車両の前部車体
【課題】部品点数を減らし、かつ、水の浸入を防止できる車両の前部車体を提供する。
【解決手段】車両の前部車体10は、カウルボックス15の左端部を閉塞する左サイドエクステンション21と、左サイドエクステンションに設けられた左ダッシュボードサイドメンバ22とを備えている。左サイドエクステンションは、エクステンション側壁部82およびエクステンション上折曲部83で略鉤形状に形成されている。ダッシュボードサイドメンバは、第一サイド水平部91と、第一サイド水平部91の前方に連続して設けられたサイド稜線部93と、サイド稜線部93の前端部から下方に向けてサイド壁部92が張り出されている。サイド稜線部93は、車幅方向内方の内端部に上方に向けて突出された第一突片105を有する。
【解決手段】車両の前部車体10は、カウルボックス15の左端部を閉塞する左サイドエクステンション21と、左サイドエクステンションに設けられた左ダッシュボードサイドメンバ22とを備えている。左サイドエクステンションは、エクステンション側壁部82およびエクステンション上折曲部83で略鉤形状に形成されている。ダッシュボードサイドメンバは、第一サイド水平部91と、第一サイド水平部91の前方に連続して設けられたサイド稜線部93と、サイド稜線部93の前端部から下方に向けてサイド壁部92が張り出されている。サイド稜線部93は、車幅方向内方の内端部に上方に向けて突出された第一突片105を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパハウジングの車体後方にカウルボックスが設けられ、カウルボックスにウインドシールドガラスが支えられ、カウルボックスの車体後方にフロントピラーが設けられた車両の前部車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前部車体のなかには、エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部にカウルボックスを設け、カウルボックスから車体前方に向けてフードヒンジスチフナを設け、フードヒンジスチフナにフードヒンジを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
フードヒンジスチフナはダッシュボードサイドメンバを介してアッパメンバに設けられている。
フードヒンジスチフナのフードヒンジにフード(ボンネット)が取り付けられる。これにより、フードがフードヒンジを介してフードヒンジスチフナ(すなわち、車体側)に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−23661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の車両の前部車体は、フードヒンジスチフナがダッシュボードサイドメンバを介してアッパメンバに設けられている。
よって、車体側にフードヒンジを支持する部材として、フードヒンジスチフナおよびダッシュボードサイドメンバの2部材を必要としていた。
このため、部品点数が多くなり、この観点から改良の余地が残されていた。
【0006】
ここで、カウルボックスには、空調装置(エアコンディショナ)に外気を導入するエアコン吸気口が形成されている。
このため、エアコン吸気口に洗車用の水などが浸入することを防止する工夫が要求されていた。
【0007】
本発明は、部品点数を減らすことが可能で、かつ、水の浸入を防止することができる車両の前部車体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部に設けられたカウルボックスと、前記カウルボックスの車体前方に設けられた左右のダンパハウジングと、前記左右のダンパハウジングに隣接するとともに前記カウルボックスの端部をそれぞれ閉塞するサイドエクステンションと、前記サイドエクステンションおよび前記ダンパハウジングに設けられたダッシュボードサイドメンバとを備えた車両の前部車体において、前記サイドエクステンションは、前記カウルボックスの端部を覆うエクステンション側壁部と、前記エクステンション側壁部の上端部から前記カウルボックスの端部上方に向けて折り曲げられたエクステンション上折曲部と、を有し、前記エクステンション側壁部および前記エクステンション上折曲部で略鉤形状に形成され、前記ダッシュボードサイドメンバは、前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた第一サイド水平部と、前記第一サイド水平部の前方に連続して設けられ、車幅方向内方の内端部に上方に向けて突出された第一突片を有するサイド稜線部と、前記サイド稜線部の前端部から下方に向けて張り出され、かつ前記エクステンション側壁部より車幅方向内側に設けられたサイド壁部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2は、前記サイド壁部は、車幅方向内方の内端部に車体前方に向けて突出された第二突片を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、サイド壁部は、洗車用の水などがカウルボックスの開口部からカウルボックス内に浸入することを防ぐ役割を果たす。
しかし、サイド壁部に到達した洗車用の水などがサイド壁部に沿って車幅方向内方に導かれることが考えられる。
そこで、請求項2において、サイド壁部の内端部に第二突片を設け、第二突片を車体前方に向けて突出させた。
【0011】
請求項3は、前記サイド稜線部は、車幅方向内方の内端部側で、かつ、前記第一突片より車幅方向外方に設けられ、車体前後方向に延在する補強用の稜線ビードを有することを特徴とする。
【0012】
請求項4は、前記ダッシュボードサイドメンバは、前記サイド壁部の下端部から車体前方に向けて延在され、前記ダンパハウジングに設けられた第二サイド水平部と、前記第二サイド水平部の車幅方向外方の外端部から上方に向けて突出され、前記エクステンション側壁部の内面に設けられたサイド接合片と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項5は、前記ダッシュボードサイドメンバは、前記サイド壁部および前記サイド接合片が交差する部位に切欠を有することを特徴とする。
【0014】
ここで、ダッシュボードサイドメンバを平板からプレス成形する際に、平板からサイド壁部およびサイド接合片が交差する部位を角状に絞る必要があり、交差する部位にしわが発生することが考えられる。
そこで、請求項5において、ダッシュボードサイドメンバのサイド壁部およびサイド接合片が交差する部位に切欠を形成した。
【0015】
請求項6は、前記サイドエクステンションの後端部にフロントピラーが連結され、前記フロントピラーの略延長線上に、前記エクステンション側壁部の内面に設けられた前記サイド接合片と、前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた前記第一サイド水平部と、が配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、カウルボックスの端部をサイドエクステンションで閉塞した。さらに、サイドエクステンションおよびダンパハウジングにダッシュボードサイドメンバを設けた。
よって、カウルボックスの端部にサイドエクステンションおよびダッシュボードサイドメンバで閉塞空間を形成することができる。
これにより、カウルボックスの端部の剛性を高めることができ、前突時、特にオフセット衝突時の車体後方への荷重伝達を良好にすることができる。
【0017】
さらに、第一サイド水平部の前方にサイド稜線部を設け、サイド稜線部の前端部から下方に向けてサイド壁部を張り出した。
すなわち、サイド稜線部は、第一サイド水平部およびサイド壁部が交差する部位に設けられることにより断面略湾曲状に形成されている。よって、第一サイド水平部およびサイド壁部間にサイド稜線部を設けることで、カウルボックスの端部の剛性をさらに高めることができる。
【0018】
ここで、カウルボックスの端部にサイドエクステンションのエクステンション上折曲部が設けられている。
よって、カウルボックスの端部でエクステンション上折曲部を補強することができる。
これにより、サイドエクステンションの剛性を高め、サイドエクステンションでサイドフェンダを強固に支えることができる。
【0019】
さらに、サイド稜線部の内端部に第一突片を設け、第一突片を上方に向けて突出させた。
第一突片を上方に向けて突出させることで、サイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を第一突片で塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などがサイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を経てカウルボックス内に浸入することを第一突片で防止できる。
【0020】
加えて、サイドエクステンションおよびダンパハウジングにダッシュボードサイドメンバを設けた。このダッシュボードサイドメンバにフードヒンジを設け、フードヒンジにフード(ボンネット)を設けた。
よって、フードヒンジを支えるダッシュボードサイドメンバを一部材で形成することができる。
このように、フードヒンジを一部材で形成することで、部品点数を減らすことができる。
【0021】
請求項2に係る発明では、サイド壁部の内端部に第二突片を設け、第二突片を車体前方に向けて突出させた。
よって、洗車用の水などがサイド壁部に沿って車幅方向内方に導かれた場合に、導かれた水の流れを第二突片で遮ることができる。
これにより、洗車用の水などがサイド壁部に沿ってカウルボックス内に浸入することを防止できる。
【0022】
請求項3に係る発明では、サイド稜線部の内端部側で、かつ、第一突片より車幅方向外方に補強用の稜線ビードを設け、この稜線ビードを車体前後方向に延在させた。
稜線ビードを車体前後方向に延在させることで、サイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を稜線ビードで塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などがサイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を経てカウルボックス内に浸入することを稜線ビードで防止できる。
【0023】
さらに、サイド稜線部に稜線ビードを設けることでサイド稜線部の剛性を高めることができる。このように、サイド稜線部の剛性を高めることでカウルボックスの端部の剛性を高めることができる。
よって、カウルボックスの端部でサイドエクステンションのエクステンション上折曲部をさらに補強することができる。
これにより、サイドエクステンションのエクステンション上折曲部でサイドフェンダを一層強固に支えることができる。
加えて、前突時、特にオフセット衝突時の車体後方への荷重伝達を良好にすることができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、ダッシュボードサイドメンバのサイド壁部の下端部から第二サイド水平部を車体前方に向けて延在し、第二サイド水平部をダンパハウジングに接合させた(設けた)。
さらに、第二サイド水平部の車幅方向外方の外端部からサイド接合片を上方に向けて突出し、サイド接合片をエクステンション側壁部の内面に接合させた(設けた)。
【0025】
このように、ダッシュボードサイドメンバをダンパハウジングやエクステンション側壁部で支えることで、ダッシュボードサイドメンバの剛性を確保することができる。
これにより、ダンパハウジングから入力した荷重を、ダッシュボードサイドメンバを経てカウルボックスに良好に伝えることができる。
【0026】
請求項5に係る発明では、ダッシュボードサイドメンバのサイド壁部およびサイド接合片が交差する部位に切欠を形成した。
これにより、ダッシュボードサイドメンバを平板からプレス成形する際に、交差する部位の絞り量を抑えることができ、交差する部位にしわが発生することを抑えることができる。
【0027】
請求項6に係る発明では、サイドエクステンションの後端部にフロントピラーを連結した。このフロントピラーの略延長線上に、ダッシュボードサイドメンバのサイド接合片および第一サイド水平部を設けた。
さらに、サイド接合片をサイドエクステンションのエクステンション側壁部に設け、第一サイド水平部をサイドエクステンションのエクステンション上折曲部に設けた。
これにより、ダッシュボードサイドメンバに車体前方から入力した荷重をサイド接合片および第一サイド水平部を経てフロントピラーまで好適に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車両の前部車体を示す斜視図である。
【図2】図1の2部を拡大してサイドフェンダを分解した状態を示す分解斜視図である。
【図3】図2の前部車体を示す分解斜視図である。
【図4】図2の4矢視図である。
【図5】(a)は図4の5(a)−5(a)線断面図、(b)は図5(a)の5(b)拡大図である。
【図6】図1の6−6線断面図である。
【図7】図3の7矢視図である。
【図8】図2の8−8線断面図である。
【図9】(a)は本発明に係るダンパハウジングサポートを後方から見た状態を示す斜視図、(b)は(a)のダンパハウジングサポートを前方から見た状態を示す斜視図である。
【図10】図2の10部拡大図である。
【図11】図3の11部拡大図である。
【図12】図10の12矢視図である。
【図13】図10の13矢視図である。
【図14】図13の前部車体を示す分解斜視図である。
【図15】(a)は図13の15(a)−15(a)線断面図、(b)は図13の15(b)−15(b)線断面図である。
【図16】本発明に係る前部車体の左フェンダブラケットに左サイドフェンダを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図17】図16の前部車体を示す分解斜視図である。
【図18】本発明に係る前部車体の左ダンパハウジングに車体前方から荷重が入力した状態を説明する図である。
【図19】本発明に係るダンパハウジングサポートを経て左フロントピラーに荷重を伝える例を説明する図である。
【図20】本発明に係る左サイドエクステンションを経て左フロントピラーに荷重を伝える例を説明する図である。
【図21】本発明に係る左ダッシュボードサイドメンバでカウルボックス内に水が浸入することを防ぐ例を説明するである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は着座者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0030】
実施例に係る車両の前部車体(車両の前部構造)10について説明する。
図1に示すように、車両の前部車体10は、車体の左右側部に設けられた左右のアッパメンバ12と、左右のアッパメンバ12の車幅方向内側に設けられた左右のダンパハウジング13と、左右のダンパハウジング13の車体後方に設けられたダッシュボードロア14と、ダッシュボードロア14の上部14a(図5参照)に設けられたカウルボックス15と、カウルボックス15の左右の端部15aに設けられた左右のフロントピラー18とを備えている。
左右のダンパハウジング13に補強用のタワーバー19が架け渡されている。
【0031】
図2、図3に示すように、車両の前部車体10は、カウルボックス15の左右の端部15aに設けられた左右のサイドエクステンション21と、左右のサイドエクステンション21の車幅方向内側に設けられた左右のダッシュボードサイドメンバ22と、左右のサイドエクステンション21の上部(外面)21aに設けられた左右のフェンダブラケット23とを備えている。
【0032】
加えて、車両の前部車体10は、左右のフェンダブラケット23に支持され左右のパーティションパッド26と、左右のパーティションパッド26が設けられた左右のサイドフェンダ27と、左右のサイドフェンダ27間に開閉自在に設けられたフード(ボンネット)28(図6参照)とを備えている。
【0033】
車両の前部車体10は略左右対称に形成されているので、以下、車両の前部車体10の左側の部材および右側の部材に同じ符号を付して、右側の部材の説明を省略する。
【0034】
左アッパメンバ12は、車体11の左側部に設けられ、カウルボックス15の左端部15aから車体前方に向かうにつれて下降するように延出されている。
この左アッパメンバ12は、例えば、オフセット衝突などで車体前方から荷重が入力した場合に、入力した荷重が前端部12a(図1参照)に伝えられるように形成されている。
オフセット衝突とは、車体の幅方向中心に対して左右方向のいずれか一方にずれた状態の衝突をいう。
【0035】
左ダンパハウジング13は、カウルボックス15の左端部15a側で、かつ左端部15aの車体前方に設けられている。
この左ダンパハウジング13は、左アッパメンバ12および左フロントサイドフレーム(図示せず)に設けられたハウジング本体31と、ハウジング本体31の上部に設けられたハウジング頂部32とを有する。
ハウジング本体31は、左フロントダンパ(図示せず)をエンジンルーム34から仕切る壁部である。
ハウジング頂部32は、左フロントダンパの頂部を支持する部位である。
【0036】
図1に示すように、ダッシュボードロア14は、左右のダンパハウジング13の車体後方に設けられ、エンジンルーム34と車室35とを隔離するパネル部材である。
このダッシュボードロア14の上部14aにカウルボックス15が設けられている。
【0037】
図4、図5に示すように、カウルボックス15は、ダッシュボードロア14の上部14aに設けられたダッシュボードアッパ37と、ダッシュボードアッパ37に設けられたウインドシールドロア38と、ダッシュボードアッパ37および前記ウインドシールドロア38に架設されたダンパハウジングサポート39とを備えている。
図6に示すように、カウルボックス15は、ダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38で閉空間41が形成され、上部中央15bに外気導入口42が形成されている。
また、カウルボックス15は、左端部15aに左端開口43(図2参照)が形成されている。
【0038】
図7に示すように、ダッシュボードアッパ37は、ダッシュボードロア14の上部14aから車体前後方向へ張り出されたダッシュボード底部44と、ダッシュボード底部44の前端部44aから上方に折り曲げられたダッシュボード前壁(ダッシュボードアッパの前壁)45と、ダッシュボード底部44の後端部44bから上方に折り曲げられたダッシュボード後壁46とを有する。
このダッシュボードアッパ37は、ダッシュボード前壁45、ダッシュボード後壁46およびダッシュボード底部44で側面視略U字状に形成されている。
【0039】
さらに、ダッシュボードアッパ37は、ダッシュボード前壁45の上端部45aから車体前方に向けて折り曲げられたダッシュボード前接合片47と、ダッシュボード前壁45およびダッシュボード前接合片47の交差部位に設けられたダッシュボード上稜線48と、ダッシュボード後壁46の上端部46aから車体後方に向けて折り曲げられたダッシュボード後接合片49とを有する。
【0040】
ウインドシールドロア38は、ダッシュボード後接合片49に溶接で接合されたウインドシールド下接合片(ウインドシールド接合片)51と、ウインドシールド下接合片51の前端部から上方に向けて折り曲げられたウインドシールド後壁(ウインドシールドロアの後壁)52と、ウインドシールド後壁52の上端部から車体前方に向けて折り曲げられたウインドシールド頂部53とを有する。
ウインドシールド下接合片51は、ウインドシールド後壁52の下端部52aから車体後方に向けて折り曲げられている。
このウインドシールドロア38は、ウインドシールド後壁52およびウインドシールド頂部53で側面視略L字状に形成されている。
【0041】
図4に示すように、ウインドシールド後壁52は、左端部52b寄りの部位、すなわち左端部52bから所定間隔Lをおいた部位にエアコン吸気口55が形成されている。
エアコン吸気口55は、吸気ダクトを経て空調装置(図示せず)に連通されている。
よって、カウルボックス15の外気導入口42からカウルボックス15内に外気が導入され、導入された外気がカウルボックス15内を経てエアコン吸気口55に導かれる。
エアコン吸気口55に導かれた外気は、エアコン吸気口55および吸気ダクトを経て空調装置に導かれ、空調装置で空調された状態で車室35内へ吹き出される。
【0042】
図6に示すように、ウインドシールド頂部53は、ウインドシールドガラス59の下端部59aを支持するガラス支持部53aを有する。
図5、図7に示すように、ウインドシールドロア38は、ウインドシールド後壁52およびウインドシールド頂部53が交差する部位にウインドシールド上稜線56と、ウインドシールド後壁52の左端部52bから車体後方に向けて折り曲げられたウインドシールド左接合片57とを有する。
【0043】
図7、図8に示すように、カウルボックス15が左ダンパハウジング13の車体後方に設けられた状態において、左ダンパハウジング13と略同じ高さに設けられている。
よって、カウルボックス15の底部(ダッシュボード底部)44が左ダンパハウジング13のハウジング頂部32より下方に配置される。
このため、車体前方から入力した荷重をハウジング頂部32を経てダッシュボード底部に効率よく伝えることが難しい。
【0044】
そこで、カウルボックス15のダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38にダンパハウジングサポート39を架設した。
さらに、左ダンパハウジング13(ハウジング頂部32)の中心61より車幅方向内側寄りで、かつ左ダンパハウジング13の車体後方にダンパハウジングサポート39を配置した。
【0045】
これにより、ダッシュボード底部がハウジング頂部32より下方に配置された場合でも、左ダンパハウジング13に入力した荷重をダンパハウジングサポート39(すなわち、カウルボックス15)に効率よく伝えることができる。
このように、ダンパハウジングサポート39(カウルボックス15)に伝えられた荷重はカウルボックス15を経て左フロントピラー18(図2も参照)に伝えられ、左フロントピラー18で吸収される。
【0046】
また、カウルボックス15のダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38にダンパハウジングサポート39を架設した。
さらに、左ダンパハウジング13(ハウジング頂部32)の中心61より車幅方向内側寄りで、かつ左ダンパハウジング13の車体後方にダンパハウジングサポート39を配置した。
【0047】
これにより、左ダンパハウジング13に入力した荷重で生じたモーメントによって左ダンパハウジング13が車体後方に後退した場合でも、ダンパハウジングサポート39により左ダンパハウジング13を支持することができる。
このように、ダンパハウジングサポート39(カウルボックス15)に伝えられた荷重はカウルボックス15を経て左フロントピラー18(図2も参照)に伝えられ、左フロントピラー18で吸収される。
【0048】
つぎに、ダンパハウジングサポート39について詳しく説明する。
図9に示すように、ダンパハウジングサポート39は、ダッシュボード前壁45およびウインドシールド後壁52間に介在されたサポート梁部63と、サポート梁部63の前端63aから張り出されたサポート前端部64と、サポート梁部63の後端63bから張り出されたサポート後端部65と、サポート後端部65の下端65aから突出された接合突片66とを有する。
【0049】
さらに、ダンパハウジングサポート39は、サポート梁部63に形成された補強用の梁部ビード67と、サポート前端部64に形成された補強用の前端部ビード68と、サポート後端部65に形成された補強用の後端部ビード69とを有する。
【0050】
サポート梁部63は、前端63aから後端63bまで車体後方に向けて上り形状に形成された上湾曲辺部(上辺部)63cと、前端63aから後端63bまで車体後方に向けて上り勾配に形成された下傾斜辺部63dとを有する。
上湾曲辺部63cを車体後方に向けて上り形状に形成した理由については後で詳しく説明する。
【0051】
図8、図9に示すように、サポート梁部63に補強用の梁部ビード67が形成されている。
梁部ビード67は、上湾曲辺部63cおよび下傾斜辺部63d間に設けられ、サポート梁部63に対して車幅方向外側に向けて膨出され、かつ下傾斜辺部63dに沿って車体前後方向に向けて延出されている。
【0052】
サポート前端部64は、サポート梁部63の前端63aから車幅方向内側に向けて折り曲げられている。
サポート前端部64に補強用の前端部ビード68が形成されている。
前端部ビード68は、梁部ビード67の前端から車幅方向内側に向けて延出されている。
図5、図7に示すように、サポート前端部64は、ダッシュボード前壁45に溶接で接合され、上端64aがダッシュボード上稜線48に設けられている。
【0053】
図8、図9に示すように、サポート後端部65は、サポート梁部63の後端63bから左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に向けて折り曲げられている。
サポート後端部65に補強用の後端部ビード69が形成されている。
後端部ビード69は、梁部ビード67の後端から車幅方向外側に向けて延出されている。
図5、図7に示すように、サポート後端部65は、ウインドシールド後壁52にボルト71・ナット72で取り付けられ、上端65bがウインドシールド上稜線56に設けられている。
【0054】
ここで、ダッシュボード上稜線48やウインドシールド上稜線56は断面略湾曲状に形成されることで剛性が比較的大きく確保されている。
さらに、ダッシュボード上稜線48にサポート前端部64が設けられ、ウインドシールド上稜線56にサポート後端部65が設けられている。
【0055】
よって、左ダンパハウジング13からダッシュボード上稜線48に伝えられた荷重を、ダッシュボード上稜線48を経てダンパハウジングサポート39に効率よく伝えることができる。
さらに、ダンパハウジングサポート39に伝えられた荷重を、ウインドシールド上稜線56を経て左フロントピラー18(図2も参照)に効率よく伝えることができる。
【0056】
つぎに、ダンパハウジングサポート39の上湾曲辺部63cを車体後方に向けて上り形状に形成した理由について説明する。
図7に示すように、左ダンパハウジング13のハウジング頂部32はカウルボックス15の上部(すなわち、ウインドシールド頂部53)より下方に設けられている。
このため、左ダンパハウジング13に入力した荷重をウインドシールド上稜線56に好適に伝えることが難しい。
【0057】
そこで、ダンパハウジングサポート39(サポート梁部63)の上湾曲辺部63cを車体後方に向けて上り形状に形成した。
ダンパハウジングサポート39のサポート前端部64を左ダンパハウジング13のハウジング頂部32と略同じ高さに配置することできる。
【0058】
よって、左ダンパハウジング13(ハウジング頂部32)に入力された荷重をダンパハウジングサポート39に効率よく伝えることができる。
さらに、ダンパハウジングサポート39に伝えられた荷重を、ダンパハウジングサポート39およびウインドシールド上稜線56を経て左フロントピラー18(図2も参照)に効率よく伝えることができる。
【0059】
また、図8、図9に示すように、サポート前端部64を車幅方向内側に折り曲げ、かつサポート後端部65を左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に折り曲げた。
さらに、サポート梁部63、サポート前端部64およびサポート後端部65に、梁部ビード67、前端部ビード68および後端部ビード69を備えた。
【0060】
よって、梁部ビード67、前端部ビード68および後端部ビード69でダンパハウジングサポート39の剛性(断面係数)を高めることができる。
これにより、左ダンパハウジング13からサポート前端部64に伝えられた荷重をサポート梁部63を経てサポート後端部65に効率よく伝えることができる。
【0061】
さらに、サポート後端部65を左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に折り曲げた。
これにより、サポート梁部63からサポート後端部65に伝えられた荷重をサポート後端部65を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0062】
図5、図9に示すように、サポート後端部65の下端65aから車体後方に向けて接合突片66が突出されている。
接合突片66は、ダッシュボード後接合片49およびウインドシールド下接合片51に挟持されている。
よって、ダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38をダンパハウジングサポート39で補強して、カウルボックス15の剛性をさらに高めることができる。
【0063】
さらに、ダンパハウジングサポート39が車体後方に向けて上り形状に形成されていても、衝突荷重によってダンパハウジングサポート39が上方に浮き上がることを防ぐことができる。
これにより、ダンパハウジングからダンパハウジングサポート39(すなわち、カウルボックス15)に伝えられた荷重を、カウルボックス15を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0064】
ここで、図4、図5に示すように、ダンパハウジングサポート39は、エアコン吸気口55の車幅方向外方で、かつ、エアコン吸気口55の近傍に設けられている。
ダンパハウジングサポート39をエアコン吸気口55の車幅方向外方に設けた理由はつぎの通りである。
すなわち、例えば、車両の洗車中にカウルボックス15(左端部15a)の上開口部74からカウルボックス15内に洗車用の水が浸入し、カウルボックス15内に浸入した水がエアコン吸気口55に流入することが考えられる。
上開口部74は、カウルボックス15の左端部15aで、かつカウルボックス15前上部に形成されている。
【0065】
そこで、エアコン吸気口55の車幅方向外方(左端部15a側)にダンパハウジングサポート39を設けるようにした。
加えて、サポート前端部64(上端64a)をダッシュボード上稜線48に設け、サポート後端部65(上端65b)をウインドシールド上稜線56に設けた。
これにより、カウルボックス15の上開口部74からカウルボックス15内に浸入した洗車用の水が、エアコン吸気口55に流入することをダンパハウジングサポート39で防ぐことができる。
【0066】
さらに、ダンパハウジングサポート39は、エアコン吸気口55の車幅方向外方で、かつ、エアコン吸気口55の近傍に設けられている。
よって、ダンパハウジングサポート39でエアコン吸気口55を補強することができる。
これにより、カウルボックスの剛性を高めて、エンジンの揺動などによる振動を抑えることができる。
【0067】
ここで、図1、図4に示すように、カウルボックス15の外気導入口42はカウルボックス15の上部中央15bに設けられている。よって、外気導入口42はエアコン吸気口55の車幅方向内側に配置されている。
一方、エアコン吸気口55の車幅方向外方にダンパハウジングサポート39が設けられている。
【0068】
これにより、図6に示すように、外気導入口42からカウルボックス15内に吸入した外気を、矢印の如くダンパハウジングサポート39でエアコン吸気口55側に案内することができる。
したがって、外気導入口42からカウルボックス15内に吸入した外気を、ダンパハウジングサポート39でエアコン吸気口55側に円滑に案内してエアコン吸気口55に効率よく吸気することができる。
【0069】
図1、図2に示すように、カウルボックス15の左端部15aに左フロントピラー18が設けられている。
左フロントピラー18は、ピラー脚部77と、ピラー傾斜部78とを有する。
ピラー脚部77は、左サイドシル79(図1参照)の前端部からカウルボックス15の左端部15a(具体的には、左サイドエクステンション21)まで立設されている。
ピラー傾斜部78は、ピラー脚部77の上端部77aからウインドシールドガラス59の左側縁に沿って車体後方に向けて上り勾配に延出されている。
【0070】
図10、図11に示すように、カウルボックス15の左端部(端部)15aに左サイドエクステンション21が設けられている。
このように、左端部15aに左サイドエクステンション21が設けられることで、左サイドエクステンション21でカウルボックス15の左端部15aが閉塞されている(覆われている)。
【0071】
左サイドエクステンション21は、カウルボックス15の左端部15aに設けられるとともに、左ダンパハウジング13の車幅方向外側に隣接されている。
カウルボックス15の左端部15aは左アッパメンバ12の後端部12bに設けられている。
【0072】
すなわち、左サイドエクステンション21は、カウルボックス15の左端部15aを覆うエクステンション側壁部82と、エクステンション側壁部82の上端部82aから折り曲げられたエクステンション上折曲部(上折曲部)83とを備えている。
エクステンション側壁部82には補強ブラケット84(図2、図3参照)が設けられている。
よって、エクステンション側壁部82が補強ブラケット84で補強されている。
【0073】
エクステンション上折曲部83は、エクステンション側壁部82の上端部82aからカウルボックス15の左端部15a上方に向けて折り曲げられている。
よって、左サイドエクステンション21は、エクステンション側壁部82およびエクステンション上折曲部83で略鉤形状(略L字形状)に形成されている。
【0074】
さらに、図11、図12に示すように、左サイドエクステンション21は、エクステンション側壁部82の前辺82bから車幅方向外側に向けて折り曲げられた前接合片85と、エクステンション側壁部82の後下辺82cから車幅方向外側に向けて折り曲げられた後下接合片86とを有する。
【0075】
加えて、左サイドエクステンション21は、エクステンション側壁部82の後辺82dから車体後方に向けて張り出された後接合片87と、エクステンション側壁部82の上前辺82eから上方に向けて張り出された上前接合片88とを有する。
【0076】
エクステンション側壁部82の前接合片85は、ダッシュボード前壁45の左端部45bおよび左アッパメンバ12のアッパメンバ後接合片12cに溶接で接合されている。
また、エクステンション側壁部82の後下接合片86は、ダッシュボード後壁46の左端部46bに溶接で接合されている。
【0077】
さらに、エクステンション側壁部82の後接合片87は、ウインドシールド左接合片57およびピラー脚部77の脚部接合片77bに挟持された状態において溶接で接合されている。
加えて、エクステンション側壁部82の上前接合片88は、左ダッシュボードサイドメンバ22(サイド接合片95の後半部95b(図13参照))に溶接で接合されている。
【0078】
また、エクステンション上折曲部83は、接合端部83aがウインドシールド頂部53の左端部53bおよび左ダッシュボードサイドメンバ22(第一サイド水平部91の内接合部91a)に溶接で接合されている。
さらに、エクステンション上折曲部83は、折曲部83bがウインドシールド頂部53の左端部53bおよび左ダッシュボードサイドメンバ22(第一サイド水平部91の外接合部91b)に溶接で接合されている。
加えて、エクステンション上折曲部83は、後端部83cがピラー傾斜部78の傾斜部接合片78aに溶接で接合されている。
【0079】
これにより、左サイドエクステンション21が、カウルボックス15の左端部15a、左アッパメンバ12、左フロントピラー18や左ダッシュボードサイドメンバ22に溶接で接合されている。
左サイドエクステンション21がカウルボックス15の左端部15aなどに接合されることで、カウルボックス15の左端開口43がエクステンション側壁部82で閉塞されている(覆われている)。
【0080】
この状態で、エクステンション側壁部82の下辺82fは、ダッシュボードアッパ37のダッシュボード底部44より上方に配置されている。
よって、カウルボックス15の左端開口43のうち下部が左端下開口43aとして開口されている。
これにより、カウルボックス15内に浸入した水を左端下開口43aからカウルボックス15の外部に流出させることができる。
【0081】
また、エクステンション側壁部82の後接合片87にピラー脚部77の脚部接合片77bが溶接で接合され、エクステンション上折曲部83の後端部83cにピラー傾斜部78の傾斜部接合片78aが溶接で接合されている。
エクステンション側壁部82の後接合片87およびエクステンション上折曲部83の後端部83cは、左サイドエクステンション21の後端部21bを構成する部位である。
すなわち、左サイドエクステンション21の後端部21bに左フロントピラー18が連結されている。
【0082】
さらに、ダッシュボード前壁45の左端部45bに左アッパメンバ12のアッパメンバ後接合片12cが溶接で接合されている。
アッパメンバ後接合片12cは、左アッパメンバ12の後端部12bに設けられている。
加えて、左アッパメンバ12の後端部12bは、ダッシュボード底部44の左端部44cに溶接で接合されている。
よって、ダッシュボード前壁45の左端部45bやダッシュボード底部44の左端部44cに左アッパメンバ12の後端部12bが溶接で接合されている。
【0083】
ここで、図8に示すように、エクステンション側壁部82の前接合片85がダッシュボード前壁45の左端部45bに溶接で接合され、エクステンション側壁部82の後下接合片86がダッシュボード後壁46の左端部46bに溶接で接合されている。
また、ダンパハウジングサポート39のサポート前端部64がダッシュボード前壁45に溶接で接合されている。
【0084】
さらに、ダンパハウジングサポート39のサポート後端部65がウインドシールド後壁52に溶接で接合されている。
加えて、図5に示すように、サポート後端部65の接合突片66がダッシュボード後接合片49およびウインドシールド下接合片51に挟持されている。
【0085】
これにより、図8に示すように、ダッシュボード前壁45、ウインドシールド後壁52、左サイドエクステンション21およびダンパハウジングサポート39が平面視略矩形状に形成され、カウルボックス15の剛性を高めることができる。
このように、カウルボックス15の剛性を高めることで、カウルボックス15に車体11の前方から伝えられた荷重F1をカウルボックス15で支え、カウルボックス15を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0086】
また、ウインドシールド頂部53の左端部53bにエクステンション上折曲部83(接合端部83a、折曲部83b)が接合されている。
よって、ウインドシールド頂部53の左端部53b(すなわち、カウルボックス15の左端部15a)でエクステンション上折曲部83を補強することができる。
これにより、左サイドエクステンション21の剛性を高め、左サイドエクステンション21でフロントサイドフェンダを強固に支えることができる。
【0087】
カウルボックス15の左端部15a、左サイドエクステンション21、左アッパメンバ12および左ダンパハウジング13などに左ダッシュボードサイドメンバ22が設けられている。
図13、図14に示すように、左ダッシュボードサイドメンバ22は、ウインドシールド頂部53(左端部53b)の下側に設けられた第一サイド水平部91と、第一サイド水平部91の車体前方(前方)に連続して設けられたサイド稜線部93と、サイド稜線部93の前端部93bから下方に向けて張り出されたサイド壁部92とを有する。
【0088】
さらに、左ダッシュボードサイドメンバ22は、サイド壁部92の下端部92aから車体前方に向けて延在された第二サイド水平部94と、第二サイド水平部94の車幅方向外方の外端部94aから上方に向けて突出されたサイド接合片95とを有する。
【0089】
この左ダッシュボードサイドメンバ22は、カウルボックス15の左端部15a、左サイドエクステンション21、左アッパメンバ12および左ダンパハウジング13などに設けられている。
よって、カウルボックス15の左端部15aに左サイドエクステンション21および左ダッシュボードサイドメンバ22で左閉塞空間(閉塞空間)41aを形成することができる。
これにより、カウルボックス15の左端部15aの剛性を高めることができ、前突時、特にオフセット衝突時に車体後方へ荷重を良好に伝達することができる。
【0090】
ここで、左ダッシュボードサイドメンバ22は、例えば、高強度材JAC590Rで、かつ板厚寸法Tが2.0mmの鋼板で形成された剛体である。
よって、衝撃荷重の入力時に左ダッシュボードサイドメンバ22の変形を抑えて衝撃荷重を車体後方に良好に伝達できる。
【0091】
この左ダッシュボードサイドメンバ22にはフードヒンジ(図示せず)が設けられ、このフードヒンジにフード28(図6参照)が設けられている。
フード28は車体11にフードヒンジを軸にして開閉自在に支持されている。
【0092】
ここで、車両のなかには、アッパメンバにダッシュボードサイドメンバが設けられ、ダッシュボードサイドメンバにフードヒンジスチフナが設けられたものがある。
このフードヒンジスチフナにフードヒンジが設けられ、フードヒンジにフードが設けられている。
このため、車体側にフードヒンジを支持する部材として、フードヒンジスチフナおよびダッシュボードサイドメンバの2部材を必要としていた。
【0093】
そこで、左ダッシュボードサイドメンバ22を、カウルボックス15の左端部15a、左サイドエクステンション21、左アッパメンバ12および左ダンパハウジング13などに設け、左ダッシュボードサイドメンバ22にフードヒンジを設けるようにした。
これにより、フードヒンジを支える左ダッシュボードサイドメンバ22を一部材で形成することができる。
このように、フードヒンジを一部材で形成することで、部品点数を減らすことができる。
【0094】
ところで、一例として、左ダッシュボードサイドメンバ22は平板からプレス成形されている。
このため、左ダッシュボードサイドメンバ22を平板からプレス成形する際に、サイド壁部92およびサイド接合片95が交差する部位22aを角状に絞る必要がある。よって、交差する部位22aにしわが発生することが考えられる。
【0095】
そこで、左ダッシュボードサイドメンバ22は、サイド壁部92およびサイド接合片95が交差する部位22aに切欠97を形成した。
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22を平板からプレス成形する際に、交差する部位22aの絞り量を抑えることができ、交差する部位22aにしわが発生することを抑制できる。
【0096】
図14、図15(a)に示すように、第一サイド水平部91は、ウインドシールド頂部53の左端部53b下方に略水平に配置されている。
第一サイド水平部91の上方にウインドシールド頂部53の左端部53bが重ね合わされ、左端部53bの上方にエクステンション上折曲部83が重ね合わされている。
【0097】
第一サイド水平部91の内接合部91a、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83の接合端部83aが重ね合わされた状態において溶接で接合されている。
また、第一サイド水平部91の外接合部91bおよびエクステンション上折曲部83の折曲部83bが重ね合わされた状態において溶接で接合されている。
【0098】
よって、第一サイド水平部91は、ウインドシールド頂部53(左端部53b)下面53cやエクステンション上折曲部83の下面83dに設けられている。
この状態において、第一サイド水平部91およびエクステンション上折曲部83間にウインドシールド頂部53の左端部53bが介在されている。
【0099】
図13、図14に示すように、第一サイド水平部91の内接合部91a、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83の接合端部83aの接合部101(図15(a)も参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
さらに、第一サイド水平部91の外接合部91b、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83折曲部83bの接合部102(図15(a)も参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
【0100】
第一サイド水平部91の前端部91cにサイド稜線部93が設けられ、サイド稜線部93の前端部93bから下方に向けてサイド壁部92が張り出されている。
サイド壁部92は、サイド稜線部93の前端部93bから下方に向けて張り出されている。
また、サイド壁部92は、左サイドエクステンション21のエクステンション側壁部82より車幅方向内側に設けられている。
このサイド壁部92は、車幅方向内方の内端部92bに車体前方に向けて突出された第二突片106を有する。
【0101】
ここで、サイド壁部92に第二突片106を設けた理由について説明する。
すなわち、サイド壁部92は、洗車用の水などがカウルボックス15の上開口部74からカウルボックス15内に浸入することを防ぐ役割を果たす。
しかし、サイド壁部92に到達した洗車用の水などがサイド壁部92に沿って車幅方向内方に導かれることが考えられる。
【0102】
そこで、サイド壁部92の内端部92bから第二突片106を車体前方に向けて突出させた。
よって、洗車用の水などがサイド壁部92に沿って車幅方向内方に導かれた場合に、導かれた水の流れを第二突片106で遮ることができる。
これにより、洗車用の水などがサイド壁部92に沿ってカウルボックス15内に浸入することを防止できる。
【0103】
サイド稜線部93は、第一サイド水平部91の前端部91cに設けられている。このサイド稜線部93の前端部93bから下方に向けてサイド壁部92が張り出されている。
すなわち、サイド稜線部93は、第一サイド水平部91およびサイド壁部92が交差する部位に設けられることにより、第一サイド水平部91の前端部91cおよびサイド壁部92の上端部92cに連続するように形成されている。
このサイド稜線部93は断面略湾曲状に形成されている。よって、第一サイド水平部91およびサイド壁部92間にサイド稜線部93を設けることで、カウルボックス15の左端部15aの剛性をさらに高めることができる。
【0104】
図14、図15(b)に示すように、このサイド稜線部93は、車幅方向内方の内端部93aに上方に向けて突出された第一突片105と、第一突片105より車幅方向外方に設けられた補強用の稜線ビード107とを有する。
【0105】
第一突片105は、サイド稜線部93の内端部93aから上方に突出するように折り曲げられている。
第一突片105を上方に向けて突出させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53の左端部(カウルボックス15の上部)53b間の空間109を第一突片105で塞ぐことができる(図10も参照)。
これにより、洗車用の水などがサイド稜線部93およびウインドシールド頂部53(左端部53b)間の空間109を経てカウルボックス15内に浸入することを第一突片105で防止できる。
【0106】
補強用の稜線ビード107は、サイド稜線部93の内端部93a側で、かつ、第一突片105より車幅方向外方に設けられ、車体前後方向に延在されている。
稜線ビード107を車体前後方向に延在させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53(左端部53b)間の空間109を稜線ビード107で塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などが空間109を経てカウルボックス15内に浸入することを稜線ビード107で防止できる。
【0107】
さらに、サイド稜線部93に稜線ビード107を設けることでサイド稜線部93の剛性を高めることができる。このように、サイド稜線部93の剛性を高めることでカウルボックス15の左端部15aの剛性を高めることができる。
よって、カウルボックス15の左端部15aで左サイドエクステンション21のエクステンション上折曲部83をさらに補強することができる。
これにより、左サイドエクステンション21のエクステンション上折曲部83で左サイドフェンダ27(図16参照)を一層強固に支えることができる。
【0108】
第二サイド水平部94は、サイド壁部92の下端部92aから車体前方に向けて延在され、ダンパハウジング13のハウジング頂部32に接合されている(設けられている)。
【0109】
サイド接合片95は、第二サイド水平部94の車幅方向外方の外端部94aから上方に向けて突出されている。
このサイド接合片95は、車体前方側に位置する前半部95aと、前半部95aの車体後方側に位置する後半部95bとを有する。
【0110】
図13に示すように、サイド接合片95の後半部95bは、左サイドエクステンション21(上前接合片88)の内面に溶接で接合されている(設けられている)。
また、サイド接合片95の前半部95aは、左アッパメンバ12(アッパメンバ上接合片12d)の内面に溶接で接合されている(設けられている)。
【0111】
このように、第二サイド水平部94がハウジング頂部32に接合され、かつ、サイド接合片(前半部95aおよび後半部95b)が左サイドエクステンション21(上前接合片88)やアッパメンバ上接合片12dに接合されている。
よって、左ダッシュボードサイドメンバ22を左サイドエクステンション21や左アッパメンバ12で支えることができ、左ダッシュボードサイドメンバ22の剛性を確保できる。
これにより、左ダンパハウジング13から入力した荷重を、左ダッシュボードサイドメンバ22を経てカウルボックス15の左端部15aに良好に伝えることができる。
【0112】
ところで、後半部95bおよび上前接合片88の接合部111や、前半部95aおよびアッパメンバ上接合片12dの接合部112は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
【0113】
ここで、前述したように、第一サイド水平部91の内接合部91a、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83の接合端部83aの接合部101(図15(a)参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
さらに、第一サイド水平部91の外接合部91b、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83折曲部83bの接合部102(図15(a)参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
【0114】
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22に車体前方から入力した荷重をサイド接合片95および第一サイド水平部91を経て左フロントピラー18まで好適に伝えることができる。
【0115】
左サイドエクステンション21の上部(外面)21a、詳しくはエクステンション側壁部82の上端部82a(図10参照)に左フェンダブラケット23が設けられている。
図10、図16に示すように、左フェンダブラケット23は、エクステンション側壁部82の上端部82aに設けられ、左ダッシュボードサイドメンバ22(第二サイド水平部94およびサイド接合片95)の車体後方に配置されている。
【0116】
具体的には、左フェンダブラケット23は、エクステンション側壁部82の上端部82aに接合されたブラケット取付部115と、ブラケット取付部115の上方に設けられたブラケット頂部116と、ブラケット頂部116およびブラケット取付部115に連続されたブラケット稜線部117とを有する。
【0117】
この左フェンダブラケット23は、ブラケット取付部115、ブラケット頂部116およびブラケット稜線部117で略鉤形状(略L字形状)に形成されている(図15(b)も参照)。
ブラケット取付部115は、略鉛直に設けられ、ブラケット頂部116は略水平に設けられている。
また、ブラケット稜線部117は、ブラケット取付部115からブラケット頂部116に向けて上り勾配に設けられている。
【0118】
ブラケット取付部115は、エクステンション側壁部82の上端部82aに溶接で接合され、左ダッシュボードサイドメンバ22(第二サイド水平部94およびサイド接合片95)の車体後方に配置されている。
上端部82aにブラケット取付部115を接合することで、エクステンション側壁部82(すなわち、左サイドエクステンション21)を左フェンダブラケット23で補強することができる。
このように、左フェンダブラケット23で補強することで、左サイドエクステンション21の剛性を高めることができる。
【0119】
さらに、左フェンダブラケット23は、左ダッシュボードサイドメンバ22(第二サイド水平部94およびサイド接合片95)の車体後方に配置されている。
よって、車体前方から入力した荷重F2により左ダッシュボードサイドメンバ22が車体後方に押し出され、左サイドエクステンション21が車幅方向外方に膨らみ変形することを左フェンダブラケット23により抑制できる。
【0120】
この左サイドエクステンション21の後端部21bに左フロントピラー18が連結されている。すなわち、左サイドエクステンション21の車体後方に左フロントピラー18が設けられている。
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22に車体前方から入力した荷重F2を左サイドエクステンション21を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0121】
図15(b)、図16に示すように、ブラケット頂部116は、ブラケット取付部115の上方で、かつエクステンション上折曲部83の上方に所定間隔をおいて設けられている。
このブラケット頂部116に取付孔121が形成され、ブラケット頂部116の裏面(下面)116aに溶接ナット122が設けられている。溶接ナット122は取付孔121に対して同軸上に形成されている。
このブラケット頂部116は、左サイドフェンダ27を支持可能に形成されている。
【0122】
ブラケット稜線部117は、ブラケット頂部116およびブラケット取付部115が交差する位置に、ブラケット頂部116の外端部およびブラケット取付部115の上端部に連続するように形成されている。
このブラケット稜線部117に補強用のブラケットビード118が形成されている。
【0123】
補強用のブラケットビード118は、ブラケット稜線部117に沿って斜め上下方向(上下方向)に延在され、ブラケット稜線部117から下方に膨出されている。
ブラケットビード118が下方に膨出されることで、ブラケット稜線部117の上面17a(図10も参照)が窪むように形成されている。
【0124】
また、ブラケット稜線部117にブラケットビード118を形成することで、ブラケットビード118を利用して左サイドフェンダ27の取付精度を高めることができる。
これにより、左サイドフェンダ27に隣接するフード28(図6参照)に対して左サイドフェンダ27を略面一に配置することができる。
すなわち、左サイドフェンダ27およびフード28を略面一に配置することで、左サイドフェンダ27およびフード28の見切り精度(車両の外部から目視した際の精度)を確保することができる。
【0125】
左フェンダブラケット23に左パーティションパッド26を介して車体外方から左サイドフェンダ27が取り付けられている。
図16、図17に示すように、左サイドフェンダ27は、左パーティションパッド26が内面125aに設けられたフェンダ本体125と、フェンダ本体125の上端部125bから下方に向けて張り出されたフェンダ鉛直部126と、フェンダ鉛直部126の下端部から車幅方向内方に突出されたフェンダ取付部127とを有する。
フェンダ取付部127には貫通孔127aが形成されている。
【0126】
フェンダ本体125は、左フェンダブラケット23を車体外側から覆い、かつパーティションパッド26が内面125aに設けられた外装パネルである。
【0127】
左パーティションパッド26は、フェンダ鉛直部126の車幅方向外側の面126aに対向するパッド鉛直面131と、パッド鉛直面131に設けられ、ブラケットビード118に嵌合可能に上下方向へ延在された規制ビード132とを有する。
左パーティションパッド26は、一例として、発泡ウレタンで形成されている。
【0128】
ブラケットビード118に規制ビード132を嵌合させた状態で、ブラケット頂部116にフェンダ取付部127が載置される。
この状態で、取付ボルト134のねじ部134aがフェンダ取付部127の貫通孔127aおよびブラケット頂部116に取付孔121に差し込まれ、ねじ部134aが溶接ナット122にねじ結合される。
【0129】
これにより、ブラケット頂部116にフェンダ取付部127が取付ボルト134および溶接ナット122で取り付けられる。
そして、左パーティションパッド26が左サイドフェンダ27と左アッパメンバ12との間に車体下方から上方に向けて差し込まれる。
【0130】
規制ビード132は、ブラケットビード118に向けて突状に膨出され、左フェンダブラケット23のブラケットビード118に上方から係合可能に形成されている。
よって、規制ビード132をブラケットビード118に嵌合することで、パーティションパッド26を所定位置に精度よく位置決めすることができる。
【0131】
ここで、パーティションパッド26は左サイドフェンダ27に設けられている。
これにより、規制ビード132をブラケットビード118に嵌合することにより、左サイドフェンダ27を所定位置に精度よく位置決めできるので左サイドフェンダ27の取付作業の容易化を図ることができる。
【0132】
ここで、図10に示すように、ブラケットビード118が斜め上下方向に延在されることで、ブラケットビード118がブラケット頂部116の外端部およびブラケット取付部115の上端部に亘って形成されている。
よって、ブラケットビード118でブラケット頂部116を補強して、左フェンダブラケット23の剛性を確保することができる。
これにより、図16に示すように、左フェンダブラケット23に左サイドフェンダ27を取付ボルト134で取り付ける際に、上方から入力する荷重F3を左フェンダブラケット23で良好に支えることができる。
【0133】
この左パーティションパッド26は、一例として、発泡ウレタンで形成され、左フェンダブラケット23に支持されている。
これにより、衝撃荷重の入力時に衝撃荷重を吸収する機能を持つ。
さらに、左パーティションパッド26を左フェンダブラケット23に支持することで、左パーティションパッド26がカウルボックス15の車幅方向外側に配置されている。
【0134】
すなわち、左パーティションパッド26で左サイドフェンダ27が仕切られている(エンジンルーム34とカウルボックス15とが仕切られている)。
よって、エンジンルーム34内のエンジン熱が左アッパメンバ12と左サイドフェンダ27との間を経てカウルボックス15内に侵入することを防止できる。
【0135】
つぎに、左ダンパハウジング13に入力された荷重F4をカウルボックス15の左端部15aを経て左フロントピラー18に伝える例を図18〜図20に基づいて説明する。
図18に示すように、ダッシュボード前壁45、ウインドシールド後壁52、ダンパハウジングサポート39および左サイドエクステンション21が平面視略矩形状に形成され、カウルボックス15の剛性が高められている。
【0136】
この状態において、左ダンパハウジング13に車体前方から荷重F4が入力される。
入力された荷重F4の一部が左ダンパハウジング13を経てダンパハウジングサポート39に荷重F5として伝えられる。
左ダンパハウジング13は剛性が高く荷重の入力時にも変形し難い。このため、入力した荷重F4により左ダンパハウジング13が車体後方に後退し、荷重F4の一部がダンパハウジングサポート39に荷重F5として伝えられる。
【0137】
図19に示すように、ダンパハウジングサポート39のサポート梁部63は上湾曲辺部63cが車体後方に向けて上り形状に形成されている。
さらに、サポート梁部63、サポート前端部64およびサポート後端部65に梁部ビード67、前端部ビード68(図9参照)および後端部ビード69(図9参照)が形成されている。
よって、ダンパハウジングサポート39に伝えられた荷重F5がダンパハウジングサポート39を経てウインドシールド後壁52に効率よく伝えられる。
【0138】
図18に示すように、ダンパハウジングサポート39はサポート後端部65が左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に折り曲げられている。
よって、サポート梁部63からサポート後端部65に伝えられた荷重F5がサポート後端部65を経てウインドシールド後壁52に効率よく伝えられる。
これにより、ウインドシールド後壁52に伝えられた荷重F5が左フロントピラー18に効率よく伝えられる。
【0139】
一方、左ダンパハウジング13に入力された荷重F4の残りが左ダッシュボードサイドメンバ22を経て左サイドエクステンション21に荷重F6として伝えられる。
図20に示すように、左サイドエクステンション21に伝えられた荷重F6が左サイドエクステンション21を経て左フロントピラー18に伝えられる。
【0140】
ここで、エクステンション側壁部82の上端部82aに左フェンダブラケット23のブラケット取付部115が溶接で接合されている。
よって、エクステンション側壁部82(すなわち、左サイドエクステンション21)の剛性がブラケット取付部115(左フェンダブラケット23)で高められている。
【0141】
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22を経て左サイドエクステンション21に伝えられる荷重F6で左ダッシュボードサイドメンバ22が押し出された際に、左サイドエクステンション21が車幅方向外方に膨らみ変形することを左フェンダブラケット23により抑制できる。
左サイドエクステンション21の車幅方向外方への膨らみ変形を抑制することで、左フロントピラー18に荷重F6が効率よく伝えられる。
【0142】
ついで、洗車用の水などがカウルボックス15内に浸入することを防ぐ例を図21、図5に基づいて説明する。
図21に示すように、左ダッシュボードサイドメンバ22に備えたサイド壁部92の内端部92bから第二突片106が車体前方に向けて突出されている。
よって、洗車用の水などがサイド壁部92に沿って矢印Aの如く車幅方向内方に導かれた場合に、導かれた水の流れを第二突片106で遮ることができる。
これにより、洗車用の水などがサイド壁部92に沿ってカウルボックス15内に浸入することを防止できる。
【0143】
さらに、サイド稜線部93の内端部93aから第一突片105が上方に向けて突出されている。
内端部93aから第一突片105を突出させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53の左端部53b間の空間109が第一突片105で塞がれている。
【0144】
加えて、サイド稜線部93の内端部93a近傍から稜線ビード107を膨出させた。
稜線ビード107を膨出させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53の左端部53b間の空間109を稜線ビード107で塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などが空間109に矢印Bの如く流れた場合、空間109を経てカウルボックス15内に浸入することを稜線ビード107や第一突片105で防止できる。
【0145】
さらに、図5に示すように、エアコン吸気口55の車幅方向外方(左端部15a側)にダンパハウジングサポート39を設けるようにした。
加えて、サポート前端部64(上端64a)をダッシュボード上稜線48に設け、サポート後端部65(上端65b)をウインドシールド上稜線56に設けた。
これにより、カウルボックス15の上開口部74からカウルボックス15内に浸入した洗車用の水が、エアコン吸気口55に流入することをダンパハウジングサポート39で防ぐことができる。
【0146】
なお、本発明に係る車両の前部車体は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例で示した車両の前部車体10、車体11、左右のダンパハウジング13、カウルボックス15、左右のフロントピラー18、左右のサイドエクステンション21、左ダッシュボードサイドメンバ22、エクステンション側壁部82、エクステンション上折曲部83、第一サイド水平部91、サイド壁部92、サイド稜線部93、第二サイド水平部94、サイド接合片95、切欠97、第一突片105、第二突片106および稜線ビード107などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、ダンパハウジングの後方にカウルボックスが設けられ、カウルボックスの後方にフロントピラーが設けられた車両の前部車体を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0148】
10…車両の前部車体、11…車体、13…左右のダンパハウジング、14…ダッシュボードロア、14a…ダッシュボードロアの上部、15…カウルボックス、15a…カウルボックスの左右の端部(端部)、18…左右のフロントピラー、21…左右のサイドエクステンション、21b…サイドエクステンションの後端部、22…左ダッシュボードサイドメンバ、22a…サイド壁部およびサイド接合片が交差する部位、34…エンジンルーム、35…車室、82…エクステンション側壁部、83…エクステンション上折曲部(上折曲部)、83d…エクステンション上折曲部の下面、91…第一サイド水平部、92…サイド壁部、92b…サイド壁部の内端部、93…サイド稜線部、93a…サイド稜線部の内端部、94…第二サイド水平部、95…サイド接合片、97…切欠、105…第一突片、106…第二突片、107…稜線ビード。
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダンパハウジングの車体後方にカウルボックスが設けられ、カウルボックスにウインドシールドガラスが支えられ、カウルボックスの車体後方にフロントピラーが設けられた車両の前部車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の前部車体のなかには、エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部にカウルボックスを設け、カウルボックスから車体前方に向けてフードヒンジスチフナを設け、フードヒンジスチフナにフードヒンジを設けたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
フードヒンジスチフナはダッシュボードサイドメンバを介してアッパメンバに設けられている。
フードヒンジスチフナのフードヒンジにフード(ボンネット)が取り付けられる。これにより、フードがフードヒンジを介してフードヒンジスチフナ(すなわち、車体側)に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−23661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の車両の前部車体は、フードヒンジスチフナがダッシュボードサイドメンバを介してアッパメンバに設けられている。
よって、車体側にフードヒンジを支持する部材として、フードヒンジスチフナおよびダッシュボードサイドメンバの2部材を必要としていた。
このため、部品点数が多くなり、この観点から改良の余地が残されていた。
【0006】
ここで、カウルボックスには、空調装置(エアコンディショナ)に外気を導入するエアコン吸気口が形成されている。
このため、エアコン吸気口に洗車用の水などが浸入することを防止する工夫が要求されていた。
【0007】
本発明は、部品点数を減らすことが可能で、かつ、水の浸入を防止することができる車両の前部車体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る発明は、エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部に設けられたカウルボックスと、前記カウルボックスの車体前方に設けられた左右のダンパハウジングと、前記左右のダンパハウジングに隣接するとともに前記カウルボックスの端部をそれぞれ閉塞するサイドエクステンションと、前記サイドエクステンションおよび前記ダンパハウジングに設けられたダッシュボードサイドメンバとを備えた車両の前部車体において、前記サイドエクステンションは、前記カウルボックスの端部を覆うエクステンション側壁部と、前記エクステンション側壁部の上端部から前記カウルボックスの端部上方に向けて折り曲げられたエクステンション上折曲部と、を有し、前記エクステンション側壁部および前記エクステンション上折曲部で略鉤形状に形成され、前記ダッシュボードサイドメンバは、前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた第一サイド水平部と、前記第一サイド水平部の前方に連続して設けられ、車幅方向内方の内端部に上方に向けて突出された第一突片を有するサイド稜線部と、前記サイド稜線部の前端部から下方に向けて張り出され、かつ前記エクステンション側壁部より車幅方向内側に設けられたサイド壁部と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
請求項2は、前記サイド壁部は、車幅方向内方の内端部に車体前方に向けて突出された第二突片を有することを特徴とする。
【0010】
ここで、サイド壁部は、洗車用の水などがカウルボックスの開口部からカウルボックス内に浸入することを防ぐ役割を果たす。
しかし、サイド壁部に到達した洗車用の水などがサイド壁部に沿って車幅方向内方に導かれることが考えられる。
そこで、請求項2において、サイド壁部の内端部に第二突片を設け、第二突片を車体前方に向けて突出させた。
【0011】
請求項3は、前記サイド稜線部は、車幅方向内方の内端部側で、かつ、前記第一突片より車幅方向外方に設けられ、車体前後方向に延在する補強用の稜線ビードを有することを特徴とする。
【0012】
請求項4は、前記ダッシュボードサイドメンバは、前記サイド壁部の下端部から車体前方に向けて延在され、前記ダンパハウジングに設けられた第二サイド水平部と、前記第二サイド水平部の車幅方向外方の外端部から上方に向けて突出され、前記エクステンション側壁部の内面に設けられたサイド接合片と、を有することを特徴とする。
【0013】
請求項5は、前記ダッシュボードサイドメンバは、前記サイド壁部および前記サイド接合片が交差する部位に切欠を有することを特徴とする。
【0014】
ここで、ダッシュボードサイドメンバを平板からプレス成形する際に、平板からサイド壁部およびサイド接合片が交差する部位を角状に絞る必要があり、交差する部位にしわが発生することが考えられる。
そこで、請求項5において、ダッシュボードサイドメンバのサイド壁部およびサイド接合片が交差する部位に切欠を形成した。
【0015】
請求項6は、前記サイドエクステンションの後端部にフロントピラーが連結され、前記フロントピラーの略延長線上に、前記エクステンション側壁部の内面に設けられた前記サイド接合片と、前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた前記第一サイド水平部と、が配置されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に係る発明では、カウルボックスの端部をサイドエクステンションで閉塞した。さらに、サイドエクステンションおよびダンパハウジングにダッシュボードサイドメンバを設けた。
よって、カウルボックスの端部にサイドエクステンションおよびダッシュボードサイドメンバで閉塞空間を形成することができる。
これにより、カウルボックスの端部の剛性を高めることができ、前突時、特にオフセット衝突時の車体後方への荷重伝達を良好にすることができる。
【0017】
さらに、第一サイド水平部の前方にサイド稜線部を設け、サイド稜線部の前端部から下方に向けてサイド壁部を張り出した。
すなわち、サイド稜線部は、第一サイド水平部およびサイド壁部が交差する部位に設けられることにより断面略湾曲状に形成されている。よって、第一サイド水平部およびサイド壁部間にサイド稜線部を設けることで、カウルボックスの端部の剛性をさらに高めることができる。
【0018】
ここで、カウルボックスの端部にサイドエクステンションのエクステンション上折曲部が設けられている。
よって、カウルボックスの端部でエクステンション上折曲部を補強することができる。
これにより、サイドエクステンションの剛性を高め、サイドエクステンションでサイドフェンダを強固に支えることができる。
【0019】
さらに、サイド稜線部の内端部に第一突片を設け、第一突片を上方に向けて突出させた。
第一突片を上方に向けて突出させることで、サイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を第一突片で塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などがサイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を経てカウルボックス内に浸入することを第一突片で防止できる。
【0020】
加えて、サイドエクステンションおよびダンパハウジングにダッシュボードサイドメンバを設けた。このダッシュボードサイドメンバにフードヒンジを設け、フードヒンジにフード(ボンネット)を設けた。
よって、フードヒンジを支えるダッシュボードサイドメンバを一部材で形成することができる。
このように、フードヒンジを一部材で形成することで、部品点数を減らすことができる。
【0021】
請求項2に係る発明では、サイド壁部の内端部に第二突片を設け、第二突片を車体前方に向けて突出させた。
よって、洗車用の水などがサイド壁部に沿って車幅方向内方に導かれた場合に、導かれた水の流れを第二突片で遮ることができる。
これにより、洗車用の水などがサイド壁部に沿ってカウルボックス内に浸入することを防止できる。
【0022】
請求項3に係る発明では、サイド稜線部の内端部側で、かつ、第一突片より車幅方向外方に補強用の稜線ビードを設け、この稜線ビードを車体前後方向に延在させた。
稜線ビードを車体前後方向に延在させることで、サイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を稜線ビードで塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などがサイド稜線部およびカウルボックスの上部間の空間を経てカウルボックス内に浸入することを稜線ビードで防止できる。
【0023】
さらに、サイド稜線部に稜線ビードを設けることでサイド稜線部の剛性を高めることができる。このように、サイド稜線部の剛性を高めることでカウルボックスの端部の剛性を高めることができる。
よって、カウルボックスの端部でサイドエクステンションのエクステンション上折曲部をさらに補強することができる。
これにより、サイドエクステンションのエクステンション上折曲部でサイドフェンダを一層強固に支えることができる。
加えて、前突時、特にオフセット衝突時の車体後方への荷重伝達を良好にすることができる。
【0024】
請求項4に係る発明では、ダッシュボードサイドメンバのサイド壁部の下端部から第二サイド水平部を車体前方に向けて延在し、第二サイド水平部をダンパハウジングに接合させた(設けた)。
さらに、第二サイド水平部の車幅方向外方の外端部からサイド接合片を上方に向けて突出し、サイド接合片をエクステンション側壁部の内面に接合させた(設けた)。
【0025】
このように、ダッシュボードサイドメンバをダンパハウジングやエクステンション側壁部で支えることで、ダッシュボードサイドメンバの剛性を確保することができる。
これにより、ダンパハウジングから入力した荷重を、ダッシュボードサイドメンバを経てカウルボックスに良好に伝えることができる。
【0026】
請求項5に係る発明では、ダッシュボードサイドメンバのサイド壁部およびサイド接合片が交差する部位に切欠を形成した。
これにより、ダッシュボードサイドメンバを平板からプレス成形する際に、交差する部位の絞り量を抑えることができ、交差する部位にしわが発生することを抑えることができる。
【0027】
請求項6に係る発明では、サイドエクステンションの後端部にフロントピラーを連結した。このフロントピラーの略延長線上に、ダッシュボードサイドメンバのサイド接合片および第一サイド水平部を設けた。
さらに、サイド接合片をサイドエクステンションのエクステンション側壁部に設け、第一サイド水平部をサイドエクステンションのエクステンション上折曲部に設けた。
これにより、ダッシュボードサイドメンバに車体前方から入力した荷重をサイド接合片および第一サイド水平部を経てフロントピラーまで好適に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係る車両の前部車体を示す斜視図である。
【図2】図1の2部を拡大してサイドフェンダを分解した状態を示す分解斜視図である。
【図3】図2の前部車体を示す分解斜視図である。
【図4】図2の4矢視図である。
【図5】(a)は図4の5(a)−5(a)線断面図、(b)は図5(a)の5(b)拡大図である。
【図6】図1の6−6線断面図である。
【図7】図3の7矢視図である。
【図8】図2の8−8線断面図である。
【図9】(a)は本発明に係るダンパハウジングサポートを後方から見た状態を示す斜視図、(b)は(a)のダンパハウジングサポートを前方から見た状態を示す斜視図である。
【図10】図2の10部拡大図である。
【図11】図3の11部拡大図である。
【図12】図10の12矢視図である。
【図13】図10の13矢視図である。
【図14】図13の前部車体を示す分解斜視図である。
【図15】(a)は図13の15(a)−15(a)線断面図、(b)は図13の15(b)−15(b)線断面図である。
【図16】本発明に係る前部車体の左フェンダブラケットに左サイドフェンダを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図17】図16の前部車体を示す分解斜視図である。
【図18】本発明に係る前部車体の左ダンパハウジングに車体前方から荷重が入力した状態を説明する図である。
【図19】本発明に係るダンパハウジングサポートを経て左フロントピラーに荷重を伝える例を説明する図である。
【図20】本発明に係る左サイドエクステンションを経て左フロントピラーに荷重を伝える例を説明する図である。
【図21】本発明に係る左ダッシュボードサイドメンバでカウルボックス内に水が浸入することを防ぐ例を説明するである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、「前(Fr)」、「後(Rr)」、「左(L)」、「右(R)」は着座者から見た方向にしたがう。
【実施例】
【0030】
実施例に係る車両の前部車体(車両の前部構造)10について説明する。
図1に示すように、車両の前部車体10は、車体の左右側部に設けられた左右のアッパメンバ12と、左右のアッパメンバ12の車幅方向内側に設けられた左右のダンパハウジング13と、左右のダンパハウジング13の車体後方に設けられたダッシュボードロア14と、ダッシュボードロア14の上部14a(図5参照)に設けられたカウルボックス15と、カウルボックス15の左右の端部15aに設けられた左右のフロントピラー18とを備えている。
左右のダンパハウジング13に補強用のタワーバー19が架け渡されている。
【0031】
図2、図3に示すように、車両の前部車体10は、カウルボックス15の左右の端部15aに設けられた左右のサイドエクステンション21と、左右のサイドエクステンション21の車幅方向内側に設けられた左右のダッシュボードサイドメンバ22と、左右のサイドエクステンション21の上部(外面)21aに設けられた左右のフェンダブラケット23とを備えている。
【0032】
加えて、車両の前部車体10は、左右のフェンダブラケット23に支持され左右のパーティションパッド26と、左右のパーティションパッド26が設けられた左右のサイドフェンダ27と、左右のサイドフェンダ27間に開閉自在に設けられたフード(ボンネット)28(図6参照)とを備えている。
【0033】
車両の前部車体10は略左右対称に形成されているので、以下、車両の前部車体10の左側の部材および右側の部材に同じ符号を付して、右側の部材の説明を省略する。
【0034】
左アッパメンバ12は、車体11の左側部に設けられ、カウルボックス15の左端部15aから車体前方に向かうにつれて下降するように延出されている。
この左アッパメンバ12は、例えば、オフセット衝突などで車体前方から荷重が入力した場合に、入力した荷重が前端部12a(図1参照)に伝えられるように形成されている。
オフセット衝突とは、車体の幅方向中心に対して左右方向のいずれか一方にずれた状態の衝突をいう。
【0035】
左ダンパハウジング13は、カウルボックス15の左端部15a側で、かつ左端部15aの車体前方に設けられている。
この左ダンパハウジング13は、左アッパメンバ12および左フロントサイドフレーム(図示せず)に設けられたハウジング本体31と、ハウジング本体31の上部に設けられたハウジング頂部32とを有する。
ハウジング本体31は、左フロントダンパ(図示せず)をエンジンルーム34から仕切る壁部である。
ハウジング頂部32は、左フロントダンパの頂部を支持する部位である。
【0036】
図1に示すように、ダッシュボードロア14は、左右のダンパハウジング13の車体後方に設けられ、エンジンルーム34と車室35とを隔離するパネル部材である。
このダッシュボードロア14の上部14aにカウルボックス15が設けられている。
【0037】
図4、図5に示すように、カウルボックス15は、ダッシュボードロア14の上部14aに設けられたダッシュボードアッパ37と、ダッシュボードアッパ37に設けられたウインドシールドロア38と、ダッシュボードアッパ37および前記ウインドシールドロア38に架設されたダンパハウジングサポート39とを備えている。
図6に示すように、カウルボックス15は、ダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38で閉空間41が形成され、上部中央15bに外気導入口42が形成されている。
また、カウルボックス15は、左端部15aに左端開口43(図2参照)が形成されている。
【0038】
図7に示すように、ダッシュボードアッパ37は、ダッシュボードロア14の上部14aから車体前後方向へ張り出されたダッシュボード底部44と、ダッシュボード底部44の前端部44aから上方に折り曲げられたダッシュボード前壁(ダッシュボードアッパの前壁)45と、ダッシュボード底部44の後端部44bから上方に折り曲げられたダッシュボード後壁46とを有する。
このダッシュボードアッパ37は、ダッシュボード前壁45、ダッシュボード後壁46およびダッシュボード底部44で側面視略U字状に形成されている。
【0039】
さらに、ダッシュボードアッパ37は、ダッシュボード前壁45の上端部45aから車体前方に向けて折り曲げられたダッシュボード前接合片47と、ダッシュボード前壁45およびダッシュボード前接合片47の交差部位に設けられたダッシュボード上稜線48と、ダッシュボード後壁46の上端部46aから車体後方に向けて折り曲げられたダッシュボード後接合片49とを有する。
【0040】
ウインドシールドロア38は、ダッシュボード後接合片49に溶接で接合されたウインドシールド下接合片(ウインドシールド接合片)51と、ウインドシールド下接合片51の前端部から上方に向けて折り曲げられたウインドシールド後壁(ウインドシールドロアの後壁)52と、ウインドシールド後壁52の上端部から車体前方に向けて折り曲げられたウインドシールド頂部53とを有する。
ウインドシールド下接合片51は、ウインドシールド後壁52の下端部52aから車体後方に向けて折り曲げられている。
このウインドシールドロア38は、ウインドシールド後壁52およびウインドシールド頂部53で側面視略L字状に形成されている。
【0041】
図4に示すように、ウインドシールド後壁52は、左端部52b寄りの部位、すなわち左端部52bから所定間隔Lをおいた部位にエアコン吸気口55が形成されている。
エアコン吸気口55は、吸気ダクトを経て空調装置(図示せず)に連通されている。
よって、カウルボックス15の外気導入口42からカウルボックス15内に外気が導入され、導入された外気がカウルボックス15内を経てエアコン吸気口55に導かれる。
エアコン吸気口55に導かれた外気は、エアコン吸気口55および吸気ダクトを経て空調装置に導かれ、空調装置で空調された状態で車室35内へ吹き出される。
【0042】
図6に示すように、ウインドシールド頂部53は、ウインドシールドガラス59の下端部59aを支持するガラス支持部53aを有する。
図5、図7に示すように、ウインドシールドロア38は、ウインドシールド後壁52およびウインドシールド頂部53が交差する部位にウインドシールド上稜線56と、ウインドシールド後壁52の左端部52bから車体後方に向けて折り曲げられたウインドシールド左接合片57とを有する。
【0043】
図7、図8に示すように、カウルボックス15が左ダンパハウジング13の車体後方に設けられた状態において、左ダンパハウジング13と略同じ高さに設けられている。
よって、カウルボックス15の底部(ダッシュボード底部)44が左ダンパハウジング13のハウジング頂部32より下方に配置される。
このため、車体前方から入力した荷重をハウジング頂部32を経てダッシュボード底部に効率よく伝えることが難しい。
【0044】
そこで、カウルボックス15のダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38にダンパハウジングサポート39を架設した。
さらに、左ダンパハウジング13(ハウジング頂部32)の中心61より車幅方向内側寄りで、かつ左ダンパハウジング13の車体後方にダンパハウジングサポート39を配置した。
【0045】
これにより、ダッシュボード底部がハウジング頂部32より下方に配置された場合でも、左ダンパハウジング13に入力した荷重をダンパハウジングサポート39(すなわち、カウルボックス15)に効率よく伝えることができる。
このように、ダンパハウジングサポート39(カウルボックス15)に伝えられた荷重はカウルボックス15を経て左フロントピラー18(図2も参照)に伝えられ、左フロントピラー18で吸収される。
【0046】
また、カウルボックス15のダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38にダンパハウジングサポート39を架設した。
さらに、左ダンパハウジング13(ハウジング頂部32)の中心61より車幅方向内側寄りで、かつ左ダンパハウジング13の車体後方にダンパハウジングサポート39を配置した。
【0047】
これにより、左ダンパハウジング13に入力した荷重で生じたモーメントによって左ダンパハウジング13が車体後方に後退した場合でも、ダンパハウジングサポート39により左ダンパハウジング13を支持することができる。
このように、ダンパハウジングサポート39(カウルボックス15)に伝えられた荷重はカウルボックス15を経て左フロントピラー18(図2も参照)に伝えられ、左フロントピラー18で吸収される。
【0048】
つぎに、ダンパハウジングサポート39について詳しく説明する。
図9に示すように、ダンパハウジングサポート39は、ダッシュボード前壁45およびウインドシールド後壁52間に介在されたサポート梁部63と、サポート梁部63の前端63aから張り出されたサポート前端部64と、サポート梁部63の後端63bから張り出されたサポート後端部65と、サポート後端部65の下端65aから突出された接合突片66とを有する。
【0049】
さらに、ダンパハウジングサポート39は、サポート梁部63に形成された補強用の梁部ビード67と、サポート前端部64に形成された補強用の前端部ビード68と、サポート後端部65に形成された補強用の後端部ビード69とを有する。
【0050】
サポート梁部63は、前端63aから後端63bまで車体後方に向けて上り形状に形成された上湾曲辺部(上辺部)63cと、前端63aから後端63bまで車体後方に向けて上り勾配に形成された下傾斜辺部63dとを有する。
上湾曲辺部63cを車体後方に向けて上り形状に形成した理由については後で詳しく説明する。
【0051】
図8、図9に示すように、サポート梁部63に補強用の梁部ビード67が形成されている。
梁部ビード67は、上湾曲辺部63cおよび下傾斜辺部63d間に設けられ、サポート梁部63に対して車幅方向外側に向けて膨出され、かつ下傾斜辺部63dに沿って車体前後方向に向けて延出されている。
【0052】
サポート前端部64は、サポート梁部63の前端63aから車幅方向内側に向けて折り曲げられている。
サポート前端部64に補強用の前端部ビード68が形成されている。
前端部ビード68は、梁部ビード67の前端から車幅方向内側に向けて延出されている。
図5、図7に示すように、サポート前端部64は、ダッシュボード前壁45に溶接で接合され、上端64aがダッシュボード上稜線48に設けられている。
【0053】
図8、図9に示すように、サポート後端部65は、サポート梁部63の後端63bから左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に向けて折り曲げられている。
サポート後端部65に補強用の後端部ビード69が形成されている。
後端部ビード69は、梁部ビード67の後端から車幅方向外側に向けて延出されている。
図5、図7に示すように、サポート後端部65は、ウインドシールド後壁52にボルト71・ナット72で取り付けられ、上端65bがウインドシールド上稜線56に設けられている。
【0054】
ここで、ダッシュボード上稜線48やウインドシールド上稜線56は断面略湾曲状に形成されることで剛性が比較的大きく確保されている。
さらに、ダッシュボード上稜線48にサポート前端部64が設けられ、ウインドシールド上稜線56にサポート後端部65が設けられている。
【0055】
よって、左ダンパハウジング13からダッシュボード上稜線48に伝えられた荷重を、ダッシュボード上稜線48を経てダンパハウジングサポート39に効率よく伝えることができる。
さらに、ダンパハウジングサポート39に伝えられた荷重を、ウインドシールド上稜線56を経て左フロントピラー18(図2も参照)に効率よく伝えることができる。
【0056】
つぎに、ダンパハウジングサポート39の上湾曲辺部63cを車体後方に向けて上り形状に形成した理由について説明する。
図7に示すように、左ダンパハウジング13のハウジング頂部32はカウルボックス15の上部(すなわち、ウインドシールド頂部53)より下方に設けられている。
このため、左ダンパハウジング13に入力した荷重をウインドシールド上稜線56に好適に伝えることが難しい。
【0057】
そこで、ダンパハウジングサポート39(サポート梁部63)の上湾曲辺部63cを車体後方に向けて上り形状に形成した。
ダンパハウジングサポート39のサポート前端部64を左ダンパハウジング13のハウジング頂部32と略同じ高さに配置することできる。
【0058】
よって、左ダンパハウジング13(ハウジング頂部32)に入力された荷重をダンパハウジングサポート39に効率よく伝えることができる。
さらに、ダンパハウジングサポート39に伝えられた荷重を、ダンパハウジングサポート39およびウインドシールド上稜線56を経て左フロントピラー18(図2も参照)に効率よく伝えることができる。
【0059】
また、図8、図9に示すように、サポート前端部64を車幅方向内側に折り曲げ、かつサポート後端部65を左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に折り曲げた。
さらに、サポート梁部63、サポート前端部64およびサポート後端部65に、梁部ビード67、前端部ビード68および後端部ビード69を備えた。
【0060】
よって、梁部ビード67、前端部ビード68および後端部ビード69でダンパハウジングサポート39の剛性(断面係数)を高めることができる。
これにより、左ダンパハウジング13からサポート前端部64に伝えられた荷重をサポート梁部63を経てサポート後端部65に効率よく伝えることができる。
【0061】
さらに、サポート後端部65を左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に折り曲げた。
これにより、サポート梁部63からサポート後端部65に伝えられた荷重をサポート後端部65を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0062】
図5、図9に示すように、サポート後端部65の下端65aから車体後方に向けて接合突片66が突出されている。
接合突片66は、ダッシュボード後接合片49およびウインドシールド下接合片51に挟持されている。
よって、ダッシュボードアッパ37およびウインドシールドロア38をダンパハウジングサポート39で補強して、カウルボックス15の剛性をさらに高めることができる。
【0063】
さらに、ダンパハウジングサポート39が車体後方に向けて上り形状に形成されていても、衝突荷重によってダンパハウジングサポート39が上方に浮き上がることを防ぐことができる。
これにより、ダンパハウジングからダンパハウジングサポート39(すなわち、カウルボックス15)に伝えられた荷重を、カウルボックス15を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0064】
ここで、図4、図5に示すように、ダンパハウジングサポート39は、エアコン吸気口55の車幅方向外方で、かつ、エアコン吸気口55の近傍に設けられている。
ダンパハウジングサポート39をエアコン吸気口55の車幅方向外方に設けた理由はつぎの通りである。
すなわち、例えば、車両の洗車中にカウルボックス15(左端部15a)の上開口部74からカウルボックス15内に洗車用の水が浸入し、カウルボックス15内に浸入した水がエアコン吸気口55に流入することが考えられる。
上開口部74は、カウルボックス15の左端部15aで、かつカウルボックス15前上部に形成されている。
【0065】
そこで、エアコン吸気口55の車幅方向外方(左端部15a側)にダンパハウジングサポート39を設けるようにした。
加えて、サポート前端部64(上端64a)をダッシュボード上稜線48に設け、サポート後端部65(上端65b)をウインドシールド上稜線56に設けた。
これにより、カウルボックス15の上開口部74からカウルボックス15内に浸入した洗車用の水が、エアコン吸気口55に流入することをダンパハウジングサポート39で防ぐことができる。
【0066】
さらに、ダンパハウジングサポート39は、エアコン吸気口55の車幅方向外方で、かつ、エアコン吸気口55の近傍に設けられている。
よって、ダンパハウジングサポート39でエアコン吸気口55を補強することができる。
これにより、カウルボックスの剛性を高めて、エンジンの揺動などによる振動を抑えることができる。
【0067】
ここで、図1、図4に示すように、カウルボックス15の外気導入口42はカウルボックス15の上部中央15bに設けられている。よって、外気導入口42はエアコン吸気口55の車幅方向内側に配置されている。
一方、エアコン吸気口55の車幅方向外方にダンパハウジングサポート39が設けられている。
【0068】
これにより、図6に示すように、外気導入口42からカウルボックス15内に吸入した外気を、矢印の如くダンパハウジングサポート39でエアコン吸気口55側に案内することができる。
したがって、外気導入口42からカウルボックス15内に吸入した外気を、ダンパハウジングサポート39でエアコン吸気口55側に円滑に案内してエアコン吸気口55に効率よく吸気することができる。
【0069】
図1、図2に示すように、カウルボックス15の左端部15aに左フロントピラー18が設けられている。
左フロントピラー18は、ピラー脚部77と、ピラー傾斜部78とを有する。
ピラー脚部77は、左サイドシル79(図1参照)の前端部からカウルボックス15の左端部15a(具体的には、左サイドエクステンション21)まで立設されている。
ピラー傾斜部78は、ピラー脚部77の上端部77aからウインドシールドガラス59の左側縁に沿って車体後方に向けて上り勾配に延出されている。
【0070】
図10、図11に示すように、カウルボックス15の左端部(端部)15aに左サイドエクステンション21が設けられている。
このように、左端部15aに左サイドエクステンション21が設けられることで、左サイドエクステンション21でカウルボックス15の左端部15aが閉塞されている(覆われている)。
【0071】
左サイドエクステンション21は、カウルボックス15の左端部15aに設けられるとともに、左ダンパハウジング13の車幅方向外側に隣接されている。
カウルボックス15の左端部15aは左アッパメンバ12の後端部12bに設けられている。
【0072】
すなわち、左サイドエクステンション21は、カウルボックス15の左端部15aを覆うエクステンション側壁部82と、エクステンション側壁部82の上端部82aから折り曲げられたエクステンション上折曲部(上折曲部)83とを備えている。
エクステンション側壁部82には補強ブラケット84(図2、図3参照)が設けられている。
よって、エクステンション側壁部82が補強ブラケット84で補強されている。
【0073】
エクステンション上折曲部83は、エクステンション側壁部82の上端部82aからカウルボックス15の左端部15a上方に向けて折り曲げられている。
よって、左サイドエクステンション21は、エクステンション側壁部82およびエクステンション上折曲部83で略鉤形状(略L字形状)に形成されている。
【0074】
さらに、図11、図12に示すように、左サイドエクステンション21は、エクステンション側壁部82の前辺82bから車幅方向外側に向けて折り曲げられた前接合片85と、エクステンション側壁部82の後下辺82cから車幅方向外側に向けて折り曲げられた後下接合片86とを有する。
【0075】
加えて、左サイドエクステンション21は、エクステンション側壁部82の後辺82dから車体後方に向けて張り出された後接合片87と、エクステンション側壁部82の上前辺82eから上方に向けて張り出された上前接合片88とを有する。
【0076】
エクステンション側壁部82の前接合片85は、ダッシュボード前壁45の左端部45bおよび左アッパメンバ12のアッパメンバ後接合片12cに溶接で接合されている。
また、エクステンション側壁部82の後下接合片86は、ダッシュボード後壁46の左端部46bに溶接で接合されている。
【0077】
さらに、エクステンション側壁部82の後接合片87は、ウインドシールド左接合片57およびピラー脚部77の脚部接合片77bに挟持された状態において溶接で接合されている。
加えて、エクステンション側壁部82の上前接合片88は、左ダッシュボードサイドメンバ22(サイド接合片95の後半部95b(図13参照))に溶接で接合されている。
【0078】
また、エクステンション上折曲部83は、接合端部83aがウインドシールド頂部53の左端部53bおよび左ダッシュボードサイドメンバ22(第一サイド水平部91の内接合部91a)に溶接で接合されている。
さらに、エクステンション上折曲部83は、折曲部83bがウインドシールド頂部53の左端部53bおよび左ダッシュボードサイドメンバ22(第一サイド水平部91の外接合部91b)に溶接で接合されている。
加えて、エクステンション上折曲部83は、後端部83cがピラー傾斜部78の傾斜部接合片78aに溶接で接合されている。
【0079】
これにより、左サイドエクステンション21が、カウルボックス15の左端部15a、左アッパメンバ12、左フロントピラー18や左ダッシュボードサイドメンバ22に溶接で接合されている。
左サイドエクステンション21がカウルボックス15の左端部15aなどに接合されることで、カウルボックス15の左端開口43がエクステンション側壁部82で閉塞されている(覆われている)。
【0080】
この状態で、エクステンション側壁部82の下辺82fは、ダッシュボードアッパ37のダッシュボード底部44より上方に配置されている。
よって、カウルボックス15の左端開口43のうち下部が左端下開口43aとして開口されている。
これにより、カウルボックス15内に浸入した水を左端下開口43aからカウルボックス15の外部に流出させることができる。
【0081】
また、エクステンション側壁部82の後接合片87にピラー脚部77の脚部接合片77bが溶接で接合され、エクステンション上折曲部83の後端部83cにピラー傾斜部78の傾斜部接合片78aが溶接で接合されている。
エクステンション側壁部82の後接合片87およびエクステンション上折曲部83の後端部83cは、左サイドエクステンション21の後端部21bを構成する部位である。
すなわち、左サイドエクステンション21の後端部21bに左フロントピラー18が連結されている。
【0082】
さらに、ダッシュボード前壁45の左端部45bに左アッパメンバ12のアッパメンバ後接合片12cが溶接で接合されている。
アッパメンバ後接合片12cは、左アッパメンバ12の後端部12bに設けられている。
加えて、左アッパメンバ12の後端部12bは、ダッシュボード底部44の左端部44cに溶接で接合されている。
よって、ダッシュボード前壁45の左端部45bやダッシュボード底部44の左端部44cに左アッパメンバ12の後端部12bが溶接で接合されている。
【0083】
ここで、図8に示すように、エクステンション側壁部82の前接合片85がダッシュボード前壁45の左端部45bに溶接で接合され、エクステンション側壁部82の後下接合片86がダッシュボード後壁46の左端部46bに溶接で接合されている。
また、ダンパハウジングサポート39のサポート前端部64がダッシュボード前壁45に溶接で接合されている。
【0084】
さらに、ダンパハウジングサポート39のサポート後端部65がウインドシールド後壁52に溶接で接合されている。
加えて、図5に示すように、サポート後端部65の接合突片66がダッシュボード後接合片49およびウインドシールド下接合片51に挟持されている。
【0085】
これにより、図8に示すように、ダッシュボード前壁45、ウインドシールド後壁52、左サイドエクステンション21およびダンパハウジングサポート39が平面視略矩形状に形成され、カウルボックス15の剛性を高めることができる。
このように、カウルボックス15の剛性を高めることで、カウルボックス15に車体11の前方から伝えられた荷重F1をカウルボックス15で支え、カウルボックス15を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0086】
また、ウインドシールド頂部53の左端部53bにエクステンション上折曲部83(接合端部83a、折曲部83b)が接合されている。
よって、ウインドシールド頂部53の左端部53b(すなわち、カウルボックス15の左端部15a)でエクステンション上折曲部83を補強することができる。
これにより、左サイドエクステンション21の剛性を高め、左サイドエクステンション21でフロントサイドフェンダを強固に支えることができる。
【0087】
カウルボックス15の左端部15a、左サイドエクステンション21、左アッパメンバ12および左ダンパハウジング13などに左ダッシュボードサイドメンバ22が設けられている。
図13、図14に示すように、左ダッシュボードサイドメンバ22は、ウインドシールド頂部53(左端部53b)の下側に設けられた第一サイド水平部91と、第一サイド水平部91の車体前方(前方)に連続して設けられたサイド稜線部93と、サイド稜線部93の前端部93bから下方に向けて張り出されたサイド壁部92とを有する。
【0088】
さらに、左ダッシュボードサイドメンバ22は、サイド壁部92の下端部92aから車体前方に向けて延在された第二サイド水平部94と、第二サイド水平部94の車幅方向外方の外端部94aから上方に向けて突出されたサイド接合片95とを有する。
【0089】
この左ダッシュボードサイドメンバ22は、カウルボックス15の左端部15a、左サイドエクステンション21、左アッパメンバ12および左ダンパハウジング13などに設けられている。
よって、カウルボックス15の左端部15aに左サイドエクステンション21および左ダッシュボードサイドメンバ22で左閉塞空間(閉塞空間)41aを形成することができる。
これにより、カウルボックス15の左端部15aの剛性を高めることができ、前突時、特にオフセット衝突時に車体後方へ荷重を良好に伝達することができる。
【0090】
ここで、左ダッシュボードサイドメンバ22は、例えば、高強度材JAC590Rで、かつ板厚寸法Tが2.0mmの鋼板で形成された剛体である。
よって、衝撃荷重の入力時に左ダッシュボードサイドメンバ22の変形を抑えて衝撃荷重を車体後方に良好に伝達できる。
【0091】
この左ダッシュボードサイドメンバ22にはフードヒンジ(図示せず)が設けられ、このフードヒンジにフード28(図6参照)が設けられている。
フード28は車体11にフードヒンジを軸にして開閉自在に支持されている。
【0092】
ここで、車両のなかには、アッパメンバにダッシュボードサイドメンバが設けられ、ダッシュボードサイドメンバにフードヒンジスチフナが設けられたものがある。
このフードヒンジスチフナにフードヒンジが設けられ、フードヒンジにフードが設けられている。
このため、車体側にフードヒンジを支持する部材として、フードヒンジスチフナおよびダッシュボードサイドメンバの2部材を必要としていた。
【0093】
そこで、左ダッシュボードサイドメンバ22を、カウルボックス15の左端部15a、左サイドエクステンション21、左アッパメンバ12および左ダンパハウジング13などに設け、左ダッシュボードサイドメンバ22にフードヒンジを設けるようにした。
これにより、フードヒンジを支える左ダッシュボードサイドメンバ22を一部材で形成することができる。
このように、フードヒンジを一部材で形成することで、部品点数を減らすことができる。
【0094】
ところで、一例として、左ダッシュボードサイドメンバ22は平板からプレス成形されている。
このため、左ダッシュボードサイドメンバ22を平板からプレス成形する際に、サイド壁部92およびサイド接合片95が交差する部位22aを角状に絞る必要がある。よって、交差する部位22aにしわが発生することが考えられる。
【0095】
そこで、左ダッシュボードサイドメンバ22は、サイド壁部92およびサイド接合片95が交差する部位22aに切欠97を形成した。
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22を平板からプレス成形する際に、交差する部位22aの絞り量を抑えることができ、交差する部位22aにしわが発生することを抑制できる。
【0096】
図14、図15(a)に示すように、第一サイド水平部91は、ウインドシールド頂部53の左端部53b下方に略水平に配置されている。
第一サイド水平部91の上方にウインドシールド頂部53の左端部53bが重ね合わされ、左端部53bの上方にエクステンション上折曲部83が重ね合わされている。
【0097】
第一サイド水平部91の内接合部91a、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83の接合端部83aが重ね合わされた状態において溶接で接合されている。
また、第一サイド水平部91の外接合部91bおよびエクステンション上折曲部83の折曲部83bが重ね合わされた状態において溶接で接合されている。
【0098】
よって、第一サイド水平部91は、ウインドシールド頂部53(左端部53b)下面53cやエクステンション上折曲部83の下面83dに設けられている。
この状態において、第一サイド水平部91およびエクステンション上折曲部83間にウインドシールド頂部53の左端部53bが介在されている。
【0099】
図13、図14に示すように、第一サイド水平部91の内接合部91a、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83の接合端部83aの接合部101(図15(a)も参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
さらに、第一サイド水平部91の外接合部91b、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83折曲部83bの接合部102(図15(a)も参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
【0100】
第一サイド水平部91の前端部91cにサイド稜線部93が設けられ、サイド稜線部93の前端部93bから下方に向けてサイド壁部92が張り出されている。
サイド壁部92は、サイド稜線部93の前端部93bから下方に向けて張り出されている。
また、サイド壁部92は、左サイドエクステンション21のエクステンション側壁部82より車幅方向内側に設けられている。
このサイド壁部92は、車幅方向内方の内端部92bに車体前方に向けて突出された第二突片106を有する。
【0101】
ここで、サイド壁部92に第二突片106を設けた理由について説明する。
すなわち、サイド壁部92は、洗車用の水などがカウルボックス15の上開口部74からカウルボックス15内に浸入することを防ぐ役割を果たす。
しかし、サイド壁部92に到達した洗車用の水などがサイド壁部92に沿って車幅方向内方に導かれることが考えられる。
【0102】
そこで、サイド壁部92の内端部92bから第二突片106を車体前方に向けて突出させた。
よって、洗車用の水などがサイド壁部92に沿って車幅方向内方に導かれた場合に、導かれた水の流れを第二突片106で遮ることができる。
これにより、洗車用の水などがサイド壁部92に沿ってカウルボックス15内に浸入することを防止できる。
【0103】
サイド稜線部93は、第一サイド水平部91の前端部91cに設けられている。このサイド稜線部93の前端部93bから下方に向けてサイド壁部92が張り出されている。
すなわち、サイド稜線部93は、第一サイド水平部91およびサイド壁部92が交差する部位に設けられることにより、第一サイド水平部91の前端部91cおよびサイド壁部92の上端部92cに連続するように形成されている。
このサイド稜線部93は断面略湾曲状に形成されている。よって、第一サイド水平部91およびサイド壁部92間にサイド稜線部93を設けることで、カウルボックス15の左端部15aの剛性をさらに高めることができる。
【0104】
図14、図15(b)に示すように、このサイド稜線部93は、車幅方向内方の内端部93aに上方に向けて突出された第一突片105と、第一突片105より車幅方向外方に設けられた補強用の稜線ビード107とを有する。
【0105】
第一突片105は、サイド稜線部93の内端部93aから上方に突出するように折り曲げられている。
第一突片105を上方に向けて突出させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53の左端部(カウルボックス15の上部)53b間の空間109を第一突片105で塞ぐことができる(図10も参照)。
これにより、洗車用の水などがサイド稜線部93およびウインドシールド頂部53(左端部53b)間の空間109を経てカウルボックス15内に浸入することを第一突片105で防止できる。
【0106】
補強用の稜線ビード107は、サイド稜線部93の内端部93a側で、かつ、第一突片105より車幅方向外方に設けられ、車体前後方向に延在されている。
稜線ビード107を車体前後方向に延在させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53(左端部53b)間の空間109を稜線ビード107で塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などが空間109を経てカウルボックス15内に浸入することを稜線ビード107で防止できる。
【0107】
さらに、サイド稜線部93に稜線ビード107を設けることでサイド稜線部93の剛性を高めることができる。このように、サイド稜線部93の剛性を高めることでカウルボックス15の左端部15aの剛性を高めることができる。
よって、カウルボックス15の左端部15aで左サイドエクステンション21のエクステンション上折曲部83をさらに補強することができる。
これにより、左サイドエクステンション21のエクステンション上折曲部83で左サイドフェンダ27(図16参照)を一層強固に支えることができる。
【0108】
第二サイド水平部94は、サイド壁部92の下端部92aから車体前方に向けて延在され、ダンパハウジング13のハウジング頂部32に接合されている(設けられている)。
【0109】
サイド接合片95は、第二サイド水平部94の車幅方向外方の外端部94aから上方に向けて突出されている。
このサイド接合片95は、車体前方側に位置する前半部95aと、前半部95aの車体後方側に位置する後半部95bとを有する。
【0110】
図13に示すように、サイド接合片95の後半部95bは、左サイドエクステンション21(上前接合片88)の内面に溶接で接合されている(設けられている)。
また、サイド接合片95の前半部95aは、左アッパメンバ12(アッパメンバ上接合片12d)の内面に溶接で接合されている(設けられている)。
【0111】
このように、第二サイド水平部94がハウジング頂部32に接合され、かつ、サイド接合片(前半部95aおよび後半部95b)が左サイドエクステンション21(上前接合片88)やアッパメンバ上接合片12dに接合されている。
よって、左ダッシュボードサイドメンバ22を左サイドエクステンション21や左アッパメンバ12で支えることができ、左ダッシュボードサイドメンバ22の剛性を確保できる。
これにより、左ダンパハウジング13から入力した荷重を、左ダッシュボードサイドメンバ22を経てカウルボックス15の左端部15aに良好に伝えることができる。
【0112】
ところで、後半部95bおよび上前接合片88の接合部111や、前半部95aおよびアッパメンバ上接合片12dの接合部112は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
【0113】
ここで、前述したように、第一サイド水平部91の内接合部91a、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83の接合端部83aの接合部101(図15(a)参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
さらに、第一サイド水平部91の外接合部91b、ウインドシールド頂部53の左端部53bおよびエクステンション上折曲部83折曲部83bの接合部102(図15(a)参照)は、左フロントピラー18の略延長線上に配置されている。
【0114】
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22に車体前方から入力した荷重をサイド接合片95および第一サイド水平部91を経て左フロントピラー18まで好適に伝えることができる。
【0115】
左サイドエクステンション21の上部(外面)21a、詳しくはエクステンション側壁部82の上端部82a(図10参照)に左フェンダブラケット23が設けられている。
図10、図16に示すように、左フェンダブラケット23は、エクステンション側壁部82の上端部82aに設けられ、左ダッシュボードサイドメンバ22(第二サイド水平部94およびサイド接合片95)の車体後方に配置されている。
【0116】
具体的には、左フェンダブラケット23は、エクステンション側壁部82の上端部82aに接合されたブラケット取付部115と、ブラケット取付部115の上方に設けられたブラケット頂部116と、ブラケット頂部116およびブラケット取付部115に連続されたブラケット稜線部117とを有する。
【0117】
この左フェンダブラケット23は、ブラケット取付部115、ブラケット頂部116およびブラケット稜線部117で略鉤形状(略L字形状)に形成されている(図15(b)も参照)。
ブラケット取付部115は、略鉛直に設けられ、ブラケット頂部116は略水平に設けられている。
また、ブラケット稜線部117は、ブラケット取付部115からブラケット頂部116に向けて上り勾配に設けられている。
【0118】
ブラケット取付部115は、エクステンション側壁部82の上端部82aに溶接で接合され、左ダッシュボードサイドメンバ22(第二サイド水平部94およびサイド接合片95)の車体後方に配置されている。
上端部82aにブラケット取付部115を接合することで、エクステンション側壁部82(すなわち、左サイドエクステンション21)を左フェンダブラケット23で補強することができる。
このように、左フェンダブラケット23で補強することで、左サイドエクステンション21の剛性を高めることができる。
【0119】
さらに、左フェンダブラケット23は、左ダッシュボードサイドメンバ22(第二サイド水平部94およびサイド接合片95)の車体後方に配置されている。
よって、車体前方から入力した荷重F2により左ダッシュボードサイドメンバ22が車体後方に押し出され、左サイドエクステンション21が車幅方向外方に膨らみ変形することを左フェンダブラケット23により抑制できる。
【0120】
この左サイドエクステンション21の後端部21bに左フロントピラー18が連結されている。すなわち、左サイドエクステンション21の車体後方に左フロントピラー18が設けられている。
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22に車体前方から入力した荷重F2を左サイドエクステンション21を経て左フロントピラー18に効率よく伝えることができる。
【0121】
図15(b)、図16に示すように、ブラケット頂部116は、ブラケット取付部115の上方で、かつエクステンション上折曲部83の上方に所定間隔をおいて設けられている。
このブラケット頂部116に取付孔121が形成され、ブラケット頂部116の裏面(下面)116aに溶接ナット122が設けられている。溶接ナット122は取付孔121に対して同軸上に形成されている。
このブラケット頂部116は、左サイドフェンダ27を支持可能に形成されている。
【0122】
ブラケット稜線部117は、ブラケット頂部116およびブラケット取付部115が交差する位置に、ブラケット頂部116の外端部およびブラケット取付部115の上端部に連続するように形成されている。
このブラケット稜線部117に補強用のブラケットビード118が形成されている。
【0123】
補強用のブラケットビード118は、ブラケット稜線部117に沿って斜め上下方向(上下方向)に延在され、ブラケット稜線部117から下方に膨出されている。
ブラケットビード118が下方に膨出されることで、ブラケット稜線部117の上面17a(図10も参照)が窪むように形成されている。
【0124】
また、ブラケット稜線部117にブラケットビード118を形成することで、ブラケットビード118を利用して左サイドフェンダ27の取付精度を高めることができる。
これにより、左サイドフェンダ27に隣接するフード28(図6参照)に対して左サイドフェンダ27を略面一に配置することができる。
すなわち、左サイドフェンダ27およびフード28を略面一に配置することで、左サイドフェンダ27およびフード28の見切り精度(車両の外部から目視した際の精度)を確保することができる。
【0125】
左フェンダブラケット23に左パーティションパッド26を介して車体外方から左サイドフェンダ27が取り付けられている。
図16、図17に示すように、左サイドフェンダ27は、左パーティションパッド26が内面125aに設けられたフェンダ本体125と、フェンダ本体125の上端部125bから下方に向けて張り出されたフェンダ鉛直部126と、フェンダ鉛直部126の下端部から車幅方向内方に突出されたフェンダ取付部127とを有する。
フェンダ取付部127には貫通孔127aが形成されている。
【0126】
フェンダ本体125は、左フェンダブラケット23を車体外側から覆い、かつパーティションパッド26が内面125aに設けられた外装パネルである。
【0127】
左パーティションパッド26は、フェンダ鉛直部126の車幅方向外側の面126aに対向するパッド鉛直面131と、パッド鉛直面131に設けられ、ブラケットビード118に嵌合可能に上下方向へ延在された規制ビード132とを有する。
左パーティションパッド26は、一例として、発泡ウレタンで形成されている。
【0128】
ブラケットビード118に規制ビード132を嵌合させた状態で、ブラケット頂部116にフェンダ取付部127が載置される。
この状態で、取付ボルト134のねじ部134aがフェンダ取付部127の貫通孔127aおよびブラケット頂部116に取付孔121に差し込まれ、ねじ部134aが溶接ナット122にねじ結合される。
【0129】
これにより、ブラケット頂部116にフェンダ取付部127が取付ボルト134および溶接ナット122で取り付けられる。
そして、左パーティションパッド26が左サイドフェンダ27と左アッパメンバ12との間に車体下方から上方に向けて差し込まれる。
【0130】
規制ビード132は、ブラケットビード118に向けて突状に膨出され、左フェンダブラケット23のブラケットビード118に上方から係合可能に形成されている。
よって、規制ビード132をブラケットビード118に嵌合することで、パーティションパッド26を所定位置に精度よく位置決めすることができる。
【0131】
ここで、パーティションパッド26は左サイドフェンダ27に設けられている。
これにより、規制ビード132をブラケットビード118に嵌合することにより、左サイドフェンダ27を所定位置に精度よく位置決めできるので左サイドフェンダ27の取付作業の容易化を図ることができる。
【0132】
ここで、図10に示すように、ブラケットビード118が斜め上下方向に延在されることで、ブラケットビード118がブラケット頂部116の外端部およびブラケット取付部115の上端部に亘って形成されている。
よって、ブラケットビード118でブラケット頂部116を補強して、左フェンダブラケット23の剛性を確保することができる。
これにより、図16に示すように、左フェンダブラケット23に左サイドフェンダ27を取付ボルト134で取り付ける際に、上方から入力する荷重F3を左フェンダブラケット23で良好に支えることができる。
【0133】
この左パーティションパッド26は、一例として、発泡ウレタンで形成され、左フェンダブラケット23に支持されている。
これにより、衝撃荷重の入力時に衝撃荷重を吸収する機能を持つ。
さらに、左パーティションパッド26を左フェンダブラケット23に支持することで、左パーティションパッド26がカウルボックス15の車幅方向外側に配置されている。
【0134】
すなわち、左パーティションパッド26で左サイドフェンダ27が仕切られている(エンジンルーム34とカウルボックス15とが仕切られている)。
よって、エンジンルーム34内のエンジン熱が左アッパメンバ12と左サイドフェンダ27との間を経てカウルボックス15内に侵入することを防止できる。
【0135】
つぎに、左ダンパハウジング13に入力された荷重F4をカウルボックス15の左端部15aを経て左フロントピラー18に伝える例を図18〜図20に基づいて説明する。
図18に示すように、ダッシュボード前壁45、ウインドシールド後壁52、ダンパハウジングサポート39および左サイドエクステンション21が平面視略矩形状に形成され、カウルボックス15の剛性が高められている。
【0136】
この状態において、左ダンパハウジング13に車体前方から荷重F4が入力される。
入力された荷重F4の一部が左ダンパハウジング13を経てダンパハウジングサポート39に荷重F5として伝えられる。
左ダンパハウジング13は剛性が高く荷重の入力時にも変形し難い。このため、入力した荷重F4により左ダンパハウジング13が車体後方に後退し、荷重F4の一部がダンパハウジングサポート39に荷重F5として伝えられる。
【0137】
図19に示すように、ダンパハウジングサポート39のサポート梁部63は上湾曲辺部63cが車体後方に向けて上り形状に形成されている。
さらに、サポート梁部63、サポート前端部64およびサポート後端部65に梁部ビード67、前端部ビード68(図9参照)および後端部ビード69(図9参照)が形成されている。
よって、ダンパハウジングサポート39に伝えられた荷重F5がダンパハウジングサポート39を経てウインドシールド後壁52に効率よく伝えられる。
【0138】
図18に示すように、ダンパハウジングサポート39はサポート後端部65が左フロントピラー18に向けて車幅方向外側に折り曲げられている。
よって、サポート梁部63からサポート後端部65に伝えられた荷重F5がサポート後端部65を経てウインドシールド後壁52に効率よく伝えられる。
これにより、ウインドシールド後壁52に伝えられた荷重F5が左フロントピラー18に効率よく伝えられる。
【0139】
一方、左ダンパハウジング13に入力された荷重F4の残りが左ダッシュボードサイドメンバ22を経て左サイドエクステンション21に荷重F6として伝えられる。
図20に示すように、左サイドエクステンション21に伝えられた荷重F6が左サイドエクステンション21を経て左フロントピラー18に伝えられる。
【0140】
ここで、エクステンション側壁部82の上端部82aに左フェンダブラケット23のブラケット取付部115が溶接で接合されている。
よって、エクステンション側壁部82(すなわち、左サイドエクステンション21)の剛性がブラケット取付部115(左フェンダブラケット23)で高められている。
【0141】
これにより、左ダッシュボードサイドメンバ22を経て左サイドエクステンション21に伝えられる荷重F6で左ダッシュボードサイドメンバ22が押し出された際に、左サイドエクステンション21が車幅方向外方に膨らみ変形することを左フェンダブラケット23により抑制できる。
左サイドエクステンション21の車幅方向外方への膨らみ変形を抑制することで、左フロントピラー18に荷重F6が効率よく伝えられる。
【0142】
ついで、洗車用の水などがカウルボックス15内に浸入することを防ぐ例を図21、図5に基づいて説明する。
図21に示すように、左ダッシュボードサイドメンバ22に備えたサイド壁部92の内端部92bから第二突片106が車体前方に向けて突出されている。
よって、洗車用の水などがサイド壁部92に沿って矢印Aの如く車幅方向内方に導かれた場合に、導かれた水の流れを第二突片106で遮ることができる。
これにより、洗車用の水などがサイド壁部92に沿ってカウルボックス15内に浸入することを防止できる。
【0143】
さらに、サイド稜線部93の内端部93aから第一突片105が上方に向けて突出されている。
内端部93aから第一突片105を突出させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53の左端部53b間の空間109が第一突片105で塞がれている。
【0144】
加えて、サイド稜線部93の内端部93a近傍から稜線ビード107を膨出させた。
稜線ビード107を膨出させることで、サイド稜線部93およびウインドシールド頂部53の左端部53b間の空間109を稜線ビード107で塞ぐことができる。
これにより、洗車用の水などが空間109に矢印Bの如く流れた場合、空間109を経てカウルボックス15内に浸入することを稜線ビード107や第一突片105で防止できる。
【0145】
さらに、図5に示すように、エアコン吸気口55の車幅方向外方(左端部15a側)にダンパハウジングサポート39を設けるようにした。
加えて、サポート前端部64(上端64a)をダッシュボード上稜線48に設け、サポート後端部65(上端65b)をウインドシールド上稜線56に設けた。
これにより、カウルボックス15の上開口部74からカウルボックス15内に浸入した洗車用の水が、エアコン吸気口55に流入することをダンパハウジングサポート39で防ぐことができる。
【0146】
なお、本発明に係る車両の前部車体は、前述した実施例に限定されるものではなく適宜変更、改良などが可能である。
例えば、前記実施例で示した車両の前部車体10、車体11、左右のダンパハウジング13、カウルボックス15、左右のフロントピラー18、左右のサイドエクステンション21、左ダッシュボードサイドメンバ22、エクステンション側壁部82、エクステンション上折曲部83、第一サイド水平部91、サイド壁部92、サイド稜線部93、第二サイド水平部94、サイド接合片95、切欠97、第一突片105、第二突片106および稜線ビード107などの形状や構成は例示したものに限定するものではなく適宜変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0147】
本発明は、ダンパハウジングの後方にカウルボックスが設けられ、カウルボックスの後方にフロントピラーが設けられた車両の前部車体を備えた自動車への適用に好適である。
【符号の説明】
【0148】
10…車両の前部車体、11…車体、13…左右のダンパハウジング、14…ダッシュボードロア、14a…ダッシュボードロアの上部、15…カウルボックス、15a…カウルボックスの左右の端部(端部)、18…左右のフロントピラー、21…左右のサイドエクステンション、21b…サイドエクステンションの後端部、22…左ダッシュボードサイドメンバ、22a…サイド壁部およびサイド接合片が交差する部位、34…エンジンルーム、35…車室、82…エクステンション側壁部、83…エクステンション上折曲部(上折曲部)、83d…エクステンション上折曲部の下面、91…第一サイド水平部、92…サイド壁部、92b…サイド壁部の内端部、93…サイド稜線部、93a…サイド稜線部の内端部、94…第二サイド水平部、95…サイド接合片、97…切欠、105…第一突片、106…第二突片、107…稜線ビード。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部に設けられたカウルボックスと、前記カウルボックスの車体前方に設けられた左右のダンパハウジングと、前記左右のダンパハウジングに隣接するとともに前記カウルボックスの端部をそれぞれ閉塞するサイドエクステンションと、前記サイドエクステンションおよび前記ダンパハウジングに設けられたダッシュボードサイドメンバとを備えた車両の前部車体において、
前記サイドエクステンションは、
前記カウルボックスの端部を覆うエクステンション側壁部と、
前記エクステンション側壁部の上端部から前記カウルボックスの端部上方に向けて折り曲げられたエクステンション上折曲部と、を有し、
前記エクステンション側壁部および前記エクステンション上折曲部で略鉤形状に形成され、
前記ダッシュボードサイドメンバは、
前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた第一サイド水平部と、
前記第一サイド水平部の前方に連続して設けられ、車幅方向内方の内端部に上方に向けて突出された第一突片を有するサイド稜線部と、
前記サイド稜線部の前端部から下方に向けて張り出され、かつ前記エクステンション側壁部より車幅方向内側に設けられたサイド壁部と、
を備えたことを特徴とする車両の前部車体。
【請求項2】
前記サイド壁部は、
車幅方向内方の内端部に車体前方に向けて突出された第二突片を有することを特徴とする請求項1記載の車両の前部車体。
【請求項3】
前記サイド稜線部は、
車幅方向内方の内端部側で、かつ、前記第一突片より車幅方向外方に設けられ、車体前後方向に延在する補強用の稜線ビードを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の前部車体。
【請求項4】
前記ダッシュボードサイドメンバは、
前記サイド壁部の下端部から車体前方に向けて延在され、前記ダンパハウジングに設けられた第二サイド水平部と、
前記第二サイド水平部の車幅方向外方の外端部から上方に向けて突出され、前記エクステンション側壁部の内面に設けられたサイド接合片と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の車両の前部車体。
【請求項5】
前記ダッシュボードサイドメンバは、
前記サイド壁部および前記サイド接合片が交差する部位に切欠を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の車両の前部車体。
【請求項6】
前記サイドエクステンションの後端部にフロントピラーが連結され、
前記フロントピラーの略延長線上に、前記エクステンション側壁部の内面に設けられた前記サイド接合片と、
前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた前記第一サイド水平部と、
が配置されたことを特徴とする請求項5記載の車両の前部車体。
【請求項1】
エンジンルームと車室とを隔離するダッシュボードロアの上部に設けられたカウルボックスと、前記カウルボックスの車体前方に設けられた左右のダンパハウジングと、前記左右のダンパハウジングに隣接するとともに前記カウルボックスの端部をそれぞれ閉塞するサイドエクステンションと、前記サイドエクステンションおよび前記ダンパハウジングに設けられたダッシュボードサイドメンバとを備えた車両の前部車体において、
前記サイドエクステンションは、
前記カウルボックスの端部を覆うエクステンション側壁部と、
前記エクステンション側壁部の上端部から前記カウルボックスの端部上方に向けて折り曲げられたエクステンション上折曲部と、を有し、
前記エクステンション側壁部および前記エクステンション上折曲部で略鉤形状に形成され、
前記ダッシュボードサイドメンバは、
前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた第一サイド水平部と、
前記第一サイド水平部の前方に連続して設けられ、車幅方向内方の内端部に上方に向けて突出された第一突片を有するサイド稜線部と、
前記サイド稜線部の前端部から下方に向けて張り出され、かつ前記エクステンション側壁部より車幅方向内側に設けられたサイド壁部と、
を備えたことを特徴とする車両の前部車体。
【請求項2】
前記サイド壁部は、
車幅方向内方の内端部に車体前方に向けて突出された第二突片を有することを特徴とする請求項1記載の車両の前部車体。
【請求項3】
前記サイド稜線部は、
車幅方向内方の内端部側で、かつ、前記第一突片より車幅方向外方に設けられ、車体前後方向に延在する補強用の稜線ビードを有することを特徴とする請求項1または請求項2記載の車両の前部車体。
【請求項4】
前記ダッシュボードサイドメンバは、
前記サイド壁部の下端部から車体前方に向けて延在され、前記ダンパハウジングに設けられた第二サイド水平部と、
前記第二サイド水平部の車幅方向外方の外端部から上方に向けて突出され、前記エクステンション側壁部の内面に設けられたサイド接合片と、
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の車両の前部車体。
【請求項5】
前記ダッシュボードサイドメンバは、
前記サイド壁部および前記サイド接合片が交差する部位に切欠を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の車両の前部車体。
【請求項6】
前記サイドエクステンションの後端部にフロントピラーが連結され、
前記フロントピラーの略延長線上に、前記エクステンション側壁部の内面に設けられた前記サイド接合片と、
前記エクステンション上折曲部の下面に設けられた前記第一サイド水平部と、
が配置されたことを特徴とする請求項5記載の車両の前部車体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2013−10410(P2013−10410A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−143780(P2011−143780)
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月29日(2011.6.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]