説明

車両の制御装置

【課題】無端伝動部材の劣化度合いの算出精度を高め、無端伝動部材の劣化の進行を遅らせることができる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】ECUは、エンジンが始動したと判断した場合には(ステップS11でYES)、各歯iに積算すべきダメージD(i)を設定する(ステップS12)。次に、ECUは、ステップS12において設定したダメージD(i)を、それぞれの歯iについて前回までに積算されている積算ダメージHt−1(i)に加算することにより、積算ダメージH(i)を算出する(ステップS13)。そして、ECUは、ステップS13において算出したn個の歯iの積算ダメージH(i)のうち少なくとも1つが所定値C1を超えていると判断すると(ステップS14でYES)、運転者に警告を行う(ステップS16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の制御装置に関し、特に、内燃機関の出力軸に巻回された無端伝動部材の寿命を予測する車両の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両に搭載されるエンジンは、出力軸としてのクランクシャフトを有しており、このクランクシャフトには、吸排気バルブの開閉と、ピストンの上下動とのタイミングを適切に計るために無端伝動部材としてのタイミングベルトが巻回されている。
【0003】
このタイミングベルトには、エンジンの始動時に大きな力や偏った力がかかるとともに、経年変化により劣化し、張力が低下してしまうということが知られている。このようにタイミングベルトが劣化してしまうと、吸気バルブと排気バルブの開閉タイミングがずれてしまう可能性が生じる。さらに、タイミングベルトの劣化が進行した場合には、エンジンの性能に影響を及ぼす可能性が生じる。
【0004】
このため、タイミングベルトの劣化度合いを算出し、劣化度合いが所定値を超えた場合には、運転者に対し警告を発する制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
この特許文献1に記載の制御装置は、エンジン回転数および温度センサから入力された信号に基づいて、タイミングベルトに加わる応力と、環境温度に応じて変わる耐力とを算出し、これらの積算値をとることにより、タイミングベルトの劣化度を算出するようになっている。
【0006】
このような構成を有することにより、特許文献1に記載の制御装置は、タイミングベルトの使用状況に応じた劣化度合いを算出するので、劣化の進行が通常より早く進んだ場合においても、タイミングベルトが寿命となる前に運転者に対し寿命が近づいたことを警告するようになっていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平7−27671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のような特許文献1に記載の従来の制御装置にあっては、タイミングベルト全体の劣化度合いを算出するようになっているものの、タイミングベルトに形成されている複数の歯のうち個々の歯に対する劣化度合いを考慮するようなものではなかった。そのため、タイミングベルトに形成された複数の歯のうち特定の歯に繰り返し力がかかった場合には、歯欠けが発生する可能性が高まるにもかかわらず、歯欠けが発生する可能性の高さを予測できなかった。結果として、タイミングベルトの劣化度合いに対する算出精度が十分でなく、タイミングベルトの劣化の進行を正確に把握できない可能性があった。
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、無端伝動部材の劣化度合いの算出精度を高め、無端伝動部材の劣化の進行を遅らせることができる車両の制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る車両の制御装置は、上記目的達成のため、(1)内燃機関の出力軸に設置されたクランクスプロケットおよび前記内燃機関のバルブを駆動するカムシャフトに設置されたカムスプロケットに巻回され、前記内燃機関の駆動により前記出力軸の回転を前記カムシャフトに伝達する無端伝動部材の劣化度合いを検出する車両の制御装置であって、前記内燃機関の出力軸の回転に基づいて前記無端伝動部材に形成されている複数の歯のそれぞれの位置を識別する位置識別手段と、前記出力軸が前記複数の歯における歯1個分回転するごとに、前記複数の歯のそれぞれの位置に応じて前記複数の歯にそれぞれ加わるダメージの値を設定するダメージ設定手段と、前記ダメージ設定手段により設定されたダメージの値を、前記複数の歯の歯ごとに積算するダメージ積算手段と、を備えることを特徴とする。
【0011】
この構成により、無端伝動部材に形成されている複数の歯のそれぞれに積算されたダメージを算出することができるので、無端伝動部材に歯欠けが発生する可能性を推定でき、無端伝動部材の寿命に対する予測精度を向上することが可能となる。
【0012】
また、上記(1)に記載の車両の制御装置において、(2)前記複数の歯に対応させて前記ダメージ積算手段により積算されたダメージの値のいずれかが所定値を超えた場合には、運転者に対して警告する警告手段を備えることを特徴とする。
【0013】
この構成により、無端伝動部材に形成されている複数の歯のうちいずれかの歯に対し積算されたダメージが所定値を超え、歯欠けの発生が高くなった場合には、運転者に警告を発し、無端伝動部材の交換を運転者に促すことが可能となる。
【0014】
また、上記(1)または(2)に記載の車両の制御装置において、(3)前記ダメージ設定手段は、前記バルブが閉状態から開状態へ移行するときに、前記カムスプロケットに噛み合っている歯に加わるダメージの値を増加させることを特徴とする。
【0015】
この構成により、バルブの開閉に応じてダメージの値を設定できるので、バルブの開閉に応じて無端伝動部材に形成された歯に加わるダメージの変化をダメージの積算値に適切に反映することが可能となる。
【0016】
また、上記(1)から(3)に記載の車両の制御装置において、(4)前記ダメージ設定手段は、前記クランクスプロケットおよび前記カムスプロケットに噛み合っている歯に対するダメージを前記クランクスプロケットおよび前記カムスプロケットのいずれにも噛み合っていない歯に対するダメージより大きい値に設定することを特徴とする。
【0017】
この構成により、無端伝動部材に形成された各歯がクランクスプロケットあるいはカムスプロケットに噛み合っているか否かに応じてダメージの値を設定できるので、クランクスプロケットあるいはカムスプロケットと噛み合うことに起因して無端伝動部材に形成された歯に加わるダメージの大きさをダメージの積算値に適切に反映することが可能となる。
【0018】
また、上記(1)から(4)に記載の車両の制御装置において、(5)前記複数の歯のうち積算されたダメージが最大のものから順に予め定められた個数の歯を選択する選択手段を備えることを特徴とする。
【0019】
この構成により、無端伝動部材に形成された複数の歯のうちダメージ積算手段により積算されたダメージが大きい歯を選択することができる。これにより、例えば選択手段により選択された歯の位置に応じたバルブタイミングの変更など、無端伝動部材の長寿命化を図るための制御を実行することが可能となる。
【0020】
また、上記(5)に記載の車両の制御装置において、(6)前記カムシャフトの回転に対する前記バルブの開閉タイミングを変更するタイミング変更手段と、前記選択手段により選択された歯が前記バルブの閉状態から開状態への移行時に前記カムスプロケットに噛み合う場合には、前記タイミング変更手段を制御して、前記選択手段により選択された歯が前記バルブの閉状態から開状態への移行タイミングに前記カムスプロケットに噛み合わないよう前記バルブの開閉タイミングを変更する変更制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0021】
この構成により、積算されたダメージが大きい歯に対しカムスプロケットから加わるダメージを低減させることができるので、歯欠けの発生する可能性を低減し無端伝動部材の長寿命化を図ることが可能となる。
【0022】
また、上記(5)または(6)に記載の車両の制御装置において、(7)前記内燃機関の停止中に前記内燃機関の出力軸を回転させる出力軸回転手段と、前記内燃機関の停止中に、前記選択手段により選択された歯が前記クランクスプロケットと噛み合っているか否かを判断する停止位置判断手段と、前記内燃機関の停止中に、前記選択手段により選択された歯が前記クランクスプロケットに噛み合っていると前記停止位置判断手段が判断した場合には、前記出力軸回転手段を制御して、前記選択手段により選択された歯が前記クランクスプロケットと噛み合わない位置に無端伝動部材を回転させる停止位置制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0023】
この構成により、内燃機関の始動時にクランクスプロケットに噛み合っている歯に加わるダメージは、静止摩擦および出力軸の加速度に起因して内燃機関の駆動中よりも大きくなるが、蓄積されたダメージが大きい歯が内燃機関の停止中にクランクスプロケットと噛み合わないようにすることができるので、内燃機関の始動時に、蓄積されたダメージが大きい歯の歯欠けが発生する可能性を低減することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、無端伝動部材の劣化度合いの算出精度を高め、タイミングベルトの劣化の進行を遅らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る制御装置を搭載した車両の概略ブロック構成図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係るエンジンの概略断面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係るエンジンの概略斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態に係るタイミングベルトに加わるダメージの値を説明するためのグラフである。
【図5】本発明の第1の実施の形態に係るタイミングベルトの各歯の位置を示す模式図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態に係るタイミングベルトの各歯に蓄積されたダメージを説明するためのグラフである。
【図7】本発明の第1の実施の形態に係る歯寿命予測制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図8】本発明の第2の実施の形態に係る歯寿命予測制御処理を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係るベルト保護制御処理を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0027】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態における制御装置を備えた車両の構成について、図1に示す車両の概略ブロック構成図、図2に示すエンジンの概略断面図、および、図3に示すエンジンの概略斜視図を参照して、説明する。
【0028】
図1に示すように、本実施の形態における車両10は、動力源としてのエンジン11と、エンジン11において発生した動力を伝達するとともに車両10の走行状態等に応じて変速比を変化させるトランスミッション13と、トランスミッション13から伝達された動力を駆動軸としてのドライブシャフト17L、17Rに分配するディファレンシャル機構15と、ドライブシャフト17L、17Rから伝達された動力により回転させられ、車両10を駆動させる駆動輪18L、18Rと、を備えている。
【0029】
また、車両10は、トランスミッション13を油圧により制御する油圧制御装置22と、エンジン11や油圧制御装置22などを制御する車両用電子制御装置としてのECU(Electronic Control Unit)20と、を備えている。さらに、車両10は、クランク角センサ31と、駆動軸回転数センサ32と、アクセル開度センサ33と、フットブレーキセンサ(以下、FBセンサという)34と、スロットル開度センサ35と、吸入空気量センサ36と、吸入空気温度センサ37と、冷却水温センサ38と、吸気カム角センサ39と、排気カム角センサ40と、その他図示しない各種センサとを備えている。ECU20は、これらのセンサにより検出されたエンジン回転数Ne、車速V、アクセル開度Acc等を表す各検出信号を入力するようになっている。
【0030】
内燃機関としてのエンジン11は、ピストン60(図2参照)が2往復する間に吸気行程、圧縮行程、膨張行程および排気行程からなる一連の4行程を行う4サイクルの直列4気筒ガソリンエンジンによって構成されている。なお、エンジン11は、直列6気筒エンジン、V型6気筒エンジン、V型12気筒エンジン、水平対向6気筒エンジン等の種々の型式のエンジンにより構成されていてもよい。なお、エンジン11の詳細については、後述する。
【0031】
トランスミッション13は、エンジン11からクランクシャフト45を介してトルクを入力し、車両10の走行状態に応じて変速比を変化させて、ディファレンシャル機構15に出力するようになっている。また、トランスミッション13は、無段階に変速比を切り替えることができる無段変速機(以下、CVTという)を備え、後述するように、ECU20に制御され、アクセル開度Acc、車速V、エンジン回転数Ne等によって、変速比が切り替えられるようになっている。
【0032】
なお、トランスミッション13は、複数の遊星歯車装置を備え、これらの遊星歯車装置に設けられた複数の摩擦係合要素としてのクラッチおよびブレーキの係合状態および解放状態の組み合わせに応じた所定の変速段が切り替えられる有段式の変速機によって構成されていてもよい。
【0033】
ディファレンシャル機構15は、カーブ等を走行する場合に、駆動輪18Lと駆動輪18Rとの回転数に差が発生することを許容するものである。ディファレンシャル機構15は、トランスミッション13から入力されたトルクを、ドライブシャフト17L、17Rに分配するようになっている。なお、ディファレンシャル機構15は、ドライブシャフト17L、17Rを同一回転とし、駆動輪18Lと駆動輪18Rとの回転数の差を許容しないデフロック状態をとるようになっていてもよい。
【0034】
ECU20は、中央演算処理装置としてのCPU(Central Processing Unit)20a、固定されたデータの記憶を行うROM(Read Only Memory)20b、一時的にデータを記憶するRAM(Random Access Memory)20c、書き換え可能な不揮発性のメモリからなるEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory:登録商標)20dおよび入出力インターフェース(I/F)回路20eを備え、車両10の制御を統括するようになっている。
【0035】
さらに、ECU20は、油圧制御装置22を制御してトランスミッション13の各部の油圧を所望の値に調節することにより、トランスミッション13の変速比を変化させるようになっている。
【0036】
また、ECU20のROM20bには、スロットル開度制御マップ、変速マップ、車両10の諸元値および後述する歯寿命予測制御やベルト保護制御を実行するためのプログラム等が記憶されている。
【0037】
スロットル開度制御マップは、アクセル開度Accとスロットル開度θthとを対応付けたマップである。また、スロットル開度制御マップは、走行モードに応じた複数のマップにより構成され、ECU20が、走行状態、走行路等に応じてマップを切り替えるようにしてもよい。この場合、ECU20は、マップの選択を、走行状態、走行路等に応じて、自動で切り替えるようにしてもよいし、ドライバーによる選択に応じて切り替えるようにしてもよい。
【0038】
また、変速マップは、アクセル開度Accおよび車速Vと変速比とを対応付けたマップである。例えば、ECU20は、この変速マップに基づいて、アクセル開度Accと車速Vに応じた変速比が、所定の変速比幅以上変わった場合に変速比を切り替えるようにする。また、この変速比を切り替える変速比幅は、固定の変速幅ではなく、自由に変更するようにしてもよい。さらに、変速比を切り替える変速幅を設けずに、現在アクセル開度Accと車速Vとに応じて、その都度変速比を設定するようにしてもよい。
【0039】
ECU20は、アクセル開度Accと車速Vとに応じて決定した変速比となるようCVTを制御するとともに、上記変速比をRAM20cに記憶しておく。
【0040】
油圧制御装置22は、複数のソレノイドバルブを備えている。ECU20は、これらのソレノイドバルブを制御し、油圧回路の切り替えおよび油圧制御を行うことにより、トランスミッション13の各部を動作させるようになっている。
【0041】
クランク角センサ31は、クランクシャフト45の回転位置を検出して、検出した回転位置を表す検出信号をECU20に出力するようになっている。より詳しくは、クランク角センサ31は、クランクシャフト45に設けられたクランクセンサプレート89(図3参照)によりクランク回転信号を検出し、クランク位置およびクランク角速度の検出を行うようになっている。また、ECU20は、クランク角センサ31から出力された検出信号からクランクシャフト45の回転数を算出し、エンジン回転数Neとして取得するようになっている。
【0042】
駆動軸回転数センサ32は、ドライブシャフト17L(または17R)の回転数を検出して、検出した回転数を表す検出信号をECU20に出力するようになっている。また、ECU20は、駆動軸回転数センサ32から出力された検出信号が表すドライブシャフト17L(または17R)の回転数を、駆動軸回転数Ndとして取得するようになっている。さらに、ECU20は、駆動軸回転数センサ32から取得した駆動軸回転数Ndに基づいて、車速Vを算出するようになっている。
【0043】
アクセル開度センサ33は、アクセルペダルが踏み込まれた踏み込み量(以下、ストロークという)を検出して、検出したストロークを表す検出信号をECU20に出力するようになっている。また、ECU20は、アクセル開度センサ33から出力された検出信号が表すアクセルペダルのストロークから、アクセル開度Accを算出するようになっている。
【0044】
FBセンサ34は、フットブレーキペダルが踏み込まれた踏み込み量(以下、ストロークという)を検出して、検出したストロークを表す検出信号をECU20に出力するようになっている。また、ECU20は、FBセンサ34から出力された検出信号が表すフットブレーキペダルのストロークから、フットブレーキ踏力Bfを算出するようになっている。
【0045】
スロットル開度センサ35は、図示しないスロットルアクチュエータにより駆動されるエンジン11のスロットルバルブ68(図2参照)の開度を検出して、検出した開度を表す検出信号をECU20に出力するようになっている。また、ECU20は、スロットル開度センサ35から出力された検出信号が表すスロットルバルブ68の開度を、スロットル開度θthとして取得するようになっている。
【0046】
なお、ECU20は、アクセル開度Accを取得すると、スロットル開度制御マップに基づいてスロットル開度θthを算出するので、スロットル開度センサ35から出力された検出信号を用いずに、上記スロットル開度制御マップにより求めたスロットル開度θthを検出値として代用してもよい。
【0047】
吸入空気量センサ36は、エンジン11の吸気バルブ56(図2参照)から吸入される空気量を検出して、検出した空気量を表す検出信号を吸入空気量QarとしてECU20に出力するようになっている。
【0048】
吸入空気温度センサ37は、エンジン11の吸気バルブ56から吸入される空気の温度を検出して、検出した温度を表す検出信号を吸入空気温度TarとしてECU20に出力するようになっている。
【0049】
冷却水温センサ38は、エンジン11のシリンダブロック52(図2参照)を冷却する冷却水(以下、単にエンジン11の冷却水という)の温度を検出し、検出した温度を表す検出信号をエンジン11の冷却水温TwとしてECU20に出力するようになっている。
【0050】
吸気カム角センサ39は、吸気カムシャフト75(図3参照)の回転数を検出して、検出した回転数を表す検出信号をECU20に出力するようになっている。より詳しくは、吸気カム角センサ39は、吸気カムシャフト75に設けられた吸気カムセンサプレート90(図3参照)の所定の位置、すなわち、所定の回転角を検出し、吸気カムシャフト75の回転角の検出を行うようになっている。また、ECU20は、吸気カム角センサ39から出力された検出信号により、吸気カムシャフト75の回転角を検出するとともに、吸気カムシャフト75の回転数を、吸気カムシャフト回転数Nciとして取得するようになっている。
【0051】
排気カム角センサ40は、排気カムシャフト76(図3参照)の回転数を検出して、検出した回転数を表す検出信号をECU20に出力するようになっている。より詳しくは、排気カム角センサ40は、排気カムシャフト76に設けられた排気カムセンサプレート91(図3参照)の所定の位置、すなわち、所定の回転角を検出し、排気カムシャフト76の回転角の検出を行うようになっている。また、ECU20は、排気カム角センサ40から出力された検出信号により、排気カムシャフト76の回転角を検出するとともに、排気カムシャフト76の回転数を、排気カムシャフト回転数Nceとして取得するようになっている。
【0052】
次に、図2を参照して、エンジン11の詳細について説明する。なお、図2においては、直列に配置された4つの気筒のうちの1つについて説明する。
【0053】
エンジン11は、エンジン本体部50を備え、エンジン本体部50は、シリンダブロック52と、シリンダブロック52の上部に固定されたシリンダヘッド53と、オイルパン63と、を有している。
【0054】
シリンダブロック52には、ピストン60が往復動可能に設けられている。ピストン60は、コネクティングロッド58と連結されており、このコネクティングロッド58は、クランクシャフト45と連結されている。そして、ピストン60の往復動は、コネクティングロッド58を介して、クランクシャフト45の回転運動に変換されるようになっている。
【0055】
また、エンジン本体部50においては、シリンダブロック52とシリンダヘッド53とピストン60とによって、燃焼室51が形成されている。エンジン11は、燃焼室51において燃料と空気との混合気を所望のタイミングで燃焼させることによりピストン60を往復動させ、コネクティングロッド58を介してクランクシャフト45を回転させることにより、トランスミッション13にトルクを出力するようになっている。
【0056】
シリンダヘッド53は、エアクリーナ67を通過して車外から流入した空気を燃焼室51に導入するための吸気管66と、燃焼室51における混合気の燃焼によって発生した排気ガスを触媒コンバータ72に通じさせて車外へ排出するための排気管71と、が連結されている。
【0057】
なお、エアクリーナ67は、例えば、内部に収容した紙または合成繊維の不織布のフィルターにより、チリやホコリといった吸入空気中の異物を除去するようになっている。空気中の異物のうち、硬い異物が燃焼室51に入り込むと、研磨剤として働きシリンダブロック52の内壁面やピストン60を磨耗させる原因ともなり得る。したがって、エアクリーナ67は、これらの異物を除去して、吸入空気を清浄化するようになっている。
【0058】
また、吸気管66には、空気の流量を調整するためのスロットルバルブ68が設けられている。スロットルバルブ68は、薄い円板状の弁体の中央にシャフトを備えて構成されており、このシャフトが図示しないスロットルバルブアクチュエータによって回動させられることによって弁体が回動し、吸気管66における空気の流量を変更するようなっている。
【0059】
また、スロットルバルブ68の開度は、スロットル開度センサ35によって検出され、スロットルバルブ68の開度を表す検出信号がスロットル開度センサ35によってECU20に入力されるようになっている。
【0060】
ECU20は、アクセル開度センサ33から入力されたアクセル開度信号Accに基づいて、予め記憶されたスロットル開度制御マップにより求められたスロットル開度θthとなるようにスロットルバルブアクチュエータを制御する。また、ECU20は、運転状態によっては、アクセル開度信号Accにかかわらず、スロットル開度θthを制御することができるようになっている。
【0061】
また、触媒コンバータ72は、排気ガスに含まれる未燃炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)および窒素酸化物(NOx)といった有害物質を効率的に除去することができる三元触媒を備えている。この三元触媒としては、通過する排気ガスのNOx含有率が高い場合においても、NOxを効率的に除去できるものが好ましい。
【0062】
さらに、シリンダヘッド53は、吸気管66と燃焼室51とを連通させる吸気ポート54と、燃焼室51と排気管71とを連通させる排気ポート55と、が形成され、吸気管66から燃焼室51への燃焼用空気の導入を制御するための吸気バルブ56と、燃焼室51から排気管71への排気ガスの排出を制御するための排気バルブ57と、燃料を燃焼室51内へ噴射するためのインジェクタ59と、燃焼室51内の混合気に点火するための点火プラグ61と、が取り付けられている。
【0063】
吸気バルブ56は、上端が吸気カムシャフト75(図3参照)に設けられた吸気カム77と当接しており、吸気カム77の回転により、吸気ポート54と燃焼室51との間を開閉するようになっている。
【0064】
排気バルブ57は、上端が排気カムシャフト76(図3参照)に設けられた排気カム78と当接しており、排気カム78の回転により、燃焼室51と排気ポート55との間を開閉するようになっている。
【0065】
インジェクタ59は、ECU20により制御されるソレノイドコイルおよびニードルバルブを有している。また、インジェクタ59には、所定の圧力で燃料が供給されている。したがって、インジェクタ59は、ECU20によってソレノイドコイルに所望のタイミングで通電されると、ニードルバルブを開いて、燃焼室51に燃料を噴射するようになっている。
【0066】
点火プラグ61は、プラチナやイリジウム合金製の電極を有する公知の点火プラグにより構成されている。点火プラグ61は、ECU20によって所望のタイミングで上記電極に通電されて放電を発生させることにより、燃焼室51内の混合気に点火するようになっている。
【0067】
図3に示すように、エンジン11は、シリンダヘッド53(図2参照)の上部に、吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76が、回転可能に設けられている。
【0068】
吸気カムシャフト75には、吸気バルブ56の上端に当接する吸気カム77が設けられている。これにより、吸気カムシャフト75が回転すると、吸気カム77により吸気バルブ56が開閉駆動されるようになっている。さらに、吸気カムシャフト75には、吸気カムセンサプレート90が設けられている。吸気カムセンサプレート90は、吸気カムシャフト75とともに回転し、吸気カム角センサ39の被検出部を構成している。
【0069】
排気カムシャフト76には、排気バルブ57の上端に当接する排気カム78が設けられている。これにより、排気カムシャフト76が回転すると、排気カム78により排気バルブ57が開閉駆動されるようになっている。さらに、排気カムシャフト76には、排気カムセンサプレート91が設けられている。排気カムセンサプレート91は、排気カムシャフト76とともに回転し、排気カム角センサ40の被検出部を構成している。
【0070】
吸気カムシャフト75は、その一端部に、タイミングベルト85が巻き掛けられる吸気カムスプロケット79と、吸気カム77に対する吸気カムスプロケット79の回転位置を変化させる吸気側回転位相コントローラ82と、を有している。また、排気カムシャフト76は、その一端部に、タイミングベルト85が巻き掛けられる排気カムスプロケット80と、排気カム78に対する排気カムスプロケット80の回転位置を変化させる排気側回転位相コントローラ83と、を有している。また、内燃機関の出力軸を構成するクランクシャフト45は、タイミングベルト85が巻き掛けられるクランクスプロケット84を有している。
【0071】
したがって、ECU20は、吸気側回転位相コントローラ82を制御することにより、クランクシャフト45の回転位置に対する吸気カムシャフト75の回転位置を変化させるとともに、排気側回転位相コントローラ83を制御することにより、クランクシャフト45の回転位置に対する排気カムシャフト76の回転位置を変化させる、可変バルブタイミング(VVT)制御を実行するようになっている。つまり、ECU20は、本実施の形態に係るタイミング変更手段を構成する。
【0072】
タイミングベルト85は、吸気カムスプロケット79、排気カムスプロケット80およびクランクスプロケット84に巻き掛けられている。これにより、タイミングベルト85によって、クランクスプロケット84の回転が、吸気カムスプロケット79および排気カムスプロケット80に伝達される。すなわち、駆動側回転軸としてのクランクシャフト45の回転が、タイミングベルト85を介して、従動側回転軸としての吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76に伝達されることで、これら吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76に駆動される吸気バルブ56および排気バルブ57が、クランクシャフト45に同期して吸気ポート54および排気ポート55を開閉するようになっている。
【0073】
また、タイミングベルト85は、テンショナスリッパ86およびバイブレーションダンパ87によって経路が規制されるようになっている。テンショナスリッパ86は、ベルトテンショナ92に押圧されることにより、タイミングベルト85を付勢し、タイミングベルト85に張力を与えるようになっている。したがって、タイミングベルト85は、テンショナスリッパ86によって適度なテンションが与えられ、吸気カムスプロケット79、排気カムスプロケット80およびクランクスプロケット84から外れることが防止されている。
【0074】
ベルトテンショナ92は、油圧とスプリングの力とによって、テンショナスリッパ86を押圧する力が決定されるようになっている。したがって、ベルトテンショナ92およびテンショナスリッパ86は、油圧に応じてタイミングベルト85を付勢することにより、タイミングベルト85に張力を与えるようになっている。
【0075】
また、上記のように、タイミングベルト85は、エンジン11の出力軸であるクランクシャフト45の回転力を、吸気バルブ56および排気バルブ57を駆動する吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76に伝達するようになっている。
【0076】
次に、本実施の形態に係る歯寿命予測制御について説明する。
ECU20は、歯寿命予測制御の初期状態において、タイミングベルト85に形成されたn個の歯にそれぞれ固有番号i(i=1,...,n)を付与する。具体的には、ECU20は、タイミングベルト85が新たに設置されると、エンジン11が始動する前に、クランク角センサ31から入力された信号に基づいて、クランクシャフト45の初期回転位置を取得する。そして、このクランクシャフト45の初期回転位置において、所定の位置にあるタイミングベルト85の歯を固有番号i=1に割り当てるとともに、この歯を始点として残りのn−1個の歯に固有番号i=2からi=nまでを順番に割り当てていく。
【0077】
なお、所定の位置とは、例えば、タイミングベルト85が新たに設置された際に吸気カムスプロケット79に噛み合っており、かつ、エンジン11が始動すると吸気カムスプロケット79との噛み合いが最初に終了する歯の位置に定められている。
【0078】
ここで、クランクスプロケット84には、N個の歯が形成されているとする。エンジン11が始動すると、クランクシャフト45がt/N回転したときの固有番号iの歯の位置は、i+t(mod n)と表される。したがって、ECU20は、エンジン11が始動すると、クランク角センサ31から入力される信号に基づいて、クランクシャフト45の歯が1個分、つまり1/N回転するごとにn個の歯の位置をそれぞれ算出することにより、n個の歯の位置をそれぞれ識別するようになっている。したがって、ECU20は、内燃機関の出力軸の回転に基づいて無端伝動部材に形成されている複数の歯のそれぞれの位置を識別する位置識別手段を構成する。
【0079】
また、ECU20は、タイミングベルト85のそれぞれの歯の位置において、各歯iに付与されるダメージD(i)をクランクシャフト45が1/N回転するごとに設定するようになっている。つまり、ECU20は、出力軸が複数の歯における歯1個分回転するごとに、複数の歯のそれぞれの位置に応じて複数の歯にそれぞれ加わるダメージの値を設定するダメージ設定手段を構成する。
【0080】
ダメージD(i)は、主にタイミングベルト85の歯iがクランクスプロケット84、吸気カムスプロケット79あるいは排気カムスプロケット80と噛み合っている場合に発生する。また、クランクスプロケット84、吸気カムスプロケット79および排気カムスプロケット80においてそれぞれ発生するダメージD(i)は、図4に示すように、エンジン11の燃焼工程に応じて変化する。なお、図4において、燃焼工程A、B、CおよびDは、圧縮工程、爆発工程、排気工程および吸気工程をそれぞれ表している。
【0081】
吸気カムスプロケット79において発生するダメージD_INは、吸気カム77が吸気バルブ56を押下する吸気工程Dにおいてピーク値をとる。また、排気カムスプロケット80において発生するダメージD_EXは、排気カム78が排気バルブ57を押下する排気工程Cにおいてピーク値をとる。また、クランクスプロケット84において発生するダメージD_Cは、爆発工程Bにおいてピーク値をとる。
【0082】
ECU20は、クランクシャフト45の回転位置に基づいて、エンジン11の燃焼工程を判断し、この燃焼工程に応じて各ダメージD_IN、D_EXおよびD_Cの値を設定するようになっている。なお、クランクシャフト45の回転位置に応じたこれらのダメージD_IN、D_EXおよびD_Cの値は、予め実験的な測定により求められており、ROM20bに記憶されている。
【0083】
一方、タイミングベルト85の歯iがクランクスプロケット84、吸気カムスプロケット79および排気カムスプロケット80のいずれとも噛み合っていない場合には、歯iにダメージが積算されない。
【0084】
したがって、図5に示すように、吸気カムスプロケット79と噛み合う歯の位置をG_IN、排気カムスプロケット80と噛み合う歯の位置をG_EX、クランクスプロケット84と噛み合う歯の位置をG_C、吸気カムスプロケット79と排気カムスプロケット80との間の歯の位置をB_IE、吸気カムスプロケット79とクランクスプロケット84との間の歯の位置をB_CI、クランクスプロケット84と吸気カムスプロケット79との間の歯の位置をB_ECとすると、ECU20により設定されるダメージD(i)は、以下のように表される。
【数1】

【0085】
ここで、燃焼工程の1サイクルは、クランクシャフト45の2回転に対応する。したがって、ECU20は、エンジン11の始動時において、吸気カム角センサ39および排気カム角センサ40のうち少なくともいずれか一方から信号を入力することにより、クランクシャフト45の現在の回転が、燃焼工程の1サイクルの前半に対応しているのか後半に対応しているのかを判断するようになっている。
【0086】
そして、ECU20は、クランクシャフト45が1/N回転するごとに、設定したダメージD(i)を各歯iに積算するようになっている。初期状態からt/N回転後に歯iに積算された積算ダメージH(i)は、以下のように表される。
【数2】

したがって、ECU20は、ダメージ設定手段により設定されたダメージの値を、複数の歯の歯ごとに積算するダメージ積算手段を構成する。
【0087】
ECU20は、このように各歯iに積算された積算ダメージH(i)を、図6に示すダメージマップとしてEEPROM20dに記憶しており、いずれかの歯iに蓄積された積算ダメージH(i)が所定値C1を超えた場合には、歯欠けの可能性が高まり、タイミングベルト85の寿命が近づいていると判断し、警告装置43を介して運転者に警告するようになっている。
【0088】
警告装置43は、運転席近傍のインストルメントパネルに警告灯を有しており、ECU20は、積算ダメージH(i)が所定値C1を超えた場合に、この警告灯が点灯するよう警告装置43を制御するようになっている。したがって、ECU20および警告装置43は、本発明に関わる警告手段を構成する。
【0089】
なお、所定値C1としては、運転者が警告灯を認識してからタイミングベルト85を交換するまでに十分な時間が確保できるように設定されることが望ましい。また、ECU20は、エンジン11の駆動中においては積算ダメージH(i)をRAM20cに記憶し、エンジン11が停止した際にRAM20cに記憶された積算ダメージH(i)の値をEEPROM20dに転送するようにしてもよい。
【0090】
図7は、本発明の第1の実施の形態に係る歯寿命予測制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0091】
以下の処理は、ECU20を構成するCPU20aによってクランクシャフト45が1/N回転するごとに実行されるとともに、CPU20aによって処理可能なプログラムを実現する。また、以下の説明においては、タイミングベルト85のn個の歯に対し固有番号iがすでに付与されたものとして説明する。
【0092】
まず、ECU20は、クランク角センサ31から入力される信号に基づいて、エンジン11が始動したか否かを判断する(ステップS11)。ECU20は、エンジン11が始動したと判断した場合には(ステップS11でYES)、ステップS12に移行する。一方、エンジン11が始動していないと判断した場合には(ステップS11でNO)、RETURNに移行する。
【0093】
次に、ECU20は、各歯iに積算すべきダメージD(i)を設定する(ステップS12)。ECU20は、上述したように、クランク角センサ31から入力した信号に基づいて、クランクシャフト45の回転位置を算出する。そして、エンジン11の燃焼工程に応じて変化するD_IN、D_EXおよびD_Cの値を、クランクシャフト45の回転位置に基づいてROM20bから取得する。
【0094】
そして、ECU20は、タイミングベルト85のそれぞれの歯iに積算すべきダメージD(i)を、上記式(1)に基づいて設定する。
【0095】
次に、ECU20は、ステップS12において設定したダメージD(i)を、それぞれの歯iについて前回までに積算されている積算ダメージHt−1(i)に加算することにより、積算ダメージH(i)を算出する(ステップS13)。
【0096】
次に、ECU20は、ステップS13において算出したn個の歯iの積算ダメージH(i)のうち少なくとも1つが所定値C1を超えているか否かを判断する(ステップS14)。ECU20は、いずれの歯iに対する積算ダメージH(i)も所定値C1を超えていないと判断した場合には(ステップS14でNO)、ステップS15に移行し、tに1を加算する。
【0097】
一方、ECU20は、いずれかの歯iに対する積算ダメージH(i)が所定値C1を超えていると判断した場合には(ステップS14でYES)、警告装置43を介して運転者に警告を行う。
【0098】
以上のように、本実施の形態に係る車両の制御装置は、タイミングベルト85に形成されている複数の歯iのそれぞれに積算されたダメージを算出することができるので、タイミングベルト85に歯欠けが発生する可能性を推定でき、タイミングベルト85の寿命に対する予測精度を向上することが可能となる。
【0099】
また、タイミングベルト85に形成されている複数の歯iのうちいずれかの歯に対し積算されたダメージが所定値C1を超え、歯欠けの発生が高くなった場合には、運転者に警告を発し、タイミングベルト85の交換を運転者に促すことが可能となる。
【0100】
また、吸気バルブ56および排気バルブ57の開閉に応じてダメージの値を設定できるので、吸気バルブ56および排気バルブ57の開閉に応じてタイミングベルト85に形成された歯に加わるダメージの変化をダメージの積算値に適切に反映することが可能となる。
【0101】
また、タイミングベルト85に形成された各歯がクランクスプロケット84、吸気カムスプロケット79あるいは排気カムスプロケット80に噛み合っているか否かに応じてダメージの値を設定できるので、クランクスプロケット84、吸気カムスプロケット79あるいは排気カムスプロケット80と噛み合うことに起因してタイミングベルト85に形成された歯に加わるダメージの大きさをダメージの積算値に適切に反映することが可能となる。
【0102】
なお、以上の説明においては、本発明に係る制御装置が、エンジン11の出力により走行する車両10に適用される場合について説明したが、これに限定されず、本発明に係る制御装置が、エンジンおよびモータジェネレータのうち少なくともいずれか一方の出力により走行する車両に適用されるようにしてもよい。
【0103】
また、以上の説明においては、警告装置43がインストルメントパネルに警告灯を有し、この警告灯が点灯されることにより運転者に警告する場合について説明したが、これに限定されず、警告装置43がスピーカを有し、音声信号により運転者に警告するようにしてもよい。また、警告装置43がナビゲーション装置と接続されるようにし、警告装置43による警告がナビゲーション装置のディスプレイに表示されるようにしてもよい。
【0104】
なお、以上の説明においては、ECU20は、積算ダメージH(i)が所定値C1を超えていると判断した場合に警告装置43を介して運転者に対し警告を行う場合について説明したが、これに限定されず、以下に第2の実施の形態として説明するように、ECU20は、積算ダメージH(i)が所定値C2を超えていると判断した場合に可変バルブタイミング(VVT)制御を実行するようにしてもよい。
【0105】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る車両の制御装置について、図1ないし図6および図8を参照して説明する。
【0106】
なお、第2の実施の形態に係る車両の制御装置の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置の構成とほぼ同様であり、各構成要素については、図1ないし図6に示した第1の実施の形態と同様の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0107】
ECU20は、上述のように、タイミングベルト85のn個の歯iに対する積算ダメージH(i)をそれぞれ算出すると、これらの積算ダメージH(i)のうち少なくともいずれか1つが所定値C2を超えているか否かを判断するようになっている。そして、ECU20は、少なくともいずれか1つの積算ダメージH(i)が所定値C2を超えていると判断した場合には、VVT制御の実行を開始し、歯欠けの発生する可能性を低減しタイミングベルト85の長寿命化を図るようになっている。
【0108】
VVT制御において、ECU20は、吸気側回転位相コントローラ82および排気側回転位相コントローラ83を制御して、吸気カムシャフト75の回転位置がクランクシャフト45の回転位置に対して変化するよう吸気カムスプロケット79を回転させるとともに、排気カムシャフト76の回転位置がクランクシャフト45の回転位置に対して変化するよう排気カムスプロケット80を回転させる。これにより、図4に示すD_INおよびD_EXのピーク値が時間に対して前後にシフトする。つまり、D_INおよびD_EXがピーク値になった際に、吸気カムスプロケット79および排気カムスプロケット80に噛み合うタイミングベルト85の歯iが変化するようになっている。
【0109】
VVT制御において、ECU20は、積算ダメージH(i)が最も大きい歯iを参照する。そして、歯iが図5に示すD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76の回転位置の変化量を算出する。
【0110】
次に、ECU20は、積算ダメージH(i)が2番目に大きい歯iを参照する。そして、歯iおよび歯iが図5に示すD_INおよびDt_EXのピーク値と重ならない吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76の回転位置の変化量を算出する。
【0111】
同様にして、ECU20は、積算ダメージH(i)が次に大きい歯iを参照し、歯iから歯iまでのいずれもがD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない回転位置の変化量を算出する。
【0112】
そして、ECU20は、積算ダメージH(i)が次に大きい歯i(x+1)を参照し、歯iから歯i(x+1)までのすべての歯iがD_INおよびD_EXのピーク値と重ならないようにすることができない場合には、歯iから歯iまでのみが、D_INおよびD_EXのピーク値と重ならないようにすることが可能であると判断する。そしてECU20は、歯iから歯iまでのいずれもがD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない回転位置になるよう、吸気側回転位相コントローラ82および排気側回転位相コントローラ83を制御するようになっている。
【0113】
つまり、ECU20は、積算ダメージH(i)が最も大きい歯から順にx個の歯を選択するようになっているので、本実施の形態に係る選択手段を構成する。また、ECU20は、歯iから歯iまでのいずれもがD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない回転位置になるよう、吸気側回転位相コントローラ82および排気側回転位相コントローラ83を制御するので、本実施の形態に係る変更制御手段を構成する。
【0114】
なお、VVT制御による吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76の回転位置の変化量の最大値は、エンジン11のトルクに与える影響を考慮し予め定められている。また、所定値C2としては、第1の実施の形態における所定値C1よりも小さい値を設定すると、積算ダメージH(i)が高い歯の劣化を抑制できるので好適である。
【0115】
このように、従来はエンジン11の出力を最適化するために用いられていたVVT制御を、タイミングベルト85の歯iに積算されるダメージD(i)を変化させるよう用いることにより、タイミングベルト85の長寿命化を図ることが可能となる。
【0116】
図8は、本発明の第2の実施の形態に係る歯寿命予測制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0117】
なお、以下の処理は、ECU20を構成するCPU20aによってクランクシャフト45が1/N回転するごとに実行されるとともに、CPU20aによって処理可能なプログラムを実現する。また、以下の説明においては、タイミングベルト85のn個の歯に対し固有番号iがすでに付与されたものとして説明する。
【0118】
まず、ECU20は、クランク角センサ31から入力される信号に基づいて、エンジン11が始動したか否かを判断する(ステップS21)。ECU20は、エンジン11が始動したと判断した場合には(ステップS21でYES)、ステップS22に移行する。一方、エンジン11が始動していないと判断した場合には(ステップS21でNO)、RETURNに移行する。
【0119】
次に、ECU20は、タイミングベルト85のn個の歯iにそれぞれ積算すべきダメージD(i)を、上述したステップS12と同様の方法で設定する(ステップS22)。
【0120】
次に、ECU20は、ステップS22において算出したダメージD(i)を、n個の歯iに対し、前回までに積算されている積算ダメージHt−1(i)に加算することにより、積算ダメージH(i)を算出する(ステップS23)。
【0121】
次に、ECU20は、ステップS23において算出したn個の歯iの少なくともいずれか1つに対する積算ダメージH(i)が所定値C2を超えているか否かを判断する(ステップS24)。
【0122】
ECU20は、タイミングベルト85のn個の歯iに対するいずれの積算ダメージH(i)も所定値C2を超えていないと判断した場合には(ステップS24でNO)、ステップS25に移行し、tを1つ加算する。
【0123】
一方、ECU20は、n個の歯iに対する積算ダメージH(i)のうち少なくともいずれか1つが所定値C2を超えていると判断した場合には(ステップS24でYES)、ステップS26に移行する。
【0124】
次に、ECU20は、VVT制御を実行する(ステップS26)。VVT制御において、ECU20は、積算ダメージH(i)が最も大きい歯iを参照する。そして、歯iが図4に示すD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76の回転位置の変化量を算出する。
【0125】
次に、積算ダメージH(i)が2番目に大きい歯iを参照する。そして、歯iおよび歯iが図4に示すD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない吸気カムシャフト75および排気カムシャフト76の回転位置の変化量を算出する。
【0126】
同様にして、積算ダメージH(i)が次に大きい歯iを参照し、歯iから歯iまでのいずれもがD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない回転位置の変化量を算出する。
【0127】
そして、積算ダメージH(i)が次に大きい歯i(x+1)を参照し、歯iから歯i(x+1)までのすべての歯iがD_INおよびD_EXのピーク値と重ならないようにすることができなくなったならば、歯iから歯iまでのいずれもがD_INおよびD_EXのピーク値と重ならない回転位置になるよう、吸気側回転位相コントローラ82および排気側回転位相コントローラ83を制御するようになっている。
【0128】
次に、ECU20は、n個の歯iに対する積算ダメージH(i)のうち少なくともいずれか1つが所定値C3を超えているか否かを判断する(ステップS27)。なお、この所定値C3は、例えば第1の実施の形態における所定値C1と同じ値に設定されている。
【0129】
ECU20は、いずれかの積算ダメージH(i)が所定値C3を超えていると判断した場合には(ステップS27でYES)、警告装置43を介して運転者に警告を行う。一方、ECU20は、いずれの積算ダメージH(i)も所定値C3を超えていないと判断した場合には(ステップS27でNO)、ステップS25に移行し、tに1を加算する。
【0130】
以上のように、本実施の形態に係る車両の制御装置は、積算されたダメージが大きい歯に対し吸気カムスプロケット79あるいは排気カムスプロケット80から加わるダメージを低減させることができるので、歯欠けの発生する可能性を低減しタイミングベルト85の長寿命化を図ることが可能となる。
【0131】
なお、以上の説明においては、積算ダメージH(i)が最も大きいものから順に可能な限り多くの歯iがダメージD_INおよびD_EXのピーク値と重ならないようECU20が吸気側回転位相コントローラ82および排気側回転位相コントローラ83を制御する場合について説明した。しかしながら、ECU20は、この他の手順に従ったVVT制御を実行するようにしてもよい。
【0132】
例えば、ECU20は、タイミングベルト85に形成されたn個の歯iのうち、積算ダメージH(i)が予め定められた上位s個に対応する歯iがダメージD_INおよびD_EXのピーク値と重ならないよう吸気側回転位相コントローラ82および排気側回転位相コントローラ83を制御するようにする。
【0133】
あるいは、ECU20は、積算ダメージH(i)が所定値C1を超えた歯iのみがダメージD_INおよびD_EXのピーク値と重ならないよう吸気側回転位相コントローラ82および排気側回転位相コントローラ83を制御するようにしてもよい。
【0134】
なお、以上の説明においては、ECU20は、エンジン11が駆動状態にある場合において、運転者に対する警告の判断あるいはVVT制御の実行判断を行う場合について説明したが、これに限定されず、以下に第3の実施の形態として説明するように、ECU20は、エンジン11の停止中にタイミングベルト85の歯欠けが発生することを抑制するための制御を実行するようにしてもよい。
【0135】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る車両の制御装置について、図1ないし図6および図9を参照して説明する。
【0136】
なお、第3の実施の形態に係る車両の制御装置の構成は、上述の第1の実施の形態に係る車両の制御装置の構成とほぼ同様であり、各構成要素については、図1ないし図6に示した第1の実施の形態と同様の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
【0137】
クランクスプロケット84によりタイミングベルト85に加わるダメージD_Cは、図4に示すように、エンジン11の駆動中においては爆発工程Bにおいてピーク値をとる。これに加え、ダメージD_Cは、停止中のエンジン11が始動を開始する際に、静止摩擦および加速度に起因して最大値をとる。また、この最大値は、爆発工程Bにおけるピーク値よりも大きい値をとる。そのため、タイミングベルト85のn個の歯iのうち、積算ダメージH(i)が高い歯iがエンジン11の停止中にクランクスプロケット84と噛み合っている場合には、積算ダメージH(i)が低い歯iが噛み合っている場合と比較して、エンジン11が始動した際に歯欠けの発生する可能性が高くなる。
【0138】
そこで、ECU20は、エンジン11の駆動中に上述した歯寿命予測制御を実行し、n個の歯iに対する積算ダメージH(i)を算出するとともに、エンジン11が停止した際に、積算ダメージH(i)の高い歯iがクランクスプロケット84と噛み合っている場合には、クランクシャフト45をエンジン11の外部から強制的に回転させ、積算ダメージH(i)の低い歯iがクランクスプロケット84と噛み合うように制御するベルト保護制御を実行するようになっている。
【0139】
この場合、まず、ECU20は、エンジン11の停止時に、例えば、タイミングベルト85のn個の歯iのうち、積算ダメージH(i)が高い順に予め定められた上位K番目までの歯iがクランクスプロケット84と噛み合っているか否かを判断する。つまり、ECU20は、本発明に係る停止位置判断手段を構成する。
【0140】
そして、ECU20は、積算ダメージH(i)が高い順に予め定められた上位K番目までの歯iがクランクスプロケット84と噛み合っていると判断した場合には、スタータモータを駆動することによりクランクシャフト45を強制的に回転させ、上位K番目までの歯iがクランクスプロケット84と噛み合わない位置にタイミングベルト85を移動させる。つまり、ECU20は、本発明に係る停止位置制御手段を構成する。
【0141】
なお、ECU20がハイブリッド車両に搭載されている場合には、ECU20は、スタータモータの代わりに、クランクシャフト45と接続されたモータジェネレータのロータを回転させることによってクランクシャフト45を強制回転させるようになっている。つまり、スタータモータあるいはモータジェネレータは、本発明に係る出力軸回転手段を構成する。
【0142】
図9は、本発明の第3の実施の形態に係るベルト保護制御処理を説明するためのフローチャートである。
【0143】
なお、以下の処理は、ECU20を構成するCPU20aによって所定の時間間隔で実行されるとともに、CPU20aによって処理可能なプログラムを実現する。
【0144】
まず、ECU20は、クランク角センサ31から入力される信号に基づいて、エンジン11が始動したか否かを判断する(ステップS31)。ECU20は、エンジン11が始動したと判断した場合には(ステップS31でYES)、ステップS32に移行する。一方、エンジン11が始動していないと判断した場合には(ステップS31でNO)、RETURNに移行する。
【0145】
次に、ECU20は、上述した第1の実施の形態におけるステップS12と同様の方法で、n個の歯iにそれぞれ積算すべきダメージD(i)を設定する(ステップS32)。
【0146】
次に、ECU20は、上述した第1の実施の形態におけるステップS13と同様の方法で、ステップS32において算出したダメージD(i)を、前回までに積算されている積算ダメージHt−1(i)に加算することにより、積算ダメージH(i)を算出する(ステップS33)。
【0147】
次に、ECU20は、クランク角センサ31から入力される信号に基づいて、エンジン11が停止したか否かを判断する(ステップS34)。
【0148】
ECU20は、エンジン11が停止したと判断した場合には(ステップS34でYES)、ステップS35に移行する。一方、エンジン11が停止していないと判断した場合には(ステップS34でNO)、ステップS32に移行する。
【0149】
次に、ECU20は、n個の歯iのうち、積算ダメージH(i)が予め定められた上位K番目までに含まれる歯iが、クランクスプロケット84と噛み合っているか否かを判断する(ステップS35)。
【0150】
ECU20は、積算ダメージH(i)が予め定められた上位K番目までに含まれる全ての歯iが、クランクスプロケット84と噛み合っていると判断すると(ステップS35でYES)、ステップS36に移行し、スタータモータに通電しクランクシャフト45を回転させ、積算ダメージH(i)が上位K番目までに含まれる全ての歯iが、クランクスプロケット84と噛み合わない位置までタイミングベルト85を回転させる。
【0151】
一方、ECU20は、積算ダメージH(i)が予め定められた上位K番目までに含まれる歯iが、クランクスプロケット84と噛み合っていないと判断すると(ステップS35でNO)、RETURNに移行する。
【0152】
以上のように、本実施の形態に係る車両の制御装置は、エンジン11の始動時にクランクスプロケット84に噛み合っている歯に加わるダメージは、静止摩擦および出力軸の加速度に起因してエンジン11の駆動中よりも大きくなるが、蓄積されたダメージが大きい歯がエンジン11の停止中にクランクスプロケット84と噛み合わないようにすることができるので、エンジン11の始動時に、蓄積されたダメージが大きい歯の歯欠けが発生する可能性を低減することができる。
【0153】
なお、以上の説明においては、エンジン11が停止した場合においては常に、n個の歯iのうち、積算ダメージH(i)が高い順に予め定められた上位K番目までに含まれる歯iがクランクスプロケット84と噛み合わないよう、クランクシャフト45を強制的に回転させる場合について説明した。しかしながら、ECU20は、上述した第1の実施の形態あるいは第2の実施の形態のように、n個の歯iに対する積算ダメージH(i)のうち少なくともいずれか1つが所定値を超えたことを条件にスタータモータを駆動するようにしてもよい。
【0154】
また、以上の説明においては、ECU20は、クランク角センサ31から入力される信号に基づいて、エンジン11の始動および停止を判断する場合について説明したが、これに限定されず、ECU20は、イグニッションスイッチがON状態であるかOFF状態であるかに基づいて、エンジン11の始動および停止を判断するようにしてもよい。
【0155】
また、ECU20は、それぞれの歯iに積算された積算ダメージH(i)の大きさに応じて、第1の実施の形態に示したように運転者に対し警告を行ったり、第2の実施の形態に示したようにVVT制御を実行するようにしてもよい。
【0156】
以上のように、本発明に係る車両の制御装置は、タイミングベルトの劣化度合いの算出精度を高め、タイミングベルトの劣化の進行を遅らせることができるという効果を奏するものであり、内燃機関の出力軸に巻回されたベルトの寿命を予測する車両の制御装置に有用である。
【符号の説明】
【0157】
10 車両
11 エンジン
13 トランスミッション
20 ECU
22 油圧制御装置
31 クランク角センサ
32 駆動軸回転数センサ
33 アクセル開度センサ
35 スロットル開度センサ
39 吸気カム角センサ
40 排気カム角センサ
43 警告装置
45 クランクシャフト
50 エンジン本体部
51 燃焼室
54 吸気ポート
55 排気ポート
56 吸気バルブ
57 排気バルブ
60 ピストン
68 スロットルバルブ
75 吸気カムシャフト
76 排気カムシャフト
77 吸気カム
78 排気カム
79 吸気カムスプロケット
80 排気カムスプロケット
82 吸気側回転位相コントローラ
83 排気側回転位相コントローラ
84 クランクスプロケット
85 タイミングベルト
90 吸気カムセンサプレート
91 排気カムセンサプレート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関の出力軸に設置されたクランクスプロケットおよび前記内燃機関のバルブを駆動するカムシャフトに設置されたカムスプロケットに巻回され、前記内燃機関の駆動により前記出力軸の回転を前記カムシャフトに伝達する無端伝動部材の劣化度合いを検出する車両の制御装置であって、
前記内燃機関の出力軸の回転に基づいて前記無端伝動部材に形成されている複数の歯のそれぞれの位置を識別する位置識別手段と、
前記出力軸が前記複数の歯における歯1個分回転するごとに、前記複数の歯のそれぞれの位置に応じて前記複数の歯にそれぞれ加わるダメージの値を設定するダメージ設定手段と、
前記ダメージ設定手段により設定されたダメージの値を、前記複数の歯の歯ごとに積算するダメージ積算手段と、を備えることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記複数の歯に対応させて前記ダメージ積算手段により積算されたダメージの値のいずれかが所定値を超えた場合には、運転者に対して警告する警告手段を備えることを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記ダメージ設定手段は、前記バルブが閉状態から開状態へ移行するときに、前記カムスプロケットに噛み合っている歯に加わるダメージの値を増加させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両の制御装置。
【請求項4】
前記ダメージ設定手段は、前記クランクスプロケットおよび前記カムスプロケットに噛み合っている歯に対するダメージを前記クランクスプロケットおよび前記カムスプロケットのいずれにも噛み合っていない歯に対するダメージより大きい値に設定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1の請求項に記載の車両の制御装置。
【請求項5】
前記複数の歯のうち積算されたダメージが最大のものから順に予め定められた個数の歯を選択する選択手段を備えることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1の請求項に記載の車両の制御装置。
【請求項6】
前記カムシャフトの回転に対する前記バルブの開閉タイミングを変更するタイミング変更手段と、
前記選択手段により選択された歯が前記バルブの閉状態から開状態への移行時に前記カムスプロケットに噛み合う場合には、前記タイミング変更手段を制御して、前記選択手段により選択された歯が前記バルブの閉状態から開状態への移行タイミングに前記カムスプロケットに噛み合わないよう前記バルブの開閉タイミングを変更する変更制御手段と、を備えることを特徴とする請求項5に記載の車両の制御装置。
【請求項7】
前記内燃機関の停止中に前記内燃機関の出力軸を回転させる出力軸回転手段と、
前記内燃機関の停止中に、前記選択手段により選択された歯が前記クランクスプロケットと噛み合っているか否かを判断する停止位置判断手段と、
前記内燃機関の停止中に、前記選択手段により選択された歯が前記クランクスプロケットに噛み合っていると前記停止位置判断手段が判断した場合には、前記出力軸回転手段を制御して、前記選択手段により選択された歯が前記クランクスプロケットと噛み合わない位置に無端伝動部材を回転させる停止位置制御手段と、を備えることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−21844(P2012−21844A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−158884(P2010−158884)
【出願日】平成22年7月13日(2010.7.13)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】