説明

車両の前部車体構造

【課題】車体前部のノーズ部の側面を構成するフロントフェンダが樹脂で形成された車両において、フロントフェンダの形状を考慮して、ノーズ部の内部の物品を一体形成した前部車体構造を提供する
【解決手段】フロントフェンダ4に、ノーズ部2の前部から後方に延びる空調ダクト23を一体形成する。こうすることにより、車両1の生産性が向上すると共に、ノーズ部2内に大型の物品を含む種々の物品を設置しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体前部のノーズ部の側面を構成するフロントフェンダが樹脂で形成された車両の前部車体構造に関し、車体構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、車体の軽量化を目的として、特許文献1〜3に開示されているように、車体前部のノーズ部の側面を構成するフロントフェンダを樹脂により形成することがある。
【0003】
また、特許文献2には、前記フロントフェンダに、ノーズ部のホイールハウス部分にマッドガードを一体形成したものが開示され、特許文献3には、前記フロントフェンダに、ノーズ部の前端部に設けられるヘッドランプのハウジングを一体形成したものが開示されている。これによれば、一体形成しない場合よりも、部品点数が削減されると共に、組立工数を削減することができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−261458号公報
【特許文献2】特開2006−096169号公報
【特許文献3】特開2008−012941号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ノーズ部の内部には、前述のマッドガードやヘッドラングのハウジング以外にも種々の物品が配設されており、これらの物品についてもフロントフェンダに一体化できる可能性がある。
【0006】
そこで、本発明は、フロントフェンダの形状を考慮して、ノーズ部の内部の物品を一体形成した前部車体構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明は、次のように構成したことを特徴とする。
【0008】
まず、本願の請求項1に記載の発明は、車体前部のノーズ部の側面を構成するフロントフェンダが樹脂で形成された車両の前部車体構造であって、前記フロントフェンダに、前記ノーズ部の前部から後方に延びるダクトが一体形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の前部車体構造において、前記ダクトは、空調装置に外気を導く空調ダクトであることを特徴とする。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の前部車体構造において、前記ダクトは、前記ノーズ部内に配設されたエンジンの音をノーズ部後方の車室に導く導音ダクトであることを特徴とする。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、前記請求項1に記載の車両の前部車体構造において、前記ダクトは、左右のフロントフェンダにそれぞれ一体形成されており、一方のダクトは、空調装置に外気を導く空調ダクトであり、他方のダクトは、前記ノーズ部内に配設されたエンジンの音をノーズ部後方の車室に導く導音ダクトであることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、前記請求項2または請求項4に記載の車両の前部車体構造において、前記空調装置は、ノーズ部の後部に配設された空調ブロアを有し、前記空調ダクトは、前端がノーズ部の前端部に配置され、後端が前記空調ブロアに直接または間接的に接続されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項6に記載の発明は、前記請求項3または請求項4に記載の車両の前部車体構造において、前記導音ダクトは、前端がエンジンの吸気通路構成部材に直接または間接的に接続され、後端が車室に直接または間接的に接続されていることを特徴とする。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、前記請求項3、請求項4または請求項6のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、前記導音ダクトの途中に調音ユニットが設けられており、該調音ユニットのケースがフロントフェンダと一体形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
次に、本発明の効果について説明する。
【0016】
まず、請求項1に記載の発明によれば、車体前部のノーズ部の側面を構成するフロントフェンダに、前記ノーズ部の前部から後方に延びるダクトを一体形成したから、車両の生産性が向上すると共に、ノーズ部内に大型の物品を含む種々の物品を配設しやすくなる。すなわち、一般にダクトは比較的長い形状であるが故に、一体形成されていない場合には、ノーズ部の内部への取付箇所が多くなって、細かな取付部品が多数必要となると共に、取付工数が多大となり、また、取付作業者の手や治具の挿入スペースが必要となり、ノーズ部内部のスペースの効率的使用が阻害されていた。
【0017】
しかし、本発明では、前述のようにダクトを一体形成したことにより、ダクトの取付作業が不要となって生産性が向上すると共に、取付作業のためのスペースが不要となる。また、フロントフェンダは、通常、ノーズ部の前端付近から後端付近まで設けられて車体前後方向に長い形状とされているが、本発明においては、ダクトは、このフロントフェンダの形状を考慮して、略車体前後方向に延びるように設けられているから、フロントフェンダよりも車幅方向内方のスペースを利用して種々の物品を設置する場合に、干渉する虞が少なく、該スペースに大型の物品を含む種々の物品を設置しやすくなる。
【0018】
また、請求項2に記載の発明によれば、前記ダクトが、空調装置に外気を導く空調ダクトである場合に、請求項1の効果が得られることとなる。その場合に、空調装置はほとんどの車両に配設されるので、多くの車両において生産性が向上することとなる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、前記ダクトが、ノーズ部内に配設されたエンジンの音をノーズ部後方の車室に導く導音ダクトである場合に、請求項1の効果が得られることとなる。その場合に、エンジンの周辺は、一般に、ノーズ部の中でも特に多くの配管や物品が密集して配設されているために、特に作業スペースを確保しにくく、その結果、オプション的な導音ダクトを配置するのは困難な場合があったが、本発明によれば、フロントフェンダに導音ダクトを一体形成したことにより、作業スペースに伴う前記問題が解消されることとなる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明によれば、左右のフロントフェンダを有効に利用して、請求項2及び請求項3の両方の効果を得ることができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明においては、前記空調ダクトは、前端がノーズ部の前端部に配置され、後端がノーズ部の後部に配設された空調ブロアに直接または間接的に接続されるが、このように前後に長いものがフロントフェンダに一体化されることにより、前述の効果が一層顕著に得られることとなる。
【0022】
また、請求項6に記載の発明においては、前記導音ダクトは、前記導音ダクトは、前端がエンジンの吸気通路構成部材に直接または間接的に接続され、後端が車室に接続されるが、このように前後に長いものがフロントフェンダに一体化されることにより、前述の効果が一層顕著に得られることとなる。
【0023】
また、請求項7に記載の発明によれば、調音ユニットのケースについてもフロントフェンダと一体化することにより、該調音ユニットのケースの組み付けが不要となり、車両の生産性が一層向上することとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態に係る車両の前部車体構造について説明する。
【0025】
図1、図2は、本発明の第1の実施の形態に係る車両1の前部車体構造の平面図及び側面図であり、これらの図からわかるように、車体の前部には、ノーズ部2が設けられている。
【0026】
ノーズ部2は、上面がボンネットフード3により構成され、左右の側面、及び前面の左右部分がフロントフェンダ4,4により構成され、前面の中央部分がバンパ(図示せず)により構成されている。
【0027】
ノーズ部2の内部には、エンジン5が配設されるエンジンルーム6が設けられ、このエンジンルーム6とその後方の車室7とが、ノーズ部2の後部に設けられたダッシュパネル11により前後に仕切られている。
【0028】
また、ノーズ部2の内部においては、左右一対のフロントサイドフレーム12,12が、ダッシュパネル11からエンジン5側方を通って前方に延びている。また、ダッシュパネル11の左右には、上下に延び、フロントドア13の前端部を枢支するヒンジピラー14がそれぞれ設けられている。左右のヒンジピラー14の上部からそれぞれエプロンレンフォースメント15が前方に延びている。フロントサイドフレーム12とエプロンレンフォースメント15との間には、フロントタイヤWを収容するホイールハウスの内面を構成するエプロンパネル16が設けられている。また、左右のヒンジピラー15の上端部から後方上方にフロントピラー17が延びている。
【0029】
また、ノーズ部2の後部、詳しくはエンジンルーム5の後部左側スペースには、車室7用の空調装置20が配設されている。この空調装置20は、ブロア21や熱交換機22を有し、これらにより調整された空調風がダッシュパネル11を貫通する送風ダクト(図示せず)を介して車室7内に供給されるようになっている。なお、一般に空調装置のブロアや熱交換機は車室内に配設されることが多いが、本実施の形態においては、ブロア21や熱交換機22をエンジンルーム6内に配設したことにより、これら21,22の分、車室7のスペースを広く確保することができる。
【0030】
ここで、本実施の形態に係る車両1においては、前記フロントフェンダ4,4が樹脂により形成されている。
【0031】
このフロントフェンダ4は、図3、図4に示すように、上部が滑らかに車幅方向内方に湾曲して外部意匠面を構成する本体部4aと、該本体部4aの車幅方向内端側に段下げして形成され、前記エプロンレインフォースメント15にボルト等により固定される取付面部4bとを有している。
【0032】
また、本実施の形態においては、図1、図2に示すように、ノーズ部2内において前記空調装置20が配設される側である車幅方向左側のフロントフェンダ4(4L)に、空調装置20のブロア22に外気を導く空調ダクト23が樹脂で一体形成されている。
【0033】
この空調ダクト23は、図1、図2からわかるように、車体前端部近傍から空調装置20の側方まで後方に(略車体前後方向に)延びている。また、図3、図4からわかるように、この空調ダクト23は、断面略楕円形状で、本体部4aの上部の内面に近接した状態で配置され、車幅方向外方上方に設けられた連結部23cを介してフロントフェンダ4の本体部4aに連結されている。また、図3に示すように、前端部には、外気取入用の入口開口部23aが下向きに形成されている。また、図4に示すように、後端部には、外気排出用の出口開口部23bが車幅方向内方を向いて形成され、この出口開口部23bとブロア22とが、エプロンパネル16の孔16aを貫通して配設された可撓性を有する別体の連結ダクト24を介して接続されている。
【0034】
そして、空調装置20の熱交換器22で熱交換された外気は、図示しない送風ダクトを介して車室7内に供給されるようになっている。
【0035】
次に、第1の実施の形態に係る車両の前部車体構造による作用、効果について説明する。
【0036】
まず、車体前部のノーズ部2の側面を構成するフロントフェンダ4に、前記ノーズ部2の前部から後方に延びる空調ダクト23を一体形成したから、車両1の生産性が向上すると共に、ノーズ部2内に大型の物品を含む種々の物品を配設しやすくなる。
【0037】
すなわち、一般にダクトは比較的長い形状であるが故に、一体形成されていない場合には、ノーズ部の内部への取付箇所が多くなって、細かな取付部品が多数必要となると共に、取付工数が多大となり、また、取付作業者の手や治具の挿入スペースが必要となり、ノーズ部内部のスペースの効率的使用が阻害されていたが、本実施の形態では、前述のようにダクトを一体形成したことにより、該ダクトの取付が不要となって生産性が向上すると共に、取付作業のためのスペースが不要となる。また、フロントフェンダは、通常、ノーズ部の前端付近から後端付近まで設けられて車体前後方向に長い形状とされているが、本発明においては、空調ダクト23は、フロントフェンダ4の形状を考慮して、略車体前後方向に延びるように設けられているから、フロントフェンダ4よりも車幅方向内方のスペースを利用して種々の物品を設置する場合に、干渉する虞が少なく、該スペースに大型の物品を含む種々の物品を設置しやすくなる。
【0038】
特に、近年、空調装置はほとんどの車両に配設されるので、多くの車両において生産性が向上することとなる。
【0039】
また、空調ダクト23は、前端がノーズ部2の前端部に配置され、後端がノーズ部2の後部に配設されたブロア21に連結ダクト24を介して間接的に接続されているが、このように前後に長いものがフロントフェンダ4に一体化されることにより、前述の効果が一層顕著に得られることとなる。なお、空調ダクトの後端とブロアとが近接し、かつこれらの間に位置ずれが起きる虞がほとんどない構造である場合には、空調ダクトの後端とブロアとを直接接続してもよい。
【0040】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同一またはほぼ同一のものについては、詳細な説明を省略するが、引用する必要があるときは同一の符号を用いる。第3の実施の形態において同じ。
【0041】
図5、図6は、第2の実施の形態に係る車両1′の前部車体構造の平面図及び側面図である。これらの図からわかるように、第2の実施の形態においては、ノーズ部2の左側スペースに、第1の実施の形態の空調装置20に代えて、ノーズ部2、詳しくはエンジンルーム5の内部に配設されたエンジン5の音を車室7に導くサウンドクリエータ装置30が設けられている。また、左側のフロントフェンダ4(4L)に、第1の実施の形態の空調ダクト23に代えて、導音ダクト31、及び後述する調音ユニット32のケース33が樹脂で一体形成されている。なお、フロントフェンダ4の基本構造は、第1の実施の形態と同様であり、樹脂で形成されて、図7、図8に示すように、本体部4aと、取付面部4bとを有し、エプロンレインフォースメント15にボルト等により固定されている。
【0042】
この導音ダクト31は、図5、図6からわかるように、ノーズ部2の前部からダッシュパネル11まで後方に(略車体前後方向に)延びている。また、図7からわかるように、この導音ダクト31は、断面略楕円形状で、本体部4aの上部の下面及び側面に近接した状態で配置され、車幅方向外方上方に設けられた連結部31cを介してフロントフェンダ4の本体部4aに連結されている。また、前端部には、入口開口部31aが幅方向内方を向いて形成され、この入口開口部31aとエンジン5の吸気管5aとが、エプロンパネル16の孔16bを貫通して配設された可撓性を有する別体の連結ダクト32を介して接続されている。なお、吸気管5aの外周面には連結ダクト32と連通するような孔は設けられていないが、エンジン音を伝達可能なように連結ダクト32の車幅方向内側の端部が当接され、その状態で固着されている。なお、連結ダクト32の車幅方向内側の端部の内部には、この端部を閉じる膜部材32aが設けられている。一方、後端部の出口開口部32bは、図8に示すように、ダッシュパネル11の側部に形成された開口部11aにファスナSで固定されることにより車室7に接続されている。
【0043】
図5、図6に戻り、前記導音ダクト31の途中には、該ダクト31の入口開口部31a側から伝達されてくるエンジン音の音量や音質を調整して出口開口部32b側(車室7側)に伝達する調音ユニット32が設けられている。
【0044】
この調音ユニット32は、図9、図10に示すように、ケース33と、該ケース33内に収容され、入口開口部31a側から伝達されてくるエンジン音により振動する蛇腹状の振動部材34とを有している。その場合に、ケース33は、フロントフェンダ4に、導音ダクト31と共に一体形成され、導音ダクト31同様に連結部31cを介してフロントフェンダ4の本体部4aに連結されている。なお、ケース33の下面には、振動部材34をケース33内部に収容するための開口33aが形成され、振動部材34の収容後、別途形成された蓋部材35で閉じられるようになっている。
【0045】
次に、第2の実施の形態に係る車両1′の前部車体構造による作用、効果について説明する。
【0046】
まず、フロントフェンダ4に、前記ノーズ部2の前部から後方に延びるダクト31を一体形成したから、第1の実施の形態において説明したのと同様に、車両の生産性が向上すると共に、ノーズ部2内に大型の物品を含む種々の物品を配設しやすくなる。
【0047】
ここで、一般に、エンジンの周辺は、ノーズ部の中でも特に多くの配管や物品が密集して配設されているために、特に作業スペースを確保しにくく、その結果、オプション的な導音ダクトを配置するのは困難な場合があったが、本実施の形態においては、フロントフェンダ4に導音ダクト31を一体形成したことにより、作業スペースに伴う前記問題が解消されることとなる。
【0048】
また、導音ダクト31は、前端がエンジン5の吸気管5a(吸気通路構成部材)に連結ダクト32を介して間接的に接続され、後端が車室7(ダッシュパネル11)に直接接続されているが、このように前後に長いものがフロントフェンダ4に一体化されることにより、前述の効果が一層顕著に得られることとなる。なお、吸気管と導音ダクトの前端とが近接し、かつこれらの間に位置ずれが起きる虞がほとんどない構造である場合には、吸気管と導音ダクトの前端とを直接接続してもよい。また、導音ダクトの後端とダッシュパネルの孔との位置ずれが起きる虞がある構造の場合は、導音ダクトの後端とダッシュパネルとを可撓性を有する連結ダクトを介して間接的に接続してもよい。
【0049】
また、調音ユニット32のケース33についてもフロントフェンダ4と一体化することにより、該調音ユニット121のケース33の組み付けが不要となり、車両の生産性が一層向上することとなる。
【0050】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
【0051】
図11は、第3の実施の形態に係る車両1″の前部車体構造の平面図である。この図からわかるように、第3の実施の形態においては、ノーズ部2の後部左側スペースに第1の実施の形態と同様の空調装置20が配設されていると共に、後部右側スペースに、第2の実施の形態と同様のサウンドクリエータ装置30が、第2の実施の形態に対して左右反転させた状態で配設されている。そして、左右のフロントフェンダ4,4のうちの左側のフロントフェンダ4(4L)に、空調ダクト23が一体形成され、右側のフロントフェンダ4(4R)に、導音ダクト31、及び調音ユニット32のケース33が一体形成されている。
【0052】
第3の実施の形態によれば、ノーズ部2の内部に空調装置20とサウンドクリエータ装置30との両方を配設した場合に、左右のフロントフェンダ4,4を有効に利用して、前記第1、第2実施形態で説明した両方の効果を得ることができる。
【0053】
なお、第1、第2、第3で説明したものに対して車幅方向の左右をそれぞれ反転させたものも、本発明に含まれる。
【0054】
また、第1、第2の実施の形態において、空調ダクト23や導音ダクト31が不要な側である車幅方向右側のフロントフェンダ4(4R)については、本体部4aと取付面部4bとのみを有する構造としてもよいし、空調ダクト23または導音ダクト31が一体形成された前述のフロントフェンダ4(4L)を、左右反転させた構造としてもよい。前者の場合、車両重量を出来るだけ少なくすることができ、後者の場合、例えば海外向け仕様車と日本向け仕様車とで車幅方向の左右を反転させる必要があるような場合に、共通して利用することができる。
【0055】
また、前記各実施の形態において説明した空調ダクトや導音ダクトの断面形状は、一例であり、例えば矩形や、円形、多角形等でもかまわない。また、フロントフェンダ4の本体部4aの内面に例えば半円筒状部を形成することによりダクトを構成することも可能であり、この場合、ノーズ部内へのダクトの車幅方向突出量を一層少なくすることができる。また、ダクトの形状の設定に当っては、フロントフェンダ4の本体部4aと、ノーズ部2の内部に配設される種々の装置との隙形状を考慮して、例えば一定の断面積を確保しつつ車体前後方向において変化させてもよく、こうすることにより、ノーズ部2の内部の空間をより効率的に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、車体前部のノーズ部の側面を構成するフロントフェンダに、フロントフェンダの形状を考慮して、ノーズ部の前部から後方に延びるダクトを一体形成したから、車両の生産性が向上すると共に、ノーズ部の内部に大型の物品をレイアウトしやすくなり、自動車産業に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る車両の前部車体構造の平面図である。
【図2】同側面図である。
【図3】図1のA−A断面図である。
【図4】図1のB−B断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る車両の前部車体構造の平面図である。
【図6】同側面図である。
【図7】図5のC−C断面図である。
【図8】図5のD−D断面図である。
【図9】図5のE−E断面図である。
【図10】図6のF−F断面図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態に係る車両の前部車体構造の平面図である。
【符号の説明】
【0058】
1 車両
2 ノーズ部
4 フロントフェンダ
5 エンジン
5a 吸気管(吸気通路構成部材)
7 車室
20 空調装置
22 ブロア(空調ブロア)
23 空調ダクト(ダクト、空調ダクト)
30 サウンドクリエータ装置
31 導音ダクト(ダクト、導音ダクト)
32 調音ユニット
33 調音ユニットのケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体前部のノーズ部の側面を構成するフロントフェンダが樹脂で形成された車両の前部車体構造であって、
前記フロントフェンダに、前記ノーズ部の前部から後方に延びるダクトが一体形成されていることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
前記請求項1に記載の車両の前部車体構造において、
前記ダクトは、空調装置に外気を導く空調ダクトであることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項3】
前記請求項1に記載の車両の前部車体構造において、
前記ダクトは、前記ノーズ部内に配設されたエンジンの音をノーズ部後方の車室に導く導音ダクトであることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項4】
前記請求項1に記載の車両の前部車体構造において、
前記ダクトは、左右のフロントフェンダにそれぞれ一体形成されており、
一方のダクトは、空調装置に外気を導く空調ダクトであり、
他方のダクトは、前記ノーズ部内に配設されたエンジンの音をノーズ部後方の車室に導く導音ダクトであることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項5】
前記請求項2または請求項4に記載の車両の前部車体構造において、
前記空調装置は、ノーズ部の後部に配設された空調ブロアを有し、
前記空調ダクトは、前端がノーズ部の前端部に配置され、後端が前記空調ブロアに直接または間接的に接続されていることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項6】
前記請求項3または請求項4に記載の車両の前部車体構造において、
前記導音ダクトは、前端がエンジンの吸気通路構成部材に直接または間接的に接続され、後端が車室に直接または間接的に接続されていることを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項7】
前記請求項3、請求項4または請求項6のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、
前記導音ダクトの途中に調音ユニットが設けられており、
該調音ユニットのケースがフロントフェンダと一体形成されていることを特徴とする車両の前部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−12846(P2010−12846A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−173012(P2008−173012)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】