説明

車両の制御装置および制御システム

【課題】ニュートラル制御実行時におけるクラッチ板の磨耗を抑制する。
【解決手段】ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、クラッチ押付圧力を徐々に減少させ、その後、クラッチ係合状態判定手段74によって発進クラッチ36が所定の係合状態となったと判定された場合に、そのときのクラッチ押付圧力の値を維持する。加えてさらに、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、アイドル回転速度目標値を下げる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置及び制御方法に関し、特に、停車時に行うニュートラル制御を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オートマチックトランスミッション搭載車(AT車)や無段変速機搭載車(CVT車)などの、トルクコンバータ及び自動変速機を搭載した車両においては、車両が停車状態にあり、かつ、変速機のセレクトレバーを走行レンジ(たとえば、Dレンジ)に入れたままであるときに、自動変速機の発進クラッチをスリップ状態とする、いわゆるニュートラル制御が行われている。ニュートラル制御によって、トルクコンバータをストール状態から開放し、エンジンの負荷を下げ、停車中の燃料消費量を抑制しつつ、かつ、その後運転者がアクセルを踏んだ際には、発進クラッチが速やかに係合することで、遅延がほとんど無い車両の発進を行うことができる。
【0003】
例えば、特許文献1には、エンジンのアイドリング運転を検出するアイドル検出手段と、走行レンジを検出する走行レンジ検出手段と、トルクコンバータの入出力回転数差を検出する回転数差検出手段と、走行レンジでのアイドリング運転中に入出力回転数差がクリープを防止するために必要な所定値となるようにクラッチをスリップ状態にするクラッチ制御手段とを含むクリープ防止装置が開示されている。このクリープ防止装置は、走行レンジ検出手段が走行レンジを検出した場合に、アイドル検出手段がエンジンのアイドリング運転を検出すると、回転数差検出手段はトルクコンバータの入出力回転数の差を検出する。この差が目標値として予め算出された回転数差よりも大きい場合、クラッチ制御回路は、入出力回転数差がその目標値となるようにクラッチをスリップ状態にする。これにより、ニュートラル制御が実行されクラッチは解放されるが、クラッチは完全に解放されていないため、ニュートラル制御が運転者のアクセル操作などにより解除されるとクラッチは速やかに係合して車両は発進する。
【0004】
また、例えば、特許文献2には、車両に搭載された自動変速機を制御する制御装置であって、自動変速機のシフトポジションが前進走行レンジである場合に予め定められた条件が成立すると、トルクの伝達を遮断するように油圧装置から発進クラッチに供給される油圧を低減させるニュートラル制御が実行される制御装置が開示されている。この制御装置は、車両の動力源(たとえばエンジン)への燃料噴射量および吸入空気量のいずれか(以下、本段落では、「燃料噴射量等」という。)を検知するための検知手段と、燃料噴射量等に基づいて、前記発進クラッチの油圧を算出するための油圧算出手段と、算出された油圧を供給するように、油圧装置を制御するための制御手段とを備えている。この制御装置においては、発進クラッチの係合状態の変化は燃料噴射量等に反映されるため、燃料噴射量等に基づいて発進クラッチの油圧を制御することにより、発進クラッチの入出力側がかすかに接触した状態を形成することができる。これにより、動力源は、アイドリング状態を維持するために、燃料を消費して出力を増加する必要がなくなり、その結果、ニュートラル制御の実行時における燃料消費を抑制することができる。
【0005】
さらに、例えば、特許文献3には、車両が停車状態にあり、かつ、変速機のセレクトレバーが走行レンジにあることを少なくとも成立条件に含むニュートラル制御実行条件が成立したか判断する制御装置が開示されている。この制御装置は、ニュートラル制御実行条件が成立したと判断された場合には、エンジン回転速度を所定のアイドル回転速度に制御するアイドル回転速度制御(ISC)を停止し、ISC停止直前のエンジンの吸入空気量を維持する。そして、発進クラッチの油圧を減少させることによるエンジン回転速度の増大率(単位時間当たりの増大量あるいはクラッチ油圧単位減少量当たりの増大量)が所定値よりも小さくなるまで発進クラッチの油圧を減少させていく。そして、エンジン回転速度の増大率が所定値よりも小さくなったら、そのときの発進クラッチの油圧をニュートラルアイドル油圧(N−Idle油圧)として維持し、かつ、エンジンのISCを再開する。このことにより、発進クラッチの油圧を減少させていく際のエンジン回転速度の増大率に基づき発進クラッチがわずかに係合した状態(N−Idle状態)が判断される際にエンジンのISCが予め停止されていることとなる。よって、クラッチ油圧を減少させたことによるエンジンの回転速度の変化が明確になり、N−Idle状態が精度よく判断されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開昭60−220260号公報
【特許文献2】特開2004−162845号公報
【特許文献3】特開2008−75709号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献に開示されたニュートラル制御装置においては、いずれも発進クラッチをスリップ状態にするものである。したがってスリップ状態の間はクラッチ板が少しずつ磨耗するため、長期にわたって多頻度にニュートラル制御状態に入るとクラッチ板の機能を損なうこととなる。このため、長寿命のニュートラル制御装置を実現するのが容易でないという問題点があった。
【0008】
本発明は上述した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ニュートラル制御実行時におけるクラッチ板の磨耗を抑制することができる車両の制御装置および車両の制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、エンジンの回転が、トルクコンバータと、発進クラッチを有する自動変速機と、を介して駆動輪へと伝達される車両における制御装置であって、エンジン回転検出手段と、少なくともアクセルペダルがOFFとされていることを成立条件に含むアイドリング運転実行条件が成立している期間中、アイドル回転速度目標値を設定しこれを目標として、エンジン回転検出手段によって検出されるエンジンの回転速度を制御することが可能な、アイドリング運転制御手段と、クラッチ押付圧力の値を決定するとともに、クラッチ押付圧力が発進クラッチに付与されるように制御するクラッチ押付圧力制御手段と、発進クラッチの係合状態を判定するクラッチ係合状態判定手段と、車両が停車状態にあり、自動変速機のセレクトレバーが走行レンジにあり、車両のブレーキペダルがONとされており、かつアクセルペダルがOFFとされていることを成立条件に含むニュートラル制御実行条件が成立したか判定するニュートラル制御実行条件判定手段を備え、クラッチ押付圧力制御手段は、アイドリング運転制御手段による制御が実行されている状態であって、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、クラッチ押付圧力を徐々に減少させ、その後、クラッチ係合状態判定手段によって発進クラッチが所定の係合状態となったと判定された場合に、そのときのクラッチ押付圧力の値を維持し、アイドリング運転制御手段は、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、アイドル回転速度目標値を下げることを特徴とする車両の制御装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
【0010】
すなわち、本発明にかかる車両の制御装置によれば、まず、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、クラッチ押付圧力が徐々に減少させられ、その後、クラッチ係合状態判定手段によって発進クラッチが所定の係合状態となったと判定された場合に、そのときのクラッチ押付圧力の値が維持される、という、ニュートラル制御を実行する。加えてさらに、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、アイドル回転速度目標値が下げられる。このことにより、発進クラッチの摺動速度が低下するので、クラッチ板の磨耗を抑制することができる車両の制御装置の提供が可能になる。
【0011】
また、本発明にかかる車両の制御装置によれば、ニュートラル制御実行時においてエンジン回転速度が低下するため、この間の燃料の消費量が抑制され、燃料効率の向上を実現できる。
【0012】
さらに、本発明にかかる車両の制御装置によれば、ニュートラル制御実行時にエンジン回転速度が低下することで、この間の騒音が低下するため、静寂性の向上を実現できる。
【0013】
また、本発明にかかる車両の制御装置は、ニュートラル制御実行時、すなわちエンジンにかかる負荷が低下する時に、アイドル回転速度目標値が下げられるので、以上のクラッチ板磨耗抑制、燃料効率向上、静寂性向上の効果を確保しつつかつ、エンジンストールの発生のおそれが少なく保たれるという効果を発揮できる。
【0014】
また、本発明において、クラッチ押付圧力制御手段は、アイドリング運転制御手段による制御が実行されている状態であって、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、所定時間経過した後に、クラッチ押付圧力を徐々に減少させることが望ましい。
【0015】
このように制御すれば、ニュートラル制御での、クラッチ板磨耗の特に激しい状態のみの発生頻度が選択的に下げられることとなり、クラッチ板の磨耗の進行がさらに抑制されるという効果を発揮できる。また、クラッチ板係合状態が変わることによるショックの過度に頻繁な発生を抑制でき、乗り心地を向上できる。さらに、上記の燃費向上と静寂性向上とエンジンストール抑制の効果を有効に発揮する場合の、頻度が向上するという効果も有する。
【0016】
また、本発明において、クラッチ押付圧力制御手段によるクラッチ押付圧力の減少が開始されてから所定時間経過した後に、アイドリング運転制御手段がアイドル回転速度目標値を下げることが望ましい。
【0017】
このように制御すれば、クラッチ押付圧力の減少が開始して発進クラッチのスリップが発生しエンジン負荷がある程度低下した後にアイドル回転速度目標値が下げられる場合の、頻度を高くすることとなる。したがって、エンジンストールの発生の抑制を一層確実に確保できる。
【0018】
また、本発明において、車両の制御装置は、タービン回転検出手段をさらに備え、クラッチ係合状態判定手段は、タービン回転検出手段で検出されるタービン回転速度に基づいてクラッチ係合状態を判定することが望ましい。
【0019】
このように制御すれば、トルクコンバータ側クラッチ板の回転状態が、精度良く測定され、したがってクラッチのスリップ開始が鋭敏に検出されるため、クラッチ係合状態の判定がより適切になされる。
【0020】
また、本発明において、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、さらにアイドリング運転制御手段によるエンジン回転速度の制御をオフとし、その後発進クラッチが所定の係合状態となったと判定された場合に、アイドリング運転制御手段によるエンジン回転速度の制御をオンとし、クラッチ係合状態判定手段は、エンジン回転速度に基づいてクラッチ係合状態を判定することが望ましい。
【0021】
このように制御すれば、エンジン回転速度制御オフの間にエンジン回転検出手段からの検出信号に基づいてクラッチの所定の係合状態の検出が行われることができるようになり、タービン回転センサなどのさらなる回転センサが不要とできるという効果を有する。
【0022】
また、本発明によれば、以上に述べたいずれかの車両の制御装置、エンジン、トルクコンバータ及び発進クラッチを有する自動変速機を備えたことを特徴とする車両の制御システムが提供され、上述した問題を解決することができ、さらに、以上に述べたそれぞれの効果を有する車両の制御システムを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両の制御装置を示すブロック図及び該車両の制御システムが搭載される車両の概略図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る車両の制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る車両の制御装置による制御の挙動を説明するための図である。
【図4】本発明の別の一実施形態に係る車両の制御装置を示すブロック図及び該車両の制御システムが搭載される車両の概略図である。
【図5】本発明の別の一実施形態に係る車両の制御装置の制御の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の別の一実施形態に係る車両の制御装置による制御の挙動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について、図1乃至図6を参照しつつ説明する。ただし、以下に説明する部材、配置等は本発明を限定するものではなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変することができるものである。
【0025】
なお、それぞれの図中、同じ符号を付してあるものについては同一の部材が示され、適宜説明が省略されている。
【0026】
<第1の実施形態>
図1乃至3に基づいて、本発明の一実施形態に係る制御装置および制御システムを説明する。
【0027】
図1に、本実施形態にかかる制御装置を含む制御システムのブロック図を示す。本発明が適用される車両は、エンジン10と、トルクコンバータ30、及び、発進クラッチ36を有する、AT、CVTなどの形式の自動変速機34を含む。また、本発明が適用される車両は、エンジンコントローラ(以下ECUと記す)50や自動変速機コントローラ(以下TCUと記す)70などの制御装置を含む。本実施形態においては、ECU50とTCU70は別体とされている。また、本実施形態においては、自動変速機がAT形式であるものを例に挙げる。
【0028】
エンジン10の出力は、自動変速機34のトルクコンバータ30、さらに発進クラッチ36を経て、自動変速機34の他のクラッチまたはギヤに伝達され、その後、プロペラシャフト90、ディファレンシャルギア110、車輪駆動軸130などを経て駆動輪150へと伝えられる。
【0029】
ECU50は、エンジン回転センサ12からのエンジン回転速度信号、アクセル操作量センサ200からのアクセルペダル信号、及びその他図示しない水温センサ、スロットルセンサ等の各種センサからの信号の入力を受る。そしてECU50は、これらの検出信号に基づいて、燃料噴射制御、点火時期制御及び吸入空気量制御等のエンジン制御を実行する。本実施形態においては、吸入空気量制御はECU50が電子制御スロットルバルブ駆動モータ16を制御することによってなされる。
【0030】
ECU50は、アイドル回転速度目標値設定手段54およびアイドル回転速度制御手段56を有するアイドリング運転制御手段52を備える。
【0031】
アイドリング運転制御手段52は、エンジン回転センサ12からのエンジン回転速度信号と、アクセル操作量センサ200からのアクセルペダル信号と、の入力を受け、また、TCU70からのニュートラル制御実行条件成立情報の入力を受ける。そして、アイドリング運転制御手段52は、アイドル回転速度目標値を設定しこれを目標として、スロットル開度制御信号を、電子制御スロットルバルブ駆動モータ16に対し出力することによって、アイドリング時の吸入空気量の調節によるエンジンの回転速度の制御を行う。また、アイドリング運転制御手段52は、アイドリング運転制御実行中か否かすなわちアイドル回転速度制御実行中か否かの信号を、TCU70に出力する。
【0032】
さらに詳細には、アイドリング運転制御手段52に備えられたアイドル回転速度目標値設定手段54は、アクセル操作量センサ200からのアクセルペダル信号の入力を受け、また、TCU70に備えられた後述するニュートラル制御実行条件判定手段72からのニュートラル制御実行条件成立情報の入力を受ける。そして、アイドル回転速度目標値設定手段54は、アイドル回転速度目標値の設定を行い、アイドル回転速度目標値情報を、アイドル回転速度制御手段56に対し出力する。
【0033】
また、同じくアイドリング運転制御手段52に備えられたアイドル回転速度制御手段56は、アイドル回転速度目標値設定手段54からのアイドル回転速度目標値情報と、エンジン回転センサ12からのエンジン回転速度信号の入力を受ける。そして、アイドル回転速度制御手段56は、両者を比較し、エンジン回転速度がアイドル回転速度目標値に近づくように、スロットル開度制御信号を、電子制御スロットルバルブ駆動モータ16に対し出力し、吸入空気量を調節する。また、アイドル回転速度制御手段56は、アイドル回転速度制御実行中か否かの情報を、TCU70に備えられたニュートラル制御実行条件判定手段72に出力する。
【0034】
一方、TCU70は、アクセル操作量センサ200からのアクセルペダル信号、ブレーキスイッチ220からのブレーキペダル信号、レンジスイッチ240からの選択レンジ信号、車速センサ260からの車速信号、およびその他図示しない各種センサ(作動油の油温センサ、クラッチ油圧センサ等)からの信号の入力を受け、また、アイドリング運転制御手段52からアイドリング運転制御実行中か否かの信号すなわちアイドル回転速度制御実行中か否かの信号も受ける。そして、TCU70は、これらの信号に基づいて、変速比の切り替え、前後進切り替え、駆動力の伝達遮断等の、自動変速機制御を実行する。なお、駆動力の伝達遮断は、TCU70に備えられたクラッチ押付圧力制御手段76が、クラッチ圧力付与手段38を介して発進クラッチ36のクラッチ押付圧力を制御することによってなされる。また、本実施形態においては、TCU70は、さらに、トルクコンバータ30のタービン回転センサ32からのタービン回転状態信号の入力も受ける。
【0035】
TCU70は、ニュートラル制御実行条件判定手段72、クラッチ係合状態判定手段74、クラッチ押付圧力制御手段76を備える。
【0036】
ニュートラル制御実行条件判定手段72は、アクセル操作量センサ200からのアクセルペダル信号と、ブレーキスイッチ220からのブレーキペダル信号と、レンジスイッチ240からの選択レンジ信号と、車速センサからの車速信号と、ECU50のアイドリング運転制御手段52に備えられたアイドル回転速度制御手段56からのアイドル回転速度制御実行中か否かの信号の入力を受ける。そしてニュートラル制御実行条件判定手段72は、これらの入力により、ニュートラル制御実行条件が成立したか判定し、ニュートラル制御実行条件成立情報を、クラッチ押付圧力制御手段76に対し、また、ECU50のアイドリング運転制御手段52に備えられたアイドル回転速度目標値設定手段54に対し、出力する。
【0037】
クラッチ押付圧力制御手段76は、クラッチ係合状態判定手段74からのクラッチ係合状態情報の入力を受ける。そして、クラッチ押付圧力制御手段76は、目標とするクラッチ係合状態と比較し、クラッチ係合状態が目標の状態に近づくように、クラッチ押付圧力指示信号をクラッチ圧力付与手段76に出力し発進クラッチ36を調節する。また、クラッチ押付圧力制御手段76は、ニュートラル制御実行条件判定手段72からのニュートラル制御実行条件成立情報の入力を受けて、これに基づいて目標とするクラッチ係合状態の設定を変更する。
【0038】
クラッチ係合状態判定手段74は、タービン回転センサ32からのタービン回転状態信号の入力を受け、これに応じてクラッチ係合状態を判定し、クラッチ係合状態情報をクラッチ押付圧力制御手段76に出力する。
【0039】
次に、クラッチ圧力付与手段38は、自動変速機34に備えられており、TCU70からのクラッチ押付圧力指示信号を受信し、これに基づいたクラッチ押付圧力を発進クラッチ36に付与する。クラッチ押付圧力の付与は、本実施形態においては、油圧式であり、図示しない油圧回路と、該回路を制御するリニアソレノイドバルブなどのソレノイドバルブを備える機構によってなされる。この機構は、さらに油圧センサを備え油圧センサ検出値に基づいてソレノイドバルブをフィードバック制御するものであってもよい。
【0040】
なお、自動変速機34における、発進クラッチ36以外の他のクラッチまたはギヤの詳細については、上記の特許文献1乃至3や他の文献などで周知・公知のため、これ以上の説明を省略する。
【0041】
図2に、本発明の実施形態に係る制御装置および制御システムにおいて、実行される制御のフローチャートを示す。
【0042】
ステップ(以下「ステップ」をSと表記する)10にて、TCU70に備えられたニュートラル制御実行条件判定手段72は、アクセルペダル操作の状態、ブレーキペダル操作の状態、レンジ選択の状態、車速、作動油温、クラッチ押付圧力(クラッチ油圧)、エンジン回転速度、エンジン冷却水温、スロットル開度、アイドリング運転制御実行中か否かの状態、などの車両の状態を検出する。本実施形態では、制御装置は、少なくとも、車速センサからの入力より車両が停止状態かどうか、レンジ選択状態が走行レンジにあるかどうか、ブレーキペダルがONとされているかどうか、アクセルペダルがOFFとされているかどうか、および、さらに、アイドリング運転制御実行中か否か、の状態を検出する。
【0043】
なお、アクセルペダルがOFFとされているかどうかの状態の検出は、ニュートラル制御実行条件判定手段72がアクセル操作量センサ200の信号を受信しておこなう例を示す。が、その他、アクセル操作量センサ200の信号をECU50のアイドル回転速度制御手段56がアイドリング運転実行条件成立判断のために受信し、アクセルペダル操作状態を判断し、その後その結果をTCU70のニュートラル制御実行条件判定手段に送信する、というように構成してもよい。
【0044】
次に、ニュートラル制御実行条件成立を判定するS30にて、TCU70に備えられたニュートラル制御実行条件判定手段72は、ニュートラル制御を実行する条件が成立しているか否かを判断する。この判断は、車両が停車状態と判断されており、選択レンジが走行レンジであり、ブレーキペダルがONとされており、アクセルペダルがOFFとされており、アイドリング運転制御実行中であること、を成立条件に含む。なお、このほかの車両の状態、例えば、エンジン回転速度、スロットル開度、など、をも合わせて判定されるものであってもよい。
【0045】
S30の次には、所定時間経過させるステップS50を有している。S50が有ると、後述するように、クラッチ板磨耗の進行の抑制、ショックの過度に頻繁な発生の抑制、および、燃費向上と静寂性向上とエンジンストール抑制効果の高頻度な実現、を達成できる、いっそう望ましい制御装置を実現できる。
【0046】
所定時間経過させるステップS50にて、TCU70に備えられたニュートラル制御実行条件判定手段72は、S30がYES判定となった後に所定時間経過するまで待機する。S50は、より詳細には、まず、所定時間経過判定ステップS52で、待機時間に相当する変数T1が予め定められた所定時間1を越えたかどうか比較される。S52がNO判定の場合は一定時間待機ステップS54に進み、変数T1に微小時間△tが加算され、再びS52に戻る。S52がYES判定の場合には、次のステップに進む。
【0047】
S50ではS52でT1が所定時間1を超えるとYES判定となり次ステップに進むが、所定時間1は、本実施形態では、予め定められた一定値とされている。所定時間1としては、渋滞時等短い時間間隔で頻繁に発進停止を繰り返す場合に過度に頻繁に発進クラッチの係合状態が変化してしまうほど短くない時間であり、かつ、停車状態の際にニュートラル制御が実行することがほとんどなくなってしまうほど長くない時間の範囲で適宜選定されるのが好ましい。
【0048】
また、S50ではS54でT1が微小時間△t加算されるが、微小時間△tとしては、△tが1回加算される時間が渋滞時等の発進停止を繰り返す場合の1回あたりの停止時間として典型的な時間に匹敵するほど長くない時間であり、かつ本実施形態の制御が実行される演算装置にとって演算負荷が過大になるほど短くない時間である範囲で、適宜選定されるのが好ましい。
【0049】
次のステップとして、クラッチ押付圧力を徐々に減少させるステップS90に進む。S90では、クラッチ押付圧力制御手段76が、クラッチ押付圧力(フィードバック制御を行うクラッチ圧力付与手段を備える場合には、圧力の目標値)に相当する変数Pcから、微小圧力△Pを差し引く。そして、発進クラッチ36の係合状態判定ステップS110に進み、ここでは、クラッチ係合状態判定手段74が、発進クラッチ36の係合状態が、所定の係合状態となったかどうかを判定する。
【0050】
本実施形態では、発進クラッチ36の係合状態の判定は、タービン回転センサ32から入力されるタービン回転速度Ntを所定値と比較することによって行われている。すなわち、クラッチ押付圧力が低下することで、発進クラッチ36でのすべりが増大し、トルクコンバータ30のタービンが停止状態から回転を始め、その回転速度が所定値以上になったかどうかが判定される。S110がNO判定であれば、S90に戻り、Pcからさらに△Pが差し引かれ、再びS110に戻る。
【0051】
微小圧力△Pとしては、△Pが1回差し引かれることによる発進クラッチの係合状態の変化が、クラッチ板が完全に締結しておりすべりの無い状態から中間的な係合状態を経ずにクラッチ板が完全に離れた状態に移行してしまうほど大きくはない値であり、かつ、本実施形態の制御が実行される演算装置にとって演算負荷が過大となるほど多くの計算回数を必要とするほどには小さくない値である範囲で、適宜選定されるのが好ましい。
【0052】
発進クラッチ36が所定の係合状態となったと判定される場合としては、発進クラッチ36が接触しているものの発進クラッチ36におけるトルク伝達が小さいまたは無い状態であると判定された場合が好ましい。このような場合はトルクコンバータ30の滑りによる損失が小さいからである。なお、本実施形態では、発進クラッチ36におけるトルク伝達が小さいまたは無い状態となると、発進クラッチ36での摩擦によるひきずりが無いため、発進クラッチ36のトルクコンバータ側クラッチ板と同じ速度で回転するトルクコンバータ30のタービンと、エンジン10と同じ速度で回転するトルクコンバータ30のポンプインペラとの間での滑りが無く、タービン回転速度とエンジン回転速度とを比較してもほぼ同じとなる。発進クラッチ36が所定の係合状態となったと判定される場合としては、このような状態となったかどうかが判定されるのが好ましい。なお、この説明における比較するべきエンジン回転速度としては、本実施形態のS110として挙げたように、下げた後のアイドル回転速度目標値の値を、そのときのエンジン回転速度と等しいとみなして、これをタービン回転速度と比較する所定値Ntとすると好適である。
【0053】
なお、S110の処理としては、本実施形態に挙げた場合以外の例として、例えば、エンジン回転センサ12の信号を取り込んで、タービン回転センサ32の信号と比較するものであってもよい。S110を、タービン回転速度とエンジン回転速度の両者に基づいた発進クラッチ36の係合状態判定ステップとすると、係合状態判定の精度がいっそう優れた制御装置を実現できる。
【0054】
なお、S110としては、さらに別の例として、タービン回転センサの信号が用いられないようなものであってもよい。例えば、クラッチ係合状態判定手段74が理論計算値などをベースにしたクラッチ押付圧力(フィードバック制御を行うクラッチ圧力付与手段を備える場合には、目標油圧)の値に対するクラッチ係合状態の情報のマップを予め備えており、S110では、クラッチ係合状態判定手段74が、クラッチ押付圧力制御手段からクラッチ押付圧力の情報を得て、クラッチ押付圧力の情報とこのマップ情報に基づいて判定するようなものでもよい。あるいは、他の例として、後述する第2の実施形態で説明するようなエンジン回転速度に基づいて判定するようなものでもよい。
【0055】
次に、S110がYES判定であれば、クラッチ押付圧力の値を維持するステップS130に進み、そのときのクラッチ押付圧力の値を維持する。すなわち、クラッチ押付圧力制御手段76は、Pcの値としてそのときのPcの値を維持する。
【0056】
一方、本発明においては、S50で所定時間経過させた後に、S90に進むと同時に、アイドル回転速度目標値を下げるステップS150へと至る流れのフローに沿っても進む。
【0057】
なお、本実施形態では、S150の前に、クラッチ押付圧力減少開始後所定時間経過させるステップS70を有している。S70は、無くても本発明の効果を発揮できるが、有ると、後述するように、エンジンストールの発生の抑制を一層確実に確保でき、いっそう望ましい制御装置を実現できる。
【0058】
本実施形態では、S50で所定時間経過させた後、次に、S70にて、TCU70に備えられたニュートラル制御実行条件判定手段72は、所定時間経過するまで待機する。S70は、より詳細には、まず、所定時間経過判定ステップS72で、待機時間に相当する変数T2が予め定められた所定時間2を越えたかどうか比較される。S72がNO判定の場合は一定時間待機ステップS74に進み、変数T2に微小時間△tが加算され、再びS72に戻る。S72がYES判定の場合には、次のステップに進む。
【0059】
S70ではS72でT2が所定時間2を超えるとYES判定となり次ステップに進むが、所定時間2は、本実施形態では、予め定められた一定値とされている。所定時間2としては、クラッチ押付圧力が低下し始めてから発進クラッチ36が実際にすべり始めるまでの時間より長い時間であり、かつ、停車状態の際にニュートラル制御が実行することがほとんどなくなってしまうほど長くない時間の範囲で適宜選定されるのが好ましい。
【0060】
また、S70ではS74でT2が微小時間△t加算されるが、微小時間△tとして好ましい値は、S54と同様である。
【0061】
S70の後に、アイドル回転速度目標値を下げるステップS150に進む。S150では、ECU50に備えられたアイドル回転速度目標値設定手段54は、アイドル回転速度目標値を下げる。より詳細には、アイドル回転速度目標値を表す変数Ne_tarに、通常のアイドル回転速度より低いアイドル回転速度目標値Ne_tar_newを代入する。
【0062】
S150ではアイドル回転速度目標値Ne_tarに代入されるNe_tar_newの回転速度値は、通常のアイドル回転速度より低い値であるが、S130で維持されるクラッチ押付圧力Pcの値での発進クラッチ36の係合状態(つまり所定の係合状態)の際にエンジンにかかる負荷の下でエンジンストールを起こすほど低くはない値の範囲で適宜選定されるのが好ましい。
【0063】
以上、図2に示された本発明の実施形態に係る制御装置および制御システムにおいて実行される制御のフローチャートを説明した。なお、本発明においては、図示しないが、S30でニュートラル制御実行条件が成立した後、S50で所定時間経過させた後、次に、ニュートラル制御解除条件成立監視フローが別に実行され、ニュートラル制御解除条件が成立するか常に監視する。たとえばブレーキペダルがOFFとされるなど、ニュートラル制御解除条件が成立したことをこの監視フローが検知すると、図2のフローはその時点で中断され、ニュートラル制御は解除され通常のエンジン制御および通常の自動変速機制御に戻る。本実施形態においては、ニュートラル制御解除条件は、車両の停車状態、走行レンジの選択、ブレーキペダルのON、アクセルペダルのOFF、アイドル回転速度制御ON、のうちどれか1つでも成立しなくなった場合、としている。
【0064】
図3に、本発明の実施形態に係る制御を表すタイムチャートを示す。なお、図中の記号を以下に説明する。ISC(Idle Speed Control)は、アイドル回転速度制御手段による制御が実行されているかどうか、すなわちONまたはOFF、の状態を示す。Pcはクラッチ押付圧力を表す。Ne_tarはアイドル回転速度目標値を表す。Neはエンジン回転センサ12で検出されるエンジン回転速度(実エンジン回転速度)を表す。Ntはトルクコンバータ30のタービン回転センサ32で検出されるタービン回転速度を表す。
【0065】
まず図の時刻t0の時点でニュートラル制御実行条件が成立する。このときは、まず、停車状態であるので、駆動輪150は回転できず、従って、駆動輪150に接続されている発進クラッチ36の駆動輪側クラッチ板は回転できない。さらに、発進クラッチ36が係合状態にあるので、発進クラッチ36のトルクコンバータ側クラッチ板も回転できない。
【0066】
時刻t0でニュートラル制御実行条件が成立した後は、S50により、所定時間経過するまで待機した後、時刻t1の時点でクラッチ押付圧力Pcが徐々に減少し始める。すると、発進クラッチ36がすべり始め、このため発進クラッチ36のトルクコンバータ側が回転可能となり、したがって、発進クラッチ36のトルクコンバータ側と接続されている、トルクコンバータ30のタービンが、徐々に回転可能となる。トルクコンバータ30のポンプインペラはエンジン10に接続されており回転しているため、タービンもポンプインペラに引きずられ徐々に回転を始める。
【0067】
また、同時に、時刻t1から、S70により所定時間経過するまで待機し、その後、時刻t2で、S150により、アイドル回転速度目標値Ne_tarに、通常のアイドル回転速度より低いアイドル回転速度Ne_tar_newが代入される。すると、エンジン回転速度Neは、アイドル回転速度制御手段56により、通常のアイドル回転速度目標値より低いこのときのアイドル回転速度目標値Ne_tar_newに近づくように制御されるため、低下し、やがてNe_tar_newに到達して安定する。
【0068】
その後、時刻t3で、クラッチ押付圧力の変更が完了する。すなわち、S110により、タービン回転速度Ntが所定値になったと判定され、S130で、クラッチ押付圧力Pcの値が維持される状態になる。従って、発進クラッチ36の係合状態も一定の状態に維持され、発進クラッチ36のトルクコンバータ側のクラッチ板の回転速度も一定となるので、これと同じ速度で回転するトルクコンバータのタービンの回転速度Ntも一定の値に維持されるようになる。
【0069】
その後、時刻t4で、ニュートラル制御解除条件成立監視フローがニュートラル制御解除条件成立を検知すると、ニュートラル制御は解除される。すなわち図2のニュートラル制御のフローはその時点で中止され、クラッチ押付圧力Pcが通常の値に戻され、よって発進クラッチ36が係合状態に戻されるため、これによりタービン回転が停止し、また、アイドル回転速度目標値も通常の値に戻され、これによってエンジン回転速度Neも通常のアイドル回転速度に戻る。
【0070】
なお、t1、t2、t3の時点より前にニュートラル制御解除条件成立監視フローがニュートラル制御解除条件成立を検知した場合にも、その時点でニュートラル制御が解除される。すなわち図2のニュートラル制御のフローはその時点で中止され、クラッチ押付圧力Pcが通常の値に戻され、これによってタービン回転が停止し、また、アイドル回転速度目標値も通常の値に戻され、これによってエンジン回転速度Neも通常のアイドル回転速度に戻る。
【0071】
以上説明した本発明の実施形態によると、まず、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、クラッチ押付圧力が徐々に減少させられ、その後、クラッチ係合状態判定手段74によって発進クラッチ36が所定の係合状態となったと判定された場合に、そのときのクラッチ押付圧力の値が維持される、という、ニュートラル制御を実行する。加えてさらに、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、アイドル回転速度目標値が下げられる。すると、ニュートラル制御実行時にエンジン回転速度を下げない従来の技術と比べ、ニュートラル制御実行時にエンジン回転速度(実エンジン回転速度)が下がる。従って、エンジン回転にひきずられトルクコンバータ経由で駆動力を伝達されて回転するためエンジン回転速度に依存した回転速度で回転する発進クラッチ36のトルクコンバータ側クラッチ板の回転速度も下がる。このことにより、停止している発進クラッチ36の駆動輪側クラッチ板との間の摺動速度が低下するので、クラッチ板の磨耗を抑制することができる。
【0072】
また、本発明の実施形態によると、ニュートラル制御実行時においてエンジン回転速度が低下するため、この間の燃料の消費量が抑制され、燃料効率の向上を実現できる。
【0073】
さらに、本発明の実施形態によると、ニュートラル制御実行時にエンジン回転速度が低下することで、この間の騒音が低下するため、静寂性の向上を実現できる。
【0074】
また、本発明の実施形態では、ニュートラル制御実行時、すなわち発進クラッチのトルクコンバータ側クラッチ板が回転しており、トルクコンバータの入力と出力の回転速度差が発進クラッチ締結時に比べ小さく、よってトルクコンバータ内での回転速度差吸収の際の反力としてエンジンにかかる負荷が低下している時に、アイドル回転速度目標値が下げられる。一般には、エンジン負荷を保ったままアイドル回転速度の低下がなされると、エンジンストールの発生可能性が高くなる。しかし、本発明では、エンジン負荷が下がるニュートラル制御実行時においてアイドル回転速度目標値の低下がなされるので、回転速度目標値の低下によってエンジン回転速度の低下がなされてもエンジンストール発生可能性の上昇が抑制される。すなわち、クラッチ板磨耗抑制、燃料効率向上、静寂性向上の効果を確保しつつかつ、エンジンストールの発生のおそれが少なく保たれるという効果を発揮できる
【0075】
また、本発明の実施形態によると、エンジン10のアイドル回転速度目標値が下げられることに加え、さらに、クラッチ押付圧力制御手段76は、アイドリング運転制御手段52による制御が実行されている状態であって、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、所定時間経過した後に、クラッチ押付圧力を徐々に減少させる制御を採用している。
【0076】
車両の運転において、渋滞時等には、短い時間間隔で頻繁に発進停止を繰り返す場合が良く見られる。このような運転状態においては、実質的な停車状態である時間が比較的短いため、クラッチ押付圧力が下がりきっていないため面圧が相対的に高くクラッチの磨耗が激しい状態の、占める時間の比率が高い。本発明の実施形態の所定時間経過後にクラッチ押付圧力が減少する制御によって、このような短時間の停車を頻繁に含む運転状態の際に特に、クラッチ押付圧力の減少によるクラッチ板スリップが始まるよりも前に、ニュートラル制御実行条件の成立が解除される、という場合が多くなる。これは、ニュートラル制御で面圧が相対的に高くクラッチ板磨耗が激しい状態についての発生頻度のみが選択的に下げられることを意味するため、すなわちクラッチ板の磨耗の進行が抑制されるという効果を発揮できる。また、本発明の実施形態の所定時間経過後にクラッチ押付圧力が減少する制御によると、渋滞時等の短い時間間隔で頻繁に発進停止を繰り返す場合にクラッチ板のスリップの発生頻度が下げられることとしているため、クラッチ板係合状態が変わることによるショックの過度に頻繁な発生を抑制でき、乗り心地を向上できる。さらにまた、短い時間間隔で頻繁に発進停止を繰り返す場合は、実質的な停車状態の時間が短いため、おのおのの停車時間をみると、その時間内にエンジン回転速度も十分低下しきっておらず、燃料効率向上、静寂性向上、エンジンストール抑制等の効果もまだ十分発揮されていない場合が多い。本発明の実施形態の所定時間経過後にクラッチ押付圧力が減少する制御によると、これらの効果があまり発揮されない場合に選択的に高頻度でニュートラル制御が解除されるようにすることができ、結果、上記の燃費向上と静寂性向上とエンジンストール抑制の効果を有効に発揮する場合の、頻度が向上するという効果も有する。
【0077】
また、本発明の実施形態によると、さらに、クラッチ押付圧力制御手段76によるクラッチ押付圧力の減少が開始されてから所定時間経過した後に、アイドリング運転制御手段52がアイドル回転速度目標値を下げる制御を採用している。
【0078】
これにより、クラッチ押付圧力の減少が開始してクラッチのスリップが発生しエンジン負荷がある程度低下した後にアイドル回転速度目標値が下がる、という場合の、頻度を高くすることとなる。したがって、エンジンストールの発生の抑制を一層確実に確保できる。
【0079】
また、本発明の実施形態においては、クラッチ係合状態判定手段74がトルクコンバータ30のタービン回転センサ32で検出されるタービン回転速度に基づいてクラッチ係合状態を判定するようにされている。
【0080】
タービン回転センサ32で検出されるタービン回転速度に基づいてクラッチ係合状態が判定されることによって、タービンに直結されているなど通常タービン回転状態と密接に関連しているトルクコンバータ側クラッチ板の回転状態が、精度良く測定され、したがってクラッチのスリップ開始が鋭敏に検出されるため、クラッチ係合状態の判定がより適切になされる。
【0081】
なお、本発明の実施形態において、クラッチ係合状態判定手段74は、さらに、エンジン回転速度にも基づいてクラッチ係合状態を判定してもよい。タービン回転速度に加えさらにエンジン回転速度にも基づいてクラッチ係合状態を判定することにより、発進クラッチ36の係合状態を常により精度良く検出可能となり、ニュートラル制御の的確性が向上できる。
【0082】
<第2の実施形態>
図4乃至6に基づいて、本発明の別の実施形態に係る制御装置および制御システムを説明する。なお、以下では、上記実施形態と本実施形態との相違点のみを説明し、共通点については省略する。
【0083】
図4に、本実施形態にかかる制御装置を含む制御システムのブロック図を示す。
【0084】
本実施形態を表す図4では、タービン回転センサは備えられておらず、したがってタービン回転速度信号のクラッチ係合状態判定手段74への信号伝達もなされない。本実施形態では、クラッチ係合状態判定手段74は、エンジン回転センサからのエンジン回転速度情報に基づいてクラッチ係合状態を判定する。
【0085】
なお、クラッチ係合状態判定手段74がエンジン回転速度情報を得る方法としては、エンジン回転センサから信号の入力を受ける以外に、例えば、クラッチ係合状態判定手段が振動センサをもち、エンジン回転による振動を検出し判定に用いる等、種々改変可能である。
【0086】
また、ニュートラル制御実行条件判定手段72は、ニュートラル制御実行条件が成立したか判定し、ニュートラル制御実行条件成立情報を、クラッチ押付圧力制御手段76と、ECU50のアイドリング運転制御手段52に備えられたアイドル回転速度目標値設定手段54の他に、ECU50のアイドリング運転制御手段52に備えられたアイドル回転速度制御手段56に対しても、出力する。
【0087】
図5に、本発明の実施形態に係る制御装置および制御システムにおいて、実行される制御のフローチャートを示す。本実施形態を表す図5では、上記第1の実施形態と異なり、ニュートラル制御実行条件成立の後所定時間経過させるS50の後に、アイドリング運転制御停止ステップであるS170が設けられている。S170では、アイドリング運転制御手段52のアイドル回転速度制御手段の制御が停止される。
【0088】
また、発進クラッチの係合状態判定ステップS110の内容が第1の実施形態と異なり、エンジン回転速度に基づいて、例えば本実施形態では、クラッチ押付圧力を減少させることによるエンジンの回転速度の増大率を所定値と比較することによって行われる。より詳細には、クラッチ押付圧力が減少すると発進クラッチ36でのすべりが増大しトルクコンバータのタービンが回転し始めるが、本実施形態の場合は、アイドル回転速度制御が停止されているため、発進クラッチ36でのすべりの増大はエンジンへの負荷の低下となり、アイドル回転速度制御が停止されており吸入空気量が一定の状態の下ではエンジン回転速度が増大する。しかし、クラッチ押付圧力の減少に伴うエンジン回転速度の増大は、ニュートラル制御に好適な状態である発進クラッチでの伝達可能トルクがゼロに近い状態に近づくにつれ、増大率が低下する。このことにより、本実施形態では、その前のステップであるS90でクラッチ押付圧力Pcを微小圧力△P減少させることによって起こるエンジン回転速度の変化量△Neを、所定値と比較し、△Neが所定値以下となったら発進クラッチ36が所定の係合状態となったと判定する内容となっている。
【0089】
なお、S110の内容としては、本実施形態の場合の他にも、例えば、エンジン回転速度Neが所定値以上となったら発進クラッチ36が所定の係合状態となったと判定する等であってもよく、エンジン回転速度に基づいて判定する方法として種々改変可能である。
【0090】
また、さらに、クラッチ押付圧力を維持するステップS130の後に、アイドリング運転制御再開ステップS190が設けられている。S190では、アイドリング運転制御手段52のアイドル回転速度制御手段の制御が再開される。
【0091】
なお、本実施形態においても、図示しないが、S30でニュートラル制御実行条件が成立した後、S170でアイドリング運転が停止すると、次に、ニュートラル制御解除条件成立監視フローが別に実行され、ニュートラル制御解除条件が成立するか常に監視する。ただし、上記第1の実施形態と異なり、本実施形態の場合は、ニュートラル制御解除条件には、アイドル回転速度制御がONかOFFかの条件は含まれない。
【0092】
図6に、本発明の実施形態に係る制御を表すタイムチャートを示す。
【0093】
まず図の時刻t0の時点でニュートラル制御実行条件が成立する。このときは、上記第1の実施形態と同じく、まず、停車状態であるので、駆動輪150は回転できず、従って、駆動輪150に接続されている発進クラッチ36の駆動輪側は回転できない。さらに、発進クラッチ36が係合状態にあるので、発進クラッチ36のトルクコンバータ側クラッチ板も回転できない。
【0094】
時刻t0でニュートラル制御実効条件が成立した後は、S50により、所定時間経過するまで待機した後、時刻t1の時点で、本実施形態の場合は、まず、S170により、ISCがOFFとされる。すなわち、アイドル回転速度制御手段56によるアイドル回転速度制御が停止される。また、S90により、クラッチ押付圧力Pcが徐々に減少し始める。すると、発進クラッチ36がすべり始め、トルクコンバータ30のタービンが回転し始める。なお、トルクコンバータのタービンが回転し始めると、トルクコンバータの入力側と出力側との間で吸収される回転速度差が減少するので、エンジンにかかる負荷も減少するが、本実施形態の場合は、アイドル回転速度制御が停止しているので、エンジン回転速度Neも負荷の低下に伴い上昇し始める。
【0095】
次に、時刻t1からS70により所定時間経過するまで待機した後時刻t2で、S150により、アイドル回転速度目標値Ne_tarに、通常のアイドル回転速度より低いアイドル回転速度目標値Ne_tar_newが代入される。ただし、アイドル回転速度制御手段56が停止しているので、この変更はこの時点ではエンジン回転速度Neに反映されず、Neは引き続き上昇を続ける。
【0096】
その後、時刻t3で、クラッチ押付圧力の変更が完了する。すなわち、S110により、エンジン回転速度の増大量△Neが所定値になったと判定され、S130で、クラッチ押付圧力Pcの値が維持される状態になるが、本実施形態の場合は、この後、さらに、ISCがONとされる。すなわち、アイドル回転速度制御手段56によるアイドル回転速度制御が再開される。このことによってエンジン回転速度は、通常のアイドル回転速度目標値より低い、このときのアイドル回転速度目標値Ne_tar_newに向けて、低下していく。また、それに伴い、エンジンの回転によるポンプインペラの回転につられて回転しているタービンの回転速度も低下していく。そしてその後、エンジン回転速度、タービン回転速度は、一定値となる。
【0097】
以上、説明した本発明の実施形態によると、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、さらにアイドリング運転制御手段による前記エンジン回転速度の制御をオフとし、また、その後発進クラッチが所定の係合状態となったと判定された場合に、アイドリング運転制御手段によるエンジン回転速度の制御をオンとし、一方、クラッチ係合状態判定手段は、エンジン回転速度に基づいてクラッチ係合状態を判定する。
【0098】
エンジン回転速度の制御がオフとされ、その後クラッチが所定の係合状態となったと判定された場合にエンジン回転速度制御がオンとされると、このエンジン回転速度制御オフの間はエンジン回転速度はエンジン負荷の大きさに依存して変動する。具体的にはクラッチがスリップ開始しエンジン負荷が減少すると、エンジン回転速度は制御されていないため、負荷減少に対応する分エンジン回転速度が上昇する挙動となる。このエンジン回転速度制御オフの間にエンジン回転検出手段からの検出信号に基づいてクラッチの所定の係合状態の検出が行われることにより、タービン回転センサを用いなくても、ニュートラル制御に好適な発進クラッチでの伝達可能トルクがゼロに近い状態が精度よく検出され、タービン回転センサなどのさらなる回転センサが不要とできるという効果を有する。
【0099】
なお、以上の第1および第2の実施形態において、制御装置としては、ECUとTCUが別体であり、本発明の制御装置の一部分がECUに備えられており、別の部分がTCUに備えられている実施形態を説明したが、ECUとTCUが一体でありそこに本発明の制御装置を備える構成であっても、あるいは、本発明の制御装置を他のコントローラと別に独立して設けても、あるいは全ての部分をECUと一体に、またはTCUと一体に構成してももちろん良いものであり、その他本発明の構成を備える制御装置の場所は種々改変可能である。
【0100】
また、以上の第1および第2の実施形態においては、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に所定時間経過後にクラッチ押付圧力が徐々に減少する制御における所定時間、および、クラッチ押付圧力の減少が開始されてから所定時間経過後にアイドル回転速度目標値が下げられる制御における所定時間の例として、予め定められた一定の時間である例を説明したが、その他に、たとえば他の検出信号に依存して定められた時間であってもよい。例えば、環境温度、エンジン冷却水温に依存して、あるいは、エアコン等補機の運転有無によって、アイドル回転速度目標値が変わりうるエンジン制御を行う車両においては、そのときに通常アイドル回転速度目標値として設定される値に応じて所定時間が可変とされているものであってもよい。
【0101】
また、以上の第1および第2の実施形態において、ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に所定時間経過させるステップであるS50が有る場合を説明したが、S50は無くてもよい。また、クラッチ押付圧力の減少が開始されてから所定時間経過させるステップであるS70が有る場合を説明したが、S70は無くてもよい。
【0102】
また、以上の第1および第2の実施形態においては、アイドリング運転時エンジン回転速度制御を吸入空気量の調節によって行うが、この吸入空気量の調節手段として、電子制御スロットルバルブを備え、電子制御スロットルバルブバルブの駆動モータを制御することによってなされる例を説明したが、その他、メカ式(ワイヤー式など)のスロットルバルブを備えるがワイヤーの調節が電気的になされるもの、あるいは、アイドリング運転時に用いられるパイパス流路とその途中にバイパス量調整バルブ(Idle Speed Controlバルブ=ISCバルブ)を、吸入空気通路においてスロットルを迂回するように備え、このISCバルブが電動式であり、その駆動モータが電気的に調節されるもの、さらにはISCバルブがメカ式(ワイヤー式など)でありたとえばワイヤーの調節が電気的になされるものであってももちろん良いのであり、その他吸入空気量を制御装置が制御できるものに種々改変可能である。
【0103】
また、以上の第1および第2の実施形態においては、クラッチ圧力付与手段としては油圧を用いたものを説明したが、その他、電磁クラッチにおける電磁力による圧力付与を行うものであってもよく、クラッチに付与する圧力を調節できるものに種々改変可能である。
【0104】
また、以上の第1および第2の実施形態においては、トルクコンバータにロックアップクラッチが備えられているものであっても無いものであっても、どちらでもよい。
【0105】
以上の第1および第2の実施形態において説明した、アイドリング運転制御手段、アイドル回転速度目標値設定手段、アイドル回転速度制御手段、ニュートラル制御実行条件判定手段、クラッチ押付圧力制御手段、クラッチ係合状態判定手段、は、各々が、コントローラのそれぞれの機能であり、これらの機能は、本詳細な説明では、TCU内に一体に備えられた実施形態を挙げたが、その他、その機能を持つ機能部(例えば回路やユニット)として別々に設けられておりこれらが通信等で情報をやり取りしつつ本発明のフローチャートを実行するものであっても良く、あるいは、例えば、これら複数の機能のすべてまたは一部が、それぞれ、例えばソフトウェア上のプログラムが実行されること等によって、一のCPUや回路やユニット上で本発明以外の他の機能と同時に実現される形態であっても、もちろん良いものである。
【0106】
また、第1および第2の実施形態においては、アクセルペダルOFF情報は、アクセル操作量センサからニュートラル制御実行条件判定手段に直接入力されても良いが、アイドリング運転制御手段経由でニュートラル制御実効条件判定手段にもたらされてもよい。例えば、アイドリング運転制御のアイドル回転速度制御手段のON条件にアクセルペダルOFFが含まれている場合、アイドル回転速度制御手段がONとなっていることをニュートラル制御実行条件判定手段が検出することによって、間接的にアクセルペダルOFFを検出しても、もちろんよいのである。
【0107】
なお、アイドリング運転制御手段による制御が実行されている状態であることの判定は、以上の実施形態では、ニュートラル制御実行条件判定手段が、アイドル回転速度制御手段からアイドル回転速度制御実行中か否かの情報を受信して、ニュートラル制御実行条件成立の要件として扱って判断に織り込むものを挙げているが、その他の場合として、ニュートラル制御実行条件成立の要件にアイドル回転速度制御実行中であること含まず、かわりに、クラッチ押付圧力制御手段が、ニュートラル制御実行条件判定手段からのニュートラル制御実行条件成立信号(アイドル回転速度制御実行中を要件に含まない)と、アイドル回転速度制御手段からのアイドル回転速度制御実行中信号と、を、共に受信し、クラッチ押付圧力制御手段が両信号を受信した場合のみにクラッチ押付圧力減少を開始することによってもよいものであり、その他種々改変可能である。
【符号の説明】
【0108】
10 エンジン
12 エンジン回転センサ
14 電子制御スロットルバルブ
16 電子制御スロットルバルブ駆動モータ
30 トルクコンバータ
32 タービン回転センサ
34 自動変速機
36 発進クラッチ
38 クラッチ圧力付与手段
50 エンジンコントローラ(ECU)
52 アイドリング運転制御手段
54 アイドル回転速度目標値設定手段
56 アイドル回転速度制御手段
70 自動変速機コントローラ(TCU)
72 ニュートラル制御実行条件判定手段
74 クラッチ係合状態判定手段
76 クラッチ押付圧力制御手段
90 プロペラシャフト
110 ディファレンシャルギア
130 車輪駆動軸
150 駆動輪
200 アクセル操作量センサ
220 ブレーキスイッチ
240 レンジスイッチ
260 車速センサ
S10 ニュートラル制御判定情報入力ステップ
S30 ニュートラル制御実行条件成立判定ステップ
S50 ニュートラル制御実行条件成立後所定時間経過させるステップ
S52 所定時間経過判定ステップ
S54 一定時間待機ステップ
S70 クラッチ押付圧力減少開始後所定時間経過させるステップ
S72 所定時間経過判定ステップ
S74 一定時間待機ステップ
S90 クラッチ押付圧力を徐々に減少させるステップ
S110 発進クラッチの係合状態判定ステップ
S130 クラッチ押付圧力の値を維持するステップ
S150 アイドル回転速度目標値を下げるステップ
S170 アイドリング運転制御停止ステップ
S190 アイドリング運転制御再開ステップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの回転が、トルクコンバータと、発進クラッチを有する自動変速機と、を介して駆動輪へと伝達される車両における制御装置であって、
エンジン回転検出手段と、
少なくともアクセルペダルがOFFとされていることを成立条件に含むアイドリング運転実行条件が成立している期間中、アイドル回転速度目標値を設定しこれを目標として、前記エンジン回転検出手段によって検出される前記エンジンの回転速度を制御することが可能な、アイドリング運転制御手段と、
クラッチ押付圧力の値を決定するとともに、該クラッチ押付圧力が前記発進クラッチに付与されるように制御するクラッチ押付圧力制御手段と、
前記発進クラッチの係合状態を判定するクラッチ係合状態判定手段と、
前記車両が停車状態にあり、前記自動変速機のセレクトレバーが走行レンジにあり、車両のブレーキペダルがONとされており、かつアクセルペダルがOFFとされていることを成立条件に含むニュートラル制御実行条件が成立したか判定するニュートラル制御実行条件判定手段と、
を備え、
前記クラッチ押付圧力制御手段は、前記アイドリング運転制御手段による制御が実行されている状態であって、前記ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、前記クラッチ押付圧力を徐々に減少させ、その後、前記クラッチ係合状態判定手段によって前記発進クラッチが所定の係合状態となったと判定された場合に、そのときの前記クラッチ押付圧力の値を維持し、
前記アイドリング運転制御手段は、前記ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、前記アイドル回転速度目標値を下げることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記クラッチ押付圧力制御手段は、前記アイドリング運転制御手段による制御が実行されている状態であって、前記ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、所定時間経過した後に、前記クラッチ押付圧力を徐々に減少させることを特徴とする請求項1記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記クラッチ押付圧力制御手段による前記クラッチ押付圧力の減少が開始されてから所定時間経過した後に、前記アイドリング運転制御手段が前記アイドル回転速度目標値を下げることを特徴とする請求項2記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記車両の制御装置は、タービン回転検出手段をさらに備え、前記クラッチ係合状態判定手段は、タービン回転検出手段で検出されるタービン回転速度に基づいてクラッチ係合状態を判定することを特徴とする請求項1乃至3記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記ニュートラル制御実行条件が成立したと判定された場合に、さらに前記アイドリング運転制御手段による前記エンジン回転速度の制御をオフとし、その後前記発進クラッチが前記所定の係合状態となったと判定された場合に、前記アイドリング運転制御手段による前記エンジン回転速度の制御をオンとし、前記クラッチ係合状態判定手段は、前記エンジン回転速度に基づいてクラッチ係合状態を判定することを特徴とする請求項1乃至3記載の車両の制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御装置と、
エンジンと、
トルクコンバータと、
発進クラッチを有する自動変速機と、
を備えた車両の制御システム。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−92197(P2013−92197A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234466(P2011−234466)
【出願日】平成23年10月26日(2011.10.26)
【出願人】(000003333)ボッシュ株式会社 (510)
【Fターム(参考)】