説明

車両の後部構造

【課題】ランプ別体型でありつつ、補助ストップランプの後方配光性を犠牲にせず、補助ストップランプの悪意による取外しを確実に防止し、また、外付けのランプを、エアスポイラと補助ストップランプとの疑似的な一体感を確保しつつ、ハーネスグロメットなどの必要性がなく、低コスト化を図る車両の後部構造を提供する。
【解決手段】補助ストップランプ30を、後方発光面31の外側に鍔部32,33を延ばしたものとし、補助ストップランプ30の鍔部32,33より前方側を車体部材10の収納孔20に収納すると共に、鍔部32,33の裏面側にシール部材39を配して、鍔部32,33を車体部材10に取付け、エアスポイラ19が、補助ストップランプ30の車両後方側にて鍔部32に重なるガード部を有して、車体部材10に取付けられたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両の後部の車体部材に補助ストップランプとエアスポイラとを近接して配置したような車両の後部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上述例の車両の後部構造としては、車両の後部の車体部材であるリフトゲートやルーフパネルに対して補助ストップランプ(いわゆるハイマウントストップランプ)とエアスポイラとを一体的にして取付けた構造が知られている。
このように、補助ストップランプとエアスポイラとを一体化すると見栄えの向上を図ることができる。
【0003】
エアスポイラと補助ストップランプとを一体化する場合、エアスポイラはハーネスとは全く関係がない反面で、補助ストップランプには電源供給用のハーネスが必要不可欠となり、補助ストップランプとエアスポイラとの一体化を図る場合には、ハーネスを車体側に延ばす必要がある。
【0004】
車体部材としてのリフトゲートまたはルーフパネルは、一般に板金製であって、上述のハーネスを車体側に延ばすためには、ハーネスを挿通させるためのハーネス孔を車体部材に形成する必要がある。
【0005】
また、エアスポイラは補助ストップランプの外回りに配置される関係上、シール性を確保する目的で上述のハーネスにはその外周にハーネスグロメットを被着し、該ハーネスグロメットを車体部材の孔に嵌合してシール性を確保する構造が採用されている。
このように、補助ストップランプとエアスポイラとを一体化して車両後部の車体部材に配置する構造では、ハーネスグロメットや該グロメットを嵌合するための加工孔等が必要となるので、必ずしも低コスト化を図ることができない問題点があった。
【0006】
そこで、低コスト化を図るためには、補助ストップランプとエアスポイラとを、車両後部の車体部材に対して別々に取付けることが考えられるが、補助ストップランプとエアスポイラとを互に離れた位置に設けると、これら両者(補助ストップランプ、エアスポイラ)の一体感がなくなるので、これら両者には疑似的な一体感を有する取付けが要請される。
【0007】
また、補助ストップランプが外方から悪意等により簡単に取外されると、車体部材内のハーネスカプラを介して車両のドアやリフトゲート等のドアロック、ゲートロックの解除操作の可能性につながりかねないので、補助ストップランプは外方から容易に取外されない構成が要請されるものである。
要するに、低コスト化を図る目的で、補助ストップランプとエアスポイラとを車体部材に別々に取付ける場合には、これら両者の疑似的な一体感確保と、補助ストップランプの取外し防止性能の確保との両立を図ることが要請される。
【0008】
ところで、特許文献1には、リヤスポイラにストップランプを一体的に取付け、ストップランプが一体化されたリヤスポイラを、車体部材としてのバックドアに配置した構成(ランプ一体型の構成)が開示されているが、この特許文献1に開示された構造では、上述同様にハーネスグロメットや該グロメットを嵌合するための加工孔が必要となる関係上、必ずしも低コスト化を図ることはできない。
また、特許文献2には、ルーフスポイラとハイマウントストップランプとを別体と成して、これら両者をルーフパネルの後部に配置した構造(ランプ別体型の構成)が開示されているが、該特許文献2にはハイマウントストップランプの取外し防止に関する技術思想については全く開示されておらず、その示唆もない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2009−29241号公報
【特許文献2】特開平10−181642号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、この発明は、補助ストップランプを、後方発光面の外側に鍔部を延ばしたものとし、該補助ストップランプの上記鍔部より前方側を車体部材の収納孔に収納すると共に、該鍔部の裏面側にシール部材を配して、該鍔部を車体部材に取付け、エアスポイラが、上記補助ストップランプの車両後方側にて上記鍔部に重なるガード部を有して、車体部材に取付けられることで、ランプ別体型(補助ストップランプとエアスポイラとが別体になったタイプ)でありながら、補助ストップランプの後方配光性を犠牲にすることなく、該補助ストップランプの悪意による取外しを確実に防止することができ、また、外付けタイプのランプを、エアスポイラと補助ストップランプとの疑似的な一体感を確保しながらも、従来のランプ一体型でのハーネスグロメットなどの必要性がなく、低コスト化を図ることができる車両の後部構造の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明による車両の後部構造は、車両の後部の車体部材に補助ストップランプとエアスポイラとを近接して配置した車両の後部構造であって、上記補助ストップランプを、後方発光面の外側に鍔部を延ばしたものとし、該補助ストップランプの上記鍔部より前方側を車体部材の収納孔に収納すると共に、該鍔部の裏面側にシール部材を配して、該鍔部を車体部材に取付け、上記エアスポイラが、上記補助ストップランプの車両後方側にて上記鍔部に重なるガード部を有して、車体部材に取付けられたものである。
上述の車両の後部の車体部材は、ルーフパネルまたはリフトゲートとすることができる。また、上述のシール部材としては、Oリングなどのシール部材や充填シール剤などを選定して用いることができる。
【0012】
上記構成によれば、補助ストップランプの後方発光面の外側に延出された鍔部が、エアスポイラのガード部で車両後方側から重なるように覆われるので、ランプ別体型でありながら、補助ストップランプの後方配光性を犠牲にすることなく、該補助ストップランプの悪意による取外しを上述のガード部にて確実に防止することができる。
【0013】
また、外付けタイプのランプ(補助ストップランプ)を、エアスポイラと補助ストップランプとの疑似的な一体感を確保して、見栄えを確保しつつ、従来のランプ一体型(補助ストップランプとエアスポイラとが一体になったタイプ)でのハーネスグロメットなどの必要性がなく、低コスト化を図ることができる。
【0014】
要するに、ランプ別体型でありつつ、補助ストップランプとエアスポイラとの両者の疑似一体感の確保と、補助ストップランプの取外し防止性能の確保とを両立することができ、低コスト化を達成することができる。
因に、補助ストップランプの鍔部のうち少なくとも3辺で重なるガード部を有することが好ましい。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記車体部材がリフトゲートであり、上記エアスポイラが該リフトゲートのウインド開口の上側に配置され、該エアスポイラの車幅方向の中央部位の下側を上方に凹状に窪ませた凹状壁面部を有し、上記ガード部が該凹状壁面部で構成されたものである。
【0016】
上記構成によれば、次の如き効果がある。
すなわち、リフトゲートはラッチとストライカとから成るロック機構により車体に係合されており、仮に上記補助ストップランプが不正に取外されると、リフトゲート内部のハーネスカプラを介して、ゲートロックやドアロックの解除操作の可能性につながりかねないが、エアスポイラの上記凹状壁面部で構成されるガード部が補助ストップランプの鍔部に対して車両後方側から重なっているので、該補助ストップランプの不正取外しが確実に防止されて、上述の如き危険性を回避することができる。
【0017】
この発明の一実施態様においては、上記リフトゲートのアウタパネルのウインド開口の上側が、上記エアスポイラを取付ける第1の面と、該第1の面に対して角度をもって連続して上記収納孔を形成する第2の面とを有し、上記凹状壁面部が該第2の面まで延びて補助ストップランプの鍔部との間に隙間を形成したものである。
上記構成によれば、リフトゲートのアウタパネルにおけるウインド開口の上側に、上述の第1の面と、第2の面とを形成したので、リフトゲートのデザイン自由度と、補助ストップランプのランプ設定角度とを満足させることができる。
【0018】
また、補助ストップランプの鍔部と、第2の面まで延びる凹状壁面部(つまりガード部)との間には、隙間を形成したので、補助ストップランプとの干渉をなくした状態でエアスポイラをリフトゲートに確実に取付けることができる。
ここで、上述の隙間は、補助ストップランプが不正に取外されない程度の微少隙間が好ましい。
【発明の効果】
【0019】
この発明によれば、補助ストップランプを、後方発光面の外側に鍔部を延ばしたものとし、該補助ストップランプの上記鍔部より前方側を車体部材の収納孔に収納すると共に、該鍔部の裏面側にシール部材を配して、該鍔部を車体部材に取付け、エアスポイラが、上記補助ストップランプの車両後方側にて上記鍔部に重なるガード部を有して、車体部材に取付けられたので、ランプ別体型(補助ストップランプとエアスポイラとが別体になったタイプ)でありながら、補助ストップランプの後方配光性を犠牲にすることなく、該補助ストップランプの悪意による取外しを確実に防止することができ、また、外付けタイプのランプを、エアスポイラと補助ストップランプとの疑似的な一体感を確保しながらも、従来のランプ一体型でのハーネスグロメットなどの必要性がなく、低コスト化を図ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の車両の後部構造を示す斜視図
【図2】エアスポイラおよび補助ストップランプを取外した状態の車体部材の斜視図
【図3】図1のA−A線矢視断面図
【図4】図3のB−B線矢視断面図
【図5】補助ストップランプを車両後方から目視した状態で示す背面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
ランプ別体型(補助ストップランプとエアスポイラとが別体になったタイプ)でありながら、補助ストップランプの後方配光性を犠牲にすることなく、該補助ストップランプの悪意による取外しを確実に防止することができ、また、外付けタイプのランプを、エアスポイラと補助ストップランプとの疑似的な一体感を確保しながらも、従来のランプ一体型でのハーネスグロメットなどの必要性がなく、低コスト化を図ることができるという目的を、車両の後部の車体部材に補助ストップランプとエアスポイラとを近接して配置した車両の後部構造において、上記補助ストップランプを、後方発光面の外側に鍔部を延ばしたものとし、該補助ストップランプの上記鍔部より前方側を車体部材の収納孔に収納すると共に、該鍔部の裏面側にシール部材を配して、該鍔部を車体部材に取付け、上記エアスポイラが、上記補助ストップランプの車両後方側にて上記鍔部に重なるガード部を有して、車体部材に取付けられるという構成にて実現した。
【実施例】
【0022】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は車両の後部構造を示し、図1はその外観斜視図、図2はエアスポイラおよび補助ストップランプを取外した状態の車体部材の斜視図、図3は図1のA−A線矢視断面図、図4は図3のB−B線矢視断面図、図5は補助ストップランプの背面図である。なお、図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印UPは車両上方を示す。
【0023】
図1において、車両の後部の車体部材としてのリフトゲート10は、その上下方向の上部にリヤウインド11を有すると共に、上下方向中間の左右両サイドにはリヤコンビネーションランプ12,12を備えている。
【0024】
図1のA−A線矢視断面図を図3に示すように、上述のリフトゲート10はリフトゲートアウタパネル13とリフトゲートインナパネル14とを接合固定して構成されたもので、図3に示すリフトゲート10の上部においては、リフトゲートアウタパネル13とリフトゲートインナパネル14とをその前後のフランジ結合部15,16で結合し、これら両パネル13,14間には、車幅方向に延びる閉断面17を形成して、リフトゲート10の上部剛性の向上を図っている。
このリフトゲート10は、車両後部の荷室開口を開閉するもので、該リフトゲート10はラッチおよびストライカから成るロック機構(図示せず)により後部車体に対してアンロック可能にロックされるようになっている。
【0025】
図3に示すように、上述のリフトゲート10はリヤウインド11を配設するウインド開口18を有し、リフトゲート10の該ウインド開口18の上側、さらに詳しくは、フランジ結合部16の上側にはエアスポイラ19を配置している。
このエアスポイラ19は、図1、図3に示すように、上面部19aと、後面部19bと、取付け面部19cとを有して、車幅方向の全幅にわたって延びると共に、内部中空に形成されており、エアスポイラ19の上面部19aは、リフトゲート10の閉時に、ルーフパネル(図示せず)と、リフトゲート10を形成するリフトゲートアウタパネル13のトップデッキ面13aとに対して車両前後方向に連続するように形成されている。
【0026】
図2、図3に示すように、リフトゲート10のリフトゲートアウタパネル13のウインド開口18の上側は、上述のトップデッキ面13aの後端から前高後低状に緩角度(例えば、20〜25°)で傾斜して上記エアスポイラ19を取付ける第1の面13bと、この第1の面13bに対して角度をもって前高後低状に急角度(トップデッキ面13aに対して例えば60〜70°)で連続して傾斜して収納孔20を形成する第2の面13cとを有するものである。
【0027】
図2に示すように、上述の第1の面13bには、車幅方向に適宜間隔を隔てて上方へ隆起する複数のスポイラ取付け座21…を一体形成し、図3に示すように、これらの各スポイラ取付け座21に、取付け部材22を用いて、エアスポイラ19の取付け面部19cを固定している。
つまり、エアスポイラ19は取付け部材22によって、リフトゲート10の室内側から取付けられ、室外側から取外し不能となっている。
なお、リフトゲートアウタパネル13の第1の面13bと、エアスポイラ19の取付け面部19cとの間には、必要に応じて接着剤23が介設される。
【0028】
ここで、上述のスポイラ取付け座21を隆起形成することにより、第1の面13bにエアスポイラ19を取付けた際、これら両者13b,19間には、スポイラ取付け座21の隆起高さに相当するギャップが形成されるので、このギャップによりエアスポイラ19の成形誤差を吸収することができる。
一方、上述のエアスポイラ19と近接して配置される補助ストップランプ30(いわゆる、ハイマウントストップランプ)は、制動時(ブレーキング時)に点灯するランプであって、この補助ストップランプ30は、図3、図4、図5に示すように、後方発光面としてのレンズ面31(図5において点線で囲まれた部分参照)の上下左右の各外側にフランジ32,33,34,35(図5において点線よりも外側の部分参照)を一体に延ばしたものとしている。
【0029】
また、上述のレンズ面31の裏面側には、光の配光方向を定める凹凸形状のプリズム面36が一体形成されている(図4参照)。なお、プリズム面36は車幅方向の全幅にわたって形成されておらず、車幅方向両サイド部にはプリズム面36が存在しないようになっている。
さらに、上述のレンズ面31と各フランジ32,33,34,35との境界部には、車両の前方に延びる環状の枠部37が一体形成されており、これら各要素31〜37から成るレンズと、ランプハウジング38との両者で、上述の補助ストップランプ30が構成されている。この実施例では、該補助ストップランプ30は、車幅方向に長い横長形状に形成されている。
【0030】
図3、図4に示すように、上述の補助ストップランプ30の各フランジ32,33,34,35より前方側をリフトゲート10の第2の面13cに開口形成された収納孔20に収納すると共に、各フランジ32,33,34,35の裏面側には、Oリングまたは充填シール剤などのシール部材39を配して、各フランジ32,33,34,35を第2の面13cに取付けている。
【0031】
図2に示すように、この実施例では、第2の面13cの車幅方向中央部を、補助ストップランプ30のフランジ32,33,34,35の形状に対応させて車両前方側へ窪ませて段差部13dを形成し、この段差部13dに上述の収納孔20を形成し、また、該段差部13dに各フランジ32,33,34,35を取付けるように構成している。
【0032】
図2に示すように、この段差部13dの複数箇所には、補助ストップランプ30を取付ける取付け部p1,p2,p3を形成し、図5に示すように、これらの各取付け部p1,p2,p3に、車外側からビスまたはクリップ等の取付け部材41,42,43を用いて補助ストップランプ30が外付け固定されるものである。
しかも、図1に示すように、エアスポイラ19には、補助ストップランプ30の車両後方側にて4辺の各フランジ32,33,34,35のうち3辺のフランジ32,34,35に重なるガード部19Gが一体形成されている。
【0033】
図1、図5に示すように、上述のガード部19Gは、エアスポイラ19の車幅方向の中央部位の下側を上方に凹状に窪ませて上片19x、左側片19y、右側片19zから成る凹状壁面部で構成されている。
この凹状壁面部は上述の第2の面13cまで延びており、補助ストップランプ30の3辺のフランジ32,34,35とガード部19Gとの間には隙間g1,g2,g3(図3、図4参照)が形成されている。
【0034】
上述の補助ストップランプ30は、エアスポイラ19をリフトゲート10の第1の面13bに取付ける以前において、図5に示す複数の取付け部材41,42,43を用いて、リフトゲート10の第2の面13cに外付け固定される。
この補助ストップランプ30の固定後に、エアスポイラ19がリフトゲートアウタパネル13に組付けられるものであり、図5に示すように、補助ストップランプ30およびエアスポイラ19が取付け完了すると、エアスポイラ19のガード部19Gにより、補助ストップランプ30の4辺のフランジ32,33,34,35のうち3辺の各フランジ32,34,35がガード部19Gで車外側から覆われ、特に、ランプ取付け用の複数の取付け部材41,42,43のうち、上側の取付け部材41がガード部19Gで車外側から完全に覆われた構造となる。
【0035】
この結果、補助ストップランプ30の悪意による取出しを上述のガード部19Gにて確実に防止することができる。
ガード部19Gを構成する凹状壁面部の上片19xは、図3に示すように、フランジ32の位置まで延出しており、補助ストップランプ30のレンズ面31を塞ぐものではない。
【0036】
また、ガード部19Gを構成する凹状壁面部の左側片19y、右側片19zは、図4に示すように、フランジ34,35を完全に塞ぐが、レンズ面31においてその裏面のプリズム面36が形成されていない車幅方向の両サイド部分まで塞ぐ構造となっている。
このため、図3に側面図で示す上下方向の発光エリアαと、図4に平面図で示す車幅方向の発光エリアβと、を充分に確保することができて、補助ストップランプ30の後方配光性を何等犠牲にするものではない。
【0037】
なお、図3において、44はリフトゲートインナパネル14に形成されたハーネス挿通用の開口部、45はトリム部材、46はリヤウインド11をリフトゲート10のウインド開口18周縁部に接着するための接着剤である。
【0038】
このように、上記実施例の車両の後部の車体部材(リフトゲート10参照)に補助ストップランプ30とエアスポイラ19とを近接して配置した車両の後部構造であって、上記補助ストップランプ30を、後方発光面(レンズ面31参照)の外側に鍔部(フランジ32,33,34,35参照)を延ばしたものとし、該補助ストップランプ30の上記鍔部(フランジ32,33,34,35)より前方側を車体部材(リフトゲート10参照)の収納孔20に収納すると共に、該鍔部(フランジ32,33,34,35)の裏面側にシール部材39を配して、該鍔部(フランジ32,33,34,35)を車体部材(リフトゲート10参照)に取付け、上記エアスポイラ19が、上記補助ストップランプ30の車両後方側にて上記鍔部(フランジ32,33,34,35のうちの少なくとも1つのフランジ)に重なるガード部19Gを有して、車体部材(リフトゲート10参照)に取付けられたものである(図3、図5参照)。
【0039】
この構成によれば、補助ストップランプ30の後方発光面(レンズ面31参照)の外側に延出された鍔部(フランジ32参照)が、エアスポイラ19のガード部19Gで車両後方側から重なるように覆われるので、ランプ別体型でありながら、補助ストップランプ30の後方配光性を犠牲にすることなく、該補助ストップランプ30の悪意による取外しを上述のガード部19Gにて確実に防止することができる。
【0040】
また、外付けタイプのランプ(補助ストップランプ30)を、エアスポイラ19と該補助ストップランプ30との疑似的な一体感を確保して、見栄えを確保しつつ、従来のランプ一体型(補助ストップランプとエアスポイラとが一体になったタイプ)でのハーネスグロメットなどの必要性がなく、低コスト化を図ることができる。
【0041】
要するに、ランプ別体型でありつつ、補助ストップランプ30とエアスポイラ19との両者の疑似一体感の確保と、補助ストップランプ30の取外し防止性能の確保とを両立することができ、低コスト化を達成することができる。
なお、補助ストップランプ30の鍔部(フランジ32,33,34,35参照)のうち少なくとも3辺(この実施例では、3辺の各フランジ32,34,35)で重なるガード部19Gを有することが好ましい。
【0042】
また、上記車体部材がリフトゲート10であり、上記エアスポイラ19が該リフトゲート10のウインド開口18の上側に配置され、該エアスポイラ19の車幅方向の中央部位の下側を上方に凹状に窪ませた凹状壁面部(ガード部19G参照)を有し、上記ガード部19Gが該凹状壁面部で構成されたものである(図1、図3参照)。
【0043】
この構成によれば、次の如き効果がある。
すなわち、リフトゲート10はラッチとストライカとから成るロック機構により車体に係合されており、仮に上記補助ストップランプ30が不正に取外されると、リフトゲート10内部のハーネスカプラを介して、ゲートロックやドアロックの解除操作の可能性につながりかねないが、エアスポイラ19の上記凹状壁面部で構成されるガード部19Gが補助ストップランプ30の鍔部(この実施例では各フランジ32,34,35)に対して車両後方側から重なっているので、該補助ストップランプ30の不正取外しが確実に防止されて、上述の如き危険性を回避することができる。
【0044】
さらに、上記リフトゲート10のアウタパネル13のウインド開口18の上側が、上記エアスポイラ19を取付ける第1の面13bと、該第1の面13bに対して角度をもって連続して上記収納孔20を形成する第2の面13cとを有し、上記凹状壁面部(ガード部19G参照)が該第2の面13cまで延びて補助ストップランプ30の鍔部(フランジ32,34,35参照)との間に隙間g1,g2,g3を形成したものである(図2〜図5参照)。
【0045】
この構成によれば、リフトゲート10のアウタパネル13におけるウインド開口18の上側に、上述の第1の面13bと、第2の13c面とを形成したので、リフトゲート10のデザイン自由度と、補助ストップランプ30のランプ設定角度とを満足させることができる。
【0046】
また、補助ストップランプ30の鍔部(フランジ32,34,35参照)と、第2の面13cまで延びる凹状壁面部(つまりガード部19G)との間には、隙間g1,g2,g3を形成したので、エアスポイラ19と補助ストップランプ30との干渉をなくした状態で、エアスポイラ19をリフトゲート10に確実に取付けることができる。
【0047】
ここで、上述の隙間は、補助ストップランプが不正に取外されない程度の微少隙間が好ましい。
加えて、上記実施例で開示したように、補助ストップランプ30のフランジ32をリフトゲート10に取付ける取付け部材41が、上述のガード部19G(その上片19x参照)で車両後方側から覆われるように構成したので、補助ストップランプ30の不正取外しをより一層確実に防止することができる。
【0048】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の車体部材は、実施例のリフトゲート10に対応し、
以下同様に、
補助ストップランプの後方発光面は、レンズ面31に対応し、
補助ストップランプの鍔部は、フランジ32,33,34,35に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
例えば、補助ストップランプの4辺の鍔部に対し、エアスポイラのガード部が、左右の2辺に重なるようにしてもよく、また、車両後部の車体部材をルーフパネルに設定して、本発明を適用してもよいことは勿論である。
【符号の説明】
【0049】
10…リフトゲート(車体部材)
13…アウタパネル
13b…第1の面
13c…第2の面
18…ウインド開口
19…エアスポイラ
19G…ガード部
20…収納孔
30…補助ストップランプ
31…レンズ面(後方発光面)
32,33,34,35…フランジ(鍔部)
39…シール部材
g1,g2,g3…隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後部の車体部材に補助ストップランプとエアスポイラとを近接して配置した
車両の後部構造であって、
上記補助ストップランプを、後方発光面の外側に鍔部を延ばしたものとし、
該補助ストップランプの上記鍔部より前方側を車体部材の収納孔に収納すると共に、
該鍔部の裏面側にシール部材を配して、該鍔部を車体部材に取付け、
上記エアスポイラが、上記補助ストップランプの車両後方側にて上記鍔部に重なるガード部を有して、車体部材に取付けられた
車両の後部構造。
【請求項2】
上記車体部材がリフトゲートであり、
上記エアスポイラが該リフトゲートのウインド開口の上側に配置され、
該エアスポイラの車幅方向の中央部位の下側を上方に凹状に窪ませた凹状壁面部を有し、
上記ガード部が該凹状壁面部で構成された
請求項1記載の車両の後部構造。
【請求項3】
上記リフトゲートのアウタパネルのウインド開口の上側が、上記エアスポイラを取付ける第1の面と、
該第1の面に対して角度をもって連続して上記収納孔を形成する第2の面とを有し、
上記凹状壁面部が該第2の面まで延びて補助ストップランプの鍔部との間に隙間を形成した
請求項2記載の車両の後部構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−116277(P2012−116277A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−266647(P2010−266647)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】