説明

車両の後部反射器構造

【課題】製造コストの高騰を抑制した上で、サブ反射器の破損を未然に防止できる車両の後部反射器構造を提供する。
【解決手段】車両の荷台後端のリアシル8にサブ反射器10を貼着すると共に、後部煽りパネル4の回動に連動して連携カバー12を作動させてサブ反射器10を露出・隠蔽する。後部煽りパネル4が開放位置に回動してメイン反射器7を遮ったときには、サブ反射器10を露出させて後方から視認可能とし、後部煽りパネル4が閉鎖位置に回動してメイン反射器7を後方から視認可能となったときには、連携パネル12によりサブ反射器10を隠蔽して、メイン反射器7とサブ反射器10との同時視認による誤認を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両の後部反射器構造に係り、詳しくはトラックの荷台に設けられた後部煽りパネル(リアゲート)を下げた状態でも後方より反射器を視認可能とした後部反射器構造に関する。
【背景技術】
【0002】
夜間において灯火類を消灯させて路上駐車している車両は認識し難いことから、後方からの他車の衝突を防止すべく、法規により車両後部に後部反射器を設置する対策が義務づけられている。しかし、車種によっては、リアゲートを開放したときに後部反射器を視認できなくなるものもある。例えば、一般的なハッチバックタイプの乗用車においてリアハッチ(リアゲート)の左右に後部反射器が設置された車両では、荷物の積み卸しのためにリアハッチを上方に開放すると後部反射器が上方に面して後方から視認不能になる。また、トラックでは後部煽りパネルの下方左右に後部反射器が設置されるが、後部煽りパネルを下ろす(開放する)と、後部反射器が後部煽りパネルに遮られて後方から視認不能になる。
【0003】
このような問題を鑑みて、本来の後部反射器(以下、メイン反射器という)に加えて、メイン反射器が視認不能になったときに代わりに、その視認性を補うための後部反射器(以下、サブ反射器という)を追加する対策が新たに法規で義務づけられるようになった。サブの反射器はメインの反射器の視認性が阻害された場合に作動することができるとされており、メイン反射器とサブ反射器との同時視認は要件不適合となることが考えられることから、サブ反射器は通常時には後方より視認不能としておく必要がある。
基本的にサブ反射器は、リアゲートを開放すると後方から視認可能となる箇所に設置される。例えば上記ハッチバックタイプの乗用車では、リアハッチの開放時にラゲッジルーム内の左右に盛り上がったタイヤハウスが後方から視認できるため、タイヤハウスの垂直面にサブ反射器が設置される場合がある。
【0004】
ところが、トラックでは後部煽りパネルを下ろしたときに後方から視認可能となる箇所がほとんどなく、適切なサブ反射器の設置箇所を確保できない。このような問題に着目した対策として、特許文献1を挙げることができる。この特許文献1に記載された技術では、後部煽りパネルの裏面側(荷室側)の左右にサブ反射器を設置し、後部煽りパネルが閉鎖されてメイン反射器を視認可能なときには、サブ反射器を後方より視認不能とする一方、後部煽りパネルが開放されてメイン反射器が視認不能になると、サブ反射器が後方から視認可能となるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−78625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
トラックの後部煽りパネルは、運送中の荷物の衝突などに耐え得るように頑丈に製作されると共に、多少の変形や損傷が生じても使用され続ける場合もある。これに対してサブ反射板は合成樹脂製のため、このような過酷な環境では容易に破損してしまうという問題があった。
また、一般に後部煽りパネルは荷物の積み卸しの邪魔にならなければよいため、下ろした状態で後部煽りパネルを固定する必要はない。しかしながら、後部煽りパネルと共にサブ反射器が揺れるとその視認性が低下することから、後部煽りパネルを下ろした位置で固定する構造が必要となる。このため製造コストの面で望ましいとは言えず、上記サブ反射器の破損の問題と相俟って今一つ改良の余地があった。
本発明はこのような問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、製造コストの高騰を抑制した上で、サブ反射器の破損を未然に防止することができる車両の後部反射器構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、車両の荷台の後端に回動可能に連結されて閉鎖位置において荷台を形成し、下方に回動した開放位置では荷台を後方に開放する後部煽りパネルと、後部煽りパネルの下方に配設されて後方から照射される他車のライトを反射して視認可能となる一方、開放位置に回動した後部煽りパネルにより遮られて後方からの視認が不能となるメイン反射器と、荷台の後端に配設されて、後部煽りパネルの閉鎖位置及び開放位置の何れにおいても後方他車のライトを反射して視認可能なサブ反射器と、後部煽りパネルの回動に連動して作動して、後部煽りパネルの開放位置ではサブ反射器を露出させて視認可能とし、後部煽りパネルの閉鎖位置ではサブ反射器を隠蔽して視認不能とする連携カバーとを備えたものである。
【0008】
請求項2の発明は、連携カバーが、後部煽りパネルの閉鎖位置においてサブ反射器に対して所定の間隙を介して後方に位置してサブ反射器を隠蔽すると共に、後部煽りパネルの開放位置への回動に伴ってサブ反射器から離間しながらサブ反射器を露出させるものである。
請求項3の発明は、サブ反射器が、後部煽りパネルを荷台の後端に対して回動可能に連結するヒンジに隣接して配設され、連携カバーが、後部煽りパネルが閉鎖位置のときにサブ反射器と共にヒンジを隠蔽するものである。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように請求項1の発明の車両の後部反射器構造によれば、車両の荷台の後端にサブ反射器を配設すると共に、後部煽りパネルの回動に連動して連携パネルを作動させて、後部煽りパネルの開放位置ではサブ反射器を露出させ、後部煽りパネルの閉鎖位置ではサブ反射器を隠蔽するようにした。
従って、後部煽りパネルが開放位置に回動してメイン反射器を遮ったときには、サブ反射器を露出させて後方から視認可能として視認性を確保できる。また、後部煽りパネルが閉鎖位置に回動してメイン反射器を後方から視認可能となったときには、連携パネルによりサブ反射器を隠蔽して視認不能とし、メイン反射器とサブ反射器との同時視認による誤認を未然に防止できる。
そして、サブ反射器は荷台の後端に配設され、そのサブ反射器を隠蔽可能な連携カバーも荷台の後端に配設されるため、運送中に後部煽りパネルへの荷物の衝突などが生じたとしてもサブ反射器や連携カバーの破損を未然に防止することができる。また、サブ反射器は荷台の後端に配設されているため、開放位置で後部煽りパネルが揺れたとしても全く関係なく良好な視認性を確保でき、後部煽りパネルを開放位置で固定する構造を必要としないことから製造コストを低減することができる。
【0010】
請求項2の発明の車両の後部反射器構造によれば、後部煽りパネルの閉鎖位置でサブ反射器に対して間隙を形成するように連携パネルを配設すると共に、後部煽りパネルの開放位置への回動に伴ってサブ反射器から連携パネルを離間させるようにした。
従って、連携パネルとサブ反射器との間に間隙が形成されることで土砂などが詰まり難くなり、しかも仮に土砂が詰まったとしても、後部煽りパネルの回動に伴ってサブ反射器から連携パネルが離間したときに、サブ反射器の表面から土砂が容易に剥離する。このため、付着物によるサブ反射器の視認性の低下を未然に防止することができる。
請求項3の発明の車両の後部反射器構造によれば、後部煽りパネルが閉鎖位置のときに連携カバーによりサブ反射器と共にヒンジを隠蔽するようにしたため、後方より見たときの車両の美観を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1及び第2実施形態のトラックの後部反射器構造が適用されたトラックを示す斜視図である。
【図2】第1実施形態のトラックを後方より見た部分後面図である。
【図3】第1実施形態の後部煽りパネルを閉鎖位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。
【図4】同じく後部煽りパネルを水平開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。
【図5】同じく後部煽りパネルを垂直開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。
【図6】第2実施形態のトラックを後方より見た部分後面図である。
【図7】第2実施形態の後部煽りパネルを閉鎖位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。
【図8】同じく後部煽りパネルを水平開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。
【図9】同じく後部煽りパネルを垂直開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[第1実施形態]
以下、本発明をトラックの後部反射器構造に具体化して第1実施形態を説明する。
図1は本実施形態のトラックの後部反射器構造が適用されたトラックを示す斜視図、図2は同じくトラックを後方より見た部分後面図である。なお、図2ではトラック後部の左側部分を示しているが、右側部分も左右対称の同一構造である。
トラックの荷台1は前方のキャビン2、左右の側部煽りパネル3及び後方の後部煽りパネル4に取り囲まれて形成されている。側部煽りパネル4は、荷台1の床面1aの左右両側端に対してヒンジ(図示なし)を介して回動可能に取り付けられ、同様に後部煽りパネル4は、床面1aの後端に対して左右一対のヒンジ5を介して回動可能に取り付けられ、それぞれ任意に開閉し得るようになっている。
後部煽りパネル4については、床面1aに対し直立して荷台1を取り囲む閉鎖位置、この閉鎖位置から床面1aと連続するように90度開いて荷台1を後方に開放する水平開放位置、及び水平開放位置からさらに90度開いて同じく荷台1を後方に開放する垂直開放位置との間で、ヒンジ5により回動し得るようになっている。閉鎖位置及び水平開放位置では後部煽りパネル4が固定可能となり、垂直開放位置では後部煽りパネル4は拘束されることなくヒンジ5を介して自重で垂下される。
【0013】
後部煽りパネル4の下方には左右にリアコンビネーションランプ6が配設され、各リアコンビネーションランプ6はスモールランプ、ウィンカーランプ、ブレーキランプ、バックランプなどから構成されている。また、各リアコンビネーションランプ6にはメイン反射器7が付設され、夜間の路上での駐車時には、後方から接近する他車のヘッドライトをメイン反射器7が反射し、これを視認することで他車の運転者は自車の存在を容易に認識し得るようになっている。このようなメイン反射器7は後部煽りパネル4が水平開放位置にあるときには閉鎖位置と同じく後方から視認可能であるが、図1に示すように垂直開放位置まで後部煽りパネル4を下ろすと、メイン反射器7は後部煽りパネル4に遮られて後方から視認できず本来の機能を失う。
図3は後部煽りパネル4を閉鎖位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図、図4は後部煽りパネル4を水平開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図、図5は後部煽りパネル4を垂直開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。各図は左側のヒンジ箇所を示す図2のA−A線断面図に相当するが、右側のヒンジ箇所も左右対称の同一構造となっている。
【0014】
床面1aの後端を構成するリアシル8(後端)の後側面には上記ヒンジ5の一端5aが図示しないボルトにより固定され、ヒンジ5の他端5bは後部煽りパネル4の基端面(図3では下面に相当)からパネル内に挿入されてボルト9により固定されている。ヒンジ5の軸部5cはリアシル8の後側面の後方に位置し、軸部5cを中心として上記のように後部煽りパネル4が閉鎖位置と垂直開放位置との間で回動する。このため、リアシル8の後端面の上半部及び軸部5cを含めたヒンジ5の大部分は、後部煽りパネル4の図3に示す閉鎖位置及び図5に示す垂直開放位置の何れでも後方に露出している。
図2に示すようにリアシル8の後側面には、左右のヒンジ5の車体外側にそれぞれ隣接するようにサブ反射器10が配設されている。各サブ反射器10は長方形板状をなして、接着剤などでリアシル8の後側面に貼着されている。高さ方向においてサブ反射器10はリアシル8の後側面上の上半部に位置するため、後述する連携カバー12が備えられていない状態では、後部煽りパネル4の閉鎖位置及び垂直開放位置の何れでもサブ反射器10は後部煽りパネル4に遮られることなく露出して後方から視認可能となる。一方、図4の後部煽りパネル4の水平位置では、サブ反射器10は後部煽りパネル4に遮られて後方から視認不能となる。
【0015】
左右のヒンジ5及びサブ反射器10の後方位置には連携カバー12がそれぞれ配設され、各連携カバー12は車幅方向においてヒンジ5及びサブ反射器10と対応する長さを有している。以下に述べるように各連携カバー12は後部煽りパネル4の回動に連動して作動し、その形態を変化させながらヒンジ5及びサブ反射器10を露出・隠蔽するようになっている。
連携カバー12はPP(ポリプロピレン)などの繰り返しの曲げに対応する素材により製作され、図3〜5に示すように3箇所で屈曲し得る屏風状をなし、車幅方向には同一断面形状を有している。詳しくは、連携カバー12は車体側固定面12a、下部可動面12b、上部可動面12c、及び煽り側固定面12dを、3箇所の屈曲可能なヒンジ部12e〜12gにより連結して構成されている。車体側固定面12aは断面直角状をなし、リアシル8の後側面の下部及び下面に図示しないビスで固定されている。また、煽り側固定面12dは後部煽りパネル4の基端面と対応する略直角状の断面形状をなし、同じく図示しないビスで固定されている。これにより連携カバー12は、リアシル8と後部煽りパネル4とを連結した状態で車体に取り付けられている。
【0016】
但し、連携カバー12の材質や形状は上記に限ることはなく、PPに代えて鋼板で製作したり、或いは以下に述べる連携カバー12の作用が得られる範囲内で形状を変更したりしてもよい。
上記のように図3の閉鎖位置にある後部煽りパネル4はサブ反射器10を遮ることなく後方に露出させているが、このときの連携カバー12はサブ反射器10を隠蔽する作用を奏する。即ち、連携カバー12は、車体側固定面12aの下面に対して下部可動面21bを水平に密着させ、この下部可動面12bに対して略直角状をなすように上部可動面12cを直立させて後部煽りパネル4の後側面と連続させている。結果として連携カバー12の上部可動面12cはサブ反射器10及びヒンジ5の後方に位置して、これらの部材10,5を隠蔽して後方から視認不能としている。また、上部可動面12cは後部煽りパネル4の後側面と連続する前後位置にあることから、リアシル8の後側面上のサブ反射器10との間には所定の間隙Lが形成されている。
【0017】
なお、本実施形態では図3から明らかなように、後部煽りパネル4の閉鎖位置で連携カバー12によりサブ反射器10が完全に隠蔽されるようにしたが、サブ反射器10を後方から視認不能にできれば必ずしも完全に隠蔽する必要はない。よって、閉鎖位置においてサブ反射器10の表面の大半が連携カバー12により隠蔽されるようにしてもよい。
そして、後部煽りパネル4を閉鎖位置から水平開放位置、さらには垂直解放位置へと回動させると、ヒンジ5の軸部5cを中心として連携カバー12の煽り側固定面12aは図3〜5の時計回りに回動しながら位置変更する。垂直開放位置まで回動したときの後部煽りパネル4によりメイン反射器7は隠蔽されるが、後部煽りパネル4の回動に連動して連携カバー12がサブ反射器10を露出させるため後方からの視認性が確保される。以下、このときの後部煽りパネル4の回動に応じた連携カバー12の作動状態を以下に述べる。
【0018】
まず、上記のように後部煽りパネル4が閉鎖位置にあるとき、連携カバー12の上部可動面12cによりサブ反射器10は隠蔽されて後方から視認不能とされている。このときのメイン反射器7は後部煽りパネル4に遮られずに露出しているため、後方の他車はメイン反射器7を視認して自車の存在を認識可能となる。
荷物の積み卸しに際して閉鎖位置から後部煽りパネル4を下ろす場合には、水平開放位置と垂直解放位置との2つ形態の何れかを採ることになる。例えば通常の積み卸し作業は垂直開放位置まで後部煽りパネル4を下ろして実施し、荷台に収まりきらない長尺物の荷物を積載する場合などには、後部煽りパネル4を水平開放位置に保持した状態で積み卸し作業を実施する。
【0019】
後部煽りパネル4を閉鎖位置から水平開放位置まで回動させると、図4に示すように、連携カバー12の煽り側固定面12dはヒンジ5の軸部5cの後方に位置する。これに伴って図4中に矢印で示すように、下部可動面12bはヒンジ部12eを中心として主に下方に位置変更し、上部可動面12cはヒンジ部12fを中心として主に後方に位置変更する。結果として、連携カバー12の上部可動面12cはサブ反射器10との間隙Lを拡大しながら、後部煽りパネル4の基端面から下方に連続してサブ反射器10を隠蔽し続ける。
上記のように後部煽りパネル4の水平開放位置では、メイン反射器7が後部煽りパネル4に遮られずに露出したままのため、メイン反射器7とサブ反射器10との同時視認による誤認を防止すべくサブ反射器10を隠蔽する必要がある。しかし、このときのサブ反射器10は元々後部煽りパネル4に遮られて後方から視認不能であり、しかも、後部煽りパネル4から下方に連続する連携カバー12も後方斜め下方からのサブ反射器10の視認を防止する役割を果たす。このためサブ反射器10は後方からの視認を確実に防止されて、メイン反射器7により後方からの視認性が確保される。
【0020】
一方、水平開放位置の後部煽りパネル4をさらに垂直開放位置まで回動させると、図5に示すように、連携カバー12の煽り側固定面12dはヒンジ5の軸部5cの下方に位置する。これに伴って図5中に矢印で示すように、下部可動面12bはヒンジ部12eを中心として主に前方に位置変更し、上部可動面12cはヒンジ部12fを中心として主に前方に位置変更する。結果として、後部煽りパネル4及び連携カバー12の上部可動面12cはサブ反射器10よりも下方に位置変更し、サブ反射器10は遮られることなく後方に露出する。
上記のように後部煽りパネル4の垂直開放位置では、メイン反射器7が後部煽りパネル4に遮られて後方から視認不能になるが、これに代えてサブ反射器10が露出することから、このサブ反射器により後方からの視認性が確保される。
なお、詳細は述べないが、垂直開放位置の後部煽りパネル4を水平開放位置を経て閉鎖位置まで回動させると、連携カバー12の作動は上記と逆の過程を経て行われ、再びメイン反射器7が後方から視認されるようになる。
【0021】
以上のように、後部煽りパネル4の閉鎖位置ではメイン反射器7により後方からの視認が確保され、水平開放位置では同じくメイン反射器7により後方からの視認が確保され、垂直開放位置ではサブ反射器10により後方からの視認が確保されると共に、何れの場合も他方の反射器が後部煽りパネル4や連携カバー12により隠蔽されて同時視認による誤認を未然に防止されている。よって、夜間での荷物の積み卸しの際などには、後方の他車が自車の存在を容易に認識でき、もって後方からの自車に対する他車の衝突を未然に防止することができる。
そして、以上の説明から明らかなように、サブ反射器10及び連携カバー12はリアシル8の後側面に設けられている。このため、運送中に閉鎖位置にある後部煽りパネル4への荷物の衝突などが生じたとしても、これらのサブ反射器10や連携カバー12が破損する虞は一切なく、如何なる場合でも本来の後方他車への注意喚起の機能を良好に奏することができる。
【0022】
また、サブ反射器10はリアシル8に貼着されているため、垂直開放位置で後部煽りパネル4が揺れたとしても全く関係なく良好な視認性を確保できる。よって、特許文献1の技術のように後部煽りパネル4を垂直開放位置に下ろした状態で固定する構造を必要とせず、製造コストを高騰させることなく実施することができる。
しかも、図3,4から明らかなように後部煽りパネル4が閉鎖位置にあるとき、連携カバー12の上部可動面12cはサブ反射器10に接触することなく間隙Lをもって十分に離間し、且つ後部煽りパネル4の水平開放位置への回動に応じて上部可動面12cはサブ反射器10との間隙Lを拡大しており、これらの要件はサブ反射器10の表面への付着物を防止する作用を奏する。
即ち、トラックの荷台1には土砂などが直接積載される場合もあり、サブ反射器10に連携カバー12の上部可動面12cが近接していると両者間に容易に土砂が詰まり、後部煽りパネル4を垂直開放位置にしても、サブ反射器10の表面に土砂が付着物として残って視認性を低下させる要因になり得る。
【0023】
本実施形態では、サブ反射器10と連携カバー12の上部可動面12cとの間に間隙Lが形成されているため、両者間に進入した土砂は連携カバー12の左右の開放端から外部に排出されて詰まりを発生し難い。しかも、仮にサブ反射器10と連携カバー12との間に土砂が詰まったとしても、後部煽りパネル4の回動に応じてサブ反射器10から上部可動面12cが離間するため、土砂はサブ反射器10の表面から容易に剥離する。よって、付着物によるサブ反射器10の視認性の低下を未然に防止できるという別の効果も達成できる。
加えて、後部煽りパネル4の閉鎖位置において連携カバー12はサブ反射器10を隠蔽するだけでなく、後部煽りパネル4の開閉を案内するヒンジ5も隠蔽している。このため外部に露出したヒンジ5が煩雑な印象を与えることが防止され、後方より見たときのトラックの美観を向上できるという利点も得られる。
【0024】
[第2実施形態]
次に、本発明を別のトラックの後部反射器構造に具体化した第2実施形態を説明する。本実施形態のトラックの基本的な構成、例えば後部煽りパネル4とリアコンビネーションランプ6との位置関係などは第1実施形態で述べたものと同様であり、相違点は連携カバー21の構成にある。そこで、共通する構成の箇所は同一部材番号を付して説明を省略し、相違点を重点的に説明する。
図6は本実施形態の車両の後部反射器構造が適用されたトラックを後方より見た部分後面図、図7は後部煽りパネル4を閉鎖位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図、図8は後部煽りパネル4を水平開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図、図9は後部煽りパネル4を垂直開放位置としたときのヒンジ箇所を示す断面図である。図7〜9は左側のヒンジ箇所を示す図6のB−B線断面図に相当するが、右側のヒンジ箇所も左右対称の同一構造となっている。
【0025】
第1実施形態と同じくサブ反射器10はリアシル8の後側面の左右に貼着されている。本実施形態の連携カバー21は、サブ反射器10及びヒンジ5に対応する第1実施形態のものとは異なり、サブ反射器10のみに対応する車幅方向の長さをそれぞれ有している。連携カバー21はPPにより製作されて所定の厚みを有する四角板状をなし、規制ピン22を介してリアシル8の後端面に連結される一方、捩りばね23を介して後部煽りパネル4の基端面に連結されている。但し、連携カバー21の材質や形状が上記に限定されるものでないことは第1実施形態で述べたとおりである。
上記規制ピン22は、リアシル8の後側面上に固定されたブラケット24(図6に示す)に支持され、ブラケット24から車体内側に向けて水平方向に指向している。規制ピン22は連携カバー21に貫通形成された長孔21a内に挿入され、長孔21aは上下方向に延設されている。このため連携カバー21は規制ピン22により主に車両前後方向への位置変位を規制されると共に、規制ピン22を中心とした角度変位、及び長孔21aの範囲内での上下方向への位置変位を許容されている。
【0026】
上記捩りばね23の一端23aは連携カバー21の上部一側に挿入・固着され、捩りばね23の他端23bは後部煽りパネル4の基端面に固着されている。捩りばね23は一端23a及び他端23bを接近させる方向に付勢力を発生させており、その付勢力を受けて連携カバー21は常に図7〜9の時計回り、即ちリアシル8の後側面側に接近する方向、及び後部煽りパネル4の基端面側に接近する方向に付勢されている。
図7に示すように後部煽りパネル4が閉鎖位置にあるとき、連携カバー21は規制ピン22により前後方向への位置変位を規制されながら、捩りばねの付勢力により上方に引き上げられてサブ反射器10の後方に位置している。このためサブ反射器10は連携カバー21に隠蔽されて後方から視認不能とされている。このときのメイン反射器7は後部煽りパネル4に遮られることなく露出しているため、後方の他車はメイン反射器7を視認することにより自車の存在を認識することができる。
【0027】
そして、図8に示すように、後部煽りパネル4を閉鎖位置から水平開放位置まで回動させると、後部煽りパネル4の基端面と共に捩りばね23の他端23bはヒンジ5の軸部5cを中心として時計回りに回動し、水平開放位置ではヒンジ5の軸部5cの後方に位置する。結果として、図7に示した状態から捩りばね23が若干下方且つ車両後方に位置変位することから、連携カバー21も下方に位置変位すると共に、その上部を車両後方に位置変位させてサブ反射器10から離間する。このときのサブ反射器10は後方に位置する後部煽りパネル4、及び後部煽りパネル4から下方に向けて連続する連携カバー21により隠蔽されて後方からの視認を妨げられる。
一方、図9に示すように、水平開放位置の後部煽りパネル4をさらに垂直開放位置まで回動させると、捩りばね23の他端23bはヒンジ5の軸部5cを中心としてさらに時計回りに回動し、垂直開放位置ではヒンジ5の軸部5cの下方に位置する。結果として、捩りばね23がさらに下方に位置変位すると共に車両前方にも位置変位することから、連携カバー21はさらに下方に位置変位しながら上部を車両前方に位置変位させる。このため、後部煽りパネル4及び連携カバー21は共にサブ反射器10の下方に位置し、サブ反射器10は露出して後方から視認可能となる。
【0028】
従って、重複する説明はしないが第1実施形態と同じく、後方からの視認は、後部煽りパネル4の閉鎖位置及び水平開放位置ではメイン反射器7により確保され、垂直開放位置ではサブ反射器10により確保されると共に、何れの場合も他方の反射器は誤認防止のために後部煽りパネル4や連携カバー21により隠蔽されるため、他車の後方からの衝突を未然に防止できる。そして、連携カバー21、規制ピン22、捩りばね23などの全ての部材がリアシル8の後側面に設けられているため、運送中の荷物の衝突などに起因する破損を防止できる。また、垂直解放位置で後部煽りパネル4を固定する必要がないことから、製造コストを高騰させることなく実施することができる。
加えて、図7〜9から明らかなように、本実施形態でも第1実施形態と同様に、後部煽りパネル4の回動に応じて連携カバー21がサブ反射器10との間の距離を変化させている。このため、仮に荷台1に積載した土砂がサブ反射器10と連携カバー21との間に詰まったとしても、後部煽りパネル4の回動に応じてサブ反射器10から連携カバー21が離間することから、土砂はサブ反射器10の表面から容易に剥離して視認性の低下を防止することができる。
【0029】
なお、図7に示すように、サブ反射器10と連携カバー21との間隙Lは第1実施形態に比較して狭いため、両者間に土砂が詰まり易い。そこで、例えば規制ピン22及び捩りばね23の一端23aの位置を車両後方に変更してもよく、このようにすれば両者間に十分な間隙Lを形成して土砂をさらに詰まり難くでき、もってサブ反射器10の視認性の低下を一層確実に防止することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の態様はこの実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、トラックの後部反射器構造に具体化したが、後部煽りパネルを備えると共に、この後部煽りパネルを開放したときにメイン反射器が遮られて後方より視認不能となるものであれば、トラックに限定されるものではなく他の車種に適用してもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 荷台
4 後部煽りパネル
5 ヒンジ
7 メイン反射器
8 リアシル(後端)
10 サブ反射器
12,21 連携カバー
L 間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の荷台の後端に回動可能に連結されて閉鎖位置において該荷台を形成し、下方に回動した開放位置では上記荷台を後方に開放する後部煽りパネルと、
上記後部煽りパネルの下方に配設されて後方から照射される他車のライトを反射して視認可能となる一方、上記開放位置に回動した後部煽りパネルにより遮られて後方からの視認が不能となるメイン反射器と、
上記荷台の後端に配設されて、上記後部煽りパネルの閉鎖位置及び開放位置の何れにおいても上記後方他車のライトを反射して視認可能なサブ反射器と、
上記後部煽りパネルの回動に連動して作動して、該後部煽りパネルの開放位置では上記サブ反射器を露出させて視認可能とし、該後部煽りパネルの閉鎖位置では上記サブ反射器を隠蔽して視認不能とする連携カバーと
を備えたことを特徴とする車両の後部反射器構造。
【請求項2】
上記連携カバーは、上記後部煽りパネルの閉鎖位置において上記サブ反射器に対して所定の間隙を介して後方に位置して該サブ反射器を隠蔽すると共に、該後部煽りパネルの開放位置への回動に伴って上記サブ反射器から離間しながら該サブ反射器を露出させることを特徴とする請求項1記載の車両の後部反射器構造。
【請求項3】
上記サブ反射器は、上記後部煽りパネルを上記荷台の後端に対して回動可能に連結するヒンジに隣接して配設され、
上記連携カバーは、上記後部煽りパネルが閉鎖位置のときに上記サブ反射器と共に上記ヒンジを隠蔽することを特徴とする請求項1または2記載の車両の後部反射器構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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