説明

車両の前側方視認装置

【課題】フロントピラーに設けた第2の反射鏡の視認性を向上させ、運転手から直接ドアミラーの第1の反射鏡が見えず、煩わしさを低減した車両の前側方視認装置を提供する。
【解決手段】車両の前側方視認装置11は、フロントピラー28及びサブピラー31に支持されているサブウインドウガラス32と、ドアミラー14のミラーハウジング41と、ミラーハウジングの前側部43に設けられて車両12側方及び前方までを映す第1の反射鏡15と、第1の反射鏡15で反射させてサブウインドウガラス32を透過させた光を運転手Snへ向けて反射させることで映す第2の反射鏡16とを備え、サブウインドウガラス32近傍の助手席23の乗員Anや近傍の座席56からサブウインドウガラス32に入射して第2の反射鏡16へ向かう反射光57を形成する入射光58が遮られる遮蔽部材61を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前輪の周囲や車両の前の側方を視認する車両の前側方視認装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の前側方視認装置として、鏡やカメラを用いたものがある。鏡の場合は、例えば、前ガラスの左右端を支持しているフロントピラーに第1鏡を運転者から見えるように設け、第1鏡に像(反射光)を送る第2鏡を対向させてフロントピラーから下方に延びるサブピラーに、前方や側方から像(入射光)が入るように設けることで、側方の死角を減少させているものがある(例えば、特許文献1参照)。
また、ドアミラー本体を収納しているミラーハウジングに、ドアミラーの下方から車両の側方及び前方の所望の範囲内の対象物を映すように設けた第1の反射鏡と、第1の反射鏡の光を乗員へ向けて反射させるようにフロントピラーの車室内側面に設けた第2の反射鏡と、ドアミラーを格納状態のときに、対象物を映す格納反射部と、を備えているものがある(例えば、本出願人が先に出願している特許文献2参照)。
【0003】
しかし、特許文献1のミラー配置構造では、フロントボデーとフロントボデー近傍の側方や前輪近傍を視認することができないという問題がある。
また、第1鏡を見たときに、フロントピラー及びサブピラーに取付けられている三角ガラスに光が反射して、車室内が映り込んでしまうことが考えられる。
【0004】
特許文献2の技術では、第2の反射鏡を見たときに、フロントピラー及びサブピラーに取付けられているサブウインドウガラスに光が反射して、助手席や助手席の乗員が映り込んでしまうことがあり、見難くさを感じることがあった。
また、運転者がドアミラーを見るときに、ドアミラー、車室外の格納反射部、車室内の第2の反射鏡の合計3枚の鏡が視野に入り、煩わしさや見難くさを感じることがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−255915号公報
【特許文献2】特願2008−16636
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、映り込みの抑制で第2の反射鏡の視認性を向上させ、ドアミラー並びに第2の反射鏡を見たときに乗員(運転手)から直接第1の反射鏡が見えず、煩わしさを低減した車両の前側方視認装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、請求項1に係る発明は、車両のフロントピラー及びフロントピラーの途中から下方に延設したサブピラーに支持されているサブウインドウガラスと、サブウインドウガラスの近傍に配置され車両後方側を映すドアミラーのミラーハウジングと、ミラーハウジングの前面に設けられて下方から車両側方及び前方までの所望の範囲の対象物を映す第1の反射鏡と、第1の反射鏡で反射させてサブウインドウガラスを透過させた光を乗員へ向けて反射させることで対象物を映す、フロントピラーの車室内側面に設けられた第2の反射鏡と、を備えた車両の前側方視認装置であって、サブウインドウガラス近傍の乗員と座席のうち少なくとも一方からサブウインドウガラスに入射して第2の反射鏡へ向かう反射光を形成する入射光が遮られる遮蔽部材を備えていることを特徴とする。
【0008】
請求項2に係る発明は、車両のフロントピラーよりも車両の後方に配置されて、車両後方を映すドアミラーのミラーハウジングと、ミラーハウジングの前面に設けられて下方から車両側方及び前方までの所望の範囲の対象物を映す第1の反射鏡と、第1の反射鏡で反射した光を乗員へ向けて反射させることで対象物を映す第2の反射鏡と、を備えた車両の前側方視認装置であって、第1の反射鏡の反射光のうち乗員へ向かう反射光を遮蔽する遮蔽部材を備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項3に係る発明では、遮蔽部材は、サブウインドウガラスへ向いている外面に、反射率の低い色の膜と反射率の低い表面形状のうち少なくとも一方が形成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に係る発明では、遮蔽部材は、サブピラーに取付けられた遮蔽板であることを特徴とする。
【0011】
請求項5に係る発明では、遮蔽部材は、サブピラーを車室内側に突出させた部位であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明では、車両の前側方視認装置は、フロントピラー及びサブピラーに支持されているサブウインドウガラスと、車両後方側を映すドアミラーのミラーハウジングと、ミラーハウジングの前面に設けられて車両側方及び前方までを映す第1の反射鏡と、第1の反射鏡で反射させてサブウインドウガラスを透過させた光を乗員へ向けて反射させることで車両側方及び前方までを映す、フロントピラーの車室内側面に設けられた第2の反射鏡と、を備え、サブウインドウガラス近傍の乗員と座席のうち少なくとも一方からサブウインドウガラスに入射して第2の反射鏡へ向かう反射光を形成する入射光が遮られる遮蔽部材を備えているので、
遮蔽部材によって、サブウインドウガラスに近い側の座席(助手席)や座席(助手席)の乗員が第2の反射鏡に映り込むのを防止することができ、第2の反射鏡の視認性が向上するという利点がある。
【0013】
請求項2に係る発明では、車両の前側方視認装置は、車両後方を映すドアミラーのミラーハウジングと、ミラーハウジングの前面に設けられて車両側方及び前方までを映す第1の反射鏡と、第1の反射鏡で反射した光を乗員へ向けて反射させることで車両側方及び前方までを映す第2の反射鏡と、を備え、第1の反射鏡の反射光のうち乗員へ向かう反射光を遮蔽する遮蔽部材を備えているので、乗員(運転手)が視線を第2の反射鏡へ指向したとき、乗員(運転手)から直接第1の反射鏡が見えず、煩わしさを低減することができるという利点がある。
【0014】
請求項3に係る発明では、遮蔽部材は、サブウインドウガラスへ向いている外面に、反射率の低い色の膜と反射率の低い表面形状のうち少なくとも一方が形成されているので、遮蔽部材の外面の反射率が低下して、第2の反射鏡に映り込むのをより確実に防止することができるという利点がある。
【0015】
請求項4に係る発明では、遮蔽部材は、サブピラーに取付けられた遮蔽板なので、サブウインドウガラス近傍の座席(助手席)とサブウインドウガラスとの間の光路をサブピラーに遮蔽板を取付けるだけで遮蔽でき、構造が簡単である。
また、遮蔽板を後付けすることができるという利点がある。
【0016】
遮蔽部材が第1の反射鏡の反射光のうち乗員へ向かう反射光を遮蔽する場合も、サブピラーに遮蔽板を取付けるだけで遮蔽でき、構造が簡単である。
また、遮蔽板を後付けすることができるという利点がある。
【0017】
請求項5に係る発明では、遮蔽部材は、サブピラーを車室内側に突出させた部位なので、サブウインドウガラス近傍の座席(助手席)とサブウインドウガラスとの間の光路をサブピラーを車室内側に突出させるだけで遮蔽でき、別部材を必要とせず、より構造が簡単であるという利点がある。
【0018】
遮蔽部材が第1の反射鏡の反射光のうち乗員へ向かう反射光を遮蔽する場合も、サブピラーを車室内側に突出させるだけで遮蔽でき、別部材を必要とせず、より構造が簡単であるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例1に係る車両の前側方視認装置の斜視図である。
【図2】実施例1に係る車両の前側方視認装置が備えるドアミラーの正面図である。
【図3】実施例1に係る車両の前側方視認装置の対象物を映す機構を説明する図である。
【図4】実施例1に係る車両の前側方視認装置の対象物を映す機構を説明する図である。図である。
【図5】実施例2に係る車両の前側方視認装置の斜視図である。
【図6】実施例3に係る車両の前側方視認装置の斜視図である。
【図7】実施例4に係る車両の前側方視認装置の斜視図である。
【図8】実施例4に係る車両の前側方視認装置が備えるドアミラーの斜視図である。
【図9】実施例5に係る車両の前側方視認装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5で詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
実施例1に係る車両の前側方視認装置11は、図1に示すように、車両12の左前の側方を見るもので、車室13外のドアミラー14に設けた第1の反射鏡15に映した像を、車室13内の第2の反射鏡16に映す。以降で具体的に説明していく。
【0022】
車両12は、フロントボデー21と、車室13と、助手席23、運転席24、左前ドア25、前ガラス26、前ガラス26の左右端を支持しているフロントピラー28と、フロントピラー28に連なり下方に延設したサブピラー31と、サブピラー31やフロントピラー28で支持しているサブウインドウガラス32と、サブピラー31、フロントピラー28間に配置しているインストルメントパネル33と、前側方視認装置11と、を備える。
【0023】
ドアミラー14は、車室13の外で、左前ドア25の前上部35に取付けた支持部36と、光を反射して後方(矢印a1の方向)の像を映すドアミラー本体38と、ドアミラー本体38を支持しているドアミラーハウジング41と、を備えている。
【0024】
支持部36は、ドアミラーハウジング41を回動自在に、つまり、折り畳めるように支持している。
ドアミラーハウジング41は、樹脂製で、箱状に成形され、車両12の前方(矢印a3の方向)へ向いている前側部43、前側部43に連なる内側部44、外側部45、を有する。前側部43の下部47に一体に第1の反射鏡15が形成されている。
【0025】
第1の反射鏡15は、凸面鏡で、凸面の半径や凸面の向きは、車両12の左前の側方(図3(a)参照)が第2の反射鏡16に映るように設定されている。
第2の反射鏡16は、平面鏡である。
【0026】
次に、本発明の実施例1に係る車両の前側方視認装置11を主体に図1〜図2、図4で説明する。
車両の前側方視認装置11は、車両12のフロントピラー28及びフロントピラー28の途中から下方に延設したサブピラー31に支持されているサブウインドウガラス32と、サブウインドウガラス32の近傍に配置され車両後方側(矢印a1の方向)を映すドアミラー14のミラーハウジング(ドアミラーハウジング41)と、ミラーハウジング(ドアミラーハウジング41)の前面(前側部43)に設けられて下方から車両12側方(図3(a)の側方視認限位置51)及び前方(図3(a)の前視認限位置52)までの所望の範囲の第1対象物53、第2対象物54を映す第1の反射鏡15と、第1の反射鏡15で反射させてサブウインドウガラス32を透過させた光を乗員(図3、図4の運転手Sn)へ向けて反射させることで第1対象物53、第2対象物54を映す、フロントピラー28の車室内側面55に設けられた第2の反射鏡16と、を備え、サブウインドウガラス32近傍の助手席23の乗員An(図4参照)と近傍の座席56のうち少なくとも一方からサブウインドウガラス32に入射して第2の反射鏡16へ向かう反射光57を形成する入射光58が遮られる遮蔽部材61を備えている。
【0027】
遮蔽部材61は、サブウインドウガラス32へ向いている外面62に、反射率の低い色の膜と反射率の低い表面形状のうち少なくとも一方が形成されている。
反射率の低い色は、例えば艶消し黒のような光沢のない濃色系の色である。
反射率の低い表面形状は、表面を粗くした鏡面でないもの、光沢のないものである。
【0028】
遮蔽部材61は、具体的には、サブピラー31に取付けられた遮蔽板であり、サブピラー31の内装部材64に取付けられている。車両12の平面視(図4の視点)で、助手席23の座席56のシートバック65にほぼ平行に車室13の中央へ向かって張り出している。言い換えると、垂直で、対向している運転席24側のサブピラー31へ向かって張り出している。
【0029】
なお、遮蔽部材61の大きさは、車両12の条件によって異なり、第2の反射鏡16に助手席23の座席56や助手席23の乗員Anが映らないように光を遮る大きさであればよい。
【0030】
次に、本発明の実施例1に係る車両12の前側方視認装置11の作用を図3、図4で説明する。図3(a)は平面図、図3(b)は図3(a)のb矢視図である。
ここでの条件は、車両12の左前の側方且つ、下方、換言すると左前輪近傍に第1対象物53、第2対象物54を配置した。運転者Snの体型は標準とする。
【0031】
前側方視認装置11は、運転席24の座席67に座った運転者Snが、左前方(矢印a4の方向)を向いて、第2の反射鏡16を見ると、図3(b)に示す通り、目に死角の第1対象物53、第2対象物54からの反射光が達するので、第2の反射鏡16で死角を視認することができる。
【0032】
具体的には、第1対象物53、第2対象物54からの反射光が第1の反射鏡15で反射光となり、第1の反射鏡15の反射光は第2の反射鏡16に達し、第2の反射鏡16によって反射光は目に入っていくので、図3(b)のように死角内の様子を見ることができ、死角を視認することができる。
【0033】
車両12の前側方視認装置11は、図4に示す通り、乗員(運転者)Snが第2の反射鏡16を見ると(矢印a4の方向)、第2の反射鏡16は、図3(b)に示す通り、第1対象物53、第2対象物54を映すが、遮蔽部材61によって、助手席23の座席56や助手席23の乗員Anを第2の反射鏡16に映さない。従って、乗員(運転者)Snは、助手席23の座席56や助手席23の乗員Anの映り込まない画像(第1対象物53、第2対象物54)を見ることができる。従って、第2の反射鏡16の視認性が向上する。
【0034】
遮蔽部材61が、座席56や助手席23の乗員Anから第2の反射鏡16へ進行する光58を遮ると、第2の反射鏡16に座席56や助手席23の乗員Anが映らない。
【0035】
サブウインドウガラス32近傍の座席56とサブウインドウガラス32との間の光路(光58を対象)をサブピラー31に遮蔽板(遮蔽部材61)を取付けるだけで遮蔽でき、構造が簡単である。
また、遮蔽板(遮蔽部材61)を後付けすることができるという利点がある。
【実施例2】
【0036】
次に、実施例2に係る車両12の前側方視認装置11Bを図5で説明する。図5は図1に対応する図である。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0037】
車両12の前側方視認装置11Bは、遮蔽部材61Bを備えていることを特徴とする。
遮蔽部材61Bは、サブピラー31を車室13内側に突出させた部位であり、サブピラー31の内装部材64を樹脂成形金型で成形する際に一体に成形されている。
【0038】
実施例2に係る車両12の前側方視認装置11Bは、実施例1に係る車両12の前側方視認装置11と同様の作用、効果を発揮する。
つまり、第2の反射鏡16の視認性が向上する。
【0039】
加えて、実施例2に係る車両12の前側方視認装置11Bは、サブウインドウガラス32近傍の座席56とサブウインドウガラス32との間の光路をサブピラー31を車室13内側に突出させるだけで遮蔽でき、別部材を必要とせず、より構造が簡単であるという利点がある。
【実施例3】
【0040】
実施例3に係る車両12の前側方視認装置11Cを図6で説明する。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
車両12の前側方視認装置11Cは、サブウインドウガラス支持機構71を備えていることを特徴とする。
【0041】
サブウインドウガラス支持機構71は、第2の反射鏡16に、サブピラー31近傍の助手席23の乗員Anと座席56のうち少なくとも一方が映らないように、サブウインドウガラス32Cへの入射光58をサブピラー31で遮る位置にサブウインドウガラス32Cが配置されている。
【0042】
サブウインドウガラス32Cは、2点鎖線で示す実施例1のサブウインドウガラス32に比べ、車両12の外側へ(矢印a5の方向)オフセットされている。そして、サブウインドウガラス32Cの周囲73と周囲73近傍の内面74のみ支持されている。
なお、サブウインドウガラス支持機構71は、シールするシール部材75と、シール部材75が取付けられるコーナ部76と、を備える。コーナ部76は、フロントピラー28と、サブピラー31と、サブピラー31の下端とフロントピラー28に接続している下枠部77とで形成された3角形の窓枠である。
【0043】
実施例3に係る車両12の前側方視認装置11Cは、実施例1に係る車両12の前側方視認装置11と同様の作用、効果を発揮する。
つまり、第2の反射鏡16の視認性が向上する。
【実施例4】
【0044】
実施例4に係る車両12の前側方視認装置11Dを図7、図8で説明する。図8(a)は通常状態のドアミラー14Dの斜視図、図8(b)は格納状態のドアミラー14Dの斜視図である。上記図1〜図4に示す実施例1と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0045】
実施例4に係る車両12の前側方視認装置11Dは、車両12のフロントピラー28よりも車両12の後方(矢印a1の方向)に配置されて、車両12後方(矢印a1の方向)を映すドアミラー14Dのミラーハウジング(ドアミラーハウジング)41Dと、ミラーハウジング(ドアミラーハウジング)41Dの前面(前側部43)に設けられて下方から車両12側方(図3(a)の側方視認限位置51)及び前方(図3(a)の前視認限位置52)までの所望の範囲の第1対象物53、第2対象物54を映す第1の反射鏡15Dと、第1の反射鏡15Dで反射した光を乗員(図3、図4の運転手Sn)へ向けて反射させることで第1対象物53、第2対象物54を映す第2の反射鏡16と、を備え、第1の反射鏡15Dの反射光のうち乗員(運転手Sn)へ向かう反射光81を遮蔽する遮蔽部材61Dを備えていることを特徴とする。
【0046】
ドアミラー14Dは、第1の反射鏡15Dを有し、第1の反射鏡15Dは、車両12の前方(矢印a6の方向)へ向いている前側部43に設けた通常反射部83と、前側部43に連なる内側部44に設けた格納反射部84と、からなる。
格納反射部84は、ドアミラー14Dを矢印b1のように回動させた図8(b)の格納状態のときに、第1対象物53、第2対象物54を映すものである。
「通常状態」とは、ドアミラー14Dで車両12の後方(矢印a1の方向)を視認できる状態であり、図7及び図8(a)の状態である。
【0047】
遮蔽部材61Dは、サブピラー31に取付けられた遮蔽板であり、サブピラー31の内装部材64に取付けられている。通常状態のとき、運転手Snから見て、格納反射部84が隠れる大きさである。
なお、遮蔽部材(遮蔽板)61Dは、内装部材64に固定されているが、人間や荷物が遮蔽部材(遮蔽板)61Dに接触したときに、回動可能(矢印b2の方向)に回動機構(図に示していない)で支持することも可能である。
【0048】
実施例4に係る車両12の前側方視認装置11Dでは、図7に示す通り、乗員(運転手)Snが視線をドアミラー14Dや第2の反射鏡16へ指向すると、遮蔽部材(遮蔽板)61Dによって、格納反射部84は隠れて、見えない。従って、ドアミラー14Dや第2の反射鏡16を見る際に、直接第1の反射鏡15D、詳しくは格納反射部84が見えず、煩わしさを低減することができるという利点がある。
【0049】
加えて、サブピラー31に遮蔽板61Dを取付けるだけで第1の反射鏡15Dの格納反射部84を遮蔽でき、構造が簡単である。
また、遮蔽板61Dを後付けすることができるという利点がある。
【実施例5】
【0050】
実施例5に係る車両12の前側方視認装置11Eを図9で説明する。上記図1〜図4の実施例1、図7並びに図8の実施例4と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0051】
実施例5に係る車両12の前側方視認装置11Eは、遮蔽部材61Eを備えることを特徴とする。遮蔽部材61Eは、サブピラー31を車室13内側に突出させた部位で、詳しくは、車両12の後方(矢印a1の方向)へ向けてより膨出させている。そして、サブピラー31の内装部材64を樹脂成形金型で成形する際に一体に成形されている。
【0052】
実施例5に係る車両12の前側方視認装置11Eは、実施例4に係る車両12の前側方視認装置11Dと同様の作用、効果を発揮する。つまり、ドアミラー14Eや第2の反射鏡16を見るときに、直接第1の反射鏡15D、詳しくは格納反射部84が見えず、煩わしさを低減することができるという利点がある。
【0053】
車両12の前側方視認装置11Eは、サブピラー31を車室13内側に突出させるだけで、第1の反射鏡15D、詳しくは格納反射部84を遮ることができ、別部材を必要とせず、より構造が簡単であるという利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の車両の前側方視認装置は、車両の左前輪の近傍を鏡で視認する装置に好適である。
【符号の説明】
【0055】
11…車両の前側方視認装置、12…車両、14…ドアミラー、15…第1の反射鏡、16…第2の反射鏡、28…フロントピラー、31…サブピラー、32…サブウインドウガラス、41…ミラーハウジング(ドアミラーハウジング)、43…ミラーハウジングの前面(前側部)、53…第1対象物、54…第2対象物、55…フロントピラーの車室内側面、56…近傍の座席、57…第2の反射鏡へ向かう反射光、58…入射光、61…遮蔽部材、61B…遮蔽部材(突出させた部位)、61D…遮蔽部材、62…遮蔽部材の外面、An…サブウインドウガラス近傍の乗員、Sn…乗員(運転手)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントピラー及び該フロントピラーの途中から下方に延設したサブピラーに支持されているサブウインドウガラスと、該サブウインドウガラスの近傍に配置され前記車両後方側を映すドアミラーのミラーハウジングと、該ミラーハウジングの前面に設けられて下方から前記車両側方及び前方までの所望の範囲の対象物を映す第1の反射鏡と、該第1の反射鏡で反射させて前記サブウインドウガラスを透過させた光を乗員へ向けて反射させることで前記対象物を映す、前記フロントピラーの車室内側面に設けられた第2の反射鏡と、を備えた車両の前側方視認装置であって、
前記サブウインドウガラス近傍の乗員と座席のうち少なくとも一方から前記サブウインドウガラスに入射して前記第2の反射鏡へ向かう反射光を形成する入射光が遮られる遮蔽部材を備えていることを特徴とする車両の前側方視認装置。
【請求項2】
前記車両のフロントピラーよりも前記車両の後方に配置されて、前記車両後方を映すドアミラーのミラーハウジングと、該ミラーハウジングの前面に設けられて下方から前記車両側方及び前方までの所望の範囲の対象物を映す第1の反射鏡と、該第1の反射鏡で反射した光を乗員へ向けて反射させることで前記対象物を映す第2の反射鏡と、を備えた車両の前側方視認装置であって、
前記第1の反射鏡の反射光のうち前記乗員へ向かう反射光を遮蔽する遮蔽部材を備えていることを特徴とする車両の前側方視認装置。
【請求項3】
前記遮蔽部材は、前記サブウインドウガラスへ向いている外面に、反射率の低い色の膜と反射率の低い表面形状のうち少なくとも一方が形成されていることを特徴とする請求項1記載の車両の前側方視認装置。
【請求項4】
前記遮蔽部材は、前記サブピラーに取付けられた遮蔽板であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の前側方視認装置。
【請求項5】
前記遮蔽部材は、前記サブピラーを車室内側に突出させた部位であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の前側方視認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−5891(P2011−5891A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−148884(P2009−148884)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】