説明

車両の構成部品の車体構造への取付

本発明は、マウント(5)を介して、応力が動的に加えられる車両の構成部品を車体構造(1)に取付けるための装置(9)に関する。前記マウント(5)は、取付けられた状態において、車体構造(1)に取付けられるマウント芯部(11)を備えている。前記装置(9)は、少なくとも1つの接触点補強要素(31)によって、特徴付けられる。また、本発明は、マウントを介さずに、応力が動的に加えられる車両の構成部品(50)を車体構造(1)に直接取付けるための配置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前文に記載される、応力が動的に加えられる車両の構成部品を車体構造にマウントを介して取付けるための装置、請求項19の前文に記載されるマウント芯部、及び請求項20に記載される配置に関する。
【背景技術】
【0002】
ここで検討される種類の装置は、特許文献1及び特許文献2に開示されている。これらは、例えば、サブフレームを車体に取付けるのに用いられ、取付状態において、ネジ留めによって車体構造に固定されるマウント芯部を有するマウントを備えている。マウント芯部は、平らな端面を有し、この端面は、その全面にわたって、車体構造又はそこに取付けられる固定手段と当接することが意図されている。しかし、これは、特に部品と位置の許容誤差のために、あらゆる場合に確保することはできない。
【0003】
シャシから車体シェルへの移行部における不完全かつ不安定な接触と支持の関係によって、取付点における動的な剛性特性に極めて大きな低下が生じ、車体構造内への固体伝播音の浸入を増大させるような影響を及ぼし、その結果、車体内部に望ましくない騒音をもたらす。
【0004】
【特許文献1】独国特許発明第199 47 759 C2号明細書
【特許文献2】独国特許発明第40 11 827 C2号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、車両の構成部品の車体構造への明確かつ再現可能な取付が確実に得られる冒頭に述べた種類の装置を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、マウントの介在なしで、車両の構成部品の車体構造への明確かつ再現可能な直接取付が、確実に得られる配置を特定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1の特徴を有する装置が提案される。この装置は、車体構造に取付けられた車両の構成部品に動的負荷が加えられた場合、マウント芯部と車体構造との間のマウント接触領域にわたるマウント芯部の傾斜運動が、好ましくは、回避され、又は少なくとも既知の装置と比較して低減されるように、配置及び設計された少なくとも1つの接触点補強要素によって、特徴付けられる。接触点補強要素によって実現されるマウント芯部と車体構造との間の取付点の補強によって、取付点における均質かつ信頼性のある剛性特性が確実に得られ、その結果、車体構造内への力の最大値及び高音ノイズとも呼ばれる固体伝播音の過剰な浸入が回避され得る。車両の構成部品が既知の装置によって車体構造に取付けられる車両の場合よりも、相互に比較して、車室内音響的に、音の拡散が少なくなり、さらに有利である。
【0007】
前述の車両の構成部品は、例えば、本発明による少なくとも1つの装置によって、車体シェルに取付けられるサブフレーム又はアセンブリホルダーであり得る。もし車両の構成部品が、とりわけ、車両のシャシが固定されるサブフレームの場合、そのサブフレームは、本発明による複数の装置によって、車体構造に取付けられる。
【0008】
装置の特に好ましい実施形態において、接触点補強要素は、マウント芯部と車体構造との間の面接触領域に配置されるので、全体として、小型の構成、すなわち、空間を節約した構成が、実現され得る。
【0009】
マウント芯部が、マウント接触面を有し、このマウント接触面は、マウントの取付状態において、クランプ手段によって、車体構造に設けられる相手側接触面に押圧され、接触点補強要素は、当接している接触面から横方向に距離を隔てて、配置されることによって特徴付けられる装置の例示的実施形態が、さらに好ましい。マウント芯部と車体構造との間に、クランプ手段によって実現される摩擦接触が、好ましくは、マウント接触面と相手側接触面を介してのみ、生成される。クランプ手段によって生成され、車体構造のマウント芯部を互いに押圧させるクランプ力は、接触面にのみ作用する。すなわち、接触点補強要素の除外又は省略、あるいはその機能的欠陥又はその機能が低下しても、クランプ接続が行なわれないことはないが、その結果として、支持点の不均一な剛性特性が生じる。
【0010】
クランプ手段は、好ましくは、マウント芯部の通路開口内に達し、車体構造又はそこに設けられるか又は配置される保持要素にねじ込まれ得る少なくとも1つのネジによって、形成される。
【0011】
接触点補強要素が、マウント芯部又は車体構造に設けられた凹部内に配置され、マウントの非取付状態において、マウント接触面又は相手側接触面の上方に突出する、装置の例示的実施形態が、特に好ましい。
【0012】
凹部は、特に、接触点補強要素をマウント芯部又は車体構造に芯出し及び正確に位置決めするために、用いられる。
【0013】
もし接触点補強要素が変形可能に設計されている場合、凹部は、マウント芯部が車体構造に押圧されたときに、接触点補強要素の圧縮の結果として変位された接触点補強要素の材料を受容するために、さらに用いられる。その結果、接触点補強要素は、部品及び/又は位置の許容誤差によって生じ得るマウント芯部と車体構造との間の隙間に、規制されない形態で押圧されることがない。
【0014】
本発明の発展形態によれば、凹部の輪郭は、マウント芯部の外形に沿っている。すなわち、凹部の輪郭は、少なくとも実質的にマウント芯部の外形と対応し、凹部のマウント芯部の縁からの距離は、好ましくは、その全長にわたって、一定である。
【0015】
凹部は、周回するように、すなわち、閉じるように設計され得る。代案として、凹部は、その両端が、各端壁によって、閉鎖されるようにすることができる。好ましい一実施形態において、凹部は、溝によって形成され、その結果、環状に設計されるか、又はリングの一部の形状に設計される。種々の変形形態の全てに共通する特徴は、好ましくは、接触点補強要素の長さが、凹部の長さと同じか又はわずかに小さいことである。その結果、接触点補強要素は、凹部内において変位されず、定位置に位置決めされる。
【0016】
接触点補強要素は、好ましくは、凹部内に配置されるのみであり、これによって、接触点補強要素の交換が簡素化される。しかし、接触点補強要素は、凹部内に圧入及び/又は接合され得る。
【0017】
さらに、接触点補強要素が、マウントの取付状態において、マウント接触面と相手側接触面に少なくとも力を作用する方向において、変形可能であることによって、特徴付けられる装置の例示的実施形態が、好ましい。変形性は、材料の対応する選択及び/又は接触点補強要素の対応する構造的構成によって、実現され得る。
【0018】
接触点補強要素が、マウント芯部及び車体構造よりも、それらの取付領域において、剛性が低い、装置の例示的実施形態は、特に好ましい。その結果、マウント芯部が車体構造に取付けられ、面接触が形成されたとき、クランプ手段によって実現される望ましい摩擦接触が、マウント芯部と車体構造との間に生成されるまで、接触点補強要素が、変形/圧縮されることが、確実になる。
【0019】
さらに、接触点補強要素が、振動減衰特性を有することによって、特徴付けられる装置の例示的実施形態が、好ましい。この場合、接触点補強要素は、これらの特性を有する材料から構成され得る。代案として、接触点補強要素は、複数の要素からなるようにも設計され得る。接触点補強要素は、好ましくは、車両内部の騒音挙動を改良するために、運転による振動が車体構造から可能な限り隔離されるように、設計される。
【0020】
接触点補強要素は、例えば、シリンダーヘッドのガスケットと同じ材料から生成され得る。接触点補強要素の材料が降伏する傾向を有せず、その結果、接触点補強要素の機能が所望の期間にわたって確保することができると、さらに好ましい。接触点補強要素は、例えば、金属、プラスチック、特にエラストマー、又は前述した2つの材料の組合せから構成され得る。
【0021】
好ましい実施形態において、接触点補強要素は、環状に設計され、マウント芯部のマウント接触面又は車体構造の相手側接触面を包囲するように配置される。
【0022】
本発明による装置は、特に軽量構造(ボデーシート領域)に有利に用いられ得る。マウント芯部の車体構造に対する取付領域において、接触点補強要素によって実現され得る抵抗及び剛性は、特に強調されるべきである。
【0023】
装置のさらに他の有利な例示的実施形態は、従属項及び以下の説明に述べられる特徴の組合せから明らかになる。
【0024】
また、本発明の主題は、請求項1〜18のいずれか一項に記載される装置の一部であるマウント芯部に関する。マウント芯部は、車体構造と相互作用するその端面における、請求項1〜18のいずれか一項に記載される接触点補強要素を収容するための凹部によって、特徴付けられる。マウント芯部は、単純な構造、従って、費用効率の高い構造を有し、そこに配置される接触点補強要素と組み合わせて、車体構造内への振動の導入を改良する。
【0025】
上記の目的を達成するために、マウントを介さずに、応力が動的に加えられる車両の構成部品を車体構造に直接取付けるための請求項20の特徴を有する配置も提案される。従って、車両の構成部品は、取付状態において、車体構造に直接的に面接触する。この配置は、車両の構成部品と車体構造との間の取付点を補強する、前述したような少なくとも1つの接触点補強要素によって、特徴付けられ、その結果、その取付点の均質かつ信頼性のある剛性特性が確実に得られるようにすることができる。
【0026】
上記の配置の有利な例示的実施形態は、従属項に述べられる特徴の組合せによって、明らかになる。これらの実施形態の機能と利点のために、特に、装置に関する前述の詳細も参照される。
【0027】
本発明の主題は、請求項20〜36のいずれか一項に記載される接触点補強要素を収容するための凹部によって特徴付けられる、請求項37の特徴を有する車両の構成部品、及び請求項38の特徴を有する車体構造にも関する。
【0028】
以下、図面を参照して、本発明をさらに詳細に説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
図1は、車体構造1の断面を示している。この車体構造1では、取付点3の領域において、(図に示されていない)車両の構成部品、例えば、サブフレーム又はアセンブリホルダーが、マウント5を介して、固定される。車体構造1の中で、フロアアセンブリのシート部分7、すなわち、フロアアセンブリに取付けられた支持物のみが描かれている。
【0030】
マウント5は、車両の構成部品を車体構造1に取付けるための装置9の一部であり、取付けられるべき車両の構成部品に連結されるか又はそこに形成されるマウント芯部11と、マウント芯部11を車体構造1に固定するためのクランプ手段13とを備えている。クランプ手段13は、ここでは、締付けネジ15と、その締付けネジ15がねじ込まれ得る保持要素17とによって、形成されている。さらに、ここでは、ワッシャ18が設けられ、締付けネジ15の頭部とマウント芯部11との間に配置されている。
【0031】
マウント芯部11は、その長手方向の中心軸21と同軸に延在する通路開口19を有している。通路開口19は、締付けネジ15を貫通させるために、用いられる。取付状態において、通路開口19を貫通したそのネジの自由端は、シート部分7の通路開口23内に達し、次いで、シート部分7のマウント芯部11と反対の側に配置された保持要素17にねじ込まれる。代案として、ネジ付き孔が車体構造1に設けられ、そのネジ付き孔に、締付けネジ15がねじ込まれるようにすることもできる。
【0032】
シート部分7の実質的に平らな平坦側25に端側において押圧され得るマウント芯部11は、平らな端面27を有し、この端面27に、周回する環状凹部29が設けられている。凹部29は、マウント芯部11の外縁領域の近傍に位置し、この例示的実施形態では、矩形の断面を有している。すなわち、凹部29の側壁は、互いに平行、かつ凹部29の平らな底に対して直角に延在している。凹部29の形状は、図1に示される例示的実施形態に限定されず、変更され得る。
【0033】
環状の変形可能な接触点補強要素31が、凹部29内に配置され、少なくともマウント5の非取付状態において、マウント芯部11の端面27の上方に突出している。溝の形態にある凹部29が、とりわけ、接触点補強要素31をマウント芯部11に芯出し及び正確に位置決めするために、用いられる。接触点補強要素31は、マウント芯部11とシート部分7との間の再現可能な接触と支持の状態を確実にするのに用いられ、マウント芯部11及び車体構造1よりも、取付点3におけるそれらの取付領域において、剛性が低い。
【0034】
車両の構成部品が車体構造1に取付けられたとき、締付けネジ15が締め付けられると、マウント芯部11は、その端側が、平坦側25に向かって移動する。この過程において、マウント芯部の端面27の上方に突出している接触点補強要素31は、図1に示されるように、その全領域にわたってシート部分7と当接するように、変形される。接触点補強要素31の変形が大きい場合、その変位された材料−少なくともその大部分が、凹部29内に収容される。接触点補強要素31が圧縮されると、凹部29はさらに、その要素31の横方向の降伏を防ぎ、所定の位置に保持する。接触点補強要素31の変形によって、マウント芯部の端面27は、面接触が、マウント芯部11とシート部分7との間に形成されるまで、シート部分7の平坦側25に接近する。
【0035】
図1に示される例示的実施形態の場合、シート部分7の平坦側25とマウント芯部11の端面27は、部品と位置の許容誤差によって、互いに正確に平行には延在していない。その結果、締付けネジ15が必要なトルクで締め付けられたとき、マウント芯部11は、シート部分7と、図1の例では、長手方向の中心軸21の右側に位置する端領域において接触し、一方、中心領域においてはシート部分7の変形によって、少なくとも長手方向の中心軸21の左側に位置する領域において、マウント芯部11とシート部分7との間に、接触点補強要素31が跨る隙間が残る。シート部分7の相手側接触領域35上のマウント芯部11のマウント接触面33の殆どは、ここでは本質的に環状に設計され、マウント芯部11内の通路開口19の周囲に延在している。マウント接触面33の残りの部分は、ここでは、すなわち、図1の例では、長手方向の中心軸21の右側のマウント芯部11の縁に形成される。
【0036】
マウント芯部11とシート部分7との間に締付けネジ15によって実現される摩擦接触は、これらの部分間の面接触を介してのみ生じる点が、強調されるべきである。接触点補強要素31は、実質的に、摩擦接触に影響を及ぼさない。
【0037】
シート部分7の平坦側25に対するマウント芯部11の傾斜によって、接触点補強要素31は、不均一に圧縮される。図1から分かるように、接触点補強要素31は、端の近傍のマウント芯部11とシート部分7との間の面接触が存在する領域では、実質的に十分に溝状の凹部29内に押圧され、一方、直径の反対側に位置する領域では、隙間が存在することによって、それほど大きく変形されていない。図1からさらに、接触点補強要素31は、十分な領域にわたってシート部分7との接触が生じるまで、少なくとも弾性的に、適切であれば、塑性的に変形され得ることが分かる。シート部分7の平坦側25上の接触点補強要素31の支持面には、参照番号37が付されている。接触点補強要素31は、好ましくは、その全長にわたってシート部分7と十分に当接し、マウント芯部11とシート部分7との間の隙間を跨ぐように、設計される。
【0038】
接触点補強要素31が、マウント芯部11とシート部分7との間の隙間を跨ぐという事実によって、マウント芯部11の運動、特にマウント芯部11の中心領域におけるマウント接触点でのμmの範囲内の傾斜運動が、好ましくは、防がれ得るか、又は少なくとも著しく低減され得る。接触点補強要素31によって、接触点領域の著しい補強が確立され、その結果、この取付点3における動的な剛性特性の顕著な低下が回避される。接触点補強要素31によって、一定の接触と支持の状態が、マウント芯部11とシート部分7との間に生成され得る。
【0039】
シート部分7に対するマウント芯部11の傾斜運動を回避するために、もし図1に示されるマウント芯部11の中心からの接触点補強要素31の横方向の距離が可能な限り大きいと、有利である。接触点補強要素31を受容するための凹部29の配置は、それに応じて選択されるべきである。
【0040】
図1を参照して述べた例示的実施形態の場合、シート部分7は、締付けネジ15が、特に保持要素17の影響下において、締め付けられたとき、局部的に変形される。しかし、本発明による接触点補強要素31の機能のために、シート部分7、又は適切であれば、マウント芯部11が、変形されるかどうかは問題ではない。何故なら、これらの部分間に摩擦接触が存在するからである。もしマウント芯部11及び/又は車体構造1が、固定操作中に、それらの面接触領域において変形されないような剛性設計がなされている場合、対応する異なる面接触が、生成され得る。
【0041】
凹部29は、マウント芯部11の平坦な端面27とシート部分7の平らな平坦側25が互いに正確な平行関係にある場合、接触点補強要素31が凹部29内に完全に収容され、いかなる動作も実質的に生じないような大きさであると、有利であることがわかっている。この場合、マウント接触面33は、最大であり、マウント芯部11の端面27と同じ大きさである。
【0042】
図2〜5は、各々、取付状態において、車両構造1と相互作用する端面27の平面図におけるマウント芯部11の例示的実施形態を示している。図2に示されるマウント芯部11は、円状の外形を有し、図3に示されるマウント芯部11は、楕円状の外形を有し、図4に示されるマウント芯部11は、矩形状の外形を有し、図5に示されるマウント芯部11は、六角形状の外形を有している。これらの例示的実施形態の共通の特徴は、それらの中心に、締付けネジ15を貫通させる、ここでは、円状の通路開口19を有していることである。マウント芯部11は、各々、端面27の縁領域に配置され、各場合に、マウント芯部11の外形に適合する凹部29を有している。すなわち、図2に示されるマウント芯部11に設けられる凹部29は、円状の輪郭を有し、図3に示されるマウント芯部11の凹部29は、楕円状の輪郭を有し、図4に示されるマウント芯部11の凹部29は、矩形状の輪郭を有し、及び図5に示されるマウント芯部11の凹部29は、六角形状の輪郭を有している。
【0043】
図2〜5に示される例示的実施形態の共通の特徴は、個々の凹部29が、周回するように設計され、通路開口19を包囲している点にある。個々の凹部29内に配置される接触点補強要素31は、凹部29の形状に適合する形状、すなわち、円状、楕円状、矩形状、又は六角形状を有している。マウント芯部11の形状、凹部29の形状、及び接触点補強要素31の形状は、変更可能であり、図2〜5に示される例示的実施形態には限定されないことは明らかである。重要なのは、個々の接触点補強要素31を正確に位置決めし、ネジ接続部が締め付けられたとき、接触点補強要素31がマウント芯部11の端面27上を滑るのを防ぐ凹部29が、縁に近接して配置されることである。
【0044】
図6は、平面図で、マウント芯部11のさらに他の例示的実施形態を示している。このマウント芯部11は、図2を参照して述べたマウント芯部11とは、凹部29及びそこに配置される接触点補強要素31が、周回しないように設計され、リングの一部の形状を有している点において、異なっている。接触点補強要素31は、端面27の外縁に近い領域において、マウント芯部11の長手方向の中心軸21から横方向において距離を隔てて、配置されている。接触点補強要素31は、マウント芯部11の端面27の上方に突出し、マウント芯部11が取付されたとき、まず第1に、車体構造1に面接触し、マウント芯部11が固定されたとき、そのマウント芯部11の傾斜運動を生じさせるような剛性設計がなされ、その結果、マウント芯部11は、接触点補強要素31と直径の反対側に位置する端面27の領域において、車体構造1に対して位置決めされる。これによって、マウント芯部11は、少なくとも2つの相互的対向領域/点で当接し、その結果、この方向におけるマウント芯部11の傾斜が防がれることが確実になる。接触点補強要素31によって生じるマウント芯部11の傾斜によって、マウント芯部11と車体構造1との間の再現可能な支持と接触の状態が、確実に得られる。
【0045】
図面を参照して述べたマウント5は、リジッドマウントとして設計され得る。すなわち、マウント芯部11が、例えば、マウント5の構造空間の全体を占めている。従って、マウント芯部11の車両の構成部品への取付けは、リジッドである。他の例示的実施形態において、マウント芯部11と応力が動的に加えられる車両の構成部品の取付けは、弾性的である。弾性取付の例示的実施形態は、一般的に知られ、例えば、独国特許発明第199 47 759 C2号明細書、及び独国特許発明第40 11 827 C2号明細書に、開示されているので、さらに詳細な説明は、ここでは、省略する。
【0046】
前述の接触点補強要素31は、車両の構成部品を車体構造に直接取付けるための配置(図面には示されない)の場合にも、有利に用いられ得る。この配置において、車両の構成部品は、取付状態において、車体構造1と直接的に面接触する。接触点補強要素31の機能は、ここでは、図1を参照して述べた接触が、直接的ではなく、マウント芯部11を有するマウント5の介在によって生じる例示的実施形態の場合におけるのと同じである。従って、図1に示されるマウント芯部11は、ここで検討される配置を形成するために、括弧内の参照番号50によって図1に示される車両の構成部品によって、取り替えられ得る。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】取付状態における本発明の装置の例示的実施形態の概略図を示す。
【図2】マウント芯部の例示的実施形態をその端面の1つの平面図で示す。
【図3】マウント芯部の例示的実施形態をその端面の1つの平面図で示す。
【図4】マウント芯部の例示的実施形態をその端面の1つの平面図で示す。
【図5】マウント芯部の例示的実施形態をその端面の1つの平面図で示す。
【図6】マウント芯部の例示的実施形態をその端面の1つの平面図で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応力が動的に加えられる車両の構成部品を車体構造(1)に、マウント(5)を介して取付けるための装置(9)であって、前記マウント(5)は、取付状態において、前記車体構造(1)と面接触するマウント芯部(11)を有し、少なくとも1つの接触点補強要素(31)を有すること特徴とする装置。
【請求項2】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント芯部(11)と前記車体構造(1)との間の前記面接触領域に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マウント芯部(11)は、前記マウント(5)の取付状態において、クランプ手段(13)によって、前記車体構造(1)に設けられた相手側接触面(35)に押圧されるマウント接触面(33)を有し、前記接触点補強要素(31)は、前記当接している接触面(33、35)から横方向に距離を隔てて配置されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の装置。
【請求項4】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント芯部(11)又は前記車体構造(1)に設けられた凹部(29)内に配置され、前記マウント(11)の非取付状態において、前記マウント接触面(33)又は前記相手側接触面(35)の上方に突出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記凹部(29)の輪郭は、前記マウント芯部(11)の外形に沿うことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記凹部(29)は、周回するように設計されることを特徴とする請求項4あるいは5に記載の装置。
【請求項7】
前記凹部(29)は、溝によって形成されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記凹部(29)は、前記接触点補強要素(31)がそこに十分に収容され得るように、前記接触点補強要素(31)に対して寸法が定められることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント(5)の取付状態において、少なくとも前記マウント接触面(33)及び前記相手側接触面(35)に作用する力の方向に、変形可能であるように、設計されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記接触点補強要素(31)は、取付領域(3)における前記マウント芯部(11)と前記車体構造(1)の剛性よりも、剛性が低いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記接触点補強要素(31)は、前記凹部の全周にわたって延在することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記接触点補強要素(31)は、環状であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント接触面(33)又は前記相手側接触面(35)を包囲することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記接触点補強要素(31)は、振動減衰特性を有することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記マウント接触面(33)は、前記マウント芯部(11)の端側に位置し、前記マウント芯部(11)は、その端側の平面図で見たときに、環状、特に、楕円、円、又は角状の外形を有することを特徴とする請求項1〜14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記マウント芯部(11)は、長手方向の中心軸(21)の方向に締結部材、特に締付ネジ(15)が通る通路開口(19)有することを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
前記凹部(29)は、前記マウント芯部(11)の端面(27)の外縁領域に設けられていることを特徴とする請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記マウント芯部の端面(27)は平行な平面を持つことを特徴とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の装置(9)用のマウント芯部(11)であって、その端側において前記車体構造(1)に押圧され得るマウント芯部は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接触点補強要素(31)を収容するために前記マウント芯部の端面(27)に設けられる凹部(29)を有することを特徴とするマウント芯部。
【請求項20】
応力が動的に加えられる車両の構成部品(50)を車体構造(1)に直接取付けるための配置であって、前記車両の構成部品(50)は、取付状態において、少なくとも1つの接触点補強要素(31)を有することを特徴とする配置。
【請求項21】
前記接触点補強要素(31)は、前記車両の構成部品(50)と前記車体構造(1)との間の前記面接触領域に配置されることを特徴とする請求項20に記載の配置。
【請求項22】
前記車両の構成部品(50)は、前記車両の構成部品(50)の取付状態において、クランプ手段(13)によって、前記車体構造(1)に設けられた相手側接触面(35)に押圧されるマウント接触面(33)を有し、前記接触点補強要素(31)は、前記当接している接触面(33、35)から横方向に距離を隔てて、配置されることを特徴とする請求項20あるいは21に記載の配置。
【請求項23】
前記接触点補強要素(31)は、前記車両の構成部品(50)又は車体構造(1)に設けられた凹部(29)に配置され、前記車両の構成部品(50)の非取付状態において、前記マウント接触面(33)又は前記相手側接触面(35)の上方に突出することを特徴とする請求項20〜22のいずれか一項に記載の配置。
【請求項24】
前記凹部(29)の輪郭は、前記マウント接触面(33)の外形に沿うことを特徴とする請求項23に記載の配置。
【請求項25】
前記凹部(29)は、周回するように設計されることを特徴とする請求項23あるいは24に記載の配置。
【請求項26】
前記凹部(29)は、溝によって、形成されることを特徴とする請求項25に記載の配置。
【請求項27】
前記凹部(29)は、前記接触点補強要素(31)がそこに十分に収容され得るように、前記接触点補強要素(31)に対して寸法が定められることを特徴とする請求項23〜26のいずれか一項に記載の配置。
【請求項28】
前記接触点補強要素(31)は、少なくとも、前記車両の構成部品(50)の前記マウント接触面(33)と前記相手側接触面(35)の取付方向に変形可能であることを特徴とする請求項20〜27のいずれか一項に記載の配置。
【請求項29】
前記接触点補強要素(31)は、取付領域(3)における、前記車両の構成部品(50)と前記車体構造(1)の剛性よりも、剛性が低いことを特徴とする請求項20〜28のいずれか一項に記載の配置。
【請求項30】
前記接触点補強要素(31)は、前記凹部(29)の長さの全体にわたって延在することを特徴とする請求項20〜29のいずれか一項に記載の配置。
【請求項31】
前記接触点補強要素(31)は、環状であることを特徴とする請求項20〜30のいずれか一項に記載の配置。
【請求項32】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント接触面(33)又は前記相手側接触面(35)を包囲することを特徴とする請求項31に記載の配置。
【請求項33】
前記接触点補強要素(31)は、振動減衰特性を有することを特徴とする請求項20〜32のいずれか一項に記載の配置。
【請求項34】
前記マウント接触面(33)は締結部材、特に締付ネジ(15)が通る通路開口(19)有することを特徴とする請求項20〜33のいずれか一項に記載の配置。
【請求項35】
前記凹部(29)は、前記マウント接触面(33)の好ましくは平らな端面(27)の外縁の近傍の領域に設けられることを特徴とする請求項34に記載の配置。
【請求項36】
前記端面(27)は平行な平面を持つことを特徴とする請求項20〜35のいずれか一項に記載の配置。
【請求項37】
前記車体構造(1)に押圧され得る請求項20〜36のいずれか一項に記載の配置用の車両の構成部品(50)において、請求項20〜36のいずれか一項に記載の接触点補強要素(31)を収容するための凹部(29)を有することを特徴とする車両の構成部品。
【請求項38】
前記車両の構成部品(50)が押圧され得る請求項20〜36のいずれか一項に記載される配置用の車体構造(1)において、請求項20〜36のいずれか一項に記載の接触点補強要素(31)を収容するための凹部(29)を有することを特徴とする車体構造。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
応力が動的に加えられる車両の構成部品を車体構造(1)に、マウント(5)を介して取付けるための装置(9)であって、前記マウント(5)は、取付状態において、前記車体構造(1)と面接触するマウント芯部(11)を有し、マウント芯部(11)と車体構造との間の面接触領域にわたる少なくとも前記マウント芯部(11)の傾斜運動を低減させる少なくとも1つの接触点補強要素(31)を有すること特徴とする装置。
【請求項2】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント芯部(11)と前記車体構造(1)との間の前記面接触領域に配置されることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記マウント芯部(11)は、前記マウント(5)の取付状態において、クランプ手段(13)によって、前記車体構造(1)に設けられた相手側接触面(35)に押圧されるマウント接触面(33)を有し、前記接触点補強要素(31)は、前記当接している接触面(33、35)から横方向に距離を隔てて配置されることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の装置。
【請求項4】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント芯部(11)又は前記車体構造(1)に設けられた凹部(29)内に配置され、前記マウント(11)の非取付状態において、前記マウント接触面(33)又は前記相手側接触面(35)の上方に突出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記凹部(29)の輪郭は、前記マウント芯部(11)の外形に沿うことを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記凹部(29)は、周回するように設計されることを特徴とする請求項4あるいは5に記載の装置。
【請求項7】
前記凹部(29)は、溝によって形成されることを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記凹部(29)は、前記接触点補強要素(31)がそこに十分に収容され得るように、前記接触点補強要素(31)に対して寸法が定められることを特徴とする請求項4〜7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記接触点補強要素(31)は、前記マウント(5)の取付状態において、少なくとも前記マウント接触面(33)及び前記相手側接触面(35)に作用する力の方向に、変形可能であるように、設計されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記接触点補強要素(31)は、取付領域(3)における前記マウント芯部(11)と前記車体構造(1)の剛性よりも、剛性が低いことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記マウント接触面(33)は、前記マウント芯部(11)の端側に位置し、前記マウント芯部(11)は、その端側の平面図で見たときに、環状、特に、楕円、円、又は角状の外形を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれか一項に記載の装置(9)用のマウント芯部(11)であって、その端側において前記車体構造(1)に押圧され得るマウント芯部は、請求項1〜11のいずれか一項に記載の接触点補強要素(31)を収容するために前記マウント芯部の端面(27)に設けられる凹部(29)を有することを特徴とするマウント芯部。
【請求項13】
サブフレーム又はアセンブリホルダーによって構成される応力が動的に加えられる車両の構成部品(50)を車体構造(1)に直接取付けるための配置であって、前記車両の構成部品(50)は、取付状態において、前記車体構造(1)と面接触し、マウント芯部(11)と前記車体構造との間の面接触領域にわたる、少なくとも前記マウント芯部(11)の傾斜運動を低減させる少なくとも1つの接触点補強要素(31)を有することを特徴とする配置。
【請求項14】
前記接触点補強要素(31)は、前記車両の構成部品(50)と前記車体構造(1)との間の前記面接触領域に配置されることを特徴とする請求項13に記載の配置。
【請求項15】
前記車両の構成部品(50)は、前記車両の構成部品(50)の取付状態において、クランプ手段(13)によって、前記車体構造(1)に設けられた相手側接触面(35)に押圧されるマウント接触面(33)を有し、前記接触点補強要素(31)は、前記当接している接触面(33、35)から横方向に距離を隔てて、配置されることを特徴とする請求項13あるいは14に記載の配置。
【請求項16】
前記接触点補強要素(31)は、前記車両の構成部品(50)又は車体構造(1)に設けられた凹部(29)に配置され、前記車両の構成部品(50)の非取付状態において、前記マウント接触面(33)又は前記相手側接触面(35)の上方に突出することを特徴とする請求項1315のいずれか一項に記載の配置。
【請求項17】
前記凹部(29)の輪郭は、前記マウント接触面(33)の外形に沿うことを特徴とする請求項16に記載の配置。
【請求項18】
前記凹部(29)は、周回するように設計されることを特徴とする請求項16あるいは17に記載の配置。
【請求項19】
前記凹部(29)は、溝によって、形成されることを特徴とする請求項18に記載の配置。
【請求項20】
前記凹部(29)は、前記接触点補強要素(31)がそこに十分に収容され得るように、前記接触点補強要素(31)に対して寸法が定められることを特徴とする請求項1619のいずれか一項に記載の配置。
【請求項21】
前記接触点補強要素(31)は、取付領域(3)における、前記車両の構成部品(50)と前記車体構造(1)の剛性よりも、剛性が低いことを特徴とする請求項1320のいずれか一項に記載の配置。
【請求項22】
前記接触点補強要素(31)は、前記凹部(29)の長さの全体にわたって延在することを特徴とする請求項1321のいずれか一項に記載の配置。
【請求項23】
前記凹部(29)は、前記マウント接触面(33)の好ましくは平らな端面(27)の外縁の近傍の領域に設けられることを特徴とする請求項1622のいずれか一項に記載の配置。
【請求項24】
前記車体構造(1)に押圧され得る請求項1323のいずれか一項に記載の配置用の車両の構成部品(50)において、請求項1323のいずれか一項に記載の接触点補強要素(31)を収容するための凹部(29)を有することを特徴とする車両の構成部品。
【請求項25】
前記車両の構成部品(50)が押圧され得る請求項1323のいずれか一項に記載される配置用の車体構造(1)において、請求項1323のいずれか一項に記載の接触点補強要素(31)を収容するための凹部(29)を有することを特徴とする車体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2006−514898(P2006−514898A)
【公表日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−568118(P2004−568118)
【出願日】平成15年12月11日(2003.12.11)
【国際出願番号】PCT/EP2003/014034
【国際公開番号】WO2004/071849
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(598051819)ダイムラークライスラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【Fターム(参考)】