説明

車両の後部車体

【課題】リヤノーズが短く支持部材の配置スペースが確保できない車両においても意匠面を支持することを可能にするとともに、意匠面の広い領域に亘って面剛性の確保をすることを可能にする。
【解決手段】車体11の後輪18上方に配置されて意匠面が構成されるフェンダ外板部81を有するリヤフェンダパネル43と、車体後部の開口部15の下縁15bに沿って配置されてリヤフェンダパネル43に連なって意匠面を構成するリヤバンパフェイス22と、フェンダ外板部81に連なってバンパ外板部22aの背面に延び、リヤバンパフェイス22が結合される結合部106と、フェンダ外板部81及びバンパ外板部22aの背面に配置された車体骨格部材35に形成され、リヤフェンダパネル43から結合部106を跨いでリヤバンパフェイス22に及ぶ領域を背面側から支持する支持部103と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後輪上方に配置されて意匠面を構成するリヤフェンダパネルが設けられ、このリヤフェンダパネルに連なって意匠面を構成するリヤバンパフェイスが設けられる車両の後部車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部車体に利用できる技術として、フロントフェンダの取付構造が知られている。この技術は、車体の前方側部を覆うフロントフェンダと、車体の側部の骨組みをなすフロントピラーと、このフロントピラーのアウタパネルとフロントフェンダとで構成される隙間を覆うとともに、フロントフェンダの支持剛性を向上するエンクロージャと、このエンクロージャからフロントフェンダのホイールアーチ縁部に向けて延出したエンクロージャエクステンションと、このエンクロージャエクステンションに且つフロントフェンダの内面に沿わせて形成されたフェンダ補強部と、から構成される。
【0003】
この技術によれば、平坦で面積の広いホイールアーチ縁部の面剛性を高めることが可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−15834公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1の技術では、フロントフェンダの後端にエンクロージャを設け、フロントフェンダの後端を支持することで面剛性を向上している。リヤフェンダにおいては、リヤバンパフェイス取付用のスペーサを取付ける際に、リヤフェンダの面剛性が低いとベコつき(面ベコ)が発生する。特許文献1の技術を、リヤフェンダを有する車両の後部車体に利用したいものである。
しかし、特にリヤノーズ(リヤホイールハウス後端からリヤパネルまでの距離)が短い車両においては、エンクロージャを配置するスペースがない。
【0006】
エンクロージャの代わりに車体骨格を形成するパネル部材で、リヤフェンダパネル(リヤフェンダ)背面を支持することが考えられる。
しかし、リヤフェンダパネルは、リヤコンビランプやリヤバンパフェイスとのデザイン的な整合性を持たせるために複雑な形状となっているので、パネル部材の形状が複雑化してしまう。パネル部材の形状が複雑化すると成形性が悪くなり、さらには剛性や強度が低下する。
【0007】
本発明は、リヤノーズが短く支持部材の配置スペースが確保できない車両においても意匠面を支持することができるとともに、意匠面の広い領域に亘って面剛性の確保をすることができる車両の後部車体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に係る車両の後部車体の発明は、車体の後輪上方に配置されて意匠面が構成されるフェンダ外板部を有するリヤフェンダパネルと、車体後部の開口部の下縁に沿って配置されてリヤフェンダパネルに連なって意匠面を構成するリヤバンパフェイスと、フェンダ外板部に連なってバンパ外板部の背面に延び、リヤバンパフェイスが結合される結合部と、フェンダ外板部及びバンパ外板部の背面に配置された車体骨格部材に形成され、リヤフェンダパネルから結合部を跨いでリヤバンパフェイスに及ぶ領域を背面側から支持する支持部と、を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、フェンダ外板部の後方で且つリヤバンパフェイスの上方に意匠面を構成するリヤコンビランプを備え、フェンダ外板部とリヤバンパフェイスとの間の見切り線を第1見切り線とし、フェンダ外板部とリヤコンビランプとの間の見切り線を第2見切り線としたときに、支持部が、第1見切り線の長手方向途中と第2見切り線の長手方向途中とを繋ぐように配置されることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、支持部が、第1見切り線の長手方向中間を通るよう配置されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、リヤバンパフェイスが、第1見切り線に沿ってリヤフェンダパネルに配置されたスペーサを介して結合され、支持部が、スペーサの長手方向中間を通るよう配置されることを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、車体骨格部材が、車体後部に開口されリヤコンビランプが収納配置されるコンビパネルであり、支持部が、コンビパネルの周縁に形成したフランジであることを特徴とする。
【0013】
請求項6に係る発明は、コンビパネルが、開口部の周縁に配置されるコンビインナと、コンビインナの車幅外側に配置されるコンビサイドと、を有し、コンビサイドが、コンビインナよりも薄い板厚で成形されるとともに、コンビサイドにフランジを有することを特徴とする。
【0014】
請求項7に係る発明は、リヤフェンダパネルの車幅内側に配置され後輪を配置するリヤホイールハウスを備え、リヤホイールハウスの外側を構成するホイールハウスアウタを備え、ホイールハウスアウタに、結合部を支持するアウタ支持部を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両の後部車体に、車体の後輪上方に配置されて意匠面が構成されるフェンダ外板部を有するリヤフェンダパネルと、車体後部の開口部の下縁に沿って配置されてリヤフェンダパネルに連なって意匠面を構成するリヤバンパフェイスと、フェンダ外板部に連なってバンパ外板部の背面に延び、リヤバンパフェイスが結合される結合部と、フェンダ外板部及びバンパ外板部の背面に配置された車体骨格部材に形成され、リヤフェンダパネルから結合部を跨いでリヤバンパフェイスにおよぶ領域を背面側から支持する支持部と、を備える。
リヤフェンダパネルから結合部を跨いでリヤバンパフェイスにおよぶ領域を、背面側から支持する支持部を車体骨格部材に形成したので、例えば、別体の支持部材を必要としない。従って、リヤノーズが短く支持部材の配置スペースが確保できない車両においても意匠面を支持することができる。
また、支持部で、意匠面であるリヤフェンダパネル、意匠面であるリヤバンパフェイス、リヤフェンダパネル及びリヤバンパフェイスの結合部に跨って支持することができるので、意匠面の広い領域に亘って面剛性の確保をすることができる。
さらに、結合部が車体骨格部材に支持されているので、例えば、リヤフェンダパネルへリヤバンパフェイスを取付ける時にも、リヤフェンダパネルの凹み(ベコつき)の発生を抑えることができる。
【0016】
請求項2に係る発明では、フェンダ外板部の後方で且つリヤバンパフェイスの上方に意匠面を構成するリヤコンビランプを備える。
フェンダ外板部とリヤバンパフェイスとの間の見切り線を第1見切り線とし、フェンダ外板部とリヤコンビランプとの間の見切り線を第2見切り線としたときに、支持部が、第1見切り線の長手方向途中と第2見切り線の長手方向途中とを繋ぐように配置される。
例えば、第1見切り線と第2見切り線とが鋭角となる車体デザインであっても、第1及び第2見切り線の長手方向途中同士を繋ぐことで、支持部を構成する車体骨格部材の形状が複雑化することがない。これにより、車体骨格部材の成形性や、形状による剛性及び強度の低下を抑制することができる。
【0017】
請求項3に係る発明では、支持部が、第1見切り線の長手方向中間を通るよう配置されたので、フェンダ外板部に連なってバンパ外板部の背面に延び、リヤバンパフェイスが結合される結合部の支持剛性の向上を図ることができる。
【0018】
請求項4に係る発明では、リヤバンパフェイスが、第1見切り線に沿ってリヤフェンダパネルに配置されたスペーサを介して結合され、支持部が、スペーサの長手方向中間を通るよう配置されたので、結合部の支持剛性をさらに向上をすることができる。
【0019】
請求項5に係る発明では、車体骨格部材が、車体後部に開口されリヤコンビランプが収納配置されるコンビパネルであり、支持部が、コンビパネルの周縁に形成したフランジである。すなわち、リヤフェンダパネルやリヤバンパフェイスに近い位置に配置されるコンビパネルにフランジを形成するだけで支持部を構成するがことでき、他の骨格部材の形状を大きく変更する必要がない。この結果、部品点数の削減を図ることができるとともに、コンビパネルの汎用性を確保することができる。
【0020】
請求項6に係る発明では、コンビパネルが、開口部の周縁に配置されるコンビインナと、コンビインナの車幅外側に配置されるコンビサイドと、を有し、コンビサイドが、コンビインナよりも薄い板厚で成形されるとともに、コンビサイドにフランジを有する。すなわち、比較的板厚の薄いコンビサイドにフランジを形成することで、フランジ形状の自由度が拡がるとともに、支持部の設定位置の自由度も拡げることができる。
【0021】
請求項7に係る発明では、リヤフェンダパネルの車幅内側に配置され後輪を配置するリヤホイールハウスを備え、リヤホイールハウスの外側を構成するホイールハウスアウタを備え、ホイールハウスアウタに、結合部を支持するアウタ支持部を備えたので、さらなる結合部の支持剛性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る車両の後部車体を採用した車両の後部意匠を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る車両の後部車体を採用した車両の斜視図である。
【図3】本発明に係る車両の後部車体の斜視図である。
【図4】本発明に係る車両の後部車体のコンビパネルを取り外した状態を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る車両の後部車体の正面図である。
【図6】本発明に係る車両の後部車体のコンビパネルの斜視図である。
【図7】図3の7−7線断面図である。
【図8】図3の8−8線断面図である。
【図9】本発明に係る車両の後部車体のリヤアウタパネルの要部を示す斜視図である。
【図10】図2の10−10線断面図である。
【図11】図9の11−11線断面図である。
【図12】本発明に係る車両の後部車体の下コーナ閉断面の上部の断面図である。
【図13】本発明に係る車両の後部車体の下コーナ閉断面の下部の断面図である。
【図14】本発明に係る車両の後部車体のサイドパネル下部を示す斜視図である。
【図15】本発明に係る車両の後部車体のリヤコンビランプを取外したサイドパネル下部を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る車両の後部車体のスペーサを取付けたサイドパネル下部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例】
【0024】
図1に示されたように、車両の後部車体は、車体11の後部が構成されるリヤパネル14と、このリヤパネル14の上部に開けられた開口部15と、この開口部15を外方から開閉自在に覆うリヤガラス16と、車体11の側部が構成されるサイドパネル17と、このサイドパネル17の下部後方に設けられ、後輪18を収納するリヤホイールハウス21と、リヤパネル14の下部を覆うリヤバンパフェイス22と、リヤパネル14の左右に設けられ、車両10の制動状態や車両方向を表示するリヤコンビランプ23と、を備える。
【0025】
図1〜図5に示されたように、リヤパネル14は、車体後部の開口部15の下縁15bで車幅方向に延びる閉断面27を構成するリヤアウタ側部材28及びリヤインナ側部材29からなる。すなわち、リヤアウタ側部材28及びリヤインナ側部材29で、開口部15の下縁15bに配置されて車幅方向に延びるリヤパネル組立体26が構成される。
【0026】
リヤアウタ側部材28は、車外側に設けられる部材であり、車幅中央領域を構成するリヤアウタパネル33と、開口部15の下コーナ部32が構成されるコーナアウタ部材(コンビパネル)35の一部と、を主要構成とする。
リヤインナ側部材29は、室内(車室)12側に設けられる部材であり、車幅中央領域を構成するリヤインナパネル34と、開口部15の下コーナ部32が構成されるコーナインナ部材36のリヤパネルエクステンション93と、を主要構成とする。
【0027】
開口部15は、下縁15bで車幅方向に延びる閉断面27(図8も参照)を構成するリヤアウタ側部材28及びリヤインナ側部材29と、開口部15の左右の側縁15cに配置されて上下方向に延びるガータ閉断面39(図10も参照)を構成するガータ組立体41と、開口部15の上縁15aに上コーナ部31を介して配置されるリヤルーフレール42と、からなる。リヤルーフレール42は、ガータ組立体41に上コーナ部31を介して接続されている。
【0028】
サイドパネル17は、車体後部の開口部15の左右の側縁15cに配置されて車体側部の内壁19を構成するサイドインナパネル44と、サイドインナパネル44の外側に配置されて車体側部の外板面(フェンダ外板面)81を構成するサイドアウタパネル(リヤフェンダパネル)43と、を主要構成とする。フェンダ外板面81は、後述するアウタ側壁部と同一の部分である。
【0029】
図2、図3及び図7に示されたように、リヤホイールハウス21は、リヤホイールハウス21の外側を構成するホイールハウスアウタ45と、リヤホイールハウス21の内側を構成するホイールハウスインナ46と、からなる。さらに、ホイールハウスアウタ45は、サイドインナパネル44に溶接される。リヤホイールハウス21(詳細には、ホイールハウスインナ46)は、車体側部の内壁19を構成するとともにリヤダンパ48の支持点49を有する。
【0030】
図4、図8及び図9に示されたように、リヤアウタパネル33は、前後方向に直交する面(車体11の前後面に対向する面)を形成する本体部(一般面部)51と、本体部51の車幅外側端部に形成された屈曲部52と、屈曲部52からリヤインナパネル34に向けて前方に延び、閉断面27を車幅方向に複数に仕切るように配置される左右のバルクヘッド部53と、からなる。すなわち、屈曲部52は、本体部51の車幅外側端部に位置する。
本体部51は、上端51aに本体側上フランジ54が形成され、下端51bに本体側下フランジ55が形成されている。
【0031】
図8に示されたように、リヤインナパネル34は、リヤアウタパネル33の本体部51に対向する前壁56と、前壁56の上端56a及び下端56bからそれぞれ後方に屈曲した上壁57及び下壁58と、上壁57から下方に下げた段部59と、段部59を介して形成され、本体部51の本体側上フランジ54に接合されるインナ側上フランジ61と、上壁57及び下壁58により形成されて車体後方側を向く開放部62と、下壁58から下方に延ばされる延長壁部63と、中央に設けられ強度及び剛性の向上を図る補強材65(図5参照)と、からなる。
【0032】
リヤインナパネル34は、前壁56、上壁57及び下壁58で車幅方向に延びる多角断面部64が構成される。なお、リヤインナパネル34の多角断面部64と、リヤアウタパネル33の本体部51とで中央閉断面66が構成される。
【0033】
延長壁部63は、リヤアウタ側部材28及びリヤインナ側部材29で構成される閉断面27から下方に延ばされたものということもできる。閉断面27は、図3に示されたように、中央閉断面66及び下コーナ閉断面67の下部67bからなる。下コーナ閉断面67の下部67bは、図13に示されたように、後述するコンビインナアッパ98とリヤパネルエクステンション93とから構成される閉断面である。
【0034】
図8及び図9に示されたように、バルクヘッド部53は、本体部51から屈曲部(車幅外側端部)52を介して曲げ形成されるバルクヘッド本体71と、リヤインナパネル34の前壁56に沿うように形成される前端部72と、前端部72から車幅外側に延びてリヤインナ側部材29に結合される前フランジ72aと、リヤインナパネル34の上壁57に沿うように形成される上端部73と、上端部73から車幅外側に延びて上壁57に結合される上フランジ73aと、リヤインナパネル34の下壁58に沿うように形成される下端部74と、下端部74から車幅外側に延びて下壁58に結合される下フランジ74aと、バルクヘッド本体71の中央領域に開けられた略三角形の開口75と、からなる。
【0035】
バルクヘッド部53は、前端部72が屈曲部52よりも車幅外側に位置するよう形成される。図11に示されるように、本体部51とバルクヘッド部53とのなす角度θ1は、鈍角である。すなわち、バルクヘッド部53は、前端部72が屈曲部52よりも車幅外側に位置するよう形成されている。また、略三角形の開口75は、バルクヘッド部53の軽量化に寄与する。
【0036】
さらに、図9に示されたように、リヤアウタパネル33(本体部51及びバルクヘッド部53)には、バルクヘッド部53の上フランジ73aと本体側上フランジ54との間に、上フランジ73a及び本体側上フランジ54を切り欠いて形成した上の切欠部76と、バルクヘッド部53の下フランジ74aと本体側下フランジ55との間に、下フランジ74a及び本体側下フランジ55を切り欠いて形成した下の切欠部77を備える。
【0037】
図10に示されたように、サイドインナパネル44は、車体前後方向に延びるインナ側壁部83と、インナ側壁部83の後端から車幅中央側に屈曲するインナ後壁部84と、を備える。
サイドアウタパネル43は、インナ側壁部83から車幅外側に所定距離離間した位置で前後方向に延びるアウタ側壁部(フェンダ外板面)81と、アウタ側壁部81から車幅中央側に屈曲して、インナ後壁部84に結合されるアウタ後壁部82と、を備える。
【0038】
サイドパネル17には、サイドインナパネル44及びサイドアウタパネル43の他に、サイドインナパネル44の車外側面に結合されて、サイドインナパネル44から車外側に膨出し、インナ側壁部83とアウタ側壁部81との間で上下方向に延びるガータ閉断面39を構成するガータスチフナ86を備える。
ガータ閉断面39は、サイドインナパネル44のインナ側壁部83とガータスチフナ86とから構成される。
【0039】
なお、図4及び図7に示されるように、サイドインナパネル44、後述するホイールハウスアウタ45、ホイールハウスインナ46、ガータエクステンション94及び第2のガセット115を主要構成とするサイドパネル組立体37が構成されている。
【0040】
開口部15は、図3に示されたように、下縁15bに配置されて車幅方向に延びるリヤパネル組立体26と、上縁15aに配置されて車幅方向に延びるリヤルーフレール42と、左右の側縁15cに配置されて上下方向に延ばされたガータ組立体41と、により矩形状に形成されるとともに、リヤパネル組立体26とガータ組立体41との接続部分である下コーナ部32と、リヤルーフレール42とガータ組立体41との間に設けられる上コーナ部31と、を備えたものということもできる。なお、後述するように、ガータ組立体41は、インナ側壁部83及びガータスチフナ86を主要構成としている。
【0041】
図3及び図10に示されたように、ガータスチフナ86は、インナ側壁部83から下コーナ部32にまで延びるよう形成されたガータロア92と、インナ側壁部83から上コーナ部31にまで延びるよう形成されたガータアッパ91と、からなる。ガータアッパ91は、ガータロア92よりも厚板で成形される。
【0042】
図3及び図4に示されたように、上コーナ部31は、リヤルーフレール42が接続される上コーナブラケット101と、この上コーナブラケット101の被せられるガータアッパ91の上部91aとからなる。
下コーナ部32は、室内12(図2参照)側に配置されてガータロア92が結合されるコーナインナ部材36と、下コーナ部32において車外側に配置されて本体部51とガータロア92とに結合されるとともに、コーナインナ部材36に結合されてコーナインナ部材36との間に下コーナ閉断面(閉断面)67を構成するコーナアウタ部材35と、からなる。
【0043】
図3及び図10に示されたように、ガータ組立体41は、先にも説明したように、インナ側壁部83及びガータスチフナ86を主要構成とする。詳細には、ガータ組立体41は、室内12(図2参照)側がサイドインナパネル44の左右の側縁15cに配置されて上下方向に延ばされたインナ側壁部83で形成され、車外側がインナ側壁部83から下コーナ部32にまで延びるよう形成されたガータロア92と、インナ側壁部83から上コーナ部31にまで延びるよう形成されたガータアッパ91と、からなるガータスチフナ86で形成される。なお、コンビパネル35は、ガータロア92を車外側から覆い、ガータ組立体41の構成の一部を担っている。
【0044】
図12に示されたように、下コーナ閉断面67の上部67aは、ガータエクステンション94とガータロア92とで形成される閉断面である。なお、下コーナ閉断面67の上部67aは、図3に示されたように、ガータ閉断面39に接続されており、ガータロア92が含まれることからガータ閉断面39の一部とみることもできる。
【0045】
図4に示されたように、コーナインナ部材36は、リヤインナパネル34から車幅外方に延びるリヤパネルエクステンション93と、上端部94aがガータロア92の室内12(図2参照)側に結合されてガータロア92との間に閉断面(下コーナ閉断面)67の上部67aを構成するとともに、下端部94bがリヤパネルエクステンション93に結合されるガータエクステンション94と、からなる。また、リヤパネルエクステンション93は、ガータエクステンション94よりも厚板で形成される。
【0046】
図3及び図6に示されたように、コーナアウタ部材35は、下コーナ部32近傍に配置されてリヤコンビランプ23を収納配置するコンビパネルである。
コンビパネル35は、開口部15の周縁(下コーナ部)32に配置されるコンビインナ95と、コンビインナ95の車幅外側に配置されるコンビサイド96と、これらのコンビインナ95及びコンビサイド96から前方に延ばされるリヤコンビエクステンション97と、からなる。
【0047】
コンビインナ95は、車体11の上方に配置されるコンビインナアッパ98と、車体11の下方に配置されるコンビインナロア99と、に分割構成されている。
【0048】
コンビパネル35が、リヤアウタパネル33の本体部51とガータロア92とに結合される。詳細には、コンビインナアッパ98及びコンビインナロア99が本体部51に結合され、コンビインナアッパ98がガータロア92に結合される。
また、コンビインナアッパ98及びコンビインナロア99で構成されるコンビインナ95が、コンビサイド96よりも厚板で成形される。
【0049】
ところで、図3及び図4に示されたように、リヤパネル組立体26は、室内12側に膨出する膨出部104を有するリヤインナ側部材29と、膨出部104の車外側に結合される本体部51を有するリヤアウタ側部材28と、により車幅方向に延びる(中央閉断面66及び下コーナ閉断面67の下部67bからなる)閉断面27を構成している。
【0050】
すなわち、リヤインナ側部材29は、リヤインナパネル34、リヤパネルエクステンション93、ガータエクステンション94、ガータロア92の下部で構成される。リヤアウタ側部材28は、リヤアウタパネル33、コンビパネル35(コンビインナアッパ98)で構成される。
【0051】
閉断面27は、リヤインナパネル34及びリヤアウタパネル33で形成される中央閉断面66と、リヤパネルエクステンション93、ガータエクステンション94及びコンビインナアッパ98で形成される下コーナ閉断面67の下部67bとが、連続的に形成されたものといえる。また、リヤインナパネル34に形成されたバルクヘッド部53は、連続的に形成された閉断面27を仕切る部分であるといえる。
【0052】
リヤインナ側部材29の室内12側に膨出する膨出部104とは、リヤインナパネル34の多角断面部64、リヤパネルエクステンション93で構成される部分である。
【0053】
図7に示されたように、リヤホイールハウス21とリヤパネル組立体26とに間に(角部118に)、リヤホイールハウス21のホイールハウスインナ46と、リヤパネル組立体26のリヤインナパネル34及びリヤパネルエクステンション93とに、連結される第1のガセット114と、ホイールハウスインナ46、ダンパベース111及びホイールハウスエクステンション112と、コンビパネル35のコンビインナロア99とに、連結される第2のガセット115と、が設けられている。
【0054】
ところで、図7に示されたように、コンビパネル35は、開口部15の周縁(下コーナ部)32に配置されるものであり、リヤパネル組立体26とリヤホイールハウス21との角部118には、第2のガセット115がリヤホイールハウス21に結合され、リヤパネル組立体26が後壁となり、リヤホイールハウス21が車幅外側壁となり、第1のガセット114が車幅内側壁となり、第2のガセット115が前壁となって、ガセット閉断面117が構成される。
【0055】
図6及び図14〜図16に示されたように、コンビサイド96は、側面視で略L字に形成された部材であり、略L字の車幅外方に略L字のフランジ103が形成される。このフランジ103は、リヤフェンダパネル(サイドアウタパネル)43が当てられ、リヤフェンダパネル43のフェンダ外板部(アウタ側壁部)81やリヤバンパフェイス22のバンパ外板部22aの剛性の向上を図る支持部として用いられる。すなわち、コンビサイド96を構成部品とするコンビパネル35は、フェンダ外板部81及びバンパ外板部22aの背面に配置された車体骨格部材ともいうことができる。なお、二点鎖線で示される103aは、フランジ103が形成されるフランジ領域(支持領域)である。
【0056】
リヤフェンダパネル(サイドアウタパネル)43は、車体11の後輪18上方に配置されて意匠面を構成するフェンダ外板部(アウタ側壁部)81と、フェンダ外板部81に連なってバンパ外板部22aの背面に延び、リヤバンパフェイス22が結合される結合部106と、からなる。さらに、リヤフェンダパネル43には、車幅内側に配置され、後輪18(図1参照)が配置されるリヤホイールハウス21を備える。
【0057】
リヤバンパフェイス22は、車体後部の開口部15(図2参照)の下縁15bに沿って配置されてリヤフェンダパネル43に連なって意匠面を構成する。リヤバンパフェイス22のバンパ外板部22aは、フェンダ外板部81に連なって形成されている。
【0058】
リヤコンビランプ23は、フェンダ外板部81の後方で且つリヤバンパフェイス22の上方に意匠面を構成する。
リヤフェンダパネル43のフェンダ外板部81やリヤバンパフェイス22のバンパ外板部22aは、車体骨格部材(コンビパネル)35に形成された支持部103で支持されている。詳細には、支持部(フランジ)103は、リヤフェンダパネル43から結合部106を跨いでリヤバンパフェイス22に及ぶ領域を背面側から支持する。
【0059】
フェンダ外板部81とリヤバンパフェイス22との間の見切り線を第1見切り線107とし、フェンダ外板部81とリヤコンビランプ23との間の見切り線を第2見切り線108としたときに、支持部103は、第1見切り線107の長手方向途中と第2見切り線108の長手方向途中とを繋ぐように配置される。詳細には、支持部103は、第1見切り線107の長手方向中間107aと第2見切り線108の長手方向中間108aを通る直線C1上に配置されている。
【0060】
結合部106には、第1見切り線107に沿って配置されたスペーサ(バンパスペーサ)109を備える。支持部103は、スペーサ109の長手方向中間を通るよう配置されるものともいえる。
【0061】
また、車体骨格部材(コンビパネル)35は、車体後部に開口され、リヤコンビランプ23が収納配置されるコンビパネル35であり、支持部103は、コンビパネル35の周縁に形成したフランジである。
リヤホイールハウス21は、外側を構成するホイールハウスアウタ45(図3及び図7も参照)を備える。ホイールハウスアウタ45は、結合部106を支持するアウタ支持部105が形成される。
【0062】
図2、図14〜図15に示されたように、車両の後部車体に、車体11の後輪18上方に配置されて意匠面が構成されるフェンダ外板部(アウタ側壁部)81を有するリヤフェンダパネル43と、車体後部の開口部15の下縁15bに沿って配置されてリヤフェンダパネル43に連なって意匠面を構成するリヤバンパフェイス22と、フェンダ外板部81に連なってバンパ外板部22aの背面に延び、リヤバンパフェイス22が結合される結合部106と、フェンダ外板部81及びバンパ外板部22aの背面に配置された車体骨格部材35に形成され、リヤフェンダパネル43から結合部106を跨いでリヤバンパフェイス22におよぶ領域を背面側から支持する支持部(フランジ)103と、を備える。
【0063】
リヤフェンダパネル43から結合部106を跨いでリヤバンパフェイス22におよぶ領域を、背面側から支持する支持部103を車体骨格部材(コンビパネル)35に形成したので、例えば、別体の支持部材を必要としない。従って、リヤノーズが短く支持部材の配置スペースが確保できない車両10においても意匠面を支持することができる。
【0064】
また、支持部103で、意匠面であるリヤフェンダパネル43、意匠面であるリヤバンパフェイス22、リヤフェンダパネル43及びリヤバンパフェイス22の結合部106に跨って支持することができるので、意匠面の広い領域に亘って面剛性の確保をすることができる。
【0065】
さらに、結合部106が車体骨格部材35に支持されているので、例えば、リヤフェンダパネル43へリヤバンパフェイス22を取付ける時にも、リヤフェンダパネル43の凹み(ベコつき)の発生を抑えることができる。
【0066】
図14〜図15に示されたように、車両の後部車体では、フェンダ外板部81の後方で且つリヤバンパフェイス22の上方に意匠面を構成するリヤコンビランプ23を備える。
フェンダ外板部81とリヤバンパフェイス22との間の見切り線を第1見切り線107とし、フェンダ外板部81とリヤコンビランプ23との間の見切り線を第2見切り線108としたときに、支持部103が、第1見切り線107の長手方向途中と第2見切り線108の長手方向途中とを繋ぐように配置される。
【0067】
例えば、第1見切り線107と第2見切り線108とが鋭角となる車体デザインであっても、第1及び第2見切り線107,108の長手方向途中同士を繋ぐことで、支持部103を構成する車体骨格部材35の形状が複雑化することがない。これにより、車体骨格部材35の成形性や、形状による剛性及び強度の低下を抑制することができる。
【0068】
図14〜図15に示されたように、車両の後部車体では、支持部103が、第1見切り線107の長手方向中間を通るよう配置されたので、フェンダ外板部81に連なってバンパ外板部22aの背面に延び、リヤバンパフェイス22が結合される結合部106の支持剛性の向上を図ることができる。
【0069】
図14〜図16に示されたように、車両の後部車体では、リヤバンパフェイス22が、第1見切り線107に沿ってリヤフェンダパネル43に配置されたスペーサ109を介して結合され、支持部103が、スペーサ109の長手方向中間107aを通るよう配置されたので、結合部106の支持剛性をさらに向上をすることができる。
【0070】
図6、図14〜図15に示されたように、車両の後部車体では、車体骨格部材35が、車体後部に開口されリヤコンビランプ23が収納配置されるコンビパネルであり、支持部103が、コンビパネル35の周縁に形成したフランジ103である。すなわち、リヤフェンダパネル43やリヤバンパフェイス22に近い位置に配置されるコンビパネル35にフランジ103を形成するだけで支持部103を構成することができ、他の骨格部材の形状を大きく変更する必要がない。この結果、部品点数の削減を図ることができるとともに、コンビパネル35の汎用性を確保することができる。
【0071】
図2、図6、図14〜図15に示されたように、車両の後部車体では、コンビパネル35が、開口部15の周縁(下コーナ部)32に配置されるコンビインナ95と、コンビインナ95の車幅外側に配置されるコンビサイド96と、を有し、コンビサイド96が、コンビインナ95よりも薄い板厚で成形されるとともに、コンビサイド96にフランジ103を有する。すなわち、比較的板厚の薄いコンビサイド96にフランジ103を形成することで、フランジ形状の自由度が拡がるとともに、支持部103の設定位置の自由度も拡げることができる。
【0072】
図2、図3、図14〜図15に示されたように、車両の後部車体では、リヤフェンダパネル43の車幅内側に配置され後輪18を配置するリヤホイールハウス21を備え、リヤホイールハウス21の外側を構成するホイールハウスアウタ45を備え、ホイールハウスアウタ45に、結合部106を支持するアウタ支持部105を備えたので、さらなる結合部106の支持剛性の向上を図ることができる。
【0073】
尚、本発明に係る車両の後部車体は、図1に示すように、開口部15にリヤガラス16を開閉自在に取付けた車両10に採用されたが、これに限るものではなく、開口部にリヤガラスを嵌め込む形式の車両に用いるものであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明に係る車両の後部車体は、セダンやワゴンなどの乗用車に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0075】
11…車体、15…開口部、15b…下縁、18…後輪、21…リヤホイールハウス、22…リヤバンパフェイス、22a…バンパ外板部、23…リヤコンビランプ、32…周縁(下コーナ部)、35…車体骨格部材(コンビパネル)、81…フェンダ外板部(アウタ側壁部)、43…リヤフェンダパネル(サイドアウタパネル)、45…ホイールハウスアウタ、95…コンビインナ、96…コンビサイド、107…第1見切り線、108…第2見切り線、109…スペーサ、103…支持部(フランジ)、105…アウタ支持部、106…結合部、107a…長手方向中間。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後輪上方に配置されて意匠面が構成されるフェンダ外板部を有するリヤフェンダパネルと、車体後部の開口部の下縁に沿って配置されて前記リヤフェンダパネルに連なって意匠面を構成するリヤバンパフェイスと、前記フェンダ外板部に連なって前記バンパ外板部の背面に延び、前記リヤバンパフェイスが結合される結合部と、前記フェンダ外板部及びバンパ外板部の背面に配置された車体骨格部材に形成され、前記リヤフェンダパネルから前記結合部を跨いで前記リヤバンパフェイスにおよぶ領域を背面側から支持する支持部と、を備える車両の後部車体。
【請求項2】
前記フェンダ外板部の後方で且つ前記リヤバンパフェイスの上方に意匠面を構成するリヤコンビランプを備え、
前記フェンダ外板部と前記リヤバンパフェイスとの間の見切り線を第1見切り線とし、前記フェンダ外板部と前記リヤコンビランプとの間の見切り線を第2見切り線としたときに、
前記支持部は、前記第1見切り線の長手方向途中と前記第2見切り線の長手方向途中とを繋ぐように配置されることを特徴とする請求項1記載の車両の後部車体。
【請求項3】
前記支持部は、前記第1見切り線の長手方向中間を通るよう配置されることを特徴とする請求項2記載の車両の後部車体。
【請求項4】
前記リヤバンパフェイスは、前記第1見切り線に沿って前記リヤフェンダパネルに配置されたスペーサを介して結合され、
前記支持部は、前記スペーサの長手方向中間を通るよう配置されることを特徴とする請求項2又は請求項3記載の車両の後部車体。
【請求項5】
前記車体骨格部材は、車体後部に開口され前記リヤコンビランプが収納配置されるコンビパネルであり、
前記支持部は、前記コンビパネルの周縁に形成したフランジであることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項6】
前記コンビパネルは、前記開口部の周縁に配置されるコンビインナと、該コンビインナの車幅外側に配置されるコンビサイドと、を有し、
前記コンビサイドは、前記コンビインナよりも薄い板厚で成形されるとともに、前記コンビサイドに前記フランジを有することを特徴とする請求項5記載の車両の後部車体。
【請求項7】
前記リヤフェンダパネルの車幅内側に配置され前記後輪を配置するリヤホイールハウスを備え、該リヤホイールハウスの外側を構成するホイールハウスアウタを備え、
前記ホイールハウスアウタは、前記結合部を支持するアウタ支持部を備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の車両の後部車体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−116235(P2012−116235A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265412(P2010−265412)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】