度が車体速度判定値未満になると、運転手の意図に反して小回り制御が行われる。このとき、小回り制御の実行に伴って車両の旋回方向内側の後輪に制動力を付与したことによる引きずり感を運転手に与えたり、運転手の意図に反して旋回半径が小さくなったりすることで、運転手が不快に感じるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものである。その目的は、車両の旋回時に、旋回方向内側の車輪に制動力を付与させる旋回時制動制御が運転手の意図に反して行われることを抑制できる車両の制動制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は、操作部(55)の操作状態が許可状態である場合には車両の旋回時に旋回方向内側の車輪に制動力を付与させる旋回時制動制御の実行を許可し、前記操作部(55)の操作状態が禁止状態である場合には前記旋回時制動制御の実行を禁止する車両の制動制御装置において、運転手による車両操作に基づいた情報のうち車両の進行方向を特定可能な進行方向情報(A、VS)、及び車両の走行する外部環境を特定するための環境情報のうち少なくとも一方の情報を取得する情報取得手段(51、S11,S12、S33,S34、S52,S53、S54)と、前記操作部(55)の操作状態が許可状態である場合に前記情報取得手段(51、S11,S12、S33,S34、S52,S53、S54)によって取得された情報に基づき、規定時間(Tth)又は規定距離(K)の間、車両の走行状態が直進状態であることが継続中であるという第1の条件が成立している場合、又は規定時間(Tth)又は規定距離(K)の間、車両の走行状態が直進状態であることが継続すると推定される第2の条件が成立している場合に、前記操作部(55)の操作状態を許可状態から禁止状態に変更する、又は操作状態を許可状態から禁止状態に変更することを促す変更手段(51、S20、S38、S57)と、を備えることを要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、操作部の操作状態が許可状態である場合には、乗員による車両操作に応じた情報のうち車両の進行方向を特定可能な進行方向情報、及び車両の走行する外部環境を特定するための環境情報のうち少なくとも一方の情報が取得される。そして、取得された情報に基づき、第1の条件又は第2の条件が成立しているか否かが判定される。なお、第1の条件とは、規定時間又は規定距離の間、車両の走行状態が直進状態であることが継続中であることであり、第2の条件とは、規定時間又は規定距離の間、車両の走行状態が直進状態であることが継続すると推定されることである。
【0010】
こうした第1の条件又は第2の条件が成立している場合には、旋回時制動制御を運転手が必要としていない可能性が高いと判断される。そして、操作部の操作状態が許可状態から禁止状態に変更される、又は操作部の操作状態を許可状態から禁止状態に変更することが車両の運転手に促される。したがって、車両の旋回時に、旋回時制動制御が運転手の意図に反して行われることを抑制できる。
【0011】
本発明の車両の制動制御装置は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記第1の条件又は第2の条件の成立条件を厳しくする条件設定手段(51、S13,S14,S15)をさらに備え、前記変更手段(51、S20、S38、S57)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態である場合に前記情報取得手段(51、S11,S12、S33,S34、S52,S53、S54)によって取得される情報と、前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)によって設定された成立条件とに基づき、前記第1の条件又は第2の条件が成立しているか否かを判定し、前記第1の条件又は第2の条件が成立していると判定した場合には、前記操作部(55)の操作状態を許可状態から禁止状態に変更する、又は操作状態を許可状態から禁止状態に変更することを促すことが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が少ない場合ほど、その後に旋回時制動制御の実行を運転手が所望する可能性が高いと考えられる。そのため、成立条件が厳しめに設定される。その結果、操作部の操作状態が禁止状態になりにくくなる分、旋回時制動制御の実行が運転手の意図に反して禁止される可能性を低くすることができる。
【0013】
その一方で、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が多いほど、その後に旋回時制動制御の実行を運転手が所望する可能性が低いと考えられる。そのため、成立条件が弛めに設定される。その結果、操作部の操作状態が禁止状態になりやすくなる分、運転手の意図に反した旋回時制動制御の実行を抑制することができる。
【0014】
本発明の車両の制動制御装置において、前記変更手段(51、S20、S38、S57)は、車両の走行状態が直進状態であることの継続時間(T)が前記規定時間(Tth)以上である場合に前記第1の条件が成立していると判定し、車両の走行状態が直進状態であることが前記規定時間(Tth)以上継続すると推定される場合に前記第2の条件が成立していると判定するようになっており、前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記規定時間(Tth)を長く設定する時間設定手段(51、S14,S15)を有することが好ましい。
【0015】
上記構成によれば、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数によって、規定時間が設定される。そのため、実行回数が少ないほど規定時間が長く設定されることにより、第1の条件や第2の条件が成立しにくくなる。その結果、旋回時制動制御の実行が運転手の意図に反して禁止される可能性を低くすることができる。一方、実行回数が多いほど規定時間が短くに設定されることにより、第1の条件や第2の条件が成立しやすくなる。その結果、運転手の意図に反した旋回時制動制御の実行を抑制することができる。
【0016】
上記構成としては、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの実行回数(N)が、「1」以上の整数に設定された基準回数(Nth)未満である場合には、実行回数(N)が前記基準回数(Nth)以上である場合よりも、前記規定時間(Tth)を長く設定することが考えられる。
【0017】
このようにすると、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が基準回数未満である場合には、旋回時制動制御の実行回数が少ないと判断される。そのため、実行回数が基準回数以上である場合と比較して規定時間が長めに設定され、結果として、旋回時制動制御の実行が運転手の意図に反して禁止される可能性を低くすることができる。一方、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が基準回数以上である場合には、旋回時制動制御の実行回数が多いと判断される。そのため、実行回数が基準回数未満である場合と比較して規定時間が短めに設定され、結果として、運転手の意図に反した旋回時制動制御の実行を抑制することができる。
【0018】
本発明の車両の制動制御装置において、前記進行方向情報は、車両の転舵輪(FR,FL)の舵角を変更させるために操作されるステアリング(30)の操舵角(A)を含み、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定は、前記ステアリング(30)の操舵角(A)の絶対値が基準操舵角(Ath)以下であるか否かを含んでおり、前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記基準操舵角(Ath)を小さな値に設定する舵角設定手段(51、S14,S15)を有することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定は、ステアリングの操舵角の絶対値が基準操舵角以下であるか否かの判定を含んでいる。こうした判定に用いられる基準操舵角は、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数に応じた値に設定される。そのため、実行回数が少ないほど基準操舵角が小さな値に設定される分、車両の走行状態が直進状態であると判定されにくくなる。その結果、旋回時制動制御の実行が運転手の意図に反して禁止される可能性を低くすることができる。一方、実行回数が多いほど基準操舵角が大きな値に設定される分、車両の走行状態が直進状態であると判定されやすくなる。その結果、運転手の意図に反した旋回時制動制御の実行を抑制することができる。
【0020】
本発明の車両の制動制御装置において、前記進行方向情報は、車両の車体速度(VS)を含み、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定は、車両の車体速度(VS)が基準速度(VSth)以上であるか否かを含んでおり、前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記基準速度(VSth)を大きな値に設定する速度設定手段(51、S14,S15)を有することが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定は、車両の車体速度が基準速度以上であるか否かの判定を含んでいる。こうした判定に用いられる基準速度は、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数に応じた値に設定される。そのため、実行回数が少ないほど基準速度が大きな値に設定される分、車両の走行状態が直進状態であると判定されにくくなる。その結果、旋回時制動制御の実行が運転手の意図に反して禁止される可能性を低くすることができる。一方、実行回数が多いほど基準速度が小さな値に設定される分、車両の走行状態が直進状態であると判定されやすくなる。その結果、運転手の意図に反した旋回時制動制御の実行を抑制することができる。
【0022】
本発明の車両の制動制御装置において、前記変更手段(51、S38)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が、「1」以上の整数に設定された基準回数(Nth)未満である場合には、前記操作部(55)の操作状態を許可状態で維持する一方、前記実行回数(N)が前記基準回数(Nth)以上である場合には、前記第1の条件又は第2の条件の成立を契機に、前記操作部(55)の操作状態を許可状態から禁止状態に変更する、又は操作状態を許可状態から禁止状態に変更することを促すことが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が基準回数未満である場合には、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が運転手の意図する実行回数に至っていない可能性が高いと判断される。そのため、実行回数が基準回数未満である場合には、車両の乗員による操作部の操作が行われない限り、操作部の操作状態が許可状態で維持される。したがって、旋回時制動制御の実行が運転手の意図に反して禁止される可能性を低くすることができる。
【0024】
その一方で、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が基準回数以上である場合には、操作部の操作状態が許可状態になってからの旋回時制動制御の実行回数が運転手の意図する実行回数以上になった可能性が高いと判断される。そのため、第1の条件又は第2の条件が成立すると、操作状態が許可状態から禁止状態に変更される、又は許可状態から禁止状態に操作部の操作状態を変更させることが運転手に促される。したがって、実行回数が基準回数以上である場合には、運転手の意図に反した旋回時制動制御の実行を抑制することができる。
【0025】
なお、本発明をわかりやすく説明するために実施形態を示す図面の符号に対応づけて説明したが、本発明が実施形態に限定されるものではないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の制動制御装置の一実施形態であるブレーキ用ECUを搭載する車両の一例を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態における小回り禁止判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図3】第1の実施形態において、作動ボタンの操作状態、車両の車体速度、ステアリングの操舵角の絶対値及び継続時間が変化する様子を示すタイミングチャート。
【図4】第2の実施形態における小回り禁止判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図5】第3の実施形態における小回り禁止判定処理ルーチンを説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図3に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明においては、車両の進行方向(前進方向)を前方(車両前方)として説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施形態の車両は、複数(本実施形態では4つ)ある車輪(右前輪FR、左前輪FL、右後輪RR及び左後輪RL)のうち、前輪FR,FLが駆動輪として機能する車両(いわゆる前輪駆動車)である。こうした車両は、該車両を走行させるための駆動力発生装置11と、前輪FR,FLを転舵輪(操舵輪)として転舵させるための操舵装置12と、各車輪FL,FR,RL,RRに制動力を付与するための制動装置13とを備えている。また、この車両には、車両の前方を撮像するための撮像装置14と、上記各装置11〜14を制御するための制御装置15とが設けられている。
【0029】
駆動力発生装置11には、運転手によるアクセルペダル20の操作量、即ちアクセル開度に基づいた駆動力を発生するエンジン21と、該エンジン21の出力軸に接続された自動変速機22とが設けられている。また、駆動力発生装置11には、アクセル開度に応じた検出信号を制御装置15に出力するアクセル開度センサSE1が設けられている。そして、エンジン21が駆動する場合には、自動変速機22から出力された駆動力がディファレンシャルギヤ23を介して前輪FR,FLに配分されることにより、車両が前方又は後方に移動する。
【0030】
操舵装置12には、運転手によって操舵(操作)されるステアリング30が固定されたステアリングシャフト31と、ステアリングシャフト31に連結された転舵アクチュエータ32とが設けられている。また、操舵装置12には、転舵アクチュエータ32により車両の左右方向に移動自在なタイロッドと、該タイロッドの移動により前輪FL,FRを転舵させるリンクとを含んだリンク機構部33とが設けられている。また、操舵装置12には、ステアリング30の操舵角に応じた検出信号を制御装置15に出力する操舵角センサSE2が設けられている。
【0031】
制動装置13には、運転手によるブレーキペダル40の操作力に応じたブレーキ液圧を発生する液圧発生装置41と、車輪FR,FL,RR,RL毎に個別に設けられた複数(本実施形態では4つ)のホイールシリンダ42a,42b,42c,42dに連結されたブレーキアクチュエータ43とが設けられている。また、制動装置13には、運転手によるブレーキペダル40の操作状況(オンかオフか)に応じた検出信号を制御装置15に出力するブレーキスイッチSW1が設けられている。
【0032】
ブレーキアクチュエータ43は、運転手がブレーキペダル40を操作しない場合であっても各車輪FR,FL,RR,RLに対して制動力を付与できるように構成されている。例えば、ブレーキアクチュエータ43は、液圧発生装置41側のブレーキ液圧と、ホイールシリンダ42a,42b,42c,42d内のブレーキ液圧との間に差圧を発生させるための差圧調整弁(図示略)と、ホイールシリンダ42a,42b,42c,42d内にブレーキ液圧を供給するための電動ポンプ(図示略)とを備えている。また、ブレーキアクチュエータ43には、各ホイールシリンダ42a,42b,42c,42d内のブレーキ液圧を個別に調整するための各種弁が設けられている。つまり、本実施形態のブレーキアクチュエータ43は、各車輪FR,FL,RR,RLに対する制動力を個別に調整可能である。
【0033】
撮像装置14は、車体の前方を撮像可能な位置に配置されている。そして、撮像装置14は、撮像した画像に基づいた画像データを制御装置15に出力する。
制御装置15には、アクセル開度センサSE1、操舵角センサSE2及びブレーキスイッチSW1に加え、各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を検出するための車輪速度センサSE3,SE4,SE5,SE6と、車両の前後方向における加速度を検出するための加速度センサ(「Gセンサ」ともいう。)SE7とが電気的に接続されている。また、制御装置15には、撮像装置14が画像データや各種指令を送受信可能な状態で接続されている。
【0034】
こうした制御装置15は、CPU、ROM及びRAMなどで構成される複数のECU(「電子制御装置」ともいう。)を備えている。例えば、制御装置15は、駆動力発生装置11を制御するためのエンジン用ECU50、制動装置13を制御するための制動制御装置としてのブレーキ用ECU51、及び撮像装置14によって撮像された画像データを解析するための画像解析用ECU52とを備えている。そして、これら各ECU50〜52は、各種情報を送受信可能となっている。
【0035】
画像解析用ECU52は、画像データを解析し、車両の進行方向前方に障害物があるか否かを判別する。そして、画像解析用ECU52は、車両の前方に障害物がある場合には、車両の現在位置と障害物との間の推定距離を求める。なお、ここでいう「障害物」とは、車両が旋回して避ける必要のある程度の大きさを有する障害物のことをいう。
【0036】
本実施形態のブレーキ用ECU51は、車両の旋回時に当該車両の旋回半径を小さくするための小回り制御(旋回時制動制御)を行う。具体的には、ブレーキ用ECU51は、小回り制御の実行を許可・禁止するために運転手に操作される操作部としての作動ボタン55がオン状態である場合において、ステアリング30の操舵角の絶対値が操舵角判定値以上であると共に車両の車体速度が車速判定値(例えば、10km/h)未満であるときに、小回り制御を行う。このとき、ブレーキ用ECU51は、車両の旋回方向内側の後輪(右方向に旋回している場合には右後輪)に対して制動力が付与されるようにブレーキアクチュエータ43を制御する。
【0037】
すると、小回り制御が行われる車両は、車両の旋回方向内側の後輪を中心に回転する運動を伴いつつ旋回する。その結果、小回り制御が行われない場合と比較して、車両の旋回半径が小さくなる。なお、本実施形態において、「作動ボタン55がオン状態である」ことは「操作状態が許可状態である」ことを示し、「作動ボタン55がオフ状態である」ことは「操作状態が禁止状態である」ことを示している。
【0038】
しかし、車両の運転手は、作動ボタン55をオン状態にしたことを忘れて車両を走行させたり、運転手の意図に反して作動ボタン55がオン状態になった状態で車両を走行させたりすることがある。こうした場合においては、車両の旋回時に、運転手の意図に反して小回り制御が実行されるおそれがある。そこで、本実施形態のブレーキ用ECU51では、運転手の意図に反した小回り制御の実行を抑制するために小回り禁止判定処理ルーチンが実行される。
【0039】
次に、小回り禁止判定処理ルーチンについて、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
さて、小回り禁止判定処理ルーチンは、小回り制御が実行されていない間、予め設定された所定周期毎に実行される。そして、小回り禁止判定処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU51は、作動ボタン55がオン状態であるか否かを判定する(ステップS10)。作動ボタン55がオフ状態である場合(ステップS10:NO)、ブレーキ用ECU51は、操作状態が禁止状態であるため、その処理を後述するステップS17に移行する。
【0040】
一方、作動ボタン55がオン状態である場合(ステップS10:YES)、ブレーキ用ECU51は、操作状態が許可状態であるため、各車輪速度センサSE3〜SE6を用いて車両の車体速度VSを取得する(ステップS11)。すなわち、ブレーキ用ECU51は、各車輪速度センサSE3〜SE6からの検出信号に基づき各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度を演算する。そして、ブレーキ用ECU51は、演算した各車輪FR,FL,RR,RLの車輪速度のうち少なくとも一つの車輪の車輪速度に基づき車体速度VSを取得する。一般に、車両を直進させる場合には、車両を旋回させる場合と比較して、車体速度VSが高速となるようにアクセル開度が運転手によって調整される。つまり、車体速度VSは、運転手による車両操作に基づいた情報のうち車両の進行方向を特定可能な進行方向情報の一つである。したがって、本実施形態では、ブレーキ用ECU51が、情報取得手段としても機能する。
【0041】
続いて、ブレーキ用ECU51は、操舵角センサSE2からの検出信号に基づき、ステアリング30の操舵角Aを取得(演算)する(ステップS12)。車両の進行方向は、ステアリング30の操舵角Aによって決まる方向である。つまり、操舵角Aは、運転手による車両操作に基づいた情報のうち車両の進行方向を特定可能な進行方向情報の一つである。こうした点からも、本実施形態では、ブレーキ用ECU51が、情報取得手段としても機能する。
【0042】
そして、ブレーキ用ECU51は、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nを取得し、該実行回数Nが予め設定された基準回数Nth以上であるか否かを判定する(ステップS13)。この基準回数Nthは、作動ボタン55の状態を自動的に変更するための成立条件を厳しめに設定するか弛めに設定するかの判断基準として設定された値であって、且つ「1」以上の値(本実施形態では1回)に設定されている。実行回数Nが基準回数Nth以上である場合(ステップS13:YES)、ブレーキ用ECU51は、作動ボタン55の状態を自動的に変更するための条件が成立しやすくなるように基準操舵角Ath、基準速度VSth及び規定時間Tthを設定する(ステップS14)。具体的には、ブレーキ用ECU51は、基準操舵角Athを「0(零)」よりも大きな値である第1操舵角Ath1に設定し、基準速度VSthを小回り制御の終了条件となる車体速度(例えば、10km/h)以上の値である第1車速VSth1に設定し、規定時間Tthを第1規定時間Tth1(例えば、0(零)コンマ数秒)に設定する。その後、ブレーキ用ECU51は、その処理を後述するステップS16に移行する。
【0043】
一方、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合(ステップS13:NO)、ブレーキ用ECU51は、作動ボタン55の状態を自動的に変更するための条件が成立しにくくなるように基準操舵角Ath、基準速度VSth及び規定時間Tthを設定する(ステップS15)。具体的には、ブレーキ用ECU51は、基準操舵角Athを「0(零)」よりも大きく且つ第1操舵角Ath1未満である第2操舵角Ath2に設定し、基準速度VSthを第1車速VSth1よりも高速の第2車速VSth2に設定し、規定時間Tthを第1規定時間Tth1よりも長い第2規定時間Tth2(例えば、数秒から数十秒)に設定する。したがって、本実施形態では、ブレーキ用ECU51が、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが少ないほど、成立条件を厳しくする条件設定手段としても機能する。しかも、本実施形態では、条件設定手段として機能するブレーキ用ECU51は、時間設定手段としても機能すると共に、舵角設定手段としても機能し、さらには速度設定手段としても機能する。その後、ブレーキ用ECU51は、その処理を後述するステップS16に移行する。
【0044】
ステップS16において、ブレーキ用ECU51は、ステップS12で取得した操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下であって、且つステップS11で取得した車体速度VSが基準速度VSth以上であるか否かを判定する。基準操舵角Ath及び基準速度VSthは、車両の走行状態が直進状態であるか否かを判定するための判定基準である。つまり、ステップS16では、車両の走行状態が直進状態であるか否かが判定される。そして、操舵角Aの絶対値が基準操舵角Athよりも大きいこと及び車体速度VSが基準速度VSth未満であることのうち少なくとも一方が成立する場合(ステップS16:NO)、ブレーキ用ECU51は、車両の走行状態が直進状態ではないと判定し、その処理を次のステップS17に移行する。
【0045】
ステップS17において、ブレーキ用ECU51は、継続時間Tを「0(零)」にリセットする。その後、ブレーキ用ECU51は、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。
【0046】
一方、操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下であって且つ車体速度VSが基準速度VSth以上である場合(ステップS16:YES)、ブレーキ用ECU51は、現時点においては車両の走行状態が直進状態であると判定する。そして、ブレーキ用ECU51は、車両の走行状態が直進状態であることの継続時間Tを更新する(ステップS18)。そして、ブレーキ用ECU51は、更新した継続時間Tが、ステップS14又はステップS15で設定した規定時間Tth以上であるか否かを判定する(ステップS19)。継続時間Tが規定時間Tth未満である場合(ステップS19:NO)、ブレーキ用ECU51は、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。
【0047】
一方、継続時間Tが規定時間Tth以上である場合(ステップS19:YES)、ブレーキ用ECU51は、作動ボタン55をオン状態からオフ状態に自動的に変更させる(ステップS20)。したがって、本実施形態では、ブレーキ用ECU51が、車両の走行状態が直進状態であることの継続時間Tが規定時間Tth以上であるという第1の条件が成立した場合に、作動ボタン55をオン状態からオフ状態に変更する変更手段としても機能する。
【0048】
続いて、ブレーキ用ECU51は、作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更された旨を車両の乗員(特に運転手)に報知するための報知処理を行う(ステップS21)。例えば、ブレーキ用ECU51は、車両に搭載されるナビゲーション装置のディスプレイに作動ボタン55がオフ状態になった旨のメッセージを表示させるための指令を、ナビゲーション装置に送信してもよい。また、ブレーキ用ECU51は、警報音を鳴らせてもよい。また、車両に小回り制御中であるか否かを示すための表示部(例えば、ランプ)がある場合、ブレーキ用ECU51は、該表示部に点滅表示を行わせてもよい。その後、ブレーキ用ECU51は、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。
【0049】
次に、本実施形態のブレーキ用ECU51を搭載した車両の作用について、図3に示すタイミングチャートを参照して説明する。なお、前提として、作動ボタン55がオン状態であるものとする。
【0050】
まず始めに、作動ボタン55がオン状態になってから小回り制御が基準回数Nth以上実行された場合の作用について説明する。この場合、基準操舵角Athが第1操舵角Ath1に設定されると共に、基準速度VSthが第1車速VSth1に設定され、さらに、規定時間Tthが第1規定時間Tth1に設定されている。
【0051】
さて、図3に示すように、第1のタイミングt1では、車両の車体速度VSが基準速度VSth(=VSth1)以上であっても、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath(=Ath1)よりも大きい値である。そのため、車両の走行状態が直進状態ではないと判定され、継続時間Tは「0(零)」のままとなる。その後、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が次第に小さくなっていき、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下になる第2のタイミングt2で、車両の走行状態が直進状態であると判定される。
【0052】
すると、図3において実線で示すように、継続時間Tの計測が開始される。この継続時間Tは、車両の車体速度VSが基準速度VSth以上であること、及びステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下であることの両方が成立する期間の長さである。もし仮に、継続時間Tの計測中において、車両の車体速度VSが基準速度VSth未満になったり、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Athを超えたりすると、継続時間Tは「0(零)」にリセットされる。
【0053】
こうした継続時間Tが規定時間Tth(=Tth1)以上になる第3のタイミングt3で、車両の走行状態が直進状態であることの継続時間Tが規定時間Tth以上であるという第1の条件が成立する。すると、作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更される。そして、車内では、作動ボタン55がオフ状態になったことが、乗員に報知される。その結果、小回り制御の実行が禁止される。なお、その後の車両走行中において小回り制御を行わせたいと運転手が感じた場合、該運転手は、作動ボタン55がオン状態となるように該作動ボタン55を操作すればよい。
【0054】
次に、作動ボタン55がオン状態になってから小回り制御が「1回」も実行されていない場合の作用について説明する。この場合、基準操舵角Athが第2操舵角Ath2(<Ath1)に設定されると共に、基準速度VSthが第2車速VSth2(>VSth1)に設定され、さらに、規定時間Tthが第2規定時間Tth2(>Tth1)に設定されている。
【0055】
さて、第1のタイミングt1では、車両の車体速度VSが基準速度VSth(=VSth2)未満であると共に、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath(=Ath2)よりも大きい値である。そのため、車両の走行状態が直進状態ではないと判定され、継続時間Tは「0(零)」のままである。また、第2のタイミングt2では、車両の車体速度VSが基準速度VSth以上であっても、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Athよりも未だ大きい値であるため、継続時間Tは「0(零)」のままである。つまり、作動ボタン55がオン状態になってから小回り制御が「1回」も実行されていない場合では、小回り制御が「1回」以上実行された場合と比較して、車両の走行状態が直進状態であると判定されにくい。
【0056】
その後の第4のタイミングt4で、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下になると、車両の走行状態が直進状態であると判定される。すると、図3において破線で示すように、継続時間Tの計測が開始される。そして、その後の第3のタイミングt3では、継続時間Tが規定時間Tth(=Tth2)未満であるため、作動ボタン55のオン状態が維持される。さらに時間が経過して継続時間Tが規定時間Tth以上になる第5のタイミングt5で、第1の条件が成立する。すると、作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更されると共に、車内では、作動ボタン55がオフ状態になったことが、乗員に報知される。
【0057】
以上説明したように、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)本実施形態では、作動ボタン55がオン状態である場合において小回り制御が行われていないときには、車両の走行状態が直進状態であることの継続時間Tが規定時間Tth以上であるという第1の条件が成立しているか否かが判定される。そして、第1の条件が成立している場合には、しばらくの間、小回り制御が必要となるような車両の旋回が発生しない、又は作動ボタン55が運転手の意図に反してオン状態になったと判定される。その結果、作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更される。そのため、車両の旋回時に、小回り制御が運転手の意図に反して行われることを抑制できる。したがって、運転手の意図に反した小回り制御の実行に伴う引きずり感を運転手に与える可能性を低くすることができると共に、運転手の意図に反して車両の旋回半径が小さくなることを抑制できる。
【0058】
(2)作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが少ない場合ほど、その後に小回り制御の実行を運転手が所望する可能性が高いと考えられる。そこで、本実施形態では、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合には、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合と比較して、第1の条件の成立条件が厳しめに設定される。そのため、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合と比較して第1の条件が成立しにくくなる分、小回り制御の実行が運転手の意図に反して禁止される可能性を低くすることができる。
【0059】
(3)その一方で、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが多い場合ほど、その後に小回り制御の実行を運転手が所望する可能性が低いと考えられる。そこで、本実施形態では、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合には、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合と比較して、第1の条件の成立条件が弛めに設定される。そのため、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合と比較して第1の条件が成立しやすくなる分、運転手の意図に反した小回り制御の実行を抑制することができる。
【0060】
(4)具体的には、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合には規定時間Tthが第1規定時間Tth1に設定される一方、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合には規定時間Tthが第1規定時間Tth1よりも長い第2規定時間Tth2に設定される。そのため、実行回数Nが多い場合には、実行回数Nが少ない場合と比較して、第1の条件が成立しやすくなる。したがって、運転手の意図に反した小回り制御の実行を抑制することができる。
【0061】
(5)また、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合には基準操舵角Athが第1操舵角Ath1に設定される一方、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合には基準操舵角Athが第1操舵角Ath1よりも小さい第2操舵角Ath2に設定される。そのため、実行回数Nが多い場合には、実行回数Nが少ない場合と比較して、車両の走行状態が直進状態であると判定しやすくなる。したがって、第1の条件が成立しやすくなる分、運転手の意図に反した小回り制御の実行を抑制することができる。
【0062】
(6)さらに、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合には基準速度VSthが第1車速VSth1に設定される一方、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合には基準速度VSthが第1車速VSth1よりも高速の第2車速VSth2に設定される。そのため、実行回数Nが多い場合には、実行回数Nが少ない場合と比較して、車両の走行状態が直進状態であると判定しやすくなる。したがって、第1の条件が成立しやすくなる分、運転手の意図に反した小回り制御の実行を抑制することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態を図4に従って説明する。なお、第2の実施形態は、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが基準回数Nth未満である場合には作動ボタン55を自動的にはオフ状態にしない点などが第1の実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1の実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1の実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0064】
本実施形態の小回り禁止判定処理ルーチンについて、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
さて、小回り禁止判定処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS10と同等のステップS30の判定処理を行う。作動ボタン55がオフ状態である場合(ステップS30:NO)、ブレーキ用ECU51は、継続時間Tを「0(零)」にリセットし(ステップS31)、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。一方、作動ボタン55がオン状態である場合(ステップS30:YES)、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS13と同等のステップS32の判定処理を行い、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合(ステップS32:NO)にはその処理を前述したステップS31に移行する。
【0065】
一方、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合(ステップS32:YES)、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS11,S12,S16に相当するステップS33,S34,S35の各処理を順次行う。なお、ステップS35の判定処理で用いられる基準操舵角Athは第1操舵角Ath1に設定されると共に、基準速度VSthは第1車速VSth1に設定されている。
【0066】
そして、操舵角Aの絶対値が基準操舵角Athよりも大きいこと及び車体速度VSが基準速度VSth未満であることのうち少なくとも一方が成立する場合(ステップS35:NO)、ブレーキ用ECU51は、その処理を前述したステップS31に移行する。一方、操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下であって且つ車体速度VSが基準速度VSth以上である場合(ステップS35:YES)、ブレーキ用ECU51は、現時点においては車両の走行状態が直進状態であると判定する。続いて、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS18,S19に相当するステップS36,S37の各処理を順次行う。
【0067】
そして、継続時間Tが規定時間Tth未満である場合(ステップS37:NO)、ブレーキ用ECU51は、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。一方、継続時間Tが規定時間Tth以上である場合(ステップS37:YES)、ブレーキ用ECU51は、第1の条件が成立したため、上記ステップS20,S21に相当するステップS38,S39の各処理を順次行い、その後、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。
【0068】
以上説明したように、本実施形態では、上記第1の実施形態における効果(1)と同等の効果に加え、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(7)作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが基準回数Nth未満である場合には、運転手の意図によって作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが運転手の意図する実行回数に至っていない可能性が高いと判断される。つまり、小回り制御の実行回数Nが少ないと判断される。そのため、実行回数Nが基準回数Nth未満である場合には、運転手がオフ状態となるように作動ボタン55を操作しない限り、作動ボタン55がオン状態で維持される。したがって、運転手の意図に反して作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更されることを抑制できる。
【0069】
その一方で、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合には、運転手の意図によって作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが運転手の意図する実行回数以上になった可能性が高いと判断される。つまり、小回り制御の実行回数Nが多いと判断される。そのため、第1の条件が成立すると、作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更される。したがって、実行回数Nが多い場合には、運転手の意図に反した小回り制御の実行を抑制することができる。
【0070】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態を図5に従って説明する。なお、第3の実施形態は、小回り禁止判定処理ルーチンの内容の一部が第1及び第2の各実施形態と異なっている。したがって、以下の説明においては、第1及び第2の各実施形態と相違する部分について主に説明するものとし、第1及び第2の各実施形態と同一又は相当する部材構成には同一符号を付して重複説明を省略するものとする。
【0071】
本実施形態の小回り禁止判定処理ルーチンについて、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
さて、小回り禁止判定処理ルーチンにおいて、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS10と同等のステップS50の判定処理を行う。作動ボタン55がオフ状態である場合(ステップS50:NO)、ブレーキ用ECU51は、継続時間Tを「0(零)」にリセットし(ステップS51)、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。一方、作動ボタン55がオン状態である場合(ステップS50:YES)、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS11,S12と同等のステップS52,S53の各処理を行う。
【0072】
続いて、ブレーキ用ECU51は、ステップS52で取得した車体速度VSに対して規定時間Tth(この場合、第1規定時間Tth1)を掛け合わせることにより、規定距離K(=VS×Tth)を求める(ステップS54)。そして、ブレーキ用ECU51は、画像解析用ECU52に対して撮像装置14で撮像した画像データの解析結果を要求し、画像データの解析結果を画像解析用ECU52から受信する(ステップS55)。画像データの解析結果は、車両の走行する外部環境を特定するための環境情報の一例である。こうした点においても、本実施形態では、ブレーキ用ECU51が、情報取得手段としても機能する。なお、画像データの解析結果としては、例えば、車両の進行方向に障害物があるか否か、障害物がある場合には該障害物と車両との間の推定距離などが挙げられる。
【0073】
そして、ブレーキ用ECU51は、受信した画像データの解析結果に基づき、車両の進行方向において車両の現在位置から規定距離Kまでの間に障害物がないか否かを判定する(ステップS56)。規定距離K以上先まで障害物がないと判定された場合(ステップS56:YES)、ブレーキ用ECU51は、規定距離Kの間、車両の走行状態が直進状態であることが継続されると推定する第2の条件が成立したと判定する。そして、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS20,S21の各処理に相当するステップS57,S58の各処理を順次行い、その後、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。
【0074】
一方、車両の現在位置から規定距離Kまでの間に障害物がある又は障害物がある可能性があると判定された場合(ステップS56:NO)、ブレーキ用ECU51は、第2の条件が成立しなかったため、上記ステップS16に相当するステップS59の判定処理を行う。そして、操舵角Aの絶対値が基準操舵角Athよりも大きいこと及び車体速度VSが基準速度VSth未満であることのうち少なくとも一方が成立する場合(ステップS59:NO)、ブレーキ用ECU51は、その処理を前述したステップS51に移行する。一方、操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下であって且つ車体速度VSが基準速度VSth以上である場合(ステップS59:YES)、ブレーキ用ECU51は、現時点においては車両の走行状態が直進状態であると判定する。
【0075】
そして、ブレーキ用ECU51は、上記ステップS18,S19に相当するステップS60,S61の各処理を順次行う。そして、継続時間Tが規定時間Tth未満である場合(ステップS61:NO)、ブレーキ用ECU51は、第2の条件だけではなく第1の条件も成立しないため、小回り禁止判定処理ルーチンを一旦終了する。一方、継続時間Tが規定時間Tth以上である場合(ステップS61:YES)、ブレーキ用ECU51は、第1の条件が成立したため、その処理を前述したステップS57に移行する。
【0076】
なお、本実施形態で第2の条件が成立する場合の一例としては、広大な砂漠や草原などのように車両の周辺に障害物がない外部環境を車両が走行する場合、ほぼ一直線に延びる道路を走行する場合などが挙げられる。
【0077】
以上説明したように、本実施形態では、上記第1及び第2の各実施形態における効果(1)と同等の効果に加え、以下に示す効果をさらに得ることができる。
(8)車両には、該車両前方を撮像できる撮像装置14が設けられている。そこで、本実施形態では、撮像装置14によって撮像された画像を示す画像データの解析結果に基づき、車両の進行方向に障害物があるか否かが判定される。そして、車両が規定距離K以上走行しても該車両が障害物に接触しないと判定された場合には、第2の条件が成立しているため、小回り制御が必要ないと判断される。その結果、作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更される。そのため、小回り制御の必要のない車両旋回時に、運転手の意図に反して小回り制御が行われることを抑制できる。
【0078】
(9)また、本実施形態では、第2の条件が成立している場合には、車両の直進状態が規定時間Tth以上継続される前に、作動ボタン55がオン状態からオフ状態に自動的に変更される。つまり、第2の条件が成立したか否かを判定しない場合と比較して、作動ボタン55をオン状態からオフ状態に速やかに変更することができる。その結果、運転手の意図に反して小回り制御が行われる可能性をさらに低くすることができる。
【0079】
なお、各実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・各実施形態において、ステップS16,S35,S59の判定処理では、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下であること、及び車体速度VSが基準速度VSth以上であることのうち少なくとも一方が成立した場合に、車両の走行状態が直進状態であると判定するようにしてもよい。また、ステップS16,S35,S59の判定処理では、ステアリング30の操舵角Aの絶対値が基準操舵角Ath以下であるか否かのみを判定してもよいし、車体速度VSが基準速度VSth以上であるか否かのみを判定してもよい。
【0080】
・車両には、車両の幅方向への加速度(以下、「横G」ともいう。)を検出するためのセンサ、即ち横Gセンサを搭載するものがある。こうした車両においては、横Gセンサからの検出信号に基づき検出された横Gが基準横G以下であるか否かを、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定に含ませてもよい。
【0081】
・車両には、車両のヨーレートを検出するためのヨーレートセンサを搭載するものがある。こうした車両においては、ヨーレートセンサからの検出信号に基づき検出された車両のヨーレートが基準ヨーレート以下であるか否かを、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定に含ませてもよい。
【0082】
・車両の車体速度VSは、運転手によるアクセルペダル20の操作量でもあるアクセル開度に応じた速度となる。そのため、アクセル開度センサSE1を用いて検出されたアクセル開度が基準アクセル開度以上であるか否かを、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定に含ませてもよい。
【0083】
・操舵装置の中には、操舵角センサSE2の代わりに操舵トルクを検出するためのトルクセンサを搭載したものもある。こうした車両においては、トルクセンサからの検出信号に基づき検出された操舵トルクに基づき操舵角の推定値を演算し、操舵角の推定値が基準操舵角Ath以下であるか否かを、車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定に含ませてもよい。
【0084】
・第1及び第2の各実施形態において、基準回数Nthを、「1」以上の整数であれば「1」以外の任意の回数(例えば、3回)に設定してもよい。
また、基準回数Nthを、運転手による操作によって任意に変更できるようにしてもよい。
【0085】
・各実施形態において、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが多いほど、基準操舵角Athを大きな値に設定してもよい。この場合、実行回数Nを変数とする一次関数又は二次関数を用いて、基準操舵角Athを実行回数Nに応じて設定してもよい。同様に、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが多いほど、基準速度VSthを低速度に設定してもよい。同様に、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが多いほど、規定時間Tthを短時間に設定してもよい。
【0086】
・第1及び第2の各実施形態において、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nが基準回数Nth以上になったときには、基準操舵角Ath、基準速度VSth及び規定時間Tthのうち少なくとも一つを、実行回数Nに応じた値に設定するようにしてもよい。そして、実行回数Nが、基準回数Nthよりも大きな値に設定された回数判定値になった場合には、車両の走行状態に関係なく、作動ボタン55をオフ状態に自動的に変更してもよい。なお、回数判定値としては、例えば、基準回数NthのM倍(2以上の整数であって、例えば5倍)の値であることが好ましい。
【0087】
・各実施形態において、基準操舵角Ath、基準速度VSth及び規定時間Tthのうち少なくとも一つを、作動ボタン55がオン状態になってからの小回り制御の実行回数Nに関係なく一定値としてもよい。
【0088】
・第3の実施形態において、ステップS58,S59,S60の各処理を省略してもよい。このように構成した場合、第2の条件が成立すると、オン状態にあった作動ボタン55がオフ状態に自動的に変更される。一方で、第2の条件が成立しない場合には、オン状態にある作動ボタン55が自動的にオフ状態に変更されることはない。
【0089】
・各実施形態において、車両の走行状態が直進状態であると判定された場合には、直進状態で車両が走行する走行距離を、継続時間Tの代わりに取得してもよい。そして、走行距離が規定距離以上になった場合に、第1の条件が成立していると判定してもよい。
【0090】
なお、規定距離を、走行する車両の車体速度VSが高速であるほど大きな値に設定してもよい。こうした場合、第1の実施形態では、規定距離は、実行回数N及び車両の車体速度VSに基づき設定されることになる。ちなみに、規定距離を実行回数Nに応じた値に設定する場合、規定距離は、実行回数Nが基準回数Nth以上である場合には実行回数Nが基準回数Nth未満である場合よりも、短い値に設定される。
【0091】
また、第3の実施形態では、規定距離Kを、車両の車体速度VSに関係なく一定値としてもよい。このように構成しても、規定距離Kの間、車両の直進状態が継続すると推定された場合に、第2の条件が成立していると判定される。
【0092】
・第3の実施形態において、ステップS56では、現時点の車体速度VSで車両を直進走行させても、規定時間Tth以上の間、障害物に車両が接触しないか否かを判定してもよい。そして、この判定結果が肯定(YES)である場合、規定時間の間、車両の走行状態が直進状態であることが継続すると推定される第2の条件が成立したと判定される。
【0093】
・車両には、撮像装置14の代わりに、車両が走行する外部環境を特定するための環境情報を出力する検出装置、例えば、ミリ波レーダーを設けてもよい。この場合、ブレーキ用ECU51では、ミリ波レーダーでの計測結果に基づき第2の条件が成立したか否かが判定される。
【0094】
・第3の実施形態において、車両の走行する外部環境を特定するための環境情報は、小回り制御を必要とするような環境で車両が走行しているか否かを判別できる情報であれば任意の情報であってもよい。例えば、環境情報として、車両に搭載されるナビゲーション装置から車両の走行する道路に関する道路情報を取得してもよい。そして、道路情報に基づき車両の走行する道路を特定し、該特定結果に基づき第2の条件が成立しているか否かを判定してもよい。例えば、小回り制御を必要としない道路(例えば、高速道路)を車両が走行する場合、及びUターンが禁止される道路を車両が走行する場合などには、第2の条件が成立していると判定してもよい。なお、地図情報の取得方法としては、車載のナビゲーション装置に限らず、携帯電話などの移動式情報機器から取得する方法などが挙げられる。
【0095】
・各実施形態において、第1の条件又は第2の条件が成立した場合には、作動ボタン55のオン状態からオフ状態への変更を車両の乗員に促すようにしてもよい。促す方法としては、車載のナビゲーション装置のディスプレイにメッセージを表示させる方法、音声で促す方法などが挙げられる。そして、作動ボタン55をオフ状態に変更するように促された運転手は、その後の車両の走行では小回り制御が必要ないと判断した場合には、オフ状態にするべく作動ボタン55を操作する。その結果、車両の旋回時に小回り制御が運転手の意図に反して実行されることを抑制できる。その一方で、車両の走行中に小回り制御を行う可能性がある場合、運転手は、自身の判断で作動ボタン55をオン状態で維持させる。そのため、車両の旋回時には、運転手の意図に沿って小回り制御を行わせることも可能となる。
【0096】
・各実施形態において、小回り制御の実行時には、車両の旋回方向内側の前輪(右方向に旋回している場合には右前輪)に対して制動力を付与してもよい。
【符号の説明】
【0097】
30…ステアリング、51…制動制御装置としてのブレーキ用ECU(情報取得手段、変更手段、条件設定手段、時間設定手段、舵角設定手段、速度設定手段)、55…操作部としての作動ボタン、A…旋回情報の一例としての操舵角、Ath…基準操舵角、FR,FL…転舵輪としての前輪、K…規定距離、N…実行回数、Nth…基準回数、T…継続時間、Tth…規定時間、VS…旋回情報の一例としての車体速度、VSth…基準速度。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部(55)の操作状態が許可状態である場合には車両の旋回時に旋回方向内側の車輪に制動力を付与させる旋回時制動制御の実行を許可し、前記操作部(55)の操作状態が禁止状態である場合には前記旋回時制動制御の実行を禁止する車両の制動制御装置において、
運転手による車両操作に基づいた情報のうち車両の進行方向を特定可能な進行方向情報(A、VS)、及び車両の走行する外部環境を特定するための環境情報のうち少なくとも一方の情報を取得する情報取得手段(51、S11,S12、S33,S34、S52,S53、S54)と、
前記操作部(55)の操作状態が許可状態である場合に前記情報取得手段(51、S11,S12、S33,S34、S52,S53、S54)によって取得された情報に基づき、規定時間(Tth)又は規定距離(K)の間、車両の走行状態が直進状態であることが継続中であるという第1の条件が成立している場合、又は規定時間(Tth)又は規定距離(K)の間、車両の走行状態が直進状態であることが継続すると推定される第2の条件が成立している場合に、前記操作部(55)の操作状態を許可状態から禁止状態に変更する、又は操作状態を許可状態から禁止状態に変更することを促す変更手段(51、S20、S38、S57)と、を備えることを特徴とする車両の制動制御装置。
【請求項2】
前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記第1の条件又は第2の条件の成立条件を厳しくする条件設定手段(51、S13,S14,S15)をさらに備え、
前記変更手段(51、S20、S38、S57)は、
前記操作部(55)の操作状態が許可状態である場合に前記情報取得手段(51、S11,S12、S33,S34、S52,S53、S54)によって取得される情報と、前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)によって設定された成立条件とに基づき、前記第1の条件又は第2の条件が成立しているか否かを判定し、
前記第1の条件又は第2の条件が成立していると判定した場合には、前記操作部(55)の操作状態を許可状態から禁止状態に変更する、又は操作状態を許可状態から禁止状態に変更することを促すことを特徴とする請求項1に記載の車両の制動制御装置。
【請求項3】
前記変更手段(51、S20、S38、S57)は、
車両の走行状態が直進状態であることの継続時間(T)が前記規定時間(Tth)以上である場合に前記第1の条件が成立していると判定し、
車両の走行状態が直進状態であることが前記規定時間(Tth)以上継続すると推定される場合に前記第2の条件が成立していると判定するようになっており、
前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記規定時間(Tth)を長く設定する時間設定手段(51、S14,S15)を有することを特徴とする請求項2に記載の車両の制動制御装置。
【請求項4】
前記進行方向情報は、車両の転舵輪(FR,FL)の舵角を変更させるために操作されるステアリング(30)の操舵角(A)を含み、
車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定は、前記ステアリング(30)の操舵角(A)の絶対値が基準操舵角(Ath)以下であるか否かを含んでおり、
前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記基準操舵角(Ath)を小さな値に設定する舵角設定手段(51、S14,S15)を有することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の車両の制動制御装置。
【請求項5】
前記進行方向情報は、車両の車体速度(VS)を含み、
車両の走行状態が直進状態であるか否かの判定は、車両の車体速度(VS)が基準速度(VSth)以上であるか否かを含んでおり、
前記条件設定手段(51、S13,S14,S15)は、前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が少ないほど、前記基準速度(VSth)を大きな値に設定する速度設定手段(51、S14,S15)を有することを特徴とする請求項2〜請求項4のうち何れか一項に記載の車両の制動制御装置。
【請求項6】
前記変更手段(51、S38)は、
前記操作部(55)の操作状態が許可状態になってからの前記旋回時制動制御の実行回数(N)が、「1」以上の整数に設定された基準回数(Nth)未満である場合には、前記操作部(55)の操作状態を許可状態で維持する一方、
前記実行回数(N)が前記基準回数(Nth)以上である場合には、前記第1の条件又は第2の条件の成立を契機に、前記操作部(55)の操作状態を許可状態から禁止状態に変更する、又は操作状態を許可状態から禁止状態に変更することを促すことを特徴とする請求項1に記載の車両の制動制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−43598(P2013−43598A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183939(P2011−183939)
【出願日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【出願人】(301065892)株式会社アドヴィックス (1,291)
【Fターム(参考)】