車両の後部車体
【課題】連結バーなどの別部材を設けることなく、リヤサイドフレームの後端の車幅方向の変位を抑制して車体剛性を確保することを可能にする。
【解決手段】車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台21を備えた車両の後部車体において、車体11に、車体前後方向に延びる第1の閉断面23を有する左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、リヤサイドフレーム22,22の内側に、リヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aよりも下方に凹ませた凹状部25を有するフロアパネル24と、を備え、踏み台21が、車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22,22に車幅方向で連結される。
【解決手段】車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台21を備えた車両の後部車体において、車体11に、車体前後方向に延びる第1の閉断面23を有する左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、リヤサイドフレーム22,22の内側に、リヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aよりも下方に凹ませた凹状部25を有するフロアパネル24と、を備え、踏み台21が、車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22,22に車幅方向で連結される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後端から車外側に突出した展開位置と、車体の後端よりも車内側に格納された格納位置との間で変位可能な踏み台を備えた車両の後部車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部車体には、車体前後方向に延びるリヤサイドフレームの後部に凹状に設けられフロアパンに対応して下方に凹形状となったエンドクロスメンバーが連結され、エンドクロスメンバーにテールゲートの下端が回動可能に支持され、テールゲートの内部に板部材(延出部材)を設け、板部材及びテールゲートをフロアパンに通じるスロープとして利用するものがある。
【0003】
また、車両の後部車体では、リヤサイドフレームの後端から後方にパネル部材を延ばし、パネル部材にテールゲートのロック機構に係合するストライカーを設け、テールゲートを閉鎖した状態では、テールゲート(特に内部の支持メンバー)を平面視でリヤサイドフレームから延出したパネル部材と一部重なる位置に設定する。
さらに、凹形状のフロアパンを設けたことにより、低下した車体剛性を向上させるために、リヤサイドフレームの後端に、着脱自在となる連結バーを設けてリヤサイドフレーム同士を連結する。
【0004】
この車両の後部車体によれば、リヤサイドフレームの後端に、着脱自在となる連結バーを設けてリヤサイドフレーム同士を連結したので、車体後部の剛性の確保が可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−47927公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車両の後部車体では、テールゲートがリヤサイドフレームの後端よりも後方に位置し、リヤサイドフレームの後端から延びる単一板部材のパネル部材にロック機構を介して連結されているのみであり、テールゲートによってリヤサイドフレームの後端間の車幅方向の変位を防止することが困難であった。そこで、凹形状のフロアパンを設けたことにより低下した車両剛性(特にリヤサイドフレームの後端間の車両幅方向の変位に対する剛性)を高めるために別体の連結バーを設けている。
【0007】
しかし、別体の連結バーを設けると部品点数及びコストが増加してしまうとともに、スロープ(テールゲート及び板部材)を用いてフロアパンの内部に車椅子等を収納する際には、連結バーを着脱する手間がかかる。
【0008】
本発明は、連結バーなどの別部材を設けることなく、リヤサイドフレームの後端の車幅方向の変位を抑制して車体剛性を確保することができる車両の後部車体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、車体の後端から車外側に突出した展開位置と、車体の後端よりも車内側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台を備えた車両の後部車体において、車体に、車体前後方向に延びる第1の閉断面を有する左右一対のリヤサイドフレームと、リヤサイドフレームの内側に、リヤサイドフレームの後端よりも下方に凹ませた凹状部を有するフロアパネルと、を備え、踏み台が、車体の車幅方向から見てリヤサイドフレームの後端と重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレームに車幅方向で連結されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、車体に、リヤサイドフレームと車幅方向で連結された当接部を備え、踏み台に、展開位置では当接部に当接しないとともに、格納位置で当接部に当接する被当接部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、リヤサイドフレームに、車両幅方向に略垂直な方向に延びる内側面を備え、当接部が、内側面に設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、リヤサイドフレームに、車幅方向から見て踏み台と重なる位置において、踏み台に向けて突出した突出部を備え、内側面が、突出部に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、リヤサイドフレームに、車幅方向から見てリヤサイドフレームと重なる位置において、リヤサイドフレームから車幅方向内側に延びる延出ブラケットを備え、当接部が、延出ブラケットに設けられることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、延出ブラケットに、リヤサイドフレームと協働して形成され若しくは延出ブラケット単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面を備え、
第1の閉断面と第2の閉断面とが車幅方向に連続されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、当接部に、車体の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面を備え、被当接部に、当接面と略平行に延びるとともに当接面に当接する被当接面を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、車体に、車体の後部開ロを開閉するテールゲートを備え、踏み台が、テールゲートよりも車体前後方向において車内側に格納され、テールゲートに、テールゲートから踏み台に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台を車体前方に押圧する押圧部を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、押圧部が、車体の上下方向において、被当接部とほぼ同じ高さで踏み台を押圧することを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る発明は、当接部に、当接面から車幅方向中央側に突出する突出壁を備え、突出壁が、踏み台の格納位置では踏み台の車体前後方向の前側部位に当接することを特徴とする請求項8又は請求項9記載の車両の後部車体。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両の後部車体に、車体の後端から車外側に突出した展開位置と、車体の後端よりも車内側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台を備えた。
車体に、車体前後方向に延びる第1の閉断面を有する左右一対のリヤサイドフレームと、リヤサイドフレームの内側に、リヤサイドフレームの後端よりも下方に凹ませた凹状部を有するフロアパネルと、を備える。
踏み台が、車体の車幅方向から見てリヤサイドフレームの後端と重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレームに車幅方向で連結されるので、踏み台によってリヤサイドフレームの後端の車幅方向の変位を直接的に抑制できる。これにより、車体剛性の確保を図ることができる。
ここで、「踏み台が、リヤサイドフレームに車幅方向で連結される」とは、例えば、ロック機構等を介した係合や空間を介して配置された状態等の車幅方向での変位が可能に結合される構成ではなく、リヤサイドフレームに直接、又は剛体(金属等)から形成され車幅方向に延びる別体ブラケット(延出ブラケット)等を介して剛的に連結された構成をいう。なお、ここで連結とは、溶接やボルト締結等で接合された構成に限定されず、車幅方向を向いた当接面同士で当接している構造も含む。
さらに、踏み台は、連続的な傾斜で形成されるスロープや、階段状のステップの総称である。
【0020】
請求項2に係る発明では、車体に、リヤサイドフレームと車幅方向で連結された当接部を備える。
踏み台に、展開位置では当接部に当接しないとともに、格納位置で当接部に当接する被当接部を備えるので、車体剛性が必要な運転時に踏み台が位置する格納位置で、当接部と被当接部が当接し、車体剛性を確保することができる。
また、車体剛性が必要のない停車時に踏み台が位置する展開位置では、当接部と被当接部が当接しないことから、リヤサイドフレームの位置に係わらず、乗降および荷物の出し入れに悪影響を及ぼさないように踏み台を展開できる。すなわち、車体設計の自由度が確保できる。
【0021】
請求項3に係る発明では、リヤサイドフレームに、車両幅方向に略垂直な方向に延びる内側面を備え、当接部が、内側面に設けられる。すなわち、当接部をリヤサイドフレームに直接設けることができるので、確実にリヤサイドフレームを踏み台で支持することができる。
内側面に設けられる当接部で踏み台を面当てすることができるので、荷重伝達効果が高まる。
【0022】
請求項4に係る発明では、リヤサイドフレームに、車幅方向から見て踏み台と重なる位置において、踏み台に向けて突出した突出部を備え、内側面が、突出部に設けられる。すなわち、突出部によって、その他のリヤサイドフレームの閉断面形状の影響を受けずに内側面に当接部を設けることができる。これにより、リヤサイドフレームの設計自由度が向上する。
リヤサイドフレームに、車幅方向から見て踏み台と重なる位置において、踏み台に向けて突出した突出部を備え、内側面が、突出部に設けられるので、車幅方向の荷重伝達を行う踏み台近傍のリヤサイドフレームの閉断面積を大きくできる。これにより、車体剛性をさらに高めることができる。
【0023】
請求項5に係る発明では、リヤサイドフレームに、車幅方向から見てリヤサイドフレームと重なる位置において、リヤサイドフレームから車幅方向内側に延びる延出ブラケットを備え、当接部が、延出ブラケットに設けられるので、車幅方向に延びる延出ブラケットによって、リヤサイドフレームからの車幅方向の荷重を確実に踏み台に伝えることができる。
【0024】
請求項6に係る発明では、延出ブラケットに、リヤサイドフレームと協働して形成され若しくは延出ブラケット単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面を備え、
第1の閉断面と第2の閉断面とが車幅方向に連続されるので、リヤサイドフレームからの荷重を第2の閉断面を通じて踏み台に確実に伝えることができる。
【0025】
請求項7に係る発明では、当接部に、車体の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面を備え、被当接部に、当接面と略平行に延びるとともに当接面に当接する被当接面を備えるので、当接部と被当接部との間の位置ズレや、当接部と被当接部との間の離間を防止できる。これにより、確実に荷重を伝達することができる。
【0026】
請求項8に係る発明では、車体に、車体の後部開ロを開閉するテールゲートを備える。
踏み台が、テールゲートよりも車体前後方向において車内側に格納され、テールゲートに、テールゲートから踏み台に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台を車体前方に押圧する押圧部を備えるので、テールゲートを閉めることで踏み台を車体前方に押圧することができる。これにより、当接部と被当接部とを確実に当接することができる。
また、後突発生時にテールゲートに対して入力された荷重を、押圧部、踏み台を通じてリヤサイドフレームに伝えることができる。
【0027】
請求項9に係る発明では、押圧部が、車体の上下方向において、被当接部とほぼ同じ高さで踏み台を押圧するので、踏み台に上下方向における回転モーメントが発生することを防止できる。これにより、さらに当接部と被当接部とを確実に当接することができるとともに、さらに後突荷重の伝達効率の向上を図ることができる。
【0028】
請求項10に係る発明では、当接部に、当接面から車幅方向中央側に突出する突出壁を備え、突出壁が、踏み台の格納位置では踏み台の車体前後方向の前側部位に当接するので、突出壁によって踏み台が前側に移動することを抑制できる。これにより、より効率的に後突時にテールゲートに作用するカを車体に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る実施例1の車両の後部車体が採用された車両を示す斜視図である。
【図2】図1に示された車両の踏み台が車内側に格納された状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る実施例1の車両の後部車体の斜視図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図5に示された支持機構の斜視図である。
【図7】図5に示された車両の後部車体の踏み台の収納手順前半を示す説明図である。
【図8】図5に示された車両の後部車体の踏み台の収納手順後半を示す説明図である。
【図9】図5に示された車両の後部車体の作用を示す説明図である。
【図10】本発明に係る実施例2の車両の後部車体の斜視図である。
【図11】図10に示された車両の後部車体の平面断面図である。
【図12】図10に示された車両の後部車体の背面断面図である。
【図13】本発明に係る実施例3の車両の後部車体の背面断面図である。
【図14】本発明に係る実施例4の車両の後部車体の斜視図である。
【図15】図14に示された車両の後部車体の平面断面図である。
【図16】図14に示された車両の後部車体の背面断面図である。
【図17】本発明に係る実施例5の車両の後部車体の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0031】
図1及び図2に示されたように、車両10は、車椅子等を車内に搬入可能な福祉(介護)車両であり、車体11に、車体11の後端11aを開放した後部開口15と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16と、車体11の後部側面を覆うリヤフェンダ18と、リヤフェンダ18の後方に設けられるリヤバンパフェース19と、車体11の後端11aから車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム22,22(図3参照)と、これらのリヤサイドフレーム22,22の間に設けられるフロアパネル24と、を備える。
【0032】
図1に示されたように、踏み台21は、車椅子等を車内に搬入可能なスロープであり、車体11の後端11a(図2参照)から車外側に突出した展開位置とは、スロープを使用状態にセットした位置をいい、図2に示されるように、車体11の後端11aよりも車内側に格納された格納位置とは、スロープを収納状態にセットした位置をいう。
【0033】
実施例1の車両の後部車体は、車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台(スロープ)21を備え、車体11に、車体前後方向に延びる第1の閉断面23(図3参照)を有する左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、リヤサイドフレーム22,22の内側に、リヤサイドフレーム22,22の後端よりも下方に凹ませた凹状部25を有するフロアパネル24と、を備え、踏み台21が、格納位置では車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22,22の後端と重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22,22に車幅方向で連結される構造である。
【0034】
ここで、「踏み台21が、リヤサイドフレーム22(図3参照)に車幅方向で連結される」とは、例えば、ロック機構等を介した係合や空間を介して配置された状態等の車幅方向での変位が可能に結合される構成ではなく、リヤサイドフレーム22に直接、又は剛体(金属等)から形成され車幅方向に延びる図12に示される延出ブラケット(別体ブラケット)86等を介して剛的に連結された構成をいう。なお、ここで連結とは、溶接やボルト締結等で接合された構成に限定されず、車幅方向を向いた当接面同士で当接している構造も含む。
さらに、踏み台21は、連続的な傾斜で形成されるスロープや、階段状のステップ等の使用者が踏む部材の総称である。
【0035】
以下、本発明の車両の後部車体の詳細を説明する。
図1〜図6に示されたように、実施例1の車両の後部車体では、車体11の後端11aを開放した後部開口15と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16と、車体11の後端11aから車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、これらのリヤサイドフレーム22,22の間に設けられるフロアパネル24と、を主要構成とする。
【0036】
テールゲート16は、後部開口15の上縁15aにヒンジ17,17を介して後部開口15に開閉自在に設けられる。
さらに、テールゲート16は、閉状態のテールゲート16から格納位置(格納状態)の踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、テールゲート16が閉状態の近傍位置にあるときに踏み台21を車体前方に押圧する左右の押圧部27,27を備える。
押圧部27は、図5に示されたように車体11の上下方向において、踏み台21の被当接部35とほぼ同じ高さで踏み台21を押圧する。
【0037】
踏み台21は、支持機構26に回転可能に且つ前後スライド可能に取付けられる第1の板部材31と、この第1の板部材31にスライド可能に取付けられる第2の板部材32と、からなるスロープである。
【0038】
第1の板部材31は、展開位置(展開状態)ではリヤサイドフレーム22の当接部45に当接しないとともに、格納位置(格納状態)で当接部45に当接する被当接部35を備える。
被当接部35は、当接部45の当接面45aと略平行に延びるとともに当接面45aに当接する被当接面35aを備える。
【0039】
さらに、踏み台21は、車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能に設けられる。
また、踏み台21は、格納位置では車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22の後端22aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22に車幅方向で連結される。なお、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納される。
【0040】
リヤサイドフレーム22は、アッパパネル41とロアパネル42とからなり、アッパパネル41及びロアパネル42で車体前後方向に延びる第1の閉断面23が構成されている。また、リヤサイドフレーム22は、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部43が形成される。
【0041】
突出部43は、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面43aを備える(言い換えれば、内側面43aは、突出部43に設けられてる)。
内側面43aには、リヤサイドフレーム22に車幅方向で連結された当接部45が設けられる。
【0042】
当接部45は、内側面43aに設けられるものであり、車体11の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面45aを備える。
【0043】
支持機構26は、図6に示されたように、フロアパネル24に設けられた取付ブラケット51と、この取付ブラケット51にスライド可能に設けられたシャフト部材52と、このシャフト部材52の一端(車体後方)に設けられたL字ブラケット53と、シャフト部材52の一端に挿入されるとともに、取付ブラケット51とL字ブラケット53との間に設けられた付勢部材54と、L字ブラケット53から車幅方向内側に延ばされ、踏み台21を支持する支軸55と、この支軸55に踏み台21を締結するナット部材56(図5参照)と、からなる。
シャフト部材52は、他端(車体前方)にストッパ57を備える。付勢部材54は、具体的には圧縮ばねである。
【0044】
支持機構26は、矢印A1で示されたように、車体前後方向にスライド可能に踏み台21を支持することができるとともに、矢印A2で示されたように、踏み台21を回転可能に支持することができる。また、取付ブラケット51に対してL字ブラケット53が付勢部材54で車体後方に付勢されているので、テールゲート16の開状態では車体後方にせり出すことができる。
【0045】
フロアパネル24は、リヤサイドフレーム22の内側に、リヤサイドフレーム22の後端22aよりも下方に凹ませた凹状部25を有する。
凹状部25の左右側面に、リヤサイドフレーム22に設けられた当接部45を車内12(図1参照)側に臨ます開口部58が形成される。
【0046】
図7(a)に示されたように、車両10は、テールゲート16が開放され、踏み台21の第1の板部材31から第2の板部材32が、車体後方に矢印b1の如く延ばされ、車椅子に患者さんなどが乗車したまま、第1の板部材31及び第2の板部材32を使用して地面Gから車内12に、移送可能な状態にある。すなわち、図7(a)は、踏み台21が車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置T1が示される。
【0047】
図7(b)に示されたように、踏み台21の第1の板部材31に第2の板部材32を矢印b2の如く収納する。
図8(a)に示されたように、踏み台21(第1の板部材31及び第2の板部材32)を矢印b3の如く、車内12側に回転して踏み台21を立てる。
【0048】
図8(b)に示されたように、車内12側にテールゲート16を回転させ、テールゲート16の押圧部27で踏み台21を矢印b4の如く押圧する。これに伴い支持機構26の踏み台21を支持する支軸55は、矢印b4の如く車体前方に移動される。すなわち、図8(b)は、踏み台21が車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置K1が示される。
【0049】
車両の後部車体では、図5及び図6に示されたように、支持機構26が、フロアパネル24に設けられた取付ブラケット51と、この取付ブラケット51にスライド可能に設けられたシャフト部材52と、このシャフト部材52の一端(車体後方)に設けられたL字ブラケット53と、シャフト部材52の一端に挿入されるとともに、取付ブラケット51とL字ブラケット53との間に設けられた付勢部材54と、L字ブラケット53から車幅方向内側に延ばされ、踏み台21を支持する支軸55と、から構成されたので、図4に示されたように、テールゲート16の押圧部27で踏み台21を車体前方に押圧するときに、踏み台21を車体前方に十分に移動させることができる。この結果、リヤサイドフレーム22の当接部45に踏み台21を十分に密着させることができ、リヤサイドフレーム22と踏み台21との強固な連結状態を実現することができる。
【0050】
この状態(格納位置)では、図4及び図5に示されたように、リヤサイドフレーム22の当接部45に踏み台21の被当接面35aが当接し、踏み台21がリヤサイドフレーム22に車幅方向で連結される。
図9に示されたように、踏み台21は、矢印c1,c1の如く左右のリヤサイドフレーム22に連結され、踏み台21が、左右のリヤサイドフレーム22,22を橋渡しするフレームとして機能することができる。
【0051】
図3〜図5に示されたように、車両の後部車体では、車体11の後端11a(図2参照)から車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台21を備えた。
車体11に、車体前後方向に延びる第1の閉断面23を有する左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、リヤサイドフレーム22,22の内側に、リヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aよりも下方に凹ませた凹状部25を有するフロアパネル24と、を備える。
【0052】
踏み台21が、車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22,22に車幅方向で連結されるので、踏み台21によってリヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aの車幅方向の変位を直接的に抑制できる。これにより、車体剛性の確保を図ることができる。
【0053】
図4に示されたように、車両の後部車体では、車体11に、リヤサイドフレーム22と車幅方向で連結された当接部45を備える。
踏み台21に、展開位置では当接部45に当接しないとともに、格納位置で当接部45に当接する被当接部35を備えるので、車体剛性が必要な運転時に踏み台21が位置する格納位置で、当接部45と被当接部35が当接し、車体剛性を確保することができる。
また、車体剛性が必要のない停車時に踏み台21が位置する展開位置では、当接部45と被当接部35が当接しないことから、リヤサイドフレーム22の位置に係わらず、乗降および荷物の出し入れに悪影響を及ぼさないように踏み台21を展開できる。すなわち、車体設計の自由度が確保できる。
【0054】
図5に示されたように、車両の後部車体では、リヤサイドフレーム22に、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面43aを備え、当接部45が、内側面43aに設けられる。すなわち、当接部45をリヤサイドフレーム22に直接設けることができるので、確実にリヤサイドフレーム22を踏み台21で支持することができる。
内側面43aに設けられる当接部45で踏み台21を面当てすることができるので、荷重伝達効果が高まる。
【0055】
図4及び図5に示されたように、車両の後部車体では、リヤサイドフレーム22に、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部43を備え、内側面43aが、突出部43に設けられる。すなわち、突出部43によって、その他のリヤサイドフレーム22の閉断面形状の影響を受けずに内側面43aに当接部45を設けることができる。これにより、リヤサイドフレーム22の設計自由度が向上する。
リヤサイドフレーム22に、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部43を備え、内側面43aが、突出部43に設けられるので、車幅方向の荷重伝達を行う踏み台21近傍のリヤサイドフレーム22の閉断面積を大きくできる。これにより、車体剛性をさらに高めることができる。
【0056】
図4に示されたように、車両の後部車体では、当接部45に、車体11の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面45aを備え、被当接部35に、当接面45aと略平行に延びるとともに当接面45aに当接する被当接面35aを備えるので、当接部45と被当接部35との間の位置ズレや、当接部45と被当接部35との間の離間を防止できる。これにより、確実に荷重を伝達することができる。
【0057】
図2及び図4に示されたように、車両の後部車体では、車体11に、車体11の後部開口15を開閉するテールゲート16を備える。
踏み台21が、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納され、テールゲート16に、テールゲート16から踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台21を車体前方に押圧する押圧部27を備えるので、テールゲート16を閉めることで踏み台21を車体前方に押圧することができる。これにより、当接部45と被当接部35とを確実に当接することができる。
【0058】
また、踏み台21が、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納され、テールゲート16に、テールゲート16から踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台21を車体前方に押圧する押圧部27を備えるので、後突発生時にテールゲート16に対して入力された荷重を、押圧部27、踏み台21を通じてリヤサイドフレーム22に伝えることができる。
【0059】
図5に示されたように、車両の後部車体では、押圧部27が、車体11の上下方向において、被当接部35とほぼ同じ高さで踏み台21を押圧するので、踏み台21に上下方向における回転モーメントが発生することを防止できる。これにより、さらに当接部45と被当接部35とを確実に当接することができるとともに、さらに後突荷重の伝達効率の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0060】
図10〜図12に、実施例2の車両の後部車体が示される。なお、実施例1の車両の後部車体(図1〜図6参照)と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例2の車両の後部車体は、車体71の後端を開放した後部開口15(図1参照)と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16(図1参照)と、車体71の後端から車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム72,72と、これらのリヤサイドフレーム72,72の間に設けられるフロアパネル24と、を主要構成とする。
【0061】
テールゲート16は、閉状態のテールゲート16から格納位置(格納状態)の踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、テールゲート16が閉状態の近傍位置にあるときに踏み台21を車体前方に押圧する左右の押圧部27,27(図1参照)を備える。
押圧部27は、図12に示されるように、車体71の上下方向において、被当接部35とほぼ同じ高さで踏み台21を押圧する。
【0062】
踏み台21は、第1の板部材31と、第2の板部材32と、からなるスロープである。
第1の板部材31は、展開位置(展開状態)ではリヤサイドフレーム72の当接部85に当接しないとともに、格納位置(格納状態)で当接部85に当接する被当接部35を備える。
被当接部35は、当接部85の当接面85aと略平行に延びるとともに当接面85aに当接する被当接面35aを備える。
【0063】
さらに、踏み台21は、車体71の後端から車外側に突出した展開位置と、車体71の後端よりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能に設けられる。
また、踏み台21は、格納位置では車体71の車幅方向から見てリヤサイドフレーム72の後端72aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム72に車幅方向で連結される。
なお、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納される。
【0064】
フロアパネル24は、リヤサイドフレーム72,72の内側に、リヤサイドフレーム72,72の後端72a,72aよりも下方に凹ませた凹状部25を有する。
凹状部25の左右側面に、リヤサイドフレーム72,72に設けられた当接部85を車内12側に臨ます開口部58が形成される。
【0065】
リヤサイドフレーム72は、アッパパネル81とロアパネル82とからなり、アッパパネル81及びロアパネル82で車体前後方向に延びる第1の閉断面73が構成されている。
また、リヤサイドフレーム72は、車幅方向から見てリヤサイドフレーム72と重なる位置において、リヤサイドフレーム72から車幅方向内側に延びる延出ブラケット86を備える。
【0066】
延出ブラケット86は、アッパブラケット87とロアブラケット88とからなり、アッパブラケット87及びロアブラケット88で車体前後方向に延びる第2の閉断面89が構成されるとともに、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面86aを備える。
【0067】
すなわち、延出ブラケット86は、延出ブラケット86単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面89を備え、リヤサイドフレーム72の第1の閉断面73と第2の閉断面89とが車幅方向に連続される。
【0068】
当接部85は、延出ブラケット86の内側面86aに設けられる。
当接部85は、内側面86aに設けられるものであり、車体71の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面85aを備える。
【0069】
図11に示されたように、車両の後部車体では、リヤサイドフレーム72に、車幅方向から見てリヤサイドフレーム72と重なる位置において、リヤサイドフレーム72から車幅方向内側に延びる延出ブラケット86を備え、当接部85が、延出ブラケット86に設けられるので、車幅方向に延びる延出ブラケット86によって、リヤサイドフレーム72からの車幅方向の荷重を確実に踏み台21に伝えることができる。
【0070】
図12に示されたように、車両の後部車体では、延出ブラケット86に、延出ブラケット86単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面89を備え、第1の閉断面73と第2の閉断面89とが車幅方向に連続されるので、リヤサイドフレーム72からの荷重を第2の閉断面89を通じて踏み台21に確実に伝えることができる。
【実施例3】
【0071】
図13に、実施例3の車両の後部車体が示される。なお、図10〜図12に示された実施例2の車両の後部車体と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例3の車両の後部車体は、実施例2の車両の後部車体の変形例であり、実施例2の車両の後部車体に比較して別形状の延出ブラケット106が設けられる。
【0072】
実施例3の車両の後部車体は、車体91の後端を開放した後部開口15(図1参照)と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16(図1参照)と、車体91の後端から車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム92,92(一方不図示)と、これらのリヤサイドフレーム92,92の間に設けられるフロアパネル24と、を主要構成とする。
【0073】
リヤサイドフレーム92は、アッパパネル101とロアパネル102とからなり、アッパパネル101及びロアパネル102で車体前後方向に延びる第1の閉断面93が構成されている。
【0074】
また、リヤサイドフレーム92は、車幅方向から見てリヤサイドフレーム92と重なる位置において、リヤサイドフレーム92から車幅方向内側に延びる延出ブラケット106を備える。
【0075】
延出ブラケット106は、アッパブラケット107とロアブラケット108とからなり、リヤサイドフレーム92のロアパネル102、アッパブラケット107及びロアブラケット108で車体前後方向に延びる第2の閉断面109が構成される。また、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面106aを備える。
すなわち、延出ブラケット106は、リヤサイドフレーム92と協働して形成され車体前後方向に延びる第2の閉断面109を備え、リヤサイドフレーム92の第1の閉断面93と第2の閉断面109とが車幅方向に連続される。
【0076】
当接部105は、延出ブラケット106の内側面106aに設けられる。
当接部105は、内側面106aに設けられるものであり、車体91の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面105aを備える。
【0077】
図13に示されたように、車両の後部車体では、延出ブラケット106に、リヤサイドフレーム92と協働して形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面109を備え、第1の閉断面93と第2の閉断面109とが車幅方向に連続されるので、リヤサイドフレーム92の荷重を第2の閉断面109を通じて踏み台21に確実に伝えることができる。
【実施例4】
【0078】
図14〜図16に、実施例4の車両の後部車体が示される。なお、実施例1の車両の後部車体(図1〜図6参照)と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例4の車両の後部車体は、車体111の後端を開放した後部開口15(図1参照)と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16(図1参照)と、車体111の後端から車外側に突出可能に設けられた踏み台121と、踏み台121を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム122,122と、これらのリヤサイドフレーム122,122の間に設けられるフロアパネル124と、を主要構成とする。
【0079】
テールゲート16は、閉状態のテールゲート16から格納位置(格納状態)の踏み台121に向かって車体前後方向に延びるとともに、テールゲート16が閉状態の近傍位置にあるときに踏み台121を車体前方に押圧する左右の押圧部27,27(図1参照)を備える。
押圧部27は、図16に示されるように、車体111の上下方向において、被当接部135とほぼ同じ高さで踏み台121を押圧する。
【0080】
踏み台121は、支持機構26に回転可能に且つ前後スライド可能に取付けられる第1の板部材131と、この第1の板部材131にスライド可能に取付けられる第2の板部材132と、第1の板部材131に車幅方向に渡されたクロスメンバ133と、このクロスメンバ133の端部133aに設けられ、展開位置(展開状態)ではフロアパネル124の当接部145に当接しないとともに、格納位置(格納状態)で当接部145に当接する被当接部135を備える。
被当接部135は、当接部145の当接面145aと略平行に延びるとともに当接面145aに当接する被当接面135aを備える。
【0081】
さらに、踏み台121は、車体111の後端から車外側に突出した展開位置と、車体111の後端よりも車内12(図1参照)側に格納された格納位置と、の間で変位可能に設けられる。
また、踏み台121は、格納位置では車体111の車幅方向から見てリヤサイドフレーム122の後端122aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム122にフロアパネル124を介して車幅方向で連結される。なお、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納される。
【0082】
リヤサイドフレーム122は、アッパパネル141とロアパネル142とからなり、アッパパネル141及びロアパネル142で車体前後方向に延びる第1の閉断面123が構成されている。
また、リヤサイドフレーム122は、車幅方向から見て踏み台121と重なる位置において、踏み台121に向けて突出した突出部143が形成される。
【0083】
突出部143は、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面143aを備える。内側面143aは、車幅方向に関してフロアパネル124の当接部145の設定位置に当接している。
【0084】
フロアパネル124は、リヤサイドフレーム122の内側に、リヤサイドフレーム122の後端122aよりも下方に凹ませた凹状部125を有する。
凹状部125の左右側面に、踏み台121に当接させる当接部145が形成される。詳細には、当接部145は、踏み台121のクロスメンバ133に設けられた被当接部135に当接する。
当接部145は、車体111の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面145aを備える。
【0085】
実施例4の車両の後部車体では、踏み台121にクロスメンバ133が設けられ、このクロスメンバ133に車体111側(フロアパネル124)の当接部145に当接する被当接部135が設けられたので、車幅方向に関して当接部145に被当接部135を当接させたときに、踏み台121の撓みを防止することができる。この結果、車体111側(リヤサイドフレーム122)とさらに強固な連結状態を実現することができる。
【実施例5】
【0086】
図17に、実施例5の車両の後部車体が示される。実施例5の車両の後部車体は、実施例1の車両の後部車体(図1〜図6参照)の変形例であり、実施例1の車両の後部車体と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例5の車両の後部車体は、車体161の後端から車外側に突出した展開位置と、車体161の後端よりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台(スロープ)21を備え、車体161に、車体前後方向に延びる第1の閉断面173を有するリヤサイドフレーム172と、リヤサイドフレーム172の内側に、リヤサイドフレーム172の後端172よりも下方に凹ませた凹状部(不図示)を有するフロアパネル174と、を備える。
【0087】
リヤサイドフレーム172はアッパパネル(不図示)及びロアパネル(不図示)で車体前後方向に延びる第1の閉断面173が構成されている。また、リヤサイドフレーム172は、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部193が形成される。
【0088】
突出部193は、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面193aを備える(言い換えれば、内側面193aは、突出部193に設けられてる)。
内側面193aには、リヤサイドフレーム172に車幅方向で連結された当接部195が設けられる。
【0089】
当接部195は、内側面193aに設けられるものであり、車体161の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面195aと、踏み台21の格納位置では踏み台の車体前後方向の前側部位に当接する突出壁(ストッパ部)196と、を備える。
格納位置での踏み台の車体前後方向の前側部位とは、踏み台の構成部品である第1の板部材31の前側31b、第2の板部材32の前側32b若しくは被当接部35の前側35bが相当する。
【0090】
フロアパネル174は、リヤサイドフレーム172に設けられた当接部195を車内12側に臨ます開口部198が形成される。
【0091】
車両の後部車体では、当接部195に、当接面195aから車幅方向中央側に突出する突出壁196を備え、突出壁196が、踏み台21の格納位置では踏み台21の車体前後方向の前側部位31b,32b,35bに当接するので、突出壁196によって踏み台21が前側に移動することを抑制できる。これにより、より効率的に後突時にテールゲート16に作用するカを車体161に伝えることができる。
【0092】
尚、本発明に係る車両の後部車体は、図1〜図17に実施例1〜実施例5を示したが、実施例1〜実施例5を適宜組み合わせることを妨げるものではない。
例えば、実施例4の車両の後部車体では、当接部145がフロアパネル124に設けられたが、第1〜第3実施例のように、リヤサイドフレーム22,72,92側に当接部を設けたものであってもよい。「内側面43a、86a、106a、143aに当接部を設ける」とは、フロアパネルに開口部を設けて内側面に当接部を直接接合する構成に限定されず、フロアパネルを間に介して間接的に設けられる構成(実施例4の構成)も含む。
【0093】
本発明に係る車両の後部車体は、図6に示すように、支持機構26は踏み台21,121(図5及び図16参照)の前後スライドと回転を許容するものであったが、これに限るものではなく、踏み台21,121の回転のみを許容する機構であってもよい。すなわち、踏み台は前後のスライド機構を介さないものであってもよい。
【0094】
本発明に係る車両の後部車体では、当接部45,105は、リヤサイドパネル若しくはフロアパネルに一体的に設けられたものであってもよく、被当接部35は、踏み台に一体的に設けられたものであってもよい。取付部は溶接等で接合される構成に限定されず、ボルト等の締結部材で締結される構成も含む。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明に係る車両の後部車体は、車体の後部開口を開閉するテールゲートからスロープなどを車外側に延出し、スロープを使用して車椅子などを車内に搬入できる福祉(介護)車両に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0096】
10…車両、11,71,91,161…車体、11a…車体の後端、12…車内、16…テールゲート、21…踏み台、22,72,92…リヤサイドフレーム、22a…リヤサイドフレームの後端、23,73,93…第1の閉断面、24…フロアパネル、25…凹状部、27…押圧部、31b,32b,35b…前側部位、35…被当接部、35a…被当接面、43…突出部、43a…内側面、45…当接部、45a…当接面、86,106…延出ブラケット、89,109…第2の閉断面、195…当接部、195a…当接面、196…突出壁。
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の後端から車外側に突出した展開位置と、車体の後端よりも車内側に格納された格納位置との間で変位可能な踏み台を備えた車両の後部車体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部車体には、車体前後方向に延びるリヤサイドフレームの後部に凹状に設けられフロアパンに対応して下方に凹形状となったエンドクロスメンバーが連結され、エンドクロスメンバーにテールゲートの下端が回動可能に支持され、テールゲートの内部に板部材(延出部材)を設け、板部材及びテールゲートをフロアパンに通じるスロープとして利用するものがある。
【0003】
また、車両の後部車体では、リヤサイドフレームの後端から後方にパネル部材を延ばし、パネル部材にテールゲートのロック機構に係合するストライカーを設け、テールゲートを閉鎖した状態では、テールゲート(特に内部の支持メンバー)を平面視でリヤサイドフレームから延出したパネル部材と一部重なる位置に設定する。
さらに、凹形状のフロアパンを設けたことにより、低下した車体剛性を向上させるために、リヤサイドフレームの後端に、着脱自在となる連結バーを設けてリヤサイドフレーム同士を連結する。
【0004】
この車両の後部車体によれば、リヤサイドフレームの後端に、着脱自在となる連結バーを設けてリヤサイドフレーム同士を連結したので、車体後部の剛性の確保が可能である(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−47927公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の車両の後部車体では、テールゲートがリヤサイドフレームの後端よりも後方に位置し、リヤサイドフレームの後端から延びる単一板部材のパネル部材にロック機構を介して連結されているのみであり、テールゲートによってリヤサイドフレームの後端間の車幅方向の変位を防止することが困難であった。そこで、凹形状のフロアパンを設けたことにより低下した車両剛性(特にリヤサイドフレームの後端間の車両幅方向の変位に対する剛性)を高めるために別体の連結バーを設けている。
【0007】
しかし、別体の連結バーを設けると部品点数及びコストが増加してしまうとともに、スロープ(テールゲート及び板部材)を用いてフロアパンの内部に車椅子等を収納する際には、連結バーを着脱する手間がかかる。
【0008】
本発明は、連結バーなどの別部材を設けることなく、リヤサイドフレームの後端の車幅方向の変位を抑制して車体剛性を確保することができる車両の後部車体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、車体の後端から車外側に突出した展開位置と、車体の後端よりも車内側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台を備えた車両の後部車体において、車体に、車体前後方向に延びる第1の閉断面を有する左右一対のリヤサイドフレームと、リヤサイドフレームの内側に、リヤサイドフレームの後端よりも下方に凹ませた凹状部を有するフロアパネルと、を備え、踏み台が、車体の車幅方向から見てリヤサイドフレームの後端と重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレームに車幅方向で連結されることを特徴とする。
【0010】
請求項2に係る発明は、車体に、リヤサイドフレームと車幅方向で連結された当接部を備え、踏み台に、展開位置では当接部に当接しないとともに、格納位置で当接部に当接する被当接部を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明は、リヤサイドフレームに、車両幅方向に略垂直な方向に延びる内側面を備え、当接部が、内側面に設けられることを特徴とする。
【0012】
請求項4に係る発明は、リヤサイドフレームに、車幅方向から見て踏み台と重なる位置において、踏み台に向けて突出した突出部を備え、内側面が、突出部に設けられることを特徴とする。
【0013】
請求項5に係る発明は、リヤサイドフレームに、車幅方向から見てリヤサイドフレームと重なる位置において、リヤサイドフレームから車幅方向内側に延びる延出ブラケットを備え、当接部が、延出ブラケットに設けられることを特徴とする。
【0014】
請求項6に係る発明は、延出ブラケットに、リヤサイドフレームと協働して形成され若しくは延出ブラケット単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面を備え、
第1の閉断面と第2の閉断面とが車幅方向に連続されることを特徴とする。
【0015】
請求項7に係る発明は、当接部に、車体の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面を備え、被当接部に、当接面と略平行に延びるとともに当接面に当接する被当接面を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項8に係る発明は、車体に、車体の後部開ロを開閉するテールゲートを備え、踏み台が、テールゲートよりも車体前後方向において車内側に格納され、テールゲートに、テールゲートから踏み台に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台を車体前方に押圧する押圧部を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項9に係る発明は、押圧部が、車体の上下方向において、被当接部とほぼ同じ高さで踏み台を押圧することを特徴とする。
【0018】
請求項10に係る発明は、当接部に、当接面から車幅方向中央側に突出する突出壁を備え、突出壁が、踏み台の格納位置では踏み台の車体前後方向の前側部位に当接することを特徴とする請求項8又は請求項9記載の車両の後部車体。
【発明の効果】
【0019】
本発明は以下の効果を奏する。
請求項1に係る発明では、車両の後部車体に、車体の後端から車外側に突出した展開位置と、車体の後端よりも車内側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台を備えた。
車体に、車体前後方向に延びる第1の閉断面を有する左右一対のリヤサイドフレームと、リヤサイドフレームの内側に、リヤサイドフレームの後端よりも下方に凹ませた凹状部を有するフロアパネルと、を備える。
踏み台が、車体の車幅方向から見てリヤサイドフレームの後端と重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレームに車幅方向で連結されるので、踏み台によってリヤサイドフレームの後端の車幅方向の変位を直接的に抑制できる。これにより、車体剛性の確保を図ることができる。
ここで、「踏み台が、リヤサイドフレームに車幅方向で連結される」とは、例えば、ロック機構等を介した係合や空間を介して配置された状態等の車幅方向での変位が可能に結合される構成ではなく、リヤサイドフレームに直接、又は剛体(金属等)から形成され車幅方向に延びる別体ブラケット(延出ブラケット)等を介して剛的に連結された構成をいう。なお、ここで連結とは、溶接やボルト締結等で接合された構成に限定されず、車幅方向を向いた当接面同士で当接している構造も含む。
さらに、踏み台は、連続的な傾斜で形成されるスロープや、階段状のステップの総称である。
【0020】
請求項2に係る発明では、車体に、リヤサイドフレームと車幅方向で連結された当接部を備える。
踏み台に、展開位置では当接部に当接しないとともに、格納位置で当接部に当接する被当接部を備えるので、車体剛性が必要な運転時に踏み台が位置する格納位置で、当接部と被当接部が当接し、車体剛性を確保することができる。
また、車体剛性が必要のない停車時に踏み台が位置する展開位置では、当接部と被当接部が当接しないことから、リヤサイドフレームの位置に係わらず、乗降および荷物の出し入れに悪影響を及ぼさないように踏み台を展開できる。すなわち、車体設計の自由度が確保できる。
【0021】
請求項3に係る発明では、リヤサイドフレームに、車両幅方向に略垂直な方向に延びる内側面を備え、当接部が、内側面に設けられる。すなわち、当接部をリヤサイドフレームに直接設けることができるので、確実にリヤサイドフレームを踏み台で支持することができる。
内側面に設けられる当接部で踏み台を面当てすることができるので、荷重伝達効果が高まる。
【0022】
請求項4に係る発明では、リヤサイドフレームに、車幅方向から見て踏み台と重なる位置において、踏み台に向けて突出した突出部を備え、内側面が、突出部に設けられる。すなわち、突出部によって、その他のリヤサイドフレームの閉断面形状の影響を受けずに内側面に当接部を設けることができる。これにより、リヤサイドフレームの設計自由度が向上する。
リヤサイドフレームに、車幅方向から見て踏み台と重なる位置において、踏み台に向けて突出した突出部を備え、内側面が、突出部に設けられるので、車幅方向の荷重伝達を行う踏み台近傍のリヤサイドフレームの閉断面積を大きくできる。これにより、車体剛性をさらに高めることができる。
【0023】
請求項5に係る発明では、リヤサイドフレームに、車幅方向から見てリヤサイドフレームと重なる位置において、リヤサイドフレームから車幅方向内側に延びる延出ブラケットを備え、当接部が、延出ブラケットに設けられるので、車幅方向に延びる延出ブラケットによって、リヤサイドフレームからの車幅方向の荷重を確実に踏み台に伝えることができる。
【0024】
請求項6に係る発明では、延出ブラケットに、リヤサイドフレームと協働して形成され若しくは延出ブラケット単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面を備え、
第1の閉断面と第2の閉断面とが車幅方向に連続されるので、リヤサイドフレームからの荷重を第2の閉断面を通じて踏み台に確実に伝えることができる。
【0025】
請求項7に係る発明では、当接部に、車体の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面を備え、被当接部に、当接面と略平行に延びるとともに当接面に当接する被当接面を備えるので、当接部と被当接部との間の位置ズレや、当接部と被当接部との間の離間を防止できる。これにより、確実に荷重を伝達することができる。
【0026】
請求項8に係る発明では、車体に、車体の後部開ロを開閉するテールゲートを備える。
踏み台が、テールゲートよりも車体前後方向において車内側に格納され、テールゲートに、テールゲートから踏み台に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台を車体前方に押圧する押圧部を備えるので、テールゲートを閉めることで踏み台を車体前方に押圧することができる。これにより、当接部と被当接部とを確実に当接することができる。
また、後突発生時にテールゲートに対して入力された荷重を、押圧部、踏み台を通じてリヤサイドフレームに伝えることができる。
【0027】
請求項9に係る発明では、押圧部が、車体の上下方向において、被当接部とほぼ同じ高さで踏み台を押圧するので、踏み台に上下方向における回転モーメントが発生することを防止できる。これにより、さらに当接部と被当接部とを確実に当接することができるとともに、さらに後突荷重の伝達効率の向上を図ることができる。
【0028】
請求項10に係る発明では、当接部に、当接面から車幅方向中央側に突出する突出壁を備え、突出壁が、踏み台の格納位置では踏み台の車体前後方向の前側部位に当接するので、突出壁によって踏み台が前側に移動することを抑制できる。これにより、より効率的に後突時にテールゲートに作用するカを車体に伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る実施例1の車両の後部車体が採用された車両を示す斜視図である。
【図2】図1に示された車両の踏み台が車内側に格納された状態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る実施例1の車両の後部車体の斜視図である。
【図4】図2の4−4線断面図である。
【図5】図2の5−5線断面図である。
【図6】図5に示された支持機構の斜視図である。
【図7】図5に示された車両の後部車体の踏み台の収納手順前半を示す説明図である。
【図8】図5に示された車両の後部車体の踏み台の収納手順後半を示す説明図である。
【図9】図5に示された車両の後部車体の作用を示す説明図である。
【図10】本発明に係る実施例2の車両の後部車体の斜視図である。
【図11】図10に示された車両の後部車体の平面断面図である。
【図12】図10に示された車両の後部車体の背面断面図である。
【図13】本発明に係る実施例3の車両の後部車体の背面断面図である。
【図14】本発明に係る実施例4の車両の後部車体の斜視図である。
【図15】図14に示された車両の後部車体の平面断面図である。
【図16】図14に示された車両の後部車体の背面断面図である。
【図17】本発明に係る実施例5の車両の後部車体の平面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
【実施例1】
【0031】
図1及び図2に示されたように、車両10は、車椅子等を車内に搬入可能な福祉(介護)車両であり、車体11に、車体11の後端11aを開放した後部開口15と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16と、車体11の後部側面を覆うリヤフェンダ18と、リヤフェンダ18の後方に設けられるリヤバンパフェース19と、車体11の後端11aから車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム22,22(図3参照)と、これらのリヤサイドフレーム22,22の間に設けられるフロアパネル24と、を備える。
【0032】
図1に示されたように、踏み台21は、車椅子等を車内に搬入可能なスロープであり、車体11の後端11a(図2参照)から車外側に突出した展開位置とは、スロープを使用状態にセットした位置をいい、図2に示されるように、車体11の後端11aよりも車内側に格納された格納位置とは、スロープを収納状態にセットした位置をいう。
【0033】
実施例1の車両の後部車体は、車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台(スロープ)21を備え、車体11に、車体前後方向に延びる第1の閉断面23(図3参照)を有する左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、リヤサイドフレーム22,22の内側に、リヤサイドフレーム22,22の後端よりも下方に凹ませた凹状部25を有するフロアパネル24と、を備え、踏み台21が、格納位置では車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22,22の後端と重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22,22に車幅方向で連結される構造である。
【0034】
ここで、「踏み台21が、リヤサイドフレーム22(図3参照)に車幅方向で連結される」とは、例えば、ロック機構等を介した係合や空間を介して配置された状態等の車幅方向での変位が可能に結合される構成ではなく、リヤサイドフレーム22に直接、又は剛体(金属等)から形成され車幅方向に延びる図12に示される延出ブラケット(別体ブラケット)86等を介して剛的に連結された構成をいう。なお、ここで連結とは、溶接やボルト締結等で接合された構成に限定されず、車幅方向を向いた当接面同士で当接している構造も含む。
さらに、踏み台21は、連続的な傾斜で形成されるスロープや、階段状のステップ等の使用者が踏む部材の総称である。
【0035】
以下、本発明の車両の後部車体の詳細を説明する。
図1〜図6に示されたように、実施例1の車両の後部車体では、車体11の後端11aを開放した後部開口15と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16と、車体11の後端11aから車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、これらのリヤサイドフレーム22,22の間に設けられるフロアパネル24と、を主要構成とする。
【0036】
テールゲート16は、後部開口15の上縁15aにヒンジ17,17を介して後部開口15に開閉自在に設けられる。
さらに、テールゲート16は、閉状態のテールゲート16から格納位置(格納状態)の踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、テールゲート16が閉状態の近傍位置にあるときに踏み台21を車体前方に押圧する左右の押圧部27,27を備える。
押圧部27は、図5に示されたように車体11の上下方向において、踏み台21の被当接部35とほぼ同じ高さで踏み台21を押圧する。
【0037】
踏み台21は、支持機構26に回転可能に且つ前後スライド可能に取付けられる第1の板部材31と、この第1の板部材31にスライド可能に取付けられる第2の板部材32と、からなるスロープである。
【0038】
第1の板部材31は、展開位置(展開状態)ではリヤサイドフレーム22の当接部45に当接しないとともに、格納位置(格納状態)で当接部45に当接する被当接部35を備える。
被当接部35は、当接部45の当接面45aと略平行に延びるとともに当接面45aに当接する被当接面35aを備える。
【0039】
さらに、踏み台21は、車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能に設けられる。
また、踏み台21は、格納位置では車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22の後端22aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22に車幅方向で連結される。なお、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納される。
【0040】
リヤサイドフレーム22は、アッパパネル41とロアパネル42とからなり、アッパパネル41及びロアパネル42で車体前後方向に延びる第1の閉断面23が構成されている。また、リヤサイドフレーム22は、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部43が形成される。
【0041】
突出部43は、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面43aを備える(言い換えれば、内側面43aは、突出部43に設けられてる)。
内側面43aには、リヤサイドフレーム22に車幅方向で連結された当接部45が設けられる。
【0042】
当接部45は、内側面43aに設けられるものであり、車体11の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面45aを備える。
【0043】
支持機構26は、図6に示されたように、フロアパネル24に設けられた取付ブラケット51と、この取付ブラケット51にスライド可能に設けられたシャフト部材52と、このシャフト部材52の一端(車体後方)に設けられたL字ブラケット53と、シャフト部材52の一端に挿入されるとともに、取付ブラケット51とL字ブラケット53との間に設けられた付勢部材54と、L字ブラケット53から車幅方向内側に延ばされ、踏み台21を支持する支軸55と、この支軸55に踏み台21を締結するナット部材56(図5参照)と、からなる。
シャフト部材52は、他端(車体前方)にストッパ57を備える。付勢部材54は、具体的には圧縮ばねである。
【0044】
支持機構26は、矢印A1で示されたように、車体前後方向にスライド可能に踏み台21を支持することができるとともに、矢印A2で示されたように、踏み台21を回転可能に支持することができる。また、取付ブラケット51に対してL字ブラケット53が付勢部材54で車体後方に付勢されているので、テールゲート16の開状態では車体後方にせり出すことができる。
【0045】
フロアパネル24は、リヤサイドフレーム22の内側に、リヤサイドフレーム22の後端22aよりも下方に凹ませた凹状部25を有する。
凹状部25の左右側面に、リヤサイドフレーム22に設けられた当接部45を車内12(図1参照)側に臨ます開口部58が形成される。
【0046】
図7(a)に示されたように、車両10は、テールゲート16が開放され、踏み台21の第1の板部材31から第2の板部材32が、車体後方に矢印b1の如く延ばされ、車椅子に患者さんなどが乗車したまま、第1の板部材31及び第2の板部材32を使用して地面Gから車内12に、移送可能な状態にある。すなわち、図7(a)は、踏み台21が車体11の後端11aから車外側に突出した展開位置T1が示される。
【0047】
図7(b)に示されたように、踏み台21の第1の板部材31に第2の板部材32を矢印b2の如く収納する。
図8(a)に示されたように、踏み台21(第1の板部材31及び第2の板部材32)を矢印b3の如く、車内12側に回転して踏み台21を立てる。
【0048】
図8(b)に示されたように、車内12側にテールゲート16を回転させ、テールゲート16の押圧部27で踏み台21を矢印b4の如く押圧する。これに伴い支持機構26の踏み台21を支持する支軸55は、矢印b4の如く車体前方に移動される。すなわち、図8(b)は、踏み台21が車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置K1が示される。
【0049】
車両の後部車体では、図5及び図6に示されたように、支持機構26が、フロアパネル24に設けられた取付ブラケット51と、この取付ブラケット51にスライド可能に設けられたシャフト部材52と、このシャフト部材52の一端(車体後方)に設けられたL字ブラケット53と、シャフト部材52の一端に挿入されるとともに、取付ブラケット51とL字ブラケット53との間に設けられた付勢部材54と、L字ブラケット53から車幅方向内側に延ばされ、踏み台21を支持する支軸55と、から構成されたので、図4に示されたように、テールゲート16の押圧部27で踏み台21を車体前方に押圧するときに、踏み台21を車体前方に十分に移動させることができる。この結果、リヤサイドフレーム22の当接部45に踏み台21を十分に密着させることができ、リヤサイドフレーム22と踏み台21との強固な連結状態を実現することができる。
【0050】
この状態(格納位置)では、図4及び図5に示されたように、リヤサイドフレーム22の当接部45に踏み台21の被当接面35aが当接し、踏み台21がリヤサイドフレーム22に車幅方向で連結される。
図9に示されたように、踏み台21は、矢印c1,c1の如く左右のリヤサイドフレーム22に連結され、踏み台21が、左右のリヤサイドフレーム22,22を橋渡しするフレームとして機能することができる。
【0051】
図3〜図5に示されたように、車両の後部車体では、車体11の後端11a(図2参照)から車外側に突出した展開位置と、車体11の後端11aよりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台21を備えた。
車体11に、車体前後方向に延びる第1の閉断面23を有する左右一対のリヤサイドフレーム22,22と、リヤサイドフレーム22,22の内側に、リヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aよりも下方に凹ませた凹状部25を有するフロアパネル24と、を備える。
【0052】
踏み台21が、車体11の車幅方向から見てリヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム22,22に車幅方向で連結されるので、踏み台21によってリヤサイドフレーム22,22の後端22a,22aの車幅方向の変位を直接的に抑制できる。これにより、車体剛性の確保を図ることができる。
【0053】
図4に示されたように、車両の後部車体では、車体11に、リヤサイドフレーム22と車幅方向で連結された当接部45を備える。
踏み台21に、展開位置では当接部45に当接しないとともに、格納位置で当接部45に当接する被当接部35を備えるので、車体剛性が必要な運転時に踏み台21が位置する格納位置で、当接部45と被当接部35が当接し、車体剛性を確保することができる。
また、車体剛性が必要のない停車時に踏み台21が位置する展開位置では、当接部45と被当接部35が当接しないことから、リヤサイドフレーム22の位置に係わらず、乗降および荷物の出し入れに悪影響を及ぼさないように踏み台21を展開できる。すなわち、車体設計の自由度が確保できる。
【0054】
図5に示されたように、車両の後部車体では、リヤサイドフレーム22に、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面43aを備え、当接部45が、内側面43aに設けられる。すなわち、当接部45をリヤサイドフレーム22に直接設けることができるので、確実にリヤサイドフレーム22を踏み台21で支持することができる。
内側面43aに設けられる当接部45で踏み台21を面当てすることができるので、荷重伝達効果が高まる。
【0055】
図4及び図5に示されたように、車両の後部車体では、リヤサイドフレーム22に、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部43を備え、内側面43aが、突出部43に設けられる。すなわち、突出部43によって、その他のリヤサイドフレーム22の閉断面形状の影響を受けずに内側面43aに当接部45を設けることができる。これにより、リヤサイドフレーム22の設計自由度が向上する。
リヤサイドフレーム22に、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部43を備え、内側面43aが、突出部43に設けられるので、車幅方向の荷重伝達を行う踏み台21近傍のリヤサイドフレーム22の閉断面積を大きくできる。これにより、車体剛性をさらに高めることができる。
【0056】
図4に示されたように、車両の後部車体では、当接部45に、車体11の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面45aを備え、被当接部35に、当接面45aと略平行に延びるとともに当接面45aに当接する被当接面35aを備えるので、当接部45と被当接部35との間の位置ズレや、当接部45と被当接部35との間の離間を防止できる。これにより、確実に荷重を伝達することができる。
【0057】
図2及び図4に示されたように、車両の後部車体では、車体11に、車体11の後部開口15を開閉するテールゲート16を備える。
踏み台21が、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納され、テールゲート16に、テールゲート16から踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台21を車体前方に押圧する押圧部27を備えるので、テールゲート16を閉めることで踏み台21を車体前方に押圧することができる。これにより、当接部45と被当接部35とを確実に当接することができる。
【0058】
また、踏み台21が、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納され、テールゲート16に、テールゲート16から踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、踏み台21を車体前方に押圧する押圧部27を備えるので、後突発生時にテールゲート16に対して入力された荷重を、押圧部27、踏み台21を通じてリヤサイドフレーム22に伝えることができる。
【0059】
図5に示されたように、車両の後部車体では、押圧部27が、車体11の上下方向において、被当接部35とほぼ同じ高さで踏み台21を押圧するので、踏み台21に上下方向における回転モーメントが発生することを防止できる。これにより、さらに当接部45と被当接部35とを確実に当接することができるとともに、さらに後突荷重の伝達効率の向上を図ることができる。
【実施例2】
【0060】
図10〜図12に、実施例2の車両の後部車体が示される。なお、実施例1の車両の後部車体(図1〜図6参照)と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例2の車両の後部車体は、車体71の後端を開放した後部開口15(図1参照)と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16(図1参照)と、車体71の後端から車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム72,72と、これらのリヤサイドフレーム72,72の間に設けられるフロアパネル24と、を主要構成とする。
【0061】
テールゲート16は、閉状態のテールゲート16から格納位置(格納状態)の踏み台21に向かって車体前後方向に延びるとともに、テールゲート16が閉状態の近傍位置にあるときに踏み台21を車体前方に押圧する左右の押圧部27,27(図1参照)を備える。
押圧部27は、図12に示されるように、車体71の上下方向において、被当接部35とほぼ同じ高さで踏み台21を押圧する。
【0062】
踏み台21は、第1の板部材31と、第2の板部材32と、からなるスロープである。
第1の板部材31は、展開位置(展開状態)ではリヤサイドフレーム72の当接部85に当接しないとともに、格納位置(格納状態)で当接部85に当接する被当接部35を備える。
被当接部35は、当接部85の当接面85aと略平行に延びるとともに当接面85aに当接する被当接面35aを備える。
【0063】
さらに、踏み台21は、車体71の後端から車外側に突出した展開位置と、車体71の後端よりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能に設けられる。
また、踏み台21は、格納位置では車体71の車幅方向から見てリヤサイドフレーム72の後端72aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム72に車幅方向で連結される。
なお、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納される。
【0064】
フロアパネル24は、リヤサイドフレーム72,72の内側に、リヤサイドフレーム72,72の後端72a,72aよりも下方に凹ませた凹状部25を有する。
凹状部25の左右側面に、リヤサイドフレーム72,72に設けられた当接部85を車内12側に臨ます開口部58が形成される。
【0065】
リヤサイドフレーム72は、アッパパネル81とロアパネル82とからなり、アッパパネル81及びロアパネル82で車体前後方向に延びる第1の閉断面73が構成されている。
また、リヤサイドフレーム72は、車幅方向から見てリヤサイドフレーム72と重なる位置において、リヤサイドフレーム72から車幅方向内側に延びる延出ブラケット86を備える。
【0066】
延出ブラケット86は、アッパブラケット87とロアブラケット88とからなり、アッパブラケット87及びロアブラケット88で車体前後方向に延びる第2の閉断面89が構成されるとともに、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面86aを備える。
【0067】
すなわち、延出ブラケット86は、延出ブラケット86単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面89を備え、リヤサイドフレーム72の第1の閉断面73と第2の閉断面89とが車幅方向に連続される。
【0068】
当接部85は、延出ブラケット86の内側面86aに設けられる。
当接部85は、内側面86aに設けられるものであり、車体71の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面85aを備える。
【0069】
図11に示されたように、車両の後部車体では、リヤサイドフレーム72に、車幅方向から見てリヤサイドフレーム72と重なる位置において、リヤサイドフレーム72から車幅方向内側に延びる延出ブラケット86を備え、当接部85が、延出ブラケット86に設けられるので、車幅方向に延びる延出ブラケット86によって、リヤサイドフレーム72からの車幅方向の荷重を確実に踏み台21に伝えることができる。
【0070】
図12に示されたように、車両の後部車体では、延出ブラケット86に、延出ブラケット86単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面89を備え、第1の閉断面73と第2の閉断面89とが車幅方向に連続されるので、リヤサイドフレーム72からの荷重を第2の閉断面89を通じて踏み台21に確実に伝えることができる。
【実施例3】
【0071】
図13に、実施例3の車両の後部車体が示される。なお、図10〜図12に示された実施例2の車両の後部車体と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例3の車両の後部車体は、実施例2の車両の後部車体の変形例であり、実施例2の車両の後部車体に比較して別形状の延出ブラケット106が設けられる。
【0072】
実施例3の車両の後部車体は、車体91の後端を開放した後部開口15(図1参照)と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16(図1参照)と、車体91の後端から車外側に突出可能に設けられた踏み台21と、踏み台21を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム92,92(一方不図示)と、これらのリヤサイドフレーム92,92の間に設けられるフロアパネル24と、を主要構成とする。
【0073】
リヤサイドフレーム92は、アッパパネル101とロアパネル102とからなり、アッパパネル101及びロアパネル102で車体前後方向に延びる第1の閉断面93が構成されている。
【0074】
また、リヤサイドフレーム92は、車幅方向から見てリヤサイドフレーム92と重なる位置において、リヤサイドフレーム92から車幅方向内側に延びる延出ブラケット106を備える。
【0075】
延出ブラケット106は、アッパブラケット107とロアブラケット108とからなり、リヤサイドフレーム92のロアパネル102、アッパブラケット107及びロアブラケット108で車体前後方向に延びる第2の閉断面109が構成される。また、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面106aを備える。
すなわち、延出ブラケット106は、リヤサイドフレーム92と協働して形成され車体前後方向に延びる第2の閉断面109を備え、リヤサイドフレーム92の第1の閉断面93と第2の閉断面109とが車幅方向に連続される。
【0076】
当接部105は、延出ブラケット106の内側面106aに設けられる。
当接部105は、内側面106aに設けられるものであり、車体91の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面105aを備える。
【0077】
図13に示されたように、車両の後部車体では、延出ブラケット106に、リヤサイドフレーム92と協働して形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面109を備え、第1の閉断面93と第2の閉断面109とが車幅方向に連続されるので、リヤサイドフレーム92の荷重を第2の閉断面109を通じて踏み台21に確実に伝えることができる。
【実施例4】
【0078】
図14〜図16に、実施例4の車両の後部車体が示される。なお、実施例1の車両の後部車体(図1〜図6参照)と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例4の車両の後部車体は、車体111の後端を開放した後部開口15(図1参照)と、この後部開口15を開閉自在に覆うテールゲート16(図1参照)と、車体111の後端から車外側に突出可能に設けられた踏み台121と、踏み台121を回転可能に且つ前後スライド可能に支持する支持機構26(図6参照)と、車体前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム122,122と、これらのリヤサイドフレーム122,122の間に設けられるフロアパネル124と、を主要構成とする。
【0079】
テールゲート16は、閉状態のテールゲート16から格納位置(格納状態)の踏み台121に向かって車体前後方向に延びるとともに、テールゲート16が閉状態の近傍位置にあるときに踏み台121を車体前方に押圧する左右の押圧部27,27(図1参照)を備える。
押圧部27は、図16に示されるように、車体111の上下方向において、被当接部135とほぼ同じ高さで踏み台121を押圧する。
【0080】
踏み台121は、支持機構26に回転可能に且つ前後スライド可能に取付けられる第1の板部材131と、この第1の板部材131にスライド可能に取付けられる第2の板部材132と、第1の板部材131に車幅方向に渡されたクロスメンバ133と、このクロスメンバ133の端部133aに設けられ、展開位置(展開状態)ではフロアパネル124の当接部145に当接しないとともに、格納位置(格納状態)で当接部145に当接する被当接部135を備える。
被当接部135は、当接部145の当接面145aと略平行に延びるとともに当接面145aに当接する被当接面135aを備える。
【0081】
さらに、踏み台121は、車体111の後端から車外側に突出した展開位置と、車体111の後端よりも車内12(図1参照)側に格納された格納位置と、の間で変位可能に設けられる。
また、踏み台121は、格納位置では車体111の車幅方向から見てリヤサイドフレーム122の後端122aと重なる位置に設けられるとともに、リヤサイドフレーム122にフロアパネル124を介して車幅方向で連結される。なお、テールゲート16よりも車体前後方向において車内12側に格納される。
【0082】
リヤサイドフレーム122は、アッパパネル141とロアパネル142とからなり、アッパパネル141及びロアパネル142で車体前後方向に延びる第1の閉断面123が構成されている。
また、リヤサイドフレーム122は、車幅方向から見て踏み台121と重なる位置において、踏み台121に向けて突出した突出部143が形成される。
【0083】
突出部143は、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面143aを備える。内側面143aは、車幅方向に関してフロアパネル124の当接部145の設定位置に当接している。
【0084】
フロアパネル124は、リヤサイドフレーム122の内側に、リヤサイドフレーム122の後端122aよりも下方に凹ませた凹状部125を有する。
凹状部125の左右側面に、踏み台121に当接させる当接部145が形成される。詳細には、当接部145は、踏み台121のクロスメンバ133に設けられた被当接部135に当接する。
当接部145は、車体111の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面145aを備える。
【0085】
実施例4の車両の後部車体では、踏み台121にクロスメンバ133が設けられ、このクロスメンバ133に車体111側(フロアパネル124)の当接部145に当接する被当接部135が設けられたので、車幅方向に関して当接部145に被当接部135を当接させたときに、踏み台121の撓みを防止することができる。この結果、車体111側(リヤサイドフレーム122)とさらに強固な連結状態を実現することができる。
【実施例5】
【0086】
図17に、実施例5の車両の後部車体が示される。実施例5の車両の後部車体は、実施例1の車両の後部車体(図1〜図6参照)の変形例であり、実施例1の車両の後部車体と同一部品は同一符号を用い、詳細な説明は省略する。
実施例5の車両の後部車体は、車体161の後端から車外側に突出した展開位置と、車体161の後端よりも車内12側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台(スロープ)21を備え、車体161に、車体前後方向に延びる第1の閉断面173を有するリヤサイドフレーム172と、リヤサイドフレーム172の内側に、リヤサイドフレーム172の後端172よりも下方に凹ませた凹状部(不図示)を有するフロアパネル174と、を備える。
【0087】
リヤサイドフレーム172はアッパパネル(不図示)及びロアパネル(不図示)で車体前後方向に延びる第1の閉断面173が構成されている。また、リヤサイドフレーム172は、車幅方向から見て踏み台21と重なる位置において、踏み台21に向けて突出した突出部193が形成される。
【0088】
突出部193は、車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面193aを備える(言い換えれば、内側面193aは、突出部193に設けられてる)。
内側面193aには、リヤサイドフレーム172に車幅方向で連結された当接部195が設けられる。
【0089】
当接部195は、内側面193aに設けられるものであり、車体161の後方から前方に向かうに連れて車幅方向内側に傾斜する当接面195aと、踏み台21の格納位置では踏み台の車体前後方向の前側部位に当接する突出壁(ストッパ部)196と、を備える。
格納位置での踏み台の車体前後方向の前側部位とは、踏み台の構成部品である第1の板部材31の前側31b、第2の板部材32の前側32b若しくは被当接部35の前側35bが相当する。
【0090】
フロアパネル174は、リヤサイドフレーム172に設けられた当接部195を車内12側に臨ます開口部198が形成される。
【0091】
車両の後部車体では、当接部195に、当接面195aから車幅方向中央側に突出する突出壁196を備え、突出壁196が、踏み台21の格納位置では踏み台21の車体前後方向の前側部位31b,32b,35bに当接するので、突出壁196によって踏み台21が前側に移動することを抑制できる。これにより、より効率的に後突時にテールゲート16に作用するカを車体161に伝えることができる。
【0092】
尚、本発明に係る車両の後部車体は、図1〜図17に実施例1〜実施例5を示したが、実施例1〜実施例5を適宜組み合わせることを妨げるものではない。
例えば、実施例4の車両の後部車体では、当接部145がフロアパネル124に設けられたが、第1〜第3実施例のように、リヤサイドフレーム22,72,92側に当接部を設けたものであってもよい。「内側面43a、86a、106a、143aに当接部を設ける」とは、フロアパネルに開口部を設けて内側面に当接部を直接接合する構成に限定されず、フロアパネルを間に介して間接的に設けられる構成(実施例4の構成)も含む。
【0093】
本発明に係る車両の後部車体は、図6に示すように、支持機構26は踏み台21,121(図5及び図16参照)の前後スライドと回転を許容するものであったが、これに限るものではなく、踏み台21,121の回転のみを許容する機構であってもよい。すなわち、踏み台は前後のスライド機構を介さないものであってもよい。
【0094】
本発明に係る車両の後部車体では、当接部45,105は、リヤサイドパネル若しくはフロアパネルに一体的に設けられたものであってもよく、被当接部35は、踏み台に一体的に設けられたものであってもよい。取付部は溶接等で接合される構成に限定されず、ボルト等の締結部材で締結される構成も含む。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明に係る車両の後部車体は、車体の後部開口を開閉するテールゲートからスロープなどを車外側に延出し、スロープを使用して車椅子などを車内に搬入できる福祉(介護)車両に採用するのに好適である。
【符号の説明】
【0096】
10…車両、11,71,91,161…車体、11a…車体の後端、12…車内、16…テールゲート、21…踏み台、22,72,92…リヤサイドフレーム、22a…リヤサイドフレームの後端、23,73,93…第1の閉断面、24…フロアパネル、25…凹状部、27…押圧部、31b,32b,35b…前側部位、35…被当接部、35a…被当接面、43…突出部、43a…内側面、45…当接部、45a…当接面、86,106…延出ブラケット、89,109…第2の閉断面、195…当接部、195a…当接面、196…突出壁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の後端から車外側に突出した展開位置と、前記車体の後端よりも車内側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台を備えた車両の後部車体において、
前記車体は、車体前後方向に延びる第1の閉断面を有する左右一対のリヤサイドフレームと、前記リヤサイドフレームの内側に、該リヤサイドフレームの後端よりも下方に凹ませた凹状部を有するフロアパネルと、を備え、
前記踏み台は、前記車体の車幅方向から見て前記リヤサイドフレームの後端と重なる位置に設けられるとともに、前記リヤサイドフレームに車幅方向で連結されることを特徴とする車両の後部車体。
【請求項2】
前記車体は、前記リヤサイドフレームと前記車幅方向で連結された当接部を備え、
前記踏み台は、前記展開位置では前記当接部に当接しないとともに、前記格納位置で前記当接部に当接する被当接部を備えることを特徴とする請求項1記載の車両の後部車体。
【請求項3】
前記リヤサイドフレームは、前記車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面を備え、前記当接部は、前記内側面に設けられることを特徴とする請求項2記載の車両の後部車体。
【請求項4】
前記リヤサイドフレームは、前記車幅方向から見て前記踏み台と重なる位置において、前記踏み台に向けて突出した突出部を備え、
前記内側面は、前記突出部に設けられることを特徴とする請求項3記載の車両の後部車体。
【請求項5】
前記リヤサイドフレームは、前記車幅方向から見て該リヤサイドフレームと重なる位置において、前記リヤサイドフレームから前記車幅方向内側に延びる延出ブラケットを備え、
前記当接部は、前記延出ブラケットに設けられることを特徴とする請求項2記載の車両の後部車体。
【請求項6】
前記延出ブラケットは、前記リヤサイドフレームと協働して形成され若しくは該延出ブラケット単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面を備え、
前記第1の閉断面と前記第2の閉断面とが車幅方向に連続されることを特徴とする請求項5記載の車両の後部車体。
【請求項7】
前記当接部は、前記車体の後方から前方に向かうに連れて前記車幅方向内側に傾斜する当接面を備え、
前記被当接部は、前記当接面と略平行に延びるとともに該当接面に当接する被当接面を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項8】
前記車体は、該車体の後部開口を開閉するテールゲートを備え、
前記踏み台は、前記テールゲートよりも車体前後方向において車内側に格納され、
前記テールゲートは、該テールゲートから前記踏み台に向かって前記車体前後方向に延びるとともに、前記踏み台を車体前方に押圧する押圧部を備えることを特徴とする請求項7記載の車両の後部車体。
【請求項9】
前記押圧部は、前記車体の上下方向において、前記被当接部とほぼ同じ高さで前記踏み台を押圧することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の車両の後部車体。
【請求項10】
前記当接部は、前記当接面から車幅方向中央側に突出する突出壁を備え、
前記突出壁は、前記踏み台の格納位置では該踏み台の車体前後方向の前側部位に当接することを特徴とする請求項8又は請求項9記載の車両の後部車体。
【請求項1】
車体の後端から車外側に突出した展開位置と、前記車体の後端よりも車内側に格納された格納位置と、の間で変位可能な踏み台を備えた車両の後部車体において、
前記車体は、車体前後方向に延びる第1の閉断面を有する左右一対のリヤサイドフレームと、前記リヤサイドフレームの内側に、該リヤサイドフレームの後端よりも下方に凹ませた凹状部を有するフロアパネルと、を備え、
前記踏み台は、前記車体の車幅方向から見て前記リヤサイドフレームの後端と重なる位置に設けられるとともに、前記リヤサイドフレームに車幅方向で連結されることを特徴とする車両の後部車体。
【請求項2】
前記車体は、前記リヤサイドフレームと前記車幅方向で連結された当接部を備え、
前記踏み台は、前記展開位置では前記当接部に当接しないとともに、前記格納位置で前記当接部に当接する被当接部を備えることを特徴とする請求項1記載の車両の後部車体。
【請求項3】
前記リヤサイドフレームは、前記車幅方向に略垂直な方向に延びる内側面を備え、前記当接部は、前記内側面に設けられることを特徴とする請求項2記載の車両の後部車体。
【請求項4】
前記リヤサイドフレームは、前記車幅方向から見て前記踏み台と重なる位置において、前記踏み台に向けて突出した突出部を備え、
前記内側面は、前記突出部に設けられることを特徴とする請求項3記載の車両の後部車体。
【請求項5】
前記リヤサイドフレームは、前記車幅方向から見て該リヤサイドフレームと重なる位置において、前記リヤサイドフレームから前記車幅方向内側に延びる延出ブラケットを備え、
前記当接部は、前記延出ブラケットに設けられることを特徴とする請求項2記載の車両の後部車体。
【請求項6】
前記延出ブラケットは、前記リヤサイドフレームと協働して形成され若しくは該延出ブラケット単独で形成され、車体前後方向に延びる第2の閉断面を備え、
前記第1の閉断面と前記第2の閉断面とが車幅方向に連続されることを特徴とする請求項5記載の車両の後部車体。
【請求項7】
前記当接部は、前記車体の後方から前方に向かうに連れて前記車幅方向内側に傾斜する当接面を備え、
前記被当接部は、前記当接面と略平行に延びるとともに該当接面に当接する被当接面を備えることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1項記載の車両の後部車体。
【請求項8】
前記車体は、該車体の後部開口を開閉するテールゲートを備え、
前記踏み台は、前記テールゲートよりも車体前後方向において車内側に格納され、
前記テールゲートは、該テールゲートから前記踏み台に向かって前記車体前後方向に延びるとともに、前記踏み台を車体前方に押圧する押圧部を備えることを特徴とする請求項7記載の車両の後部車体。
【請求項9】
前記押圧部は、前記車体の上下方向において、前記被当接部とほぼ同じ高さで前記踏み台を押圧することを特徴とする請求項7又は請求項8記載の車両の後部車体。
【請求項10】
前記当接部は、前記当接面から車幅方向中央側に突出する突出壁を備え、
前記突出壁は、前記踏み台の格納位置では該踏み台の車体前後方向の前側部位に当接することを特徴とする請求項8又は請求項9記載の車両の後部車体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−1194(P2013−1194A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132535(P2011−132535)
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月14日(2011.6.14)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
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