説明

車両の台車枠回転装置

【課題】上下方向に大きな幅を有したり、複雑な形状をした台車枠の検査・補修が容易な台車枠回転装置を提供すること。
【解決手段】回転軸、軸受、カップリング、減速機、モータで構成される駆動装置、駆動装置を支持する支持フレーム、駆動装置に取付けられた台車枠固定金具、左右を支持するフレームを接続するツナギ板、駆動装置を上下する昇降装置からなり、どのような回転角度・どのような上下位置でも台車枠の検査・補修が可能となるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の台車枠回転装置に関するものであり、重要部検査や全般検査時の点検を容易にする為に用いられる車両の台車枠回転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の台車枠回転装置としては、新幹線の台車枠等で、台車を把持し、反転させて検査を容易にした装置が用いられている。
【非特許文献n】なし
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の方法においては、複雑な構造の台車枠の場合には、検査しにくい場所ができ、多くの足場を必要としたり、補修に高度の技術が要するといった課題があった。
【0004】
本発明の目的は、検査並びに補修のし易い台車枠回転装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
駆動装置を回転軸、軸受、カップリング、減速機、モータで構成し、この駆動装置を支持する支持フレーム、駆動装置に取付けた台車枠固定金具により車両の台車枠回転装置を構成し、モータを止めて保持することにより、どのような回転角度でも台車枠の検査が可能となるようにしたことである。
【発明の効果】
【0006】
上記のように構成されている車両の台車枠回転装置では、どのような回転角度でも台車枠の検査が可能となるので、従来のように検査しにくい場所に対応した多くの足場を必要としたりしないので、検査員は、複雑な構造の色々な部位の目視・磁気探傷検査等の点検を、容易にしかも入念にでき、検査業務を著しく効率化することができる。また、補修が必要な場合でもよい姿勢での補修が可能となるので、従来のように高度の技術が要するといった課題が解決される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
発明の実施の形態を実施例に基き図面を参照し説明する。
【実施例1】
【0008】
図1は本発明の1実施例を示す車両の台車枠回転装置の構成図である。本実施例において、1は車両基地内に設置された支持フレーム、2は駆動装置、3は台車枠固定金具、4は台車枠である。駆動装置2は、回転軸21、軸受22、カップリング23、減速機24、モータ25からなり、台車枠4を台車枠固定金具3で両端で把持して、回転できるよう構成されている。台車枠固定金具3は台車枠固定用スライドピンを有し、この実施例では4本のスライドピンで台車枠4を把持している。32はツナギ板である。この実施例の台車枠4は跨座式モノレールの台車枠であり、走行輪の外に案内安定輪が取り付くため上下方向にも大きな幅を有している。本実施例では、回転軸21、軸受22、カップリング23、減速機24、モータ25を一直線上に配しているので、台車枠4の把持位置を台車枠4の重心位置に近づけて設定することが可能である。5は昇降装置であり、ネジ51、カップリング52、モータ53からなり、支持フレーム1と駆動装置2の間に取付けられ、台車枠4の昇降を可能としている。
【0009】
図2は図1における台車枠回転装置の平面図を示し、図3は側面図を示す。
【0010】
車両基地内で分解された台車枠4は、車両基地のクレーン(図示せず)で運ばれ、台車枠固定金具3に対応した所定の位置にセットされ、その後、適時回転・昇降して台車枠4の各部の点検並びに補修が実施される。
【0011】
モノレールの台車枠4に対しては、特に走行輪の取付部周辺の溶接部位、案内安定輪取付部、台車枠コーナ等の応力集中部を検査・補修する必要があり、それぞれの部位に応じた回転角の設定、上下位置の設定が有効である。
【0012】
この時、検査・補修がし易いように注目する部位が作業者の両手で容易に届く位置にセットするのが良く、いくつかの部位をシーケンシャルに連続して設定するのも効率アップに有効である。
【0013】
本発明は以上説明したように構成されているので、以下に記載したような効果を奏する。本実施例の車両の台車枠回転装置によれば、どのような回転角度でも台車枠の検査が可能となるので、従来のように検査しにくい場所に対応した多くの足場を必要としたりしないので、検査員は、複雑な構造の色々な部位の目視・磁気探傷検査等の点検を、容易にしかも入念にでき、検査業務を著しく効率化することができる。また、補修が必要な場合でもよい姿勢での補修が可能となるので、従来のように高度の技術が要するといった課題が解決される。
【0014】
台車枠の固定は台車枠の重心付近でなされているので、従来の反転装置のようにバランスマスの取付が不要である。さらに、回転角・昇降位置をシーケンシャルに自動で設定させることにより、作業性をより向上させることが可能である。
【0015】
また、本実施例では昇降装置5を取付けているが、これをなくして安価な装置とし、上下方向にいくつかのステップを持った専用台を用いることによって、作業性は少し落ちるが、簡素化した装置で類似の効果を得ることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0016】
以上述べたように、本発明によれば、複雑な構造の台車枠の場合にも、検査並びに補修のし易い台車枠回転装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の1実施例を示す車両の台車枠回転装置の構成図である。
【図2】本発明の1実施例を示す車両の台車枠回転装置の正面図である。
【図3】本発明の1実施例を示す車両の台車枠回転装置の側面図である。
【符号の説明】
【0018】
1.支持フレーム
2.駆動装置
3.台車枠固定金具
4.台車枠
5.昇降装置
21・回転軸
22.軸受
23.カップリング
24.減速機
25・モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の台車枠回転装置であって、回転軸、軸受、カップリング、減速機、モータで構成される駆動装置、駆動装置を支持する支持フレーム、駆動装置に取付けられた台車枠固定金具からなり、どのような回転角度でも台車枠の検査が可能となるようにしたことを特徴とする車両の台車枠回転装置。
【請求項2】
特許請求項1の車両の台車枠回転装置において、前記駆動装置を上下に移動させる昇降装置に取り付け、いかなる高さでも台車枠の検査が可能となるようにしたことを特徴とする車両の台車枠回転装置。
【請求項3】
特許請求項1の車両の台車枠回転装置において、前記台車枠を重心付近で前記台車枠固定装置で固定し、回転のためのバランスマスの取付を不要としたことを特徴とする車両の台車枠回転装置。
【請求項4】
特許請求項1の車両の台車枠回転装置において、前記台車枠が上下に大きな幅を有する跨座式モノレールの台車枠であることを特徴とする車両の台車枠回転装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−168547(P2006−168547A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364241(P2004−364241)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(390010973)日立笠戸メカニクス株式会社 (20)