説明

車両の外装部品取付け構造

【課題】隣接して配置される外装部品間の見切り隙間の精度を高めつつ、一方の外装部品への衝突時における他方の外装部品の破損を抑制できるようにすることを目的とする。
【解決手段】車両10のボデー20に配設される支持部材14が、リヤコンビネーションランプ11(第1外装部品)の車両上下方向の位置決めを行うと共にバンパカバー12(第2外装部品)を組付け時に該リヤコンビネーションランプ11から離脱する係合爪14A(第1位置決め部)と、バンパカバー12の組付け時に該バンパカバー12の車両上下方向の位置決めを行う第2位置決め部14Bとを有している。バンパカバー12の組付けに伴って支持部材14の係合爪14Aがリヤコンビネーションランプ11から離脱するので、バンパカバー12への衝突時に支持部材14からリヤコンビネーションランプ11へ衝突荷重が伝達されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の外装部品取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
リヤコンビネーションランプとバンパとの隙間を一定にするために、車体に設けられるブラケットに、リヤバンパと共にリヤコンビネーションランプを取り付けた車体後部構造が開示されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2717970号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記した従来例では、リヤコンビネーションランプの係合突起がグロメットを介してブラケットに押し込まれて係合止着されているため、車両が後面衝突された場合に、その衝突荷重がブラケットを介してリヤコンビネーションランプに伝達される可能性があった。
【0004】
本発明は、上記事実を考慮して、隣接して配置される外装部品間の見切り隙間の精度を高めつつ、一方の外装部品への衝突時における他方の外装部品の破損を抑制できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1の発明は、車両の第1外装部品に隣接して配設される第2外装部品と、前記車両のボデーに配設され、前記第1外装部品の車両上下方向の位置決めを行うと共に前記第2外装部品を組付け時には前記第1外装部品から離脱する第1位置決め部と、前記第2外装部品の組付け時に該第2外装部品の車両上下方向の位置決めを行う第2位置決め部とが設けられた支持部材と、を有することを特徴としている。
【0006】
請求項1に記載の車両の外装部品取付け構造では、支持部材の第1位置決め部により第1外装部品の車両上下方向の位置決めがなされるが、該第1位置決め部は、第2外装部品の組付け時には第1外装部品から離脱する。第2外装部品の車両上下方向の位置決めは、第2位置決め部によりなされる。即ち、第2外装部品の組付け後には、支持部材は第1外装部品から離脱しているので、車両に衝突が生じた際に第2外装部品から支持部材へ衝突荷重が伝達されても、該支持部材から第1外装部品へ衝突荷重が伝達されることはない。従って、請求項1に記載の車両の外装部品取付け構造では、隣接して配置される外装部品間の見切り隙間の精度を高めつつ、一方の外装部品への衝突時における他方の外装部品の破損を抑制することが可能である。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の車両の外装部品取付け構造において、前記第1位置決め部は、前記第1外装部品の位置決めの際に該第1外装部品と係合する係合爪であり、該係合爪は、前記第2外装部品の組付けに伴って前記第1外装部品から離脱することを特徴としている。
【0008】
請求項2に記載の車両の外装部品取付け構造では、第1位置決め部が、第1外装部品の位置決めの際に該第1外装部品と係合する係合爪であり、該係合爪は第2外装部品の組付けに伴って第1外装部品から離脱するので、第1外装部品の位置決め及び車両への固定を安定的に行うことができ、また第2外装部品への衝突時に係合爪から第1外装部品への衝突荷重の伝達を防止して、該第1外装部品の破損を抑制することが可能である。
【0009】
請求項3の発明は、請求項2に記載の車両の外装部品取付け構造において、前記支持部材は、前記第2外装部品の組付け時に該第2外装部品と当接し、該第2外装部品に押圧されることで変形するレバー部を有しており、前記係合爪は、該レバー部に設けられていることを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の車両の外装部品取付け構造では、支持部材が、第2外装部品の組付け時に第2外装部品と当接し該第2外装部品に押圧されることで変形するレバー部を有しており、該レバー部に係合爪が設けられているので、簡易な構成で第1外装部品の位置決めと、第2外装部品組付け時における第1外装部品からの係合爪の離脱を行うことができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項3に記載の車両の外装部品取付け構造において、前記支持部材には、前記レバー部が折れ変形する起点となる脆弱部が設けられていることを特徴としている。
【0012】
請求項4に記載の車両の外装部品取付け構造では、支持部材には、レバー部が折れ変形する起点となる脆弱部が設けられているので、第2外装部品の組付け時に係合爪を第1外装部品から離脱させるための第2外装部品の押圧力を低減することができ、第2外装部品の組付け作業を容易化することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の車両の外装部品取付け構造によれば、隣接して配置される外装部品間の見切り隙間の精度を高めつつ、一方の外装部品への衝突時における他方の外装部品の破損を抑制できる、という優れた効果が得られる。
【0014】
請求項2に記載の車両の外装部品取付け構造によれば、第1外装部品の位置決め及び車両への固定を安定的に行うことができる、という優れた効果が得られる。
【0015】
請求項3に記載の車両の外装部品取付け構造によれば、簡易な構成で第1外装部品の位置決めと、第2外装部品組付け時における第1外装部品からの係合爪の離脱を行うことができる、という優れた効果が得られる。
【0016】
請求項4に記載の車両の外装部品取付け構造によれば、第2外装部品の組付け作業を容易化することができる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。図1において、本実施の形態に係る車両の外装部品取付け構造Sは、例えば車両10の後部における外装部品の取付け構造に係り、第2外装部品の一例たるバンパカバー12と、支持部材14とを有している。
【0018】
バンパカバー12は、車両10の第1外装部品の一例たるリヤコンビネーションランプ11に隣接して配設されている。このバンパカバー12は、後壁面12Bの上縁から車両前方に延びる上端縁12Cを有しており、該上端縁12Cを車両後方から見た輪郭線が、バンパカバー12の見切り線12Aとなっている。図3において、リヤコンビネーションランプ11は、尾灯や制動灯、方向指示器等(図示せず)が組み込まれたランプ本体16に、レンズ18を組み付けて構成されており、該レンズ18の下縁を車両後方から見た輪郭線が、リヤコンビネーションランプ11の見切り線11Aとなっている(図1参照)。図1に示されるように、バンパカバー12の見切り線12Aは、リヤコンビネーションランプ11の見切り線11Aに沿う形状となっている。該見切り線11A,12A間の隙間Dは、狭くなるように管理することが望ましい。
【0019】
支持部材14は、車両10のボデー20に配設され、図3に示されるように、リヤコンビネーションランプ11の車両上下方向の位置決めを行うと共に、図4に示されるように、バンパカバー12を組付け時にはリヤコンビネーションランプ11から離脱する第1位置決め部の一例たる係合爪14Aと、バンパカバー12の組付け時に該バンパカバー12の車両上下方向の位置決めを行う第2位置決め部14Bとが設けられた、例えば合成樹脂製のリテーナである。
【0020】
具体的には、図2において、支持部材14は、ボデー20(図3参照)へ固定される取付け部14Cを有し、該取付け部14Cから車両上方に向かって、車幅方向に広がるように二股の分岐部14Dが設けられている。また取付け部14Cには、バンパカバー12の組付け時に該バンパカバー12と当接し、該バンパカバー12に押圧されることで例えば折れ変形するレバー部14Lが設けられている。
【0021】
レバー部14Lは、取付け部14Cにおける例えば分岐部14Dの間から、該分岐部14Dと独立して車両上方に延びており、その上端には、車両後方へ延びる立設部14Eが設けられている。係合爪14Aは、該立設部14Eの例えば下面側に設けられており、ランプ本体16の係合孔16Aと係合することで、該リヤコンビネーションランプ11の車両上下方向位置を位置決めできるようになっている。そして支持部材14には、バンパカバー12の組付け時にレバー部14Lが折れ変形する起点となる脆弱部14Fが設けられている。脆弱部14Fは、例えばレバー部14Lの根元部に車幅方向に延びる溝を設けて薄肉化したものであり、バンパカバー12の組付け時に折れ変形するように強度が設定される。なお脆弱部14Fの構成は、図示のものには限られない。
【0022】
バンパカバー12の組付け時に該バンパカバー12の車両上下方向の位置決めを行う第2位置決め部14Bは、分岐部14Dの例えば上端に夫々設けられている。第2位置決め部14Bは、バンパカバー12の上端縁12Cと嵌合するように車両上下方向に略並行に離間した一対の壁部14Gを、車両前方の前壁部14Jで連結して、車両側面視で例えば断面コ字状に形成されている。図3に示されるように、分岐部14Dは、レバー部14Lと比較して例えば車両前方に傾斜して形成されており、バンパカバー12の組付け時に、レバー部14Lが揺動して係合爪14Aがランプ本体16の係合孔16Aから離脱するまでバンパカバー12の上端縁12Cを第2位置決め部14Bに嵌入させることができるようになっている。なお上端縁12Cを位置決め部14Bに嵌入させるためのレバー部14Lの変形ストロークを確保できればよいので、例えば分岐部14Dを傾斜させず、レバー部14Lを車両後方に傾斜させるようにしてもよい。
【0023】
本実施形態では、リヤコンビネーションランプ11の車両下方にバンパカバー12が組付けられる構成であるため、第2位置決め部14Bが係合爪14Aより車両下方に位置している。図3において、見切り線11A,12A間の隙間Dをより小さく設定する場合には、車両上下方向における係合爪14Aと第2位置決め部14Bとの高さの差は縮小する。このように、支持部材14の構成は、図示のものには限られず、係合爪14Aや第2位置決め部14Bの数や配置等について適宜変更して用いることが可能である。
【0024】
図3に示されるように、ボデー20側には、ナット22が例えば固着されており、該ナット22に対してボルト24を締結することで、支持部材14がボデー20に固定されている。図2に示されるように、支持部材14の取付け部14Cには、該ボルト24を通すための貫通孔14Hが形成されている。
【0025】
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図3において、支持部材14は、予めリヤコンビネーションランプ11に対して組み付けられ、支持部材14の係合爪14Aがランプ本体16の係合孔16Aに係合している。即ち、ボデー20に対するリヤコンビネーションランプ11の組付けは、支持部材14とサブアセンブリされた状態で行われ、支持部材14は、ボルト24及びナット22の締結により、ボデー20に固定される。支持部材14がボデー20に固定されると、リヤコンビネーションランプ11の車両上下方向の位置決めがなされる。係合爪14Aをランプ本体16の係合孔16Aに係合させておくことで、リヤコンビネーションランプ11の位置決め及び車両10への固定を安定的に行うことができる。
【0026】
続いて、図4に示されるように、バンパカバー12をボデー20に対して組み付けると、上端縁12Cが第2位置決め部14Bに嵌入して行くと共に、上端縁12Cがレバー部14Lに当接する。ここから更にバンパカバー12を車両前方、即ち矢印A方向に押し込むと、レバー部14Lが脆弱部14Fを起点として車両前方に折れ変形し、これによってランプ本体16の係合孔16Aと係合していた係合爪14Aが、該係合孔16Aから離脱する。またこのとき、第2位置決め部14Bによりバンパカバー12の車両上下方向の位置決めがなされるが、レバー部14Lが車両前方に折れ変形することで、上端縁12Cは第2位置決め部14Bにより嵌入して行くことができ、第2位置決め部14Bによりバンパカバー12をより安定的に支持することができる。
【0027】
即ち、バンパカバー12の組付けに伴って、支持部材14がリヤコンビネーションランプ11から離脱するので、通常使用時の車両10では、支持部材14とリヤコンビネーションランプ11とが直接連結されていない。このため、車両10に衝突が生じた際にバンパカバー12から支持部材14へ衝突荷重が伝達されても、該支持部材14からリヤコンビネーションランプ11へ衝突荷重が伝達されることはない。このように、車両の外装部品取付け構造Sでは、隣接して配置される外装部品、即ちリヤコンビネーションランプ11及びバンパカバー12間の見切り隙間の精度を高めつつ、バンパカバー12への衝突時におけるリヤコンビネーションランプ11の破損を抑制することが可能である。
【0028】
しかも支持部材14には、レバー部14Lが折れ変形する起点となる脆弱部14Fが設けられているので、バンパカバー12の組付け時に係合爪14Aをリヤコンビネーションランプ11から離脱させるためのバンパカバー12の押圧力を低減することができ、バンパカバー12の組付け作業を容易化することができる。
【0029】
第1外装部品の一例としてリヤコンビネーションランプ11を挙げたが、第1外装部品はこれに限られるものではなく、例えば車両前端のヘッドランプであってもよい。また第1外装部品は、ランプ類には限られるものではなく、グリル、ガーニッシュ等の化粧部材、ボデーパネル等であってもよい。一方第2外装部品の一例としてバンパカバー12を挙げたが、第2外装部品はこれに限られるものではない。
【0030】
第1位置決め部の一例として係合爪14Aを挙げたが、第1位置決め部の構成はこれに限られるものではなく、第1外装部品の車両上下方向位置を規制でき、かつ第2外装部品の組付け時に第1外装部品から離脱する構成であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】車両の外装部品取付け構造を示す背面図である。
【図2】支持部材の斜視図である。
【図3】車両の外装部品取付け構造において、ボデーにリヤコンビネーションランプ及び支持部材が組み付けられ、バンパカバーが組み付けられていない状態を示す断面図である。
【図4】図3の状態に続いて、バンパカバーを組み付けた状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 車両
11 リヤコンビネーションランプ(第1外装部品)
12 バンパカバー(第2外装部品)
14 支持部材
14A 係合爪(第1位置決め部)
14B 第2位置決め部
14F 脆弱部
14L レバー部
20 ボデー
S 車両の外装部品取付け構造

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の第1外装部品に隣接して配設される第2外装部品と、
前記車両のボデーに配設され、前記第1外装部品の車両上下方向の位置決めを行うと共に前記第2外装部品を組付け時には前記第1外装部品から離脱する第1位置決め部と、前記第2外装部品の組付け時に該第2外装部品の車両上下方向の位置決めを行う第2位置決め部とが設けられた支持部材と、
を有することを特徴とする車両の外装部品取付け構造。
【請求項2】
前記第1位置決め部は、前記第1外装部品の位置決めの際に該第1外装部品と係合する係合爪であり、該係合爪は、前記第2外装部品の組付けに伴って前記第1外装部品から離脱することを特徴とする請求項1に記載の車両の外装部品取付け構造。
【請求項3】
前記支持部材は、前記第2外装部品の組付け時に該第2外装部品と当接し、該第2外装部品に押圧されることで変形するレバー部を有しており、
前記係合爪は、該レバー部に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の車両の外装部品取付け構造。
【請求項4】
前記支持部材には、前記レバー部が折れ変形する起点となる脆弱部が設けられていることを特徴とする請求項3に記載の車両の外装部品取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−49859(P2008−49859A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−228693(P2006−228693)
【出願日】平成18年8月25日(2006.8.25)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】