説明

車両の床下構造

【課題】側方から衝撃荷重を受けた時に衝撃荷重を、衝撃荷重を受けた側のトンネルサイドメンバから反対側のトンネルサイドメンバに伝えてフロアトンネル部分の変形をより確実に抑制することができ、製作コストを低廉化でき、しかも、車体の剛性を向上させることができる車両の床下構造を提供する。
【解決手段】車体のフロアパネル1にフロアトンネル2が形成され、フロアトンネル2の左右両側にフロアトンネル2に沿って左右一対のトンネルサイドメンバ4が各別に配置され、左右一対のトンネルサイドメンバ4の後端部の下面4Kに、左右一対のトンネルサイドメンバ4を連結するブレース50の左右両端部50A,50Bが各別に固定され、ブレース50は、上側部材6と下側部材7を接合して閉じ断面構造に構成され、上側部材6の左右方向Wの端部6A,6Bがトンネルサイドメンバ4の側面4Sに対向している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、
車体のフロアパネルにフロアトンネルが形成され、
前記フロアトンネルの左右両側に前記フロアトンネルに沿って左右一対のトンネルサイドメンバが各別に配置され、
前記左右一対のトンネルサイドメンバの後端部の下面に、前記左右一対のトンネルサイドメンバを連結するブレースの左右両端部が各別に固定されている車両の床下構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車体のフロアパネルには排気管やプロペラシャフトを配置するためのフロアトンネルが形成されている。このフロアトンネルは車室内側(上方)に膨らんでおり、フロアパネルを左右に分断した状態にして車体の剛性を低下させるために、側方から衝撃荷重が作用した時にフロアトンネル部分が変形しやすい。この対策として、左右一対のトンネルサイドメンバの後端部の下面に、前記左右一対のトンネルサイドメンバを連結するブレースの左右両端部を各別に取り付けて車体の剛性を向上させている。
【0003】
従来、上記の床下構造では、ブレースを一枚の金属板や鋳造品で構成し、金属板や鋳造品の左右方向の端部を取り付けボルトで左右一対のトンネルサイドメンバの後端部の下面に締め付け固定してあった。
しかしながら、側方から衝撃荷重が作用した時に取り付けボルトが荷重に耐えられず、衝撃荷重をブレースに効果的に伝えることが困難であった。また、ブレースを一枚の金属板で構成してあるために、車体の捻り変形に対して弱く、車体の剛性が低かった。そしてブレースを鋳造品で構成した場合、製作コストが高くなっていた。
【0004】
特許文献1に開示されているように、パイプ材の長手方向(車両の左右方向)の端部に上下一対の金属板を溶接接合してパイプ材の端部から左右外方側に突出させ、上側の金属板の左右外方側の端面を下側の金属板の左右外方側の端面よりも車両の左右中心側に配置して、上側の金属板の前記端面をトンネルサイドメンバの側面に対向させる技術があった。
これにより、側方から衝撃荷重を受けた時にトンネルサイドメンバの側面を前記上側の金属板の左右外方側の端面で受け止め、衝撃荷重を反対側のトンネルサイドメンバの側面にパイプ材を介して伝えてフロアトンネル部分の変形を抑制するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−184125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の特許文献1の構造によれば、パイプ材と、パイプ材と上下の金属板の接合部との強度差が大きくて、側方から衝撃荷重を受けた時に金属板が変形してしまうおそれがあった。
本発明の目的は、側方から衝撃荷重を受けた時に衝撃荷重を、衝撃荷重を受けた側のトンネルサイドメンバから反対側のトンネルサイドメンバに伝えてフロアトンネル部分の変形をより確実に抑制することができ、製作コストを低廉化でき、しかも、車体の剛性を向上させることができる車両の床下構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の特徴は、
車体のフロアパネルにフロアトンネルが形成され、
前記フロアトンネルの左右両側に前記フロアトンネルに沿って左右一対のトンネルサイドメンバが各別に配置され、
前記左右一対のトンネルサイドメンバの後端部の下面に、前記左右一対のトンネルサイドメンバを連結するブレースの左右両端部が各別に固定されている車両の床下構造であって、
前記ブレースは、上側部材と下側部材を接合して閉じ断面構造に構成され、
前記上側部材の左右方向の端部が前記トンネルサイドメンバの側面に対向している点にある。(請求項1)
【0008】
前記ブレースは、上側部材と下側部材を接合して閉じ断面構造に構成されているから、剛性の高い形状の大きな閉じ断面構造に構成することができ、ブレースの全長にわたって強度が均一な構造に構成することができて、側方から衝撃荷重を受けた時にブレースが変形することを抑制することができるとともに、車体の剛性を向上させることができる。
そして、上側部材の左右方向の端部がトンネルサイドメンバの側面に対向しているから、側方から衝撃荷重を受けた時にトンネルサイドメンバの側面を上側部材の左右方向の端部で受け止め、衝撃荷重を反対側のトンネルサイドメンバの側面に伝えてフロアトンネル部分の変形を抑制することができる。
従って、左右一対のトンネルサイドメンバの後端部の下面にブレースの左右両端部が取り付けボルトにより各別に固定されている構造では、取り付けボルトの本数を増やすことなく前記衝撃荷重を反対側のトンネルサイドメンバの側面に伝えることができる。
また、ブレースを鋳造品で構成する場合に比べて製作コストを低廉化することができる。(請求項1)
【0009】
本発明において、
前記上側部材の左右方向の端部の高さ寸法が前記上側部材の左右方向中間部の高さ寸法よりも高く形成されていると、トンネルサイドメンバの側面に対向する上側部材の左右方向の端部を上下方向に大きくすることができ、トンネルサイドメンバの側面からの衝撃荷重を確実に受け止めることができて、反対側のトンネルサイドメンバの側面に確実に伝えることができる。
そして、ブレースの左右方向中間部を低く設定することができて、フロアトンネルに通される排気管やプロペラシャフトとの干渉を回避することができ、排気管やプロペラシャフトのレイアウトに余裕ができる。(請求項2)
【0010】
本発明において、
前記上側部材の車両前後方向の両端部の間に、上側に膨出するビードが左右方向に沿って形成され、
前記ビードが左右方向の端部側ほど上側に位置する円弧状に形成されていると、
上側部材の剛性を向上させることができるとともに、ブレースのねじり剛性に対して最適な形状にすることができて、ブレース及び車体のねじり剛性を向上させることができる。(請求項3)
【0011】
本発明において、
前記上側部材のビードは前記上側部材の左右方向の全長にわたって形成されて、前記ビードの左右方向の端面が前記トンネルサイドメンバの側面に対向していると、上側部材の剛性をより向上させることができるとともに、ブレースのねじり剛性に対して最適な形状にすることができて、ブレース及び車体のねじり剛性をより向上させることができる。(請求項4)
【0012】
本発明において、
前記上側部材のビードは複数形成され、
前記下側部材の車両前後方向の両端部の間に、下側に膨出するビードが左右方向に沿って複数形成され、
前記上側部材のビードの各列と前記下側部材のビードの各列とが車両前後方向で同一位置に位置していると、上側部材及び下側部材の剛性をより向上させることができるとともに、ブレースのねじり剛性に対して最適な形状にすることができて、ブレース及び車体のねじり剛性をより向上させることができる。
そして、トンネルサイドメンバの後端部の下面にブレースの左右両端部を取り付けボルトで固定してある構造では、下側部材のビードによって取り付けボルトの頭部を飛び石などから保護することができる。(請求項5)
【0013】
本発明において、
前記下側部材の左右方向の端部が前記上側部材の左右方向の端部よりも左右外方側に突出し、
前記下側部材の左右方向の端部にリンフォースが上方から重ねられるとともに、車両の左右中心側の前記リンフォースの端部が前記上側部材の左右方向の端部と前記下側部材の左右方向の端部に挟持されて溶接接合され、
前記下側部材の左右方向の端部と前記リンフォースの左右外方側の端部とが前記トンネルサイドメンバの後端部の下面に固定されていると、次の作用を奏することができる。(請求項6)
【0014】
前記リンフォースを設けたことで、トンネルサイドメンバの後端部の下面に対するブレースの取り付け部の剛性を向上させることができる。また、車両の左右中心側のリンフォースの端部が上側部材の左右方向の端部と下側部材の左右方向の端部に挟持されて溶接接合されているから、リンフォースと下側部材の剥がれを防止でき、強度のあるブレースに構成することができるとともに、リンフォースで受けた衝撃荷重を上側部材と下側部材に効率よく伝達することができる。
そして、リンフォースをブレースの左右方向の端部にだけ設けてあり、左右方向中間部には設けてないので、比較的肉厚の厚いリンフォースのボリュームを減らしてブレースの軽量化を図ることができる。(請求項6)
【0015】
本発明において、
前記リンフォースと上側部材とから成る接合体の外周部が前記下側部材の外周部に沿って形成されるとともに前記下側部材の外周部の外方側に突出し、
前記接合体の外周部に、下方に折曲するフランジが全周又はほぼ全周にわたって形成されていると、リンフォースと上側部材とから成る接合体の剛性を向上させることができる。しかも、トンネルサイドメンバの後端部の下面にブレースの左右両端部を取り付けボルトで固定してある構造では、フランジによって下側部材の周縁端面(小口)および取り付けボルトの頭部を飛び石などから保護することができる。(請求項7)
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、
側方から衝撃荷重を受けた時に衝撃荷重を、衝撃荷重を受けた側のトンネルサイドメンバから反対側のトンネルサイドメンバに伝えてフロアトンネル部分の変形をより確実に抑制することができ、製作コストを低廉化でき、しかも、車体の剛性を向上させることができる車両の床下構造を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】ブレースを斜め上方から見た斜視図
【図2】(a)はブレースを斜め下方から見た斜視図(b)はブレースの側面図
【図3】図7のC−C断面図
【図4】図7のD−D断面図
【図5】図1のA−A断面図
【図6】図1のB−B断面図
【図7】車両のフロアトンネルとフロアパネルの下面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図7,図3に示すように、自動車の車体のフロアパネル1の左右中央部に、車両前後方向Jに沿うフロアトンネル2が形成されている。このフロアトンネル2はフロアパネル1の左右中央部を上方に膨出させて形成されており、フロアトンネル2内にプロペラシャフトや排気管3が通されている。図7において 符号Frは車両前方側、Rrは車両後方側である。
【0019】
フロアトンネル2の左右両側にはフロアトンネル2に沿って左右一対のトンネルサイドメンバ4が各別に配置されている。フロアパネル1の左右両端部はサイドシルに取り付けられ、サイドシルとトンネルサイドメンバ4の間のフロアパネル1の下面に、車体フレームの左右一対のサイドメンバが取り付けられている。
【0020】
トンネルサイドメンバ4は上側開放の縦断面ハット形状に形成され、トンネルサイドメンバ4の上側の一対のフランジ4Fがフロアパネル1の下面に溶接接合されて、トンネルサイドメンバ4とフロアパネル1で閉じ断面を形成している。さらに、左右一対のトンネルサイドメンバ4の下面に、車両前後方向Jに間隔を空けて並ぶ複数のブレース50,51が架設されて、左右一対のトンネルサイドメンバ4を連結している。これにより、フロアトンネル2の周りのフロアパネル1の強度が強くなっている。
【0021】
前記フロアパネル1は最も車両後方側Rrのブレース50の後方で上方に屈曲して縦壁部11を形成し、この縦壁部11をフロアトンネル2が貫通して切り欠き12が形成されている。そして、フロアパネル1が縦壁部11の頂部から後方に延び、このフロアパネル1の下方に、燃料タンクやリヤサスペンション等を収納するための空間が形成されている。
【0022】
前記最も車両後方側Rrのブレース50は、上記のようなフロアパネル1の形状の急変部に配置され、縦壁部11の切り欠き12の左右を連結して車体の剛性を効果的に向上させている。縦壁部11の上端隅部には車両の左右方向W(車幅方向)に延びるクロスメンバが配置されている。
【0023】
前記車体フレームの左右一対のサイドメンバは車両後方側Rrで左右の間隔が広がり、縦壁部11の後方のサイドメンバの下面にサスペンションアームが取り付けられている。つまり、縦壁部11の左右両端部の近傍にサスペンションアームが取り付けられている。
次に、前記最も車両後方側Rrのブレース50(以下、単に「ブレース50」と称する)の構造について説明する。
【0024】
[ブレース50の構造]
図1,図2(a),図2(b),図5,図6に示すように、ブレース50は、車両の左右方向Wに長い金属板から成る上側部材6と下側部材7を接合して閉じ断面構造に構成され、ブレース50の左右両端部50A,50Bが前記左右一対のトンネルサイドメンバ4の後端部の下面4Kに各別に固定されて、図3に示すように、上側部材6の左右方向Wの端部6A,6Bがトンネルサイドメンバ4の側面4Sに車両の左右中心側W1から対向している。
【0025】
上側部材6は平面視で長方形状に形成され、上側部材6の車両前後方向Jの両端部6D,6Eの間に、上側に膨出する縦断面円弧状の第1ビードB1が左右方向Wに沿って形成されている。この第1ビードB1は、左右方向Wの端部6A,6B側ほど上側に位置する円弧状に形成されている。上側部材6の左右方向Wの端部6A,6Bの高さ寸法6T1(図3参照)は、上側部材6の左右方向中間部の高さ寸法6T2よりも高く形成されている。
【0026】
前記第1ビードB1は上側部材6の左右方向Wの全長にわたって複数形成され、第1ビードB1の左右方向Wの端部が開放してトンネルサイドメンバ4の上端部のフランジ4Fの下方に位置しフランジ4Fの下面に下方から近接して対向するとともに(図3参照)、第1ビードB1の左右方向Wの端面B1a(第1ビードB1の長手方向の端面)がトンネルサイドメンバ4の側面4Sに近接して対向している。そして、第1ビードB1の左右方向Wの端部の上部角が、少なくともトンネルサイドメンバ4の側面4Sの上半分の位置に対向するように配置されて、トンネルサイドメンバ4のフランジ4Fと側面4Sの角に接近配置されている。これによって、トンネルサイドメンバ4と上側部材6との間で確実に力の伝達が行われる。

【0027】
前記下側部材7は、左右方向Wの両端部7A,7Bが車両の左右外方側W2ほど幅広の台形状に形成され、両端部7A、7Bの間の中間部7Cが前記台形の短辺の長さと同一幅の長方形状に形成されている。
また、下側部材7の車両前後方向Jの両端部7D、7Eの間に、下側に膨出する縦断面台形状の第2ビードB2が左右方向Wに沿って複数形成され、上側部材6の第1ビードB1の各列と下側部材7の第2ビードB2の各列とが車両前後方向Jで同一位置に位置している(図2(b)参照)。
第2ビードB2は下側部材7の左右方向Wの全長にわたって形成され、第2ビードB2の左右方向Wの端部が開放している。第2ビードB2は複数の水抜き孔Hを備えている。第2ビードB2の左右方向Wの端部が開放しているので、ブレース50内に浸入した水が容易に排出される。また、第2ビードB2は後述する複数のボルト挿通孔Sの間を左右方向に通過するように配置されているので、下方に突出する第2ビードB2によって取り付けボルト9の頭部を飛び石などから保護することができる。
【0028】
[ブレース50の取り付け構造]
前記下側部材7の左右方向Wの両端部7A,7Bは上側部材6の左右方向Wの両端部6A,6Bよりも左右外方側W2に各別に突出し、下側部材7の左右方向Wの両端部7A,7Bに左右一対のリンフォース8が上方から各別に重ねられている。
リンフォース8は、車両の左右外方側W2の端部8Bが車両の左右中心側W1の端部8Aよりも幅広の台形状に形成され、車両の左右中心側W1のリンフォース8の端部8Aが上側部材6の左右方向Wの端部6A(又は6B、以下同じ)と下側部材7の左右方向Wの端部7A(又は7B、以下同じ)に挟持されて溶接接合されている。
【0029】
すなわち、図1,図2,図6に示すように、上側部材6の左右方向Wの端部6A(6B)のうち車両前後方向Jで第1ビードB1の両側の端部部分6A1(6B1)と、車両の左右中心側W1のリンフォース8の端部8Aと、下側部材7の左右方向Wの端部7A(7B)のうち車両前後方向Jで第2ビードB2の両側の端部部分7A1(7B1)とがスポット溶接により一体に溶接接合されている。
【0030】
これにより、リンフォース8と下側部材7の剥がれを防止でき、強度のあるブレース50に構成することができる。また、リンフォース8で受けた力を上側部材6と下側部材7に効率よく伝達することができる。
前記下側部材7の左右方向Wの端部7A(7B)のうち車両前後方向Jで第2ビードB2の両側の端部部分7A1(7B1)は、この端部部分7A1(7B1)よりも車両の左右中心側W1の下側部材7の中間部7Cに対して段差13を介して一段下方に位置している。
【0031】
リンフォース8をブレース50の左右方向Wの端部50A,50Bにだけ設けてあり、中間部には設けてないので、比較的肉厚の厚いリンフォース8のボリュームを減らして軽量化を達することができる。
【0032】
図1,図2,図4に示すように、下側部材7の左右方向Wの端部7A(7B)と、これに重なり合った車両の左右外方側W2のリンフォース8の端部8Bとに、車両前後方向Jに間隔を空けて位置する複数のボルト挿通孔Sが形成されている。このボルト挿通孔Sに取り付けボルト9が挿通され、トンネルサイドメンバ4の内部に取り付けられたナットNに取り付けボルト9が螺合されて、下側部材7の左右方向Wの端部7A(7B)と車両の左右外方側W2のリンフォース8の端部8Bとがトンネルサイドメンバ4の後端部の下面4Kにボルト固定されている。前記下側部材7の左右方向Wの端部7A(7B)と、これに重なり合った車両の左右外方側W2のリンフォース8の端部8Aとでブレース50の前記左右方向の端部50A(50B)を構成している。
【0033】
このように、下側部材7の左右方向Wの端部7A(7B)と車両の左右外方側W2のリンフォース8の端部8Bとをトンネルサイドメンバ4の後端部の下面4Kに対する取り付け部に構成してあるので、トンネルサイドメンバ4の側面4Sに対向する上側部材6の端部を上側部材6の端縁で構成することができて、上側部材6の構成や形成が容易になる。
【0034】
下側部材7の左右方向Wの端部7A,7Bと車両の左右外方側W2のリンフォース8の端部8Bとは台形状に形成されて、下側部材7の中間部7Cよりも車両前後方向Jにおける長さが長く設定されているので、複数のボルト挿通孔Sの車両前後方向Jにおける間隔を広く設定することができる。その結果、取り付けボルト9(締め付けボルト)の本数を増やすことなく、ねじり方向の力に対して取り付け剛性を向上させることができる。
【0035】
前記リンフォース8と上側部材6とから成る接合体10の外周部10Gは、下側部材7の外周部7Gに沿って形成されるとともに下側部材7の外周部7Gの外方側に突出し、接合体10の外周部10Gに、下方に折曲するフランジ10Fがほぼ全周(全周であってもよい)にわたって形成されている。これにより、接合体10の剛性を向上させることができるとともに、下側部材の周縁端面(小口)および取付けボルトの保護をすることができる。
【0036】
上記のように、上側部材6の左右方向Wの端部6A,6Bの高さ寸法6T1は上側部材6の左右方向中間部の高さ寸法6T2よりも高く形成されており、車両の左右中心側W1のリンフォース8の端部が上側部材6の左右方向Wの端部6A(6B)と下側部材7の左右方向Wの端部7A(7B)に挟持されて溶接接合されているので、高く形成された比較的有効断面積の大きい上側部材6の左右方向Wの端部6A(6B)に車両の左右中心側W1のリンフォース8の端部が接続されることになって剛性の高い接続が可能となる。
【符号の説明】
【0037】
1 フロアパネル
2 フロアトンネル
4 トンネルサイドメンバ
4K トンネルサイドメンバの後端部の下面
4S トンネルサイドメンバの側面
6 上側部材
6A,6B 上側部材の左右方向の端部
6T1 上側部材の左右方向の端部の高さ寸法
6T2 上側部材の左右方向中間部の高さ寸法
6D,6E 上側部材の車両前後方向の両端部
7 下側部材
7A,7B 下側部材の左右方向の端部
7D,7E 下側部材の車両前後方向の両端部
7G 下側部材の外周部
8 リンフォース
8A 車両の左右中心側のリンフォースの端部
8B リンフォースの左右外方側の端部
10 接合体
10F フランジ
10G 接合体の外周部
50A,50B ブレースの左右両端部
B1 ビード(上側部材のビード、第1ビード)
B1a ビードの左右方向の端面
B2 ビード(下側部材のビード、第2ビード)
J 車両前後方向
W 左右方向
W1 車両の左右中心側
W2 左右外方側


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体のフロアパネルにフロアトンネルが形成され、
前記フロアトンネルの左右両側に前記フロアトンネルに沿って左右一対のトンネルサイドメンバが各別に配置され、
前記左右一対のトンネルサイドメンバの後端部の下面に、前記左右一対のトンネルサイドメンバを連結するブレースの左右両端部が各別に固定されている車両の床下構造であって、
前記ブレースは、上側部材と下側部材を接合して閉じ断面構造に構成され、
前記上側部材の左右方向の端部が前記トンネルサイドメンバの側面に対向している車両の床下構造。
【請求項2】
前記上側部材の左右方向の端部の高さ寸法が前記上側部材の左右方向中間部の高さ寸法よりも高く形成されている請求項1記載の車両の床下構造。
【請求項3】
前記上側部材の車両前後方向の両端部の間に、上側に膨出するビードが左右方向に沿って形成され、
前記ビードが左右方向の端部側ほど上側に位置する円弧状に形成されている請求項2記載の車両の床下構造。
【請求項4】
前記上側部材のビードは前記上側部材の左右方向の全長にわたって形成されて、前記ビードの左右方向の端面が前記トンネルサイドメンバの側面に対向している請求項3記載の車両の床下構造。
【請求項5】
前記上側部材のビードは複数形成され、
前記下側部材の車両前後方向の両端部の間に、下側に膨出するビードが左右方向に沿って複数形成され、
前記上側部材のビードの各列と前記下側部材のビードの各列とが車両前後方向で同一位置に位置している請求項3又は4記載の車両の床下構造。
【請求項6】
前記下側部材の左右方向の端部が前記上側部材の左右方向の端部よりも左右外方側に突出し、
前記下側部材の左右方向の端部にリンフォースが上方から重ねられるとともに、車両の左右中心側の前記リンフォースの端部が前記上側部材の左右方向の端部と前記下側部材の左右方向の端部に挟持されて溶接接合され、
前記下側部材の左右方向の端部と前記リンフォースの左右外方側の端部とが前記トンネルサイドメンバの後端部の下面に固定されている請求項1〜5のいずれか一つに記載の車両の床下構造。
【請求項7】
前記リンフォースと上側部材とから成る接合体の外周部が前記下側部材の外周部に沿って形成されるとともに前記下側部材の外周部の外方側に突出し、
前記接合体の外周部に、下方に折曲するフランジが全周又はほぼ全周にわたって形成されている請求項6記載の車両の床下構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−228731(P2010−228731A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81565(P2009−81565)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000002082)スズキ株式会社 (3,196)
【Fターム(参考)】