説明

車両の前部車体構造

【課題】車両の前部におけるパワートレインの設置スペースを充分に確保しつつ、車両の衝突荷重を効果的に吸収できるようにする。
【解決手段】車両の前後方向に延びるように設置された閉断面状のフロントサイドフレーム2を有する車両の前部車体構造であって、上記フロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面下部には、パワートレインとの干渉を避けるために車幅方向外方側へ凹入した凹入部23が形成され、上記フロントサイドフレーム2内には、補強部材25が上記凹入部23の前後方向に亘って配設され、該補強部材25の上部がフロントサイドフレーム2の上壁26の車幅方向中間部またはその外側部位の少なくとも一方に接合されるとともに、上記補強部材25の側部が上記凹入部23の壁面に接合された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前後方向に延びるように設置された閉断面状のフロントサイドフレームを有する車両の前部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に示されるように、フロントサイドフレームからなる長尺状の骨格部材を備え、上記骨格部材が車両の前後方向に配置された車両の前部構造において、上記骨格部材における長手方向に離間した2箇所に、それぞれ前方屈折部および後方屈折部が上記骨格部材の幅方向または上下方向で異なる位置に形成されており、上記骨格部材の長手方向に沿った荷重が上記骨格部材に入力した際に、上記前方屈折部と後方屈折部とがそれぞれ圧縮変形し、上記骨格部材が凹凸状に座屈させられるように形成することにより、車両の衝突等によって骨格部材が変形する際に、変形する骨格部材がエンジン等に干渉するのを防止し、衝突時の荷重を好適に減衰させることが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−221991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に開示された車両の前部構造では、長尺の骨格部材を構成するフロントサイドフレームの車幅方向内側下部に、中央部が上方に湾曲する湾曲形状をなす二本の稜線を備えた凹部を形成することにより、車両前部に配設されるエンジンおよびトランスアクスル装置等からなるパワートレインの設置スペースを確保するように構成されている。しかし、上記のようにフロントサイドフレームの車幅方向内側下部に中央部を上方に湾曲させた凹部を形成した場合には、該フロントサイドフレームの凹部に車両の衝突荷重が集中して作用し易く、該凹部を基点にフロントサイドフレームが大きく折れ曲がるように変形することが避けられないという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車両の前部におけるパワートレインの設置スペースを充分に確保しつつ、車両の衝突荷重を効果的に吸収することができる車両の前部車体構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、車両の前後方向に延びるように設置された閉断面状のフロントサイドフレームを有する車両の前部車体構造であって、上記フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面下部には、パワートレインとの干渉を避けるために車幅方向外方側へ凹入した凹入部が形成され、上記フロントサイドフレーム内には、補強部材が上記凹入部の前後方向に亘って配設され、該補強部材の上部がフロントサイドフレームの上壁の車幅方向中間部またはその外側部位の少なくとも一方に接合されるとともに、上記補強部材の側部が上記凹入部の壁面に接合されたものである。
【0007】
請求項2に係る発明は、上記請求項1に記載の車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレームが、その外側壁面部を構成するアウタパネルと、その内側に配設された断面コ字状のインナパネルとの上下縁部が互いに接合されてなり、該フロントサイドフレームのインナパネルに上記凹入部が形成されるとともに、該インナパネルに上記補強部材が接合されたものである。
【0008】
請求項3に係る発明は、上記請求項1または2に記載の車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレームに形成された上記凹入部の前側部分に、該フロントサイドフレームの上下方向中心よりも上方領域から前下がりに湾曲しつつ車両の前方側に延びる上縁が設けられ、上記補強部材が、フロントサイドフレームの上下方向略中心位置で上記凹入部の壁面に接合されたものである。
【0009】
請求項4に係る発明は、上記請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面部には、前後方向に延びる補強部が上記凹入部と正面視で重なる位置で該凹入部の前方側に設けられ、かつ上記補強部材の前端部が、上記補強部と略同等の高さで、フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面部に接合されたものである。
【0010】
請求項5に係る発明は、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、上記補強部材は、正面視で車幅方向内側に膨出する膨出部を備えたものである。
【0011】
請求項6に係る発明は、上記請求項5に記載の車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレームの上部に、車両部品を取り付けるための取付部材が設けられるとともに、該取付部材が上記補強部材に設けられた膨出部の上部と下部とを連結するように設置されたものである。
【0012】
請求項7に係る発明は、上記請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレームの凹入部よりも前方側部位および後方側部位には、前突荷重に応じてフロントサイドフレームが屈曲するのを促進する屈曲促進部が設けられたものである。
【0013】
請求項8に係る発明は、上記請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレームの凹入部よりも前方側に位置する部位に、その後方側部位に比べて前後方向における剛性が低く設定された低剛性部が形成されたものである。
【0014】
請求項9に係る発明は、上記請求項4に記載の車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレームの前端部に、正面視で略十字形状のクラッシュカンが取り付けられ、該クラッシュカンの車幅方向内側突出部と、上記フロントサイドフレームの補強部とが正面視で重なる部位に配設されたものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明では、フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面下部に、パワートレインとの干渉を避けるために車幅方向外方側へ凹入させた凹入部を形成したため、上記フロントサイドフレームの設置高さを高くしたり、設置幅を大きくしたりする等の手段を講じることなく、該フロントサイドフレームとパワートレインとの干渉を回避することができる。したがって、例えば大容量のパワートレインを有するハイブリッド車両においても、上記フロントサイドフレームの設置高さが高くなり過ぎたり、車体前部が大型化したりする等の問題を生じることなく、上記フロントサイドフレームおよびパワートレインをコンパクト化した状態で適正に設置することができる。そして、上記フロントサイドフレーム内において上記凹入部の前後方向に亘るように配設された補強部材の上部をフロントサイドフレームの上壁部の車幅方向中間部またはその外側部位の少なくとも一方に接合するとともに、上記補強部材の側部を凹入部の壁面に接合した構造としたため、車両の前突時に、該凹入部が形成された上記フロントサイドフレームの下部に入力された衝突荷重を、上記補強部材を介してフロントサイドフレームの上壁部に伝達することにより分散して支持することができ、該衝突荷重に応じてフロントサイドフレームが大きく屈曲変形することを効果的に抑制し、該フロントサイドフレームがパワートレインに干渉することに起因して、その衝突荷重の吸収効果が損なわれるという事態の発生を防止できるという利点がある。
【0016】
請求項2に係る発明では、外側壁面部を構成するアウタパネルと、その内側に配設された断面コ字状のインナパネルとの上下縁部を互いに接合することにより上記フロントサイドフレームを形成し、該フロントサイドフレームのインナパネルに上記凹入部を形成するとともに、該インナパネルに上記補強部材を接合した構造としたため、該補強部材をインナパネルに予めスポット溶接、またはその他の接合方法により接合した後に、これらと上記アウタパネルとをスポット溶接等の手段で接合することにより、上記フロントサイドフレームを容易に製造できるという利点がある。
【0017】
請求項3に係る発明では、上記フロントサイドフレームに形成された上記凹入部の前側部分に、該フロントサイドフレームの上下方向中心よりも上方領域から前下がりに湾曲しつつ車両の前方側に延びる上縁を設け、上記補強部材を、フロントサイドフレームの上下方向略中心位置で上記凹入部の壁面に接合したため、車両の前突時にフロントサイドフレームの前端部から上記凹入部の設置部に入力された衝突荷重を、上記補強部材によりフロントサイドフレームの上壁部に効果的に伝達し、上記衝突荷重を安定して支持できるという利点がある。
【0018】
請求項4に係る発明では、上記フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面部において、前後方向に延びる補強部を上記凹入部と正面視で重なる位置で該凹入部の前方側に設け、かつ上記補強部材の前端部を、上記補強部と略同等の高さで、フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面部に接合したため、前部車体の一端部側に障害物が衝突するオフセット衝突時に、上記補強部から凹入部の設置部に伝達された衝突荷重を、上記補強部材によりフロントサイドフレームの上壁に伝達して支持することができ、上記衝突荷重がフロントサイドフレームの凹入部に集中して作用することに起因して、該凹入部に異常な変形が生じるのを効果的に防止し、上記フロントサイドフレームがパワートレインに干渉して、その衝突荷重の吸収効果が損なわれること等を防止できるという利点がある。
【0019】
請求項5に係る発明では、正面視で車幅方向内側に膨出する膨出部を形成したため、上記補強部材の稜線を増加させて正面視における断面係数を効果的に増大させることにより、その前後方向の剛性を充分に確保することができるとともに、上記補強部材をフロントサイドフレーム内に配設したため、該フロントサイドフレームを効率よく補強することができ、凹入部の設置部において上記フロントサイドフレームが大きく変形するという事態の発生を、さらに効果的に防止することができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、フロントサイドフレームの上部に、車両部品を取り付けるための取付部材を設けるとともに、該取付部材を、上記補強部材に設けられた膨出部の上部と下部とを連結するように設置したため、該膨出部の補強材として上記取付部材を利用することにより、簡単な構成で上記補強部材の剛性を充分に向上させて、該補強部材によりフロントサイドフレームを効果的に補強することができ、上記凹入部の設置部におけるフロントサイドフレームの変形を効果的に防止できるという利点がある。
【0021】
請求項7に係る発明では、上記フロントサイドフレームの凹入部よりも前方側部位および後方側部位に、前突荷重に応じてフロントサイドフレームが屈曲するのを促進する屈曲促進部を設けたため、車両の前突時に入力される衝突荷重に応じて上記凹入部の前後においてフロントサイドフレームを狙い通り変形させることにより、上記フロントサイドフレームがパワートレインに干渉することに起因して、その衝突荷重の吸収効果が損なわれる等事態の発生を効果的に防止することができる。
【0022】
請求項8に係る発明では、上記フロントサイドフレームの凹入部よりも前方側に位置する部位に、その後方側部位に比べて前後方向における剛性が低く設定された低剛性部を形成したため、車両の前突時にフロントサイドフレームに入力される衝突荷重に応じ、上記凹入部よりも前方側に位置する部位を積極的に変形させることにより、上記衝突荷重を効果的に吸収することができるとともに、上記凹入部の設置部におけるフロントサイドフレームの変形を、より効果的に抑制できるという利点がある。
【0023】
請求項9に係る発明では、上記フロントサイドフレームの前端部に、正面視で略十字形状のクラッシュカンを取り付け、該クラッシュカンの車幅方向内側突出部と、上記フロントサイドフレームの補強部とを正面視で重なる部位に配設したため、車体前部の一端部側に障害物が衝突するオフセット衝突時に、車体の左右に配設されたクラッシュカンの一方側に衝突荷重が集中的に入力された場合においても、該クラッシュカンが折れ曲がるように変形するのを防止し、これを蛇腹状に圧縮変形させて上記衝突荷重を効果的に吸収することができる。そして、上記クラッシュカンの突出部からフロントサイドフレームの補強部に入力されるとともに、該補強部から凹入部の設置部に伝達された衝突荷重を、上記補強部材を介してフロントサイドフレームの上壁部に伝達して支持することができるため、上記衝突荷重がフロントサイドフレームの車幅方向内側壁面部に設けられた凹入部に集中して作用するのを防止することができ、これにより該凹入部の設置部において上記フロントサイドフレームが大きく変形するという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る車両の前部車体構造の実施形態を示す底面図である。
【図2】フロントサイドフレームの具体的構成を示す斜視図である。
【図3】クラッシュカンの具体的構成を示す正面図である。
【図4】フロントサイドフレームの具体的構成を示す正面断面図である。
【図5】取付部材の設置構成を示す正面断面図である。
【図6】前部車体の変形状態を示す説明図である。
【図7】フロントサイドフレームの具体的構成を示す斜視図である。
【図8】本発明に係る車両の前部車体構造の別の実施形態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1および図2は、本発明に係る車両の前部車体構造の実施形態を示している。該車両の前部車体構造は、その前端部において車幅方向に延びるように設置されたバンパービーム1と、前部車体の左右両側辺部に沿って車両の前後方向に延びるように設置された左右一対のフロントサイドフレーム2とを有し、上記バンパービーム1の左右両側端部とフロントサイドフレーム2との間には、クラッシュカン3が配設されている。
【0026】
上記バンパービーム1の後方側であって、左右のフロントサイドフレーム2間には、バイブリッド車両の駆動機構を構成するエンジン5と、モータジェネレータおよび動力分配機構等からなるトランスアクスル装置6とを備えたパワートレイン7が配設されている。該パワートレイン7は、その左右両端部が上記フロントサイドフレーム2に支持されるとともに、該フロントサイドフレーム2の下方に配設されたサブフレーム(図示せず)によりパワートレイン7の下方部が支持されている。
【0027】
上記クラッシュカン3は、図3に示すように、フロントサイドフレーム2に比べて板厚の薄い鋼板材をプレス加工することにより形成された略左右対称形状の折り曲げ部材10,11を互いに付き合わせた状態でスポット溶接することにより、正面視で上下左右に突出した断面コ字状の突出部12〜15を備えた略十字状に形成されている。また、上記クラッシュカン3の後端部には、フロントサイドフレーム2の前端部に取り付けられる取付プレート16が固着されている。
【0028】
上記フロントサイドフレーム2は、図4に示すように、その外壁面部を構成する鋼板材からなるアウタパネル17と、その内側に配設された断面コ字状のインナパネル18とからなっている。そして、該インナパネル18の上下縁部に設けられた取付フランジ19,20が上記アウタパネル17の上下縁部にスポット溶接される等により、車両の前後方向に延びる閉断面状のフロントサイドフレーム2が構成されている。また、該フロントサイドフレーム2の前端部には取付基板21が固着され、該取付基板21に上記クラッシュカン3の取付プレート16がボルト止めされる等により取り付けられるようになっている。
【0029】
上記トランスアクスル装置6の設置部側に位置するフロントサイドフレーム2には、その車幅方向内側壁面下部、つまり上記インナパネル18の車幅方向内方側に位置する側壁面部22の下方部分には、車幅方向外方側へ凹入した凹入部23が形成されている。該凹入部23は、底面視で上記トランスアクスル装置6の車幅方向外側端部と重なる位置において、該トランスアクスル装置6と上記フロントサイドフレーム2との干渉を回避するように構成されている。
【0030】
上記凹入部23の後側部分は、その上縁23aがフロントサイドフレーム2の上下方向中心よりも上方領域に配設されている。そして、インナパネル18の側壁面部22に形成された上記上縁23aよりも下方に位置する部分を車幅方向外側に位置させるように傾斜させることにより、車幅方向外方側へ凹入した凹入部23を上記インナパネル18の側壁面部22に形成している。
【0031】
また、上記凹入部23の前側部分に位置する上縁23aは、図2に示すように、フロントサイドフレーム2の上下方向中心よりも上方領域から前下がりに湾曲しつつ車両の前方側に延びるように設置されている。これにより、上記凹入部23の上下寸法が前側に至るほど小さくなるように形成されるとともに、該凹入部23の前端部では、その上縁23aがフロントサイドフレーム2の上下方向中心よりも下方領域に位置するように構成されている。
【0032】
上記フロントサイドフレーム2の前部に位置するインナパネル18の側壁面部22からなる車幅方向内側壁面部には、上記クラッシュカン3の車幅方向内側に位置する突出部14と正面視で重なる部位において、車幅方向内方側に突出する突出部からなる補強部24が前後方向に延びるように設置されている。該補強部24は、上記凹入部23と正面視で重なる位置で該凹入部23の前方側に設けられるとともに、上記補強部24の後部下辺が、凹入部23の前部上辺近傍に接続されている。
【0033】
上記フロントサイドフレーム2内には、上記凹入部23の設置部を補強するための補強部材25が配設され、上記凹入部23の前後方向に亘って延設されている。上記補強部材25は、図4に示すように、上記インナパネル18の上壁部26に接合される上面板27と、その車幅方向内側部から下方に延びる側面板28と、その下端部から下方に延びるとともに上記インナパネル18の下端部に設けられた取付フランジ20に接合される接合フランジ29とを有している。
【0034】
図4および図5における×印は、フロントサイドフレーム2および補強部材25のスポット溶接個所を示している。該補強部材25の上部(上面板27)がフロントサイドフレーム2の上壁、つまり上記インナパネル18の上壁部26の車幅方向中間部またはその外側部位の少なくとも一方にスポット溶接されるとともに、上記補強部材25の側面板28が、上記凹入部23の壁面部にスポット溶接されることにより、上記補強部材25がフロントサイドフレーム2のインナパネル18に接合されている。また、上記補強部材25の前端部は、上記補強部24と略同等の高さで、フロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面部、つまり上記インナパネル18の側壁面部22に接合されている。
【0035】
上記補強部材25の上方部には、側面板28の上部を車幅方向内側に膨出させてなる膨出部30が形成されるとともに、上記側面板28の下部には、インナパネル18の側壁面部22に沿って下端部が外拡がりに形状に傾斜した傾斜面部31が形成されている。そして、該補強部材25の傾斜面部31が、上記フロントサイドフレーム2の上下方向略中心位置で、上記凹入部23の壁面部にスポット溶接されることにより、上記インナパネル18の側壁面部22と上記補強部材25の傾斜面部31とが接合されている。
【0036】
また、上記フロントサイドフレーム2の上壁部26には、図2に示すように、車両部品の取付孔32が前後二個所に形成されるとともに、その下方には、図5に示すように、パイプ材またはウエルドナット等からなる取付部材33が取り付けられている。該取付部材33は、パワートレイン7のトランスアクスル装置6からなる車両部品が取り付けられるパイプ材またはウエルドナット等からなり、上記補強部材25の上方部に設けられた膨出部30の上部と下部とを連結するように設置され、補強部材25の上面板27にロウ付け溶接される等の手段で固定されている。なお、上記取付部材33の上部を必ずしも補強部材25の上面板27に溶接する必要はなく、上記車両部品を締結ボルトにより取付部材33に取り付ける際の締結力に応じて上記取付部材33の上部を補強部材25の上面板27およびインナパネル18の上壁部26に固定するように構成してもよい。
【0037】
上記フロントサイドフレーム2のインナパネル18には、上記凹入部23の設置領域よりも後方側部位において上下方向に延びる凹溝からなる屈曲促進部34が形成されるとともに、その下端部から後方側に向けて延びる凹溝状のビード部35が形成されている。そして、後述するように車両の前突時に作用する前突荷重に応じ、図6に示すように、フロントサイドフレーム2が上記屈曲促進部34を中心として車幅方向外側に「くの字」状に屈曲することが促進されるようになっている。
【0038】
一方、図7に示すように、フロントサイドフレーム2のアウタパネル17には、上記凹入部23の設置領域よりも前方側部位において上下方向に延びる凹溝からなる屈曲促進部36が形成されている。該屈曲促進部36の前方側部位には、上記クラッシュカン3の車幅方向外側に位置する突出部13と正面視で重なる部位において、車幅方向外方側に突出する突出部からなる補強部37が前後方向に延びるように設置されている。上記アウタパネル17側の補強部37は、その前後寸法が、上記インナパネル18側の補強部24よりも短く設定されている。
【0039】
また、図1に示すように、フロントサイドフレーム2の前方部が、平面視でその後方部よりも車幅方向外側に位置するように傾斜し、これにより上記クラッシュカン3およびフロントサイドフレーム2の前方部おける軸心P1が、フロントサイドフレーム2の後方部における軸心P2の車幅方向外側に位置するようにオフセットして配設されている。そして、後述するように車両の前突時に大きな前突荷重が作用した場合には、上記屈曲促進部36を基点として、フロントサイドフレーム2の前部が車幅方向外側に「への字」状に屈曲することが促進されるようになっている。
【0040】
なお、上記両フロントサイドフレーム2のうちエンジン5の設置部側(当実施形態では車両の右側)に位置する図外のフロントサイドフレームは、上記凹入部23および補強部材25が設けられていない点を除き、上記トランスアクスル装置6側のフロントサイドフレーム2と同様に構成されている。
【0041】
上記構成において、車両の前突時に図6に示すように、上記バンパービーム1に大きな衝突荷重が入力されると、上記フロントサイドフレーム2の先端部に設けられたクラッシュカン3に上記衝突荷重が入力される。該クラッシュカン3は、上記フロントサイドフレーム2に比べて板厚の薄い鋼板材により形成される等により、該フロントサイドフレーム2よりもクラッシュカン3の剛性が低く設定されているため、上記衝突荷重に応じてクラッシュカン3が蛇腹状に圧縮変形し、該クラッシュカン3の変形によって上記衝突荷重が吸収されることになる。
【0042】
また、上記クラッシュカン3は、上下左右に突出部12〜15が突設された正面視で略十字状に形成されているため、上下方向および左右方向における上記クラッシュカン3の断面係数が大きな値に設定されている。したがって、車体前部の一端部側に障害物が衝突するオフセット衝突時に、図1の矢印Aに示すように、車体の左右に配設されたクラッシュカン3の一方側に衝突荷重が集中的に入力された場合においても、該クラッシュカン3が折れ曲がるように変形するのを防止し、これを蛇腹状に圧縮変形させて上記衝突荷重を効果的に吸収することができる。
【0043】
そして、上記フロントサイドフレーム2の前方部おける軸心P1が、フロントサイドフレーム2の後方部における軸心P2の車幅方向外側に位置するようにオフセットして配設されるとともに、上記フロントサイドフレーム2には、上記屈曲促進部34,36が所定位置に配設されているため、上記クラッシュカン3が変形するだけでは吸収することができない大きな衝突荷重が作用した場合には、該衝突荷重に応じて該屈曲促進部34,36を基点に上記フロントサイドフレーム2が屈曲変形しようとする。
【0044】
その際に、上記フロントサイドフレーム2の前部には上記補強部24,36が形成されているため、該フロントサイドフレーム2の前部が大きく屈曲することなく、図6に示すように、インナパネル18に形成された前方側の屈曲促進部36を基点として、その後方側領域が車幅方向外側に「への字」状に屈曲する。また、これに対応して上記フロントサイドフレーム2のアウタパネル17に形成された後方側の屈曲促進部36を中心に、フロントサイドフレーム2の前後方向中間部分が車幅方向外側に「くの字」状に屈曲することにより、上記パワートレイン7との干渉を回避しつつ衝突エネルギーが吸収されるようになっている。
【0045】
上記のように車両の前後方向に延びるように設置された閉断面状のフロントサイドフレーム2を有する車両の前部車体構造において、上記フロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面下部に、パワートレイン7との干渉を避けるために車幅方向外方側へ凹入した凹入部23を形成し、上記フロントサイドフレーム2内に、補強部材25を上記凹入部23の前後方向に亘って配設し、該補強部材25の上部をフロントサイドフレーム2の上壁部26の車幅方向中間部またはその外側部位の少なくとも一方に接合するとともに、上記補強部材25の側部を上記凹入部23の壁面に接合した構造としたため、車両の前部におけるパワートレイン7の設置スペースを充分に確保しつつ、車両の衝突荷重を効果的に吸収できるという利点がある。
【0046】
すなわち、上記実施形態では、車体前部に横置き式のエンジン5とトランスアクスル装置6とが車幅方向に併設された所謂ハイブリッド車両の前部車体構造において、上記トランスアクスル装置6の設置部側に位置するフロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面下部に、車幅方向外方側へ凹入した凹入部23を形成して上記トランスアクスル装置6との干渉を避けるように構成したため、上記フロントサイドフレーム2の設置高さを高くしたり、設置幅を大きくしたりする等の手段を講じることなく、該フロントサイドフレーム2とトランスアクスル装置6との干渉を回避することができる。
【0047】
したがって、通常のガソリンエンジンまたはディーゼルエンジンのみを駆動源としたエンジン駆動車両または電動モータのみを駆動源とした電気自動車に比べ、上記トランスアクスル装置6の存在に起因してパワートレイン7が大型化することが避けられないハイブリッド車両においても、上記フロントサイドフレーム2の設置高さが高くなり過ぎたり、車体前部が大型化したりする等の問題を生じることなく、上記フロントサイドフレーム2およびパワートレイン7をコンパクト化した状態で適正に設置できる等の利点がある。
【0048】
そして、図4に示すように、上記フロントサイドフレーム2内において上記凹入部23の前後方向に亘るように配設された補強部材25の上部をフロントサイドフレーム2の上壁部26の車幅方向中間部またはその外側部位の少なくとも一方に接合するとともに、上記補強部材25の側部を凹入部23の壁面に接合した構造としたため、車両の前突時に、該凹入部23が形成された上記フロントサイドフレーム2の下部に入力された衝突荷重を、上記補強部材25を介してフロントサイドフレーム2の上壁部26に伝達することにより、分散して支持することができる。
【0049】
このため、上記フロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面下部にトランスアクスル装置6との干渉を避けるための上記凹入部23が形成されることにより、フロントサイドフレーム2の上部に比べ幅寸法が小さく形成された上記凹入部23の設置部に衝突荷重が集中的に作用した場合においても、該衝突荷重に応じてフロントサイドフレーム2が大きく屈曲変形することを効果的に抑制し、該フロントサイドフレーム2がパワートレイン7に干渉することに起因して、その衝突荷重の吸収効果が損なわれるという事態の発生を防止することができる。
【0050】
また、上記実施形態では、フロントサイドフレーム2の外側壁面部を構成するアウタパネル17と、その内側に配設された断面コ字状のインナパネル18との上下縁部を互いに接合することにより、車両の前後方向に延びる閉断面状のフロントサイドフレーム2を形成し、該フロントサイドフレーム2のインナパネル18に上記凹入部23を形成するとともに、該インナパネル18に上記補強部材25を接合するように構成したため、該補強部材25をインナパネル18に予めスポット溶接した後に、これらと上記アウタパネル17とをスポット溶接することにより、上記フロントサイドフレーム2を容易に製造できるという利点がある。
【0051】
すなわち、上記アウタパネル17およびインナパネル18と上記補強部材25とからなる3枚のパネル材を重ね合わせた状態で、これらをスポット溶接することにより接合することも考えられるが、このように構成した場合には、上記3枚のパネル材を正確に位置合わせして接合した状態でこれらを同時にスポット溶接するという繁雑な作業が必要である。これに対して上記実施形態では、補強部材25とインナパネル18とを正確に位置決めした状態で予めスポット溶接した後に、これらと上記アウタパネル17とを正確に位置決めした状態でスポット溶接することにより、上記フロントサイドフレーム2を容易かつ適正に製造することができる。
【0052】
また、上記実施形態のように、フロントサイドフレーム2に形成された上記凹入部23の前側部分に、該フロントサイドフレーム2の上下方向中心よりも上方領域から前下がりに湾曲しつつ車両の前方側に延びる上縁23aを設け、上記補強部材25を、フロントサイドフレーム2の上下方向略中心位置で上記凹入部23の壁面に接合した構造した場合には、車両の前突時にフロントサイドフレーム2の前端部から上記凹入部23の設置部に入力された衝突荷重を、上記補強部材25によりフロントサイドフレーム2の上壁部26に効果的に伝達し、上記衝突荷重を安定して支持できるという利点がある。
【0053】
さらに、上記実施形態では、上記凹入部23と正面視で重なる位置で該凹入部23の前方側において前後方向に延びる補強部24をフロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面部に設け、かつ上記補強部材25の前端部を、上記補強部24と略同等の高さで、フロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面部に接合したため、前部車体の一端部側に障害物が衝突するオフセット衝突時に、上記フロントサイドフレーム2の補強部24から凹入部23の設置部に伝達された衝突荷重を、上記補強部材25によりフロントサイドフレーム2の上壁部26等に伝達して支持することができる。したがって、上記衝突荷重がフロントサイドフレーム2の凹入部23に集中して作用することに起因して、該凹入部23に異常な変形が生じるのを効果的に防止し、上記フロントサイドフレーム2がパワートレイン7に干渉して、その衝突荷重の吸収効果が損なわれる等事態の発生を防止できるという利点がある。
【0054】
また、上記実施形態では、フロントサイドフレーム2の前端部に、正面視で略十字形状のクラッシュカン3が取り付けられた車両の前部車体構造において、該クラッシュカン3の車幅方向内側突出部12と、上記フロントサイドフレーム2の補強部24とを正面視で重なる部位に配設したため、車体前部の一端部側に障害物が衝突するオフセット衝突時に、図1の矢印Aに示すように、車体の左右に配設されたクラッシュカン3の一方側に衝突荷重が集中的に入力された場合においても、該クラッシュカン3が折れ曲がるように変形するのを防止しつつ、これを蛇腹状に圧縮変形させて上記衝突荷重を効果的に吸収することができる。
【0055】
そして、上記クラッシュカン3の突出部12からフロントサイドフレーム2の補強部24に入力されるとともに、該補強部24から凹入部23の設置部に伝達された衝突荷重を、上記補強部材25を介してフロントサイドフレーム2の上壁部26に伝達して支持することができる。このため、上記衝突荷重がフロントサイドフレーム2の車幅方向内側壁面部に設けられた凹入部23に集中して作用するのを防止することができ、これにより該凹入部23の設置部において上記フロントサイドフレーム2が大きく変形するという事態の発生を効果的に防止できるという利点がある。
【0056】
また、上記補強部材25に、正面視で車幅方向内側に膨出する膨出部30を形成したため、上記補強部材25の稜線を増加させて正面視における断面係数を効果的に増大させることにより、その前後方向の剛性を充分に確保することができる。したがって、上記補強部材25をフロントサイドフレーム2内に配設することにより、該フロントサイドフレーム2を効率よく補強することができ、凹入部23の設置部において上記フロントサイドフレーム2が大きく変形するという事態の発生を、さらに効果的に防止することができる。
【0057】
さらに図5に示すように、フロントサイドフレーム2の上部に、車両部品を取り付けるための取付部材33を設けるとともに、該取付部材33を、上記補強部材25に設けられた膨出部30の上部と下部とを連結するように設置した場合には、該膨出部30の補強材として上記取付部材33を利用することができる。このため、簡単な構成で上記補強部材25の剛性を充分に向上させて、該補強部材25によりフロントサイドフレーム2を効果的に補強することができ、上記凹入部23の設置部におけるフロントサイドフレーム2の変形を効果的に防止できるという利点がある。
【0058】
上記実施形態では、フロントサイドフレーム2の凹入部23よりも前方側部位および後方側部位に、前突荷重に応じてフロントサイドフレーム2が屈曲するのを促進する屈曲促進部34,36を設けた構造としたため、車両の前突時に入力される衝突荷重に応じて上記凹入部23の前後においてフロントサイドフレーム2を狙い通り変形させることにより、上記フロントサイドフレーム2がパワートレイン7に干渉することに起因して、その衝突荷重の吸収効果が損なわれる等事態の発生を防止できるという利点がある。
【0059】
なお、上記フロントサイドフレーム2のインナパネル18からなる車幅方向内側壁面部を、その車幅方向全長に亘って均一な素材で形成した構造としてもよいが、図8に示すように、上記凹入部23よりも前方側に位置する部位41と、その後方側に位置する部位41とを異なる素材で形成して、上記フロントサイドフレーム2の凹入部23よりも前方側に位置する部位41に、その後方側部位に比べて前後方向における剛性が低く設定された低剛性部を形成した構造としてもよい。
【0060】
例えば、上記凹入部23よりも前方側に位置する部位41を、その後方側部位42に比べて高強度を有する素材で形成し、あるいは上記凹入部23よりも前方側に位置する部位41を構成する素材の板厚を、その後方側部位42に比べて薄く形成する等により、上記凹入部23の設置部よりも前方側部位41の前後方向における剛性を、その後方側部位42に比べて低く設定した構造としてもよい。このように構成した場合には、車両の前突時にフロントサイドフレーム2に入力される衝突荷重に応じ、上記凹入部23よりも前方側に位置する部位41を積極的に変形させることにより、上記衝突荷重を効果的に吸収することができるとともに、上記凹入部23の設置部におけるフロントサイドフレーム2の変形を、より効果的に抑制できるという利点がある。
【0061】
また、上記実施例では、フロントサイドフレーム2を構成するアウタパネル17、インナパネル18および補強部材25をスポット溶接することにより接合した例について説明したが、該接合方法はスポット溶接に限られず、アーク溶接、レーザやプラズマ等を用いる高エネルギービーム照射による溶接や、摩擦撹拌溶接等の従来周知の接合方法を適宜使用可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
2 フロントサイドフレーム
3 クラッシュカン
7 パワートレイン
14 クラッシュカンの突出部
17 アウタパネル
18 インナパネル
23 凹入部
23a 上縁
24 補強部
25 補強部材
26 上壁部
30 膨出部
33 取付部材
41 前方側部位
42 後方側部位

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前後方向に延びるように設置された閉断面状のフロントサイドフレームを有する車両の前部車体構造であって、上記フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面下部には、パワートレインとの干渉を避けるために車幅方向外方側へ凹入した凹入部が形成され、上記フロントサイドフレーム内には、補強部材が上記凹入部の前後方向に亘って配設され、該補強部材の上部がフロントサイドフレームの上壁部の車幅方向中間部またはその外側部位の少なくとも一方に接合されるとともに、上記補強部材の側部が上記凹入部の壁面に接合されたことを特徴とする車両の前部車体構造。
【請求項2】
上記フロントサイドフレームは、その外側壁面部を構成するアウタパネルと、その内側に配設された断面コ字状のインナパネルとの上下縁部が互いに接合されてなり、該フロントサイドフレームのインナパネルに上記凹入部が形成されるとともに、該インナパネルに上記補強部材が接合されたことを特徴とする請求項1に記載の車両の前部車体構造。
【請求項3】
上記フロントサイドフレームに形成された上記凹入部の前側部分には、該フロントサイドフレームの上下方向中心よりも上方領域から前下がりに湾曲しつつ車両の前方側に延びる上縁が設けられ、上記補強部材は、フロントサイドフレームの上下方向略中心位置で上記凹入部の壁面に接合されたことを特徴とする請求項1または2に記載の車両の前部車体構造。
【請求項4】
上記フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面部には、前後方向に延びる補強部が上記凹入部と正面視で重なる位置で該凹入部の前方側に設けられ、かつ上記補強部材の前端部が、上記補強部と略同等の高さで、フロントサイドフレームの車幅方向内側壁面部に接合されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項5】
上記補強部材は、正面視で車幅方向内側に膨出する膨出部を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項6】
上記フロントサイドフレームの上部に、車両部品を取り付けるための取付部材が設けられるとともに、該取付部材が上記補強部材に設けられた膨出部の上部と下部とを連結するように設置されたことを特徴とする請求項5に記載の車両の前部車体構造。
【請求項7】
上記フロントサイドフレームの凹入部よりも前方側部位および後方側部位には、前突荷重に応じてフロントサイドフレームが屈曲するのを促進する屈曲促進部が設けられたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項8】
上記フロントサイドフレームの凹入部よりも前方側に位置する部位に、その後方側部位に比べて前後方向における剛性が低く設定された低剛性部が形成されたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の車両の前部車体構造。
【請求項9】
上記フロントサイドフレームの前端部に、正面視で略十字形状のクラッシュカンが取り付けられ、該クラッシュカンの車幅方向内側突出部と、上記フロントサイドフレームの補強部とが正面視で重なる部位に配設されたことを特徴とする請求項4に記載の車両の前部車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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