説明

車両の前部構造

【課題】車両の衝突時に、ラジエータ支持部材に対する局所的な衝突荷重の入力を回避して、ラジエータ支持部材の変形に伴う熱交換器の破損を抑制することが可能な車両の前部構造の提供。
【解決手段】ラジエータ支持部材は、サイド部に設けられ、車両前方からの衝突荷重が入力されたときに車両後方へ移動するバンパビーム6と接触する凹設部25と、サイド部に設けられ、凹設部25よりも上方で且つ車両前方側に位置するように突出するヘッドランプ支持部材26と、凹設部25よりも下方で且つ車両前方側に位置するように突出するロア部23と、を備え、バンパビーム6、ヘッドランプ支持部材26、ロア部23の各々の前端部は、バンパビーム6が凹設部25と接触したときに、側面視で略鉛直線上に位置するように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部構造に係り、特に、ラジエータ等の熱交換器を支持するラジエータ支持部材が配設された車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両の前部に配設される前部構造としては、ラジエータやコンデンサといった熱交換器を支持するためのラジエータ支持部材が、フロントサイドメンバ等の車体フレームの前端部に固定され、このラジエータ支持部材の車両前方側に、バンパビームが配設されているものが広く知られている。
【0003】
一般に、この種の車両では、立壁に前面衝突して、衝突時の衝突荷重がフロントバンパに入力されると、バンパビームが車両後方へ移動してラジエータ支持部材と接触し、この接触により衝突荷重がラジエータ支持部材に作用することとなる。この場合、ラジエータ支持部材への衝突荷重の大きさによっては、衝突荷重が、ラジエータ支持部材のバンパビームとの接触部分に局所的に作用することとなり、その結果、ラジエータ支持部材が上記接触部分を中心として折曲変形してしまい、これに支持される熱交換器も破損してしまうという不都合があった。
【0004】
そこで、例えば、車体フレームに連結されると共に、熱交換器の側部に取り付けられるラジエータサポートサイドに、クラッシュボックスを設け、このクラッシュボックスにバンパビームを連結する技術が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
このような車両の前部構造によれば、前面衝突時の衝突荷重が、バンパビームとクラッシュボックスとの双方により有効に吸収されるため、特に、軽衝突時における衝突初期においては、衝突荷重がラジエータ支持部材に作用する前に、クラッシュボックス等により吸収され、これにより、ラジエータ支持部材の変形に伴う熱交換器の破損を抑制することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−219869号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ここで、特許文献1に記載のラジエータ支持部材には、その上側両側端部のそれぞれに、ヘッドランプ等の灯具を取り付けるための灯具取付部が、ラジエータサポートサイドの前端部よりも車両前方側に位置するように突出して設けられている。
【0008】
このため、前面衝突時における衝突荷重がクラッシュボックス等により十分に吸収される前に、上記灯具取付部が立壁面に接触する可能性がある。斯かる場合、衝突荷重がラジエータ支持部材の上側部分に局所的に入力されるため、ラジエータ支持部材は、ラジエータサポートサイドと車体フレームとの連結部分を中心とする回転モーメントの作用により、この連結部分を中心として折曲変形し、これに伴って、熱交換器も破損してしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明は、上記不都合を解決するためになされたものであり、その目的は、車両の衝突時に、ラジエータ支持部材に対する局所的な衝突荷重の入力を回避して、ラジエータ支持部材の変形に伴う熱交換器の破損を抑制することが可能な車両の前部構造
を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題は、本発明に係る車両の前部構造によれば、車幅方向に沿って延設されるアッパ部と、該アッパ部の車幅方向両側から下方へ向けて延設される一対のサイド部と、該一対のサイド部の下端同士を連結するロア部とを有し、熱交換器を支持するラジエータ支持部材と、前記サイド部の車両前方で車幅方向に沿って延設されるバンパビームとを備えた車両の前部構造であって、前記ラジエータ支持部材は、前記サイド部に設けられ、車両前方からの衝突荷重が入力されたときに車両後方へ移動する前記バンパビームと接触する接触部と、少なくとも前記アッパ部又は前記サイド部の何れか一方に設けられ、前記接触部よりも上方で且つ車両前方側に位置するように突出する上側突設部と、少なくとも前記サイド部又は前記ロア部の何れか一方に設けられ、前記接触部よりも下方で且つ車両前方側に位置するように突出する下側突設部と、を備え、前記バンパビーム、前記上側突設部、前記下側突設部の各々の前端部は、前記バンパビームが前記接触部と接触したときに、側面視で略鉛直線上に位置するように配置されることにより解決される。
【0011】
以上のように、上記構成では、車両が立壁に前面衝突をして、バンパビームが、ラジエータ支持部材を構成するサイド部の接触部に接触した状態では、衝突荷重が、バンパビームの前端部、接触部の上方に突設される上側突設部の前端部、接触部の下方に突設される下側突設部の前端部のそれぞれに対して、略同時に作用するように構成されている。
【0012】
すなわち、車両が前面衝突をした際、ラジエータ支持部材には、バンパビーム、このバンパビームの上方に位置する上側突設部及び下方に位置する下側突設部の3箇所を介し、衝突荷重が分散して入力されることとなるため、ラジエータ支持部材の局所的な変形を抑制することが可能となる。従って、特に、衝突の態様が軽衝突時である場合には、ラジエータ支持部材の変形を低減させることが可能なため、これに支持される熱交換器の破損を効果的に抑制することが可能となる。
【0013】
このとき、前記サイド部は、車両後方へ向けて凹設されると共に前記車両後方へ移動するバンパビームの進入を許容する凹設部を有し、前記接触部は、前記凹設部に設けられていると好適である。
【0014】
このように構成すれば、バンパビームと接触する接触部を車両後方側に位置させることが可能なため、上側突出部及び下側突出部の車両前方側への突出量を少なくすることができる。従って、車両前方側への上側突出部及び下側突出部の突出量の短縮により、ラジエータ支持部材の前方側のスペースの縮小化を図ることが可能となる。
【0015】
また、前記ラジエータ支持部材は、車幅方向両側で車両前後方向に沿って延設される一対の車体フレームに連結部を介して連結され、前記連結部は、前記ラジエータ支持部材及び前記車体フレームよりも脆弱な脆弱部を有すると好適である。
【0016】
このように構成すれば、バンパビーム、上側突出部及び下側突出部を介して、衝突荷重がラジエータ支持部材に作用した場合、その衝突荷重は、脆弱部を有する連結部によって効果的に吸収されるため、ラジエータ支持部材の変形に伴う熱交換器の損傷を一段と抑制することが可能となる。
【0017】
さらに、前記上側突設部は、灯具を取り付けるための灯具支持部材であると好適である。
【0018】
上記構成では、多くの車両に設けられる、ヘッドランプ等の灯具を取り付けるための灯具支持部材を利用して、上部突設部を構成することができる。従って、上部突設部として特別な部材等を用意する必要がないため、部品点数の削減を図ることが可能である。
【0019】
このとき、前記灯具は、前記灯具支持部材の前端部よりも車両前方側へ位置するように突出して取り付けられ、前記灯具支持部材は、前記灯具に前記衝突荷重が入力されたときに、前記灯具の取付状態を解除する取付解除部を有すると好適である。
【0020】
上記構成では、車両が前面衝突をしたときに、灯具を介して灯具支持部材に衝突荷重が作用するように構成され、この際、灯具は、衝突荷重の作用により車両から離脱されるように構成されている。すなわち、仮に、このような車両において、灯具が車両から離脱しない構成である場合には、バンパビームが接触部と接触する前に、灯具及び灯具支持部材を介した衝突荷重が、ラジエータ支持部材の上側部分に対して局所的に入力される可能性があり、斯かる場合、ラジエータ支持部の変形及びこれに伴った熱交換器の損傷といった事態を招く恐れがあるが、上記構成では、そのような問題を回避することが可能である。
【0021】
また、前記下側突設部は、前記ロア部自体を車両前方へ突設させることにより構成されていると好適である。
【0022】
上記構成では、前記ロア部自体を車両前方へ突設させるという簡単な構成により、下側突設部をラジエータ支持部材に設けることができ、下部突設部として特別な部材等を用意する必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0023】
さらに、前記下側突設部の下部には、第2の下側突設部が、接続部を介して前記下側突設部の前端部よりも車両前方側に位置するように突出して設けられ、前記接続部は、衝突荷重が入力されたときに、前記下側突設部と前記第2の下側突設部との接続状態を解除する接続解除部を有すると好適である。
【0024】
上記構成では、車両が前面衝突をしたときに、下側突設部よりも先に第2の下側突設部に対して衝突荷重が作用するように構成されており、この際、第2の下側突設部は、衝突荷重の作用により下側突設部から離脱されるよう構成されている。すなわち、このような車両が前面衝突をした場合において、仮に、第2の下側突設部が下側突設部から離脱しない構成であると、バンパビームが接触部と接触する前に、第2の下側突設部及び下側突設部を介した衝突荷重が、ラジエータ支持部材の下側部分に対して局所的に入力される可能性がある。斯かる場合、ラジエータ支持部材の変形及びこれに伴った熱交換器の損傷といった事態を招く恐れがあるが、上記構成では、そのような問題を回避することが可能である。
【発明の効果】
【0025】
以上のように、本発明に係る車両の前部構造によれば、車両の前面衝突時において、ラジエータ支持部材の変形を低減させることが可能なため、これに支持される熱交換器の破損を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本実施形態に係る車両の前部構造を示す斜視図である。
【図2】図1の分解斜視図である。
【図3】サイド部の要部拡大断面図であり、(a)はラジエータ支持部材に衝突荷重が作用する前の状態を示し、(b)はラジエータ支持部材に衝突荷重が作用した後の状態を示す図である。
【図4】ヘッドランプ支持部材の斜視図である。
【図5】ロア部及び足払い部材の要部拡大分解斜視図である。
【図6】車両の前部構造の側面模式図であり、(a)はバンパビームに衝突荷重が作用した衝突初期の状態を示し、(b)は(a)の後更にバンパビームに衝突荷重が作用した状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。図1は本実施形態に係る車両の前部構造を示す斜視図、図2は図1の分解斜視図、図3はサイド部の要部拡大断面図であり、(a)はラジエータ支持部材に衝突荷重が作用する前の状態を示し、(b)はラジエータ支持部材に衝突荷重が作用した後の状態を示す図、図4はヘッドランプ支持部材の斜視図、図5はロア部及び足払い部材の要部拡大分解斜視図、図6は車両の前部構造の側面模式図であり、(a)はバンパビームに衝突荷重が作用した衝突初期の状態を示し、(b)は(a)の後更にバンパビームに衝突荷重が作用した状態を示す図である。なお、図中FRは車両前方を、UPは車両上方を、INは車幅方向内側を示す。また、以下の説明における左右方向は車両前方を向いた状態での左右方向を意味する。
【0028】
図1乃至図3に示すように、本実施形態に係る車両1の前部構造2は、車幅方向両側で車両前後方向に沿って延設される左右一対のフロントサイドフレーム3、3と、フロントサイドフレーム3の下部に配設されるサブフレーム4と、フロントサイドフレーム3の前部3aに固定されるラジエータ支持部材5と、ラジエータ支持部材5の前方に配設されるバンパビーム6とを備えている。なお、上記フロントサイドフレーム3と、ラジエータ支持部材5と、バンパビーム6とがそれぞれ特許請求の範囲に記載の車体フレームと、ラジエータ支持部材と、バンパビームとに該当する。
【0029】
フロントサイドフレーム3は、鋼板製の部材からなり、閉断面形状に形成されている。このフロントサイドフレーム3の前部3aには、その前端部に、後述するラジエータ支持部材5を構成するインナパネル32を固定するためのフランジ部3bが形成されていると共に、その下部に、サブフレーム4を支持するためのマウントブラケット7が下方へ向けて突出して設けられている。
【0030】
サブフレーム4は、フロントサイドフレーム3と同様に、鋼板製の部材からなり、閉断面形状に形成されている。このサブフレーム4は、車両前後方向に間隔をおいて車幅方向に延設される前後一対のクロスメンバ(図示省略)と、一対のクロスメンバの両端にそれぞれ連結され、車幅方向両側で車両前後方向に延設される左右一対のサイドレール10、10とを備えている。また、本実施形態では、一対のサイドレール10、10の前端部10a、10a同士を連結するクロスメンバ11が配設されている。
【0031】
また、サブフレーム4は、サイドレール10の前端部10aと後端部(図示省略)とを、それぞれマウントブラケット7とフロントサイドフレーム3とに固定することにより、フロントサイドフレーム3の下方に配設されるようになっている。
【0032】
次に、ラジエータ支持部材5について説明する。
図1乃至図3及び図6に示すように、ラジエータ支持部材5は、鋼板製の部材により枠状に形成されるラジエータ支持部材本体部20と、ラジエータ支持部材本体部20に取り付けられる左右一対のヘッドランプ支持部材26、26とを備えている。なお、上記ヘッドランプ支持部材26が特許請求の範囲に記載の上側突設部及び灯具支持部材に該当する。
【0033】
ラジエータ支持部材本体部20は、車幅方向に沿って延設されるアッパ部21と、アッパ部21の車幅方向両端部21aからそれぞれ下方へ向けて延設される左右一対のサイド部22、22と、一対のサイド部22、22の下端部同士を連結するロア部23とを備え、ラジエータ50及びコンデンサ51を支持する。なお、上記アッパ部21と、サイド部22と、ロア部23と、ラジエータ50及びコンデンサ51とがそれぞれ特許請求の範囲に記載のアッパ部と、サイド部と、ロア部及び下側突設部と、熱交換器とに該当する。
【0034】
ラジエータ50及びコンデンサ51の上部と、側部と、下部とは、それぞれアッパ部21と、サイド部22と、ロア部23とに対して、ボルト等により締結固定されている。
【0035】
このように本実施形態に係るラジエータ支持部材本体部20は、鋼板製の部材により枠状に形成されているうえ、ラジエータ50及びコンデンサ51の上部及び下部がそれぞれアッパ部21及びロア部23に固定されているため、ラジエータ支持部材本体部20の剛性は、ラジエータ50及びコンデンサ51が取り付けられた状態でより高いものとなっている。なお、本実施形態では、ラジエータ支持部材本体部20に、ラジエータ50及びコンデンサ51といった2つの熱交換器を固定するように構成したが、ラジエータ50又はコンデンサ51の何れか一方のみを固定するように構成しても良く、又、3つ以上の熱交換器を固定するように構成しても良い。
【0036】
サイド部22は、鋼板製の部材により形成され、断面略L字状に形成されるアウタパネル31と、アウタパネル31の車両後方側に配置されるインナパネル32とを備えている。アウタパネル31及びインナパネル32は、溶接等により相互に接合され、これにより、アウタパネル31とインナパネル32との間に、閉断面が形成されるようになっている。なお、上記インナパネル32が特許請求の範囲に記載の連結部に該当する。
【0037】
インナパネル32は、アウタパネル31に接合されるアウタパネル接合部32aと、アウタパネル接合部32aから車幅方向外側へ向けて延設され、フロントサイドフレーム3及び後述するバンパステー8を取り付けるためのフロントサイドフレーム・バンパステー取付部32bと、アウタパネル接合部32aとフロントサイドフレーム・バンパステー取付部32bとの間に設けられる脆弱部32cとを備えている。なお、上記脆弱部32cが特許請求の範囲に記載の脆弱部に該当する。
【0038】
フロントサイドフレーム3及び後述するバンパステー8は、それぞれフロントサイドフレーム・バンパステー取付部32bを介してボルト等により締結固定される。
【0039】
本実施形態では、脆弱部32cとして、インナパネル32の所定位置に開口部32dを形成することにより、その剛性を低下させるようにしている。
このため、図3(b)に示すように、ラジエータ支持部材5にフロントサイドフレーム3に取り付けた状態において、ラジエータ支持部材5に車両前方からの衝突荷重Pが入力されると、サイド部22を構成するインナパネル32は、その衝突荷重Pの作用により、開口部32dが形成された部位を中心として車両後方へ向けて折曲変形するようになっている。この際、ラジエータ支持部材5は、インナパネル32の折曲変形に伴って、車両後方へ移動することとなる。なお、本実施形態では、脆弱部32cとして、開口部32dを形成することにより他の部位よりもその剛性を低下させるように構成したが、これに限られず、例えば、薄肉化等することによりその剛性を低下させることも可能である。
【0040】
また、サイド部22は、その上端部と、高さ方向中央部とに、それぞれヘッドランプ支持部材26を取り付けるためのヘッドランプ支持部材取付部24と、側面視で車両後方へ向けて凹設される凹設部25とが設けられている。なお、上記凹設部25が特許請求の範囲に記載の凹設部に該当する。
【0041】
ヘッドランプ支持部材取付部24の所定位置には、ボルト等によりヘッドランプ支持部材26を取り付けることが可能なヘッドランプ支持部材取付用孔24aが複数形成されている。
【0042】
凹設部25は、略平面状に形成される後面部25aと、後面部25aの上下方向両端部から曲折し車両前方へ向けて延びる上下傾斜面部25b、25bとを備えている。なお、上記後面部25aが特許請求の範囲に記載の接触部に該当する。
【0043】
後面部25aは、正面視略矩形形状を有し、略水平に配設されるバンパビーム6と高さ方向において略同一の高さに形成されていると共に、その高さ方向の幅がバンパビーム6の高さ方向の幅よりも大きく形成されている。
【0044】
上下傾斜面部25b、25bは、車両前方へ向けて相互に離間するように形成されている。これにより、車両が立壁80に前面衝突した際、車両後方へ移動するバンパビーム6は、上下傾斜面部25b、25bにより円滑に案内されて、後面部25aと接触することが可能となっている。
【0045】
次に、図2、図5及び図6に基づいてラジエータ支持部材本体部20のロア部23について説明する。
ロア部23は、正面視略矩形状に形成され、その前端部23aは、側面視でサイド部22に形成される凹設部25の後面部25aよりも車両前方側に位置するように配置されている。
【0046】
また、ロア部23の底壁部の所定位置には、ボルト81のねじ部81aが挿通可能な足払い部材60取付用のボルト挿通孔23bが複数形成されている。なお、上記足払い部材60が特許請求の範囲に記載の第2の下側突設部に該当する。
【0047】
ここで、図2、図5及び図6に基づいて足払い部材60について説明する。
足払い部材60は、車幅方向に沿って延設される断面略矩形状の足払い部材本体部60aと、足払い部材本体部60aの上壁部から上方へ突出して設けられる断面略L字状の連結部60bとを備えている。
【0048】
連結部60bの上壁部の所定位置には、ボルト81が挿通可能なラジエータ支持部材5取付用のボルト挿通孔61が形成されている。
【0049】
ボルト挿通孔61は、車両前後方向に沿って長孔状に形成されボルト81のねじ部81aが挿通可能な長孔部61aと、長孔部61aの車両前方側に連続して形成されナット82が貫通可能な大径部61bとを備えている。なお、上記大径部61bが特許請求の範囲に記載の接続解除部に該当する。
【0050】
足払い部材60は、ラジエータ支持部材5のロア部23に対して、そのボルト挿通孔61の長孔部61aとロア部23のボルト挿通孔23bとを整合させた状態で、長孔部61a及びボルト挿通孔23bにボルト81を上方から挿通し、ナット82を締め込むことにより締結固定される。また、足払い部材60は、ラジエータ支持部材5に対して固定された状態で、その前端部がロア部23の前端部よりも車両前方側に位置するように突出して配置される。
【0051】
ラジエータ支持部材5に対して固定された足払い部材60は、車両1が立壁80に前面衝突すると、ボルト81が挿通された長孔部61aに案内されながら車両後方へ移動し、その後、大径部61bがナット82の配置される位置に達したときに、ラジエータ支持部材5から離脱して、下方へ脱落されるように構成されている。
【0052】
次に、ヘッドランプ支持部材26について図2、図4及び図6に基づいて説明する。
ヘッドランプ支持部材26は、ラジエータ支持部材5に対して取り付けられるラジエータ支持部材取付部26aと、ラジエータ支持部材取付部26aの下端部から車幅方向外側で且つ車両後方へ曲折して延びるヘッドランプ下端支持部26bと、ヘッドランプ下端支持部26bの後端部に取り付けられるヘッドランプ後端支持部26cと、ヘッドランプ後端支持部26cの上端部から車両前方で且つ車幅方向内側へ向けて延びるヘッドランプ上端支持部26dとを備えている。本実施形態では、ラジエータ支持部材取付部26aとヘッドランプ上端支持部26dとは連結されておらず、これらの間には間隙26gが形成されている。なお、上記ラジエータ支持部材取付部26aが特許請求の範囲に記載の上側突設部に該当する。
【0053】
ラジエータ支持部材取付部26aは、断面略角柱状に形成され、その所定位置に、ラジエータ支持部材取付用のボルト挿通孔(図示省略)が複数形成されている。
【0054】
ラジエータ支持部材取付部26aは、ヘッドランプ支持部材26をラジエータ支持部材5に取り付けた状態で、その前端部が、側面視でロア部23の前端部23aの略延直線上に位置するように配置される。
【0055】
また、ラジエータ支持部材取付部26aとヘッドランプ下端支持部26bとが連結される部位には、ヘッドランプ支持部材26に対して車両前方から所定以上の衝突荷重が入力されたときに、切断される脆弱部26eが形成されている。脆弱部26eは、例えば、切欠きを形成したりやその肉厚を他の部位よりも薄肉にすること等により形成することが可能である。なお、上記脆弱部26eが特許請求の範囲に記載の取付解除部に該当する。
【0056】
ヘッドランプ下端支持部26b、ヘッドランプ後端支持部26c及びヘッドランプ上端支持部26dの所定位置には、それぞれヘッドランプ70取付用のボルト挿通孔26fが形成され、ヘッドランプ70は、そのハウジング(図示省略)に形成されたボルト挿通孔(図示省略)及びボルト挿通孔26fにボルト等を挿通して締め付けることにより、ヘッドランプ支持部材26に対して固定されるようになっている。
【0057】
ヘッドランプ70が取り付けられたヘッドランプ支持部材26を、ラジエータ支持部材5に対して固定した状態では、ヘッドランプ70の前端部が、ラジエータ支持部材取付部26aの前端部よりも車両前方側に位置するように配置される。なお、上記ヘッドランプ70が特許請求の範囲に記載の灯具に該当する。
【0058】
すなわち、ラジエータ支持部材本体部20、ヘッドランプ支持部材26及びヘッドランプ70が組み付けられた車両1が、立壁80に前面衝突すると、先ず、ヘッドランプ70が立壁80に接触するため、このとき、上側の衝突荷重p1は、ヘッドランプ70を介してヘッドランプ支持部材26に作用することとなる。
【0059】
そうすると、ヘッドランプ支持部材26は、衝突荷重p1の作用により脆弱部26eが形成された部位で切断されるため、斯かる場合、ラジエータ支持部材取付部26aを除く他の部分(ヘッドランプ下端支持部26b、ヘッドランプ後端支持部26c及びヘッドランプ上端支持部26d)は、ヘッドランプ70と共に脱落(落下)するようになっている。
【0060】
次に、図1乃至図3に基づいてバンパビーム6について説明する。
バンパビーム6は、バンパ(図示省略)の後方で車幅方向に沿って延設され、鋼板製の部材により断面略矩形形状に形成されている。
【0061】
また、バンパビーム6は、車幅方向両端部6a、6aよりも車幅方向中央部6bの方が車両前方に突出した湾曲形状に形成されている。
【0062】
バンパビーム6の車幅方向両端部6a、6aのそれぞれには、その後面側に多角筒状のバンパステー8がボルト等により固定されている。
【0063】
バンパビーム6は、ラジエータ支持部材5のフロントサイドフレーム・バンパステー取付部32bと、バンパステー8に形成されたフランジ部8aとをボルト等により締結固定することにより、ラジエータ支持部材5に対して取り付けられるようになっている。
【0064】
バンパビーム6が、ラジエータ支持部材5及びバンパステー8を介して、フロントサイドフレーム3に固定された状態では、バンパステー8がフロントサイドフレーム3の略延長線上に配置されるようになっている。また、この状態において、バンパビーム6は、ラジエータ支持部材5に形成される凹設部25の後面部25aと略同一の高さ位置に配置されるようになっている。
【0065】
バンパビーム6を凹設部25の後面部25aに接触させた状態では、バンパビーム6の車幅方向中央部6bの前端部が、側面視で、ロア部23の前端部23a及びラジエータ支持部材取付部26aの前端部の鉛直線上に並ぶように配置される。
【0066】
次に、前部構造2を備えた車両1が立壁80に衝突した場合について、図3乃至図6に基づいて説明する。
【0067】
図6(a)に示すように、前部構造2を備えた車両1が立壁80に衝突すると、バンパ(図示省略)を介してバンパビーム6に衝突荷重p2が入力され、バンパビーム6は、バンパステー8(図2参照)の軸圧縮変形を伴いながら、車両後方への移動を開始する。
【0068】
図5、図6(a)及び図6(b)に示すように、バンパビーム6の車両後方への移動が進行すると、先ず、足払い部材60の前端部が立壁80に接触し、衝突荷重p3が足払い部材60にも入力されることとなる。
【0069】
衝突荷重p3の作用により、足払い部材60がラジエータ支持部材5の底壁部上を摺動しながら、車両後方へ向けて所定距離移動すると、足払い部材60に形成されたボルト挿通孔61の大径部61bがナット82の配置される位置に達することとなる。大径部61bは、ナット82を貫通させることが可能な大きさを有しているため、足払い部材60は、大径部61bがナット82が配置されている位置まで車両後方へ移動したときに、ラジエータ支持部材5から離脱することとなる(図6(b))。
【0070】
図4、図6(a)及び図6(b)に示すように、バンパビーム6の車両後方への移動がさらに進行すると、次に、ヘッドランプ70の前端部が立壁80に接触し、衝突荷重p1がヘッドランプ70を介してヘッドランプ支持部材26に入力されることとなる。
【0071】
衝突荷重p1がヘッドランプ70を介してヘッドランプ支持部材26に伝達されると、その衝突荷重p1の作用により、ヘッドランプ支持部材26は、脆弱部26eが形成された位置で切断される。これにより、ヘッドランプ支持部材26は、ラジエータ支持部材取付部26aを除くその他の部分(ヘッドランプ下端支持部26b、ヘッドランプ後端支持部26c及びヘッドランプ上端支持部26d)がヘッドランプ70と共に離脱(落下)することとなる(図6(b))。
【0072】
図6(b)に示すように、その後、バンパビーム6の車両後方への移動がさらに進行すると、バンパビーム6は、ラジエータ支持部材5を構成する凹設部25の後面部25aと接触することとなる。このとき、本実施形態では、衝突荷重p2がバンパビーム6を介してラジエータ支持部材5の凹設部25に作用するのと略同じタイミングで、衝突荷重p1がヘッドランプ支持部材26のラジエータ支持部材取付部26aを介してラジエータ支持部材5のヘッドランプ支持部材取付部24に作用すると共に、衝突荷重p3がラジエータ支持部材5のロア部23に作用するように構成されている。すなわち、車両1が立壁80に前面衝突したときに、ラジエータ支持部材5には、その高さ方向の上側部分と、中央部分と、下側部分とに、それぞれ衝突荷重p1と、衝突荷重p2と、衝突荷重p3とが分散されて入力することとなるため、特に、その衝突の態様が軽衝突である場合には、ラジエータ支持部材5の変形を低減することが可能となる。
【0073】
図3(b)及び図6に示すように、その後、衝突荷重P(衝突荷重p1、衝突荷重p2及び衝突荷重p3)がラジエータ支持部材5に作用すると、ラジエータ支持部材5のサイド部22は、その衝突荷重Pの作用により、脆弱部32c、すなわち、サイド部22のうち最も脆弱な部位を中心として車両後方へ向けて折曲変形することとなる。この際、ラジエータ支持部材5は、この折曲変形の進行の度合いに応じて、車両後方へ移動することとなる。
【0074】
このように本実施形態によれば、車両1が立壁80に前面衝突をして、バンパビーム6が、ラジエータ支持部材5に形成される凹設部25の後面部25aと接触した状態では、衝突荷重が、凹設部25の後面部25a、凹設部25の上方で突設されるヘッドランプ支持部材26のラジエータ支持部材取付部26a、及び、凹設部25の下方で突設されるロア部23の前端部23aのそれぞれに対して略同時に作用するように構成されている。
【0075】
すなわち、車両1が前面衝突をした際、ラジエータ支持部材5には、衝突荷重が、凹設部25の後面部25aと、ヘッドランプ支持部材26のラジエータ支持部材取付部26aと、ロア部23の前端部23aとに分散して入力されることとなるため、ラジエータ支持部材5の局所的な変形を抑制することが可能となる。従って、特に、衝突の態様が軽衝突時である場合には、ラジエータ支持部材5の変形を低減させることが可能なため、これに支持されるラジエータ50及びコンデンサ51の破損を効果的に抑制することが可能となる。
【0076】
また、上記実施形態では、ラジエータ支持部材5を構成するサイド部22に、車両後方へ向けて凹設されると共に車両後方へ移動するバンパビーム6の進入を許容する凹設部25が形成されているため、バンパビーム6と接触する部位を車両後方側へ位置させることが可能となる。従って、車両前方へ向けて突出する、ヘッドランプ支持部材26のラジエータ支持部材取付部26a、及び、ラジエータ支持部材5のロア部23の突出量を短縮することが可能なため、ラジエータ支持部材の前方側のスペースの縮小化を図ることができる。
【0077】
また、上記実施形態では、ラジエータ支持部材5に、所定以上の衝突荷重が入力されたときに折曲変形される、脆弱部32cが設けられている。このため、衝突荷重がラジエータ支持部材5に作用した場合、その衝突荷重は、脆弱部32cによって効果的に吸収されるため、ラジエータ支持部材5の変形に伴うラジエータ50及びコンデンサ51の損傷を確実に抑制することが可能となる。
【0078】
さらに、上記実施形態では、多くの車両に設けられる、ヘッドランプ70を取り付けるためのヘッドランプ支持部材26を利用して、ラジエータ支持部材5の上側部分に突設部を設けることが可能である。従って、ラジエータ支持部材5の上側部分を突設させるため、特別な部材等を用意する必要がないため、部品点数の削減を図ることが可能である。
【0079】
また、ヘッドランプ70は、ヘッドランプ支持部材26のラジエータ支持部材取付部26aよりも車両前方側へ位置するように突出して取り付けられ、ヘッドランプ支持部材26には、ヘッドランプ70に対して衝突荷重Pが作用したときに、ヘッドランプ70の取付状態を解除する脆弱部26eが形成されている。
【0080】
すなわち、上記実施形態では、車両1が立壁80に前面衝突をしたときに、ヘッドランプ支持部材26よりも先にヘッドランプ70に衝突荷重が作用するように構成されているが、ヘッドランプ70に衝突荷重が作用した際、ヘッドランプ70は、衝突荷重の作用により車両1から離脱されるようになっている。仮に、このような車両において、ヘッドランプ70が車両1から離脱しない構成である場合には、バンパビーム6がラジエータ支持部材5と接触する前に、ヘッドランプ支持部材26及びヘッドランプ70を介した衝突荷重が、ラジエータ支持部材5の上側部分に対して局所的に入力される可能性があり、斯かる場合、ラジエータ支持部材5の変形及びこれに伴ったラジエータ50及びコンデンサ51の損傷といった事態を招く恐れがある。しかし、上記実施形態のように、衝突荷重が作用したときに、ヘッドランプ70がヘッドランプ支持部材26から離脱する構成では、そのような問題を回避することが可能である。
【0081】
さらに、上記実施形態では、ラジエータ支持部材5の下側部分を構成するロア部23自体を車両前方側へ突設させている。すなわち、上記実施形態では、この下側部分を突設させる部材として特別な部材等を用意する必要がないため、部品点数の削減を図ることができる。
【0082】
また、上記実施形態では、ラジエータ支持部材5を構成するロア部23の底壁部には、足払い部材60が、連結部60bを介してロア部23の前端部23aよりも車両前方側に位置するように突出して取り付けられ、この連結部60bには、衝突荷重が足払い部材60に作用したきに、ラジエータ支持部材5と足払い部材60との連結状態を解除するボルト挿通孔61が形成されている。
【0083】
すなわち、上記実施形態では、車両1が立壁80に前面衝突をしたときに、ロア部23よりも先に足払い部材60に衝突荷重が作用するように構成されているが、足払い部材60に衝突荷重が作用したときに、足払い部材60は、衝突荷重Pの作用によりロア部23から離脱されるようになっている。仮に、このような車両において、足払い部材60が
ロア部23から離脱しない構成である場合には、バンパビーム6がラジエータ支持部材5と接触する前に、足払い部材60を介した衝突荷重が、ラジエータ支持部材5の下側部分に対して局所的に入力される可能性があり、斯かる場合、ラジエータ支持部材5の変形及びこれに伴ったラジエータ50及びコンデンサ51の損傷といった事態を招く恐れがある。しかし、上記実施形態のように、衝突荷重Pが作用したときに、足払い部材60がロア部23から離脱する構成では、そのような問題を回避することが可能である。
【0084】
なお、上記実施形態では、ラジエータ支持部材5に、これとは別体のヘッドランプ支持部材26を取り付けるように構成したが、これに限られず、これらを一体的に形成することも可能である。また、本実施形態では、灯具支持部材としてヘッドランプ70を固定するものを例示したが、それ以外の灯具を支持するものであってもよい。さらに、上記実施形態では、ラジエータ支持部材5にヘッドランプ支持部材26を取り付けることにより、ヘッドランプ支持部材26の上側部分を車両前方側に突出させたが、ヘッドランプ支持部材26を設けずに、例えば、ラジエータ支持部材5を構成するアッパ部21自体を車両前方側へ突出させてもよい。
【0085】
上記実施形態では、ラジエータ支持部材5に凹設部25を形成したが、バンパビーム6がラジエータ支持部材5と接触した際に、バンパビーム6の前端部、ヘッドランプ支持部材26等の上側突設部の前端部、ロア部23等の下側突設部の前端部とが側面視で略鉛直線上に配置されるのであれば、凹設部25を省略することも可能である。
【0086】
また、本実施形態では、ラジエータ支持部材5を構成するロア部23自体を車両前方側に突出させることにより下側突設部を構成したが、例えば、サイド部22又はロア部23に対して別の部材を固定することにより、下側突設部を設けることも可能である。
【0087】
本実施形態では、ラジエータ支持部材5のロア部23の下部に、第2の下側突設部材として足払い部材60を設けたが、ロア部23の前端部よりも車両前方側に突出して設けられると共に衝突荷重が入力されたときに離脱するものであれば、その他の部材を設けることも可能である。また、このような下側突設部材は、必ずとも必要がなく、省略することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明によれば、車両の前面衝突時において、ラジエータ支持部材の変形を低減させることができる共に、これに支持される熱交換器の破損を効果的に抑制することができるので、前部に熱交換器が配設された様々な車両に利用することができる
【符号の説明】
【0089】
1 車両
2 前部構造
3 フロントサイドフレーム(車体フレーム)
5 ラジエータ支持部材
6 バンパビーム
20 ラジエータ支持部材本体部
21 アッパ部(アッパ部)
21a 両端部
22 サイド部
23 ロア部(下側突設部)
23a 前端部
25 凹設部
25a 後面部(接触部)
26 ヘッドランプ支持部材(上側突設部)
26a ラジエータ支持部材取付部(上側突設部)
26e 脆弱部(取付解除部)
31 アウタパネル
32 インナパネル(連結部)
32c 脆弱部(脆弱部)
50 ラジエータ(熱交換器)
51 コンデンサ(熱交換器)
60 足払い部材(第2の下側突設部)
61 ボルト挿通孔
61a 長孔部
61b 大径部(接続解除部)
70 ヘッドランプ(灯具)
80 立壁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に沿って延設されるアッパ部と、該アッパ部の車幅方向両側から下方へ向けて延設される一対のサイド部と、該一対のサイド部の下端同士を連結するロア部とを有し、
熱交換器を支持するラジエータ支持部材と、
前記サイド部の車両前方で車幅方向に沿って延設されるバンパビームとを備えた車両の前部構造であって、
前記ラジエータ支持部材は、
前記サイド部に設けられ、車両前方からの衝突荷重が入力されたときに車両後方へ移動する前記バンパビームと接触する接触部と、
少なくとも前記アッパ部又は前記サイド部の何れか一方に設けられ、前記接触部よりも上方で且つ車両前方側に位置するように突出する上側突設部と、
少なくとも前記サイド部又は前記ロア部の何れか一方に設けられ、前記接触部よりも下方で且つ車両前方側に位置するように突出する下側突設部と、を備え、
前記バンパビーム、前記上側突設部、前記下側突設部の各々の前端部は、前記バンパビームが前記接触部と接触したときに、側面視で略鉛直線上に位置するように配置されることを特徴とする車両の前部構造。
【請求項2】
前記サイド部は、車両後方へ向けて凹設されると共に前記車両後方へ移動するバンパビームの進入を許容する凹設部を有し、
前記接触部は、前記凹設部に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記ラジエータ支持部材は、車幅方向両側で車両前後方向に沿って延設される一対の車体フレームに連結部を介して連結され、
前記連結部は、前記ラジエータ支持部材及び前記車体フレームよりも脆弱な脆弱部を有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記上側突設部は、灯具を取り付けるための灯具支持部材であることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記灯具は、前記灯具支持部材の前端部よりも車両前方側へ位置するように突出して取り付けられ、
前記灯具支持部材は、前記灯具に前記衝突荷重が入力されたときに、前記灯具の取付状態を解除する取付解除部を有することを特徴とする請求項4に記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記下側突設部は、前記ロア部自体を車両前方へ突設させることにより構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の車両の前部構造。
【請求項7】
前記下側突設部の下部には、第2の下側突設部が、接続部を介して前記下側突設部の前端部よりも車両前方側に位置するように突出して設けられ、
前記接続部は、前記衝突荷重が入力されたときに、前記下側突設部と前記第2の下側突設部との接続状態を解除する接続解除部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の車両の前部構造。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2012−144156(P2012−144156A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4286(P2011−4286)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】