説明

車両の前部車体構造

【課題】 軽量で強度の高いフロントエンド部材で車体剛性を高める。
【解決手段】 カーボン繊維で補強した合成樹脂で構成されたフロントエンド部材16を、車体中央部で車体左右方向に配置されて左右のフロントサイドフレーム12の前端に接続される第1部分17と、この第1部分17の左右両端から左右外側後方に延びて左右のアッパーメンバ14の中間部に接続される左右一対の第2部分18とを備えて平面視でアーチ状に構成するとともに、前記カーボン繊維の主要な配列方向を前記アーチに沿う方向とする。このフロントエンド部材16はガラス繊維を用いた従来のものに比べて軽量で高強度であるだけでなく、左右のフロントサイドフレーム12および左右のアッパーメンバ14を強固に接続して車体剛性を高め、旋回時等における車体の捩じれを防止して走行安定性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボン繊維で補強した合成樹脂で構成されたフロントエンド部材で、左右のフロントサイドフレーム間と、フロントサイドフレームの上方に配置された左右のアッパーメンバ間とを接続する車両の前部車体構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の車体の前端に配置されてラジエータやヘッドライトを支持するフロントエンド部材を、ガラス繊維で補強した熱可塑性樹脂で構成することで、振動疲労特性および耐衝撃性の向上とコストダウンとを図るものが、下記特許文献1により公知である。
【特許文献1】特開平11−152062号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで上記従来のフロントエンド部材は、合成樹脂の補強にガラス繊維を用いているので、重量が大きいだけでなく機械的な強度も充分ではなかった。また上記従来のフロントエンド部材は、ラジエータやヘッドライトのような部品を支持することを主眼に形状が決定されており、車体のフロントサイドフレーム等のフレーム部材との協働により車体剛性を高めるための形状の工夫がなされていなかった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、軽量で強度の高いフロントエンド部材で車体剛性を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、カーボン繊維で補強した合成樹脂で構成されたフロントエンド部材で、左右のフロントサイドフレーム間と、フロントサイドフレームの上方に配置された左右のアッパーメンバの間とを接続する車両の前部車体構造であって、前記フロントエンド部材は、車体中央部で車体左右方向に配置されて前記左右のフロントサイドフレームの前端に接続される第1部分と、第1部分の左右両端から左右外側後方に延びて前記左右のアッパーメンバの中間部に接続される左右一対の第2部分とを備えて平面視でアーチ状に構成されており、前記カーボン繊維の主要な配列方向を前記アーチに沿う方向としたことを特徴とする車両の前部車体構造が提案される。
【0006】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記第1部分は、概ね水平な上壁と、上壁の前縁から概ね下向きに延びる前壁と、前記上壁および前壁の左右の側縁に連なって概ね車体前後方向に延びる左右一対の側壁とを有するボックス構造であることを特徴とする車両の前部車体構造が提案される。
【0007】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記第2部分は、概ね水平な上壁および下壁と、上壁および下壁の前縁間を概ね上下方向に接続する前壁とを有し、前記上壁は前記下壁よりも車体前後方向の幅が広く、かつ前記上壁は前記アッパーメンバとの接続部から前記第1部分との接続部に向かって車体前後方向の幅が増加することを特徴とする車両の前部車体構造が提案される。
【0008】
また請求項4に記載された発明によれば、請求項1〜請求項3の何れか1項の構成に加えて、前記フロントエンド部材の表層のカーボン繊維は、該フロントエンド部材を成形する金型の型閉め方向に沿って配置されることを特徴とする車両の前部車体構造が提案される。
【0009】
また請求項5に記載された発明によれば、請求項2の構成に加えて、前記第1部分の前壁の下縁に沿う前記カーボン繊維の主要な配列方向は、前記フロントサイドフレーム前端を指向することを特徴とする車両の前部車体構造が提案される。
【0010】
また請求項6に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記第1部分の左右両端に、カーボン繊維で補強した合成樹脂でU字状に形成されたラジエータサポート部の左右両端を接続し、前記カーボン繊維の主要な配列方向を該ラジエータサポート部の長手方向としたことを特徴とする車両の前部車体構造が提案される。
【0011】
また請求項7に記載された発明によれば、請求項1〜請求項6の何れか1項の構成に加えて、前記フロントエンド部材は、カーボン繊維を平行に配列したシートを多層に積層したものを金型で成形して構成され、カーボン繊維の配列方向を揃えて積層された少なくとも2層のシートに、カーボン繊維の配列方向が異なる中間層のシートが積層されることを特徴とする車両の前部車体構造が提案される。
【0012】
尚、実施の形態のカーボン糸22は本発明のカーボン繊維に対応する。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の構成によれば、カーボン繊維で補強した合成樹脂で構成されたフロントエンド部材を、車体中央部で車体左右方向に配置されて左右のフロントサイドフレームの前端に接続される第1部分と、この第1部分の左右両端から左右外側後方に延びて左右のアッパーメンバの中間部に接続される左右一対の第2部分とを備えて平面視でアーチ状に構成するとともに、前記カーボン繊維の主要な配列方向を前記アーチに沿う方向としたので、従来のガラス繊維を用いたフロントエンド部材に比べて軽量で高強度であるだけでなく、フロントエンド部材で左右のフロントサイドフレームおよび左右のアッパーメンバを強固に接続して車体剛性を高め、旋回時等における車体の捩じれを防止して走行安定性を高めたり、車両の衝突時の荷重をフロントエンド部材からフロントサイドフレームおよびアッパーメンバに効果的に伝達して衝撃吸収効果を高めたりすることができる。
【0014】
また請求項2の構成によれば、フロントエンド部材の第1部分が上壁、前壁および左右一対の側壁とを有するボックス構造であるため、特に車体の捩じり剛性を効果的に高めることができる。
【0015】
また請求項3の構成によれば、フロントエンド部材の第2部分が上壁、下壁および前壁で構成され、上壁は下壁よりも車体前後方向の幅が広く、かつ上壁はアッパーメンバとの接続部から第1部分との接続部に向かって車体前後方向の幅が増加するので、第2部分により車体剛性を効果的に高めることができる。
【0016】
また請求項4の構成によれば、フロントエンド部材の表層のカーボン繊維を該フロントエンド部材を成形する金型の型閉め方向に沿って配置したので、金型の型閉め時に表層のカーボン繊維が引っ掛かって成形不良が発生するのを防止することができる。
【0017】
また請求項5の構成によれば、フロントエンド部材の第1部分の前壁の下縁に沿うカーボン繊維の主要な配列方向がフロントサイドフレーム前端を指向するので、フロントエンド部材を介してアッパーメンバおよびフロントサイドフレームを強固に一体化して車体剛性を高めることができる。
【0018】
また請求項6の構成によれば、U字状に形成されてフロントエンド部材の第1部分の左右両端に接続されるラジエータサポート部は、その長手方向がカーボン繊維の主要な配列方向とされるので、該ラジエータサポート部の剛性を高めることができる。
【0019】
また請求項7の構成によれば、カーボン繊維を平行に配列したシートを多層に積層したものを金型で成形してフロントエンド部材を構成する際に、カーボン繊維の配列方向を揃えて積層された少なくとも2層のシートに、カーボン繊維の配列方向が異なる中間層のシートを積層するので、成形を終えたフロントエンド部材を金型から取り出したときにバックリングによる変形が発生するのを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜図7は本発明の実施の形態を示すもので、図1は自動車の車体前部の骨格の斜視図、図2は図1の2方向矢視図、図3は図2の3方向矢視図、図4はフロントエンド部材のカーボン糸の配列方向を示す模式図、図5はフロントエンド部材の素材となるシートの斜視図、図6はフロントエンド部材の素材となるシートの積層状態を示す模式図、図7はフロントエンド部材の表層のカーボン糸の配列方向を示す模式図である。
【0022】
図1は自動車の前部のフレーム構造を示すもので、エンジンルーム11の左右両側に左右のフロントサイドフレーム12,12が車体前後方向に配置されており、左右のフロントピラー13,13の前端から左右のアッパーメンバ14,14が車体前方に延出する。フロントサイドフレーム12,12の左右方向外側に配置されたアッパーメンバ14,14は、フロントサイドフレーム12,12よりも高い位置から前下りに傾斜し、その前端がフロントサイドフレーム12,12の前端に連結部材15,15により連結される。
【0023】
エンジンルーム11の前方には、カーボン繊維で補強した合成樹脂で一体に成形したフロントエンド部材16が配置される。フロントエンド部材16は、左右方向に延びて前記フロントサイドフレーム12,12の前端に固定される第1部分17と、第1部分17の左右両端から左右外側後方に斜めに延びて前記アッパーメンバ14,14の中間部上面に固定される左右の第2部分18,18と、第1部分17の左右両端から下方にU字状に垂下してラジエータ20(図2参照)を支持するラジエータサポート部19とで構成される。
【0024】
図1〜図3から明らかなように、フロントエンド部材16の第1部分17は、概ね水平に延びる上壁17aと、上壁17aの前縁から概ね下方に延びる前壁17bと、上壁17aおよび前壁17bの左右の端縁に接続されて概ね前後方向に延びる左右の側壁17c,17cとで、捩じり荷重に対する剛性が高いボックス構造に構成される。またフロントエンド部材16の第1部分17の中央には、ボンネットフードのフードロック(図示せず)を支持するフードロック支持部17dが設けられる。
【0025】
フロントエンド部材16の各第2部分18は、概ね水平かつ平行に延びる上壁18aおよび下壁18bと、上壁18aおよび下壁18bの前縁間を接続するように概ね上下方向に延びる前壁18cとで構成されており、上壁18aの前後幅は下壁18bの前後幅よりも広く、従って第2部分18は横断面はJ字状に形成される。
【0026】
第1部分17の上壁17aは左右方向中央部の前後幅が最も細く、そこから左右方向外側に向かって後方に幅が広がっている。また左右の第2部分18,18の上壁18a,18aは第1部分17の側壁17c,17cに連なる部分の前後幅が最も広く、そこから左右のアッパーメンバ14,14に連なる部分に向かって前後幅が次第に減少する。第1部分17の上壁17aおよび第2部分18,18の上壁18a,18aは同一面上で連なっており、その形状は平面視で中央部が前方に突出するアーチ状をなしている。
【0027】
第1部分17の前壁17bの下縁は逆U字状に湾曲しており、従って前壁17bの上下幅は中央部で最も狭く、側壁17c,17cに連なる左右両端部で最も広くなっている。また第1部分17の側壁17c,17cの形状は、上壁17aの後縁および前壁17bの下縁を結ぶ辺が斜辺をなす概ね直角三角形となる。そして第1部分17は、前壁17aの左右下端と、側壁17c,17cの前下端と、ラジエータサポート部19の左右両端とが交差する部分で、左右のフロントサイドフレーム12,12の前端に固定される。
【0028】
フロントエンド部材16に用いられるカーボン繊維は長さが20mm〜500mmの長繊維であり、予め糸状に編まれたカーボン糸の状態で使用される。図4はフロントエンド部材16の各部のカーボン糸(カーボン繊維)の主要な配列方向を模式的に示すもので、何れの部分もその長手方向にカーボン糸が沿うように配置される。特に重要なのは、第1部分17の上壁17aと、第1部分17の前壁17bの上部と、左右の第2部分18,18とにおけるカーボン糸の配列方向が、それらの長手方向に沿っていることである(符号A参照)。また第1部分17の前壁17aの下縁に沿うように、つまり左右のフロントサイドフレーム12,12の前端との接続部を指向するようにカーボン糸が配列される(符号B参照)。更に、U字状のラジエータサポート部19は、その長手方向にカーボン糸が沿うように配置される(符号C参照)。
【0029】
図5および図6はフロントエンド部材16の製造方法を示すものである。
【0030】
先ず、図5に示すように合成樹脂フィルム21に多数のカーボン糸22を平行に縫い付けてたシート23を準備し、このシート23を所定形状に切断したものを、図6に示すように所定枚数積層する。このとき、カーボン糸22の方向が主要な配列方向に沿うメインシート23(1)が最も多い枚数積層され、その所定枚数(実施の形態では3枚)毎に、カーボン糸22の方向が前記主要な配列方向と交差する第1、第2中間シート23(2),23(3)が挟まれるように積層される。第1、第2中間シート23(2),23(3)のカーボン糸22は、メインシート23(1)のカーボン糸22に対し、それぞれ右45°方向および左45°方向に交差している。またフロントエンド部材16の表面に位置する表層シート23(4)は、そのカーボン糸22の方向が金型の型閉め方向に沿うように配置される。
【0031】
即ち、積層されたシート23を金型のキャビティ内に挿入した状態で合成樹脂を射出成形してフロントエンド部材16を製造するが、金型を型閉めする際に、キャビティ面と擦れる部分のカーボン糸22を前記型閉め方向と平行に配置する。
【0032】
これを図7に基づいて具体的に説明する。図7はフロントエンド部材16の第1部分17を成形する金型の一部を模式的に示すもので、金型24の下型25および上型26のうち、矢印Pで示す型閉め方向と平行な第1部分17の前壁17bは、型閉め時に下型25のキャビティ面25aおよび上型26のキャビティ面26aに擦れることになる。このとき、カーボン糸22の配列方向が型閉め方向に対して平行でないと、カーボン糸22がキャビティ面25a,26aに引っ掛かってシート23の積層が崩れてしまう可能性がある。
【0033】
しかしながら本実施の形態によれば、表層シート23(4)を、そのカーボン糸22の方向が金型24の型閉め方向に沿うように配置することで、型閉め時にカーボン糸22がキャビティ面25a,26aに引っ掛かかるのを防止してカーボン糸22の乱れを防止することができる。図7における実線の矢印は表層のカーボン糸22の配列方向であり、破線の矢印は主要なカーボン糸22の配列方向である。
【0034】
また前記第1、第2中間シート23(2),23(3)をメインシート23(1)間に介在させないと、成形したフロントエンド部材16を金型24から取り出したときにバックリングによる変形が発生する可能性があるが、第1、第2中間シート23(2),23(3)を介在させることで前記バックリングを防止してフロントエンド部材16の成形精度を高めることができる。
【0035】
このようにして成形されたフロントエンド部材16は、その補強にカーボン繊維を用いたことで、ガラス繊維を用いたものに比べて軽量でありながら強度が高くなる。しかも、前記カーボン繊維は20mm〜500mmの長繊維であるため、一層の強度向上が可能になる。
【0036】
しかして、左右のアッパーメンバ14,14の中間部には左右のサスペンション装置のダンパーから上下方向の荷重が入力し、この荷重は左右がアンバランスであるために車体を捩じり変形させて走行性能を低下させる問題があるが、本実施の形態によればフロントエンド部材16が左右のアッパーメンバ14,14間および左右のフロントサイドフレーム12,12間を強固に接続しているため、車体剛性を増加させて車体の捩じり変形を防止することで走行性能を高めることができる。
【0037】
このとき、フロントエンド部材16の第1部分17がボックス構造を有していることと、前後方向の幅が広い第2部分18の上壁18aが筋交いとして機能することとで、車体剛性を一層効果的に増加させることができる。
【0038】
また車両が正面衝突してフロントエンド部材16の第1部分17の前壁17bに車体後方に向かう衝突荷重が作用したときに、その荷重を第1部分17の前壁17bから左右のフロントサイドフレーム12,12の前端に直接伝達するとともに、第1部分17および第2部分18を介して左右のアッパーメンバ14,14の中間部に伝達し、フロントサイドフレーム12,12およびアッパーメンバ14,14を衝突荷重で効果的に圧壊して衝撃吸収性能を高めることができる。
【0039】
このとき、フロントエンド部材16の第1部分17の前壁17bの下縁に沿うカーボン糸22の主要な配列方向はフロントサイドフレーム12,12を指向しており、かつフロントエンド部材16は平面視で前方に向かって突出するアーチ状に形成され、そのアーチに方向にカーボン糸22の主要な配列方向が沿っているので、衝突荷重をフロントサイドフレーム12,12およびアッパーメンバ14,14に一層効果的に伝達することができる。
【0040】
また正面衝突時にボンネットフードが上方に折れ曲がるように変形すると、フードロック支持部17dが設けられた第1部分17の中央に大きな上向きの荷重が作用するが、前記アーチに沿うカーボン糸22の配列によりフードロック支持部17dの上方への変形を抑制することができる。
【0041】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0042】
例えば、フロントエンド部材16を構成するメインシート23(1)および中間シート23(2),23(3)の数やカーボン糸22の方向は、実施の形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】自動車の車体前部の骨格の斜視図
【図2】図1の2方向矢視図
【図3】図2の3方向矢視図
【図4】フロントエンド部材のカーボン糸の配列方向を示す模式図
【図5】フロントエンド部材の素材となるシートの斜視図
【図6】フロントエンド部材の素材となるシートの積層状態を示す模式図
【図7】フロントエンド部材の表層のカーボン糸の配列方向を示す模式図
【符号の説明】
【0044】
12 フロントサイドフレーム
14 アッパーメンバ
16 フロントエンド部材
17 第1部分
17a 上壁
17b 前壁
17c 側壁
18 第2部分
18a 上壁
18b 下壁
18c 前壁
19 ラジエータサポート部
22 カーボン糸(カーボン繊維)
23 シート
24 金型

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボン繊維(22)で補強した合成樹脂で構成されたフロントエンド部材(16)で、左右のフロントサイドフレーム(12)間と、フロントサイドフレーム(12)の上方に配置された左右のアッパーメンバ(14)間とを接続する車両の前部車体構造であって、
前記フロントエンド部材(16)は、車体中央部で車体左右方向に配置されて前記左右のフロントサイドフレーム(12)の前端に接続される第1部分(17)と、第1部分(17)の左右両端から左右外側後方に延びて前記左右のアッパーメンバ(14)の中間部に接続される左右一対の第2部分(18)とを備えて平面視でアーチ状に構成されており、前記カーボン繊維(22)の主要な配列方向を前記アーチに沿う方向としたことを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前記第1部分(17)は、概ね水平な上壁(17a)と、上壁(17a)の前縁から概ね下向きに延びる前壁(17b)と、前記上壁(17a)および前壁(17b)の左右の側縁に連なって概ね車体前後方向に延びる左右一対の側壁(17c)とを有するボックス構造であることを特徴とする、請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項3】
前記第2部分(18)は、概ね水平な上壁(18a)および下壁(18b)と、上壁(18a)および下壁(18b)の前縁間を概ね上下方向に接続する前壁(18c)とを有し、前記上壁(18a)は前記下壁(18b)よりも車体前後方向の幅が広く、かつ前記上壁(18a)は前記アッパーメンバ(14)との接続部から前記第1部分(17)との接続部に向かって車体前後方向の幅が増加することを特徴とする、請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項4】
前記フロントエンド部材(16)の表層のカーボン繊維(22)は、該フロントエンド部材(16)を成形する金型(24)の型閉め方向に沿って配置されることを特徴とする、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項5】
前記第1部分(17)の前壁(17b)の下縁に沿う前記カーボン繊維(22)の主要な配列方向は、前記フロントサイドフレーム(12)の前端を指向することを特徴とする、請求項2に記載の車両の前部車体構造。
【請求項6】
前記第1部分(17)の左右両端に、カーボン繊維(22)で補強した合成樹脂でU字状に形成されたラジエータサポート部(19)の左右両端を接続し、前記カーボン繊維(22)の主要な配列方向を該ラジエータサポート部(19)の長手方向としたことを特徴とする、請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項7】
前記フロントエンド部材(16)は、カーボン繊維(22)を平行に配列したシート(23)を多層に積層したものを金型(24)で成形して構成され、カーボン繊維(22)の配列方向を揃えて積層された少なくとも2層のシート(23)に、カーボン繊維(22)の配列方向が異なる中間層のシート(23)が積層されることを特徴とする、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の車両の前部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−6873(P2008−6873A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−177031(P2006−177031)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】