車両の固定方法及び車両固定装置
【課題】地震発生時における地震力による車両の横ずれ、横転を防止し、地震が終息した後に車両を移動できる車両固定装置及び車両の固定方法を提供する。
【解決手段】免震基礎1は複数の免震装置3を免震下部基礎2及び免震上部基礎4に取り付けている。車両16を、免震上部基礎4上で複数のベース基礎5及び複数のベース基礎6を含んで免震上部基礎4上に平行に配置された2列のベース基礎配列の間で、免震上部基礎4上に停車させる。各ベース基礎6に取り付けた対向する各車両持ち上げ装置13に車両16の下方に配置したフレーム15を取り付けて車両持ち上げ装置13により車両16を持ち上げる。各ベース基礎5に取り付けた対向する各固定用スタンド8に、車両16の下方に配置した他のフレーム15を取り付ける。その後、車両持ち上げ装置13により車両16を下降させて車両16の自重を各固定用スタンド8にて支持する。
【解決手段】免震基礎1は複数の免震装置3を免震下部基礎2及び免震上部基礎4に取り付けている。車両16を、免震上部基礎4上で複数のベース基礎5及び複数のベース基礎6を含んで免震上部基礎4上に平行に配置された2列のベース基礎配列の間で、免震上部基礎4上に停車させる。各ベース基礎6に取り付けた対向する各車両持ち上げ装置13に車両16の下方に配置したフレーム15を取り付けて車両持ち上げ装置13により車両16を持ち上げる。各ベース基礎5に取り付けた対向する各固定用スタンド8に、車両16の下方に配置した他のフレーム15を取り付ける。その後、車両持ち上げ装置13により車両16を下降させて車両16の自重を各固定用スタンド8にて支持する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の固定方法及び車両固定装置に係り、特に、免震基礎を用いた車両の固定方法及び車両固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模地震への備えとして、建築物に限らず、大型特殊機械及び輸送機器などを対象とし、免震を適用した耐震対策が実施されている。免震を適用した耐震対策の一例が特開平8−194092号公報に記載されている。特開平8−194092号公報は、免震を用いた使用済燃料キャスクを記載する。この使用済燃料キャスクは、格子状に形成されたバスケットを内部に収容するキャスク本体、及びこのキャスク本体を支持する支持構造物を有し、支持構造物の下面に免震機能を有する緩衝材を設けている。
【0003】
さらに、特表2000−505394号公報は、トレーラーを荷積み、固定および荷揚げする方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−194092号公報
【特許文献2】特表2000−505394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のそれぞれの従来技術では、以下に述べるような、免震基礎上に停車している車両が地震によって振動した場合に、車両の免震効果を向上させることについて、必ずしも十分な配慮がなされていない。
【0006】
地震により免震基礎が振動した場合には、免震基礎上に停車している車両が、長周期の水平方向振動及び直下型地震による著大な上下振動の影響で、振動したり、可能性としては非常に低いが横転したりする事態を想定する必要がある。また、地震が収束した後に、その車両が速やかに走行できることが重要である。
【0007】
一般に、車両が停車している免震基礎は、平らな構造をしており、車両を免震固定する手段を有していない。このような構造の免震基礎においては、この上に停車している車両が地震によって振動をはじめると、車両を免震固定する手段が無いために、免震基礎上にて、車両が激しく振動したり、最悪の場合には横転したりすることが懸念される。特に、免震基礎上で待機状態になっている車両はタイヤによって自重を支持している。このため、タイヤの空気圧の減圧やパンク等、タイヤの状態によっては、車両姿勢が不安定となり、地震時の転倒リスクが増大することが懸念される。
【0008】
本発明の目的は、地震発生時における地震力による車両の横ずれ、横転を防止し、地震が終息した後に車両を移動できる車両の固定方法及び車両固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、複数の免震装置が下部基礎部材と上部基礎部材の間に配置されて前記下部基礎部材及び前記上部基礎部材に取り付けられた免震基礎の前記上部基礎部材の上面に停車している車両の車体の下方に差し込んだ複数の第1フレームの両端部を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置において前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両持ち上げ装置ごとに取り外し可能に取り付け、
それらの車両持ち上げ装置により各前記第1フレームを上昇させて前記車両を持ち上げ、
前記車両を持ち上げた後、前記車体の下方に差し込んだ、両端部に前記車体側に移動阻止部を設けている複数の第2フレームの両端部の、前記移動阻止部が存在しない部分を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両支持部材において前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両支持部材ごとに取り外し可能に取り付け、
前記各車両持ち上げ装置により前記車体を下降させてこの車体を前記第2フレームの両端部に存在する前記移動阻止部の間に配置した状態で前記車体を前記第2フレーム及び前記車両支持部材により支持することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、免震基礎の上部基礎部材上の車両の、地震発生時における地震力による横ずれ、横転を防止し、地震が終息した後にその車両を容易に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の車両固定装置の側面図である。
【図2】図1に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図3】図1に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図4】図1に示す車両固定装置の平面図である。
【図5】図5に示す車両固定部の拡大平面図である。
【図6】本発明の他の実施例である実施例2の車両固定装置の側面図である。
【図7】図6に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図8】図6に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図9】図6に示す車両固定装置の平面図である。
【図10】図9に示す車両固定部の拡大平面図である。
【図11】図9に示す車両固定部の拡大正面図である。
【図12】本発明の他の実施例である実施例3の車両固定装置の側面図である。
【図13】図12に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図14】図12に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図15】図12に示す車両固定装置の平面図である。
【図16】図15に示す車両固定部の拡大平面図である。
【図17】図15に示す車両固定部の拡大正面図である。
【図18】本発明の他の実施例である実施例4の車両固定装置の側面図である。
【図19】図18に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図20】図18に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図21】図18に示す車両固定装置の平面図である。
【図22】図21に示す車両固定部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の好適な一実施例である実施例1の車両固定装置を、図1ないし図5を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17は、免震基礎1、固定用ベース基礎5、車両持ち上げ装置ベース基礎6、固定用スタンド(車両支持部材)8、車両持ち上げ装置13及びフレーム15を有する。免震基礎1は、免震下部基礎(下部基礎部材)2、複数の免震装置3及び免震上部基礎(上部基礎部材)4を有する。複数の免震装置3が、免震下部基礎2の上面に所定の間隔で配置され、免震下部基礎2に設置される。免震上部基礎4が、複数の免震装置3に設置され、これらの免震装置3によって支持される。固定用ベース基礎5の高さは、車両持ち上げ装置ベース基礎6の高さよりも高くなっている。16aは上下に移動可能な車両サポートである。
【0014】
複数の固定用ベース基礎5及び複数の車両持ち上げ装置ベース基礎6が、交互に、免震上部基礎4の上に一直線に配置され(図4参照)、免震上部基礎4に設置される。一直線に交互に配置された各固定用ベース基礎5の端と各車両持ち上げ装置ベース基礎6の端は、互いに接触している。免震上部基礎4には、一直線に交互に配置された固定用ベース基礎5及び複数の車両持ち上げ装置ベース基礎6の配列(以下、ベース基礎配列という)が、平行に2列形成されている。平行に配列されたベース基礎配列の間隔Wbは、これらのベース基礎配列の間に進入する車両16の横幅Wvよりも広くなるように、設定されている。
【0015】
車両持ち上げ装置13が、それぞれの車両持ち上げ装置ベース基礎6の上面に配置され、車両持ち上げ装置ベース基礎6に取り外し可能に取り付けられている。平行に配列されたベース基礎配列の対向する車両持ち上げ装置ベース基礎6にそれぞれ設置されて互いに対向している各車両持ち上げ装置13ごとに、1本のフレーム15が配置される。それぞれのフレーム15は、異なるベース基礎配列に含まれる各車両持ち上げ装置ベース基礎6に設置されて互いに対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付けられている。
【0016】
固定用スタンド8が、それぞれの固定用ベース基礎5の上面に配置され、固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付けられている。平行に配列されたベース基礎配列の対向する固定用ベース基礎5にそれぞれ設置されて互いに対向している各固定用スタンド8のそれぞれに対して、1本の他のフレーム15が配置される。それぞれの他のフレーム15は、異なるベース基礎配列に含まれる各固定用ベース基礎5に設置されて互いに対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付けられている。
【0017】
各固定用スタンド8は、固定部10において固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付けられる。この固定部10において、固定用スタンド8のベース部に2つの細長い孔部10Aを形成している。固定用スタンド8は、これらの孔部10A内に挿入された止め具9によって、固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付けられる。孔部10Aが、車両16の横幅方向に細長くなっているので、車両16の停車位置が横幅方向にずれた場合でも、固定用スタンド8の止め具9による固定用ベース基礎5への取り付けが容易になる。
【0018】
車両固定装置17を用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0019】
まず、車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、さらに、2列のベース基礎配列の間で車両固定位置まで移動させて停車させる。車両16は、複数のタイヤ16bが設けられた車台16cを有し、車体を車台16cの上に設けている。フレーム15を車両16の車台16cより下方で車両16の幅方向に差し込み、差し込まれたフレーム15の両端部が車両持ち上げ装置ベース基礎6の上に位置するように配置される。各車両持ち上げ装置13を、それぞれの設置位置で該当する車両持ち上げ装置ベース基礎6の上に置き、車両持ち上げ装置ベース基礎6に取り外し可能に取り付ける。車両持ち上げ装置ベース基礎6に取り付けられた各車両持ち上げ装置13の上端の高さを、フレーム15が車両持ち上げ装置13の上端と車両16の車台16cの下面との間に配置できる高さになるように、車両持ち上げ装置13を操作して調節する。その後、車両16の車台16cより下方に差し込まれたフレーム15の両端部を、高さが調節されて対向している各車両持ち上げ装置13の上に載せ、このフレーム15の両端部をこれらの車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。対向している全ての車両持ち上げ装置13に、同様にして各フレームを取り外し可能に取り付ける。そして、全ての車両持ち上げ装置13を操作して取り付けられている各フレーム15を上昇させ、各フレーム15を車両16の車台16cの下面に接触させる。各車両持ち上げ装置13の操作により各フレーム15をさらに上昇させて車両16を持ち上げる。
【0020】
車両16の後部は、車両16の後部付近に配置されて免震上部基礎4に取り付けられる後部車両持ち上げ装置ベース基礎7に取り外し可能に取り付けられた複数の車両持ち上げ装置13によって持ち上げられる。具体的には、これらの車両持ち上げ装置13の上端に取り外し可能に取り付けられたフレーム15によって、車両16の後部が保持される。
【0021】
車両持ち上げ装置13の上端の高さを計測する高さ計測装置が、各車両持ち上げ装置13に設けられている。それぞれの高さ計測装置で車両持ち上げ装置13の上端の高さ、すなわち、持ち上げられた車両16の高さをそれぞれ計測し、各高さの計測値が制御装置(図示せず)に入力される。制御装置は、入力した各高さ計測値に基づいて、各車両持ち上げ装置13の上端の高さが同じになるように、各車両持ち上げ装置13を制御する。このような高さの制御により、持ち上げられた車両16の車体の姿勢が、免震上部基礎4の上面と平行になる。
【0022】
油圧ポンプを駆動して油供給管により各車両持ち上げ装置13に設けられた油圧シリンダに油圧を加え、前述の制御装置が、上記した各高さ計測装置で計測したそれぞれの高さ計測値に基づいてその油圧シリンダに加える圧力を制御して油圧シリンダ内に配置されたピストンに連結されたピストンロッドの移動量を調節し、各車両持ち上げ装置13の上端の高さが同じになるように調節しても良い。車両持ち上げ装置13の上端を形成してフレーム15と接触するフレーム支持部が、そのピストンロッドの上端に取り付けられる。
【0023】
設定高さまで車両16が持ち上げられた後、車両16の上昇を停止し、固定用スタンド8を、所定位置で各固定用ベース基礎5の上に配置し、各固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付ける。対向して配置された各車両持ち上げ装置13に取り付けられた各フレーム15で支えられている車両16の車台16cの下方に別のフレーム15を差し込み、このフレーム15を、固定用ベース基礎5に取り付けられて対向している各固定用スタンド8の上に載せ、これらの固定用スタンド8に取り外し可能に取り付ける。対向して配置された全ての固定用スタンド8にフレーム15を取り外し可能に取り付けた後、各車両持ち上げ装置13を操作して各車両持ち上げ装置13の上端を下降させる。やがて、車両16の車台16cが、対向している各固定用スタンド8に取り付けられた各フレーム15に接触する。この結果、各固定用スタンド8が車両16の自重を支持する。
【0024】
各フレーム15は、図2及び図3に示すように、両端部に上方に突出した車体受け部(移動阻止部)15Aを設けている。車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を下降させて車両16の荷重を各固定用スタンド8で支持させるとき、車両16の車台16cは、各固定用スタンド8に取り付けられたそれぞれのフレーム15の両端部に設けられた車体受け部15Aの間に配置されてフレーム15の上に載せられている。フレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aは、車両16のフレーム15の長手方向の移動を阻止する。このため、車両16が各固定用スタンド8で支持されているとき、車両16のフレーム15の長手方向における移動が、フレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって拘束される。
【0025】
本実施例において車両固定装置17によって固定されている車両16を、車両固定装置17から取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の上端の上昇を停止して車両16の上昇も停止させる。対向している各固定用スタンド8に取り付けられているそれぞれのフレーム15を、固定用スタンド8から取り外し、取り外した各フレーム15を、車両16の横幅方向に引き抜く。そして、各固定用スタンド8も固定用ベース基礎5から取り外す。その後、車両16の各タイヤ16bが免震上部基礎4の上面に接触し、車両16の自重が各タイヤ16bにより支持されるまで、車両持ち上げ装置13を操作して車両16を下降させる。車両16の各タイヤ16bが免震上部基礎4の上面に接触したとき、対向する各車両持ち上げ装置13に取り付けられている各フレーム15を、該当する車両持ち上げ装置13から取り外し、さらに、各車両持ち上げ装置13を車両持ち上げ装置ベース基礎6から取り外す。その後、車両16が免震上部基礎4上を移動できるようになる。
【0026】
本実施例によれば、車両固定装置17によって免震上部基礎4に固定されている車両16が地震によって振動し、その車両16に車両の横幅方向の慣性力が発生した場合、対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の両端部の車体受け部15Aにより水平方向の抗力が作用して、車両16の横ずれを防止することができる。また、車両固定装置17によって固定されている車両16が地震によって振動し、車両16に車両重心周りの転倒モーメントが発生した場合においても、固定用スタンド8及びフレーム15により反力が作用するため、車両16の転倒を防止することができる。さらに、対向して対をなしている固定用スタンド8の間隔Wbが車両16の横幅Wvよりも広いので、前述の転倒モーメントが大きい場合でも、固定用スタンド8及びフレーム15により対抗する十分な反力が作用し、車両16の転倒を防止することができる。
【0027】
本実施例によれば、上記したように、固定用スタンド8及びフレーム15により免震上部基礎4に従来よりも車両16が強固に固定されるため、地震時に車両16が停車位置からずれることがない。また、車両16を固定用スタンド8及びフレーム1で支持するため、停車している車両16をタイヤ16bで支持する必要がなくなるため、タイヤ16bの空気圧の減圧によるバネ特性の変化、及びパンクといったタイヤ16bの状態変化によらず安定した車両16の免震上部基礎4への固定が実現できるとともに、固定されている車両16に対するメンテナンス性も向上する。
【実施例2】
【0028】
本発明の他の実施例である実施例2の車両固定装置を、図6ないし図11を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17Aは、実施例1の車両固定装置17において固定用スタンド8の替りに固定用ブラケット(車両支持部材)11を用い、固定用ベース基礎5及び車両持ち上げ装置ベース基礎6を除去した構成を有する。車両固定装置17Aの他の構成は車両固定装置17と同じである。
【0029】
各固定用ブラケット11は、固定部10において免震上部基礎4に取り外し可能に取り付けられる。この固定部10において、固定用ブラケット11のベース部に2つの細長い孔部10Aを形成している(図10参照)。固定用ブラケット11は、これらの孔部10A内に挿入された止め具9によって、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付けられる。孔部10Aが、車両16の横幅方向に細長くなっているので、車両16の停車位置が横幅方向にずれた場合でも、固定用ブラケット11の止め具9による免震上部基礎4への取り付けが容易になる。
【0030】
車両固定装置17Aを用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0031】
車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、免震上部基礎4上の所定の位置で停車させる。次に、複数の車両持ち上げ装置13を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1と同様に、フレーム15を対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。各車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を上方に持ち上げる。各固定用ブラケット11を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、止め具9を用いて免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1でフレーム15を対向する固定用スタンド8に取り付けた場合と同様に、車両16の車台16cの下方に差し込んだフレーム15を、対向している各固定用ブラケット11に取り外し可能に取り付ける。
【0032】
フレーム15の固定用ブラケット11への取り付けを、図7及び図11を用いて詳細に説明する。フレーム支持部11Aが各固定用ブラケット11に設けられている。固定用ブラケット11のフレーム支持部11Aの部分に、図11に示すように、細長い複数(例えば、4個)の孔部10Bが形成されている。各フレーム15の両端部では、フレーム15の両端から少し離れた位置でフレーム15の下面には、連結部15Cが設けられている。フレーム15の両端部が対向している各固定用ブラケット11のフレーム支持部11Aの上面にフレーム15の両端部がそれぞれ載せられ、この状態でフレーム15のそれぞれの連結部15Cの一面がフレーム支持部11Aの一面に対向してこの一面に接触している。各孔部10Bに挿入された止め具9によってフレーム支持部11A及び連結部15Cが取り外し可能に結合され、フレーム15が固定用ブラケット11に取り外し可能に取り付けられる。
【0033】
フレーム15の固定用ブラケット11への取り付けが終了した後、車両持ち上げ装置13を操作して車両持ち上げ装置13に取り付けられたフレーム15を下降させ、車両16の車台16cを固定用ブラケット11に取り付けられたフレーム15に載せ、車両16の重量を固定用ブラケット11及び固定用ブラケット11に取り付けられたフレーム15によって支持する。固定用ブラケット11に取り付けられたフレーム15によって支持される車両16の車台16cは、実施例1と同様に、このフレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって、車両16のフレーム15の長手方向における移動が拘束される。
【0034】
本実施例において車両固定装置17Aによって固定されている車両16を、車両固定装置17Aから取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の操作を停止して車両16の上昇を停止する。そして、固定用ブラケット11が免震上部基礎4から取り外される。その後、車両持ち上げ装置13を操作し、タイヤ16bが免震上部基礎4に接触して車両16を支持するように、車両16の位置を下げる。最後に、車両持ち上げ装置13からフレーム15を取り外し、さらに車両持ち上げ装置13を免震上部基礎4から取り外し、車両16が免震上部基礎4上を移動できる状態にする。
【0035】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【実施例3】
【0036】
本発明の好適な一実施例である実施例3の車両固定装置を、図12ないし図17を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17Bは、実施例2の車両固定装置17Aにおいて固定用ブラケット11の替りに固定用伸縮脚部(車両支持部材)12を用いた構成を有する。車両固定装置17Bの他の構成は車両固定装置17Aと同じである。
【0037】
車両固定装置17Bを用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0038】
車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、免震上部基礎4上の所定の位置で停車させる。次に、複数の車両持ち上げ装置13を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1と同様に、フレーム15を対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。各車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を上方に持ち上げる。各固定用伸縮脚部12を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、固定用ブラケット11と同様に、止め具9を用いて免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1でフレーム15を対向する固定用スタンド8に取り付けた場合と同様に、車両16の車台16cの下方に差し込んだフレーム15を、対向している各固定用伸縮脚部12に取り外し可能に取り付ける。
【0039】
フレーム15の固定用伸縮脚部12への取り付けを、図13及び図17を用いて詳細に説明する。脚部挿入部15Bがフレーム15の両端部の下面にそれぞれ設けられる。フレーム15の両端部に設けられた脚部挿入部15Bには、脚部挿入部15Bの軸方向に貫通していない孔部が形成されている。対向して配置された各固定用伸縮脚部12の上端部が脚部挿入部15Bに形成された孔部内に挿入され、フレーム15の脚部挿入部15Bが、止め具9によって固定用伸縮脚部12に取り外し可能に取り付けられる。
【0040】
フレーム15の固定用伸縮脚部12への取り付けが終了した後、車両持ち上げ装置13を操作して車両持ち上げ装置13に取り付けられたフレーム15を下降させ、車両16の車台16cを固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15に載せ、車両16の重量を固定用伸縮脚部12及び固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15によって支持する。固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15によって支持される車両16の車台16cは、実施例1と同様に、このフレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって、車両16のフレーム15の長手方向における移動が拘束される。
【0041】
本実施例において車両固定装置17Bによって固定されている車両16を、車両固定装置17Bから取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の操作を停止して車両16の上昇を停止する。そして、固定用伸縮脚部12が免震上部基礎4から取り外される。その後、車両持ち上げ装置13を操作し、タイヤ16bが免震上部基礎4に接触して車両16を支持するように、車両16の位置を下げる。最後に、車両持ち上げ装置13からフレーム15を取り外し、さらに車両持ち上げ装置13を免震上部基礎4から取り外し、車両16が免震上部基礎4上を移動できる状態にする。
【0042】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【実施例4】
【0043】
本発明の他の実施例である実施例4の車両固定装置を、図18ないし図22を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17Cは、実施例1の車両固定装置17において固定用ベース基礎5及び車両持ち上げ装置ベース基礎6を除去した構成を有する。車両固定装置17Cの他の構成は車両固定装置17と同じである。
【0044】
車両固定装置17Bを用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0045】
車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、免震上部基礎4上の所定の位置で停車させる。次に、複数の車両持ち上げ装置13を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1と同様に、フレーム15を対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。各車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を上方に持ち上げる。各固定用スタンド8を免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、各固定用スタンド8の下面を免震上部基礎4の上面に接触させる。実施例1でフレーム15を対向する固定用スタンド8に取り付けた場合と同様に、車両16の車台16cの下方に差し込んだフレーム15を、対向している各固定用スタンド8に取り外し可能に取り付ける。
【0046】
フレーム15の固定用スタンド8への取り付けが終了した後、車両持ち上げ装置13を操作して車両持ち上げ装置13に取り付けられたフレーム15を下降させ、車両16の車台16cを対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15に載せ、車両16の重量を固定用スタンド8及び固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15によって支持する。固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15によって支持される車両16の車台16cは、実施例1と同様に、このフレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって、車両16のフレーム15の長手方向における移動が拘束される。
【0047】
本実施例において車両固定装置17Cによって固定されている車両16を、車両固定装置17Cから取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の操作を停止して車両16の上昇を停止する。そして、固定用スタンド8が免震上部基礎4から取り外される。その後、車両持ち上げ装置13を操作し、タイヤ16bが免震上部基礎4に接触して車両16を支持するように、車両16の位置を下げる。最後に、車両持ち上げ装置13からフレーム15を取り外し、さらに車両持ち上げ装置13を免震上部基礎4から取り外し、車両16が免震上部基礎4上を移動できる状態にする。
【0048】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例では、固定用スタンド8の下面が免震上部基礎4の上面に接触しており、地震発生時における免震装置3による免震上部基礎4にかかる水平方向の揺れの低減によって、固定用スタンド8を免震上部基礎4に摩擦力で十分に固定することができる。このため、本実施例では、固定用スタンド8を止め具9を用いて免震上部基礎4に取り付ける必要がないので、簡易に車両16と免震上部基礎4を固定できる。
【符号の説明】
【0049】
1…免震基礎、2…免震下部基礎、3…免震装置、4…免震上部基礎、5…固定用ベース基礎、6…車両持ち上げ装置ベース基礎、7…後部車両持ち上げ装置ベース基礎、8…固定用スタンド、9…止め具、10…固定部、11…固定用ブラケット、11A…フレーム支持部、12…固定用伸縮脚部、13…車両持ち上げ装置、15…フレーム、15A…車体受け部、15B…脚部挿入部、15C…連結部、16…車両、16c…車台、17,17A,17B,17C…車両固定装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の固定方法及び車両固定装置に係り、特に、免震基礎を用いた車両の固定方法及び車両固定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、大規模地震への備えとして、建築物に限らず、大型特殊機械及び輸送機器などを対象とし、免震を適用した耐震対策が実施されている。免震を適用した耐震対策の一例が特開平8−194092号公報に記載されている。特開平8−194092号公報は、免震を用いた使用済燃料キャスクを記載する。この使用済燃料キャスクは、格子状に形成されたバスケットを内部に収容するキャスク本体、及びこのキャスク本体を支持する支持構造物を有し、支持構造物の下面に免震機能を有する緩衝材を設けている。
【0003】
さらに、特表2000−505394号公報は、トレーラーを荷積み、固定および荷揚げする方法を記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−194092号公報
【特許文献2】特表2000−505394号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のそれぞれの従来技術では、以下に述べるような、免震基礎上に停車している車両が地震によって振動した場合に、車両の免震効果を向上させることについて、必ずしも十分な配慮がなされていない。
【0006】
地震により免震基礎が振動した場合には、免震基礎上に停車している車両が、長周期の水平方向振動及び直下型地震による著大な上下振動の影響で、振動したり、可能性としては非常に低いが横転したりする事態を想定する必要がある。また、地震が収束した後に、その車両が速やかに走行できることが重要である。
【0007】
一般に、車両が停車している免震基礎は、平らな構造をしており、車両を免震固定する手段を有していない。このような構造の免震基礎においては、この上に停車している車両が地震によって振動をはじめると、車両を免震固定する手段が無いために、免震基礎上にて、車両が激しく振動したり、最悪の場合には横転したりすることが懸念される。特に、免震基礎上で待機状態になっている車両はタイヤによって自重を支持している。このため、タイヤの空気圧の減圧やパンク等、タイヤの状態によっては、車両姿勢が不安定となり、地震時の転倒リスクが増大することが懸念される。
【0008】
本発明の目的は、地震発生時における地震力による車両の横ずれ、横転を防止し、地震が終息した後に車両を移動できる車両の固定方法及び車両固定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的を達成する本発明の特徴は、複数の免震装置が下部基礎部材と上部基礎部材の間に配置されて前記下部基礎部材及び前記上部基礎部材に取り付けられた免震基礎の前記上部基礎部材の上面に停車している車両の車体の下方に差し込んだ複数の第1フレームの両端部を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置において前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両持ち上げ装置ごとに取り外し可能に取り付け、
それらの車両持ち上げ装置により各前記第1フレームを上昇させて前記車両を持ち上げ、
前記車両を持ち上げた後、前記車体の下方に差し込んだ、両端部に前記車体側に移動阻止部を設けている複数の第2フレームの両端部の、前記移動阻止部が存在しない部分を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両支持部材において前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両支持部材ごとに取り外し可能に取り付け、
前記各車両持ち上げ装置により前記車体を下降させてこの車体を前記第2フレームの両端部に存在する前記移動阻止部の間に配置した状態で前記車体を前記第2フレーム及び前記車両支持部材により支持することにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、免震基礎の上部基礎部材上の車両の、地震発生時における地震力による横ずれ、横転を防止し、地震が終息した後にその車両を容易に移動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の好適な一実施例である実施例1の車両固定装置の側面図である。
【図2】図1に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図3】図1に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図4】図1に示す車両固定装置の平面図である。
【図5】図5に示す車両固定部の拡大平面図である。
【図6】本発明の他の実施例である実施例2の車両固定装置の側面図である。
【図7】図6に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図8】図6に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図9】図6に示す車両固定装置の平面図である。
【図10】図9に示す車両固定部の拡大平面図である。
【図11】図9に示す車両固定部の拡大正面図である。
【図12】本発明の他の実施例である実施例3の車両固定装置の側面図である。
【図13】図12に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図14】図12に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図15】図12に示す車両固定装置の平面図である。
【図16】図15に示す車両固定部の拡大平面図である。
【図17】図15に示す車両固定部の拡大正面図である。
【図18】本発明の他の実施例である実施例4の車両固定装置の側面図である。
【図19】図18に示す車両固定装置の、車両の後ろから見た背面図である。
【図20】図18に示す車両固定装置の、車両の前から見た正面図である。
【図21】図18に示す車両固定装置の平面図である。
【図22】図21に示す車両固定部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施例を以下に説明する。
【実施例1】
【0013】
本発明の好適な一実施例である実施例1の車両固定装置を、図1ないし図5を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17は、免震基礎1、固定用ベース基礎5、車両持ち上げ装置ベース基礎6、固定用スタンド(車両支持部材)8、車両持ち上げ装置13及びフレーム15を有する。免震基礎1は、免震下部基礎(下部基礎部材)2、複数の免震装置3及び免震上部基礎(上部基礎部材)4を有する。複数の免震装置3が、免震下部基礎2の上面に所定の間隔で配置され、免震下部基礎2に設置される。免震上部基礎4が、複数の免震装置3に設置され、これらの免震装置3によって支持される。固定用ベース基礎5の高さは、車両持ち上げ装置ベース基礎6の高さよりも高くなっている。16aは上下に移動可能な車両サポートである。
【0014】
複数の固定用ベース基礎5及び複数の車両持ち上げ装置ベース基礎6が、交互に、免震上部基礎4の上に一直線に配置され(図4参照)、免震上部基礎4に設置される。一直線に交互に配置された各固定用ベース基礎5の端と各車両持ち上げ装置ベース基礎6の端は、互いに接触している。免震上部基礎4には、一直線に交互に配置された固定用ベース基礎5及び複数の車両持ち上げ装置ベース基礎6の配列(以下、ベース基礎配列という)が、平行に2列形成されている。平行に配列されたベース基礎配列の間隔Wbは、これらのベース基礎配列の間に進入する車両16の横幅Wvよりも広くなるように、設定されている。
【0015】
車両持ち上げ装置13が、それぞれの車両持ち上げ装置ベース基礎6の上面に配置され、車両持ち上げ装置ベース基礎6に取り外し可能に取り付けられている。平行に配列されたベース基礎配列の対向する車両持ち上げ装置ベース基礎6にそれぞれ設置されて互いに対向している各車両持ち上げ装置13ごとに、1本のフレーム15が配置される。それぞれのフレーム15は、異なるベース基礎配列に含まれる各車両持ち上げ装置ベース基礎6に設置されて互いに対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付けられている。
【0016】
固定用スタンド8が、それぞれの固定用ベース基礎5の上面に配置され、固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付けられている。平行に配列されたベース基礎配列の対向する固定用ベース基礎5にそれぞれ設置されて互いに対向している各固定用スタンド8のそれぞれに対して、1本の他のフレーム15が配置される。それぞれの他のフレーム15は、異なるベース基礎配列に含まれる各固定用ベース基礎5に設置されて互いに対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付けられている。
【0017】
各固定用スタンド8は、固定部10において固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付けられる。この固定部10において、固定用スタンド8のベース部に2つの細長い孔部10Aを形成している。固定用スタンド8は、これらの孔部10A内に挿入された止め具9によって、固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付けられる。孔部10Aが、車両16の横幅方向に細長くなっているので、車両16の停車位置が横幅方向にずれた場合でも、固定用スタンド8の止め具9による固定用ベース基礎5への取り付けが容易になる。
【0018】
車両固定装置17を用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0019】
まず、車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、さらに、2列のベース基礎配列の間で車両固定位置まで移動させて停車させる。車両16は、複数のタイヤ16bが設けられた車台16cを有し、車体を車台16cの上に設けている。フレーム15を車両16の車台16cより下方で車両16の幅方向に差し込み、差し込まれたフレーム15の両端部が車両持ち上げ装置ベース基礎6の上に位置するように配置される。各車両持ち上げ装置13を、それぞれの設置位置で該当する車両持ち上げ装置ベース基礎6の上に置き、車両持ち上げ装置ベース基礎6に取り外し可能に取り付ける。車両持ち上げ装置ベース基礎6に取り付けられた各車両持ち上げ装置13の上端の高さを、フレーム15が車両持ち上げ装置13の上端と車両16の車台16cの下面との間に配置できる高さになるように、車両持ち上げ装置13を操作して調節する。その後、車両16の車台16cより下方に差し込まれたフレーム15の両端部を、高さが調節されて対向している各車両持ち上げ装置13の上に載せ、このフレーム15の両端部をこれらの車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。対向している全ての車両持ち上げ装置13に、同様にして各フレームを取り外し可能に取り付ける。そして、全ての車両持ち上げ装置13を操作して取り付けられている各フレーム15を上昇させ、各フレーム15を車両16の車台16cの下面に接触させる。各車両持ち上げ装置13の操作により各フレーム15をさらに上昇させて車両16を持ち上げる。
【0020】
車両16の後部は、車両16の後部付近に配置されて免震上部基礎4に取り付けられる後部車両持ち上げ装置ベース基礎7に取り外し可能に取り付けられた複数の車両持ち上げ装置13によって持ち上げられる。具体的には、これらの車両持ち上げ装置13の上端に取り外し可能に取り付けられたフレーム15によって、車両16の後部が保持される。
【0021】
車両持ち上げ装置13の上端の高さを計測する高さ計測装置が、各車両持ち上げ装置13に設けられている。それぞれの高さ計測装置で車両持ち上げ装置13の上端の高さ、すなわち、持ち上げられた車両16の高さをそれぞれ計測し、各高さの計測値が制御装置(図示せず)に入力される。制御装置は、入力した各高さ計測値に基づいて、各車両持ち上げ装置13の上端の高さが同じになるように、各車両持ち上げ装置13を制御する。このような高さの制御により、持ち上げられた車両16の車体の姿勢が、免震上部基礎4の上面と平行になる。
【0022】
油圧ポンプを駆動して油供給管により各車両持ち上げ装置13に設けられた油圧シリンダに油圧を加え、前述の制御装置が、上記した各高さ計測装置で計測したそれぞれの高さ計測値に基づいてその油圧シリンダに加える圧力を制御して油圧シリンダ内に配置されたピストンに連結されたピストンロッドの移動量を調節し、各車両持ち上げ装置13の上端の高さが同じになるように調節しても良い。車両持ち上げ装置13の上端を形成してフレーム15と接触するフレーム支持部が、そのピストンロッドの上端に取り付けられる。
【0023】
設定高さまで車両16が持ち上げられた後、車両16の上昇を停止し、固定用スタンド8を、所定位置で各固定用ベース基礎5の上に配置し、各固定用ベース基礎5に取り外し可能に取り付ける。対向して配置された各車両持ち上げ装置13に取り付けられた各フレーム15で支えられている車両16の車台16cの下方に別のフレーム15を差し込み、このフレーム15を、固定用ベース基礎5に取り付けられて対向している各固定用スタンド8の上に載せ、これらの固定用スタンド8に取り外し可能に取り付ける。対向して配置された全ての固定用スタンド8にフレーム15を取り外し可能に取り付けた後、各車両持ち上げ装置13を操作して各車両持ち上げ装置13の上端を下降させる。やがて、車両16の車台16cが、対向している各固定用スタンド8に取り付けられた各フレーム15に接触する。この結果、各固定用スタンド8が車両16の自重を支持する。
【0024】
各フレーム15は、図2及び図3に示すように、両端部に上方に突出した車体受け部(移動阻止部)15Aを設けている。車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を下降させて車両16の荷重を各固定用スタンド8で支持させるとき、車両16の車台16cは、各固定用スタンド8に取り付けられたそれぞれのフレーム15の両端部に設けられた車体受け部15Aの間に配置されてフレーム15の上に載せられている。フレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aは、車両16のフレーム15の長手方向の移動を阻止する。このため、車両16が各固定用スタンド8で支持されているとき、車両16のフレーム15の長手方向における移動が、フレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって拘束される。
【0025】
本実施例において車両固定装置17によって固定されている車両16を、車両固定装置17から取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の上端の上昇を停止して車両16の上昇も停止させる。対向している各固定用スタンド8に取り付けられているそれぞれのフレーム15を、固定用スタンド8から取り外し、取り外した各フレーム15を、車両16の横幅方向に引き抜く。そして、各固定用スタンド8も固定用ベース基礎5から取り外す。その後、車両16の各タイヤ16bが免震上部基礎4の上面に接触し、車両16の自重が各タイヤ16bにより支持されるまで、車両持ち上げ装置13を操作して車両16を下降させる。車両16の各タイヤ16bが免震上部基礎4の上面に接触したとき、対向する各車両持ち上げ装置13に取り付けられている各フレーム15を、該当する車両持ち上げ装置13から取り外し、さらに、各車両持ち上げ装置13を車両持ち上げ装置ベース基礎6から取り外す。その後、車両16が免震上部基礎4上を移動できるようになる。
【0026】
本実施例によれば、車両固定装置17によって免震上部基礎4に固定されている車両16が地震によって振動し、その車両16に車両の横幅方向の慣性力が発生した場合、対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の両端部の車体受け部15Aにより水平方向の抗力が作用して、車両16の横ずれを防止することができる。また、車両固定装置17によって固定されている車両16が地震によって振動し、車両16に車両重心周りの転倒モーメントが発生した場合においても、固定用スタンド8及びフレーム15により反力が作用するため、車両16の転倒を防止することができる。さらに、対向して対をなしている固定用スタンド8の間隔Wbが車両16の横幅Wvよりも広いので、前述の転倒モーメントが大きい場合でも、固定用スタンド8及びフレーム15により対抗する十分な反力が作用し、車両16の転倒を防止することができる。
【0027】
本実施例によれば、上記したように、固定用スタンド8及びフレーム15により免震上部基礎4に従来よりも車両16が強固に固定されるため、地震時に車両16が停車位置からずれることがない。また、車両16を固定用スタンド8及びフレーム1で支持するため、停車している車両16をタイヤ16bで支持する必要がなくなるため、タイヤ16bの空気圧の減圧によるバネ特性の変化、及びパンクといったタイヤ16bの状態変化によらず安定した車両16の免震上部基礎4への固定が実現できるとともに、固定されている車両16に対するメンテナンス性も向上する。
【実施例2】
【0028】
本発明の他の実施例である実施例2の車両固定装置を、図6ないし図11を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17Aは、実施例1の車両固定装置17において固定用スタンド8の替りに固定用ブラケット(車両支持部材)11を用い、固定用ベース基礎5及び車両持ち上げ装置ベース基礎6を除去した構成を有する。車両固定装置17Aの他の構成は車両固定装置17と同じである。
【0029】
各固定用ブラケット11は、固定部10において免震上部基礎4に取り外し可能に取り付けられる。この固定部10において、固定用ブラケット11のベース部に2つの細長い孔部10Aを形成している(図10参照)。固定用ブラケット11は、これらの孔部10A内に挿入された止め具9によって、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付けられる。孔部10Aが、車両16の横幅方向に細長くなっているので、車両16の停車位置が横幅方向にずれた場合でも、固定用ブラケット11の止め具9による免震上部基礎4への取り付けが容易になる。
【0030】
車両固定装置17Aを用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0031】
車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、免震上部基礎4上の所定の位置で停車させる。次に、複数の車両持ち上げ装置13を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1と同様に、フレーム15を対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。各車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を上方に持ち上げる。各固定用ブラケット11を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、止め具9を用いて免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1でフレーム15を対向する固定用スタンド8に取り付けた場合と同様に、車両16の車台16cの下方に差し込んだフレーム15を、対向している各固定用ブラケット11に取り外し可能に取り付ける。
【0032】
フレーム15の固定用ブラケット11への取り付けを、図7及び図11を用いて詳細に説明する。フレーム支持部11Aが各固定用ブラケット11に設けられている。固定用ブラケット11のフレーム支持部11Aの部分に、図11に示すように、細長い複数(例えば、4個)の孔部10Bが形成されている。各フレーム15の両端部では、フレーム15の両端から少し離れた位置でフレーム15の下面には、連結部15Cが設けられている。フレーム15の両端部が対向している各固定用ブラケット11のフレーム支持部11Aの上面にフレーム15の両端部がそれぞれ載せられ、この状態でフレーム15のそれぞれの連結部15Cの一面がフレーム支持部11Aの一面に対向してこの一面に接触している。各孔部10Bに挿入された止め具9によってフレーム支持部11A及び連結部15Cが取り外し可能に結合され、フレーム15が固定用ブラケット11に取り外し可能に取り付けられる。
【0033】
フレーム15の固定用ブラケット11への取り付けが終了した後、車両持ち上げ装置13を操作して車両持ち上げ装置13に取り付けられたフレーム15を下降させ、車両16の車台16cを固定用ブラケット11に取り付けられたフレーム15に載せ、車両16の重量を固定用ブラケット11及び固定用ブラケット11に取り付けられたフレーム15によって支持する。固定用ブラケット11に取り付けられたフレーム15によって支持される車両16の車台16cは、実施例1と同様に、このフレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって、車両16のフレーム15の長手方向における移動が拘束される。
【0034】
本実施例において車両固定装置17Aによって固定されている車両16を、車両固定装置17Aから取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の操作を停止して車両16の上昇を停止する。そして、固定用ブラケット11が免震上部基礎4から取り外される。その後、車両持ち上げ装置13を操作し、タイヤ16bが免震上部基礎4に接触して車両16を支持するように、車両16の位置を下げる。最後に、車両持ち上げ装置13からフレーム15を取り外し、さらに車両持ち上げ装置13を免震上部基礎4から取り外し、車両16が免震上部基礎4上を移動できる状態にする。
【0035】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【実施例3】
【0036】
本発明の好適な一実施例である実施例3の車両固定装置を、図12ないし図17を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17Bは、実施例2の車両固定装置17Aにおいて固定用ブラケット11の替りに固定用伸縮脚部(車両支持部材)12を用いた構成を有する。車両固定装置17Bの他の構成は車両固定装置17Aと同じである。
【0037】
車両固定装置17Bを用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0038】
車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、免震上部基礎4上の所定の位置で停車させる。次に、複数の車両持ち上げ装置13を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1と同様に、フレーム15を対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。各車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を上方に持ち上げる。各固定用伸縮脚部12を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、固定用ブラケット11と同様に、止め具9を用いて免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1でフレーム15を対向する固定用スタンド8に取り付けた場合と同様に、車両16の車台16cの下方に差し込んだフレーム15を、対向している各固定用伸縮脚部12に取り外し可能に取り付ける。
【0039】
フレーム15の固定用伸縮脚部12への取り付けを、図13及び図17を用いて詳細に説明する。脚部挿入部15Bがフレーム15の両端部の下面にそれぞれ設けられる。フレーム15の両端部に設けられた脚部挿入部15Bには、脚部挿入部15Bの軸方向に貫通していない孔部が形成されている。対向して配置された各固定用伸縮脚部12の上端部が脚部挿入部15Bに形成された孔部内に挿入され、フレーム15の脚部挿入部15Bが、止め具9によって固定用伸縮脚部12に取り外し可能に取り付けられる。
【0040】
フレーム15の固定用伸縮脚部12への取り付けが終了した後、車両持ち上げ装置13を操作して車両持ち上げ装置13に取り付けられたフレーム15を下降させ、車両16の車台16cを固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15に載せ、車両16の重量を固定用伸縮脚部12及び固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15によって支持する。固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15によって支持される車両16の車台16cは、実施例1と同様に、このフレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって、車両16のフレーム15の長手方向における移動が拘束される。
【0041】
本実施例において車両固定装置17Bによって固定されている車両16を、車両固定装置17Bから取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用伸縮脚部12に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の操作を停止して車両16の上昇を停止する。そして、固定用伸縮脚部12が免震上部基礎4から取り外される。その後、車両持ち上げ装置13を操作し、タイヤ16bが免震上部基礎4に接触して車両16を支持するように、車両16の位置を下げる。最後に、車両持ち上げ装置13からフレーム15を取り外し、さらに車両持ち上げ装置13を免震上部基礎4から取り外し、車両16が免震上部基礎4上を移動できる状態にする。
【0042】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。
【実施例4】
【0043】
本発明の他の実施例である実施例4の車両固定装置を、図18ないし図22を用いて説明する。本実施例の車両固定装置17Cは、実施例1の車両固定装置17において固定用ベース基礎5及び車両持ち上げ装置ベース基礎6を除去した構成を有する。車両固定装置17Cの他の構成は車両固定装置17と同じである。
【0044】
車両固定装置17Bを用いた車両の固定方法を、以下に説明する。
【0045】
車両16を、免震上部基礎4の上に移動させ、免震上部基礎4上の所定の位置で停車させる。次に、複数の車両持ち上げ装置13を、免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、免震上部基礎4に取り外し可能に取り付ける。実施例1と同様に、フレーム15を対向している各車両持ち上げ装置13に取り外し可能に取り付ける。各車両持ち上げ装置13を操作して車両16の車体を上方に持ち上げる。各固定用スタンド8を免震上部基礎4上の複数の設定位置にそれぞれ配置し、各固定用スタンド8の下面を免震上部基礎4の上面に接触させる。実施例1でフレーム15を対向する固定用スタンド8に取り付けた場合と同様に、車両16の車台16cの下方に差し込んだフレーム15を、対向している各固定用スタンド8に取り外し可能に取り付ける。
【0046】
フレーム15の固定用スタンド8への取り付けが終了した後、車両持ち上げ装置13を操作して車両持ち上げ装置13に取り付けられたフレーム15を下降させ、車両16の車台16cを対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15に載せ、車両16の重量を固定用スタンド8及び固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15によって支持する。固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15によって支持される車両16の車台16cは、実施例1と同様に、このフレーム15の両端部に設けられた各車体受け部15Aによって、車両16のフレーム15の長手方向における移動が拘束される。
【0047】
本実施例において車両固定装置17Cによって固定されている車両16を、車両固定装置17Cから取り外す手順について説明する。車両16の自重を車両持ち上げ装置13で支持するため、車両持ち上げ装置13を操作し、車両持ち上げ装置13の上端が対向している各固定用スタンド8に取り付けられたフレーム15の車体受け部15Aの上端よりも上方に位置するまで、その上端を上昇させる。これにより、車両16が車両持ち上げ装置13により持ち上げられる。車両持ち上げ装置13の上端がその位置まで上昇したとき、車両持ち上げ装置13の操作を停止して車両16の上昇を停止する。そして、固定用スタンド8が免震上部基礎4から取り外される。その後、車両持ち上げ装置13を操作し、タイヤ16bが免震上部基礎4に接触して車両16を支持するように、車両16の位置を下げる。最後に、車両持ち上げ装置13からフレーム15を取り外し、さらに車両持ち上げ装置13を免震上部基礎4から取り外し、車両16が免震上部基礎4上を移動できる状態にする。
【0048】
本実施例は実施例1で生じる各効果を得ることができる。さらに、本実施例では、固定用スタンド8の下面が免震上部基礎4の上面に接触しており、地震発生時における免震装置3による免震上部基礎4にかかる水平方向の揺れの低減によって、固定用スタンド8を免震上部基礎4に摩擦力で十分に固定することができる。このため、本実施例では、固定用スタンド8を止め具9を用いて免震上部基礎4に取り付ける必要がないので、簡易に車両16と免震上部基礎4を固定できる。
【符号の説明】
【0049】
1…免震基礎、2…免震下部基礎、3…免震装置、4…免震上部基礎、5…固定用ベース基礎、6…車両持ち上げ装置ベース基礎、7…後部車両持ち上げ装置ベース基礎、8…固定用スタンド、9…止め具、10…固定部、11…固定用ブラケット、11A…フレーム支持部、12…固定用伸縮脚部、13…車両持ち上げ装置、15…フレーム、15A…車体受け部、15B…脚部挿入部、15C…連結部、16…車両、16c…車台、17,17A,17B,17C…車両固定装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の免震装置が下部基礎部材と上部基礎部材の間に配置されて前記下部基礎部材及び前記上部基礎部材に取り付けられた免震基礎の前記上部基礎部材の上面に停車している車両の車体の下方に差し込んだ複数の第1フレームの両端部を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置のうち前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両持ち上げ装置ごとに取り外し可能に取り付け、
それらの車両持ち上げ装置により各前記第1フレームを上昇させて前記車両を持ち上げ、
前記車両を持ち上げた後、前記車体の下方に差し込んだ、両端部に移動阻止部を設けている複数の第2フレームの両端部の、前記移動阻止部が存在しない部分を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両支持部材のうち前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両支持部材ごとに取り外し可能に取り付け、
前記各車両持ち上げ装置により前記車体を下降させてこの車体を前記第2フレームの両端部に存在する前記移動阻止部の間に配置した状態で前記車体を前記第2フレーム及び前記車両支持部材により支持することを特徴とする車両の固定方法。
【請求項2】
前記車両支持部材が前記上部基礎部材に取り外し可能に取り付けられる請求項1に記載の車両の固定方法。
【請求項3】
前記車両支持部材として、固定用スタンド、固定用ブラケット及び固定用伸縮脚部のいずれかを用いる請求項1または2に記載の車両の固定方法。
【請求項4】
前記車両を持ち上げるとき、前記車両持ち上げ装置の高さをモニタリングする計測装置の高さ計測値に基づいて、制御装置が各車両持ち上げ装置の高さを調節して前記車両を上昇させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両の固定方法。
【請求項5】
前記車両支持部材が摩擦力により前記上部基礎部材の上面に支持される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両の固定方法。
【請求項6】
複数の免震装置が下部基礎部材と上部基礎部材の間に配置されて前記下部基礎部材及び前記上部基礎部材に取り付けられた免震基礎と、前記上部基礎部材の上面に保持される複数の車両持ち上げ装置と、
前記上部基礎部材の上面に保持される複数の車両支持部材と、
前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置のうち、前記車両持ち上げ装置と前記車両支持部材が同列に配置される方向に対して直交する方向において対向して対をなす前記車両持ち上げ装置ごとに取り外し可能に取り付けられた第1フレームと、
前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置のうち、前記車両持ち上げ装置と前記車両支持部材が同列に配置される方向に対して直交する方向において対向して対をなす前記車両支持部材ごとに取り外し可能に取り付けられた第2フレームとを備え、
前記第2フレームが両端部に移動阻止部を設けていることを特徴とする車両固定装置。
【請求項7】
前記車両支持部材が、固定用スタンド、固定用ブラケット及び固定用伸縮脚部のいずれかである請求項6に記載の車両固定装置。
【請求項1】
複数の免震装置が下部基礎部材と上部基礎部材の間に配置されて前記下部基礎部材及び前記上部基礎部材に取り付けられた免震基礎の前記上部基礎部材の上面に停車している車両の車体の下方に差し込んだ複数の第1フレームの両端部を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置のうち前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両持ち上げ装置ごとに取り外し可能に取り付け、
それらの車両持ち上げ装置により各前記第1フレームを上昇させて前記車両を持ち上げ、
前記車両を持ち上げた後、前記車体の下方に差し込んだ、両端部に移動阻止部を設けている複数の第2フレームの両端部の、前記移動阻止部が存在しない部分を、前記上部基礎部材上に配置された複数の車両支持部材のうち前記車両の横幅方向において対向して対をなす前記車両支持部材ごとに取り外し可能に取り付け、
前記各車両持ち上げ装置により前記車体を下降させてこの車体を前記第2フレームの両端部に存在する前記移動阻止部の間に配置した状態で前記車体を前記第2フレーム及び前記車両支持部材により支持することを特徴とする車両の固定方法。
【請求項2】
前記車両支持部材が前記上部基礎部材に取り外し可能に取り付けられる請求項1に記載の車両の固定方法。
【請求項3】
前記車両支持部材として、固定用スタンド、固定用ブラケット及び固定用伸縮脚部のいずれかを用いる請求項1または2に記載の車両の固定方法。
【請求項4】
前記車両を持ち上げるとき、前記車両持ち上げ装置の高さをモニタリングする計測装置の高さ計測値に基づいて、制御装置が各車両持ち上げ装置の高さを調節して前記車両を上昇させる請求項1ないし3のいずれか1項に記載の車両の固定方法。
【請求項5】
前記車両支持部材が摩擦力により前記上部基礎部材の上面に支持される請求項1ないし4のいずれか1項に記載の車両の固定方法。
【請求項6】
複数の免震装置が下部基礎部材と上部基礎部材の間に配置されて前記下部基礎部材及び前記上部基礎部材に取り付けられた免震基礎と、前記上部基礎部材の上面に保持される複数の車両持ち上げ装置と、
前記上部基礎部材の上面に保持される複数の車両支持部材と、
前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置のうち、前記車両持ち上げ装置と前記車両支持部材が同列に配置される方向に対して直交する方向において対向して対をなす前記車両持ち上げ装置ごとに取り外し可能に取り付けられた第1フレームと、
前記上部基礎部材上に配置された複数の車両持ち上げ装置のうち、前記車両持ち上げ装置と前記車両支持部材が同列に配置される方向に対して直交する方向において対向して対をなす前記車両支持部材ごとに取り外し可能に取り付けられた第2フレームとを備え、
前記第2フレームが両端部に移動阻止部を設けていることを特徴とする車両固定装置。
【請求項7】
前記車両支持部材が、固定用スタンド、固定用ブラケット及び固定用伸縮脚部のいずれかである請求項6に記載の車両固定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
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【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
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【図19】
【図20】
【図21】
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【公開番号】特開2013−53685(P2013−53685A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192570(P2011−192570)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(507250427)日立GEニュークリア・エナジー株式会社 (858)
【Fターム(参考)】
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