説明

車両の前部構造

【課題】車両前部との衝突によって車幅方向に広がりを備えていない障害物がフロントサイドフレーム20の車幅方向外側から侵入した時であっても、この障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【解決手段】車両の車室前壁部を構成するダッシュパネル1と、左右一対のフロントサイドフレーム20と、バンパレインフォースメント40と、バンパレインフォースメント40とフロントサイドフレーム20の前端とを連結する連結部材31と、左右一対の前輪50とを備えた車両の前部構造であって、バンパレインフォースメント40の車幅方向端部が、フロントサイドフレーム20より車幅方向外側に位置し、連結部材31に、車両前方からの衝突荷重に対して、連結部材31を車幅方向外側に折曲可能な折曲予定部31aを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、フロントサイドフレームの車幅方向外側に加わる車両前方からの衝突荷重を、フロントサイドフレームと前輪とに伝達、分散するような車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車室内の乗員を確実に保護するという観点から、障害物に対して車両前部が衝突した時、障害物の車室内への侵入をいかにして抑制するかが課題となっており、この課題を解決すべく、今日までに様々な構造が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、フロントサイドフレームの略真下に配設されたサブフレームの前端とフロントサイドフレームとの間に衝突荷重伝達部材を介装したものが開示されている。
【0004】
特許文献1は、ポールのように車幅方向に広がりを備えていない障害物に車両前部が衝突した時を想定したものであり、前記障害物の衝突時にその衝突荷重がサブフレームに加わると、衝突荷重伝達部材を介して衝突荷重をフロントサイドフレームに分散させることが可能になっている。この場合、最終的には、フロントサイドフレームが有する衝突エネルギー吸収機能によって前記衝突荷重を吸収することができる。
【0005】
ところで、近年、車両前部がポールのように車幅方向に広がりを備えていない障害物に衝突した時、特にフロントサイドフレームの車幅方向外側から侵入した前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制したいというニーズが高まっている。
【0006】
ここで、前記特許文献1について見てみると、該特許文献1では、あくまでも前記障害物が車両前部の車幅方向中央部に衝突、侵入した時を想定しているに過ぎない。従って、フロントサイドフレームの略真下に配設されたサブフレームで前記障害物の衝突荷重を受け止める前記特許文献1の構成では、フロントサイドフレームの車幅方向外側から侵入した前記障害物が車室内へ侵入することを確実に抑制できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−83258号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、上述の問題に鑑み、車両前部との衝突によって車幅方向に広がりを備えていない障害物がフロントサイドフレームの車幅方向外側から侵入した時であっても、この障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、車両の車室前壁部を構成するダッシュパネルと、該ダッシュパネル下部から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、該フロントサイドフレームの前方に位置して車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、該バンパレインフォースメントと前記フロントサイドフレームの前端とを連結する連結部材と、前記フロントサイドフレームの車幅方向外側に位置する左右一対の前輪とを備えた車両の前部構造であって、前記バンパレインフォースメントの車幅方向端部が、前記フロントサイドフレームより車幅方向外側に位置し、前記連結部材に、車両前方からの荷重入力に対して、前記連結部材を車幅方向外側に折曲可能な折曲予定部を備えたことを特徴とする。
折曲予定部は、周囲よりも板厚を薄く形成したものや、一部を開口したものの他、線条のビードなどとすることができる。
【0010】
この発明により、車両前部との衝突によって車幅方向に広がりを備えていない障害物がフロントサイドフレームの車幅方向外側から侵入した時であっても、この障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0011】
具体的には、車両前部において、フロントサイドフレームの車幅方向外側が前記障害物に衝突すると、車幅方向端部がフロントサイドフレームの車幅方向外側に位置するバンパレインフォースメントによって、車両前部に侵入した前記障害物を受け止めることができる。
【0012】
そして、前記障害物がバンパレインフォースメントを車両後方へ押圧すると、折曲予定部により、連結部材は、車幅方向外側へ倒れるように折れ曲がることができる。
【0013】
さらに、連結部材が車幅方向外側へ折れ曲がることにより、連結部材は、衝突荷重を吸収するとともに、連結部材と連結したバンパレインフォースメントを車幅方向外側へスライドするように移動させることができる。最終的には、バンパレインフォースメントの車幅方向端部が前輪の前部に当接することができる。
【0014】
すなわち、車両の前部は、バンパレインフォースメントで前記障害物を受け止めて、フロントサイドフレームと前輪とでバンパレインフォースメントを支持することで、前記障害物が車室内に侵入することを抑制できる。
【0015】
また、バンパレインフォースメントは、前記障害物への衝突による衝突荷重を、連結部材を介してフロントサイドフレームに伝達するとともに、バンパレインフォースメントに前輪が当接することで、前記衝突荷重の一部を前輪にも伝達して分散することができる。
【0016】
従って、車幅方向端部がフロントサイドフレームの車幅方向外側に位置するバンパレインフォースメント及び折曲予定部を備えた連結部材により、バンパレインフォースメントが前輪と当接して前記障害物を受け止めるとともに、その衝突荷重をフロントサイドフレームと前輪とに伝達、分散することで、前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0017】
この発明の態様として、前記連結部材を、前記フロントサイドフレームの前端から車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成することができる。
【0018】
この態様により、フロントサイドフレームの車幅方向外側から衝突荷重が入力すると、連結部材の車幅方向外側への折れ曲がりをより容易にすることができる。
従って、連結部材を車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成したことにより、バンパレインフォースメントがより確実に前輪と当接することができ、前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0019】
また、この発明の態様として、前記フロントサイドフレームの前端に、車両前方からの荷重入力に対して、車両前後方向に圧縮変形可能な圧縮変形部材を備えることができる。
圧縮変形部材は、クラッシュカンなどとすることができる。
【0020】
この態様により、前記障害物にフロントサイドフレームの車幅方向外側が衝突すると、車両の前部は、圧縮変形部材が圧縮変形することによって衝突荷重を吸収するとともに、連結部材が車幅方向外側に折れ曲がり変形することによって、前輪にバンパレインフォースメントが当接して、前記障害物を受け止めることができる。そして、車両の前部は、衝突荷重を前輪及びフロントサイドフレームを介して車両後方に伝達、分散することができる。
【0021】
従って、フロントサイドフレームの前端に、圧縮変形部材と連結部材とを連結しても、それぞれが変形して衝突荷重を吸収、伝達することにより、前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0022】
また、この発明の態様として、前記フロントサイドフレームの前端において、前記連結部材と、前記圧縮変形部材とを車両上下方向に重なるように配置することができる。
【0023】
この態様により、連結部材と圧縮変形部材とが確実に変形して衝突荷重を吸収することができ、前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
具体的には、例えば、連結部材と圧縮変形部材とを車両上下方向の同じ高さ位置(車幅方向)に並べてフロントサイドフレームの前端に配置した場合、前記障害物によって連結部材及び圧縮変形部材が車幅方向外側へ変形する際、互いの変形を阻害してしまい、その結果それぞれの変形が不完全になるおそれがある。
【0024】
これに対して、連結部材と圧縮変形部材とを車両上下方向に重なるように配置することにより、互いの変形を阻害することを防止でき、連結部材と圧縮変形部材とが確実に変形して衝突荷重を吸収することができる。このため、前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0025】
また、この発明の態様として、前記バンパレインフォースメントの車幅方向端部を、前記前輪より前方の離間した位置に配置することができる。
【0026】
この態様により、バンパレインフォースメントは、フロントサイドフレームの車幅方向外側から侵入する前記障害物をより確実に受け止めることができる。また、バンパレインフォースメントの車幅方向端部が、前輪の前部とより確実に当接することができる。
【0027】
すなわち、フロントサイドフレームの車幅方向外側からの衝突荷重を、より確実にフロントサイドフレームと前輪とを介して車両後方に伝達、分散することができる。
【0028】
従って、バンパレインフォースメントの車幅方向端部を、前輪より前方の離間した位置に配置することにより、より確実に衝突荷重をフロントサイドフレームと前輪と伝達することで、前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0029】
また、この発明の態様として、前記連結部材に、前記フロントサイドフレームの前端から車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成した斜め延出部と、該斜め延出部の前端から車両前方に向けて延出し、車両前方からの荷重入力に対して車両前後方向に圧縮変形可能な圧縮変形部とを備えることができる。
【0030】
この態様により、フロントサイドフレームの車幅方向外側から衝突荷重が入力すると、圧縮変形部が、車両前後方向に圧縮変形するとともに、斜め延出部が、連結部材の車幅方向外側への折れ曲がりをより容易にすることができる。
【0031】
つまり、圧縮変形部の圧縮変形により、衝突の際の初期衝突荷重を吸収するとともに、斜め延出部と折曲予定部とによって、連結部材が車幅方向外側へ折れ曲がることにより、衝突荷重を吸収することができる。
【0032】
さらに、連結部材が車幅方向に折れ曲がることで、バンパレインフォースメントは、前輪に確実に当接することができ、前記衝突荷重をフロントサイドフレームと前輪とを介して車両後方に伝達、分散することができる。
【0033】
従って、連結部材が、斜め延出部と、圧縮変形部と、折曲予定部とを備えたことにより、連結部材の変形によって衝突荷重を吸収するとともにフロントサイドフレーム及び前輪を介して車両後方に伝達、分散することで、前記障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【発明の効果】
【0034】
この発明により、車両前部との衝突によって車幅方向に広がりを備えていない障害物がフロントサイドフレームの車幅方向外側から侵入した時であっても、この障害物が車室内に侵入することをより確実に抑制できる車両の前部構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】車両の前部構造を示す平面図。
【図2】車両の前部構造を示す左側面図。
【図3】車両の前部構造を示す前方からの斜視図。
【図4】衝突第1段階の車両の前部状態を示す平面図。
【図5】衝突第2段階の車両の前部状態を示す平面図。
【図6】衝突最終段階の車両の前部状態を示す平面図。
【図7】正面衝突初期の車両の前部状態を示す平面図。
【図8】正面衝突途中の車両の前部状態を示す平面図。
【図9】第2実施形態における車両の前部構造を示す平面図。
【図10】第2実施形態における車両の前部構造を示す前方からの斜視図。
【図11】第2実施形態における衝突第1段階の車両の前部状態を示す平面図。
【図12】第2実施形態における衝突第2段階の車両の前部状態を示す平面図。
【図13】第2実施形態における衝突第3段階の車両の前部状態を示す平面図。
【図14】第2実施形態における衝突最終段階の車両の前部状態を示す平面図。
【図15】第2実施形態における正面衝突途中の車両の前部状態を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0036】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
[実施形態1]
【0037】
図1は、車両の前部構造の平面図を示し、図2は、車両の前部構造の左側面図を示し、図3は、車両の前部構造を前方かつ上方から見た斜視図を示している。また、図1及び図2で図示した後述するサブフレーム12及びロアアーム13は、図3ではその図示を省略する。
【0038】
なお、本明細書において前部とは、車両前方側の部分を示し、後部とは、車両後方側の部分を示す。そして、図中において、矢印Frは車両前方を示し、矢印Rrは車両後方を示すとともに、矢印Rh及びLhは車幅方向を示しており、矢印Rhは車両右方向を示し、矢印Lhは車両左方向を示している。
【0039】
車両の前部構造は、図1から図3に示すように、ダッシュパネル1と、ダッシュパネル1の下部において車幅方向両端から車両後方に延びる左右一対のサイドシル10と、サイドシル10より車幅方向内側でダッシュパネル1の下部から車両後方に延びる左右一対のフロアフレーム11と、ダッシュパネル1の下部から車両後方に延びて左右一対のサイドシル10の間に位置するフロアパネル2とを備えている。そして、図示の車両では、ダッシュパネル1を前壁部、フロアパネル2を床面として、これらにより車両の車室空間を形成している。
【0040】
さらに、車両の前部構造は、左右一対のフロアフレーム11の前端から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム20と、左右一対のフロントサイドフレーム20の前端に連結するクラッシュカン30及び連結部材31と、クラッシュカン30及び連結部材31の前端を車幅方向に連結するバンパレインフォースメント40とを備えている。そして、ダッシュパネル1と、フロントサイドフレーム20と、クラッシュカン30と、バンパレインフォースメント40とで車両の車室前方にエンジンなどを配置するエンジンルームEを形成している。
【0041】
また、フロントサイドフレーム20の略真下には、サブフレーム12を備えるとともに、サブフレーム12に連結支持したロアアーム13を備えている。さらに、ロアアーム13には、ナックルアーム(図示省略)等を介して連結支持した前輪50を備えている。
【0042】
ダッシュパネル1は、エンジンルームEと車両の車室とを仕切る車室前壁部を構成している。
サイドシル10は、ダッシュパネル1の下部から略水平に車両後方に延び、車幅方向の断面が閉断面形状の筒状体で構成している。
【0043】
フロアフレーム11は、ダッシュパネル1の下部から略水平に車両後方に延び、車幅方向の断面が閉断面形状の筒状体で構成している。
フロントサイドフレーム20は、フロアフレーム11の前端からダッシュパネル1に沿うように斜め上方に延設したのち、車両前方に向けて延出している。なお、フロントサイドフレーム20は、車幅方向の断面が略矩形の閉断面形状の筒状体で構成している。
【0044】
サブフレーム12は、フロントサイドフレーム20の略真下に配置し、前端をフロントサイドフレーム20に、後端をフロアパネル2の前部にそれぞれ連結支持させている。なお、サブフレーム12は、平面視において略井桁状に構成した、所謂、ペリメータフレームである。ただし、本発明では、サブフレーム12をペリメータフレームとすることに必ずしも限定されない。
【0045】
ロアアーム13は、平面視において車幅方向内側に凸設した略弓形状に形成している。そして、ロアアーム13は、車幅方向内側の前後2箇所をサブフレーム12の後部と揺動可能に連結支持し、車幅方向外側端を前輪50と揺動可能に連結支持している。
【0046】
前輪50は、ゴム材でドーナツ状に形成されたタイヤ(図示省略)と、タイヤの内径に組み込んだアルミあるいは鉄で形成したホイール(図示省略)とで構成している。なお、前輪50は、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側にて、サイドシル10の前端より車両前方に配置している。
【0047】
バンパレインフォースメント40は、閉断面形状の円弧状部材であって、車幅方向において左右の前輪50の車幅方向内側間の幅と略同等の幅を有している。そして、バンパレインフォースメント40は、フロントサイドフレーム20の前端から離間した位置に配置している。
【0048】
クラッシュカン30は、図1から図3に示すように、車幅方向の断面が略矩形の閉断面形状であって、車両前後方向に延びる筒状体で構成している。そして、クラッシュカン30は、前端をバンパレインフォースメント40に、後端をフロントサイドフレーム20の前端に連結固定している。
【0049】
連結部材31は、車幅方向の断面が略矩形の閉断面形状であって、フロントサイドフレーム20の前端から車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延びる筒状体で構成している。そして、連結部材31の前端は、バンパレインフォースメント40の車幅方向における端部近傍に連結固定している。
【0050】
また、連結部材31には、車幅方向外側の側面後部に、車両上下方向に延びる線条の第1ビード31aを設けるとともに、車幅方向内側の側面前部に、車両上下方向に延びる線条の第2ビード31bを設けている。
【0051】
なお、クラッシュカン30及び連結部材31は、図1から図3に示すように、上段に連結部材31、下段にクラッシュカン30というように、車両上下方向に積み重なるように配置してフロントサイドフレーム20の前端に連結固定している。
【0052】
このような車両の前部構造において、車幅方向に広がりを備えていない障害物に車両の左前部が衝突する際の車両の前部状態について、図4から図6を用いて説明する。
【0053】
なお、図4は、ポールPにバンパレインフォースメント40が当接する衝突第1段階の車両の前部状態の平面図を示し、図5は、クラッシュカン30及び連結部材31が変形する衝突第2段階の車両の前部状態の平面図を示し、図6は、前輪50がバンパレインフォースメント40に当接する衝突最終段階の車両の前部状態の平面図を示している。
また、図1及び図2で図示したサブフレーム12は、図4から図6ではその図示を省略する。
【0054】
図4に示すように、車幅方向に広がりを備えていない障害物として、例えば、電信柱のような円柱状のポールPがあり、このポールPに矢印Xの方向へ直進している車両の左フロントサイドフレーム20の車幅方向外側が衝突するものとする。
【0055】
図4に示すように、衝突第1段階において、ポールPに左フロントサイドフレーム20の車幅方向外側が衝突すると、車両の前部バンパ(図示省略)などがポールPとの衝突によって破壊されたのち、バンパレインフォースメント40の車幅方向左端近傍がポールPに当接する。
この時、ポールPは、車幅方向において左サイドシル10と左フロントサイドフレーム20との間の比較的剛性の低い領域に位置することになる。
【0056】
そして、矢印Xに進む車両がポールPに衝突することによって、バンパレインフォースメント40の車幅方向左端近傍が、車両後方に向けて押圧される。この際、連結部材31は、フロントサイドフレーム20により車両前方に向けて押圧されるとともに、フロントサイドフレーム20に対して車幅方向外側にオフセットした位置関係にあるポールPにより車両後方に向けて押圧される。
【0057】
これにより、図5に示すように、衝突第2段階において、連結部材31は、第1ビード31aを中心に、車幅方向外側へ倒れるように折れ曲がり変形を開始する。同時に、連結部材31の第2ビード31bの近傍では、バンパレインフォースメント40と連結部材31とが略平行となるように折れ曲がり変形を開始する。
【0058】
一方、クラッシュカン30は、ポールPによる押圧によって、車両後方に向けて押し潰されるように圧縮変形を開始する。この際、連結部材31が車幅方向外側に折れ曲がり変形するのに伴い、バンパレインフォースメント40が車幅方向外側に移動しようとするため、クラッシュカン30は、バンパレインフォースメント40とともに車幅方向外側に倒れながら、車両前後方向に圧縮変形を開始する。
【0059】
そして、連結部材31及びクラッシュカン30の変形によって、バンパレインフォースメント40は、図5に示すように、バンパレインフォースメント40の車幅方向左端が、左前輪50の車幅方向中央近傍と対向する位置に移動する。
【0060】
その後、車両が停止せずに矢印Xの方向へ進むと、図6に示すように、衝突最終段階において、連結部材31及びクラッシュカン30は、ポールPによる押圧によって、車幅方向外側に完全に折れ曲がるとともに、車両前後方向にも完全に押し潰したように変形する。そして、フロントサイドフレーム20は、ポールPによる車両後方への押圧によって、車両前方から順に座屈変形を開始する。
【0061】
フロントサイドフレーム20が座屈変形を開始すると、前輪50の前部は、バンパレインフォースメント40の車幅方向左端に当接する。この際、矢印Xの方向に進行中の車両は、フロントサイドフレーム20と前輪50とでバンパレインフォースメント40を支持して、ポールPを受け止めるようにして車室への侵入を阻止する。
【0062】
このようにして、車両の前部は、バンパレインフォースメント40と、前輪50と、フロントサイドフレーム20とで、ポールPを受け止めるようにして車室への侵入を阻止する。
【0063】
次に、車両前部において左右一対のフロントサイドフレーム20間が、車幅方向に広がりのある障害物Bに正面衝突した場合について、図7及び図8を用いて説明する。
【0064】
なお、図7は、クラッシュカン30及び連結部材31が変形開始する正面衝突初期の車両の前部状態の平面図を示し、図8は、クラッシュカン30及び連結部材31が変形した正面衝突途中の車両の前部状態の平面図を示している。
また、図1及び図2で図示したサブフレーム12は、図7及び図8ではその図示を省略する。
【0065】
図7に示すように、正面衝突初期において、左右のフロントサイドフレーム20間が障害物Bに衝突すると、バンパレインフォースメント40が障害物Bによって押圧されることにより、クラッシュカン30は、車両後方に向かって押し潰されるように圧縮変形を開始する。一方、連結部材31は、障害物Bよる車両後方への押圧と、フロントサイドフレーム20による車両前方への押圧によって、クランク状に変形を開始する。
【0066】
車両がさらに矢印Xの方向へ進むと、図8に示すように、正面衝突途中において、クラッシュカン30及び連結部材31は、それぞれ全体が車両前後方向に変形して圧壊する。
【0067】
その後、フロントサイドフレーム20は、障害物Bによる車両後方への押圧によって、車両前方から順に座屈変形を開始する。
このようにして、正面衝突時には、車両の前部は、クラッシュカン30及び連結部材31が車両前後方向に変形して、障害物Bの車室への侵入を抑制する。
【0068】
以上のように、車両の車室前壁部を構成するダッシュパネル1と、ダッシュパネル1の下部から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム20と、フロントサイドフレーム20の前方に位置して車幅方向に延びるバンパレインフォースメント40と、バンパレインフォースメント40とフロントサイドフレーム20の前端とを連結する連結部材31と、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側に位置する左右一対の前輪50とを備えた車両の前部構造であって、バンパレインフォースメント40の車幅方向端部が、フロントサイドフレーム20より車幅方向外側に位置し、連結部材31に、車両前方から衝突荷重が入力すると、連結部材31を車幅方向外側に折曲可能な第1ビード31aを備えている。これにより、車両前部との衝突によってポールPがフロントサイドフレーム20の車幅方向外側から侵入した時であっても、このポールPが車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0069】
具体的には、車両前部において、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側がポールPに衝突すると、車幅方向端部がフロントサイドフレーム20の車幅方向外側に位置するバンパレインフォースメント40によって、車両前部に侵入したポールPを受け止めることができる。
【0070】
そして、ポールPがバンパレインフォースメント40を車両後方へ押圧すると、第1ビード31aにより、連結部材31は、車幅方向外側へ倒れるように折れ曲がることができる。
【0071】
また、連結部材31の第2ビード31bにより、連結部材31がバンパレインフォースメント40と略平行となるように、連結部材31の前端における折れ曲がり変形を促進することができる。
【0072】
さらに、連結部材31が車幅方向外側へ折れ曲がることにより、連結部材31は、衝突荷重を吸収するとともに、連結部材31と連結したバンパレインフォースメント40を車幅方向外側へスライドするように移動させることができる。最終的には、バンパレインフォースメント40の車幅方向端部が前輪50の前部に当接することができる。
【0073】
すなわち、車両の前部は、バンパレインフォースメント40でポールPを受け止めて、フロントサイドフレーム20と前輪50とでバンパレインフォースメント40を支持することで、ポールPが車室内に侵入することを抑制できる。
【0074】
また、バンパレインフォースメント40は、ポールPへの衝突による衝突荷重を、連結部材31を介してフロントサイドフレーム20に伝達するとともに、バンパレインフォースメント40に前輪50が当接することで、衝突荷重の一部を前輪50にも伝達して分散することができる。
【0075】
従って、車幅方向端部がフロントサイドフレーム20の車幅方向外側に位置するバンパレインフォースメント40及び第1ビード31aを備えた連結部材31により、バンパレインフォースメント40が前輪50と当接してポールPを受け止めるとともに、その衝突荷重をフロントサイドフレーム20と前輪50とに伝達、分散することで、ポールPがサイドシル10とフロントサイドフレーム20との間の領域を経て、車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0076】
また、連結部材31を、フロントサイドフレーム20の前端から車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成することにより、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側から衝突荷重が入力すると、連結部材31の車幅方向外側への折れ曲がりをより容易にすることができる。
【0077】
従って、連結部材31を車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成することにより、バンパレインフォースメント40がより確実に前輪50と当接することができ、ポールPが車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0078】
また、フロントサイドフレーム20の前端にクラッシュカン30を備えることにより、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側から衝突荷重が入力すると、クラッシュカン30は、車両前後方向に圧縮変形することで、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側からの衝突荷重を吸収することができる。
【0079】
一方、車両前部において左右一対のフロントサイドフレーム20間が、車幅方向に広がりを備えた障害物Bに正面衝突した際、クラッシュカン30は、車両前後方向に圧縮変形することにより、左右一対のフロントサイドフレーム20間への衝突荷重を吸収することができる。
【0080】
従って、クラッシュカン30が車両前後方向に圧縮変形して衝突荷重を吸収することで、ポールPが車室内に侵入することをより確実に抑制できる。また、車幅方向に広がりを備えた障害物Bに正面衝突した際にも、障害物Bが車室内に侵入することを抑制できる。
【0081】
ところで、フロントサイドフレーム20の前端において、連結部材31とクラッシュカン30とを車両上下方向の同じ高さ位置(車幅方向)に並べて配置することも考えられる。しかしながら、この場合、ポールPによって連結部材31とクラッシュカン30とが車幅方向外側へ変形する際、互いの変形を阻害してしまい、その結果、それぞれの変形が不完全になるおそれがある。
【0082】
これに対して、本実施形態では、フロントサイドフレーム20の前端において、連結部材31とクラッシュカン30とを車両上下方向に重なるように配置している。これにより、互いの変形を阻害することを防止でき、連結部材31とクラッシュカン30とが確実に変形して、衝突荷重を吸収することができる。
【0083】
一方、車両前部において左右一対のフロントサイドフレーム20間が、車幅方向に広がりを備えた障害物Bに正面衝突した際、クラッシュカン30が圧縮変形することによって、衝突荷重を吸収することができる。
【0084】
従って、連結部材31とクラッシュカン30とを車両上下方向に重なるように配置することにより、連結部材31とクラッシュカン30とが確実に変形して衝突荷重を吸収することで、ポールPが車室内に侵入することをより確実に抑制できる。また、車幅方向に広がりを備えた障害物Bに正面衝突した際にも、障害物Bが車室内に侵入することを抑制できる。
【0085】
また、バンパレインフォースメント40の車幅方向端部を、前輪50より前方の離間した位置に配置することにより、バンパレインフォースメント40は、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側から侵入するポールPをより確実に受け止めることができる。
【0086】
さらに、バンパレインフォースメント40の車幅方向端部が、前輪50の前部とより確実に当接することができる。すなわち、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側からの衝突荷重を、より確実にフロントサイドフレーム20と前輪50とを介して車両後方に伝達、分散することができる。
【0087】
従って、バンパレインフォースメント40の車幅方向端部を、前輪50より前方の離間した位置に配置することにより、より確実に衝突荷重をフロントサイドフレーム20と前輪50と伝達することで、ポールPが車室内に侵入することをより確実に抑制できる。
【0088】
なお、上述した第1ビード31a、第2ビード31bは、車両上下方向に延びる線条のものとしたが、これに限定せず、衝突荷重によって連結部材31が車幅方向外側に折れ曲がることを促進する構造であればよく、クサビ状に凹設したもの、板厚を薄くしたものなどとしてもよい。
【0089】
[実施形態2]
【0090】
次に、実施形態1に対して、フロントサイドフレーム20の前端と、バンパレインフォースメント40とを連結する構成要素が異なる別の実施形態を、図9から図15を用いて説明する。
【0091】
なお、上述した実施形態1と同じ構成要素は、同じ符号を付与して、その詳細な説明を省略する。
また、図9は、第2実施形態における車両の前部構造の平面図を示し、図10は、第2実施形態における車両の前部構造を前方かつ上方から見た斜視図を示している。図9で図示したサブフレーム12及びロアアーム13は、図10ではその図示を省略する。
【0092】
実施形態2における車両の前部構造は、図9及び図10に示すように、実施形態1に対して、フロントサイドフレーム20とバンパレインフォースメント40とを連結する連結部材61が異なる。
この連結部材61は、折曲予定部61aと、斜め延出部62と、圧縮変形部63とで一体に構成している。
【0093】
斜め延出部62は、車幅方向の断面が略矩形の閉断面形状の筒状体であって、フロントサイドフレーム前端から車両前方に若干延ばしたのち、車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延ばしている。
折曲予定部61aは、斜め延出部62の車幅方向外側の側面後部において、車両斜め前方への折り曲げ箇所に設けている。
【0094】
圧縮変形部63は、車幅方向の断面が略矩形の閉断面形状の筒状体であって、斜め延出部62の前端から車両前方に向けて延ばしている。そして、圧縮変形部63の前端をバンパレインフォースメント40の車幅方向端部近傍と連結固定している。
【0095】
このような車両の前部構造において、ポールPに車両の左前部が衝突する際の車両の前部状態について、図11から図14を用いて説明する。
なお、図11は、第2実施形態におけるポールPにバンパレインフォースメント40が当接する衝突第1段階の車両の前部状態の平面図を示し、図12は、圧縮変形部63が変形する衝突第2段階の車両の前部状態の平面図を示し、図13は、斜め延出部62が折れ曲がり変形する衝突第3段階の車両の前部状態の平面図を示し、図14は、前輪50がバンパレインフォースメント40に当接する衝突最終段階の車両の前部状態の平面図を示している。
また、図9で図示したサブフレーム12は、図11から図14ではその図示を省略する。
【0096】
図11に示すように、衝突第1段階において、ポールPに左フロントサイドフレーム20の車幅方向外側が衝突すると、車両の前部バンパ(図示省略)などがポールPとの衝突によって破壊されたのち、バンパレインフォースメント40の車幅方向左端近傍がポールPに当接する。
この時、ポールPは、車幅方向において左サイドシル10と左フロントサイドフレーム20との間の比較的剛性の低い領域に位置することになる。
【0097】
そして、車両が矢印Xの方向に進むと、図12に示すように、衝突第2段階において、バンパレインフォースメント40の車幅方向左端近傍がポールPによって車両後方に押圧されて、圧縮変形部63は、車両後方に向かって押し潰されるように圧縮変形を開始する。
【0098】
車両がさらに矢印Xの方向に進むと、図13に示すように、衝突第3段階において、圧縮変形部63は、圧縮変形が進行して、車両前後方向に完全に押し潰される。そして、フロントサイドフレーム20に対してポールPが車幅方向外側にオフセットした位置関係にあることから、連結部材61は、圧縮変形部63及び斜め延出部62の前部、つまり、連結部材61の折曲予定部61aより車両前方部分が、折曲予定部61aを中心に車幅方向外側に倒れるように折れ曲がり変形する。
【0099】
連結部材61の変形によって、バンパレインフォースメント40は、車幅方向左にスライドするように移動する。この際、図13に示すように、バンパレインフォースメント40の車幅方向左端が、左前輪50の車幅方向中央近傍と対向する位置に移動する。
【0100】
その後、車両が停止せずに矢印Xの方向へ進むと、図14に示すように、衝突最終段階において、連結部材61は、車幅方向外側に完全に折れ曲がるとともに、車両前後方向にも完全に潰れ変形する。そして、フロントサイドフレーム20は、ポールPによる車両後方への押圧によって、車両前方から順に座屈変形を開始する。
【0101】
フロントサイドフレーム20が座屈変形を開始すると、前輪50の前部は、バンパレインフォースメント50の車幅方向左端に当接する。この際、矢印Xの方向に進行中の車両は、フロントサイドフレーム20と前輪50とでバンパレインフォースメント40を支持して、ポールPを受け止めるようにして車室への侵入を阻止する。
【0102】
このようにして、車両の前部は、バンパレインフォースメント40と、前輪50と、フロントサイドフレーム20とで、ポールPを受け止めるようにして車室への侵入を阻止する。
【0103】
次に、車両前部において左右一対のフロントサイドフレーム20間が、車幅方向に広がりのある障害物Bに正面衝突する場合について、図15を用いて説明する。
【0104】
なお、図15は、第2実施形態における正面衝突途中の車両の前部状態の平面図を示している。また、図9で図示したサブフレーム12は、図15ではその図示を省略する。
【0105】
図15に示すように、車両前部において左右一対のフロントサイドフレーム20間が障害物Bに衝突すると、バンパレインフォースメント40が障害物Bによって押圧されることにより、圧縮変形部63は、車両後方に向かって押し潰されるように圧縮変形を開始する。
【0106】
この際、連結部材61は、折れ曲がり変形することなく、折曲予定部61aより車両前方の圧縮変形部63が圧縮変形する。最終的には、圧縮変形部63が完全に圧縮変形すると、斜め延出部62も障害物Bによる押圧によって、車両後方に向かって押し潰されるように圧縮変形する。
【0107】
その後、フロントサイドフレーム20は、障害物Bによる押圧によって車両前方から順に座屈変形する。
このようにして、正面衝突時には、車両の前部は、連結部材61が車両前後方向に変形して、障害物Bの車室への侵入を抑制する。
【0108】
以上のように、連結部材61に、フロントサイドフレーム20の前端から車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成した斜め延出部62と、斜め延出部62の前端から車両前方に向けて延出し、車両前方からの荷重入力に対して車両前後方向に圧縮変形可能な圧縮変形部63とを備えたことにより、フロントサイドフレーム20の車幅方向外側から衝突荷重が入力すると、圧縮変形部63が、車両前後方向に圧縮変形するとともに、斜め延出部62が、連結部材61の車幅方向外側への折れ曲がりをより容易にすることができる。
【0109】
つまり、圧縮変形部63の圧縮変形により、衝突の際の初期衝突荷重を吸収するとともに、斜め延出部62と折曲予定部61aとによって、連結部材61が車幅方向外側へ折れ曲がることにより、衝突荷重を吸収することができる。
【0110】
さらに、連結部材61が車幅方向に折れ曲がることで、バンパレインフォースメント40は、前輪50に確実に当接することができ、前記衝突荷重をフロントサイドフレーム20と前輪50とを介して車両後方に伝達、分散することができる。
【0111】
一方、車幅方向に広がりを備えた障害物Bに、車両前部において左右一対のフロントサイドフレーム20間が正面衝突した際、圧縮変形部63が車両前後方向に圧縮変形することで、衝突荷重を吸収することができる。
【0112】
従って、連結部材61が、斜め延出部62と、圧縮変形部63と、折曲予定部61aとを備えたことにより、バンパレインフォースメント40が前輪50と当接してポールPを受け止めるとともに、その衝突荷重をフロントサイドフレーム20と前輪50とに伝達、分散することで、ポールPがサイドシル10とフロントサイドフレーム20との間の領域を経て、車室内に侵入することをより確実に抑制できる。また、車幅方向に広がりを備えた障害物Bに正面衝突した際にも、障害物Bが車室内に侵入することを抑制できる。
【0113】
なお、上述した折曲予定部61aは、斜め延出部62の折り曲げ箇所としたが、これに限定せず、衝突荷重によって連結部材61が車幅方向外側に折れ曲がり変形を促進する構造であればよく、車両上下方向に延びる線条のビードとする、クサビ状に凹設したもの、板厚を薄くしたものなどとしてもよい。
【0114】
また、上述した各実施形態では、車両前部が車幅方向に広がりを備えていない障害物に衝突した例として、車両前部がポールPに衝突した時について説明したが、車幅方向に広がりを備えていない障害物であれば、必ずしもポールPに限定されるものではない。
例えば、車幅方向に広がりを備えていない障害物を、自動車道の中央分離帯や、ガードレールの端部、ブロック塀などとしてもよい。
【0115】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の圧縮変形部材は、実施形態のクラッシュカン30に対応し、
以下同様に、
折曲予定部は、第1ビード31a、折曲予定部61aに対応し、
車両前方からの荷重は、衝突荷重に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【符号の説明】
【0116】
10…ダッシュパネル
20…フロントサイドフレーム
30…クラッシュカン
31、61…連結部材
31a…第1ビード
40…バンパレインフォースメント
50…前輪
61a…折曲予定部
62…斜め延出部
63…圧縮変形部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室前壁部を構成するダッシュパネルと、
該ダッシュパネル下部から車両前方に延びる左右一対のフロントサイドフレームと、
該フロントサイドフレームの前方に位置して車幅方向に延びるバンパレインフォースメントと、
該バンパレインフォースメントと前記フロントサイドフレームの前端とを連結する連結部材と、
前記フロントサイドフレームの車幅方向外側に位置する左右一対の前輪とを備えた車両の前部構造であって、
前記バンパレインフォースメントの車幅方向端部が、
前記フロントサイドフレームより車幅方向外側に位置し、
前記連結部材に、
車両前方からの荷重入力に対して、前記連結部材を車幅方向外側に折曲可能な折曲予定部を備えた
車両の前部構造。
【請求項2】
前記連結部材を、
前記フロントサイドフレームの前端から車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成した
請求項1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記フロントサイドフレームの前端に、
車両前方からの荷重入力に対して、車両前後方向に圧縮変形可能な圧縮変形部材を備えた
請求項1または請求項2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記フロントサイドフレームの前端において、
前記連結部材と、前記圧縮変形部材とを車両上下方向に重なるように配置した
請求項3に記載の車両の前部構造。
【請求項5】
前記バンパレインフォースメントの車幅方向端部を、
前記前輪より前方の離間した位置に配置した
請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の車両の前部構造。
【請求項6】
前記連結部材に、
前記フロントサイドフレームの前端から車幅方向外側に向けて、車両斜め前方に延出して形成した斜め延出部と、
該斜め延出部の前端から車両前方に向けて延出し、車両前方からの荷重入力に対して車両前後方向に圧縮変形可能な圧縮変形部とを備えた
請求項1に記載の車両の前部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−166744(P2012−166744A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−30859(P2011−30859)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】